倉林明子

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メリット制 コロナの労災除外して 5類変更でも継続を(2023/6/1 厚生労働委員会)

 日本共産党の倉林明子議員は1日の参院厚生労働委員会で、労働災害発生の多寡に応じて事業主が支払う労災保険料を増減させる労災保険のメリット制の算定から、コロナ罹患(りかん)の労災は除外するよう求めました。

 コロナ禍で医療・介護従事者が新型コロナウイルスに感染した場合、業務外で感染したことが明らかな場合を除き原則労災保険給付の対象にしています。2022年度にはコロナ罹患の労災が約15万件発生し、うち医療業が56%を占めています。

 新型コロナが感染症法で2類感染症に位置付けられたことから、コロナ罹患の労災はメリット制の算定から除外し、保険料が上がらないよう特例措置を実施していました。しかし、5月8日に感染症法上の位置づけが5類へ変更されたことから特例措置も終了し、コロナ罹患の労災もメリット制で算定されます。保険料への影響が懸念されることから、労災申請の抑制につながる可能性もあります。

 倉林氏は「政府の要請でコロナ患者を受け入れ、結果としてクラスターが発生した医療機関や福祉施設にペナルティーを科すということか」と質問。加藤勝信厚労相は「制度の運用状況を注視していきたい」と答えました。

 倉林氏は、医療関係団体から特例の継続を求める声が上がっているとして、メリット制算定からの除外を求めました。


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 昨日、連合審査を実現していただきました。しかし、委員会では、野党の反対もありながら委員会採決がされたと。私は、昨日の委員会採決には抗議したい。
 大体ですよ、衆参で、衆参ともにこれ採決の後にですよ、集中審議を設定しているんですよね。審議不十分は明らかだと思うんです。そういう中で本会議での採決というのはあり得ないということを申し上げておきます。
 質問です。引き続き、マイナンバー法についての関連で質問したいと思います。
 大臣は、ひも付けの誤りが発覚すれば対応していくと記者会見で表明されたんですね。まあそうなんだけれども、この疾患や治療、こういう最もプライバシーに関わる個人情報で別人の診療情報に基づく投薬、治療というのは、間違ったらこれ命に関わる問題なんですよね。
 これが、実は昨日の時点で、保団連の調査によりますと四十九件発覚していると、これ医療事故に相当するものなんだという指摘ありましたけれども、そのとおりだと思うんですよ。改めて、別人のひも付けはあってはならないという立場で再発防止に当たるべきです。
 いかがでしょう。

○国務大臣(加藤勝信君) まず、今回の保険、医療保険のオンライン資格確認の中において、保険者が登録した加入者データに誤りがあり、別の方の資格情報がひも付き、そして薬剤情報等が閲覧される事案が生じたこと、このことは大変申し訳なく思っているところでございます。
 その上で、マイナンバーカード、しかし、他方で、マイナンバーカードによるオンライン資格確認で実際様々な利用が進んでいるわけでございます。そうしたしっかりメリットを享受していただくためにも、こうした誤登録がないように、まず人の作業が介在する中においては誤登録があるんだということを前提に、今回、まず本人、事業主、保険者それぞれの段階において登録データに誤りが生じる可能性を踏まえて、適切に確認が行われる仕組み等を構築させていただいたところでありますし、また、先ほど委員が御指摘、引用いただきましたけれども、仮にシステム上で表示された情報に疑義がある場合には、速やかに具体的な対応が行われる仕組みを確立していきたい。そうしたことを通じて、こうしたデータを活用してより良い医療が国民の皆さんにしっかりと提供される、その環境をつくっていきたいと考えております。

