倉林明子

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医療費ゼロ税率提起 参院委 倉林氏 消費税補てんで / 障害者雇用 徹底的な解明要求(2018/11/15 厚生労働委員会)

 日本共産党の倉林明子議員は15日の参院厚生労働委員会で、7月に明らかになった医療機関への消費税補てん不足を批判し、根本的解決を求めました。

 医療機関は必要な物品購入(仕入れ)の際に消費税を払いますが、医療費は非課税とされているため利用者に転嫁できません。このため医療機関が仕入れにかかった消費税は診療報酬で補てんされる仕組みとなっていますが、2014年の消費税増税(5%→8%)に対応した診療報酬による補てんが不足していました。

 倉林氏は、病院ではこの4年間で補てん不足が888億円に上ることをあげて「重大な間違いだった」と指摘し、政府が繰り返してきた「おおむね補てんしている」という国会答弁を「撤回すべきだ」と追及。根本匠厚生労働相は「当時の国会答弁の内容は、誤ったデータにもとづく間違ったものだ」と認めました。

 倉林氏は、診療報酬の補てんを維持したうえで個別の医療機関の申告で過不足に対応する仕組みの創設を求めている医療界の要望を尊重すべきだと強調。根本的な解決に向け、仕入れにかかった消費税は還付されるよう医療費「ゼロ税率」の導入を選択肢として検討すること、「ゼロ税率」の場合は免税対象となる小規模な医療機関の事務負担が過重とならないよう対応することを求めました。


 15日の参院厚生労働委員会で、日本共産党の倉林明子議員は、この問題で根本厚労相が「障害者雇用施策を推進する立場として、深くおわびを申し上げます」と謝罪していることに対して「一体誰に対して何を謝罪するのかがはっきりしない」と批判。「数字を操作してまで障害者雇用拡大の責務を長年にわたり放棄してきた背信行為こそ謝罪すべき中身であり、直接謝罪すべき相手は雇用機会を奪われた障害者だ」と指摘しました。

 そのうえで、政府の検証委員会は実害を受けた人数なども明らかにしていないことをあげて、「解明すべきことは山ほど残っている。なぜこんなことが行われたのか、背景までえぐりだす必要がある」と強調。障害者も参加した検証作業を行うように求めました。


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子でございます。
 野党の皆さんからも様々指摘がありました。私、この新たな外国人労働者の受入れ問題については、改めて厚生労働委員会で早急にやっぱり集中審議必要だという思いを強くいたしました。法案については連合審査の開催を我々要求してまいりましたけれども、本委員会でこの外国人の受入れ拡大については集中審議を改めてお願いしたいと思います。
 もう一つ、一緒に要求しますので。
 その審査の条件といたしまして、資料の提出を求めたいと思います。
 一点は、新在留資格による受入れ見込みの人数が昨日示されました。その中身を見て愕然としておりまして、全くこの数字の意味が分かりません。積算根拠を併せて説明できるように資料を整理していただきたい。
 二つ目の資料といたしましては、衆でも継続になっておりますが、技能実習生の失踪者に対する入国管理局が聞き取った個々の聴取票、これが二千八百九十二人分あるというふうに伺っております。もちろん個人情報については取り除いていただいた上で、非常に審議の参考になること間違いないと思っておりますので、リアルな実態共有するためにもこれについては資料として提出を願いたい。お願いします。

○委員長(石田昌宏君) 以上の件につきましては、後刻理事会において協議いたします。

○倉林明子君 それでは、集中審議も理事会で確認がいただけました障害者の雇用の水増し問題について若干質問したいと思うんです。
 大臣は、この問題、所信で触れられました。そして、障害者雇用施策を推進する立場として深くおわび申し上げますと改めて謝罪をされたということです。これ聞いていて、一体誰に対して何を謝罪するのかはっきりしないんですよね。
 障害者団体からはどんな声が上がっているかというと、障害者を雇いたくなかったのかと、こういう声ですよ。その手法というのは、官庁の内部で障害者を探す、そういうやり方でした。数字を操作してまで障害者雇用拡大の責務をこれ長年にわたって放棄してきた、これ背信行為ということだと思うんですよ。これに対してこそ明確に謝罪すべきじゃないかというふうに思いますし、直接謝罪すべき相手は誰かということですよ。これ、被害を回復すべき相手、雇用機会を奪われた障害者だと私言いたいと思うんですけれども、大臣の認識、いかがでしょうか。

○国務大臣(根本匠君) 障害者雇用促進法というものを作って、そして国の行政機関も事業主として障害者の雇用の確保や安定を図る責務を有していて、そして民間に率先して障害者を雇用すべき立場にある。それにもかかわらず、今般、国の行政機関の多くで障害者の法定雇用率を達成していない状況にあったことについて、厚労省は障害者雇用率制度を所管しておりますから、その立場から私は大変重く受け止めて、深くおわびを申し上げるということでおわびを申し上げました。

