倉林明子

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‟子どもにも国保料”やめよ 倉林氏 「均等割」の廃止を迫る / 高すぎ国保料 生存権脅かす 首相「構造的な問題がある」 / 電磁記録すぐ提出を 統計データ不正 参院予算委で倉林氏(2019/2/7 予算委員会)

(資料があります)

 参院予算委員会で7日、安倍晋三首相ら全閣僚が出席して2018年度第2次補正予算案に関する基本的質疑が行われました。日本共産党の倉林明子議員は、毎月勤労統計の不正・偽装問題で本来あるべきデータの欠如と、高すぎる国民健康保険料の問題を追及しました。

 倉林氏は、加入者所得は減り続けているのに保険料は高すぎるという国民健康保険の構造問題をただし、ゼロ歳児にもかかる国保料の「均等割」を廃止するなど地方からの要望に応じるべきだと迫りました。根本匠厚生労働相は「子どもも含めて応分の負担をしてもらう仕組みだ」と居直り、子育て支援にも逆行する姿勢を示しました。

 国保加入世帯の年間平均所得は138万円(16年度)で、ピーク時の1991年度から半減した一方、国保料は上がり続けています。倉林氏は、京都市に住む年収400万円の30代夫と専業主婦、子ども2人の4人世帯の場合、国保料は年40万円近くに達しており、中小企業従業員が加入する「協会けんぽ」と比べて2倍も高い実態を示しました。

 また、子どもが多い世帯ほど保険料が高くなる均等割が国保にだけある問題をあげ、「医療保険によって負担や給付に大きな格差があるのは大問題だ」と批判。根本厚労相が「相互扶助」の名で応分の負担を正当化したのに対し、「負担能力に関係なく頭数で負担を課すのでは、古代の人頭税と変わらない」「子育て支援への逆行だ」と声を強めました。

 そのうえで倉林氏は、国が全国知事会から均等割の見直しを再三要望され、検討すると合意して4年もたつとして、「いつまでに結論を出すのか」と迫りました。安倍首相は「引き続き検討する」としか答えませんでした。

 倉林氏は「きわめて不公平な負担だ」と力を込め、欧州の公的医療保険料は所得比例が基本で、子どもから“人頭税”を徴収しているのは日本ぐらいだと追及。子育て支援を進めるには、子どもの均等割などを廃止し、国保料を協会けんぽ並みに引き下げるべきだと主張しました。


 「総理として、地方からの要望に正面から応えるべきだ」とただした倉林議員。高すぎる国民健康保険料・税が住民の生存権を脅かしていると述べ、▽1兆円の公費投入で国保料を「協会けんぽ」並みに引き下げる▽子どもにかかる国保料の「均等割」を廃止する―という要望を実現するよう迫りました。

 家計が苦しくて国保料が支払えずに正規保険証が取り上げられ、医療にかかれなくなった「手遅れ死」が後を絶ちません。“わずかな農業収入や母親の基礎年金で暮らしていた50代男性は、国保料が支払えず国保証が期限付きの短期証になり、大腸がん手術後の治療を中断。あまりの痛みで救急搬送されたものの受診後1カ月で死亡”などの事例が、全日本民主医療機関連合会の調べだけで2017年に63件もありました。

 「本来なら救えたはずの命ではないか」と声を強めた倉林氏。その背景にある国保の問題点を問いただすと、安倍首相は「たしかに高齢化の進行や無職・非正規雇用労働者など低所得加入者が増加する等の構造的な問題がある」と認めました。

 倉林氏は、国保料を協会けんぽ並みに引き下げるために1兆円の公費投入を訴えた全国知事会の要望を実現すべきだと強調。「財源と言うならアベノミクスでもうけている人にこそ負担してもらうべきだ」と述べ、株取引への税率を欧米並みの30%に引き上げれば1・2兆円が確保できると提案しました。

