倉林明子

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内定取り消しは無効 参院厚労委 倉林氏質問に厚労相答弁 / 賃金請求権3年に抑制 参院委で可決 倉林氏が反対(2020/3/24 厚生労働委員会)

 新型コロナウイルス感染症の影響が経済にも拡大する中、新卒者の採用内定が取り消される事例が出ていることについて、加藤勝信厚生労働相は24日、「内定取り消しは、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない場合は無効だと申し上げていきたい」と表明しました。参院厚労委員会での日本共産党の倉林明子議員への答弁。

 23日までに厚労省が把握したコロナの影響を理由とする内定取り消しは16件24人、入職時期の繰り下げは30件98人となっています。

 倉林氏は「新卒者の希望を絶望に変えるようなことはあってはならない」と強調。内定取り消しは解雇と同じで、解雇回避の努力など整理解雇の4要件を満たさない内定取り消しは認めないとのメッセージを発すべきだと求めました。

 加藤氏は、「採用内定取り消しを防止するため最大限の経営努力をと申し上げていきたい」とも語りました。

 倉林氏は、派遣切り・雇い止めも顕在化していると指摘。派遣元に「新たな派遣先の提供」など「雇用安定措置」の義務を果たすよう徹底するとともに、措置義務の対象とならない1年未満の派遣労働者も救済すべきだと求めました。


 4月から債権の請求期間(消滅時効)が原則5年になるのに、労働者が未払い賃金を請求できる期間は3年にとどめる労働基準法改定案が24日、参院厚生労働委員会で可決されました。日本共産党の倉林明子議員は、民法よりも労働者に不利益な条件を定めるのは労働者の保護を目的とする労基法の趣旨に反すると反対しました。

 法案では、未払い賃金の消滅時効(現行2年)を、本則では改正民法に合わせて5年に延長しながら付則で「当分の間」3年にとどめる経過措置を設けています。「当分の間」には期間の定めがなく、3年で固定化されかねません。

 倉林氏は、賃金請求権は労働者の生存に不可欠な権利で、だからこそ不払いには刑事罰を科していると強調。にもかかわらず、2018年度の労働基準監督署の定期監督だけでみても約2万6千件の賃金不払いが発生していると述べ、「実態を是正するためにも直ちに5年の規定を適用すべきだ」と求めました。

 18年度のサービス残業の是正額は124億4883万円、是正対象労働者は11万8680人となっています。


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林です。
 労基法について伺います。
 賃金請求権の消滅時効期間を改正民法に合わせて五年延長と、これを本則で定めながら、当分の間三年という経過措置を附則に盛り込んでおります。これ、民法よりも労働者に不利益な条件を労基法において認めることは労働者保護を目的とする労基法と根本的に矛盾すると、これ労働弁護団の指摘であり、私はそのとおりだと思います。さらに、先ほども議論ありましたけれども、当分の間には定めがありません。三年でこれずっと固定化されるという危険もあり得ると。
 そこで、衆議院での議論もありましたので、改めて確認をさせていただきたいと思います。
 二年を超える、現状ですね、二年を超える賃金不払、これ幾つか報道もありますので、されている実態はあるということは分かるんですけれども、詳細について調べられるだけ調べるようにというふうに我が党宮本議員が求めております。少し間も空いております。二年を超えるこの賃金不払の実態について何が明らかになったのか、報告できる中身はありますか。

○政府参考人(坂口卓君) お答え申し上げます。
 私ども、労働基準監督署の監督指導によって不払賃金が二年を超えて遡及して支払われた事案の件数等については集計を行っておらず、その把握はできていないということでございます。
 三月十一日の衆議院の厚生労働委員会におきましても、そういった形で定量的な件数はお示しできませんと、ただ、定性的な事例として、一、二の例について申し上げたところでございます。
 このように、過去の実態について把握するということにつきましては困難という状況は変わっておりませんので、現在、新たな状況ということについてお答え申し上げるということはできないわけでございますけれども、今後の賃金不払の実態把握につきましてどのような方法が考えられるかということについてはしっかり検討してまいりたいと考えております。