○倉林明子君 今の、所信の範囲ではなかったかと思うんです。具体的に、謝罪すべきは誰なのかということで、機会を奪われた障害者じゃないのかと聞いているんです。どうですか。

○国務大臣(根本匠君) 要は、個々の障害者の皆さんということを含めて、トータルとして、我々、障害者雇用率制度を所管する立場にありますから、その点でこういう事態に立ち至ったということをおわびをしているということであります。
 それは当然、国民の皆さん、そしてその中に障害者の皆さん、いろいろな……(発言する者あり)いや、障害者の皆さんを中心に国民の皆さん、広く私はおわびを申し上げたいと思います。

○倉林明子君 私、先ほど来の議論聞いていまして非常に気になるのは、これは明確に、所管している厚労省も含めて重大な法違反があったということなんですよ。明らかですよ、雇用率達成できていなかったんだから。その点では、結果責任が問われる問題なんだと、そういう自覚、極めて乏しいということをまず指摘をしておきたいというふうに思います。
 そこで、検証委員会のところで、雇用率が達成されていることによって不採用となって実害を受けた障害者ってどれだけいるのかというのは、これ数出てきておりません。大体、そもそもいつから水増しが行われてきたのか、それも明らかになっていません。過去に遡って、本来雇用されるべき障害者は何人だったのか、これも明らかになっていない。省庁間で示し合わせていたのではないかと、何でこんな権利侵害に対する改ざんが行われたのかと、私、解明すべきことは山ほど残っているというふうに思うわけです。大体、何で、何でこんなことが行われたのかということは、背景までえぐり出すということをする必要あると思うんですよ。それが全くないということは極めて問題だと思っているんです。
 私、言いたいのは、検証作業、これはここで終わりにしてはならないと思うんです。障害者である当事者も参加した検証作業というのは継続されるべきだと思っているんですが、いかがでしょうか、大臣。

○国務大臣(根本匠君) この問題については、第三者の委員会を立ち上げて、そして検証委員会でしっかりと検証していただきました。
 検証委員会は、福岡高検の検事長も務められた松井委員長をトップに、弁護士や行政監察についての有識者、障害者施策に造詣の深い有識者の方々から構成されて、今般の事案の実態や原因、実態や原因を明らかにするために第三者の立場から専門的な知見で検証をいただきました。実態や原因を明らかにする、これが検証委員会の目的ですから。
 そして、この検証の結果、各行政機関における今般の事案の基本的な構図を明らかにしていただいたと思っております。

○倉林明子君 ということは、もう検証作業は終わりだという説明だったのかなというふうに改めて受け止めました。
 問題は、重大な人権侵害、これチェックできてこなかったということでいいますと、我々立法府にも検証の責任があるんだというふうに受け止めているんです。私、参考人質疑、集中審議ということで理事会でも確認をいただいておりますが、徹底した解明のための審議を続けていく決意も今日は表明しておきたいと思います。
 次に、与党の先生方からも質疑ありました医療の消費税の補填不足問題、これ私の方からも質疑したいと思います。
 医療に係る消費税問題というのは、もう経過長いんですね。診療報酬による補填では、ばらつき、不足、これ生じるということで、医療界から繰り返し抜本的な解決、これ求められてきたわけです。また、これ消費税が診療報酬に上乗せされるということになりますから、結果として国民負担になるわけです。医療費非課税と、この原則との矛盾、これも生じてきているわけです。これに対して政府はどう説明してきたかというと、診療報酬での補填というのはおおむねされてきたと、こういう説明だったわけですね。
 ところが、先ほども紹介あったように、今年の七月二十五日の中医協消費税分科会で、二〇一四年改定での試算にこれ誤りがあったということが発覚したわけです。全体でも機能別でも補填不足があったということで、もう分科会では衝撃が走りました。当然だと思うんです。
 修正後の二〇一六年分で見ますと、全体の補填率、マイナス額、これどうなっているか。そして、とりわけ影響が大きかった特定機能病院、こども病院、この補填率とマイナス額はどうか、数字で端的にお答えください。

○政府参考人(樽見英樹君) 二〇一四年度の補填状況調査の誤りということについては、その補填状況について言わば誤った認識を世に生むことになったということでございます。これについては誠に申し訳なく、おわび申し上げる次第でございます。
 お尋ねの補填率等につきまして申し上げますと、二〇一六年度の補填状況調査でございます。一施設一年間当たりの結果でいいますと、特定機能病院の補填率は約六一・七%、補填不足額は九千二百万円、こども病院の補填率は約七一・六%、補填不足額は約三千二百万円ということでございます。
 それから、全体については、仮に病院、一般診療所、歯科診療所、保険薬局の補填率から全体の補填率を推計するとということで全体のものをお示ししておりますけれども、九二・五%の補填率ということでございました。