 さらに倉林氏は、世帯人数が多いほど保険料が高くなる均等割が国保だけにあり、負担をいっそう重くしている実態を告発しました。

 倉林 加入する医療保険によって負担や給付に大きな格差があることは大問題だ。なぜ均等割が国保だけにあるのか。

 根本匠厚労相 被保険者全体の相互扶助で支えられている。応分の保険料を負担してもらう必要がある。

 倉林 均等割はゼロ歳児にもかかる。人間の頭数で負担を課すのは古代の人頭税と変わらない。

 倉林氏は「子育て支援への逆行に他ならない」と述べ、欧米諸国の実態を問いました。

 樽見英樹厚労省保険局長 ドイツでは自営業者の公的医療保険は任意加入だ。民間保険はそれぞれの契約による。

 倉林 よっぽど言いにくいのか。ドイツの公的医療保険料は所得割だけだ。フランスやスウェーデンの医療保険料も所得比例型だ。子どもから人頭税をとっているのは日本ぐらいだ。子育て支援というなら、子どもの均等割を廃止すべきだ。

 倉林氏は、均等割などを廃止し、国保料を協会けんぽ並みに引き下げることを訴え、「市民のみなさんと力を合わせて実現させる」と強調しました。


 日本共産党の倉林明子議員は7日の参院予算委員会で、厚生労働省の毎月勤労統計調査の不正による雇用・労災保険などの過少給付をめぐり、正確な追加支給額の確定に必要なデータの一部が見つからないとする政府に対し、統計に穴が開く前代未聞の事態だと追及しました。

 厚労省は、2007年1月に調査対象を入れ替えた際に生じた前後のギャップ(食い違い)を補正するために必要な旧対象事業所の個票データがないために、再集計ができないとしています。

 倉林氏は、16年12月の総務省統計委員会の部会で厚労省が調査票情報の保存期間の変更をどう説明したかと質問。藤澤勝博政策統括官は、紙の調査票は3年経過後に溶解処分するとし、「電磁的な記録媒体は1980年以降の分を保存していると説明した」と答えました。

 倉林氏は「その説明が事実なら、なぜ07年1月の旧データだけなくなるのか。存在しているはずだ」とただし、根本匠厚労相は理由を答えられず、「確認の努力を続ける」と答弁。倉林氏は「保存責任者は厚労大臣だ」と述べ、統計情報という「国民共有の財産」の棄損は許されず、07年1月の電磁的記録媒体を早急に提出するよう求めました。

 また統計不正で、18年の実質賃金の伸び率がほぼ全月でマイナスになるとの野党の独自試算に言及。厚労省も同試算を事実上認め、政府としての推計を「検討する」(安倍晋三首相)としながら、公表見送りの報道もあると追及しました。安倍首相は「検討している」との答弁を繰り返しました。

 倉林氏は、世論調査で大半の国民が政府の説明に納得していないとし、「野党が要求する参考人招致や資料提出も拒む政府の対応そのものが『組織的隠ぺい』だ」と批判しました。


経済的事由による手遅れ死亡事例調査の事例


国保(市町村)・協会けんぽ・組合健保の比較


年齢階層別・疾病分類別一人当たり入院医療費(2016年度)


京都市のモデル世帯の保険料


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 まず、統計不正問題で総理に質問したいと思います。
 二〇一八年の実質賃金が前年比で実際どうなのかと、それは大きな論点になってまいりました。今回の不正統計の問題で、本当の数字が分からないわけです。野党の独自試算では、ほとんどが前年同月比マイナスという結果になりました。そして、議論を通じて根本大臣もそれを事実上認めるという答弁をされています。
 実質賃金の伸び率の推計について、総理は本会議でも検討しているというふうに答弁されてきたはずですが、一体これいつまでに公表されるんでしょうか。

○国務大臣(根本匠君) 委員のおっしゃるのは、我々二つの数字を出し……(発言する者あり)共通事業所系列の名目の話ですよね。私は、共通事業所の名目の話については、実質を出せというお話ですが、実は実質化というのは水準の推移を見るものですから、あの共通事業所系列で実質化をできるのか、実質化するにはいろいろな検討課題があると思っております。専門家も、毎年毎年違うわけですから、共通事業所の内容が、だから、それを実質化するということが果たしてそれはどうなのかと。いろんな課題が寄せられておりますので、そこはやはり我々が実質化系列を示すということについては専門的な検討が必要だろうと。
 それから、今の共通事業所の名目値を一定の仮定あるいは前提あるいは物価上昇率で割り戻すという、単純に仮定で置けばその数字は出ますけど、それは我々が今考えている実質化系列ということでは、ある程度ユーザーの方が算出したものであって、我々として共通事業所の実質化系列をつくるかどうか、これは専門的な検証が必要だと思っております。

