倉林明子

倉林明子

メルマガ登録

年金削減 今後も継続 改定法成立 共産党は反対(2025/6/13 本会議)

(議事録は後日更新いたします)

 年金を物価や賃金の伸びより低く抑える「マクロ経済スライド」を温存した年金制度改定法案が13日、参院本会議で自民党、立憲民主党、公明党などの賛成多数で可決、成立しました。日本共産党と日本維新の会、国民民主党、れいわ新選組などは反対しました。

 反対討論で、日本共産党の倉林明子議員は「多くの年金生活者の今の困窮に背を向けてマクロ経済スライドを継続し、今後十数年にわたり年金水準が下がり続ける」と指摘。今必要なのは、現在困窮する人たちの暮らしを支えるため、物価高騰に見合う年金額の引き上げだと強調しました。

 マクロ経済スライドの導入から20年で公的年金の給付水準は実質約1割削減されました。自民、立民、公明3党が「基礎年金を“底上げ”する」として同法案を修正しましたが、5年後に再度検討するもので、たとえマクロ経済スライドを早期終了しても今後10年以上年金削減が継続します。倉林氏は「年金水準はさらに実質1割下がり、就職氷河期世代を含むすべての世代の打撃になる」と指摘し、マクロ経済スライドをただちに廃止するよう求めました。

 倉林氏は「女性の低年金は放置できない」と指摘。「低年金の最大の要因は、現役時代の低賃金にある」とし、女性の働き方に壁をつくり、男性の補助的労働にとどめ、女性を低賃金におしとどめる構造を政治がつくってきたと批判し、最低保障年金制度の実現に踏み出すよう迫りました。


議事録を読む(未定稿)
(この会議録は未定稿です)