○倉林明子君 本則を実施する、本則で定めているわけですから、これを実施していく上で判断する基礎的な材料になるというふうに思うんですね。
 実態把握、これからはやっぱりしていく必要があるんだと思うんですよ。これからはって、これまでできていなかったということは問題だと思うけれども、これからは検討のための材料としてしっかり集める、把握するという必要があると思うわけです。
 賃金不払、これを免罪するというようなことは許されないと思うんですね。本則五年、これ早期に実現すべきだと、その実態把握の必要性等、実現すべきだということで、これ強く求めておきたいと思います。
 次に、新型コロナの影響が雇用にも本当に色濃く出始めているということに関わって聞きます。内定取消し、入社時期の繰延べ等が出てきております。これ実態どのようにつかんでいるのか、直近の数字で御報告をお願いします。

○政府参考人(定塚由美子君) 事業主の方は、新卒者の採用内定を取り消す場合などにおきましては、公共職業安定所にその旨を通知するということとなっております。
 これに基づきまして、三月二十三日、昨日時点で厚生労働省が把握したもののうち、内定取消しについては、新型コロナウイルス感染症の影響を理由とするもの十六件、人数にして二十四人でございます。また、入職時期の繰下げでございますが、同様に、三月二十三日、昨日時点の速報という形で厚生労働省が把握したもののうち、新型コロナウイルス感染症の影響を理由とするもの三十件、人数にして九十八人となっているところでございます。

○倉林明子君 三月十八日の時点では内定取消しが十三社二十一人ということですから、更に拡大傾向にあるということが確認できるかと思うんですね。
 これ、内定の段階で雇用契約が成立しているというものであります。取消しというのは通常の解雇と同じという認識ですけれども、これ大臣も同じだという認識でいいのか、一つ確認させていただきたい。それから、内定取消しが無効となるというのはどういう場合なのか、御説明ください。

○国務大臣(加藤勝信君) 昭和五十四年の大日本印刷事件と呼ばれる最高裁判例によれば、企業からの採用内定通知によって就労の始期を定めた解約権を留保した労働契約が成立したと解される場合があり、当該場合においては、採用内定を取り消すことは解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られるとされております。
 したがって、採用内定者について、労働契約が成立したと認められる場合には、最終的にはもちろん司法判断に委ねることにはなりますが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない採用内定取消しは無効となるものと認識をしております。

○倉林明子君 突き詰めて言えば判例によるというんだけれども、一般的には通常の解雇と同様というふうにして対応しているというふうに理解しているんですね。
 解雇ということでいいますと、整理解雇の四要件、経営上の必要性、解雇回避の努力、あるいは対象者選定の合理性、労働者や使用者との十分な事前説明と協議、こういうものを原則として満たす必要があるというふうに思うんですね。
 この時期の内定取消しというのは、新卒者ですから、本当に希望が絶望に変わったというぐらいの今ことが起こっているわけですよね。私は、こうした人たちに対して、本当にあってはならないということで臨むべきだと思うし、四要件を満たさない内定取消しというようなことを認めないんだということをメッセージとしてもしっかり発していただきたいと思うんです。
 総理は、新型コロナの影響から雇用を守ると発言されております。大臣も、雇用を守り切ると、内定取消しあってはならないという決意で臨んでいただきたいと思います。どうでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) 今、倉林委員おっしゃったように、これから社会へ出て活躍したいという夢を持っておられる若い方々が、その夢が断ち切られるということにつながるわけであります、採用の内定取消しということはですね。
 先ほど申し上げたように、採用内定取消しは、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は無効なんだと、このことについて、事業主に対して、しっかり留意をし、また採用内定取消しを防止するため最大限の経営努力を行うよう、あらゆる手段を講じるべきであるということをしっかりと我々は申し上げていきたいと思っております。
 先般も、経済団体等に対し、新卒者の採用内定の取消し等を防止するため、雇用調整助成金の特例の措置の活用を含め、事業主の皆さんに最大限の経営努力いただきたい旨要請するとともに、各加盟企業にも周知徹底をお願いをしたところでもあります。
 また、事業主の皆さんからこうした採用内定の取扱いについて相談も今増えてきていますけれども、あった場合には、雇用調整助成金の特例措置を紹介することによってその雇用維持を働きかけております。
 残念ながら採用内定の取消しを受けた新卒者に対しても、ハローワークにおいて学校とも連携をしながらできるだけ速やかに新たな就職先の確保に取り組むなど、丁寧な就職支援に努めていきたいと思っております。
 今大変雇用をめぐる環境が日に日に厳しくなってきております。前途ある学生の皆さんの雇用をしっかり守っていく、総理も申しておりますけれども、それの思いを更に強くして、全力を挙げて対策を講じていきたいというふうに思います。

