在宅介護 崩壊の危機 倉林氏「減収は全額補償を」(2020/3/19 厚生労働委員会)
日本共産党の倉林明子議員は19日の参院厚生労働委員会で、新型コロナウイルス感染症の影響で経営の危機にある介護現場の実態をとりあげ、減収分を全額補償するよう迫りました。
倉林氏は、デイサービスの休業などで「在宅介護が崩壊するのでは」との危機感が現場に広がっていると指摘。休業した施設の職員が利用者を訪問してサービスを提供しても、介護報酬が大幅に減少する現状を訴え「利用者の減少や報酬減は介護事業所の経営難に直結する。今でも介護事業所の倒産は過去最高で、事業からの撤退を加速させかねない」とただしました。
加藤勝信厚労相は、「(現状の措置)以上に何か必要だという主張だと思う。現場の方々の意見や実態をふまえながら検討したい」と答えました。
倉林氏は、施設休止や利用控えによる減収は全額補償するとメッセージを出すよう要求。介護で仕事を休まざるを得なくなった労働者にも一律休校と同様の助成制度を作るよう求めました。
また、医療機関でも受診抑制等により運転資金不足に陥る危機が広がっていると指摘。電話再診でも慢性疾患患者の特定疾患療養管理料を請求できるようにすることや、運転資金の全額補てんを強く要望しました。
○倉林明子君 日本共産党の倉林です。
十六日の予算委員会で私が取り上げた問題、質問見ましたというシングルマザーからメールをいただきました。
新しい職場に勤務して間もないということで、年休がそもそもないと。学校休校で一日、半日と休みを取ってやりくりしているものの、その分は無給ということになっているそうです。結果、今月分の給与の見通しは六万円だと書かれていました。削れる分を考えた結果、どうしているかと。子供を遅く寝かせ、起きる時間を遅くし、朝昼兼用の御飯にして食費削っているというんですね。そもそもこの制度は、試用期間であっても、有休の制度がなくても利用できるという制度なはずなんだけれども、実態として会社は拒否すると、会社が利用しないと、こういうことがあっちこっちで起こっているんですね。労働者がやっぱり直接申請できるようなシステムにしてほしい、切実なお声を聞かせていただきました。
私は、この制度自身は、ようやく受付も始まったばかりですから、大いに企業が活用していただけるようにしてほしいんだけれども、直接、本当、今、この制度も使えなくて困っているという人たちに対しては、やっぱり直接申請して休業補償を得られるような仕組みをつくってほしい、この声にしっかり応えていただきたいと思います。
○国務大臣(加藤勝信君) 予算委員会でも議論させていただきました。やはり、これしっかりそれぞれの企業が対応していただくということがまず基本にあってなんだろうというふうに考えております。
今回、政府の要請で小学校等の臨時休業が行われ、それに伴い、子供の世話を行うための労働者が休暇を取得をしていかなければならない。そうした状況の中で、しっかり休暇を取得をさせ、取ってもらって、そして、かつ労働者の所得が減少しないように有給の休暇を与える事業主、これに対して支援を行う、そして、そういった支援を行うことによってしっかりと有給の休暇を与えていただく、こういう仕組みであります。
したがって、政府としても、今のお話ありましたけれども、各事業主に対して、この休暇をしっかり与え、そして、それに対してはこうした助成金をしっかり支払うんだと、そういったことを引き続き周知を図っていきたいというふうに思います。
○倉林明子君 いや、それは否定していないし、プラスアルファの検討が要るんじゃないかと、救済できない労働者残っているよということです。
政府は補正予算の検討も、大規模な、間髪入れずやるという方針を掲げられたということで伺っていて、詳細についても様々な報道もされておりますけれども、是非こうした本当に困ってしまうというところの補償をどうするのかということをしっかり考えていただきたいと、そういう意味で改めて求めておきたいと思います。
次に、医療、介護事業者のところでお聞きしたいと思います。
感染リスクを避けるために、医療機関では受診抑制広がっております。そして、介護や福祉の現場では、これ、利用控えが相当進んでいるという声を伺っております。事業継続に対する危機感さえ出てきている。これ、深刻だと思っております。
