相談員の処遇改善を 定員削減撤回を主張(2022/11/16 消費者問題特別委員会)
(資料があります)
日本共産党の倉林明子議員は16日の参院消費者問題特別委員会で、消費生活相談員の処遇改善と公務員の定員削減撤回を求めました。
消費生活相談員は、地方公共団体の消費生活相談センターや消費生活相談窓口で相談やあっせんを行う国家資格の専門職。しかし、そのほとんどが会計年度任用職員です。相談員が知識や経験が必要な専門職であることから、消費者庁は任用回数に一律に制限を設けないよう各自治体に求めていますが、実際には多くの自治体が公募を行っています。倉林氏は「相談員の雇い止めになりうる」と指摘します。
倉林氏は「消費者基本法には、国は消費者政策を推進する責務を有するとある。消費生活相談員の雇用継続は国の責務だ」と指摘。欠員が生じない限り公募は行わないよう各自治体に要請することを求めました。
河野太郎消費者担当相は「相談員がしっかりとキャリアパスを描けるような採用や運用を常々、地方公共団体に求めている」と答えました。倉林氏は「国家資格にふさわしい賃上げこそ求められる」と述べ、相談員の処遇改善を求めました。
倉林氏は、国の定員合理化計画について「正規職員が担うべき恒常的な業務を非正規職員に切り替えざるを得ない状況に追い込んだ」と批判。「削減ありきの計画は抜本的に見直すべきだ」と主張しました。
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
まず、大臣に統一協会の問題でお尋ねしたいと思います。
この間、安倍派を中心に国会議員との関係強化を指示したという文鮮明創始者の発言録が明らかになったわけです。これは個々の議員の問題と次元が異なるという問題だと言わなければなりません。
これ、被害者救済にこれから向かっていくという上でも、これまでの自民党と統一協会の癒着の徹底解明、これ取り組む必要があると思うんですけれども、いかがでしょう。
○国務大臣(河野太郎君) 党の対応について、何か申し上げることはございません。
○倉林明子君 いや、マインドコントロールされている被害者、二世、そして家族の被害というのは、消費者センターですか、寄せられている分でいいますと先ほど報告あったとおりなんですけれども、実際に被害救済に当たっている紀藤弁護士らからのお話もお聞きしました。本当に被害で出て、消費者庁がつかんでいる分というのはごくごく氷山の一部にとどまるもので、紀藤弁護士らによりますと、年間、年間で最大一兆円規模にもなっているのではないかと、こういう数字も出てきているんですね。
私、国民の財産を収奪する、そして家族を破壊したと、本当に未曽有の被害を長年にわたってもたらしてきたのが、この統一協会による被害だと思うんですね。私、そういう、なぜ長期にわたって被害を許してきたのかと、その点からいっても、自民党と統一協会の解明、癒着、とりわけ安倍氏との関係性を解明していくということに、本会議でも総理に尋ねましたけれども、明確に答弁いただけなかったと思うんです。
被害救済、これ考えていくという、大臣としてですね、改めて見解をお聞きしたい。
○国務大臣(河野太郎君) 先ほど申し上げたとおりです。
○倉林明子君 答弁いただけないというのは極めて残念だと思います。
真摯な徹底解明が、癒着の解明が被害の救済にもやっぱり影響出てくる問題だと思っているんです。そういう点での、重ねて、自民党としても政府としても、癒着の解明については安倍氏との関係含めてしっかり取り組んでいただきたいということは強く申し上げておきます。
次に、先ほど来議論もありました消費者契約法第四条三項六号、これ霊感商法に係る取消し権を盛り込んだというものですけれども、この間の裁判例は先ほどもあったとおり確認できなかったということですが、これ取消し権が有効にこれ機能してきたと言えるのかという点で、改めて評価を確認しておきたい。いかがでしょう。
○国務大臣(河野太郎君) 先ほど答弁がありましたように、この取消し権が助言がされた例というのはございますが、裁判において行使された事例は把握できていないということでございます。
○倉林明子君 十分に機能したかどうかの評価についてはいかがなのかという質問だったんですけれど。
○国務大臣(河野太郎君) 消費者庁の検討会の中では、この取消し権の要件が厳し過ぎる、あるいは行使できる期間が短過ぎる、あるいは消費者契約法の対象とならないような寄附があるのではないか、そういった課題が提起されております。
○倉林明子君 検討会の評価ということで課題としては提起されたということだということです。
次に、消費生活相談員について、あっ、まず、まず、ごめんなさい、この統一協会問題について、新法が、まあ新法になるのか消費契約法の改正になるのか、新たな御提案があるというふうに伺っております。やっぱり実効ある救済につなげていくということは極めて大事だと思っております。改めて審議はしていきたいと思います。
次に、改めて消費生活相談員について伺います。
