倉林明子

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強権的徴収やめよ 社会保険料減免求め (2024/4/4 厚生労働委員会)

(議事録は後日更新いたします)


 日本共産党の倉林明子議員は4日の参院厚生労働委員会で、年金事務所による社会保険料の強権的徴収が中小企業を倒産に追い込み労働者の失業に直結するとして、直ちにやめるよう求めました。

 コロナ禍や物価高騰により資金繰りに窮する中小企業に対し、年金事務所が、実情を無視した社会保険料の取り立て、差し押さえを行う事例が相次いでいます。

 宮崎政久厚労副大臣は昨年、適切に対応するよう日本年金機構を指導すると国会で答弁しています。倉林氏は、それ以降も年金事務所の強権的な態度は変わらないと指摘。「一括納付か差し押さえか」「銀行や納税よりも保険料支払いを優先しろ」と迫る現場対応は年金機構の指示かと迫り、猶予期間を無視した徴収をやめるよう求めました。

 年金機構の大竹和彦理事長は「事業所の状況に応じた丁寧な対応を行うよう、年金事務所に周知徹底したい」と答えました。

 武見敬三厚労相は、保険料の徴収努力はしなければならないとしつつ、「経営を著しく圧迫して、倒産させるようなことは避けなければならない」と答えました。

 倉林氏は、社会保険料減免など、賃上げにも資する、中小企業への直接的支援が必要だと指摘しました。


議事録を読む(未定稿)
(この会議録は未定稿です)

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 社会保険料の強権的な徴収によって中小企業の倒産につながると、こういう事案が少なくありません。昨年十一月に行政監視委員会で私取り上げましたところ、宮崎厚労副大臣は、直ちに財産の差押えを行うのではなく、まずは事業主に電話や文書で連絡を取り、事業所の経営状況や将来の見通しなど丁寧に伺いながら猶予や分割納付の仕組みを活用するなど、事業所の状況に応じる形で丁寧な対応を行っているという答弁されたんですね。
 ところがですよ、この間、厚労省は、あっ、こういう答弁を踏まえて、この間、厚労省は年金機構に対して具体的にどんな働きかけを行ってきたのか説明をお願いします。

○政府参考人(巽慎一君) お答え申し上げます。
 委員御承知のとおり、厚生年金保険料の納付につきましては、年金給付を行うため、事業主から被保険者分も含めて保険料全体の納付をいただいているところでございます。
 保険料の納付が困難となった場合、一般論として申し上げれば、日本年金機構においては、直ちに財産の差押えを行うのでなく、事業所の経営状況等を踏まえながら猶予による分割納付の仕組みを活用するなどの対応を行ってきております。財産の差押えするに当たっても、事業の継続に影響の少ない財産を優先して対象としているところでございます。
 また、昨年十月以降、各年金事務所が猶予を適用している事業所ごとに猶予期間を再点検する、事業主が納付協議に応じない等、誠意ある対応がなされていない場合には、猶予の取消し、財産の差押えを行うこととなりますが、そのような場合であっても法令上の根拠を示し丁寧な対応を行うこと等を日本年金機構において各年金事務所に対して周知徹底したことを承知しております。
 厚生労働省としましても、個々の事業所の状況を丁寧にお聞きしながら適切に対応するよう、日本年金機構を指導してきたところでございます。

○倉林明子君 答弁は変わらないんですけど、今国会でも、昨年、私、十一月に取り上げましたけれども、今国会でも、共産党だけじゃないんですよ、予算委員会や財金委員会で与党の議員から、委員からも相次いでこの取立ての問題が取り上げられております。現場での対応というのは、強権的な取立てになっているよという指摘のとき以降も変わっていないんですよ。その後も、年金事務所の現場では、分納相談をしても一括納付か差押えかとどちらか一択を迫られると、納付協議中に売掛金まで差し押さえると、執行すると、こういう強権的な取立てが引き続き報告されているんですね。
 国会答弁と余りにも開きがあるんです、現場実態は。何でこうした事態が続いているのか、年金機構の理事長から御説明いただきたい。

