倉林明子

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介護総合事業 対象に 倉林氏 高齢障害者負担減へ / 常勤確保の措置とれ 倉林氏、婦人相談員の処遇(厚生労働委員会)

(資料があります)

 日本共産党の倉林明子議員は17日の参院厚生労働委員会で、高齢障害者が介護サービスを利用した際の利用料負担軽減制度で「総合事業」も対象とするよう求めました。

 障害者は65歳になると介護保険の利用が優先され、無料で福祉サービスを利用してきた低所得者にも1割負担が発生することから、厳しい批判の声があがり、2016年の法改正で償還払制度が設けられました。しかし、総合事業は負担軽減の対象とならず、要介護認定で要支援に該当した場合、利用料を負担しなければなりません。障害支援区分と要介護認定には乖離(かいり)があり、障害区分3の34%、区分4の12%のほか、区分5でも6・7%が要支援となっています。

 倉林氏は、全身のまひで電動車いすを使用する人が介護保険では要支援2にしかならないなど、要支援に該当する人は多いと指摘。総合事業も負担軽減の対象とするよう要求しました。加藤勝信厚労相は「施行3年後に見直す規定がある。その機会に負担軽減措置の施行状況等について必要な議論を行う」と答えました。

 倉林氏は、3年間放置するのではなく、緊急な検討が必要と指摘しました。


 日本共産党の倉林明子議員は17日の参院厚生労働委員会で、婦人相談員に専門性にふさわしい処遇を保障するよう求めました。

 配偶者などからの暴力や生活困窮など心身を傷つけられ人権を侵害された女性への相談、支援にあたる婦人相談員は全国の自治体で1447人が活動していますが、その8割を非常勤が占めています。専門性が求められるのに数年で雇い止めされ、低報酬で自身の最低限の生活すら維持できない相談員もいると指摘されています。

 倉林氏が、処遇改善は喫緊の課題だとただすと、厚労省の吉田学・子ども家庭局長は、「高い専門性と切れ目ない継続的な相談支援が求められる」との認識を示し、処遇改善の必要性を認めました。

 倉林氏は、法改正で「婦人相談員は非常勤」とする規定を削除したにもかかわらず、非常勤化の動きがあると指摘。非常勤相談員への国の手当の2年連続増額を機に非常勤化を進めるなどあってはならないと批判し、自治体が常勤職員で確保できるよう、国が配置基準を定め、交付税などで予算措置をとるよう要求しました。

 加藤勝信厚労相は、「適切な相談体制が自治体で確保されるよう支援していきたい」と答えました。


障害程度区分認定者の要介護状態区分等

婦人相談員常勤・非常勤別の推移

婦人相談員の配置状況と在職年数


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 介護保険の総合事業と障害者の自己負担について質問したいと思います。
 障害者が六十五歳以上になりますと、介護保険の利用が優先ということになっております。いろんな問題が指摘されているわけですが、利用料が一割負担になるということです。二〇一八年度から、低所得者については償還払いで利用料負担がゼロとなるということになったわけです。これ新たに負担が軽減される対象数というのはどの程度で、またこの利用負担軽減の対象にならないという介護サービスもある。これ何でしょうか。

○政府参考人(宮嵜雅則君) お答え申し上げます。
 今委員からございましたが、平成二十八年の法改正によりまして御指摘の利用者負担軽減措置が設けられたところでございます。障害のある方の高齢化が進む中で、若いうちから障害のある方が六十五歳という年齢に達することのみをもってそれまでゼロであった利用者負担が新たに発生してしまうという課題が年々大きくなってきたというような課題に対応するためということでございます。
 この軽減措置は、このため、介護保険の利用者負担の影響が大きいと考えられる方、具体的には、六十五歳に至るまで相当の長期間にわたり障害サービスを利用してきた一定以上の障害のある方に限って対象とすることとしているところでございまして、負担が軽減される障害者は約三万人というふうに見込んでおります。
 また、今回の軽減措置の対象となる介護保険サービスは、障害福祉サービスに相当するサービスである訪問介護、それから通所介護、短期入所生活介護、地域密着型通所介護、小規模多機能型居宅介護としておりまして、それ以外の介護保険サービスは対象にはならないところでございます。