消費生活相談員資格というものが国家資格になったのは二〇一八年です。令和四年四月で全国の消費生活相談員は三千三百十三人、そのうち資格保有者は八割に現在達していると。ところが、正規職員で見ますと僅か五十八人、全体の一・八%にすぎません。その比率も年々、年々低下してきているということです。
改めて伺います。消費生活相談員を国家資格とした理由は何だったか。そして、継続した業務がありながら有期雇用に今なっているわけですけれども、その理由は何でしょうか。
○政府参考人(片岡進君) お答えを申し上げます。
平成二十六年の消費者安全法の改正によりまして、消費生活相談員の職が法律上明確に位置付けられたということでございます。
これは、従来、相談員資格の法律上の位置付けが不明確であったということで、消費生活相談員があっせんをする等に当たって事業者あるいは消費者からどのような資格を有しているのかというふうに問われて、問われても、問われて答えても納得を得られなくて、十分なあっせん等が行えなかった場合があったということ、それから、地方公共団体の中でも職務にふさわしい処遇が得られずに、研修機会が十分確保されないといったような問題があったということで、法律上明確に位置付けるということにしたものでございます。
現在、相談員の多くが非常勤である会計年度任用職員として任用されているというふうに認識をしてございますけれども、地方自治体における職員の任用の在り方につきましては地方公務員法等に基づいて各自治体において検討されるものというふうに承知してございます。
消費者庁といたしましては、相談員がこれまで培ってきた経験をしっかりと生かせるような環境づくりに取り組んではいきたいと思ってございます。
○倉林明子君 消費者基本法第十九条では、地方公共団体は、商品及び役務に関し事業者と消費者との間に生じた苦情が専門的知見に基づいて適切かつ迅速に処理されるようにするため、苦情の処理のあっせん等に努めなければならないという規定になっています。
様々な知見、そして経験の蓄積、これ欠かせない専門職になっているのが消費生活相談員だと。これ、認識共有できると思うんですね。にもかかわらず、令和二年度から導入された非正規の消費者生活相談員のほとんど、これが会計年度任用職員に移行されたんですね。今年度末には公募に掛けるという自治体も少なくありません。
そこで、地公法に伴って、地公法改正に伴ってですね、平成三十年に発出した消費者生活相談員の任用についての通達の内容について説明を求めたいと思います。
○政府参考人(片岡進君) お答えいたします。
今御指摘いただきました通知につきましては、消費者庁から地方公共団体に対して、令和二年四月から施行される地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律によって会計年度任用職員制度が創設をされて、会計年度任用職員に対する期末手当の支給が可能とされたこと、改正法により、特別職非常勤職員又は一般職非常勤職員として任用されている消費生活相談員は会計年度任用職員に移行すること、任用回数に一律の、一律に制限を設けることなく専門性に配慮した任用と処遇をお願いすることは改正法の下でも変わるものではなく、引き続きいわゆる雇い止め解消に御協力をお願いしたいということを通知の中でお伝えをしています。
○倉林明子君 再三そういう通達も出していただいて、雇い止めをしないようにということで要請しているということなんですよ。それでも自治体では公募を行うということになっているんですね。
これ、公募を行えば、まあ応募してくる人がなくて困っているという状況があるということですから、やってみないと公募に応募してくる人どれだけいるかというのは分かりません。しかし、公募を行えば、これまでに経験を積んできた消費生活相談員誰かが雇い止めになり得ると、そういうことじゃないんかと思います。実際に不安が今現場で広がっているということです。いかがですか。
○政府参考人(片岡進君) お答え申し上げます。
消費生活相談員のうち、多くの方が会計年度任用職員として任用されてございますけれども、地方公務員法においては、会計年度任用職員の採用に当たっては任期ごとに客観的な能力実証を行うことが必要とされて、また、選考においては、公募を行うことが法律上必須ではないけれども、できる限り広く公募を行うことが望ましいというふうにされていると認識しています。
ただ、消費者庁といたしましては、相談員の任用回数に上限を設けないなど、いわゆる雇い止めの解消に向けて地方公共団体には働きかけを行ってきてございます。地方公共団体において消費生活相談員として勤務している方の多くが任期の更新回数に制限のない形で任用されているものと承知をしてございまして、その点では雇い止めの解消は進んできているのではないかというふうには認識しています。
○倉林明子君 いや、その認識は三年目までというところが多いんですよ、任用を繰り返すということについてね。三年目が今年度末の三月に迫ってきているわけです。そこで、その三年、総務省のマニュアルでもそうなので、三年目に公募を掛けますよというところが少なくないんですよ。これまでは確かに雇い止めは中止できてきたんだけれども、三月末の危機は今迫っているという状況なんです。
