別人と連結 前提崩壊 マイナ保険証 運用中止要求(2023/5/31 地方創生及びデジタル社会の形成等に関する特別委員会、厚生労働委員会連合審査))
(資料があります)
日本共産党の倉林明子議員は31日の地方創生デジタル特別委員会と厚生労働委員会の連合審査で、マイナンバーカードと保険証を一体化させる「マイナ保険証」に別人の医療情報がひも付けされる問題を追及しました。マイナンバーと本人が一致して初めて機能するのがマイナ保険証であり、「制度の前提が崩れている」と迫りました。
倉林氏は、健康保険証廃止の発表は「マイナンバーカードの普及・利用の推進に関する関係省庁連絡会議」が行われた2022年10月12日の翌日だと指摘し、「どんな議論を踏まえてこの決定に至ったのか明らかにすべきだ」と強調。会議の議事録を委員会に提出するよう求め、保険証を24年秋までに廃止できるとした根拠をただしましたが、加藤勝信厚労相はまともに答えられませんでした。
倉林氏は、オンライン資格確認の本格運用が始まった21年当時から医療現場ではトラブルが多発し「保険証を廃止できる条件はなかった」と指摘。マイナンバーと保険証のひも付け作業における誤入力チェックを強化した後も誤入力が続くなど「やり方に穴があったとはっきり認めるべきだ」と批判しました。
加藤厚労相はひも付け作業に「さまざまな課題があった」と認める一方で、「間違いのない登録が行えるようにしていきたい」と答弁。倉林氏は「このまま運用すれば、失うのは国民の信頼だ」と訴え、システムの運用中止と保険証廃止の撤回を強く求めました。
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
マイナンバーカードをめぐるトラブルの続発を受けて、所管する三大臣が謝罪と、総理が再発防止に向けて対策を講じるよう指示するという事態になっているわけですね。
改めて確認したいと思います。
あくまでもマイナンバーカードの取得は任意とされているにもかかわらず、昨年十月、河野大臣は、健康保険証を期限を切って廃止すると表明されました。健康保険証の廃止というのは、事実上のマイナンバーカードの強制にほかならないわけです。
令和六年秋という健康保険証廃止の期限を決めたのは一体誰なのか、お答えください。
○国務大臣(河野太郎君) 政府を挙げてカードの普及や利便性向上に取り組む中、カードと保険証の一体化のメリットを早期に最大限発現するため、厚生労働省との協議を経て、二〇二四年秋に健康保険証の廃止を目指すこととし、昨年十月十三日に、この方針を関係閣僚と確認をし、発表したものでございます。
○倉林明子君 マイナンバーカードの普及を強力に推し進めるように指示したのは、間違いない、総理。そして、その具体化のために、今御紹介もありましたけれども、開催されたマイナンバーの普及・利用の推進に関する関係省庁連絡会議、これ河野大臣が招集して開催されております。先ほどのその協議をして決めたというところの会議に当たるかと思うんですね。これ、二回目の会議は十月十二日、翌日、保険証廃止という発表に至っているんですよ。
これ、一体どんな議論を踏まえてこの決定に至ったのか、私は明らかにすべきだというふうに思います。非公開となっております。立法事実にも、この存否にも関わる問題だと私思っておりまして、改めて、この会議の議事録については委員会に二回分提出をいただきたい。御協議お願いします。
○委員長(鶴保庸介君) 後刻理事会にて協議をいたします。
○倉林明子君 そこで、厚労大臣に確認したいと思います。
昨年十月の段階で健康保険証を令和六年秋までに廃止できると判断した根拠は一体何でしょうか。
○国務大臣(加藤勝信君) マイナンバーと健康保険証一体化については、これまでも申し上げてきたように、健康、医療に関する多くのデータに基づいたより良い医療を受けることができる、あるいは医療機関において事務負担の軽減が図られる、また、保険者における資格喪失後の健康保険証の使用や、被保険者番号の誤記による過誤請求による事務処理負担が減少するなど、様々なメリットがあるわけでありますから、そうしたメリットをしっかりと受けていただく。
他方で……(発言する者あり)いやいや、ですから、そういうメリットがある、そのことを国民にしっかりと早くに受け止めていただく必要がある。
一方で、一体化の具体的なスケジュールにおいては、本年四月から保険医療機関、薬局に対して原則としてオンライン資格確認の導入が義務付けられたこと、また、来年春頃から訪問看護等の居宅や柔道整復師等の施術所等においてもオンライン資格確認を導入する予定であることなどを踏まえて、来年秋に全ての被保険者を対象に発行してきた健康保険証を廃止することにしたところでございます。