○倉林明子君 誤った認識を与えたんじゃないですよ。誤った計算をして補填不足が生じていたんですね。これ、間違いないか。認識の問題じゃなくて事実間違っていたんだから、それちゃんと認めてほしい。どうですか。

○政府参考人(樽見英樹君) 二〇一四年度の補填状況調査の誤りということに関しては、点数を付けていたものについて、それがどの程度補填されているのかというその検証を行う際に、具体的に申しますと、DPC病院における算定回数、算定日数というものを誤っていたということで、補填率が高いという数字になっていたということでございますので、点数を設定するときに件数が誤っていたということではなくて、ただ、結果的に低い点数、低い補填率になっているものを高い補填率であるというふうに検証結果でお示しをしたということでございますので、おわび申し上げなきゃいけないところは変わりませんけれども、状況はそういうことでございます。

○倉林明子君 間違いは率直に間違いだと認めてきちんとおわびするという、そういう姿勢持たないと信頼失いますから、言っておきます。
 これ、四年間放置されたという、これ重大な問題なんですよ。先ほどおっしゃったけれども、全体で九〇パーということだけれども、病院で見ますと八五%ということで、より補填率低いです。差引きで全体、年間でいうと二百億円マイナスです。病院のところで計算しているのを見たら、四年間で八百八十八億円やと。これだけの損失を与えた重大な間違いだったということを重ねて指摘したい。
 それで、ここではっきり答弁を撤回すべきだと思っていることがあるんです。繰り返し、全体ではおおむね補填しているんだと、機能別でも、そういう国会答弁を何度もしてきているわけですから、これまでの国会答弁についても撤回を求めたいと思います。大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(根本匠君) 今お話がありました。局長からも答弁がありました。
 二〇一四年度の補填状況調査を公表した当時は、全体の補填率が一〇二・〇七%というデータを踏まえて、補填状況におっしゃるとおりばらつきは見られたものの、マクロでおおむね補填されているということが確認されたと国会で答弁しておりました。しかし、その後、先ほどお話にありましたが、二〇一四年度の補填状況調査に誤りがあったことが判明し、結果として当時の国会答弁の内容は誤ったデータに基づく間違ったものであったと認識しております。
 本件については誠に遺憾であって、今後このようなことが起こらないようにしていきたいと思います。

○倉林明子君 明らかに間違いだったということを認められましたので、その事実を踏まえて引き続き議論をしていきたいと思います。
 そこで、医療団体からの指摘もあって、誤りに気付く機会というのはあったと思うんです。それは病院、医療団体からも指摘が繰り返しされておりました。私、四年間放置してきた責任重大だと思うんです。もちろん、診療報酬でどう補填するかということについて言うと、なかなか難しい議論あるというのは承知しております。しかし、明確に損失を与えたことが明らかになったわけですから、救済措置というのはとるべきだと思う、当然だと思う。どうでしょうか。

○政府参考人(樽見英樹君) 診療報酬による補填について、全体として補填不足があった、それから医療機関種別ごとの補填率のばらつきがあったということでございます。
 来年の診療報酬改定、一〇%に上がるのに合わせまして診療報酬改定をやるということで、その改定に当たりましては、直近の実績データを用いるということによって医療機関の種類ごとの消費税負担に見合う補填率になるように、現在、中央社会保険医療協議会において議論をしていただいているというところでございます。
 今日の午前中にも申し上げましたが、診療報酬による補填というものについては、そもそも個々の医療機関の実際の消費税負担額を個別に補填するという性格のものではなくて、診療行為に着目して点数を配分する仕組みということでありますので、過去の補填不足を手当てをするということについては難しい面があるわけでございます。
 ただ、今回の、来年の診療報酬改定の際には、二〇一四年の消費税改定の際に引き上げた五%から八%部分を含めて計算をし直して、将来に向けて補填状況が是正されるという配点にしたいというふうに考えているところでございます。

○倉林明子君 いや、そういうやり方していくと、余計ゆがみや矛盾出てくるんじゃないかというふうに思うんですよ。過不足あるんですから。分野別でも過不足あるわけだし、個々でも過不足あるわけだから。
 私は、そこで、やっぱりいろいろな議論もあったんだけれども、医療界挙げて要望をまとめられたというところを本当に尊重すべきだというふうに思っています。日医、日歯、日本薬剤師会の三師会、そして四病院団体協議会、八月二十九日の提言というのは、診療報酬の補填というのは維持した上で個別の医療機関ごとに申告によって補填の過不足に対応する税制上の仕組みですね、これを新たに創設してほしいというものになっています。これ、対象もよく考えられていて、消費税、所得税を実額計算で申告している医療機関に限定しているというわけですよ。
 こういう要求について、全体がこうした過不足もありながらまとめられたという点では非常に重い提言だというふうに思っておりますけれども、大臣はこれどう受け止めておられますか。