○倉林明子君 より良い医療に提供する大前提として、こういう別人のひも付けというようなことが残ったまんまで続けるということは私は大問題だと思っているんです。
 八月以降実施するとしているJ―LIS照会の全データの確認、これは本当に終了すること、確実な本人確認の完了なしにシステムを運用すべきではないと、重ねて申し上げたいと思います。
 その上で、マイナ保険証でオンライン資格確認の利用が進んでいるという紹介なんだけれども、オンライン確認で資格確認ができないという事案についても、保団連の直近の調査が出ておりまして、六割、オンライン資格確認を導入している医療機関のうちの六割でこの資格確認ができないということが起こっていると。
 マイナ保険証での資格確認ができない場合、どうやって確認しているかというと、健康保険証で資格確認していると、こういうケースが七五・二%になっているんですよ。資格確認ができなかった場合、一旦十割負担と、これも直近のところでいうと、三百九十三件あったということなんです。
 保険料を払い、資格はあると。それなのにシステムの不備で不利益を被るというようなことは断じてあったらあかんのですよ。皆保険制度の根幹部分が切り崩されるということに直結すると私は思うんですね。保険証の廃止というのは、現状でも、現状でも保険証での資格確認で何とか補っているというような状況のままなんですよ。私は、この保険証の廃止というのは改めて凍結すべきだと求めておきたい。いかがですか。

○国務大臣(加藤勝信君) 今御指摘のようなことがあるという指摘、あるいはそうした我々認識もさせていただいております。どうしても避けられないのは、特に新しく転職をされた、そうしたらその間にタイムラグどうしても出てきます。これは今の紙の保険証でも起こり得る……(発言する者あり)いやいや、ということでもあります。ですから、そういったことについてどう対応すべきか、そうした場合の対応の仕方については既に周知をさせていただいておりますけれども、そのタイムラグをいかに減らしていくのかと、こうしたことも、先般、十日以内ということでお願いをさせていただいた。
 それから、さらに今おっしゃるようなシステムの障害等によって、本来だったら保険に入っているにもかかわらず、それが確認できない、こういった場合について、今、医療関係者とも御相談をしながら、基本、当面、三割負担で、事後において調整するという弾力的な取扱い、これについても御相談をさせていただいているところでございますので、そうした対応を取りながら、大事なことは、その前の御質問であったことにつながるわけでありますけれども、的確なひも付けがしっかり行われ、そしてそれが、それにのっとってこのオンライン資格確認等システムが円滑に運用が図っていけるように更に努力を重ねさせていただきたいと考えています。

○倉林明子君 いや、今々大量に行われていない事案とトラブルが発生しているということ、だから止めろと言っているんですよ。今でも資格確認の、これ有効に機能しているというのは、健康保険証になって、紙の健康保険証になっているんです。二四年の秋廃止と、こういうことの期限切って突っ込むのはやめるべきだと重ねて申し上げたい。
 これ、結論としてどうするのか聞いていない問題、もう一つ懸念しているのが、保険料の滞納があっても受診することを可能としてきた短期証、後期高齢者医療保険では今二万人、二万人の方に、そして国民保険では四十七万七千世帯に短期証が発行されているというのが直近の数だと思うんです。これ、短期証は保険証廃止と同時に廃止になるんですよね。こういう、今、現行、短期証で受診できているという方たちの必要な受診というのはどうやって確保するのか、もう大分たっていますからね、最初質問してから。どういう結論になっていますか。

○政府参考人(伊原和人君) お答えいたします。
 現在、国民健康保険では、保険料滞納者との接触の機会を確保し、自治体の窓口で納付等を直接働きかけることを目的として、短期被保険者証を交付できることとしてございます。
 今般、この短期保険証につきましては、来年の秋に健康保険証を廃止することに伴い併せて廃止するということを考えてございます。短期被保険者証の廃止後も引き続き保険料滞納者との接触の機会を確保することの取組として、有効期間を記載した短期被保険者証の代わりに、日時を指定し、保険料の減免や分割納付の相談のために来庁を促す等を記載した納付勧奨通知を発行するような作業イメージを持ってございます。
 その上で、さらに、保険料納付が困難な特別な事情、こうしたことを丁寧に確認しながら運用していくということを現段階では想定してございます。

○倉林明子君 いや、その後の話ですよ。それに督促掛けると、払ってねというやり取りする、そこまでは一緒ですよ。その後、短期証がなくなって資格証になったら、窓口で支払の計画出しましたと、今やったらね、短期証もらって、窓口負担は三割ということでいけているわけですよ、全額払えてなくても。ところが、資格証になったら、一発十割なんですよ。ここをどうするんですかというのを何回も聞いてんねんけどね。

