検査体制見直し急務 倉林氏「医療崩壊防げ」(2020/4/16 厚生労働委員会)
(資料があります)
日本共産党の倉林明子議員は16日、参院厚生労働委員会で、新型コロナウイルス感染症の拡大を止めるために、政府に対して感染を調べるPCR検査の体制を抜本的に見直すよう求めました。
倉林氏は、「現在のPCR検査の枠外で感染が拡大している。このままでは医療崩壊は防げない」と主張しました。
加藤勝信厚労相は、感染の疑いがある人が外来に来て、PCR検査につながり、陽性の場合に受け入れる先を確保するという「一連の流れをつくることが急務だ」と答えました。
倉林氏は、沖縄県の群星(むりぶし)沖縄臨床研修センターの徳田安春センター長らの新型コロナ対策への緊急提言を紹介。提言を踏まえた検査体制の見直しが急務だと訴えました。
○倉林明子君 日本共産党の倉林です。
新型コロナウイルスの感染拡大が本当に広がって、医療機関でも集団感染が相次ぐという事態に本当に危機感を持っております。厳しい現場になっている医療機関で、命を守るため、自らも感染リスクを背負って、使命感で懸命に働いていると。医療従事者、関係者の皆さんに心から感謝と敬意を表明したいと思うんですね。
これ、対応が長期化する中で、疲弊する医療従事者を追い詰めているというのが、先ほども紹介ありました風評被害であったり、周囲から寄せられる心ない偏見だ。夫が、勤める会社を、やめてくれと、やめてくれって、出勤を止めてくれという声とか、保育所からは通園を拒否されると、さらに、保育所に迎えに行ったら自分の子供だけ隔離されていたと、もうがっくり心が折れたというんですね。
改めて、広報、周知など、差別や偏見解消の取組というのを急いでやってほしいんだという、これ、やっぱり現場から相当上がってきている声なんです。答えていただきたい、いかがですか。
○国務大臣(加藤勝信君) 先ほども他の委員等もお話がありましたけれども、まさにこの新型コロナウイルス感染症の最前線、また、自らが感染するおそれがある中でそれに取り組んでいただいている医療関係者の方々、また、それを送り出しておられる御家族の方々、やっぱりその方々の思い、これしっかり我々共有しなければならないというふうに思いますし、そういった中で、先ほどもお話がありました心ない差別であったり言動であったり、これはもう断固として我々は排除していかなきゃいけないと、そういう思いであります。
そのためには、大事なことは、やはりそうした現場の方々がどれだけプロテクトされているのかということを含めて、自分で防護しているのかということも含めて、感染症の基本的な知識あるいは感染予防策など、しっかりと我々も情報の収集をしていく必要があるというふうに思っております。そのため、新型コロナウイルスに関する基本情報などについてホームページで周知をしている、あるいはコールセンターを設置して、週末、祝日を問わず国民の皆さんからの問合せにも対応しているところでもあります。
また、三月二十八日に政府対策本部で決定した基本的対処方針では、患者や対策に関わった方々等の人権に配慮した取組を行うということでもありますし、四月三日から、これは政府広報でありますけれども、医療従事者などへの根拠のない言動や嫌がらせが見られる、そうしたことがないようにと、そうしたPR活動もさせていただいておりますので、引き続き、国民の皆さんがまず今回の新型コロナウイルスについてしっかりとした情報を持っていただく、そして、そういった中で不当なあるいは心ない言動が起こることがないように、これから政府としても引き続き努力をしていきたいと思います。
○倉林明子君 感染に対するおそれや不安ということから、本当に過剰な反応ということにもつながっているんだと思うんです。やっぱり、いろいろ取組もされているということですけれども、医療の萎縮とか働く人のモチベーション、あるいは子供を持つ人たちが離職というようなことにつながると本当に医療の体制にも影響を与えるところですので、やっぱり国民にしっかり正しい情報としても伝わるように御努力をお願いしたいと思います。
次に、医療現場はもう既に崩壊が始まっているというような声さえ聞こえてきております。実際、この一日、二日の報道でも、熱発患者の受診拒否が起こっているとか、肺炎患者の受入れはお断りだとか、あるいは救急、これ本当に逼迫してきて、救急の受入先を探すだけで何時間も医師が電話に張り付かないといけないというような状況も起こっていると。
これ、一般の医療提供体制にも大きな影響が、支障が出てきているということも伺っております。これ、ふだんなら助かる命も助からない、こういうところに直面しつつあるんじゃないかというふうに思うんですね。今、なぜ、各地で院内感染や医療従事者の感染拡大に歯止めが掛からないという状況広がっていると思うんですけれども、その理由についてはどう分析しているのか、説明してください。