○参考人(大竹和彦君) お答えを申し上げます。
 まず、令和二年度、三年度でございましたけれども、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けまして、差押え、これを一部停止をしておりました。直近、令和五年度の差押件数につきましては、その間に対応する予定だった事案も含むため、増加をしているという状況があるところでございます。
 もちろん、先ほど年金管理審議官の答弁にもあったとおり、納付に向けた協議を行うに当たっては、個々の事業所の状況を踏まえ丁寧に対応していくことと、これが基本であるというふうに考えております。

○倉林明子君 国税徴収法に準じますと、最大で猶予の期間は四年ということになることは確認されております。
 期限を切った無理な納付計画を迫る事案が、もう理事長そうおっしゃるんだけれども、現場では後を絶たないんですよ。年金事務所より税務署に、税務署に払って、年金事務所より税務署に入れている金の方が多いやないかということで、税務署に支払額減らしてもらうようにと、これ年金事務所が求めているんですよ。
 三月十二日の財政金融委員会で、財務大臣は答弁で答えました。余りにも取立てが厳し過ぎて破綻に追い込むというようなことはいかがなものかと、こういう答弁です。当然だと思うんですよね。
 厚労省から現場の年金事務所に対して個別の働きかけも行っていると。行っていただいています、実際。ところが、現場の年金事務所では日本年金機構に言われたとおりにやっているというんですよ。機構は、一括納付か差押え、あるいは一年以内の納付と、こういう具体的な指示出しているんでしょうか。銀行や納税よりも保険料支払を優先しなさいと、こういうふうに迫る現場の対応というのは、これ具体的に機構の指示ですか。

○参考人(大竹和彦君) お答えを申し上げます。
 委員御指摘のとおり、国税徴収法により、滞納者が納付について誠意、誠実な意思を有すると認められる場合においては、その法定猶予の要件に該当する事案について申請又は職権による換価の猶予ができると、こういう制度がございます。
 換価の猶予をする期間でございますけれども、これは一年を限度として、滞納者の財産の状況その他の実情から見て合理的かつ妥当な金額で分割納付、これをした場合において、その猶予に係る保険料を完納することができる最短の期間と、こういうふうにされているところでございます。また、猶予した期間内に納付することができないやむを得ない理由があると認められるときは、その猶予期間を延長することができると、こういうふうにされているところでございます。ただし、納付協議に応じないというような場合は、納付に対する誠実な意思がないと、認められない場合には滞納処分に移行する場合があるということでございます。
 いずれにいたしましても、事務所の、事業所の個別的あるいは具体的な実情に即して、国税関係法にのっとった適切な対応を行ってまいりたいと考えております。

○倉林明子君 おっしゃるとおりに誠実な相談者に対して丁寧な説明がやられていたら、こういった御相談や苦情というのは上がってこないと思うんですよ。ところが、繰り返し同様の事態が現場際で起こっているということだから重大だと思っているんです。国税徴収法にのっとって誠実な対応している納付事業者に対しては丁寧な納付相談応じると、副大臣の答弁どおりのことを本当やっていただきたいと思うんです。
 異次元の物価高に加えて、三月末というのは、多くの中小企業にとって消費税、これは重い負担になっております。実態を踏まえて、猶予期間を無視したような、私、強権的な徴収というのはやめるべきだというふうに申し上げたい。丁寧な納付相談に応ずるように現場での対応を変えていただきたい。理事長、いかがでしょうか。

○参考人(大竹和彦君) お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたとおり、関係法令、国税の関係法令にのっとりまして、申請又は職権による換価の猶予あるいは猶予期間の延長等、法定猶予に係る法令に定める要件に該当する事案がある場合には、直ちに財産の差押えを行うのではなく、まずは事業主と協議をし、事業所の経営状況あるいは将来の見通しなどを丁寧にお伺いをし、事業所の状況に応じた丁寧な対応を行っていくように、各年金事務所に対して周知徹底をしてまいりたいと思っております。
 以上でございます。