○政府参考人(伊原和人君) まず、資格証明書制度自体も今回廃止して、今回、特別療養費の通知という形の仕組みになりますが、今回可決させていただいた法案では、特別療養費の通知を発行する以前の問題として、しっかりと条件として特別な事情の確認をすることとなってございます。
 特別な事情の確認をするためには、やはり丁寧な手続が絶対必要でございまして、そのために、先ほど申し上げました納付勧奨通知というものをお出しして来庁の機会を設けたり、あるいは訪問したりしたりして、その方の事情、これを確認していくプロセスをしっかりと、現在短期保険証でやっているようなプロセスを、引き続き同様のことをやろうと、このように考えてございます。

○倉林明子君 つまり、短期証は出さぬということですか。短期証に代わるものは出さないということですか。そこの答えがないんですよ。
 もう大臣の方が分かってはるみたいだから、大臣どうですか。(発言する者あり)

○委員長(山田宏君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

○委員長(山田宏君) 速記を起こしてください。

○政府参考人(伊原和人君) 申し訳ございませんでした。
 御説明いたしますと、まず、来年の十月に、来年の十月に短期被保険者証が廃止された段階のことを申し上げますと、短期被保険者証の交付対象であった方についても、保険料滞納者であるものの、長期にわたり保険料滞納者でない方や保険料の納付が困難な特別な事情のある方につきましては、三割負担などで引き続き医療機関等は受診できるということにしてございますので、そういうことについてはしっかりと周知してまいりたいと考えてございます。

○倉林明子君 じゃ、短期証に代わるものは何か発行するという理解でよろしいか。

○政府参考人(伊原和人君) 短期保険証に代わるものというか、そういうものは今回制度として廃止してございますが、まさに短期保険証が果たしてきた役割である、保険料滞納者との接触の機会を確保し、それを働きかけることを目的としたものとして、納付勧奨通知といったものを発行するというか通知するということをイメージしてございます。

○倉林明子君 保険料取ることしか考えていないのかと、さっきからの答弁聞いていたら、本当にね。
 保険料払えなくても、生活困窮していたら、ちゃんと受診する権利を担保してきたのが短期証なんですよ。マイナカードしかなくなったら、資格がないということにしかならないから、そこを聞いているんです。
 あのね、もうちょっと時間がどんどんなくなるので、もうこれは二四年秋まで、二四年秋に廃止したらあかんと思っていることでもあるので、もうちょっと詰めて、詰めて、議論し直したいと思います。代わるものを出さない限り、短期証の機能というのは窓口で証明されないから言っているんですよ。
 次、質問します。
 新型コロナの労災問題について聞きます。
 コロナ禍の三年間で発生したコロナ罹患による労災の発生件数、そして、うち保健衛生業の占める割合はどうなっているか、年ごとで、数字でお願いします。

○政府参考人(鈴木英二郎君) 年度ごとということでございますので、まず、令和二年度におきましては、全業種の支給決定件数が四千五百五十六件、そして保健衛生業ということでございますが、これはそういうジャンルで取っておりませんで、医療業で申し上げますと、それに対応する給付が二千六百三十一件で、全体に占める割合が五八%でございます。
 令和三年度では、全業種の支給決定件数が一万九千六百八件、医療業は八千百九十件で、全体に占める割合は四二%。令和四年度では、全業種の支給決定件数が十四万九千四百八十一件、医療業は八万三千飛んで七十七件でございまして、割合は五六%となってございます。

○倉林明子君 非常に高い、当然のことだと思います。
 圧倒的に高いわけだけれども、医療・介護事業者、従事者については、業務外で感染したことが明らかな場合は、原則労災の対象と。労災多ければ保険料が上がるという仕組みであるメリット制というのがあるんだけれども、上がらないようにこの算定から除外するという特例をやってきた。ところが、ところがですね、この特例が有効に機能してきたからこそ取りやすくなって、実態反映したような、医療、福祉の分野での労務負担の実態というのが見えるようになったんですね。
 ところが、これ、五月八日以降、五類に移行したということで、メリット制の対象外とする特例措置は終了だということになったんですね。その理由は何なのか。また、四月十八日通知によりますと、五類感染症への変更に係る方針について内容の変更が生じた場合には改めて連絡するとあるわけですけども、状況に応じて柔軟に対応するということですか。