○政府参考人(宮嵜雅則君) お答え申し上げます。
院内感染防止のために、これまでも、国立感染症研究所におきまして、新型コロナウイルス感染症についての医療機関内の感染防止策等の考え方を取りまとめて、一月以降、逐次改定、公開してきておりまして、厚労省としても、自治体等を通じて通知するなど、医療施設内における院内感染防止のための方策について、事務連絡の発出とかホームページの公表、感染症部会においてお示しするなど、様々な手段で随時周知を行ってきたところでございます。
特に、直近の四月七日には、院内感染事例の増加を踏まえまして、これまでの発生事例から感染拡大パターンを分析しまして、例えば医療従事者が感染する類型としまして、新型コロナウイルスと診断又は疑われている患者を診察していての感染のケース、それから診断又は疑われていない患者からの感染のケース、あるいは医療従事者の方が市中で感染するようなケースに分類されるということで、それぞれの留意事項等についてもまとめさせていただいて注意喚起を行っているところでございます。
今後とも、医療機関の院内感染防止に対して必要な支援を行ってまいりたいというふうに考えております。
○倉林明子君 類型パターンにしたら防げる段階なのかと、私はちょっとその認識では防げないんじゃないかと思うんですね。
要は、感染者が、感染しているにもかかわらず、感染していることが分からないまま外来とかそれから入院とか、医療機関受診しているんですよね。つまり、現在のPCR検査の枠外で感染拡大していると、こういう状況に私はなっているというふうに思うんです。まあ第二波というような表現もありましたけれども。
このままでは医療崩壊を防ぐことはできないというふうに思うんですけれども、大臣の認識はいかがでしょうか。
○国務大臣(加藤勝信君) 医療崩壊と指摘される中で、幾つかの局面があるんだろうと思います。こうした中で、まず、医療現場の方々が疲弊をしてしまっているということ、それから、今お話があったように、院内感染が結果的に医療の提供、供給力を下げてしまうということ、それからもう一つは、新型コロナではなくて通常の医療活動、特に救急の受入れというのに対して、またそれが制約的になってきていると、幾つかの側面があるんだろうというふうに思います。
いずれにしても、ポイントになるのは、やっぱり一つの流れというものをしっかりつくっていくということなんだと思います。要するに、疑いがある方がどう外来に伝わり、そしてPCR検査に伝わり、そして陽性であった方を受け入れる先を確保して流していくという、こういう一連の流れをつくっていかないとどこかにボトルネックが出てくるということだと思いますので、そういった意味で、今、例えば、昨日ですか、おとといでしたっけ、新宿区の取組で、医師会がまず前半をやりましょうと、後半をそれぞれの地域の医療機関が重症、中症、そしてさらにはホテル等で受入れをしましょうと。
まさに、それぞれの地域地域でそういった仕組みをつくっていくということが、まさに医療崩壊を救い、そして地域の住民の皆さん方の命を守るということにつながるんだろうと思っておりますので、我々もそうした取組をしっかり応援をしていきながら、さらにそれがほかで展開していただけるように横展開も図っていきたいというふうに思います。
いずれにしても、そういう全体の取組をしないと、どこかだけではなくて、やっぱり全体のシステムとしてつくり上げていかなきゃいけないというふうに認識をしています。
○倉林明子君 システムを変えなければならない、そういう時期に来ているんだと思うんですね。
十二日に開催されました日本内科学会、ここで厚生労働省のクラスター対策班の押谷先生がおっしゃっています。感染者が急増する中で、第二波の流行対応はなぜ破綻しかかっているのかということをおっしゃられた上で、PCR検査数が増えてこないのは非常に大きな問題だという指摘です。新宿の話も紹介ありましたけれども、PCRセンター、検体採取するというところをつくっていこうということで、これ、立ち上げを押谷先生も呼びかけられているんですね。新たな感染拡大の対応にどう対応していくのか、新たなシステムをどうつくっていく、検査体制、PCRの検査を更に抜本的に増やすためにどういう体制をつくっていくのかというのが今問われているんだと思うんです。
そこで、今、医者の中からも賛同者が広がっている新たな検査体制、緊急提言ということで、これ、沖縄の群星、群星と書いてムリブシと読むんですけれども、沖縄臨床研修センターの徳田安春センター長の、ドクターですけれども、提言、徳田先生らということでまとめられた提言になっております。
