倉林明子

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介護職への導入中止を 外国人技能実習制度(法務、厚労連合審査会)

(ページ下部に資料があります)

 日本共産党の倉林明子議員は10日、参院法務委員会・厚生労働委員会連合審査会の外国人技能実習生法案審議で、介護職への同実習生導入中止を求めました。

 倉林氏は、外国人技能実習生を管理する団体が、「人材不足でお困りの企業様、外国人技能実習生雇用で解決します」と呼び掛けている実態を指摘。「現場では人材不足への対応策として動きだしている。発展途上国への技能移転という制度趣旨に反するもので、やめさせるべきだ」とただしました。
 塩崎恭久厚生労働相は、「人材確保策だと宣伝する管理団体があるとすれば、制度趣旨に反する」と認め、「きちんと指導していく」と回答しました。
 さらに別の管理団体が「介護実習生は介護報酬点数に数えられる」「夜勤は2年目から許される」などと紹介していることを示し、実際に紹介通り行うのかと質問。藤原基道老健局長は「今後、関係者の意見等踏まえて検討していく」として否定しませんでした。

 倉林氏は「技能実習制度の目的は人材活用ではないと言っても、現場の実態を踏まえれば人材として活用するという結果になりかねない」と批判。「いまの介護現場に外国人技能実習生を拡大することはやめるべきだ。国内の人材確保を最優先に取り組むべきだ」と強調しました。


読売新聞記事(2016年10月22日付)日本経済新聞記事(2016年10月26日付)事例1事例2事例3


議事録を読む
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 外国人実習生の介護職の拡大に関わって質問をしたいと思います。
 衆議院での本法案の可決を受けまして、資料でもお配りをしております一枚目、これは読売新聞ですけれども、「少子高齢化が進み、介護施設の職員が不足する中、海外の人材を積極的に活用することが狙いだ。」と書いております。さらに、二枚目、日経新聞十月二十六日付けですが、「移民の解禁が難しい中、介護人材の長期的な就労を促し、深刻な人手不足に対応する。」と書いております。
 厚生労働大臣に聞きたいと思います。繰り返し技能実習については開発途上国への技能移転が目的だと答弁されてきたかと思うんですけれども、こうした報道を見ておりますと、今回の改正の狙いというのはやっぱり介護職、ここでの人材不足への対応、これが目的になっているんじゃないでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) これは、技能実習法案につきましては、技能実習の適正な実施と技能実習生の保護を図る、そして人材育成を通じた開発途上国等への技能等の移転による国際協力を推進すること、これが目的でございます。
 このことを明らかにし、技能実習制度が人手不足対策として利用されることのないようにするために、法案の中で、「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない。」、第三条の第二項ということで明記をさせていただいておりますので、今申し上げたことがこの法案の目的でございます。

○倉林明子君 報道はそういうふうに報道しているということもしっかり見ていただきたいなと思うんですね。
 さらに、実際に法改正を見据えた現場での動きというのが始まっております。そこで、資料三枚目を見ていただきたいと思うんですが、これはメディカルサポート協同組合というものが四国で介護事業を行っている法人に対して送っているはがきでございます。
 中身はよく見ていただけばそのとおりで、介護分野での実習生の活用、これを勧誘する中身となっております。介護職員の人材確保に苦慮されている法人様、人材不足を外国人で補いたいと考える法人は、まずホームページを御覧くださいという中身になっているんですね。技能実習は開発途上国に対する技能移転だ、この趣旨というのはどこにも書いていないんですね。明らかに制度趣旨に反する勧誘じゃないかと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) これ、個別の事案でございますのでお答えを差し控えさせていただきたいと思いますけれども、技能実習生の受入れにつきましては人材確保策であるという宣伝をする監理団体があるとすれば、それは制度趣旨に反するものというふうに思います。

○倉林明子君 この協同組合の香川事務局というところが、三枚目のはがきに所在地書いてありますが、四枚目、御覧いただきたいんですね。この四枚目のところにはどうも大臣が写っているように見えるんですが、この同じ住所の株式会社キュアというところがこれ送っているはがきなんです。これは、「人材不足でお困りの企業様 外国人技能実習生雇用で解決します!」とはっきり書いてあるんですね。
 これ、ほかにもあるんですね。次のをめくって見ていただきたいと思います。これ、大手の外国人技能実習生の監理団体でもあろうかと思います国際事業研究協同組合のホームページとなっております。ここで既に、「介護施設経営者・人事担当の皆様へ」ということでコーナーが開いてあるんですね。ここではどう書いてあるか。「介護業界では、少子高齢化によるニーズが高まっている一方、労働力不足が深刻化しています。」と、「当組合は外国人技能実習制度の導入を通して、近い将来介護業界の皆様に貢献できるものと確信しております。」、こう書いてあるんですね。
 技能実習の介護人材への拡大、これ、現場では既に人材不足への対応策と、こういう動きが見て取れるんじゃないでしょうか、いかがですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 繰り返し申し上げますけれども、介護実習制度への介護職種の追加というのは、日本から相手国への技能移転、特に介護の手法というかそういうことを行うのが制度の趣旨でございます。介護人材不足への対応を目的として行うものだという誤解は、これはあってはならないわけでございまして、そうした誤解が生じないように引き続き介護の業界団体を始め関係者に周知徹底を図ってまいりたいと思いますし、そもそもこの介護人材の確保については、もう一億総活躍社会づくりのプランの中でも申し上げているとおり、国内の人材確保対策を充実強化していくということが基本であります。介護人材の処遇改善あるいは多様な人材の確保、育成等を柱としてあらゆる政策を動員して取り組むということは繰り返し一億総活躍プランの中を含めて申し上げてきているところでございますので、そこは私どもが今繰り返し申し上げているとおりでございます。