医療機関の外来、診療所、大幅な減収見込みが明らかになってきておりまして、その大きな要因の一つとして声がたくさん上がっていますのは、電話再診が増加していると。これは結構なことだと思うんですよ、感染のリスクを避けるという観点から。ただし、これによって何が起こるかと、慢性疾患患者の特定疾患療養管理料、通常取れていた管理料が請求できないということが大きいんだという声なんですね。これ、電話再診ではこれまでの管理料は取れないと、こういうことなんですかね。
○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いといたしまして、慢性疾患等を有する定期受診患者等につきましては、二月二十八日の事務連絡におきまして、電話等再診料を算定できることといたしました。
お尋ねの特定疾患療養管理料につきましては、これ、電話等による再診時には算定できないこととしておりまして、今般の新型コロナウイルス感染症に係る臨時的な対応におきましてもこの取扱いに変更はございません。
○倉林明子君 それで困っているんですよ。
それで、どのぐらい影響が出ているかということでいいますと、ある医療機関のところでは外来患者そのものが二割減っていると。その減収の分もあるんだけれども、さらに、この管理料が通常のもの取れないということで月額二千五百万円以上の損失が出る見込みだと、こんな大きいことになっているんです。電話再診でもやっぱり医療機関の減収にならない、こういうことを間髪入れず考えてほしいんですよ。これ、診療報酬が医療機関に入金される、今の請求ですね、が入金されるというのは、結局二か月程度後になるということです。だから、今の減収分反映するのがそうなる。このままではやっぱり運転資金不足にも陥る医療機関がこれ続出しかねないと。
融資で対応するという提案されています。その中身、簡潔に御説明ください。
○政府参考人(吉田学君) お答えいたします。
お尋ねの融資につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響によりやむを得ず機能停止や事業規模が縮小等となった医療機関に対して、独立行政法人福祉医療機構の融資において、償還期間、貸付利率及び貸付金の限度額の優遇措置により行っております。
加えて、三月十日に決定されました緊急対策の第二弾におきまして、この機構による融資につきまして、無利子無担保の優遇を含めまして、償還期間の長期化、貸付金の限度額の引上げなどを二月一日に遡って適用するという形での支援を行うこととしております。
○倉林明子君 少しやっぱり融資条件の緩和ということはやってもらったんです。ただし、融資、貸付けなんですよね。これ、返済が必要になってくる。当然のことです。まあ据置きもしてもらいますけれども。
ところが、医療機関は通常でさえ過半数は赤字ということで、運転資金そのものを今でも銀行から借り入れてやりくりしているというところがあるのもこれ実態なんですね。だから、言いたいのは、これからピーク時対応も必要になってくるということが、それはその時期がどうなるかということではいろいろあろうかとは思います。しかし、それを担うことになるのは一般の医療機関なわけですね。この医療提供体制を確保し、そして維持する、そのためには、やっぱり貸付けと違うて運転資金を全額入れるということをしっかりやるべきじゃないかと思うんですよ。
これ、大臣に振っているんですけど、答弁してもらえますかいな。
○国務大臣(加藤勝信君) 今、運転資金については説明をさせていただいたところでございますけれども、感染症対策について医療提供体制に万全を期すことが大事だと、これはもう委員と私も同じ認識ではあります。
医療機関への支援については、感染症の影響によりやむを得ず機能停止や事業規模が縮小となったこうした医療機関に対しては、今、先ほど申し上げた融資を行うこととしているところであります。
これに加えて、経済的な、経済上の理由による事業活動の縮小に伴い事業主が雇用調整のため労働者を休業させた場合には、これは雇用調整助成金、こういった仕組みの中でしっかりやらせていただいているところでございます。
いずれにしても、今後ともよく現場の声を聞かなきゃいけないと思っております。こうして事業が厳しくなってくるというところの一方で、こうした新型コロナウイルス感染症を受け入れている病院からもまたいろいろな課題も提起をされておりますので、そういった問題にはしっかり耳を傾けながら、やはり全体として、こうした新型コロナウイルスのみならず、それ以外の疾病の方もいらっしゃいますから、そうした皆さん方が安心して医療にかかれる環境、これをしっかりとつくっていきたいと思います。