○倉林明子君 全く根拠の説明になっていませんよ。期限を切ってできるということに踏み出した根拠ということを聞いたんですよ。
なぜ聞いているかというと、その前からオンライン資格確認トラブルというのはもう続発していたんですよ。本格運用に踏み出せなかったんですよ。本格運用にようやく踏み出したのは令和三年十月なんですよ。健康保険証の廃止が打ち出された当時、現場からは、既にオンラインでの資格確認トラブルが、医療機関のうち、導入した医療機関のうち四割でトラブル起こっているという事態を私、委員会でも取り上げましたよ、たくさん寄せられていたわけです。
オンライン資格確認で何が一番大事かといったら、資格が確認できることなんですよ。資格が確認できないシステムになっていたんですよ、その当時から。厚労省は、オンライン資格確認を義務付けると、これを、指定医を取り消すぞと療担規則の改正までやって強引な普及を進めてきたわけです。健康保険証を廃止できるような条件はその当時なかったと私は申し上げたい。
なぜこんなに誤ったひも付けがされたのかということです。これ、保険者がマニュアルどおりにやらなかったからと発生した問題じゃないんですよ。
そこで、確認したい。オンライン資格確認におけるマイナンバーの取得の際に本人確認はどのように具体的に行ったのか。
○政府参考人(伊原和人君) お答えいたします。
多分、御質問の趣旨は、本人の同意を得たかという御質問だというふうに……(発言する者あり)ええ。そういう意味でいいますと、まず、このオンライン資格確認については、健康保険法で、法律でしっかりとその資格確認の方法として定められておりまして、その作業をするためにはマイナンバーが必要であるということで位置付けられております。そして、現在の医療保険各法に基づいて被保険者はその被扶養者のマイナンバーをしっかり出していただくことが義務になっておりますし、それから事業主はそのマイナンバーを提出していただくこととなってございます。さらに、事業主からいただいた資格届にマイナンバーがない場合はJ―LISに当てまして個人番号を取得すると、それが法律上認められているところでございます。
○倉林明子君 そうなんですよね、J―LISで照会掛けるというやり方をして本人確認を取ってきたわけです。それが、そもそもJ―LIS掛けたら番号の記載が間違っていたとか、先ほど来紹介があったとおりで、要は、確実な本人確認がJ―LISだけでは難しいということが露呈したというのがこの間の経過じゃないかと思うんです。
これ、先ほども紹介あったけれども、資料で入れているのは、令和三年六月二十五日、百四十二回の社会保障審議会医療保険部会に示された資料です。つまり、そういうこと起こるので、個人番号の誤入力のチェックを中間サーバーが掛けられるようにしている、してきたんですよね。ところが、これやった後から、ぞろぞろぞろぞろ誤入力ということが起こっていたということなんですよ、事の経過は。
J―LISの照会だけでこれ住基ネットの情報を確認してマイナンバーを取得すると、こういうやり方には穴があったんだと、間違いだったんだとはっきり認めた方がいい。どうでしょう。
○政府参考人(伊原和人君) あの……(発言する者あり)
○委員長(鶴保庸介君) 先にやりますか。じゃ、局長、代わります。加藤厚生労働大臣。
○国務大臣(加藤勝信君) 今局長から答弁したように、オンライン、健康保険法において、法律上の資格確認の方法として位置付けられ、オンライン資格確認を実施するためには保険者が加入者の資格情報を個人番号とひも付けて管理する必要があると。
今委員から御指摘があったオンライン資格確認、そのJ―LISとの当て方、そこに様々な課題があったということで、今回そこを徹底するということ。そして、その大前提として、まずは個人番号をまず御本人がきちんと出してください。で、例えば被扶養者のようになかなか遠隔地で出れない人、これについては、オンラインでしっかり確認するときに、これまで場合によっては三情報とかそういうことがあったので、五情報を含めてしっかり確認してください。これを徹底することによって、異なる情報の間違ったつながりがないようにしていく。しかし、それでも行うことがあるので、あともう一回、それをちゃんとそれがなされているか確認する。こういったシステムを今導入して、間違いのない登録が行われるようにしていきたいと考えているところでございます。
