国会レポート

高額株配当 負担増えず 介護「現役並み所得」に矛盾(厚生労働委員会)

2017年5月18日

(資料があります)

 日本共産党の倉林明子議員は18日、参院厚生労働委員会で、介護保険法等改悪案の利用料の3割負担についてただし、高所得といえない要介護者が負担増の被害を受ける一方、高額な株式配当を得ている人が税の優遇によって負担増とならない仕組みがあること明らかにしました。

 3割負担の引き上げの対象者は、年金収入のみの単身で340万円以上、2人世帯で463万円以上とされています。これらは高齢者医療で窓口負担が3割となる「現役並み所得者」の基準より、単身で43万円、2人世帯で57万円も低く設定されています。
倉林氏は、こうした差が生じる一因に、高齢者医療の3割負担の基準が、働いて給与所得を得ている人を想定していることがあると指摘。多くは働くことが困難な要介護者を対象とする介護保険に、「現役並み」という考え方を持ち込むのは「矛盾だ」と追及しました。

 また、倉林氏は、政府が導入する仕組みのもとでは、前年まで働いて給与を得ていたが今は要介護状態で所得が激減したという人が、前年所得を根拠に3割負担となり、減免制度も受けられないという事実を指摘。「負担能力に応じた所得水準とは到底言えない。介護が必要となった人に打撃となることは明らかだ」と強調しました。

 さらに、倉林氏は、年金以外に株式配当で収入を得ている人が税の「確定申告不要制度」を活用すると、多額の収入があっても所得と認定されず、利用料が負担増とならない事実を提示。「収入に応じた利用者負担」という政府の説明の根拠が崩れているという倉林氏の指摘に、蒲原基道老健局長も「(指摘のような実態は)税法上の措置としてある」と認め、「根拠なき3割負担」(倉林氏)の実態が浮き彫りとなりました。


上場株式等の配当等に関する課税について


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 質問に入ります前に、先ほど民進党の委員からも指摘がありましたとおり、まあ、民進党時代どうだったかという話はいいと思うんですけれども……(発言する者あり)あっ、民進党じゃない、民主党政権時代に議論どうだったかということを前提とする必要はないと思うんですけれども、本法案についての衆議院での審議の経過を見てみますと、二十二時間、これで十分審議できたというふうには受け止めておりません。この二十二時間を前提としたような質疑時間に拘束されることなく、徹底した審議をするべきだということを冒頭求めておきたいと思います。
 そこで、最初の質問です。介護保険利用料の三割負担についてまず質問したいと思います。
 本会議で、家計への打撃となり、必要なサービスの抑制につながることは明らかじゃないかと私質問しましたところ、大臣は、負担能力に応じた負担を求めるとして、特に所得の高い層に負担をしてもらうものだから指摘は当たらないと、こういう答弁をいただいております。
 今回導入しようとしております介護保険の現役並み所得、この基準、これは年収で単身の場合三百四十万、そして高齢者二人世帯ならば四百六十三万円ということになるわけですが、医療どうかというふうに見てみますと、現役並み所得は単身が三百八十三万円、高齢者二人世帯になれば五百二十万円ということになって、差があるんですよね。年収で見ると、単身で四十三万円、さらに、二人世帯で見れば五十七万円低いラインが適用対象になる、より厳しい設定ではないかと思うんですが、大体、そもそも医療と介護でこの所得基準が異なるというのはどういうことなんでしょうか、御説明をお願いします。

○政府参考人(蒲原基道君) お答え申し上げます。
 医療保険の三割負担の基準につきましては、これは今先生お話しになったとおりですけれども、まず、課税所得百四十五万円というのがありまして、これをベースにやった上で、年間収入が単身世帯の場合三百八十三万円、二人以上の場合の世帯が五百二十万円と、こういう基準が設定されているということでございます。まず、基礎があるということでございます。
 一方で、介護保険の三割負担の基準でございますけれども、まず二割負担の基準で既に用いられている指標を介護では使っていると。この意味は、介護保険では合計所得金額、これをベースに二割負担のときの基準もこの指標を使っているということでございまして、その指標に医療保険の三割負担の基準をベースに勘案して設定し直していると。この場合の医療保険の三割負担の基準は、課税所得百四十五万円をベースにその合計所得金額に換算しているということでございます。
 その上で、合計所得金額二百二十万円をベースに、年金収入とその他の合計所得金額は、単身の場合三百四十万円、二人以上の世帯の場合は四百六十万円と、こういう構造になっているということで、構造的には、介護保険の三割負担の基準は医療保険の基準のところにそろえて、元々の課税所得百四十五万円のところにそろえてこれをつくっていると、こういう構造になっているということでございます。

