倉林明子

倉林明子

メルマガ登録

労災保険 個人事業主適用訴え(2021/6/10 厚生労働委員会)

 労災保険の対象にならない中小企業主や個人事業主が任意加入できる共済制度をつくる中小企業労災共済法が11日の参議院本会議で、全会一致で可決、成立しました。日本共産党の倉林明子議員は10日の参院厚生労働委員会で、実質的な労働者である「名ばかり個人事業主」に事業主責任のある労災保険の適用を求めました。

 同法は、フリーランスや個人事業主も加入対象。一方、労働者にもかかわらず、「個人事業主」とされ、労働者として保護されない実態があります。

 倉林氏は、インターネットやアプリを通じて仕事を単発で請け負う「ギグワーカー」について、海外では雇用関係を認める判決が相次ぎ、ILO(国際労働機関)が2006年に採択した「雇用関係に関する勧告(198号)」でも、広く労働者性を認めるよう求めていると指摘。実質的な労働者については、労災保険制度の対象とするよう求めました。田村憲久厚労相は「実質的な労働者であれば労災の対象になる」と答弁しました。

 倉林氏は、「労働者として保護されるべき人たちが保護対象にならない実態をつかむ必要がある。日本も世界水準に基づいて広く労働者性を認めるべきだ」と強調しました。


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林です。
 法案は、労災保険の対象とならない中小企業等が任意で加入できる共済制度に法的安定性を与えるというものだということで、我が党も賛成します。
 加入対象者には、個人事業主やフリーランスも含まれるものであって、本来は労働者として労災保険の対象となるべき人も含まれるということになります。
 改めて確認したいと思いますが、労基法上労働者と判断される基準は何か、そしてその基準の根拠、これ何でしょうか。

○政府参考人(吉永和生君) お答え申し上げます。
 労働基準法の労働者に該当するかは、基本的には事業に使用される者であるか否か、その対象として賃金が支払われるか否かによって判断されるものでございます。
 昭和六十年の労働基準法研究会報告によりますと、これらの要素の判断基準につきまして、当時の裁判例などを整理いたしまして、契約の名称にかかわらず、仕事の依頼や業務指示に対する諾否の自由があるか、また、業務を遂行する上で指揮監督を受けているかなど、実態を勘案して総合的に判断すると示しているところでございます。
 労働基準法の適用等の場面におきましては、この考え方に従いまして労働者に当たるか否かにつきまして個別に判断しているところでございます。

○倉林明子君 今紹介ありました昭和六十年、一九八五年に、研究会報告ということに、これによっているということです。
 それまで、広い意味での労働者概念がこの研究会によって見直されたというのが実態だと思うんです。工場、事務所以外で働く者などの労働者性が認められなくなる、要は範囲が狭められてきたという経過があります。
 当時から既に三十年余りが経過しておりますが、働き方が大きく変化しています。そして個人請負化が現状進んでおります。
 そこで、ウーバーイーツなどに代表されますギグワーカーについて、これアプリを運営する会社と雇用関係にあるということで従業員に当たるという判決が相次いで、海外でですね、そこで、欧州委員会ではギグワーカーの権利や労働条件の改善に向けた協議が始まっております。
 じゃ、日本ではどうかということで、ギグワーカーは個人事業主なのか労働者なのか、どうですか。

○政府参考人(坂口卓君) お答え申し上げます。
 お尋ねのギグワーカーということについて明確な定義はございませんけれども、今年の三月に、内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省の連名でフリーランスのガイドラインを策定いたしましたが、そこの中では、ギグエコノミーというものについて、インターネットを通じて短期、単発の仕事を請け負い、個人で働く就業形態ということで説明をしております。
 このような働き方の方々につきましては、基本的には個人で事業を行う個人事業主であると考えられますけれども、先ほど労働基準局長の方からも答弁ありましたとおり、形式的には請負契約を締結して業務を行っていたとしても、実質的には発注者の指揮命令を受けて仕事に従事しているなどの実態があれば、労働基準法上の労働者と判断される場合もあると考えられます。

○倉林明子君 これ、本当にこの間、大きな世界的な動きがありまして、アメリカでも労働長官が、多くの場合、ギグワーカー、まあ日本ではギグエコノミーということで整理されたようですけれども、このギグワーカーは従業員として分類されるべきと、こういう認識を示しておられます。
 ILOは、二〇〇六年、雇用関係勧告第百九十八号を採択しております。ここでは、雇用関係の存在の決定について、二の九に記載があります。その内容を御紹介ください。

○政府参考人(井内雅明君) 御指摘の箇所は、ILOの雇用関係に関する勧告第百九十八号のうち、雇用関係の存在についての決定について言及されている部分と承知しております。
 御指摘の箇所の仮訳を読み上げさせていただきます。
 九、雇用関係にある労働者を保護するための国内政策を実施する上で、当該雇用関係の存在についての決定は、当該雇用関係が関係当事者間で合意された契約その他の方法による事実に反した取決めにおいてどのように特徴付けられている場合であっても、業務の遂行及び労働者の報酬に関する事実に第一義的に従うべきである。
 以上です。

○倉林明子君 これ、広く労働者性を認めるものということだと確認できるかと思います。
 これ、世界的な流れという観点からも、ILOの勧告という点からも、日本はこの労働者性というところでやっぱり狭くなっているという現状があるんじゃないかという指摘をしたいと思います。そういう点では遅れているということを率直に申し上げたい。
 そこで、個人事業主やフリーランスには、日本の規定でいっても実質的には労働者だという人がいるんだというふうにお認めになっているわけです。そうした労働者については、本来ですよ、本来、事業主負担で、事業主の責任で労災の適用範囲に含まれるべきものだというふうに思います。現状でもです。大臣、どうでしょう。

○国務大臣(田村憲久君) 労災保険制度ですけれども、これはまさに事業主が労働者に対して災害補償責任、これを負う、その担保するものが強制保険である労災保険であるわけですよね。これ自体はその使用者、事業主の負担という形になっています。で、要は労働者かどうか、労働者性の話になってくるわけですよね。
 これは、先ほど吉永局長からも話がありましたけれども、基本的に、その業務指示の諾否に自由があるかだとか、業務遂行上の指揮監督、こういうものがどうだと、こういうようなところを踏まえた上で判断をしていくわけでありますので、言われたフリーランスでありますとかまた個人事業主であったとしても、もうそういうふうに一応言われていたとしてもですよ、実質的に労働者であれば、これは当然今の、先ほど言ったようなものにそぐって判断した上で労働者ということであればそれは労働災害保険の対象になってくるということであります。

○倉林明子君 やっぱり今、労働者性ということで大きく見直しされているし、定義もやっぱり広義に拾っていくんだという中で、こういう個人事業主やギグワーカー、個人事業主やフリーランスということで、本来であれば労働者として捕捉されるべき人たちが個人事業主、フリーランスということで保護の対象にならないという現状をよくつかんでおく必要があるなと思うんです。
 要は、今度の共済というのは、中小事業主やこういう個人事業主、フリーランスということになるわけです。そういう意味で、そういう、本来であればどこで保護するべきなのかと。保険料負担の問題もあります。そういうところを指摘しておきたいというふうに思います。
 ウーバーイーツユニオンは、労災保険の特別加入制度の拡大ではなくて事業主責任の本則の適用、これ組合の方ですね、は求めております。先ほど来紹介しました世界の流れは、ギグワーカーは労働者という流れになってきています。日本も世界水準に基づいて広く労働者性を認めるということもこの機に考えていただきたい。
 以上です。