○倉林明子君 いや、報道を今日見ておりましてびっくりしたんですけれども、政府は実質賃金、数値見送りと、こういう報道が出ているんですけれども、総理、公表しないつもりですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは今答弁させていただいたとおりでございまして、果たして、言わば、この名目にしても主系列と参考値がございまして、野党の皆さんは参考値における実質を出せということなんだろうと思います。しかし、統計としてはこの主系列があるわけでございますし、また参考値もあるということでございまして、それぞれの見方についてはこの場でもう既に答弁をさせていただいているとおりでございますが、果たして参考値において実質化できるかどうか、可能かどうかということも含めて今検討をしていると、こういうことだと思います。

○倉林明子君 結局、今の答弁、出すんですか、出さないんですか。どうですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 可能かどうかということでお答えをさせていただいたところでございます。

○倉林明子君 いや、しっかり検討するということですし、今の説明では国民納得しないと思うんですね。世論調査見ていましても、政府の説明に対して納得できないというのが八割なんですよ。そして、この問題が発覚した後の政府の対応も、これ組織的隠蔽を続けていると言わざるを得ないと思うんですね。
 昨年十二月十日に問題が発覚しました。そして、有識者に初めて報告された。これが今年の一月十日でした。実質一か月ですよ。これ、身内だけで問題を処理しようとしていたと言わざるを得ないと思うんですね。で、野党が要求している参考人はことごとく拒否すると。そして、資料を要求しても出さない。出すことで検討していたのかと思った実質賃金さえ、いつ出るか分からないという答弁ですね。これらの政府の対応そのものが私は組織的隠蔽と、こういう指摘せざるを得ないと思うんですよ。
 総理にそういう問題意識あります、そういう認識あるのかどうか。野党、国民の疑問に私は正面から答えていくべきだ、真摯に答えるべきだと思います。どうですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 長年にわたって不適切な調査が行われ、これを見抜けることができなかったことにつきましてはおわびを申し上げたいと思いますが、高い、事案の検証については、厚生労働省の特別監察委員会において、事務局機能を含め、より独立性を強めた形で厳正に検証作業を進めていただくこととなります。そして、雇用保険、労災保険などの給付の不足分については、できる限り速やかに、簡便な手続でお支払いできるよう、万全を期して必要な対策を講じていく考えであります。
 今回のような事態が二度と生じないよう、徹底して検証を行い信頼を取り戻すことが何より重要であり、再発防止に全力を尽くすことで政治の責任をしっかりと果たしていきたいと思っております。

○倉林明子君 徹底検証が必要なんです。真相究明は与野党問わずの課題だということだったはずですよ。
 委員長に求めたいと思います。
 大西前政策統括官、そして樋口特別監察委員会委員長、そして西村統計委員長、この参考人招致を求めたいと思います。

○委員長(金子原二郎君) 後刻理事会で協議をさせていただきます。

○倉林明子君 今回の統計不正によって、もう判明しているだけで、十四年間、過少給付延べ二千十五万人、これ、失業や労災で労働者が、労働者、家族が一番困っているときに追い打ちを掛けるようなことをしていたという問題だというふうに思うんです。
 これ、追加給付のスケジュールが示されました。しかし、この追加給付のために必要な一部のデータが見付からないということが分かっております。これによって正確な追加給付が確定できない、同時に統計に穴が空くという前代未聞の事態となっているわけです。
 見付からない必要なデータ、三つあると伺っておりますけれども、そのうちの個票データ、これは一体どんなもので、それがないとなぜ正確な追加支給額が確定できないのか、お答えください。

○政府参考人(藤澤勝博君) お答え申し上げます。
 御指摘の個票データでございますけれども、平成十九年の一月調査分の旧対象事業所分の個票データのことでございます。個票データとは、それぞれの調査対象事業所において調査票に記載された労働者数や実労働時間数といったデータを整理した上で月ごとにまとめたデータのことでございます。

○倉林明子君 なぜ正確な給付ができないのかということの答弁が抜けております。

○政府参考人(藤澤勝博君) 失礼いたしました。
 今般の事案に伴い、過去に遡って再集計を行う際は調査対象事業所の入替え時に生じるギャップを修正する必要がございますけれども、平成十九年一月調査分の旧対象事業所分の個票データが確認できないために、そのギャップの修正を行うことができず、再集計を行うことができない状態となっているところでございます。

