国会レポート

介護利用制限に根拠なし 参院厚労委 倉林氏「撤回を」(厚生労働委員会)

2017年12月7日

(資料があります)


 日本共産党の倉林明子議員は7日、参院厚生労働委員会で、介護報酬改定の訪問介護の生活援助サービスで利用回数が多いケアプラン(介護計画)は届け出を義務化する仕組みが盛り込まれることについて、「利用を妨げるような上限設定はやめるべきだ」と撤回を求めました。

 倉林氏は、生活援助サービスの利用回数が90回を超えるケアプランについて、厚労省の実態調査では48件中2件が「不適切」とされたものの、「利用回数の多さだけで不適切と言える事案はみあたらない」と指摘。利用が多いとする基準(おおむね1日1回程度)を設定した根拠をただしました。

 厚労省の濱谷浩樹老健局長は、「(基準は)統計学上の例外値に相当するもの」と回答。倉林氏は「介護の必要性が検討された結果の基準ではない」と批判しました。

 加藤勝信厚労相は「利用回数が多いというケアプランがすぐに不適切であるとは考えられない」と上限設定に根拠がないことを認めながら、「より良いケアプランにつなげていく」としか答えられませんでした。

 さらに倉林氏は、生活援助のヘルパー資格の基準緩和と報酬引き下げもセットで検討されていることを批判し、「介護人材のすそ野を広げるというが、こういうところで働こうという意欲にもつながらない。こんな報酬引き下げはやるべきではない」と迫りました。


生活援助中心型サービスの訪問回数の多い利用者への対応 自治体調査結果で「不適切」とされた事例


要介護度別生活援助利用回数比較


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 まず、肝炎対策について伺いたいと思います。
 来年度の概算要求で、初めて肝がんに対する医療費助成制度ということで提案されております。対象や助成の範囲ということでいうと決して十分ではないということなんだけれども、初めてB型、C型、これ特措法の対象者に限らず対象としているというものでもあって、患者、肝炎患者団体から要望も出されていたものだというふうに承知しています。こうした医療費助成制度の創設を願っていた肝がん、肝硬変に対するこの医療費助成制度つくってほしいという願いに応えるという点では一歩進むということになると思うんですね。
 来年度の制度実現へということで、大臣の決意を伺っておきたいと思います。

○国務大臣(加藤勝信君) 肝炎対策については、平成二十一年に制定された肝炎対策基本法、また肝炎対策基本方針に基づいて、肝炎ウイルス検査、肝炎医療費助成、肝炎研究の推進など、総合的な施策を推進をしているわけでありますけれども、今回、今お話がありましたように、長年にわたって患者団体からも御要望をいただいてきたところでございます。肝炎ウイルスによる肝がん患者の医療費負担の軽減、これを図りつつ、肝がんの治療研究も促進すると、言わばそういう形にさせていただく中で必要な予算を平成三十年度概算要求に盛り込んでおりますので、この予算の確保に全力で取り組みたいと思っております。
 なお、その概算要求の過程において、さらに重度の肝硬変も対象にしてほしいという御要望もございましたので、今現在それを踏まえて、その点も含めて政府内で検討させていただいているということでございます。

○倉林明子君 額は二桁億と、それも低いラインということで、本当に対象拡充に向けて今肝硬変検討しているということでした。是非、初期段階での治療の負担、働きながら助成を受けたいというところを救済するという方向で是非拡充に努力を求めたいと思います。
 さらに、私、先ほども紹介あった基本合意、これから見ますと、薬害肝炎の全国原告団及び弁護団と厚生労働大臣との基本合意、これができましてから間もなく十年ということになるわけです。その基本合意の中で宿題として残っているということでいいますと、やっぱり第三者監視・評価組織の創設、二度と薬害肝炎を繰り返さないという点では強い希望、要望として確認できていたことだと思います。これについても創設、検討を早期に始めていただきたい、強く求めたいと思います。いかがでしょう。

○国務大臣(加藤勝信君) 今おっしゃるように、二度と薬害を繰り返さないということで、基本合意にありますように、第三者監視や評価組織の創設ということがこの基本合意の中にも打ち出されているわけでありまして、それを踏まえて、平成二十五年薬事法改正の際には、第三者組織設置を盛り込めるように、議員連盟等、与野党超えて幅広く、そして精力的に御検討いただいたんでありますけれども、組織の在り方、権限等の内容について原告、弁護団と折り合うことができずに第三者組織の設置というものは盛り込むには至らなかったという経緯はございます。
 また、厚生労働省としても、これまで第三者組織の実現に向けて関係議員に御相談、また関係機関等との調整も含めて真摯に対応してきたところでありますけれども、なかなか幾つか課題がございまして、残念ながらこうした政府内外の調整等に時間を要していると、こういう状況であります。
 今なかなか一致しない点に対しては引き続き一致点を見出して、そうした組織をつくっていけるように更に協議を重ね、努力をしていきたいと考えております。