○倉林明子君 ということで、総合事業が対象にならないんですね。なぜ総合事業が利用負担の軽減の対象にならないのかと。これについてはどういう見解でしょうか。

○政府参考人(宮嵜雅則君) お答え申し上げます。
 先ほども申し上げましたが、二十八年の法改正により創設されまして、この三十年の四月から施行していきます利用者負担軽減措置は、介護保険に基づく利用者負担が発生することにより生活の見直しが大きく求められる、長期間にわたり障害福祉サービスを利用してきた障害の程度が一定以上ある方々を対象としたものでございます。
 介護保険の総合事業につきましては、総合事業の対象となる方については介護給付を受ける方と比べて利用者負担が必ずしも大きくないと考えられることや、利用者負担を市町村がサービスの内容に応じて設定できることとなっておりまして、国の関与が限定的であることから国費による負担軽減を行うことが適切ではないと考えられることといった点を考慮して、今回の負担軽減策の対象としていないところでございます。

○倉林明子君 総合事業やからって、利用者負担一割って変わらないですよね。
 さらに、自治体がやっているということで理由にされているんだけれども、自治体ごとに価格は決まっているので、これを外すという理由にはならないんじゃないかというふうに思うんです。
 そもそも、障害者の認定区分と介護保険の認定区分というのは大きな乖離があるという状況は御承知のとおりだと思うんです。六十五歳以上の障害者で要支援、こういった方々が認定区分ごとにどの程度いらっしゃるのか、つかんでいるでしょうか。

○政府参考人(宮嵜雅則君) お答え申し上げます。
 制度改正の前、平成二十七年に厚生労働省が行った調査の結果によりますと、二十五年度中に六十五歳に到達した障害福祉サービス利用者のうち、障害支援区分ごとに要支援一又は要支援二に該当する方の割合は、区分一では調査の人数で申し上げますと三百八十七名のうち百九十六名で五〇・六%、区分二につきましては千百二十九名のうち五百七十四名で五〇・八%、区分三は全体で九百三十四名のうち三百十九名が該当して三四・二%、区分四は全体の四百四十二人のうち五十三名で一二・〇%、区分五は全体で三百四十一名のうち二十三名の六・七%、区分六は全体で四百六十一ですけれども、そのうちの四名の〇・九%という数字になってございます。

○倉林明子君 これ今御説明あった中身を資料の一枚目のところでお配りしているんですけれども、これ対象にならないという、障害区分一でもこれ七割以上の人はもう要支援一以上ということになっているんです。
 今おっしゃったように、随分、区分の二という段階でも自立や要支援一、二に該当するという人たちがたくさんいるんですね。この介護保険の認定区分でいうと要支援二になったという方で、障害レベルがどんな人がなっているかというと、全身の麻痺があって電動車椅子使用、こういう人でも要支援二該当だったと。障害認定の区分とは別に要介護認定というのは低く出る傾向があるという、こういう指摘もされているし、知っていると思うんですね。
 本来、今回の措置は、障害者が六十五歳になったというだけで利用料負担が増加する事態を解消しようと、これは一歩前進だと思うんだけれども、はなから総合事業は対象外になっていると。ここもしっかり対象者の実態から見ても負担軽減の対象として含めるべきだというふうに私は思うんですけれども、これは大臣、いかがお考えでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) 現行の考え方は今部長の方から御説明をされたとおりなので、あえて重複は避けさせていただきたいと思います。
 その上で、今後ということについて申し上げれば、これ平成三十年四月が施行されるということでありますけれども、施行三年後の見直しという規定がございますので、そうした機会において今回創設した利用者負担軽減措置、これも含めて改正法の施行状況等について、これを踏まえ必要な議論を行っていくと、こういうことで対応していきたいと考えております。

○倉林明子君 総合事業は対象にならないということで、すぐその負担が生じて困っているということになっているわけですから、三年そのままということで放置せずに、私は緊急的な検討も必要だというふうに思います。障害者の意見を十分に踏まえることなく応益負担を導入した、これに対する反省を踏まえて今後の施策の立案、実施に当たると、これは障害者自立支援法の違憲訴訟原告団・弁護団との基本合意になっているわけで、これにも反するという声が上がるのは私当然だというふうに思います。
 六十五歳以上の障害者に介護保険を原則として適用する、これがやっぱり大きな矛盾を生んでいます。障害者に対しては原則障害福祉サービスを適用するということで是非検討をしていくべきだというふうに、これは要望にとどめておきたいと思います。
 次に、婦人保護事業について、婦人相談員の処遇改善について質問したいと思います。
 婦人保護事業の対象は、売春防止法を根拠としながら、DV、ストーカー、性暴力の被害女性に加えて、人身取引の被害者、ここまで拡大してきております。現場でその対応を担うというのが婦人相談員になるわけで、この処遇改善、喫緊の課題だと、厚労省も昨年に続きまして今年度も婦人相談員の手当を引き上げる予算措置を講じております。その理由、その中身、端的に御説明ください。