○倉林明子君 これ、該当する個票データの保存期間はどう定めていますか。

○政府参考人(藤澤勝博君) 特別監察委員会の報告書によりますと、この個票データでございますが、統計法第二条第一項に規定する調査票情報に該当し、平成十九年一月当時は毎月勤労統計調査規則、それから行政文書分類基準表において少なくとも三年間は保存することとされていた情報とされております。

○倉林明子君 本来これ保存されているはずのものがないということなんですね。膨大な調査票があるわけです。その中で、二〇〇七年一月の古いデータの方だけがなくなっているということなんですね。何でこんなことになっているんでしょうか。

○政府参考人(藤澤勝博君) 厚生労働省の職員が平成三十一年一月に執務室内及び地下倉庫の紙及び電子媒体を徹底的に探しておりますけれども、現在のところ、その存在は確認できていないところでございます。

○倉林明子君 何でそんなことが起こるのかというのが不思議なんですよね。結局、今の説明でも、厚労省だけで探したんだけれども見付からなかったという話ですよね。これ、本当にデータはないのかというのが私には不明なんですね。
 これ、電磁的記録媒体の保存については、報告書によらずとも、厚労省は既に、二〇一六年に開催された統計委員会第六十八回サービス・企業統計部会で、毎月勤労統計の調査票情報の保存期間変更について、こういう質問に厚労省回答しているんですね。どんな回答していますか。

○政府参考人(藤澤勝博君) 毎月勤労統計調査の変更について議論するために平成二十八年十二月十五日に開催をされました第六十八回統計委員会サービス統計・企業統計部会において、当時の参事官が、全国調査、特別調査の保存期間を経過した調査票情報に関して、紙の調査票については、三年経過後、計画的に溶解処分を行っていること、それから、調査票の内容を記録した電磁的な記録媒体については、現在、昭和五十五年以降の分を保存していること等について説明を行ったものと承知をしております。

○倉林明子君 だから、その当時の説明によると、一九八〇年以降の電子的記録媒体はある、こう明言しているんですよね。この説明が事実ならば、二〇一六年十二月には、二〇〇七年、今回なくなったというデータはあったことになるんですよね。今回の調査では確認できない、これなぜなのか。なぜ、膨大な電磁的記録媒体の中で、この一か月分、それも旧データだけなくなるのか、全く合理的な理由が見付からない。どうでしょうか。

○政府参考人(藤澤勝博君) 先ほどもお答え申し上げましたとおり、今年一月に、御指摘の電子媒体を含みます省内のデータを徹底的に探しましたが、現在のところ、その存在は確認できておりません。引き続き、確認の努力を私どもで続けていきたいと考えております。

○倉林明子君 これね、本当に理由が分からないんですよ。理由が分からない。なぜなくなるのかが分からない。
 そして、この電磁的記録媒体の保存責任者というのは誰なのか。これ、毎月勤労統計の調査規則で明示、明記されているんですよ。この責任者は厚生労働大臣ですよね。私は、これ、大臣の責任で、このなくなったと、見付からないとしているデータについては早急に提出をしていただきたい。大臣ですよ。

○国務大臣(根本匠君) 今、事務方も答弁しましたが、今回の事案を受けて必要なデータを確認したところ、二〇〇七年一月調査分の旧対象事業所の個票データが現在まで確認できておりません。
 先ほど、三種類あるんです、三種類。三種類ありますね。それで、この点については、この点については、特別監察委員会でも検証していただきましたが、作成当時は少なくとも三年保存だが、その後、常用、つまり永年保存とされており、現在まで保存期間が満了となっていないもの、満了となったものと満了となっていないものがあり、存在が確認できないことは統計法及び公文書管理法に照らして不適切であるとされております。
 こうした事態となったことは、私も大変遺憾であります。改めて国民の皆様におわび申し上げますが、引き続き確認の努力を続けていきたいと思います。

○倉林明子君 だから、しっかり第三者の目も入れる必要あるんですよ。調べてもらう必要があるんです。
 私は、お諮りしたいと思います。
 旧対象事業所の電磁的記録媒体、しっかり見付けて、提出をお願いしたい。

○委員長(金子原二郎君) 後刻理事会で協議をさせていただきます。

○倉林明子君 統計法第一条では、公的統計が国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報であるというふうに統計を位置付けております。統計情報は、利用する政府のみならず、国民共有の財産なんですよ。その統計に穴が空くというようなことはあってはならないわけです。
 総理、統計データは国民共有の財産だと、こういう認識はおありでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) そのように認識しております。