消費者基本法では、第三条で、国は、経済社会の発展に即応して、前条の消費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念にのっとり、消費者政策を推進する責務を有すると、これ国の責務として規定されているんですね。私、この国の責務規定からいっても、消費生活相談員という雇用の継続について、やっぱり国にも責任あるんですよということを申し上げたいと思うんですよ。
そこで、消費者庁として再三の通知を出してきました。しかし、三年度末、三年目の三末を迎えるに当たって、消費者庁として、欠員が生じない限り公募はしないと、こういう、しないようにという協力要請を地方自治体に対して改めて行うべきじゃないかと思うんですけれども、これ、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 消費者庁といたしましては、相談員の皆様がしっかりとキャリアパスを描けるような採用あるいは運用をしていただきたいということを常々地方公共団体に申し上げているところでございます。
○倉林明子君 常々言うてもうてるけれどもですよ、今年の、あっ、来年の三月末で公募に掛けるというところが少なくないって言っているんですよ。新たな協力要請として公募はしないようにと、相談員のね、そういうお願いを新たにすべきじゃないかという質問なんですけれど。
○国務大臣(河野太郎君) 申し上げましたように、常々やってきております。
○倉林明子君 答弁そっけないね。もうちょっとやり取りができたらと思います。質疑は重ねながら、お互いの関係も構築していきたいと思います。
実は、自治労連がアンケート、自治体労働者の組合ですけれども、アンケートを取られております。その中でも継続雇用を求めるという声が本当に多数寄せられているわけです。消費生活相談員は、国家資格を要求されながら、雇い止めの不安ということにとどまらず、処遇はパート扱いということになっております。この十年間で賃上げされてきましたけれども、時給ベースで見ますと平均で三百三十三円、十年でですよ、上がっただけです。これ、年収で見ますと、正規雇用の半額程度ということになっております。
会計年度任用職員に移行、移行して一体処遇はどれだけ改善したのか、その実態はつかんでおられるでしょうか。
○政府参考人(片岡進君) お答えを申し上げます。
今委員からも御引用いただきましたけれども、消費生活相談員の平均報酬額につきましては、直近、上昇傾向にあり、過去最高の水準に今あっているというふうには認識をしてございますし、各自治体の会計年度任用職員の中での位置付けにつきましても、平均以上としている自治体が多くなっています。ただ、いまだに平均報酬額が低い水準のままとなっているというふうな自治体も一部では見られているということでございます。
○倉林明子君 いや、会計年度任用職員に移行する際、処遇が良くなるということがかなり強調されたんですよね。しかし、実際、蓋開けてみたら、ボーナスは出るようになったけれども、月々の賃金が減ったと、トータルとしたら処遇は変わらないとか悪化したと、こういう実例も伺っているんです。平均としては上がってきているし、ほかの会計年度任用職員、事務方とかもありますので、国家資格を持ちながらなので、当然、平均、そこと比べれば高くなるという傾向はあるけれど、問題は正規職と比べてどうかというと、極めて低い水準のままなんです。で、格差開いているんですよ、そういう意味でいいますとね。
人員削減も、この間、先ほど紹介もありました、進みましてね、多忙化が進んでいるという声もお聞きしております。全国消費生活相談員協会にもこういう声が寄せられているということでつかんでおります。国家資格にふさわしい賃上げこそ私は必要だと、求められていると申し上げたい。低賃金、不安定雇用の継続というのは消費者行政の後退に直結するものだと。消費者行政の要を担う消費生活相談員というのは、本来ですね、本来常勤とすべきものではないかと申し上げたいと思うんです。
そもそもですよ、そもそも、継続的な業務があって知見と経験が求められる職員がなぜ非正規とされているのか。その背景には、毎年五分の一の定員削減ありきと、こういう国の定員合理化削減計画があると言わなければならないと思うんです。
地方自治体では、集中改革プランで公務員加速が、あっ、公務員の削減が加速しました。今日、資料を付けております。これ、総務省の資料ですけれども、集中改革プランでぐっと減って、令和三年度、平成六年度と比べると、令和三年度では四十八万人もの正規職員が削減されてきたわけですね。
これ、改めて問いたいと思うんですよ。なぜこんなに公務員を減らし続けなければならないのかと。いかがでしょう。
○政府参考人(横田信孝君) 国家公務員の定員管理についてお答えいたします。
毎年度、各省庁に業務の見直し等を行っていただき、その上で、新たな行政課題や既存業務の増大に対応するため必要な増員を行うということが国家公務員の定員管理の仕組みということになっております。こうした方針の下、平成二十九年度までは国家公務員全体として純減を続けてきたということでございます。
