看護学生パワハラ防止を 倉林氏 国の責任で対策要求(2022/11/8 厚生労働委員会)
日本共産党の倉林明子議員は8日の参院厚生労働委員会で、看護師養成現場のパワーハラスメント問題を取り上げ、被害防止に向けて第三者相談窓口を設置するなど、国の責任で対策を進めるよう求めました。
倉林氏は「志を持って進学した学生が、パワハラによって希望を奪われ退学や自死にまで追い込まれるなどあってはならない」と大臣の認識をただしました。加藤勝信厚労相は「教育現場においてもパワハラは許されない」と答えました。
倉林氏は「被害があった養成所では、被害相談窓口が学校でそもそも相談に行けず、加害者が相談担当になる場合がある」と述べ、第三者相談窓口や解決に向けた第三者委員会の設置を求めました。厚労省の榎本健太郎医政局長は「ハラスメント対策の実態調査をする予定」と述べました。
倉林氏は問題の背景に過密な教育カリキュラムがあると指摘。正看護師でも3年間の詰め込み教育なのに、准看護師養成所はわずか2年間しかないとして、「十分な育成期間の確保のため准看養成を停止し、看護師免許の一本化に踏み出すべきだ」と求めました。また、国による看護学生への給付型奨学金の創設を求めました。
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
コロナ禍であっても看護師になりたい、こういう志を持って入学してくる学生たちを取り残すことなく現場に送り出そうということでの奮闘をされている多くの看護学校に、まず敬意を表したいと思うわけです。
ところが一方、看護師養成の現場で深刻なハラスメント事案が相次いで告発をされております。被害者の保護者など関係者が取り組んだ署名二万三千五百九十三名、この提出に私、同席をさせていただきました。
看護師養成現場のパワハラの被害、これ、厚労省はどのように実態つかんでいるのか、そして取組の対策の現状はどうなっているのか、まず御説明を。
○政府参考人(榎本健太郎君) お答え申し上げます。
今御指摘ございましたパワーハラスメント被害ということでございますが、看護師等養成所の指定、指導及び監督権限につきましては、これ都道府県に属しているものでございます。このため、都道府県において各看護師等養成所の実態を把握した上で適切な指導や助言がなされているというところでございまして、必要に応じて都道府県から厚生労働省に情報共有がなされているというところでございます。
私ども厚生労働省といたしましては、毎年、都道府県看護行政担当者会議というものを開催しているところでございますが、ここにおきまして、看護師養成所におけるハラスメントの対応事例の横展開を行っているところでございます。また、今年度はパワーハラスメント防止も視野に入れた学生との関わり方に関する教材を作成いたしまして、都道府県等が開催しております看護教員を対象とした研修会でも使用しているところでございます。
今後、厚生労働省におきましても、各都道府県における看護師と養成所等のハラスメント対策に関する実態調査を実施する予定としてございまして、引き続き、都道府県とよく連携しながら対応してまいりたいというふうに考えております。
○倉林明子君 実態調査をするということで今説明ありました。やっぱり実態としてハラスメントがあるということはつかんでおられるということだと思うんですね。
実習での教員によるパワハラ、これによって自殺、自死した息子さんのお父さん、度重なるハラスメントで適応障害となった学生の保護者。ある学校では四割も退学者を出したとか、生徒数のね、そういうところが出ているんですよ。これ、千葉県の看護学校ですけれども、この関係者からも切実な訴えがありました。被害があったある准看養成所では被害相談窓口が学校だと、そこで被害受けているのにですね。そもそも相談に行けない設定になっていたり、加害者が相談を担当していると、こんなケースも起こっているんですよ。
つまり、窓口つくりなさいということを都道府県から言われてつくったけども、機能していないんですね。都道府県が所管だからということで、保護者、関係者の方々も対応を求めているんですよ。ところが、具体的な対応、改善がないという実態だというんですね。
こういうコロナ禍の下でも看護師になろうというような人は本当に貴重だと私は思うんですね。そういう志持って進学した若者がパワハラによって希望を奪われると、退学、自殺まで追い込まれると、こんなことあってはならぬと思うわけです。