○倉林明子君 国民共有の財産をこのままだと毀損させる、穴が空くということになるんだと、そういう認識で取り組む必要があるということを申し上げたい。
 そして、そもそも統計法は、一九四七年、第二次世界大戦の後にいち早く制定されました。その背景には、我が国の統計が戦時中に壊滅的な打撃を受けたことに対する反省がありました。統計が大本営のものになり、国民には徹底して生の数字は隠された。そして、無謀な戦争に突き進んだ。こうした反省から作られたのが戦後の統計法の出発点だった。
 総理はどう認識されていますか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 旧統計法は、我が国の復興に際して統計の整備が強く求められる中、統計の真実性の確保や統計の体系を整備するなどし、統計制度の改善、発展を図るといったことを目的として制定されたと承知をしています。
 その後、第一次安倍内閣の平成十九年に全面改定をされた現行統計法では、行政のための統計から社会の情報基盤としての統計へと移行を図り、公的統計は国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤であると位置付けたところでございまして、こうした中で、今般、公的統計について様々な不適切な事案が判明したことについては重く受け止めております。
 政府を挙げて再発防止、統計の品質の向上に努めていく考えであります。

○倉林明子君 戦争の教訓というのを深く受け止める必要があるというふうに思うんです。統計法の基本理念には、こうした教訓から中立性及び信頼性の確保が掲げられております。過ちを再び繰り返すようなことがあってはならないと強く申し上げておきたい。
 次に、高過ぎる国民健康保険料、税について質問をいたします。
 経済的な困難から国民健康保険料が払えない、そして、資格証など実質的に無保険状態に置かれて、手遅れとなって命を落とすと、こんな事例が後を絶ちません。
 全日本民主医療機関連合会の調査で、二〇一七年には六十三事例、毎年五十例以上が報告されております。これ、パネルにいたしました。(資料提示)
 事例一の場合は、妹と二人暮らしの七十代の女性です。本人は無年金で、妹のパート収入のみで、生活保護基準の六割を切るというような収入水準でした。国保は資格証明書。自覚症状があったものの、二、三か月受診しなかった。受診したときはもう子宮頸がんの転移で、初診から十か月後に死亡されております。
 事例の二の場合ですが、五十代の男性。母、姉と同居をしておりましたが、全員無職という御家族です。本人と姉には障害もあって、農業収入、母の国民年金などで生活を立てておられました。四年前に大腸がんの手術をしたものの、医療費の未払十数万円ということがありまして、その後、治療は中断。一七年に痛みから緊急搬送されましたけれども、受診後一か月で亡くなっているんですね。
 私、これ、本来だったら救えたはずの命ではないのかと思うんです。滞納に至った理由というのは様々でも、少なくとも病気で治療が必要な人には短期証を出して受診できるようにすると、これ、政府の立場だと思うんですよ。
 皆保険制度の下で、お金がなくて命を落とす、こんなことはあってはならないというふうに思いますけれども、いかがですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我が国は、皆保険制度によって、国民全体の相互扶助によって医療費を支える仕組みを取っています。その中で、国民健康保険においては、所得の低い方などについて保険料や患者負担の軽減を行う制度がありまして、その拡充を図ってきたところであります。また、やむを得ず保険料の納付等が困難となった方についても、個々の事情に応じて更なる減免を行ってきたところです。
 経済的事由により受診が遅れたりすることのないよう、こうした制度の周知も含め、今後とも、低所得の方に配慮したきめ細やかな対応を行うよう、市町村に対して徹底を図ってまいりたいと思います。

○倉林明子君 実際に命を落とす例があってはならないと、そういう答弁がいただけるかなと思ったんですが、なかったのは極めて残念です。
 二〇〇五年から始まったこの報告は、民医連の医療機関にたまたまつながった事例なんですね。氷山の一角にすぎないんですよ。さきの調査によりますと、手遅れ事例の内訳を見ると、無保険、資格証、これ、二十三件もありました。自覚症状から治療開始まで半年以上受診しなかった、こうした事例が七件ありました。うち四件は、治療開始から一か月以内に亡くなっているんですね。国民健康保険がセーフティーネットの機能を果たせていないと、こういうことを示しているんだと思うんです。こうした事例が後を絶たないという大本に何があるか、国民健康保険料が高過ぎると、こういう問題があるんですよ。
 そこで、市町村国保の現状を厚労大臣に確認したいと思います。直近の国保加入者の前期高齢者が占める割合、平均所得、保険料負担はどうなっているか、そして協会けんぽ、組合健保と比べてどんな特徴があるのか、いかがですか。