○政府参考人(吉田学君) お答えいたします。
 ドメスティック・バイオレンスの被害など女性を取り巻く様々な問題が年々増加するとともに深刻化している中で、婦人相談員の方々についても高い専門性と切れ目のない継続的な相談支援を行うことが求められていると認識してございます。
 このため、相談支援に対応するこの婦人相談員について、平成二十九年度に引き続く処遇改善を図るという観点から、平成三十年度予算において、一定の研修を修了された方について国庫補助基準額を月額最大十九万一千八百円、これは平成二十九年度の十四万九千三百円から四万二千五百円増やすという形での拡充でございますが、このような措置を講じさせていただいたところでございます。

○倉林明子君 現在の相談員の処遇改善という点では、私は一歩前進、評価したいと思うんです、率直に。
 さらに、昨年四月の法施行から、婦人相談員の専門性にふさわしい処遇ができるようにということで、売春防止法のこれ非常勤規定を外すという措置がとられております。資料二のところに入れておりますけれども、実際に、この非常勤規定があったということで圧倒的に非常勤の人が多いんですね。八割が非常勤ですということですから、この規定を外すということは非常に大事なことだというふうに思うわけです。
 厚労省として、この婦人相談員はやっぱり非常勤じゃなくて正規雇用がふさわしい処遇やということでこの規定は外されたという理解でよろしいでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) 今御指摘の婦人相談員を非常勤とする規定、これ平成二十八年の法改正において削除されたということでございます。
 最終的に常勤とするのか、非常勤とするのか、これを含めて婦人相談員の専門性にふさわしい処遇、これについては自治体において適切に検討していただくというふうに考えております。

○倉林明子君 結局、自治体が判断するということになっているんですね。非常勤規定が削除されたということで、ふさわしい処遇ということで考えれば、やっぱり正規への移行が進むべきものだというふうに思うんですね。ところが、現場で何が起こっているかといいますと、これまで少ないんだけれども正規職員で頑張ってきたと、そういうところで非常勤化にしていくと、こういうことが起こっているんですよ。
 東京都の小金井市、これまで常勤一名だったものを非常勤二名の体制に変更しています。体制は増えるように見えるんだけれども、実労働や経験というところからいうと随分後退になるという懸念が議会でも大問題になりました。このときのやり取りを聞いておりますと、市側はどう言っているかと。非常勤嘱託員の配置が他都市でも増えている、そういうことで、近隣の動向を見て非常勤嘱託にしたんだという説明しているんですよ。
 これ、経験を蓄積していく必要がある、非常勤を外した、市町村頑張ってねというところだろうと思うんだけれども、正規が非常勤になっちゃっていると、逆行するような事態になっているんじゃないかと思うんですけれども、実態つかんでいるでしょうか。

○政府参考人(吉田学君) お答えいたします。
 まず、先ほど大臣からも答弁ありましたように、それぞれの常勤、非常勤についてどのような専門性にふさわしい処遇にするかということは自治体における御判断ということをまず申し上げた上で、婦人相談員全体の数はこの資料にもいただいておりますように増加をしております。そのうち常勤の相談員の占める割合、直近五か年を見てもほとんど横ばいになってございますので、私ども、全体としては御指摘のように常勤の婦人相談員を非常勤に全国的に変える動きということが生じているとは受け止めてはございません。