○倉林明子君 課税所得そろえるんだけれども、実際年収で見たら格差が出ているという、これが問題だと思っているんですよ。ばらばらなんですね。何で医療の現役並み所得というのがこの介護の場合と違ってくるのかということの説明はちょっと難しくて分かりにくかったんじゃないかなと思うんですね。
 要は、医療の場合は七十歳を超えても現役で給与所得があるよと、これを前提にしていると思うんですよ。つまり、現役並みに働いて所得もあるからこういう負担になる。ところが、医療の場合は想定可能ですよ、そういうこともあろうかと思います、元気だけど病気もすると。ただ、介護となったらどうかと。現役並みに働いて給与収入は得られないというのが大体のレベルがいっていけばそうなるんじゃないかと思います。だからこそ、年金収入だけで計算しているんですよね、介護の方は。年金収入だけじゃないということですけれども、説明はいいです、差があるということの分かりにくさになっていますので。
 私、こういう、介護保険加入者というのは要介護認定を受けて初めて利用料負担が生じるわけですよね。現役並みに働けない、これはっきりしていることだと思うんです、現役並みのように働けない。介護にそもそもこの現役並み所得という考え方、これ持ち込むということ自体に私、矛盾があるんじゃないかなと思うんですけど、お考えどうですか。

○政府参考人(蒲原基道君) 高齢者医療において、先生御指摘のとおり、現役並み所得を有する方については既に三割負担を求めているというところでございます。今回の見直しについては、こうした医療の中の高齢者医療の仕組みのところを参考にして、介護保険の持続的可能性を高めるために世代内、世代間の負担の公平あるいは負担能力に応じた負担と、こういう観点から行うもので、高齢者医療のところに三割が入っているということとの考え方で行うというものでございまして、こうしたことから今回提案をしているわけです、中身を提案しているということでございます。

○倉林明子君 それは、医療にも三割があるから介護にも三割を入れ込んだんだと、その考え方は分かるんだけれども、実際年収ベースで見たら所得ラインが変わってきていると。介護の方は重たくなっているわけですよ。所得が同じでも、医療と介護では私、負担能力の土台が違うと思うわけです。
 介護が必要となった方々に対して、負担能力に応じた所得水準なんだろうかと、三割をこれからいただこうという方々が、私、到底言えないんじゃないかというふうに思うわけです。それに、医療にはあるんだけれども介護にはないのは、所得が激減した場合の減免制度、これも想定されていないんですね。急に倒れたということになって、前年所得に掛かるという場合が考えられると思うんだけれども、急激に所得が減少しているのにここについての減免制度というのはないという制度設計になっているんです。医療と違うんですよ、この点でもね。
 三割負担をこれ居宅サービスで見た場合というのはどうなるかということです。一割負担からの比較で、要介護一、二、これの平均利用者負担額は、月額、年額、それぞれどれだけ増えることになりますか。

○政府参考人(蒲原基道君) 居宅サービスでございますよね。居宅サービス受給者の平均的な利用者負担額については、これは機械的な計算で、一割負担の場合と三割の場合ですよね。要介護一の場合、月額でいいますと、一割負担であれば〇・八万円、これが三割負担になると二・四万円ということで月額一・六万円の負担増、これは年ベースに直しますと十九・二万円ということでございます。要介護二の場合でございますけれども、月額で、平均の場合、一割負担の場合が一・一万円、三割負担になると三・二万円となりまして、その差が月額二・一万円の負担増ということでございます。これを年額ベースに直すと二十五・二万円の負担増と、こういう数字になります。

○倉林明子君 これ、要介護三のところで見ると、年間三十四万円の負担増ということになるんですよね、平均的な利用負担額を基に計算してみたら。結局、この負担、三割負担と新たにしようとしているところの単身ベースの年収というと三百四十万円ですよ。こういう方々に三十四万円の年間の負担増、居宅サービス、要介護三の場合、そういう負担増になるわけですよ。
 私、この単身のライン、二人世帯のライン、ぎりぎりで超えるということに当たる世帯にとっては打撃になる負担だというのははっきりしているんじゃないかと思うんです。三割負担の対象には、負担能力がない人もやっぱり含まれてくるんじゃないかと思うんですよ。打撃は当たらないというような答弁いただきましたけれども、改めて、大臣、認識はいかがでしょうか。

○政府参考人(蒲原基道君) いや、今、負担増のことだと思いますが、今私が聞かれたんで一割から三割申し上げましたけれども、今回は二割負担の対象の中で一層範囲を限定した方に対して三割ということでございますので、したがって、先ほどの数字は一割、三割ですけれども、実際は二割のところから三割が負担増になるということであります。そして、その上で、所得の基準が上の方は、例えば年金収入であれば三百四十四万円の方なんで、そういう人たちが今私が申しました二割、三割の負担増のところを負担できるかどうかと、こういう問題として考えるべき問題かというふうに思っております。

○倉林明子君 大臣、負担は家計に打撃を与えるんじゃないかと。負担は三十四万円、年間一割から三割に上がったケースの場合、負担、家計への打撃を与える、そういうケースにも当たると思いませんか。認識を聞いている。
 あっ、蒲原さん違います。大臣の答弁に対しての認識を聞いています。