○政府参考人(樽見英樹君) お答え申し上げます。
 市町村国保におきます二〇一六年度の前期高齢者の占める割合は四一・一%、一人当たり平均所得は八十六万円、保険料負担率は一〇・一%というふうになっております。
 市町村国保は、協会けんぽや組合健保といった被用者保険に比べますと前期高齢者の占める割合が高くなっている、それから、そうした高齢者の多さに加えまして、無職や非正規雇用の労働者など低所得の加入者が多いという構造にございますので、一人当たり平均所得が低く、保険料負担率は高くなっているということでございます。
 ただ、保険料負担率って、これ、御本人の保険料負担率で高いということでございますが、被用者保険の場合にはこれとは別に事業主負担という形での保険料負担があるということについては申し添えたいと思います。

○倉林明子君 今の説明をパネルにいたしましたけれども、御紹介があったように、所得が低いのに保険料は高い、これが国保の構造問題になっております。
 厚労省にもう一つ確認したい。国保加入者の平均所得、これ、一九八六年、一九九一年、二〇一六年、それぞれ額はどうなっていますか。

○政府参考人(樽見英樹君) 市町村国保におきます一人当たり平均所得というお尋ねでございます。一九八六年度は七十五万七千円、一九九一年度は百二十一万三千円、二〇一六年度は八十五万六千円でございます。

○倉林明子君 加入世帯の平均所得というのは、ピーク時の半分に減っているんですね。一九八〇年代よりも少なくなっています。
 国民健康保険料が高くなる、この理由の一つに、一人当たりの医療費が高いという問題があります。国保と組合健保の比較はどうなっているのか、特に疾病別、年齢別でどんな特徴があるのか、説明してください。

○政府参考人(樽見英樹君) 一人当たり医療費ということでございますので、二〇一六年で比較をいたしますと、全体を平均いたしますと、市町村国保で三十五万三千円、組合健康保険でございますと十五万四千円というふうになります。市町村国保、組合健保よりも高齢者の占める割合が高いということでございますので、かつ、一般に高齢者ほど医療費が多く掛かるということでございますので、今申し上げたように、全体を平均で見ますと、一人当たり医療費は国保が高くなるということでございます。
 ただ、これ、そういうことですので、年齢ごとということで同じ年齢という形で比較いたしますと、ゼロ歳から二十歳代前半まで、それから六十五歳から七十四歳までというところで、同じ年齢ですと、実は医療費というのは大きな違いは見られないという状況がございます。
 ただ、その間、二十歳代後半から六十歳代前半にかけてでございますけれども、市町村国保の一人当たり医療費が高くなっている。これは、精神及び行動の障害あるいは神経系の疾患というような要素が影響しているという状況でございます。

○倉林明子君 今の説明をパネルにして、これ、入院医療費で見るとよく分かるのでグラフにしてみました。精神疾患等占有率というのが現役世代では本当に高いというのが国保の特徴にもなっているんですね。
 総理に伺いたいと思います。
 国保加入者の高齢化、低所得化、そして重症化、これ年々悪化しております。私は、もっと公費を投入しないと保険料というのは際限なく上がり続けるんじゃないかと思いますが、どうですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 確かに、先生が御指摘になったように、国保制度においては、高齢化の進行や、無職やあるいは非正規雇用の労働者など低所得の加入者が増加する等の構造的な問題があります。そのため、低所得の方々の保険料軽減措置を講じるとともに、保険給付費に対して五割の公費負担を行いつつ、公費を他の制度よりも手厚く投入するなどの措置を講じてきたところであります。
 今般の国保改革においても、都道府県単位化を御承知のようにしました。都道府県単位化によって財政の安定化を図ったことに加えまして、低所得者対策の拡充や医療費適正化等に積極的に取り組む自治体への支援など、年約三千四百億円の財政支援を行い、財政基盤を大幅に強化をしたところであります。
 こうした取組を通じて、国民皆保険を支える国保制度の安定的な運営に努めてまいります。

