倉林明子

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化学物質過敏症対策を 学びの機会保障せよ(2024/5/13 行政監視委員会)

(資料があります)

 日本共産党の倉林明子参院議員は13日の参院行政監視委員会で、学校での化学物質過敏症対策の徹底を求めました。

 化学物質過敏症の多くの子どもたちが、柔軟剤、洗剤などの香りを伴う製品、抗菌・消臭成分などで健康被害にみまわれ、学びの機会が保障されずにいます。

 倉林氏は、文科省がオンデマンド型の授業を出席扱いにできるとする通知を出したものの、現場で実施されず、単位も取れない状況になっているとの子どもたちの声を紹介。リモート学習が困難な子どもへの訪問教育も含め、一人ひとりに届けてこそ学びの保障となるとして、教育現場への徹底を求めました。

 倉林氏は、子どもたちと保護者が症状に苦しむだけでなく、学校や教育委員会に言っても、文科省に要請しても変わらず、結局現場が変わらない状況に打ちのめされていると指摘。「化学物質過敏症への対応を『参考資料』にとどめていては、学びの保障につながらない」として、順守すべきガイドラインとして学校、教育委員会に徹底するよう強く求めました。

 本田顕子文部科学大臣政務官は「症状を定義することは現状では困難であり、全国一律の順守すべきガイドライン等として定めることは困難だ」と拒否しました。


糖尿病患児の治療・緊急連絡法等の連絡表


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 子供たちに深刻な被害をもたらしております柔軟剤などによる香害、いわゆる化学物質過敏症について今日は質問したいと思います。
 当事者である子供たち、そして保護者の皆さんの訴えを直接文科省の皆さんに、オンラインですけれども、昨年、今年と届けさせていただいております。直接訴えた中学生のAさんですけれども、学校では、柔軟剤、制汗剤の香りによって、かゆみ、喉の痛み、喉の締め付けなどで教室に入れないということで、テストも運動場で受けるという状態にあります。さらに、除草剤、柔軟剤で呼吸困難になるB君は、防毒マスクをしても症状が収まらないということで、高台に避難するというようなことを繰り返しております。
 子供たちにとって一番つらいのは何かというと、友達と一緒に勉強したり遊んだりできないことだとおっしゃるんですよ。一番の願いは、みんなと一緒に過ごしたいというものなんですね。
 化学物質過敏症の子供たちに対し、学び、成長の機会が保障されていない現状について、文科省の認識を伺っておきたい。政務官。

○大臣政務官(本田顕子君) 倉林委員にお答え申し上げます。
 いわゆる化学物質過敏症は、症状が多様で、訴え方にも個人差があることから、周囲の理解や協力が得られず、学習に困難を来すケースがあることは認識をしております。
 文部科学省としては、学校、教育委員会、保護者等が連携を図り、各学校において個々の児童生徒の実情に応じた個別の配慮を行い、学習機会を確保することが重要であると考えております。

○倉林明子君 そうなんですよね、そうおっしゃるんですよ。誰一人取り残さない学びの保障に向けた取組進めるんだと回答もされるんだけれども、化学物質過敏症の子供たちというのは、最初に紹介したように、完全に取り残されているという実態変わっていないんですね。
 二〇二一年に当時の萩生田文科大臣が、香害で学校に行けない子供がいるとしたら、それは重大な問題であるという答弁を初めてされているんです。
 あれから三年、文科省は化学物質過敏症で学校に行けない子供たちの実態、どう把握してきたのか、そして、改めて現在の文科省政務官としての認識はいかがか。

○大臣政務官(本田顕子君) 令和三年から年に一回、御要望等、御意見を伺ってまいってきておりまして、文科省におきましては、いわゆる化学物質過敏症に困っている方からの声を聞くとともに、幾つかの教育委員会にヒアリングを行い、化学物質過敏症に困っている児童生徒の症状や学校が求められている対応等について把握を行ってきたところです。
 具体的には、ヒアリング等、昨年、令和五年から行いまして、九府県の市からヒアリングなどを行っているところでございます。

○倉林明子君 大事な認識の変化があったと思ったのが二〇二一年の当時の萩生田文科大臣で、香害で学校に行けない子供がいるとしたら、それは重大な問題だと、この認識は変わりはないということでよろしいですか。