○倉林明子君 周知徹底してまいりたいということですから、しっかりやっていただきたいと思います。
 理事長は新任されて、ホームページに挨拶が掲載されていまして、読ませていただきました。今年の組織目標は、更なる高みへの挑戦、国民の皆様に信頼され続ける組織であるためにと、これすごく大事な観点だと思うんです。不信を年金行政というのは本当繰り返し、国民に不信を持たれるようなことを繰り返してきたんですよ。だからこそ、信頼を前提とした取組が求められている、とりわけ求められている組織だと思うんです。強権的な取立てというのは、国民の不信、怒りと、今引き起こしていることになっているということをしっかり自覚して取り組んでいただきたい。強く申し上げておきます。
 大臣に問いたいと思います。
 中小企業は労働者の七割の雇用を支えております。この中小企業の倒産ということは、直ちに労働者の失業に直結する問題です。今紹介しましたような余りにも厳しい社会保険料の取立てで中小企業が破綻に追い込まれる、こんなことあってはならないことだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(武見敬三君) 厚生年金保険料などの保険料というものは、事業主から、それから被保険者分も含めて保険料全体を納付していただいておりまして、年金給付等の保険給付を行うためにも、その保険料を確実に納付していただくということは大事なその制度上の基本であることはやはり申し上げておかなければなりません。
 ただ、一般論として、保険料の納付が困難になった場合には、先ほどから理事長も指摘しておりますように、直ちに財産の差押えを行うのではなくて、まずは事業主に電話や文書で連絡を取り、事業所の経営状況や将来の見通しなどを丁寧に伺いながら、国税関係法令に基づく猶予による分割納付の仕組みを活用するなど、事業所の状況に応じた丁寧な対応を行うよう、厚生労働省としてはこの日本年金機構に対して指導しております。
 あとは、先ほどから理事長が申しておりますように、実際にその現場で担当する者がちゃんとその趣旨に対応してその保険料納付の手続をしているかどうかが重要な鍵だと思いますので、そこは周知徹底するよう厚生労働省としても努力をいたします。

○倉林明子君 いや、私、大事だと思うのは、財務大臣も言っているように、中小企業ということに対して潰すような追い込み方駄目だよという観点、すごく大事だと思うんですよ。今踏ん張ったら先の見通しも持てると。コロナの後、物価高で本当に大変な中で踏ん張って雇用を支えているんですよ、地域支えているんですよ。そういうところに対して、やっぱり基本的に破綻に追い込まないという支援要るんだということを強調したい。
 事業者の社会保険加入適用の拡大で、今年の十月からは、従業員百人以下五十一人以上、ここも加入の義務付けという対象になります。今、賃上げが最大限、中小企業どうやって頑張れるかというところ問われているわけだけれども、賃上げをやりますと社会保険料負担も増加すると。赤字でも納めなければならないということで、これはこうした新たな社会保険料負担が中小企業の賃上げのブレーキになっているというふうに思うんだけれども、大臣の認識いかがですか。

○国務大臣(武見敬三君) 委員御指摘の中小企業の社会保険料の負担に関しましては、この医療や年金給付の保障を通じた就労基盤の整備が事業主の責任ですから、働く方々の健康保持や労働生産性の増進を通じて事業主の利益にも資することから、中小企業にもこれは是非御理解をいただいて御負担いただく必要性はあります。
 その上で、働く方々が、その働き方や勤務先の企業の規模や業種、年齢や性別にかかわらず、ふさわしい社会保障を享受できるようにするとともに、雇用の在り方に対して中立的な社会保障制度としていく観点から、平成二十八年十月以降、この短時間労働者への被用者保険の適用拡大を進めているわけであります。
 こうした中小企業がこの賃上げができる環境整備にも取り組んでいくこと、これ大変重要でありますから、厚生労働省としても、この中小企業の生産性向上の取組を業務改善助成金などでこれを支援をしておりまして、中小企業庁と連携などしつつ、引き続き、中小企業の支援にはしっかりと取り組んでいきたいと思います。

○倉林明子君 いや、賃上げどころか倒産の危機に招いているのが、この社会保険料の負担というのはそれだけ重たくなっているということですよ。
 賃上げした、コロナ禍の影響が今残っている中で踏ん張っている中小企業を潰さない、そういうために本当に何が必要かといったら、社会保険料の減免制度、これ要ると思うんですね。賃上げした中小企業、ここに対する具体的な支援にもなる。極めて今有効だと思うんだけれども、見解いかがですか。