○倉林明子君 お願いベースにとどめず、やっぱり内定取消しというのは解雇と同様で、合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合、無効なんだと、こういう姿勢で強く臨んでいただきたいし、やっぱり新卒者に対して希望が持てるような、絶対雇用を守るよというところで、救済措置も含めて手だての問題ありましたけれども、しっかりその立場で臨んでいただきたいということは強く申し上げたいと思います。
 派遣労働者のところにも深刻な影響が出てきております。これ、年度末ということもありまして、契約切れの期日を迎えるということで顕在化してきているのが派遣切りでもあります。
 リーマン・ショック級だと、いや、超えるんじゃないかという声さえ出てきておりますけれども、この点で、実態についてはどのようにつかんでいますか。

○政府参考人(小林洋司君) お答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症の派遣業界への影響でございますが、都道府県労働局あるいは派遣事業者団体を通じて状況把握を行っております。
 現状でございますが、今御指摘いただきましたいわゆる派遣切り、派遣契約の中途解除に伴って派遣労働者も解雇するという意味でのいわゆる派遣切りにつきましては、増加する状況にはまだないと。その一方で、御指摘ございましたように、新年度からの派遣契約の更新をしないという、いわゆる雇い止めの動きが製造業など一部に出始めているということは承知しておるところでございます。
 先般、経済団体あるいは派遣事業者団体に対しまして、雇用調整助成金の活用、あるいは別の派遣先確保等の就業機会の確保ということを要請させていただいたところでございまして、今後とも、よく状況を注視して適切に対応してまいりたいと思います。

○倉林明子君 失礼しました、派遣切り、雇い止めと。雇い止めが増加、幾つか出ているようだということです。
 真っ先にそういう雇用調整の調整弁とされるというのがフリーランスだったりこの派遣労働者だったというふうに思うんですね。リーマンのときもそうでした。大問題になりました。収入失えば、仕事や収入失えば、もう直ちに生活困窮に陥ると、これがあのリーマン・ショックのところでも明らかになったことだったと思うんですね。
 派遣期間が終了する労働者の雇用を守る、雇い止めさせないということにつながっていきますけれども、そのために、このリーマンのときの教訓も踏まえて雇用安定措置が義務付けられたと承知しております。その内容、そして現状での実施状況というのはどうなっていますか。

○政府参考人(小林洋司君) お答えいたします。
 今御指摘いただきましたように、平成二十七年の労働者派遣法の改正におきまして、派遣元に雇用安定措置の義務付けというのが行われております。これは、平成二十七年改正によりまして、同一の組織単位への派遣というのが三年までということにされたことに伴いまして、派遣就業見込み三年を迎える派遣労働者に対して、例えば派遣先への直接雇用の依頼ですとか、あるいは新たな派遣先の提供といった雇用安定措置を講ずるということが義務付けられたわけでございます。
 この履行状況についてのお尋ねでございますが、この二十七年改正法の施行状況調査というものを行っておりまして、二月には労働政策審議会の方にも報告をさせていただいております。
 この状況を申し上げますと、この雇用安定措置の対象となった方の中で、直接雇用の依頼を希望された方が一五%、また、新たな派遣先の提供を希望された方が六七・七%といった形になっておりますが、これらに対しましては、おおむね派遣労働者の希望に沿った措置が講じられております。また、直接雇用の依頼を希望した派遣労働者については、その約半数、四八・二%が派遣先での直接雇用に至っているということがございまして、一定程度雇用の安定につながっているのではないかというふうに考えております。
 ただ、この雇用安定措置の適用を免れる目的で雇い止めをするというケースもあり得るわけでございまして、そういった事案を把握した場合には、都道府県労働局において必要な指導を行うなど、適切に対応したいというふうに思います。