○大臣政務官(本田顕子君) はい、おっしゃるとおりです。

○倉林明子君 そこで、今年一月に参考資料の改定もされたということは承知しております。
 学校における化学物質による健康障害に関する参考資料では、化学物質過敏症の生徒、児童生徒等の個別対応については、専門医の診断や意見等を参考に学校及び教育委員会等と保護者がよく協議し、配慮すべき事項を明確にすることが大切ですと記載しているんですね。その上で、重症度によっては児童生徒及び保護者や担任教員等の個人レベルでは対応が困難な場合があるため、組織立った連携の必要があると、ここまで明記しているんですよ。私、それだったら、そのために必要な情報共有をしっかりする必要があると。
 そこで、参考にすべきだと思って、今日、資料として配付させていただいたのが、これ糖尿病患児の治療・緊急連絡方法等の連絡表ということになっております。これ、詳細に一ページにわたって記載できる項目あるんですけれども、現状では、この情報共有の仕組みが教育委員会や学校任せということで、ばらばらになっているんですね。
 是非、こういう形で、主治医から化学物質過敏症の児童生徒に対するこうした情報提供を入学前からこういう連絡表として、情報共有の土台としての整備を進めること必要じゃないかと思うんですけれども、いかがですか。

○大臣政務官(本田顕子君) 先に、先ほどの問いでお伝えをさせていただきましたけれども、いわゆる化学物質過敏症はその原因となる物質や量、症状等が多種多様であることから、各学校において個々の当該児童生徒等の実情に応じた個別の配慮を行うことが大切だと考えております。
 その上で、化学物質過敏症は重篤な症状を呈する場合もあることから、児童生徒等の主治医やまた学校医の先生方の御指導の下に、危機管理も含めた個別の健康管理計画を作成することも有効であると考えております。
 このため、そのような取組の重要性についても、教育委員会等の担当者が集まる場において周知に努めてまいります。

○倉林明子君 今おっしゃったとおり、その参考資料の中には、当該児童生徒の主治医及び学校医の指導の下に個別の健康管理計画の作成も有効だというふうには書いてあるんですよ。書いてあるんだけど、情報共有の仕組みが学校、児童のところまで行き届いていないので、個別の管理計画なんていうことは現場実態としては作られていないと。作られている実態があるんやったら教えてほしいと思うぐらいですけれども。記載はあるんだけれども、実態として実現していないですよ。多種多様だからこそ、一人一人の情報を連絡表という形で提供してもらうことからしか対策始まらないということを強調したいと思うんですね。
 紹介した中学生のAさん、運動場でテストを受けているという方ですけれども、この暴露による症状が本当にひどいので、高校の入試会場に入れないということが想定されているんですね。入試のこれ別室や別の場所での実施、時間ずらすとか、私、個別の対応が取れるような徹底、必要だと思うんですけれども、どうでしょうか。

○大臣政務官(本田顕子君) 高等学校入学者選抜の方法等につきましては、都道府県教育委員会等の実施者の判断で決定するものであり、別室受験の実施や個別の対応については各実施者において適切に御判断いただくものとなります。
 その上で、文部科学省といたしましては、都道府県教育委員会等に対して疾病等に対する受験上の配慮に関する事前相談等の対応について配慮いただくよう依頼しているところであり、御指摘のいわゆる化学物質過敏症による健康影響に対する受験上の配慮も含まれているものと考えております。

○倉林明子君 それが、配慮が、しますということでの明確な回答が得られていなくて、何度も教委にも個別に要請もしているんですよ。で、文科省はそう言わはるんやけども、教委も学校も個別の対応につながっていない、そこがちょっと深刻なんですよね。
 昨年三月三十日の通知、これもう一つ、現場との対応が、文科省のおっしゃっていることが現場に浸透していないし、広がっていないということのもう一つの例がオンデマンド授業なんです。これ、高等学校等の生徒に対してオンデマンド型の授業ができるよと、出席扱いも可能ですよという通知なんです。ところが、これも現場でやってもらえていないものの一つなんですね。
 オンデマンド授業の実施、実施、本当に実施されないと単位も何も取れないという状況になっていますので、オンデマンドをまず授業を実施するということの徹底を、オンデマンド授業を保障するということを徹底していただきたいと思うのと、さらに、このオンデマンドの場合、電磁波の影響を受けるということも併せて出てくる児童が、児童生徒がいるということなんです。リモート学習が困難なケースも少なくないというふうに聞いております。そういう場合は、訪問教育による学習機会も含めて、学びをどうやって保障するのかと、一人一人の子供にどうやって届けていくのかと、そこまで届いて初めて学びの保障ということになると思うんですけれども、いかがですか。

