倉林明子

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消費者相談員維持へ  恒常的な雇用財源を (2024/3/21 消費者問題に関する特別委員会)

(議事録は後日更新いたします)

日本共産党の倉林明子議員は21日の参院消費者問題特別委員会で、消費生活相談員の雇用維持のため、恒常的な財源の確保と安定雇用へ踏み出すべきだと迫りました。

消費者庁が消費者行政実施のために地方公共団体に交付する「地方消費者行政強化交付金」のうち、消費生活相談員の人件費等を10分の10補助する「地方消費者行政推進事業」が順次期限を迎え、2027年度末までに終了します。同事業は、地方消費者行政のスタートアップ支援として、消費者庁創設以来、2017年までに実施した消費生活相談体制の整備について国が費用を負担するもの。主に7年間の活用期限が設けられています。

同事業の利用団体数と実績総額をただした倉林氏に、自見英子消費者担当相は「1312団体が利用し、総額は139億円になる」と答弁。事業終了で地方消費者行政の後退があってはならないとの倉林氏の指摘に、「後退はあってはならない」と答えました。

「地方消費者行政現況調査」によれば、3割の自治体で会計年度任用職員を公募しており、うち4割以上が2024年度に公募を行う見込みです。倉林氏は推進事業の終了が相談員の雇い止めを加速させかねないと指摘。人件費に利用できる恒常的な財源の確保や消費生活相談員の無期雇用への転換と処遇改善を求めました。


議事録を読む(未定稿)
(この会議録は未定稿です)
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
来年度予算についてなんですけれども、地方消費者行政交付金のうち推進事業分、これが一部終了ということで減額も出ております。国の負担がこれは十分の十で、消費生活相談員の人件費等に充てられてきたものでもあります。
二〇一七年から始まったこの推進事業ですけれども、今後、二〇二七年末までに全てこれ終了するという予定となっているかと思います。
この事業を利用してきた自治体は何件あったのか、そして、これまでの実績総額は幾らになっているか、私、これ終了する影響ってすごく大きいと思っておりまして、地方消費者行政の後退があってはならないと思います。御答弁お願いします。

○国務大臣(自見はなこ君) お答えいたします。
都道府県からの報告によりますと、地方消費者行政強化交付金が開始されました平成三十年度に推進事業を活用した地方公共団体は千三百十二団体となってございます。平成三十……(発言する者あり)はい、千三百十二団体となってございます。平成三十年度から令和四年度までの強化交付金の実績の総額は約百三十九億円となってございます。
地方消費者行政においては、どこに住んでいても質の高い相談、救済を受けられ、消費者の安心、安全が確保されることが重要であると認識してございまして、委員御指摘のように、地方消費者行政の後退はあってはならず、充実強化が図られるよう、地方公共団体の自主財源の裏付けされた安定的な取組と国の支援等を適切に組み合わせていくことが重要であると考えてございます。

○倉林明子君 交付金の減額ということになりますと、自主財源の確保と、裏打ちという御説明ありましたけれども、その自主財源の確保に苦労しているのが自治体なんですよね。そういう多くの自治体のところで何が起こるかというと、相談員の削減、処遇の後退ということにつながりかねないと、自治体に迫ることにならないかと思うわけです。
そもそも推進事業の目的というのは、生活相談員の計画的、集中的な養成、配置、増員、処遇の改善ということだったと思うんです。地方消費者行政強化作戦二〇二〇が、来年度までに達成すべき目標というのを定めております。政策目標に消費生活相談員の質の向上、これ四項目あります。これ、直近の到達の状況は目標に対してどうなっているか、御説明を。

○政府参考人(植田広信君) 御指摘の地方消費者行政強化作戦二〇二〇の政策目標に、消費生活相談の質の向上に関する達成状況についてでございますけれども、令和五年四月一日現在でございますけれども、消費生活センターを配置する市町村の都道府県内人口カバー率九〇%の目標を達成しているのは四十三都道府県でございます。
それから、消費生活相談員の資格保有率七五%以上という目標を達成しているのは三十都道府県でございます。相談員の研修参加率一〇〇%の目標を達成しているのは四都道府県でございます。指定消費生活相談員を配置しているのは二十二都道府県となっております。
以上です。