○倉林明子君 いや、これ明確に趣旨に反することだとおっしゃるのであれば、こんなことやっている監理団体についてきっちり指導する、これ、やるべきじゃないですか、どうですか、大臣。

○国務大臣(塩崎恭久君) これは、所管をしております私ども法務省とそれから厚労省と、きちっとこういうことについてのメッセージを発していきたいというふうに思います。

○倉林明子君 きっちりやめさせるべきだと申し上げた。いかがですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げているとおり、この技能実習の目的は、国際協力を進めて、日本の技能を言ってみれば移転をしていくということでありますので、その趣旨を私どもの方からもはっきり申し上げていきたいというふうに思います。

○倉林明子君 今趣旨に反するような勧誘が実際に行われている。その確認をした上できちんと指導する、しつこいようですが、確認させてください。

○国務大臣(塩崎恭久君) これは、もう既にそういうことが行われているときには指導をしているわけでございますので、今お話しのように、そういうようなことがあればきちっと指導をしてまいります。

○倉林明子君 あしたからホームページを確認していきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 さらに、私、問題だと思いますのは、この協同組合が、この国際事業研究協同組合のホームページですが、詳細を紹介しているんですね。この介護技能実習制度の内容なんです。これ、QアンドA方式でかなり踏み込んだ中身となっております。ところが、そのQアンドAのところには、小さく当組合の予想が含まれておりますと書いてあるんですね。そこで、どんな中身になっているかといいますと、介護技能実習生は介護報酬の点数に数えられますと書いてあります。さらに、夜勤は二年目から許されると思われますとも回答しております。
 そこで、無資格の外国人実習生、これを介護報酬上カウントするのか、評価するのか、夜勤もこれカウントすることになるのか。これは、国際事業研究協同組合の勝手な予想なのか、それとも一定条件出しているのか、重要なところだと思います。明確に答弁をお願いします。

○政府参考人(蒲原基道君) お答え申し上げます。
 ただいまお話がありました介護サービスというのは対人サービスでございます。したがいまして、サービス提供に当たりまして、利用者の皆さん方の不安を招かないようにするということは極めて重要であるというふうに考えてございます。
 このため、この件について、技能実習制度における介護職種の追加に関しましては、二〇一五年版の産業競争力の強化に関する実行計画というのがございまして、それに基づいて具体的な制度設計の検討を進めていくということとされております。
 まずは、技能実習制度の見直しの詳細、あるいは介護固有の要件についてどうなるかといったことをまず確認していくことが必要と考えております。その上で、私どもといたしましては、配置基準などの介護報酬上の取扱いにつきまして、今後、関係者の方々の意見、あるいは既に実施されておりますほかの制度等をよく踏まえて検討してまいりたいと、こういうふうに考えております。

○倉林明子君 つまり、やるんですか、やらないんですか、どちらですか。

○政府参考人(蒲原基道君) この点につきましては、先ほど申しましたけれども、まずはこの件についての具体的な制度設計、これをやるということがまず第一でございますので、見直しの詳細をまず固めてもらう、あるいは介護固有の要件について確認していくということがまず大事で、それを踏まえてよく検討していきたいと、このように考えてございます。

○倉林明子君 結局どっちかよく分からないんですよね。今はやらない、しかし今後については可能性もあるという含んだ発言だったというふうに思うんですよ。
 ところが、既に勧誘を始めている監理団体のところでは、こういう要件、つまり介護報酬にカウントできるんだと、夜勤にも入れることできるんだということが推定込みでもう紹介しているんですよ。
 こういう情報が入ったらどうなるかと。介護現場ではもう人手不足なわけですよ。報酬上評価があるということになれば人材として使おうということになるのは私は当然の流れだと思います。夜勤も可能と、こういうことになれば何とか確保したくなる、そういう需給バランスになっているわけですよ、今。そこに、結果として外国人技能実習生を人材として活用するということに、私は、目的は違うと何ぼ言うても結果はそうなると、そういうことだと思います。
 そこで、そもそもEPAに基づき受け入れている三か国、ここには介護保険ないんですね、母国には。さらに、家族介護がここでは一般的となっております。日本で資格取得をしても母国ではその技術、その知識、生かせないという実態があります。だからこそ、日本での資格取得そして就労を目指して優秀な人材がEPAでは来られております。
 技能実習を拡大しようとしている相手国、つまり発展途上国、ここではどうかといいますと、やっぱりここでも介護職がもう専門職としても確立していないわけです。そこで一体どうなるのかと。技能移転は目的だというものの、母国帰ってこれで職業として自立していけるというものではないんですね。結局、技能移転、介護職に拡大するという場合の制度趣旨、これ一体相手国でどう生かされるのか。さらに、介護分野の技能実習生、この技能実習生自身に一体どんなメリットがあるというのか、御説明を願いたい。