○倉林明子君 三千四百億円の公費投入では、国保の構造問題は解決しませんよ。
 国が三千四百億円の投入を決めた後、全国知事会、全国市長会、この要望はどういう内容になっていますか。

○政府参考人(樽見英樹君) お尋ねの点につきまして、知事会あるいは市長会から私どもにいただいております要望書の要点を申し上げます。
 全国知事会からは、新制度の運用状況を鑑み、不断の検証を行いながら国保制度の安定化が図られるよう必要な見直しを行うこと、三千四百億円の財政支援について、今後も国の責任において確実に実施すること、今後の医療費に耐え得る財政基盤の確立のための様々な財政支援の方策を講じることなどの要望をいただいております。
 また、全国市長会からは、三千四百億円の財政支援について継続して実施すること、医療費の増加に確実に対応できるよう、国による財政支援を拡充し、更なる国保財政基盤の強化を図ることといった要望をいただいております。

○倉林明子君 つまり、国庫負担を増やしてほしいということなんですね。
 私は、こういう地方からの要望に対し、総理として正面から応えるべきだと思います。どうですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま厚労省の方から答弁をさせていただいたような要望を受けたわけであります。その中には、この三千四百億円の財政支援をしっかりと行ってくれということもございました。
 こうした要望も踏まえまして、また、先ほど答弁させていただいたような取組も通じて、国民皆保険を支える国保制度の安定的な運営に努めてまいります。

○倉林明子君 知事会は、二〇一四年には、協会けんぽ並みに引き下げるためには総額一兆円の公費投入が必要だと、こう訴えていたわけですね。
 私、財源というなら、アベノミクスで確実にもうかっている人にこそ負担してもらうべきだというふうに思います。株取引に対して欧米並みに三〇%税率引き上げる、こうしたら一・二兆円が確保できるんじゃないかと、こういう道こそ選ぶべきだと思う。どうですか。

○政府参考人(樽見英樹君) 今、恐縮です、一兆円というお話がありましたので、当時の経緯についてだけ一言私から御説明申し上げたくて手を挙げました。
 まさにその二十六年当時に、おっしゃるように、協会けんぽ並みの保険料負担率まで引き下げるために必要な公費として一兆円というお話が途中であったということはございますけれども、それも含めまして、知事会との協議の上で、財政状況の中でできる限りの支援をするということで三千四百億円ということで知事会ともまとまったという経緯があるところでございます。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 金融所得課税につきましては、一〇%から二〇%に引き上げるなどの対応を取ってきたところでございます。

○倉林明子君 だから、本当に、それでは財源確保として国保の公費負担分確保できていないということあるわけですから、しっかり確保を求めているこの声にこそ応えるべきだと思います。
 さらに、全国知事会からは、子供に係る均等割保険料の軽減措置の導入が要望されております。どれだけ重い負担になっているかということです。
 これも京都市のモデル世帯でパネルにいたしました。年収四百万円で妻が専業主婦、三十代の夫婦と子供二人の四人世帯の場合。これ、所得割だけで二十四万二千八十七円ということになります。ここに平等割、均等割加わりまして、合計三十九万七千五百円余り。年収の一割にもなるんですね。
 では、同じ給与収入、家族構成の世帯が協会けんぽの場合の保険料負担はどうなっているでしょうか。

○政府参考人(樽見英樹君) 年収四百万円ということでございますので、月額の報酬を三十四万円として計算をいたしますと、協会けんぽの全国平均保険料率は一〇・〇%ということでございますので、これを適用いたしますと、御指摘の御家庭の保険料額は月額三万四千円というふうになります。事業主が半額を負担するため、被保険者の月額は一万七千円ということになっております。保険料でいうと三万四千円、御本人分だけだと一万七千円ということでございます。

○倉林明子君 これ年額ですので、今、月額でちょっと比較しにくい答弁だったので、もう一回、年額で。

○政府参考人(樽見英樹君) 年額ということになりますと、今の一万七千円を十二倍するということになりますので、済みません、今ちょっとその計算……(発言する者あり)約二十万四千円、失礼いたしました。保険料全体としてはそれの倍ということでございます。失礼いたしました。

○倉林明子君 本人負担でいうと、保険料は国保、今およそ倍なんですね、協会けんぽの倍ということが分かると思います。
 公的医療保険は、国民に平等に医療を保障するための仕組みであります。加入する医療保険によって負担や給付に大きな格差がある、私それ自体大問題だと思うんです。
 なぜ、子供も含めた被保険者の数に応じた負担がこれ国保だけにあるのか、明確にお答えください。