○倉林明子君 やっぱり、通常やっていることがこのコロナ、新型コロナの発生に伴ってできなくなっていると。電話対応をして通常の治療が担保できるようにしていると。だから、管理料、通常取れていた管理料、これ取れないというのは物すごい大きいので、ここは踏み込んだ検討してほしいと思うし、融資、これはもう融資有り難い、そうやけど借りられないという状況あるわけだから、ここどうするのかということでいえば、直接に補償するということを含めて私は間髪入れずのところで考えてほしいと思っておりますので、提案、要望しておきたいと思います。
次に、介護の現場。ここで深刻になっているのが在宅介護。デイサービスの休止、これが起こっていますよね。これ、独居、老老介護、シングル介護、ここの家庭では本当に大きな影響が出ています。認知症の方々のところも本当に大変だという声をお聞かせいただいております。デイに通うことで食事、入浴、体操、これ確保してきた高齢者の状態が、急激な悪化の懸念が出ているんですね。このままでは在宅介護が崩壊するんじゃないかという関係者の声もお聞きしております。
休業したデイサービスの職員がこれ利用者宅を訪問してサービス提供を行った場合、請求可能となる報酬単価というのも整理されました。これ、すごくちょっと制度複雑なんですけれども、どういう考え方でつくっているか、簡単に説明していただければと思います。
○政府参考人(大島一博君) 短時間でも御自宅を訪問していただいた場合に、通常のデイサービスの最短時間の報酬区分というのは二時間以上三時間でございます。三百四十七単位で、要介護三の場合ですけど、これが取れるという形にしておりまして、一回に複数回行った場合にはその掛け算ということになります。
ただし、例えば通常七時間から八時間のデイサービス使っておられる方、要介護三の場合は八百八十七単位ですけれども、この単位を超えてしまうと八百八十七点になるというルールにしております。一日に二回訪問すると六百九十四単位となりまして、大体八割ということになりますし、三回訪問すると上限に達して同額の八百八十七単位という仕組みでございます。
○倉林明子君 訪問して同様のサービスを同人数、同程度の時間やれば報酬は基本は確保されるという、そういう計算はできると思うんです。ただし、利用者一人当たりに何時間も掛けられるわけもないんですよね。訪問件数を増やすということでいえば、デイで来てもらってサービス提供しているのと訳違うんですよ。二人で行くのか、一人で行くのか、職員が行って時間を掛けないともらえない仕組み。
実際のところ、どないなことになるかといいますと、実際には七割程度、回れてもね。こういう実態になっているということで、これ労力も掛かるし、手間も掛かる。デイサービスの事業所とは違って、自宅で提供するサービスの困難さもあるという。本当に評価、やっぱりこれじゃ低いと思うんですよ。
通所サービスの利用者も、そもそも今、利用抑制で減っている。報酬減、これがたちまち介護事業所の経営難に直結する。今でも介護事業所というのは倒産相次いでおります。過去最高です。恐れているのは、こういう事態を受けて事業から撤退、加速しかねないと私思っているんですね。
これ、大臣、私の危機感というのはどういうふうにお感じですか。
○国務大臣(加藤勝信君) これ、かなり、多少地域によっても違うところがあるんだろうというふうに思います。私や副大臣の地元はまだ感染者がいないものですから、ちょっとそんな雰囲気からやや薄いところと、それから名古屋とか、あそこではもう実際、デイサービス等が休業してくれという要請が掛かっている地域と、これかなり、多少違いがあるんだろうと思いますけれども、しかし、そういう地域が次どこで起こるかというのはこれ分からないということもございます。
したがって、今るる説明はさせていただいて、標準報酬の特例とか、あるいは基準についても緩和、かなり弾力的に見るとかいう措置はとらせていただいているところでございますけれども、更にそれ以上に何か必要ではないかという御主張なんだろうと思います。それについても、よく現場の方々の意見や実態を踏まえながら、引き続き我々検討させていただきたいと思います。