中身をフロー図にしたのが資料一ということになります。これ、特徴は、黄色いアンダーライン付けていますけれども、患者さん、病院に行かずとも、かかりつけ医に直接電話するだけでよい、そして、そこで電話で診断をドクターがすると。で、PCR検査必要だよというふうに判断した場合は左のラインを流れまして、PCRセンター、医師の簡単な問診で検体採取だけするというところ、もうドライブスルーでもいいと思うんですよね、こういうことをやって、検体を発注し、患者さんは検査を受けたらトリアージを受けて、最初から入院するんじゃなくて、最初から、軽症の方、低リスクの方ということで、病院以外の収容施設に入口から振り分けていくという発想なんですね。これ、とっても現実的だなというふうに改めて思っているんです。
これを、この提言を流れにしていくということが必要じゃないかというふうに思っているわけですけれども、これ、やるためには、帰国者・接触者相談センターは介さずともできる、遠隔診療を可能にするということが必要になります。
さらに、今、そのボトルネックの話出ていましたけれども、検査基準というのがすごいハードルになっているんですね。持続する発熱だとか酸素飽和度が基準になっているようなところもあるようです。肺炎所見が必要だと、必ず診察も求められてくることになるし、それは指定医療機関でないとできないという立て付けになっている、そこも今パンクしつつあると、まあ全部が全部ではありませんけれども、パンクしつつある。そういう状況ですから、診断基準についても私は見直すときになっているというふうに思うんです。
これについては、システム、流れ、つくっていくべきだということを含めて、いかがですか、局長。あっ、大臣、答えてくれはる、ありがとうございます。
○国務大臣(加藤勝信君) いや、これ自体、ちょっと幾つか課題があると思います。例えば、本当に全てが対面じゃなくて判断ができるのかという課題、それからもう一つあるのは、流れとして、要するに、PCR受けるところときちんと連携取れないとうまく流れませんから、じゃ、そこは今は相談支援センターと帰国者・接触者外来という仕組みをつくっているんですけれども、どこか、そこの全体の流すところとして地域医師会が、じゃ、相談も受けながら、そうして地域医師会の下でPCRセンターもつくっていくという、そういうやり方というのは十分あるんじゃないかなというふうに思っております。
実際、今、東京都では八つの地域ではそうした動きが出てきているということなので、これは、我々、別に何か通さなきゃいけないということではなくて、スムーズな流れをする。スムーズな流れを妨げるのは、やっぱりあるところに患者さんないし疑いの者が集中しちゃうと、これはまた機能が止まってしまいますから、その辺のよくバランスを取りながら進めていくという意味において、また、沖縄の中でその辺も考えながら構築をしていただくということは、私は有り難いことだと思いますし、これは一緒にやらせていただきたいというふうに思います。
ただ、もう一つ問題があるのは、この下のところですよね。ここをしっかりつくり上げないとこっちに流れちゃうので、だからトータルでやっぱり進めていくということが大事なことなんだろうと思います。
○倉林明子君 やっぱり、今、感染しているかもしれない人が直接外来に行くということで、京都でどんなことが起こっているかというと、熱発者お断りといって張り紙書いたクリニックが出始めているんですよ。そうすると、余計行けるところが決まっちゃって集中が起こる、不安から受診行動が促進される、相談センターに掛けたら何回もつながらない、医療機関を転々とする、結局、感染者だったというのが何軒も回った後に初めて分かると。これ、感染拡大させているようなものですよ。
これ、本当に入口から止めるという流れをきちっとつくるという提案につながっていると思いますので、医療機関の疲弊も、そして相談センターの負担も、電話が掛かってくるということに耐え切れないという負担も整理していく方向に変えて、抜本的に検査数を増やして、感染を特定し隔離するという段階に来ていると思うんですよ。どうですか。
○国務大臣(加藤勝信君) いや、ですから、これは一つのモデルだと、モデルの原型だというふうに思いますので、そういった中で、それぞれの地域の中で、既にもうこれ進んで、沖縄だけではなくていろんなところで進んでいますから、それを我々も一緒になってそうした構築をしていく、あるいは、それをつくろうとしたときに何かが、制度や規制がどこかでボトルネックになるのであれば、それは改善していく。そういう方向で、やはり地域と私どもが一緒になって取り組んでいきたいと思います。