○大臣政務官(本田顕子君) 今御指摘いただきましたオンデマンド授業についてでございますけれども、文部科学省におきましては、病気療養児に対してICTを活用した同時双方型の授業配信に加え、オンデマンド型の授業配信及び教育の、教員の訪問による指導などの学習活動を通じて、教育の機会が確保されるように適切に対応しているところでございます。
 それで、いわゆる化学物質過敏症のこの症状の方に関してですが、個人差があり、その程度の差も大きいことから、学校には重症度に応じた対応が求められ、個々の児童生徒等の実情に応じて個別の配慮を行うことが必要と考えており、文部科学省としては、このような配慮の必要性について引き続き教育担当の、教育委員会の担当者等が集まる場において周知をしてまいります。

○倉林明子君 あのね、症状で苦しむだけじゃなくて、子供や保護者を苦しめているのが、たらい回しにされているという現状なんですよ。学校で言うても駄目、教育委員会に言うても駄目、さらには、文科省にも二度にわたって要請しているけれども、現場が変わらないんですよ。つまり、結局は学びが保障されないという状況に、絶望感に打ちのめされているんですね。貴重な教育を受ける期間というのは、本当にそのタイミングで教育を保障するということが最も大事だと思うんですね。
 化学物質過敏症への対応については、私は、参考資料にとどめて、多種多様だからといって一人一人の情報を正確に学校でつかむ仕組みも担保しないで、参考資料にとどめているということが、現場での学びの保障につながっていないと。もちろん文科省は言うんですよ、そういうふうに適切に対応してくれと。ところが、現場がそうならないという実態を動かすためには、やっぱり参考資料にとどめていたら駄目だと、遵守すべきガイドラインと、命と学びの保障に関わる問題だからですよ。そういうガイドラインとして、学校教育委員会への徹底、行うことを強く求めたい。対策に必要な予算措置についてもしっかり確保していただきたい。いかがでしょう。

○大臣政務官(本田顕子君) 先ほどのちょっと学びの部分でございますけれども、例えば、病気、疾病による治療のため、障害、又は相当の期間、これは三十日以上ですけれども、学校に欠席するという、そうしたときは病気療養児となるわけですね。そうしたところに、その生徒さんが、化学物質過敏症の児童生徒さんが病気療養児に該当する場合には、先ほどお伝えした教育の学びは確保されるというところでございます。
 今、そして倉林先生から御質問がありましたガイドラインについてでございますけれども、病態発生機序が明確になっていないことが多く、その症状を定義することは現状では困難であり、具体的な対応については個々の児童生徒の症状や学校の施設、設備、体制等に応じて検討されるものであるため、全国一律に遵守すべき事項をガイドライン等として定めることは困難であると考えております。
 他方で、化学物質過敏症の児童生徒の学ぶ機会の確保は重要であることから、症状及び原因関連の、関連分子の把握、重症度等に応じた対応、保護者との協力体制の構築など、個別の配慮を実施するに当たって必要となる事項について、引き続き教育委員会等の担当者が集まる場において周知を図ってまいりたいと考えております。
 そして、教育委員会等が実施する対策……

○委員長(川田龍平君) 時間ですので、お答えは簡潔に願います。

○大臣政務官(本田顕子君) はい。
 ニーズや実態を踏まえ、必要に応じて対応を検討してまいります。

○倉林明子君 とにかく現場で学びが保障されていないという実態をしっかりつかむべきだと思います。
 原因究明は厚生労働省が研究も続けているということだけども、学びをそういう子供たちに保障するという立場で踏み込んでいただきたい。
 終わります。