○倉林明子君 それは二月の報告のときの状況だったと思うんだけれども、今、深刻な状況広がっているのはその後ですよね。そして、三月、今何が起こっているかということが大問題なわけですから、そういう実態は是非しっかりつかんでいただきたいと思うんです。
 雇い止めで次の仕事はないと、こういう声がうわっと出てきています、今。派遣元に対して、雇用安定措置義務を果たす、今そういう働きかけが必要だというふうに思うんですね。今おっしゃったように、措置義務の対象にならないという派遣労働者もいるんですよね。そういう人たちも含めて、派遣労働者の雇用の安定がしっかり守られるような働きかけというのは、法改正の趣旨からいってもやるべきじゃないかと思うんですよ。これ、どうですか。

○政府参考人(小林洋司君) 御指摘いただきましたように、先ほど二月の調査の結果申し上げましたが、その後、雇用情勢、非常に厳しい状況になってきております。
 そういった中で、派遣切りあるいは雇い止めという動きが出てこないかどうかしっかりと注視をして、そういった雇い止め等も一部に見られるところでございますので、そういった動きをしっかり注視をいたしまして、新たな就業機会の確保あるいは就業の維持が図られるようにきちんと対応してまいりたいというふうに思います。

○倉林明子君 特別相談窓口等も開かれていて、本当にそういう声出てきていますよ。つかんでいないということ問題だと思うので、早急にしっかりつかんでいただきたい。これ、強く要望します。
 それで、こんな法律相談来ているんです。どんなことかというと、派遣先の業態が悪化した、休業ということになりましたと。派遣社員の方は休業手当として賃金六〇%支給、ところが正規職員、パートなんだけれども、この人の休業補償は一〇〇%されているというんですね。これ、直接雇用と派遣社員、こういう場合、休業の賃金補償の扱いに格差が生じているという問題なんです。生じてはならない問題だと思いますけれども、どうですか。

○政府参考人(小林洋司君) まず、派遣労働者の方につきましても、労働基準法上の労働者に該当する場合は、当然ながら労働基準法第二十六条の対象となる。したがって、使用者の責めに帰すべき事由によって休業させた場合は、百分の六十以上の休業手当を支払う必要がございます。その旨はホームページ等でも周知をいたしております。
 その上で、今御指摘いただきましたような、その事業主が百分の六十を超えて自主的に支払う休業手当でございますが、これは労働基準法を超えて、就業規則等によりまして各企業において定めることができるものでございます。したがいまして、一義的には派遣元事業主と派遣先の事業主、それぞれの労使の判断に委ねられているものではないかというふうに考えております。
 いずれにしても、適切に法令が守られるように努めてまいりたいというふうに思います。

○倉林明子君 差別的取扱いについては改正派遣法で禁止されているんじゃないかと思うんですけど、その義務が課せられているのは派遣元だと思うんですよね。今の答弁、ちょっとよく分からなかったんですけど、もう一回説明してください。

○政府参考人(小林洋司君) 今御指摘いただきましたのは、同一労働同一賃金の派遣先均衡のお話だというふうに思います。派遣会社が派遣先均等・均衡方式を選択した場合には、法定外の休業手当を含め全ての待遇に関してその派遣先との均等・均衡待遇を図ることが必要になってくるということは御指摘のとおりでございます。
 ただ、法定外の休業手当につきましては、私どもの指針でも言及はしておらず、最終的には司法判断に委ねられるということは御理解いただきたいというふうに思っております。法定外のものをどれだけ支払うかというのは様々な事情に関わってくるというふうに思いますので、これ一概に合理、不合理というのはなかなか申し上げられないところでございまして、派遣元、あるいは派遣元、派遣先の間におきまして十分御検討をいただく事項だというふうに思います。