○倉林明子君 目標に対して達成率で、配置市区町村の都道府県内人口カバー率でいうと九〇%以上ということが目標なんだけれども、四十三ということでお答えあったかと思うんですね。
昨年十一月に公表された地方消費者行政現況調査結果、これ見ますと、相談員がいない自治体は七百一自治体ということで、これ増加しています。さらに、消費生活係すらないという都道府県が、青森、富山、奈良、高知、宮崎と、五県ということで増えているんですよね。係すらないという市区町村は八割を超えているという実態が報告ありました。研修参加率ということでいうと、研修参加率や指定消費生活相談員の配置というのは目標と大きく乖離が出てきております。
こんな状況で交付金を打ち切っていいのかという状況ではないかと。目標達成は来年度になっているんですよ。どう取り組まれますか。

○国務大臣(自見はなこ君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、地域の人口減少が進む中で、人口の少ない自治体を中心に相談員のいない自治体数は増加をし、また研修参加率や指定消費生活相談員の配置は目標と開きがございます。
一方で、相談員を配置している自治体の人口カバー率九〇%以上という目標に対しては、広域連携の活用等により、達成している都道府県が着実に増加をしておりまして、令和五年度には四十三都道府県が達成している状況ではございます。
人口減少が進む中では、特に人口の少ない自治体においてはサービスの低下があるということはあってはならないと思ってございますので、広域連携の活用等により、地域間で格差のない相談体制をつくることを重要だと考えているところであります。
目標を達成できるよう、先ほど申し上げた取組を進めていくとともに、地方公共団体の自主財源に裏打ちされた安定的な取組と、また国の支援等を適切に組み合わせ、市区町村への助言や協力、そして必要に応じた広域連携の支援など、都道府県の役割も更に明確化しつつ、地方消費者行政の充実強化を進めてまいりたいと考えてございます。

○倉林明子君 そこで、国が打ち出したのがDX化ということで、出てくるかと思うんですけれども、改めて、消費生活相談のDX化が相談員の負担の軽減につながるだろうかと、少人数で対応できるものとなっていくのだろうかという点なんですね。
確かに、メールやウェブ、ホーム、SNSの活用ということで進みますと、利用者、相談者にとっては、二十四時間対応になるとか電話が受けられる、電話が混雑して受け手がいないというようなところで考えますと入口は広がると思うんですね、相談の入口は。
しかし、解決という出口までどうつなげていくのかというときに、これ相談員抜きには成り立たないし、相談件数の増加ということも想定されて、より複雑化していくという相談業務の困難さも指摘があったところですけれども、これ相談員がやっぱり要るんだというところははっきりさせないといけないと思うんですよ。かえって業務負担が増えるんじゃないかという地方行政担当者の声も聞いております。
そういう意味で、このデジタル化が相談員業務の縮小や人数、少人数化での対応につながるというふうには思えないんだけれども、大臣の認識はいかがですか。

○国務大臣(自見はなこ君) お答えいたします。
消費者庁といたしましては、消費生活相談のデジタル化に向けまして、相談者の、相談者の自己解決支援のためのFAQや、あるいは消費者向けポータルサイト、相談員の業務支援システム、音声認識によるデータ入力など、様々な業務支援策の導入を併せて検討しているところであります。
これらの対応によりまして、消費生活相談員にとってはデータ入力の負担が軽減されるということ、あるいは相談対応に必要な情報が画面に表示をされるということ、そして消費者向けのFAQの運用で相談対応が軽減されるといった効果を見込まれております。
このように、相談員の負担軽減を図り、十分に力を発揮できる環境づくりを進めながら、消費者被害の未然防止、そして被害の最小化に資するよう、消費者の利便性や相談サービスの質の向上、また、委員の問題意識ございますが、地域の機能の維持をしっかりと目指してまいりたいと思ってございます。