○国務大臣(塩崎恭久君) これは、保険料とそして税金とさらに自己負担というこの三つの組み合わせの中で成り立っているものでございます。その助け合いの仕組みで成り立っているわけでありまして、その中でこの制度の持続可能性というのを図るために今回こういう形にさせていただいているわけで、今お話があったように、それぞれ局長から御答弁申し上げたような要介護の一の場合と二の場合、そして一割負担、三割負担、それぞれの負担の増加額について、大きいんではないかと、こういう御指摘でございますが、それは所得に見合った、負担能力に見合った形で、御負担をいただける方には負担をしていただくという範囲内でのお願いをしていくということでこれを今回御提起を申し上げているということでございます。

○倉林明子君 いや、負担の範囲内という認識、今聞いてびっくりしました。負担は限界だってみんな怒っているんですよ。この声しっかり受け止めなくてどうするんだと私は指摘をしておきたい。
 こういう人たちにも負担を求めておきながら、一方、どうかということで問題提起したいのが、要介護になっても年金収入以外の多額の収入がある場合もあるんですよ。それどういうことかというと、その一つが株式配当所得です。株式保有者で配当収入がある一号被保険者、この介護保険料負担というのは一体どうなるのか。年金収入が二百五十万円と想定した場合、法改正後の介護保険利用料の負担は一体どうなりますか。短くね。

○政府参考人(蒲原基道君) 介護保険制度におきましては、保険料の賦課や負担割合の判定基準となる指標に、これは事務執行上の観点もございまして、地方税法上の合計所得金額というのを用いているところでございます。
 御指摘の点については、これは元々税制上の取扱いによることでございますけれども、配当所得については幾つか方法がありますけれども、申告不要制度というのがあって、申告不要制度によって申告をしなければ、これは地方税の扱いの上で当該所得は合計所得金額に含まれなくなるということになっております。そのため、委員御指摘のような、年金収入二百五十万円に加えて配当収入がある者についても、この申告不要制度を活用されている場合については負担割合が一割負担のままになるということもあるというふうに認識いたしております。

○倉林明子君 そうなんですよ。
 これ、資料を国税庁のホームページから取り出しました。今、蒲原局長、御説明あったとおり、これ優遇税制になっていまして、株の、黄色いところに書いています、確定申告をしない、確定申告不要制度の適用ということができるようになっているんですね。だから、一千万でも二千万でも配当所得がある人がこれを使ったら、一割負担のままということが起こり得るわけですよ。
 大臣、収入に応じた、能力に応じた、そういう説明なんだけれども、多額の株式配当所得があっても負担増にならないケースがある、これはお認めになりますね。

○政府参考人(蒲原基道君) 済みません、まさにこれは税法上の措置があって、それをベースに……

○倉林明子君 あるでしょ。

○政府参考人(蒲原基道君) まあそれはございます。ただ、それは税法上の措置をベースにそういう処理をしているということに伴うものでございます。

○倉林明子君 株で大もうけをした人が見逃される、そういうケースが出てくるんですよ。私はおかしいと思うんです。負担能力に応じた負担といいながら、余りにも不公平じゃないかと思いますよ。富裕層に負担を求める、これが筋だと思います。大臣、どうですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 基本は、負担能力のある方には負担をしていただくというのが基本だと思いますが、税制上の配当の扱いについては、介護の制度とは別なところで決まっていますが、考え方は先ほど申し上げたとおりでございます。

○倉林明子君 私、こういうことこそしっかり担保しないと、説得力ないと思うんです。三割負担にも反対ですよ、でも、こういうやり方、こういうところの穴があるんだということをしっかり押さえていくべきだと思います。
 そこで、高額介護サービス費の負担上限について質問しようかと思っていたんですけれど、ちょっと時間もなくなってきましたので、この間、財政審の議論の流れを見ておりまして実感しているのは、今後も更なる負担上限額の引上げになっていくんじゃないかと思っているわけです。
 これについて、大臣、認識どうですか。今後も負担増になっていくという流れじゃないかと。

○国務大臣(塩崎恭久君) 高齢化自体は進行するわけでございますけれども、そんな中で、増加が見込まれる介護サービスの負担については、保険料と公費と利用者負担の組合せで行われるということでありまして、制度の状況を常に検証して、私どもとしては不断の見直しをするということは先ほど来ずっと申し上げているわけでありまして、今般の見直しは今後の更なる利用者負担の引上げを前提とするようなものではないと私たちは考えながら今回提案をしておりますが、いずれにしても、不断の見直しを行いながら、できる限り負担は重くならないようにしながら、サービスはちゃんと、必要なサービスは確保できるようにしていくというのが基本だというふうに思います。

○倉林明子君 できる限りということで、否定やっぱりできないと思うんですよ。この間の流れを見たって、財政審の指摘どおり物事は動いてきているんですね。二割負担の問題、導入、補足給付の絞り込み、これでひどいことになっているんですよ。
 実態調査、これから多角的にされるということですけれども、今度も介護サービスの上限の引上げというのも提案のとおり実施されております。総理も、同様に、制度の持続可能性を高める観点から不断の見直しが必要だということなんですね。結局終わりじゃないと、更にこの引上げが、給付の引下げや負担の増加ということが進めようとされていると。
 根拠なき三割負担、今後の負担増、これはもう断じて許されないということで、引き続きの議論はたっぷりさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 終わります。