一方、平成三十年度以降におきましては、各行政分野において国民に対する行政サービスを確実に提供できる体制となるよう、新型コロナ対応を始めとする新たな行政課題に対し万全を期すための増員により、国家公務員の定員を純増してきているということでございます。
引き続き、業務の効率化も進めながら、必要なところにしっかりと定員が配置されるよう努めてまいりたいというふうに考えております。
○倉林明子君 いや、その今の話と、今ちょっとコロナ対応も含めて必要な配置して増やしているという、それは地方公共団体にもその傾向見られるんですけど、コロナ禍で減らせるはずないんですよね。そもそも減らし過ぎていたと、その要因、その理由ですよね、ここまで減らさなければならなかった理由は何だったんですかと聞いたんですよ。それ、もう一回答弁できます。
○政府参考人(横田信孝君) 繰り返しになるところもございますけれども、国家公務員の定員管理につきましては、各年度の定員削減計画、これは増員の原資として行っているものでございます。これを原資といたしまして、毎年度の各省庁の業務の見直し等を行っていただいた上で、行政課題あるいは既存業務の増大といったことを踏まえて毎年度増員を判断しているということでございます。
その結果として、従来は定員が純減してきたということになっておりますが、近年、先ほど申し上げましたように、三十年度以降でございますけれども、純増に転じておるということでございます。
○倉林明子君 何か、もう余分に雇っていたからこれまでは減らしてきたというような説明かなと思って今聞きました。
しかし、本当に、要は、公務員削減ありきという方針の中で進められてきた結果がここまで減ってきた実態だと思うんですよ。それが一体、公務員比較で見てみると国際的にどんな状況になっているかというのを二枚目に付けました。
これ、人口千人当たりの公的部門における職員数の国際比較ということになっています。フランス九十・一人、イギリス六十七・八人、アメリカ六十四・一人、ドイツ五十九・七人、それに対して日本はフランスの、あっ、イギリスの半分、約、フランスからいったら相当これ少ない人数になっているわけですよ。
これで本当に公共の役割が発揮できるのかということが私は問われたのがコロナ禍でもあったと逆に言いたいと思うんですよ。で、本来正規職員が担うべき恒常的な業務までも非正規に切り替えざるを得ない状況に追い込んできたと、これ定数削減計画にほかならないと言いたいと思うわけです。
削減ありきはこれもう見直さざるを得ない、コロナ禍で、そういう状況になっているけれども、本当に必要なところに必要な増員を掛けていくという抜本的な転換必要だと思います。いかがでしょう。
○政府参考人(横田信孝君) 国家公務員の業務につきましては多岐の分野にわたっているということでございます。社会経済情勢の変化に伴いまして、それぞれの行政に対するニーズやその業務量も変化するということが前提となってくるわけでございます。
このため、いずれの分野であっても一旦定員合理化に取り組んでいただいた上で、それを原資とし、その時々の行政需要に対応できるよう定員を再配分する必要があるということでございます。この定員の合理化計画と申しますのも、この増員のための再配分の原資として行ってきているということでございます。
その上で、全体の定員配置につきましては、業務の効率化も進めながら必要なところにはしっかりと定員が配置されるように、私どもとしましても現場の実情やあるいは政策課題を的確に捉えて審査を行ってまいりたいというように考えておるところでございます。
○倉林明子君 これ、強烈な定員削減計画を進めてきた結果、どういう現場に、どういう職場になって、どんな働き方になっているかというと、正規職員は極めて長時間労働を余儀なくされると。それで、非正規は低賃金で有期雇用とされて雇用の調整弁に使われると。こういう働き方がもう蔓延していますよ。霞が関でこういう働き方変えないといけないと、優秀な官僚が育たないと、そういう改革にも取り組んできたのは、私、河野大臣じゃないかと思うんですね。
最後、大臣、答弁いただきたいと思うんですよ。国家公務員制度担当大臣でもありますよね。そういう意味で、定員削減計画について、こういう非正規に置き換えてやってきたことについてやっぱり見直していく、必要な正規を確保していくと、必要な業務が継続してあるような仕事についてまで非正規にしちゃうと、こういうやり方というのは見直しが必要だと思うけれども、最後、一言いただけますか。
○国務大臣(河野太郎君) 公務員の業務のニーズというのは時々において変わります。そのために、一定数の定員削減を行った上で、それを原資としてニーズのあるところに人を配置し直す、これはやらなければいかぬと思います。
もう既にこの数年間、公務員の、国家公務員の定員は増やしておりますから、何やら人数を削減しているというのは、それは一世代前の話でございます。
○倉林明子君 正規職員がしっかり、当たり前におうちに八時間働いて帰れるというような世界では到底ありません。やっぱりきちんと増員、抜本的な増員に向けた、あっ、正規職員の抜本的な増員に向けた努力は重ねて求めて、終わりたいと思います。