パワハラは教育の裁量権と、こういうことで許されるものじゃないと。大臣の認識を確認したい。
○国務大臣(加藤勝信君) 教職員の学生に対するハラスメントについて特に定められているものがあるわけではありませんが、職場におけるパワーハラスメントは、総合政策、総合推進法において、優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより労働者の就業改善が、就業環境が害されることの全てを満たすものと整理をされているわけでありますので、教育現場においてもこれに類する行為については許されないものであるというふうに認識をしております。(発言する者あり)許されないものであります。
○倉林明子君 そうなんです。絶対許されたらあかんということと、就労、要は働く場では相談窓口の設置というのはこれしないといけませんと、措置しなければならないものと処理されております。
大学は、看護大学等には設置も既にされていると、ほぼ一〇〇%だという文科省からの確認はもらっています。それでも、改善まで進んでいるかというと、なかなか苦労はされているようですけれども、必要な対策ということでやるべきは、やっぱりパワハラがない現場に、都道府県の所管であっても、看護師養成する現場であってはならないということも改めて確認をしたいと思うんです。
看護師養成所の運営に関する指導ガイドラインというものがあります、大部なものです。しかし、ここには、ハラスメント対策って全く記載ないんです。先ほども紹介した大学にある第三者の相談窓口を設置することや、あるいは事案が起きたときに、加害者がその解決に向けた対応できるわけないので、第三者、第三者委員会のような、学校のいじめで対応しているようなですね、こうしたものの解決に向けて第三者委員会の設置と、こういうことを具体的に動かしていくべきだと思うんですけれども、大臣、どうですか。
○国務大臣(加藤勝信君) 看護師等養成所におけるパワーハラスメントについては、看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン、今委員から御指摘がありました、において、パワーハラスメント対策を含む学生の生活相談やカウンセリング等を行う者が定められていることが望ましい旨記載をされております。
また、第三者相談窓口やパワーハラスメント事案が発生した際の第三者委員会の設置については、看護師等養成所の指導権限を持つ都道府県や事案が発生した養成所において、必要に応じこれに御対応いただくということになると考えております。
厚労省としては、まずは各都道府県による支援体制整備の状況を把握した上で適正な対応がなされるよう、適正な対応がされているその事例を他の都道府県に横展開をしていきたいと考えております。また、看護師等養成所の運営に関する指導ガイドラインに準じた養成所運営の支援について、どのようなことに都道府県に取り組んでいただくべきか、都道府県ともよく連携しながらその内容を検討していきたいと考えております。
○倉林明子君 相談、パワハラも含めた相談が望ましいと記載されているってこと、私よう見たんやけどよう分かりませんでした。
実際に、相談窓口の設置は養成所ではされていないというところが多いです。されていても、さっき紹介したような加害者が相談者になっているというような、実態的に機能しないということも調査されるということですから、よくつかんでほしいなと思うんです。機能するような改善が要るんだということを強調したいと思います。
急いでやってほしいと思うんです。四割も辞めさすなんということを学校現場で起こすなんということが、看護師の養成所で起こすなんということが繰り返されてはならないと思いますので、早急な対策を求めたい。
大体、何で看護師養成の現場でパワハラが起こるのかと、多発しているのかと、その背景を私、見る必要あると思っているんです。大体、過密なカリキュラムなんですよ、看護師養成カリキュラムは。私も三年の看護学校出ましたけれども、三年でも物すごい過密で、詰め込みです。それなのに、准看護師の養成所っていいますと養成期間僅か二年。これ、中卒で入れる学校ということになっているんですね。極めて短期間で養成されるわけです。十分な養成期間を確保すると、そのためには、こうした短期間で一丁上がりというような准看護師の制度、養成制度というのはこれ停止、もう停止に踏み切って、看護師免許の一本化ということを目指していくべきだと、長年の要望なんですよ。答えていただきたいと思います。