○国務大臣(根本匠君) 医療関係団体は、御指摘のとおり、診療報酬への補填を維持した上で新たな税制上の仕組みの創設、これを要望しております。厚生労働省としても、平成三十一年度税制改正要望で、財政上の問題の抜本的解決に向けた新たな措置を盛り込んでおります。
 引き続き、関係者の議論の状況なども踏まえながら、診療報酬による対応も含めて与党とも相談しながら検討していきたいと思います。

○倉林明子君 注目して見ていました。初めてですね、抜本的な解決に向けてということが厚労省の税制改正要望に入ったと。これは医療界挙げた要望を受け止めてのことだと思いますので、税制改正としての新たな仕組みのために厚労省は本当に頑張りどころだということを申し上げておきたいと思います。失った医療界からの信頼をどう取り戻すのか、厚労省、本気でやらないと、この点での信頼回復ないということを申し上げておきたいと思います。
 そして、この要求が実現したとしても、これは課題残るんですね。最初に申しましたように、診療報酬に消費税分を上乗せする仕組み、これ、対応する限り患者負担に跳ね返ると。で、医療は非課税という建前との矛盾、これ拡大することになるわけです。この矛盾の解消が求められると思いますけれども、いかがでしょうか。

○政府参考人(吉田学君) お答えいたします。
 まず、今般私どもが、今委員引用いただきましたように、来年度に向けての税制改正の要望において、税制上の問題の抜本的な解決に向けた新たな措置というものを要望させていただいておりますのは、昨年末の与党税制改正大綱におきまして、種々前提条件を置いた上で、三十一年度税制改正について、税制上の抜本的な解決に向けて総合的に検討し、結論を得るということを踏まえまして、診療報酬による対応も含めて、与党とも御相談させていただきながら検討するというのがまず基本でございます。
 その上で、今の患者負担などの関係につきましては、私どもとして、診療報酬によるこれまで行っておりました補填につきましては、定率の患者負担の部分を除いて考えても、その医療保険制度から税あるいは保険料を財源としてそこの部分が賄われていることや、あるいは医療機関の負担する総費用のうちの人件費等の非課税仕入れ額を除いた課税仕入れ部分への対応という意味では、一般的な課税取引に比べれば患者負担が軽減されていると思っておりますので、私どもとしてはその考え方は一貫しているものと思っております。

○倉林明子君 いや、医療非課税ということの矛盾を拡大するということになることは間違いないんですよ。さらに、増税ということになれば、これは差が更に、非課税分じゃなくて課税分が、消費税の課税部分増えるということになるのは、いろんな軽減措置とっていても、そういうことになるんですよ。消費税の一〇%への引上げ、これ、やることが前提のような議論がされていて大変憤慨しているんですけれども、医療に与える影響、国民への隠れ消費税負担を増やすということにもつながっていくわけで、この点でも増税はきっぱり中止すべきだということを言っておきたいというふうに思います。
 で、私、この問題を、じゃ、抜本的に、根本的に解消するためにはどうしたらいいのかというたら、やっぱりゼロ税率の導入、これが最も合理的な対応になると、明らかだと思います。その場合、現在の免税対象となるような小規模な医療機関に対して、消費税の記帳など、記帳ですね、帳面を付けるということなどは大変過重な負担になることも明らかだと思うんです。こうしたところへのきめ細かい対応も併せてやっていく必要があるということは当然だと思います。
 医療に係る消費税問題、これ抜本的に解決するためにゼロ税率も選択肢に含めて私は検討していくべきだと思います。大臣、いかがでしょうか。いやいや、大臣に聞きました。

○国務大臣(根本匠君) 公的保険の適用となる医療サービス、これは社会政策的な配慮に基づいて非課税となっております。また、今回の消費税率引上げに当たっては、医療界が一致して、現状の非課税制度を前提に、診療報酬への補填を維持した上での対応を要望しております。
 このようなことから、今回の対応においてゼロ税率などの課税化は考えておらず、まずは診療報酬による補填を適切に行った上での対応を検討したいと考えております。

○倉林明子君 いや、今の話はよう分かっております。今後の抜本的な解決に向けて選択肢としての検討を求めておりますので、その点では重ねて求めておきたい。
 抜本的な税制改正ということを本当に進めていく、試されているということを強く申し上げまして、今日は終わります。