○政府参考人(定塚由美子君) お答え申し上げます。
 介護分野の技能実習につきましては、開発途上国、特にASEAN諸国において今後高齢化が我が国以上のペースで進展するということが予測されており、これまでに日本が蓄積してきた認知症ケアであるとか自立支援などの介護の知識、技術の修得や人材の育成に対するニーズが増大するものと考えております。実際に、ベトナム及びモンゴルから技能実習生を受け入れたいということで、例えばベトナムからは認知症ケアや自立支援技術について学びたいということが具体的に要望もされているところでございます。
 そうしたことを踏まえれば、日本の介護技術を他国に移転するということは技能実習制度の本来の目的でございまして、国際的にも意義があるものと考えておりますし、また、御本人におかれましても、帰国後に介護関係の業務において身に付けた技能を基に活躍して母国に貢献することができる、このように考えております。

○倉林明子君 今日、朝日新聞の報道でも、ベトナムからの実習生受入れ、事業者自身がやるというような動きも伝わってきています。つまり、ベトナムから何でたくさん来るようになっているかといったら、この日本での就労がやっぱり目的になっているんですよね。私、母国での、その経験を生かして生活していけるような水準の需要はないということはしっかり見るべきだというふうに思います。
 看護と介護、ここで重大な問題として論点にもなってきました日本語教育の問題なんですが、これについては専門家からも意見書が我々にも届いております。外国人技能実習生に求めるとしております日本語能力の基準、これは入国時のN4程度ということになっているわけですが、これ、介護現場では通用しないというふうに専門家からの指摘があります。さらに、二年目の求められているN3程度、これも介護の現場で必要なコミュニケーション能力、これは担保されていないという指摘なんですね。
 私、こういう不十分なコミュニケーション能力しか担保されない場合、介護施設で働く実習生、この方々が一体どうなるんだろうかと。就労場面でのコミュニケーションが困難だというこの指摘を踏まえた上で、技能実習生の就労実態についてどうなっていくというふうに考えているんでしょうか、御説明ください。

○政府参考人(定塚由美子君) 技能実習生の日本語能力についてということでございますけれども、技能実習につきましては、その制度における業務内容あるいは移転する技能の到達水準を決めることとしております。
 この業務内容や到達水準との関係を踏まえて日本語能力を考えていくということを考えておりまして、具体的には、実習の一年目は、業務到達水準として、実習実施指導者等の指示の下であれば決められた手順等に従って基本的な介護を実践できるレベル、これを業務として想定をしていることからN4程度。実習二年目については、実習実施指導者等の指示の下であれば利用者の心身の状況に応じた介護を一定程度実践できるレベルを想定して業務を行うこととしておりますので、N3程度を要件とする、このように考えているところでございます。
 いずれにしましても、日本語のコミュニケーションをしっかりと確保できるように支援も行っていきたいと思っております。

○倉林明子君 支援するのはいいんですけど、実際どうなるかということなんです。不十分なコミュニケーション能力しかない、そこが人手不足のところに放り込まれたらどうなるかということですよ。コミュニケーションが不要な単純労働、コミュニケーションが必要ないところの仕事に回されるようになるんじゃないだろうか。さらに、対人サービスでもコミュニケーションが問われない、能力が、そういう仕事への配置ということに、私、現場の実態踏まえればなりかねないというふうに思うんですね。
 大臣は、二〇一四年十一月、厚生労働委員会で我が党の小池晃委員が、外国人技能実習生を流入させて介護の質が担保できるのかという問いに対しまして、介護は公的な財源で対人サービスを行う大事な制度で、利用者が安心できる制度にしていかなければならないと答えていらっしゃいます。私、こういう観点からすれば、今の介護職に外国人の技能実習生というのを拡大していくということはやっぱりやめるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたとおり、国際協力の観点から、我が国で、この高齢化先進国で介護の手法というのはかなりソフィスティケートされたものとして確立をしております。
 中国に私、七月に参ったときに、日本の会社の人材育成の実地にやっていらっしゃるのを中国で見ましたが、熱心に日本の手法というものを学んでいるのをつぶさに拝見をいたしました。ベトナムから、看護師の資格がありながら介護の日本のやり方というものを学びたいということを私は直接聞いたこともございまして、そういう意味でこの技能実習の適正な実施の中でそういうことを学んでいただけるということであれば、技能移転の観点からも有益ではないかというふうに考えているところでございます。

○倉林明子君 介護報酬にカウントするなんというやり方はやっぱりきっぱりやめるべきで、国内の人材確保が最優先の課題だと、この立場で取り組むべきだ。以上、指摘して、終わります。