○国務大臣(加藤勝信君) 現在、看護職員として就業されている方約百七十三万人おられますけれども、そのうち准看護師の資格で働いている方約三十万人ということであります。
この准看護師の方々については、診療所など地域における看護職員の充足に貢献をしていただいていること、社会人が看護職員になるルートの一つとなっていること、また新卒で看護師になる場合のまたそのルートの一つになっていると、こうしたことから、その養成は必要な看護職員の確保に資するものであると考えておりますんで、准看護師の資格制度を廃止するというのはなかなか難しいんではないかと認識をしているところでございます。
○倉林明子君 こういう複雑な養成課程があるんです、確かに。それはもう戦後ぐらいからの話だと思うんですけれども、ずうっとそういう複雑な制度のままで経過してきたのが看護師の養成課程なんです。その中で、この准看護師の養成というのが本当に、准看護師の養成というのは一番短期間で、短期間での養成、卒業も中卒からなれるということで、教育として本当に十分なのかと。
これ、移行する、正看護師に移行するための教育についての支援等はいろいろつくっていただいたんだけれども、やっぱり入口っていいますか、その卒業後の到達点ですよね、良質な教育が均等に担保されると、これ現場で提供される看護の質を決定的にするんですよ。それは、看護を受ける方々の、受ける方々へのサービスの質も、良質な看護を受けられる権利を保障するということにもつながることなんです。
そういう意味で、今難しいということでしたけれども、ずっと養成停止の要請もありながら放置されてきたことでもあります。是非重ねての検討は求めておきたいと思います。
最後に、全日本民医連が行った全国看護学生アンケートというのがあります。親からの経済的援助というのが月額二万円未満の学生というのがおよそ七割、八割を超える学生がアルバイトで何とかやりくりしていたんですね。ところが、コロナですよ。これで、実習の前、実習中、結構な長期間になります、アルバイトができなくなっちゃったんですね。学生生活を継続するということにも困難を来している実態をお聞きしました。
これ、看護学生にも学生支援緊急給付金、これ同様の支援が求められると。国の制度として、看護学生に対して給付型の奨学金、これを本当につくるべきだと思います。看護師をしっかり確保していくためにも、せめて今やるべき支援ではないかと。いかがでしょう。
○国務大臣(加藤勝信君) まず、新型コロナの影響によって、家庭の収入減による仕送りの減少、あるいは元々仕送りがそう多くないと、そういうことで経済的に困窮する学生がおられたということは承知をしております。
文部科学省が実施した学生等の学びを継続するための緊急給付金、これまさに新型コロナの影響で経済的に厳しい状況にある学生等への給付型奨学金として実施されたわけでありますが、これは既に令和三年度で終了したというものでございます。
一方で、看護学生に対する支援でありますけれども、各都道府県において、看護師等修学資金の貸与、PCR検査及びワクチン接種の費用等、地域の実情に即した支援を展開をしていただいているところであります。厚労省としては、支援の実例を把握し共有するなど、都道府県と密接に連携を図っていきたいと思っております。
また、看護師等修学資金の貸与等については、三位一体改革に伴い一般財源化されており、都道府県の地方交付税によって、都道府県の判断により実施されるということになっているところでございます。
○倉林明子君 いや、看護師確保っていうのは都道府県丸投げということでは済まぬと思うんですよ。やっぱり人材確保、社会保障構築に向けて一番の課題、人材確保っていうのが今度の厚労白書でしたよね。やっぱり看護師をどうやって養成していくのかというときに、やっぱり都道府県ばらばらになっているし、受けられるところ、受けられないところもあるわけです。
国の制度として、このコロナ禍は都道府県で差を、そんなありませんよ、コロナ禍、全国で広がっています。こういうときだからこそ国が、やっぱりこういうコロナ禍で実習でアルバイトできないと、こういう事態が全国にあるわけですから、改めて、奨学金、国が奨学金をつくって支援するというところに踏み込んでいただきたいと、強く検討してほしいと。
時間なので今日は終わりますが、またよろしくお願いします。