○倉林明子君 三月の六日に、全国老人福祉施設協議会、現場のアンケート結果踏まえて要望書も提出し、ということでお聞きしております。休止して経営が厳しくなった場合の支援策ということで要求も出されております。
感染者が発生し、休止に追い込まれる事態、先ほど御紹介あったとおり、発生しておりますし、リスクを恐れて利用控えも、これは全国に広がっています、利用控えの方は。そういうことでいうと、介護施設、事業所の休止や利用者減によるこういう減収についても本当に支えていく、全額補償するんだというようなメッセージを早く発するということがとても重要になってきていると思うんです。いかがでしょうか。
○政府参考人(大島一博君) 今、様々、我々も考えられることをやっておりますが、更なる支援策につきましては、引き続き利用者支援の観点にも立ちながら検討してまいりたいと思います。
○倉林明子君 急いでね、よう現場の声も聞いて、決断して、支えないといけないと思うんですね。強く求めておきます。
それで、介護サービスが利用できなければ家族等に介護負担がすごく重くのしかかるわけですね。感染リスクが高い高齢者、先ほども少し議論ありましたけれども、感染した場合、退院する場合どうなるんだという話で。それとは別に、在宅介護がこれ必要となって仕事を休まざるを得ないという家族、労働者が出てくる、もう既に出ているという実態もあるんですね。子供が休んだときは助成制度が新たにできたけれども、この介護せざるを得ないということで休まざるを得ないという方々への対応は、これも極めて急がれる問題だというふうに思います。
介護休暇の拡大ということでいうと、これ賃金補償が全部されるわけではございません。一斉休校の休業補償という考え方は、そういう意味では、スキームとしては、介護のために休まざるを得なくなった労働者にもスキームとして拡大して考えるということできるんじゃないかというふうに思うんですね。安心して給与も含めて担保できる助成制度、これは本当に早くつくる必要があると。そうでないと、私は介護離職に拍車を掛けるということにもつながりかねないというふうに思っているんです。
その点では、是非これ、介護のために休まざるを得なくなった人たちの特別休暇というようなことで考えていただきたいと思うんだけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(加藤勝信君) まさに、家庭の中で介護されている方々は、本当にいろんな局面、局面で大変な御苦労をいただきながら対応していただいているというふうに思っております。そういった意味で、今般も、臨時休校等の措置は今委員からお話がありました。ただ、これは国が臨時休業をお願いをしたという、そうしたことを背景に、したがってそこまでやるということであります。
他方で、家族の介護を行う方が仕事と介護を両立できるような介護休業制度、これあるわけでありますけれども、これをしっかり、要件を満たす労働者に対して休業を保障させていただいておりますけれども、こうした介護休業を活用していただいて、しかも今、三回まで分割して取得することも可能でありますので、そうした利用をしっかりやっていただく。それ以外にも、所定外の免除、所定労働時間の時間短縮措置等の制度も設けられているわけであります。仕事と介護の両立支援に取り組む中小企業に対しては、両立支援等助成金による支援というのもあります。そうした制度の利用促進も図っていきたいと思っております。
いずれにしても、そうした介護休業制度あるいは介護休業給付金、また今申し上げた両立支援制度等々もしっかり活用していただき、また、使える介護サービスがあればそれをうまく組み合わせていただきながら、働きながら介護ができる、こうした環境、まあこうした状況下ではありますけれども、しっかりつくっていきたいと思います。
○倉林明子君 それは、今ある制度みんな活用してくれよと。だけど、この状況なんですよ。新しいフェーズに入って、新たにもうどんな現金給付というか応援ができるかということで、経済も止まっている、全国民にやっぱり影響が出始めている、経済に深刻な影響が出始めている、こういうときに、やっぱりこれまでの枠をどれだけ超えて直接支援できるのか、こういう視点で今検討始まっているんだという理解です。
踏み込んだ検討、思い切った支援策、盛り込んでいただきたい。強く要望して、終わります。