○倉林明子君 何でこういう質問したかといったら、DXアクションプランの示す将来像、未来像では、更に少ない職員での行政運営が必要になることって書いてあるんですよ。もう一つ、消費生活相談業務に投入する人、物、金が一層限られるおそれがあると。こんな未来にしないのが私は行政の役割だと、責任だというふうに思っているんです。
改めて、現況調査で復活しました会計年度任用職員の調査結果、これを見ますと、更新回数の制限は三割の自治体で実施されていると。その比率は年々増加傾向になっております。更新回数二回が四四%で、四回が四二・四%になっているんですね。この四二・四%、四回の人たちの更新時期が来年度迎えるわけです。このままだと四二・四%の相談員の公募が行われる見込みになるわけですよね。
私、交付金の終了ということをもってして、相談員の雇い止め、これ加速させるようなことあってはならないと思うんですけれども、いかがですか。

○国務大臣(自見はなこ君) 消費者庁といたしましても、任用回数に一律に制限を設けないなど、いわゆる雇い止めの解消を含めまして、専門性、能力、経験等に見合った適切な処遇を講じることを地方自治体に対しまして粘り強く働きかけをしてきたところでございます。
また、地方消費者行政には地方交付税措置が講じられております。消費者庁から各地方自治体に対しまして自主財源の確保も促してきたところでございまして、各団体の御尽力もあり、自主財源の総額は増加傾向で推移をしているところでもございます。
相談員の雇い止めが広がることのないよう、引き続きこうした取組を進めてまいりたいと存じます。
また、人口減少が進む中では、特に人口の少ない自治体については、広域連携の活用等により地域間で格差のない相談体制をつくることも併せて重要であるとも考えてございます。
地方公共団体の自主財源に裏打ちされた安定的な取組と国の支援とを適切に組み合わせ、市町村への助言や協力、必要に応じた広域連携の支援など、都道府県の役割も更に明確化しつつ、地方消費者行政の充実と強化にしっかりと努めてまいりたいと存じます。

○倉林明子君 自主財源の確保ができていたら言えることだと思うんですよ。裏打ち完了していないと思うんですね。だからこそ、自治体のところがこの交付金打切りということになると相談員の雇用について難しくなるということでの問題提起しているんですよ。順番がね、自主財源を確保してからだったら、その相談員の確保ということでも見通しが立つと思うんですよ。
そういう点で、今、地方消費者行政現況調査見ますと、六十歳以上の相談員が四八・二%、で、何と七十歳以上の相談員も八%いらっしゃるんですね。これ、交付金がなくなれば雇い止めということになっていくんじゃないかと、非常に危機感を持っております。
私はね、やるべきは恒常的な財源の確保だと。十分の十で消費者庁がずっと持っているというのが適正なのかと、議論あろうかと思います。しかし、安定的に、どんなところに住んでいても消費者行政が受けられるという、その提供の要が地方では消費生活相談員になっていると。これは事実なんですよ。更に役割発揮が求められるということになっています。
そのためにもね、やっぱり雇い止めができるというようなこの会計年度任用職員の雇用の在り方については、無期雇用、処遇の改善と、ここに踏み出していくべきだと思います。いかがですか。

○国務大臣(自見はなこ君) お答えいたします。
消費生活相談は自治事務であり、人件費を含めまして地方交付税措置が講じられているところでございます。参考まででございますが、平成二十年度には約九十億であったものを現在約三倍に増加をさせておりまして約二百五十九億円を……(発言する者あり)はい、二百五十九億円となってございます。
地方公共団体の自主財源に裏打ちされた安定的な取組と国の支援が相まるということが大事でございます。消費者庁といたしましても、そういった専門性のある人材の方々、たくさん現場におられますので、そういった方々に対して見合った処遇を講じていただくことを、地方自治体に対し繰り返し働きかけを行ってきたところでもございます。
また、地方消費者行政強化交付金におきまして、指定消費生活、失礼いたしました、指定消費生活相談員や主任相談員の報酬の増額分等を交付の対象といたしまして、地方消費者行政の充実あるいは強化を推進してきたところでございます。
こうした支援や、あるいは相談員の担い手確保事業、地方自治体への働きかけなども引き続き行い、そして消費者生活のデジタル化も進め、相談員の処遇や働く環境の改善等にしっかりと力を尽くしてまいりたいと考えてございます。

○委員長(石井章君) 申合せの時間が参りましたので、質疑をおまとめください。

○倉林明子君 やっぱり、安定雇用をどうやって確保するか、処遇で賃上げをしっかり図っていくと、そういうことを抜きに地方での消費生活相談員というのは安定して確保できないということを申し上げて、終わります。