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 会派を代表し、社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案に反対の討論を行います。
 法案に反対する最大の理由は、多くの年金生活者の今の困窮に背を向けてマクロ経済スライドを継続し、今後十数年にわたり年金水準が下がり続けるからです。物価高騰に多くの国民が苦しんでいます。特に年金で暮らす高齢者、障害者は節約では追い付かず、食費を削り、入浴の回数を減らし、猛暑の夏もエアコンなしなど、健康、命に関わる出費の切り詰めを強いられています。
 事務所には、障害者雇用がなかなか決まらず、就労移行支援の二年間は無収入、障害年金が最後のとりでです、障害年金だけは守ってほしいとの声も寄せられました。
 今必要なのは、現在困窮する人たちの暮らしを支えるために、物価高騰に見合う年金額の引上げです。総理は自民党に対し、二〇四〇年までに平均所得を五割以上上昇させることを参議院選挙の公約に掲げるよう指示したと報道されました。そうであるならば、実人数で四千万人に上る年金生活者を決して例外にすべきではありません。速やかに年金額の思い切った引上げをすべきです。
 マクロ経済スライドは年金の自動引下げ案であり、導入からこの二十年間で公的年金の給付水準は実質約一割も削減されました。法案は衆議院で修正されたものの五年後に再度検討するものであり、たとえマクロ経済スライドの早期終了措置を発動したとしても、今後十年以上年金削減が継続することになります。年金水準は更に実質一割下がり、就職氷河期世代を含む全ての世代の打撃となるものです。年金底上げには値せず、到底容認できるものではありません。
 今の年金生活者の暮らしを守るとともに、現役世代の大幅減額を避けるために、マクロ経済スライドを直ちに廃止し、物価高騰に見合った年金額に引き上げることを求めるものです。
 女性の低年金は放置できない問題です。女性の年金額は平均月額七万円弱、十万円を切る受給者は八五%に上ります。二割の方は、国民年金だけしか受給していません。大部分の高齢女性が年金では到底暮らしていけない水準に置かれています。
 厚労省が公表する相対的貧困率は、二〇一二年をピークに低下しています。その中で、唯一例外が高齢女性です。貧困率は上昇を続け、高齢男性との差は拡大しています。単身高齢女性の貧困率は四四%に上っています。
 こうした日本の実態に対し、二〇一三年に国連社会権規約委員会は、受給資格基準に達していない高齢女性に与えている貧困の影響への懸念を述べ、二〇一六年、二〇二四年の女性差別撤廃委員会からは、ジェンダーギャップがもたらす生活水準格差を懸念し、最低生活水準の保障が求められています。これら国連の人権機関からの要請に直ちに応えるべきです。
 低年金の最大の要因は、現役時代の低賃金にあります。非正規労働者の拡大、第三号被保険者制度、家族従業者を評価しない所得税法五十六条、無償のケア労働の押し付けなど、女性の働き方に壁をつくり、男性の補助的労働にとどめ、女性を低賃金に押しとどめる構造を政治がつくってきたのです。これらの解消、廃止と併せて最低保障年金制度がなければ、女性の低年金は解決しません。二十六万人いると言われる無年金者の解決も含め、最低保障年金制度の実現に踏み出すべきです。
 障害年金の見直しは、またも見送られました。障害当事者、関係者から長年放置され続けていることに批判の声が上がっています。多くの無年金障害者が生み出されている大きな要因が、医学モデルに偏り、障害者の実態に合わない認定基準です。
 全国心臓病の子どもを守る会のアンケートでは、六五%が障害年金を受給できていません。先天性の心疾患を持つ子供たちは、成人になっても根治することはなく、生涯にわたり治療を継続しながら暮らしています。それでも、在宅酸素で三割、就労できなくても四割以上の人が年金を受けられていません。真に支援が必要な人に障害年金が支給されるよう、医学モデルに偏重した認定基準を社会モデルに改め、認定システムを根本的に見直すことが必要です。
 低過ぎる障害年金の見直しも急がれます。障害基礎年金の額は四十年間据え置かれたままです。
 きょうされんが行った実態調査では、八割が相対的貧困に置かれ、年収二百万円以下で暮らす人は九七・二%に上っています。生活保護の受給率は全体との比較で七倍を超えています。少ない年金、少ない工賃で働く障害者が、給料が増えたら缶コーヒーを買いたいと希望を語り、支える親は、将来のことを思うととてつもない不安に襲われて苦しくてどうしようもなくなることがあると訴えています。
 障害年金の水準について、政府は、老齢年金と同水準であることを合理化していますが、障害を持つ人たちは働く機会、所得を得る機会を十分に得ることができず、年金、工賃と親や家族の援助によって生活が成り立っているのが現実です。
 年金水準について、障害者権利条約の総括所見は、市民の平均所得に比べ障害年金が著しく低額であることに懸念を示し、障害者団体と協議の上で障害年金の額に関する規定の見直しを求めています。親に依存せず、社会的に自立した生活ができるよう、大幅に引き上げるべきです。
 参考人質疑では年金部会委員である駒村康平参考人からも、障害年金について踏み込んだ改革はされていない旨の発言がありました。年金部会には障害当事者は参加していません。制度上、運用上の喫緊の課題を解決し、制度を抜本的に見直すため、当事者、専門家の参加する集中した議論をすぐ開始すべきです。
 障害年金の不支給問題は、年金機構の調査では全容が解明されたとは言えません。三月の報道を受け、認定医の審査過程で不支給と見込まれた事案を障害年金センターの常勤医師が確認した結果、約一割が支給となったとされています。徹底した調査、公表とともに、必要な再判定、救済措置が実施されるべきです。
 被用者保険の適用拡大と同時に必要なのは、中小企業への直接支援です。コロナ禍の打撃、インボイスの導入によって、税や社会保険料の負担は経営に重くのしかかり、社保倒産と言われるほど中小企業の社会保険料を含む税金滞納倒産は過去最多を記録しています。雇用の七割を支える中小企業の倒産を増やすことがあってはなりません。
 巨額の年金積立金を計画的に活用する、高額所得者の年金保険料の頭打ちを見直すなどの改革を行い、高齢者も現役世代も減らない年金にすることこそ緊急に求められることを指摘し、討論といたします。