○国務大臣(根本匠君) 国保においては、全ての被保険者がひとしく保険給付を受ける権利があり、被保険者全体の相互扶助で支えられておりますので、応分の保険料を負担していただく必要があると考えています。このため、子供がいる世帯も、世帯の所得のほか、子供も含めた被保険者数の人数に応じて一定の御負担をいただくことになります。
 他方で、所得の低い世帯については、子供も含む被保険者の人数が多いほど保険料軽減の対象になりやすくなるような仕組みを設けており、平成二十六年度にはこの軽減措置の対象を拡大いたしました。こうした仕組みを通じて、子供も含む被保険者の人数が多くて所得の低い世帯にとっては保険料軽減の対象になりやすくなったものと考えております。

○倉林明子君 いやいや、国保にはほかの保険にない均等割が何であるのかという説明には今なっていなかったんじゃないですか。もう一回。

○国務大臣(根本匠君) 私は最初に御答弁をいたしました。国保においては、全ての被保険者がひとしく保険給付を受ける権利があり、被保険者全体の相互扶助で支えられているものであるから、応分の保険料を負担していただく必要があると考えております。

○倉林明子君 これ、ゼロ歳児にも掛かるんですよ。負担能力に関係なく人間の頭数で負担を課す、これはもう、もはや古代の人頭税ですよ。子供に係る均等割は子育て支援への逆行に私ほかならないと思います。
 全国知事会からも再々要望が提出され、二〇一五年に地方との協議の場で検討すると、こういう合意して四年なんですね。これ、本会議で約束を果たすようにという小池晃議員からの質問、代表質問に対して総理はこう答えているんです、引き続き協議する。じゃ、いつまでにこの結論を出すんでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 本年度から施行いたしました国保改革、施行された国保改革においては、交付金制度を見直し、子供の被保険者数が多い自治体への財政支援を強化したところでございます。
 御指摘の子供の均等割保険料の今後の在り方については、財政支援の効果や、これ実際、財政支援をしていくわけですから、この効果や国保財政に与える影響などを考慮しながら、厚労省を中心に、国保制度に関する国と地方の協議の場において引き続き議論をしてまいりたいと考えています。

○倉林明子君 だから、いつまでに結論を出すのかと聞いたんですけれど、重ねて聞いてもこの点では答弁がないようであります。私、極めて不公平な負担になっているということを強調したいと思うんですね。
 厚労省に聞きたいと思いますけれども、ドイツの公的医療保険では被用者と自営業者の保険料、これ、どんなふうに賦課されているでしょうか。端的に。

○政府参考人(樽見英樹君) ドイツの制度でございます。
 ドイツ連邦保健省のホームページというものがございまして、そこで情報公開されているものによりますと、ドイツの公的医療保険制度は、一定の所得以下の被用者全てが強制加入の被保険者となる。保険料として、所得に一定の保険料率、これ一四・六%が原則のようでございますが、それを掛けた額が賦課される。これを労使折半で負担するということでございます。
 自営業者はどうなっているか。自営業者は、被用者と異なりまして公的医療保険は任意加入ということになっておるということで、公的医療保険に加入しない人は民間保険に入るということになっておりまして、実際は多数の方が民間保険の方に入っておられる。民間保険ですので、これはそれぞれの契約によるということでございます。

○倉林明子君 よっぽど言いにくいのかと思いますけれども、ドイツの公的医療保険、加入している人たちのところでどうなっているかというと、所得割だけなんですよ。フランス、スウェーデン、この医療保険料も所得比例型です。オランダの医療保険料には定額部分あるけれども、これ、十八歳未満の子供の定額部分、国が肩代わりしているんですね。欧州では、自営業者の保険も所得比例が基本なんです。
 子供から人頭税、こんなことをやっているのは今や日本ぐらいだということを指摘したいと思います。子育て支援と言うなら、私はこの子供の均等割の廃止に踏み出すべきだと申し上げたい。
 日本共産党は、昨年十一月、一兆円の公費負担増を行って、人頭税型の均等割、平等割の廃止をすること、国保の保険料を協会けんぽ並みに引き下げる、こういう発表をいたしました。市民の皆さんと力を合わせて国保料引下げを実現させる決意申し上げまして、終わります。