○倉林明子君 いや、元々少ないので全国的に起こりようがないんですよ。ところが、自治体頑張って正規にしていたんだけれども、このお金が出るということもあって逆に非常勤になると。こんなことというのはいかがなものかというふうに思うんです。それまで非常勤規定があっても常勤で確保してきた、経験も積んでもらってきたと。そういう意味でいうと、婦人保護事業を担う、そういう意味でのプロとして育ってきた人、当てにもされてきた人なんですよ。こういう方々をこういう予算化ということを機会に非常勤化を進めると、こんなことになっちゃいけないんじゃないかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) 婦人相談員も含めて自治体の職員をどういうふうに任用していくのか、これは各自治体において、地方公務員法に基づいて、また地域の実情等を踏まえながら適切に御判断されていくものというふうに承知をしております。
 他方で、私どもとして、先ほど局長からも答弁いたしましたが、婦人相談員手当、これをかなり引上げをさせていただいて、もちろん研修等をお願いをしつつでありますけれども、そして、それは専門性を要する相談支援に対応する婦人相談員の処遇改善を図ると、こういう観点からでありまして、引き続き、そうした趣旨、内容についてはしっかりと地方自治体に対して周知をしていきたいと考えております。

○倉林明子君 非常勤規定を外すだけではふさわしいと言える処遇にはもう一つ足らないんだというふうに思うんですよ。
 資料の三を見ていただきたいと思うんですが、右のところに円グラフがございます。これ、非常勤の婦人相談員が圧倒的に多いという中で、在職年数が五年未満、これ七割になっているんですね。賃金での改善ということで努力もしていただいたんだけれど、この五年以下が多いというところの背景に雇い止めという問題も指摘されているんですね。
 この相談員の専門性を断ち切るような雇用契約、これ、ふさわしい仕事をしてもらうという処遇とは相入れないと思うんですよ。もちろん自治体の判断だけれども、ふさわしい処遇に改善していく必要があるという観点からも見直しが必要だというふうに思います。いかがでしょう。

○国務大臣(加藤勝信君) 重ねてになって恐縮でありますが、基本的には、今委員も御指摘になったように、各自治体において御判断されるということがベースになるわけであります。
 ただ一方で、婦人相談員の専門性、しかも、先ほど委員からも指摘ありましたように、かなり様々な課題に対応していくということが求められているわけでありますので、また、厚生労働省としても、専門性向上のための研修、これを実施をしていく。そして他方で、研修を修了した職員を対象に、この婦人相談員手当の国庫補助金額、これ、ここ二年間でいうともう倍近く上げさせていただいております。
 こうしたことを通じて、様々な課題を抱える相談者に適切な支援ができる職員の確保、これに地方公共団体が努力をされていると思いますので、我々もそれをしっかり支援をさせていただきたいと思います。

○倉林明子君 いや、経験の蓄積というところの障害に雇い止めというのがなっているということをしっかり受け止めていただきたいし、そういう実態をよくつかんでいただきたいと思うんですよ。
 相談員には何が求められているかというと、やっぱり人として尊厳を守ると、被害女性の。自己決定を尊重し、支援のための専門性や力量が私求められる職業だというふうに思うわけです。
 自治体がなぜ常勤職員で雇用できないかといえば、理由ははっきりしていて、配置基準とかそういう国の裏付けがないというところがやっぱり大きいと思うんですよね。その職員の配置基準の定めがないと。これを自治体の事業、自治体の責務ということにしている限り、やっぱり私、限界はあるというふうに思うんです。国が責任を持って婦人相談員の配置基準を定める、交付税措置をしっかり確保する、こういう裏付けがないと、自治体は常勤雇用、踏み出せないと思います。いかがでしょう。

○国務大臣(加藤勝信君) くどいようで恐縮なんですが、基本的には、それぞれの地域の実情に応じて婦人相談員を配置していただく、それは地域地域でいろんな事情がありますから、それを踏まえていただく、そして任用についても各自治体において適切に御判断いただく、これがベースになるものというふうに考えておりますが、ただ、先ほど御説明申し上げたように、研修でやり、この手当について我々引上げ等も行わせていただきました。また、配置数に応じた措置も、これはずっとこれまでもとらせていただきました。
 今後とも、国としては、適切な相談支援体制がそれぞれの自治体において確保されるように支援をしていきたいと考えております。

○倉林明子君 私、やっぱり根拠法、売防法の見直しというのが必要なんだと思うんですよ。これ、与党PTからも提言出されていますよね。私は、本当にそういう意味で、現在の女性のニーズに対応できるこの法整備というのを、必要だし、抜本的にその点での改正を強く求めまして、今日は終わります。