○政府参考人(鈴木英二郎君) 御指摘の特例につきましては、医療、介護の事業はもとより、幅広い業種につきまして政府が業務継続を要請しておりまして、事業主が十分に衛生環境の整備に努めましても新型コロナウイルス感染症の感染を防ぐことが難しいという中で特例を設けたというものでございますけれども、これにつきましては、御指摘のように五月八日に終了しておりますが、これ、新型コロナウイルス感染症に関するメリット制の適用の特例導入時に、労働政策審議会の議を得まして、感染症法上の新型インフルエンザ等感染症、いわゆる二類でございますが、に該当している期間においてのみ特例措置を講ずることを省令上定めておりまして、今回その取扱いを変更したというんじゃなくて、ございませんで、五類移行に伴いまして自動的に特例が終了したものでございます。
 また、実態としましても、本年五月の新型コロナの五類感染症への移行に伴いまして政府から幅広い業種への業務継続要請がなくなり、また、メリット特例導入時に比べましても新型コロナ関連の労災給付単価は大幅に減少しているという現状におきましては、他の疾病と区別する特段の事情にはないものと考えてございます。
 また、御指摘の事務連絡につきまして、これ四月十八日に発出したものでございますので、これは新型コロナウイルスの五類感染症の変更が確定している前でございましたので、こういう表現を使っているものでございます。

○倉林明子君 余りにも機械的な対応じゃないかと思うんですよ。要は、政府は、新型コロナの五類移行後もパンデミックが想定、起こり得るということで病床の確保求めているわけですよね。介護福祉施設に感染者を留め置くというようなことも、これ継続して想定しているわけですよ。政府の要請は、そっちは残っているんですね。コロナ患者を受け入れて、結果としてクラスター発生と、こうなった場合の医療機関や福祉施設に対してペナルティーを科すということになりませんか。

○国務大臣(加藤勝信君) いや、その前に、健康保険証の話がありました。これについては、もう保険料納付をしている方と一緒の扱いであります。したがって、マイナンバーカードを使う方はマイナンバーカード出してやっていただく、マイナンバーカードを持っていない方は資格確認書を申請をして、受けていただいてやっていただく。ただ、引き続き、まだいろいろ納付申請をしながら受け入れていただけない場合には、先ほど話があった特定療養費、まさに償還払いに対象になりますけれども、そこになる手前までは今申し上げたような対応ということになっております。
 その、それと今のお話ですけれども、るる局長が答弁させていただいた経緯の中で、しかもこれまでの第七波、第八波を見ながらの判断ということで、そうさせていただいたところでございます。
 ただ一方で、今委員御指摘のように、移行期にあることは事実でありますので、この対応はさせていただきながらも、常にそうした状況をしっかり見ながら対応していくのは当然のことと考えております。

○倉林明子君 当然のこととおっしゃるんだけれども、労災の申請は特例的に出してもらったらいいと言っているんだけれども、このメリット制の算定の対象にしちゃうということになると何が起こるかというと、使用者側はやっぱり労災申請に消極的にならざるを得ないと、そういう心配の声が出ているんですね。
 感染力が減ったわけじゃないんですよ。頑張って対策していてもクラスターは一定の割合で発生すると、それがペナルティーになるのかと。保険料について非常に危機感、上がるんじゃないかって危機感あるというわけですよ。コロナの受入れの抑制にもつながりかねないようなことは私はやるべきじゃないと、ペナルティーを掛ける時期じゃないと、コロナに備えて要請を掛けている以上。どうですか。

○国務大臣(加藤勝信君) 先ほど答弁させていただいたように、それぞれの事業所にも事業継続をお願いしてきた時期からフェーズも変わってきたわけであります。あるいは、特にコロナ、七期、八期におけるそうした労災の状況なども判断した上で、今回、従前のメリット制に、メリット制に戻すという判断をさせていただきました。
 ただ、今委員御指摘のように、まだ移行期であるということ、そのことは十分認識しながら、この制度の運用状況はしっかり注視はしていきたいと考えています。

○倉林明子君 運用状況注視って、対象から外した途端、やっぱりしにくくなるんですよ、労災申請が。それは当然なんですよ。だから、注視するような状況には今ないと。今は掛けておくべき。
 メリット制の対象、これまでとってきた特例措置を延長して、保険料に反映しないようにという措置を併せてとるべきだということを申し上げて、今日は終わります。