○倉林明子君 検討を早く進めていただきたいと、これは要望しておきたいと思います。我々も頑張りたいと思います。
 次に、介護報酬改定に関わって質問したいと思います。
 訪問介護の生活援助サービス、この見直しに対して大きな不安が広がっております。財務省が求めていたこの生活援助サービスの上限規制についてなんですけれども、厚労省として調査をされております。利用回数が月九十回を超えるというケースについての調査であります。ここで調査した結果、不必要なサービスが実施されていた、そういう事案はあったんでしょうか、いかがですか。

○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
 訪問介護の生活援助中心型サービスにつきましては、必要以上のサービス提供を招きやすい構造的な問題があるという指摘がある一方で、本当に妥当性を欠くものかどうかの検証がなされておらず、回数だけで多い少ないと言うべきではないとの指摘もございます。
 このため、厚生労働省では、御指摘のとおり、平成二十八年九月の生活援助中心型サービスの利用回数が合計九十回以上の被保険者のいる保険者に対しまして、その具体的な利用状況とサービスの必要性の検証の有無について調査を実施いたしました。
 その結果でございますけれども、保険者の意見といたしましては、適切なサービス又はやむを得ない理由であると回答されたものが四十六件であります。このうち、適切なものと回答しているのが二十八件、やむを得ないと回答しているものが十八件でございました。また、適切ではないと回答されたものが二件ございました。

○倉林明子君 そこで、この資料に付けましたのが、今御紹介あった適切でないというふうに報告あった二件なんですね。
 この二件見ていただきますと、上の事案については、本人は在宅を希望している、それで立てられたプランだということは分かるんだけれども、適切なサービス利用と考えていないという結論があるだけで、ちょっと根拠が分からないという分析になっているんですね。
 じゃ、二例目はどうかといいますと、これは本人は危険認識が低いということで転倒の危険がある、透析は三回やっている、必要なサービス提供をやっているということだと思うんですね。じゃ、なぜ不適切と判断されたかといったら、もう在宅は無理だろうと、こういうことで不適切なサービスだという判断を保険者の方でしているということが読んで取れるんじゃないかというふうに思うわけです。
 利用回数の多さだけで不適切だと言えるような事案は、私、全部見ましたけど、見当たらないと思うんですよ。
 厚労省の調査、これ見れば見るほどはっきり見えてくると思うわけで、それなのになぜ利用回数の目安を示して、それを超えるプランについては届出を義務付けする、検証する、こういう方向で検討しているのか。大体、そのラインですね、標準とするラインがおおむね一日一回前後、こういうラインになった根拠が全く分からない。示していただきたい。

○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
 まず、今回の調査におきまして、保険者に聴取いたしましたところ、訪問回数の多いケースのほとんどは多職種による検討が行われていなかったとのことでございます。介護給付費分科会におきましては、利用者本人の自立支援に資するより良いサービスとするために、ケアマネジメント支援の観点から、地域ケア会議において検討を行うことを検討いたしているということでございます。
 また、ラインについての御質問がございました。
 一日に複数回、所定の報酬を算定可能な現行の報酬体系では必要以上のサービス提供を招きやすい構造的な課題があるという指摘がある一方で、訪問回数の多い利用者につきましては、様々な事情を抱えている場合もございまして、必ずしも不適切なケースであるとは限らないものと考えております。こうしたことを踏まえまして、介護給付費分科会では、訪問回数の多いケアプランへの対応につきまして、利用者の自立支援、重度化防止や、地域資源の有効活用等の観点から、市町村が確認し、必要に応じて是正を促していくことを検討しているということでございます。
 また、具体的に市町村が確認する基準でございますけれども、生活援助中心型サービスの利用回数が通常の利用状況と著しく異なるものとして、要介護度別に全国平均利用回数プラス二標準偏差を超えるものを検討しておりまして、この基準はいわゆる統計学上の例外値に相当するものでございます。

○倉林明子君 それは数字で統計上2SDラインだと言うでしょう。それは介護の必要性が検証された結果のラインじゃないでしょう。数値的に切っただけなんですよ。
 私、厚労省として検証すべきは、必要なサービスが必要な人に提供できているのかどうか、その適切性の根拠というのは今説明ないんじゃないですか。説明できますか。