○倉林明子君 最初は、これ点検掛けるのは、条件付で点検掛けて、六月中に報告受けると。それじゃ、全部つかめませんよと、私、厚生労働委員会でも指摘をさせていただきました。今日、答弁聞いていますと、全件のJ―LISの照会した分については全件の点検を掛けていくと。求めていたことがこれやられるんだなと、当然のことだと思いますよ。そうしないと、間違いが発見、要は漏れが起こるんですよ。間違っている人、情報がひも付けられたりとか、誤入力の問題が発見し切れないからなんですよ。
つまり、私、個人とこれマイナンバーというのがちゃんとくっついて、本人だと確認できて初めて機能するというのがマイナンバーのカード、大前提なんですよ、一致しているというのは当たり前のことなんだけど。その当たり前のことが崩れて、こうした相次ぐトラブルが明らかにこれなってきているわけですよね。これ、徹底したやり直しをやらないと、この誤入力で誤った登録というと、本人が本人でない番号にひも付けられているということが次から次から出てくるということは、起こり得ることを前提にして今調査掛けているわけでしょう。
私、もう制度の前提が崩れているというのが今だという認識を持たないといけないと思います。こういうときに保険証を廃止するなんということはあり得ないと思うんですよ。国民に大迷惑掛けることになります。保険証廃止という方針はきっぱり撤回すべきだと、いかがですか。
○国務大臣(加藤勝信君) 現状でもこの資格確認を使っていただいて、例えば薬剤情報等、多くの方が利用いただいているわけであります。一方で、御指摘いただいたように、データの誤登録の問題が生じたわけで、それに対しては今るる対応をさせていただく。そして、委員からも、全登録すること、それに対して御評価もいただいたんだろうというふうに思っております。
そうしたことをしっかりと進めながら、それからまた、逐次、システム上で表示された情報に疑義がある等々の場合があれば、また問合せ窓口に御相談いただき、そして迅速に担当機関につなげ、具体的な対応を取る体制も整備をしていく。こうしたあくまでも誤りが生じることを前提として適切に確認が行われる仕組みを一方で入れることによって、来年の秋のカードと保険証の一体化に向けた準備、これを着実に進めていきたいと考えております。
○倉林明子君 八月から全件チェックやるんでしょう。六月の国会終わらぬと、大体どういう、最初に掛けたチェックも、報告出てこないというわけでしょう。これは極めて無責任だと思う。
大臣は、国民の財産権とか命にも影響を与える事態だということを、河野大臣は、認識、特別委員会で表明もされた。
私は、相次ぐトラブルが明らかになる中で、自身の個人情報は大丈夫なのかと、今、国民の不安、急速に拡大していますよ。世論調査でもですね、世論調査でも、メリットの評価よりも、活用拡大に対しては七割が不安だと、七割のところが不安があるという直近の調査も出ています。
本人も知らないままに別人にひも付けられるなど、あっちゃならぬのですよ。あっちゃならぬ。だから、本当に国民が求めているというのはトラブルの全容解明なんですよ。再発防止の確立なんですよ。
直ちにシステムの運用中止、そして、こんな法案は出し直すべきだと思います。いかがですか。
○国務大臣(河野太郎君) 四つの事案が起きて国民の皆様に不安を与えてしまったのは大変申し訳ないと思っております。原因はそれぞれでございますが、今それぞれの原因に対しまして再発防止のための施策を取っている、あるいは検討をしているところでございます。
また、今回の法案の中には、氏名の仮名を公証をする、そういうものを入れさせていただいております。これによって、今までは、戸籍、住民票の漢字表記と、例えば銀行の仮名口座名を照会することができませんでしたが、仮名の振り仮名を公証していただくことで、今度はこれシステムで当てることができるようになります。
また、年金口座を公金受取口座にさせていただくことで、これはシステムで登録をいたしますから、今までなかなかデジタルの操作が得意でなかった、そういう御高齢の方が支援窓口でログアウトを忘れて誤登録になってしまったというようなことが、今度は年金口座で一括して公金受取口座に登録をすることができますので、そのような登録の誤りというものをこれシステム的に排除することができるようになりますので、むしろこの法案で今後はしっかり対応できるようになるというふうに思っております。
○倉林明子君 今後の話じゃないんですよ。これまででいっぱいこういう誤入力があっているからこそ、運用中止求めているんですよ。
このまま運用継続したら何を失うか。国民の信頼を失うと強く申し上げて、終わります。