○倉林明子君 十分検討していただく事項だということにとどめていては、いつまでも格差なんかなくならないと思うんですね。格差は是正する方向で、そして低い方がやっぱり一〇〇%払っているという派遣先の方に合わせて支払うという、そういう努力を求めるというのが法の趣旨だと思いますので、その点では、こういう問題が事業主間だけの問題だということにとどめないで取り組んでいただきたい。
 さらに、雇用が守られるかどうかという今瀬戸際に来ているよと、これ現場の声です。派遣切り、雇い止めによって仕事も住まいもなくなった、これがリーマン・ショックでした。こういうことも、実際に旅館等に入っていて住まいを派遣先で確保していただいていると、こういうケースは職が切られれば住まいを失うと、こういうケースも出てきているんですね。
 私は、大事なのは、労働は労働、生活は生活というふうな今分担になっていますけれども、市町村、区役所の単位でワンストップの相談窓口というのを急いでつくる必要があるんじゃないかと思います。これ、大臣、いかがでしょう。

○国務大臣(加藤勝信君) 雇用への影響が出てきていること、更にそれが拡大していることが懸念をされているわけでありまして、全国の労働局等には二月十四日から特別労働相談窓口を設置をし、雇用形態にかかわらず、労働者からの解雇、休業に関する相談を対応しております。
 それから、今住宅のお話がありましたけれども、地方公共団体においては、生活困窮者自立支援制度に基づき、これは必須の事業になっていますが、再就職に向けて居住の確保が必要な者に対しては住居確保給付金の支給を行うということになっております。
 ハローワークにおいても、地方公共団体に常設窓口を設置をし、職員を配置の上、住居確保給付金受給者等に対し就職に向けたきめ細やかな支援を行うなど、地方公共団体と労働局が連携して対応を図っているところでありますが、引き続き、こうした対応によって、派遣労働者の方々が仕事や住まい等に関する相談等があれば、それに適切に対応していきたいというふうに思います。

○倉林明子君 ワンストップの相談窓口必要だというふうに提案したのですから、総務省ともよく相談して、必要に応じてやっぱり設置するという方向で検討してほしいなと思います。
 正規、非正規、派遣、フリーランス、多様な働き方進めてきましたよ。しかし、最もこういうときに雇用調整で職失うというのは非正規の方々ですよ。やっぱり正規が原則だと、こういう働き方に転換していくべきだということを、大きくですね、これを最後申し上げまして、終わります。


議事録を読む(反対討論)

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 私は、労働基準法の一部を改正する法律案に対し、反対討論を行います。
 反対の理由は、本法案が賃金請求権を当分の間三年にとどめる経過措置を設けていることです。本則では改正民法に合わせて五年に延長しながら、民法を下回る三年で未払賃金を請求する権利がなくなることになります。労働者保護を目的とする労基法の趣旨に反するものであり、到底容認できません。施行後五年経過後に検討するという規定があるものの、当分の間には期間の定めもなく、検討しても実現を担保するものではありません。これでは賃金請求権が三年で固定化されかねません。
 労働基準法第一条は、労働条件について、「労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。」、二項では、「この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。」と定めています。
 賃金請求権は労働者の生存に不可欠な権利であり、よって、労基法二十四条は賃金全額払いの原則を定め、賃金未払に対し刑事罰を科しているのです。それにもかかわらず、平成三十年度の定期監督だけで見ても、何らかの法令違反十三万六千件のうち約二割を占める二万六千九十九件の賃金未払が発生しています。その上、使用者は二年の消滅時効期間を超える未払の賃金の支払を免れてきたのです。こうした実態を是正するためにも、直ちに五年の規定を適用すべきです。
 さらに、災害補償請求権は二年に据え置かれています。この期限がうつ病など精神疾患による労働災害で休職した場合の補償請求の壁になっています。労災保険法と併せた早急な見直しを求めるものです。
 以上、反対討論といたします。