○政府参考人(浜谷浩樹君) 今回のラインにつきましては、あくまでその地域ケア会議で検証する一定の基準ということでございます。
 先ほど申し上げましたけれども、介護給付費分科会では、こういった訪問回数の多いケアプランにつきまして、そこの回数で上限を切るということではございませんで、利用者の自立支援、重度化防止や、地域資源の有効活用等の観点から市町村が確認し、必要に応じて是正を促していくという方向で検討しているということでございます。

○倉林明子君 必要なサービスが提供できないということはあってはならないというのは、これ介護保険、保険料の徴収をもう全員に強制的にやっているわけですから、当然のことだと思うんですよ。じゃ、必要なサービスは何なのかと。回数ではないんですよ。上限規制しないからいいという問題じゃないんですよ。回数じゃなくて、中身の検証結果、本当に必要なサービスが提供できているのかどうか。大体見たら、認知症がある方、これ三度三度食事の支援に行っている、服薬指導に行っている、これだけでも在宅が送れる大事な支援ですよ。そうしたら、月、優に九十回いくんですね。そういう程度のサービスなんですよ。
 私、こういう必要なサービスなんだということを、在宅を支えるサービスなんだということを、財務省をこれ、調査結果も踏まえて説得すると、必要なサービスだと、それが私、厚労省の仕事じゃないかと思うんですよ。大臣、どうですか。

○国務大臣(加藤勝信君) 今お話ありましたように、一律の利用制限を掛ける、そういう議論からスタートしたところがあるわけでありますけれども、それはそういうわけにはいかないでしょうということで、我々、こういう調査をさせていただいたわけであります。
 実際調べてみると、認知症を有する方、退院直後である、様々な事情を抱えている、利用回数が多いというケアプランがすなわちすぐに不適切であるというふうには考えられないわけでありまして、ただ他方で、先ほど調査結果ありましたけれども、この中でやむを得ないというのが実は四十六件中十八件あります。その中には、ケアマネジャーの視点ではなくて多職種の協働による検証も必要じゃないかと、こういう議論もあります。
 そして今、実際においては、ケアプランの中から市町村においてケアプランを点検していく、あるいは多職種が参加する地域ケア会議においてケアプランの検証を行っていただき、そしていろんな目から見てより良いプランをつくっていくという、こういう仕組みになっているわけでありますから、今般の提案というのは、先ほど申し上げた一律に切るとかそういうんではなくて、やっぱりそこでしっかり検証していただいてより良いケアプランをつなげていく、こういう観点から行っていくと、こういうことでございます。

○倉林明子君 これ、ケアマネジャーにプランの報告の義務付けがされるようになるわけですよ。そういう意味でいうと、指定基準、運用基準のところに入ると、これ届出をしなかったということになると指定の取消しさえもおそれが出てくるんですね。つまり、この届けをしなければならないということでいうと、ここが目安になって抑制掛かるんじゃないかと、こういう懸念も出されているんです。確かに、今回、利用の上限回数だけで切るものではないというんだけれども、こういうところで目安を示したことによって、ここに焦点当てて、これより以下にしていこうということが起こるんじゃないか、実質的な利用抑制起こるんじゃないかという不安が届いております。
 そういうサービス抑制につながるようなこの2SDラインというのは、私、しっかり見直していくということを、検証掛けていくにしても余りにも低いラインだということは強く指摘をしておきたいと思います。
 生活援助のヘルパー資格の基準緩和と報酬引下げ、これもセットで検討されているんですね。生活援助だけを切り取って基準を緩和する、この根拠というのを説明できますか。

○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
 介護人材が不足する中で必要な訪問介護を確保していくためには、限られた人材を有効活用することに加えまして、人材の裾野を広げることも必要であると考えております。
 また、昨年十二月九日に提出されました介護保険部会の意見書におきましても、人材確保の観点から、体力的な都合等で身体介護は難しいが生活援助ならできるという介護人材も存在し、その人材の活用を図るべきとの意見、指摘もなされております。このため、介護給付費分科会におきましては、生活援助中心型サービスにつきまして、新たに生活援助中心型のサービスに従事する方に必要な知識等に対応した研修の創設によりまして人材の裾野を拡大することを検討しているということでございます。

○倉林明子君 報酬引き下げるんですよ。ヘルパーさん怒っていますよ。プロでやってきた、その仕事の尊厳も傷つけるものだといって怒っているんですよ。こんなことやったら、今のヘルパーも逃げるし、これから裾野広げようというけれども、こういうところで働こうという意欲につながっていかないと思いますよ。
 こんな報酬引下げやるべきじゃない、強く申し上げて、終わります。