○倉林明子君 それで、やっぱりネックになっているのは、二万件まで増やすと言っているんだけれども、一つは、その検査可能数は一万数千でしたか、可能数全体としては確かにキャパ増えているんだけど、一日の検査実施数というのはなかなか伸びない。今徐々に伸びてきているけれども、キャパいっぱいまではできていないじゃないですか。
やっぱり、できる機関を増やしていくということと併せて、やっぱりできていないところにつなぐというところ、このコントロールセンターというのは、私は、やっぱり国、責任持ってつくって、二万件できるようにすると総理も言っているわけだから、ここにつなげるのは、やっぱり地域に任せていてはなかなか難しいんじゃないかと思うんです。
実際に実施可能な件数ができるようなコントロール機能を国は果たすべきじゃないかと思うんです。どうでしょう。
○国務大臣(加藤勝信君) まず、総理は二万件を実施すると言っているわけじゃなくて、二万件ができる提供体制をつくるということであります。それに向けて今鋭意努力をし、今現時点では一万三千を超える状況まで来ているというふうに私どもは把握をしております。
その上で、国が、もちろん最終的には、要するに、地域があります、都道府県があります、国がありますから、それぞれの中で調整をしていくという仕組みは大事なんだろうと思いますが、しかし、やはりそれぞれの地域の中でしっかりとした仕組みをつくらなければ、それぞれが調整し合うというのはなかなか難しいという側面もありますので。
別に委員のおっしゃっている調整機能を否定するつもりはありませんけれども、まずは今示していただいたような仕組みをそれぞれの地域でしっかりおつくりいただける、まずこれを我々しっかり一緒になって応援をしながらやっていく。そして、ある地域に突然に患者が急増してオーバーフローする場合には周辺とか……(発言する者あり)いや、させたらあかんですけど、仮にそうなった場合においては他地域でそれを補ってもらえる、そういうような調整機能は都道府県であり、また我々が担っていく、そういう仕組みをしっかりと構築していきたいと思います。
○倉林明子君 実際に、東京の救急患者が受入れキャパがなくてもう神奈川まで行っているとか、感染患者ですよ、そういう状況になっているので、極めて私は急がれるというふうに思います。強く、前のめりにこれ進めていただきたいと思うんですね。
それに、ゴールデンウイークが控えているということなんです。非常に危機感持っています。なぜかというと、ゴールデンウイーク、休診になって、クリニックとか診療所は輪番体制になります。じゃ、これ、このまんまの感染拡大の状況の中で安心して輪番受けられるだろうかと、防備体制もないということですから。具体的に目に見える形で、ゴールデンウイークの体制も回せるような急いだ取組として要望しているということを是非頭に置いていただきたい。
最後、やっぱり最前線の医療従事者が今どんな思いで現場に立っているかというと、武器もなく闘いに臨んでいるという表現していました。つまり、感染防護具が本当に圧倒的に不足しているんですね。誰が感染しているか分からない患者を迎え入れているという不安ですよ。圧倒的なこうした不安を解消するということでいえば、検査、直接検体採取するというところは本当に限って、そこに防護具も集中するということも必要だという、その意味でも有効だと思います。
今、本当に完全に感染防護対策を取って現場に入れるように何よりも国が果たすべきは、個人用の感染防護具を国がしっかり買い上げて、一括購入して無料で配ると。頑張ってねという一番の支援になると思います。これ、決意聞かせていただいて、終わろうかと思います。
○国務大臣(加藤勝信君) マスクあるいはガウンあるいはフェースシールド等、なかなか現場において十分に供給がなされていないという、そういう中で、我々も、例えばサージカルマスクについては既に四千五百万枚、これは国が買い上げて、これを無償で提供しております。
さらに、七日に閣議決定した緊急経済対策では、サージカルマスク、N95マスク、ガウン、フェースシールド等の各種防護具について、必要量を国が確保して、必要な医療機関に対して優先的に、しかも無料で配布するということも盛り込ませていただいております。
我々、できる限り国が確保することによって優先的な供給をすると同時に、やはりその前として供給量はしっかりと確保しなければなりません。先ほどからもお話がありました国内の増産、海外からの輸入、それを含めて、今日この後も企業の方とお話をさせていただきますけれども、あらゆる方々の力をいただきながら、やっぱり医療の現場に対して必要な防護具がしっかり提供されるように、引き続き努力をさせていただきたいと思います。
○倉林明子君 四千五百万枚のマスクもなかなか現場に届き切っているという状況にはまだないですよ。本当に届いてこそ感染対策に万全の体制で臨めるということですから、頑張っていただきたい。強く要望して、終わります。