○国務大臣(武見敬三君) 社会保険料の事業主負担というのはもう先ほど申し上げたとおりでありますから、これはもうその減免についてはやっぱり慎重な検討が必要と考えます。
 その上で、中小企業の社会保険料については、その経営状況に応じて納付期限の延長や猶予等の対応を行っているところでありますから、引き続き、個々の企業の実情を踏まえながら丁寧に対応していきたいと思います。

○倉林明子君 いや、七割赤字なんですよ。これまで負担がなかった中規模の辺りのところも新たに社会保険料の負担が発生してくるんですよ、このままだったら。そうしたら、やっぱり倒産の危機、賃上げどころか倒産ということになりかねないので御提案を申し上げているんですね。中小企業への直接支援があってこそ賃上げにも踏み出せると。所得を引き上げるんだと、今年上げるんだといったときに、中小企業での賃上げをどうやって促進するかというのは今政府の提案だけでは不十分だということを申し上げたい。
 そもそも、社会保険料率というのは定率負担になっておりまして、大企業も中小企業も小規模も同率の負担になっているわけですね。応能負担による累進方式というものそのものをやっぱり見直すべきだし、大企業には上限を引き上げると、さらに中小企業の料率は下げると、こういうことも見直していくべきだというふうに思います。いかがでしょうか。

○国務大臣(武見敬三君) 御提案のように、企業規模に応じて事業主の保険料負担を累進的に増加させるということにつきましては、受益をはるかに超えた負担を求めた場合に事業主の保険料の納付意欲の低下につながるおそれがあること、それから、企業規模を指標とした場合に実際の企業の負担能力との間にそごが生じる可能性があること、それから、医療保険においては、各保険者が被保険者の特性も踏まえて自律的に保険料を決定していることとの関係をどう考えるかといったもろもろの課題がございます。これらを踏まえますと、やはり慎重な検討が必要だというふうに思います。

○倉林明子君 いや、どうやって中小企業にまで賃上げを拡大していくのかというときに、今の回答、春闘の回答状況を見ていると、大企業との格差、乖離というのは広がっております。物価高に負けないどころか、物価高にも勝ちようがないような賃上げの回答状況だというのは大臣も御存じだと思うんですよ。
 やっぱりね、どうこの全体の賃上げをしていくかというときに、中小企業に対しての直接の支援と、赤字法人でも負担が原則になっているこの社会保険料、これをどうしていくのかというときの軽減策としての検討というのは、私ね、いろいろ考えなあかんことがあるというのははっきりしているんですよ、前から。今、本当に賃上げに持っていきたいという政府のその思いを実現するためにも有効な手だてだということは申し上げたいと思うんですよ。速やかな検討を求めたい。
 あわせて、応能負担ということでいいますと、社会保険料も応能負担に持っていくという検討要ると思うんだけれども、社会保険料だけじゃない応能負担の検討は税でも要ると思うんですね。
 大企業の内部留保というのは五百十兆円を超えました。この十年間だけで見ても、百八十兆円も増やしているんですね。時限的な課税によって財源をつくれると、これ所管は財務省でございます。が、ですよ、中小企業の賃上げが政府の課題だということで正面から取り組むということ示されているんだから、全体としてどうやって財源もつくり、中小企業の賃上げを進めるのかと、ここ考えていただきたい。政治家としてのコメントを伺って、終わりたいと思います。

○国務大臣(武見敬三君) 税に関わるところは私の所轄ではないのであえてコメントは控えさせていただいていますけれども、ただ、保険料徴収というものの重要性に鑑みて、その徴収努力は私どももしなければならない一方で、この中小企業の経営を著しく圧迫をして、そして倒産させるようなことになるということは、これは我々としては避けなければいけません。
 したがって、そういうときには現状のきちんとしたルールに基づいて、その現場において、そのルールに基づいて猶予したり、その対応の緩和をしたりするということが私は必要で、その趣旨をきちんと現場にやはり徹底していただくということを通じて中小企業の経営基盤というものを守るというのが今我々としてできる立場ではないかと思います。

○委員長(比嘉奈津美君) 倉林明子君、時間が来ておりますので。

○倉林明子君 年金事務所での現場での対応の変化ということ、しっかり見届けたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
 終わります。