倉林明子

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負担重い国保 生存脅かす差し押さえ 参院予算委で 倉林議員が中止要求 / 困窮の連鎖断ち切れ 高い国保料 倉林議員迫る(予算委員会)

(資料があります)
(議事録は後日更新いたします)

 「生存権を脅かすような差し押さえはやめるべきだ」―。日本共産党の倉林明子議員は1日の参院予算委員会で、高すぎる国民健康保険料(税)が払えない加入者に対し、市区町村が情け容赦なく財産を差し押さえている実態を示し、それを助長している政府の姿勢をただしました。

 倉林氏は、国保加入者のなかで非正規雇用労働者や高齢者が増え、低賃金・低年金で保険料負担がきわだって重くなっている一方、滞納者への財産差し押さえは29万8千件(2015年度)に達していることを示しました。

 給与収入月17万円だけで暮らす70歳男性ら3人家族が、国保料が月2万円超で払いたくても払えず給与を差し押さえられた例を紹介。国税徴収法ではこの家族の場合、月19万円以上の収入がないと差し押さえは行えないため法律に反しており、差し押さえで生活保護基準も下回ったと述べ、生存権を脅かす差し押さえを批判しました。

 安倍首相は「制度が適切に運用されるよう自治体に周知を図る」と答えました。

 倉林氏は「差し押さえの強化が懸念されるのが、4月からの保険者努力支援制度だ」として政府の姿勢を追及しました。

 同制度は国保料の徴収率アップに応じて政府が市町村への交付金を上乗せするもので、倉林氏は「市町村は差し押さえ件数を増やすしかなくなる。違法な差し押さえを助長してはいけない」と主張しました。

 さらに倉林氏は、自治体独自の子ども医療費助成に対する国のペナルティー措置について、18年度からの一部廃止による財源でさらに助成拡充できることを厚労相に確認。ペナルティーの全面廃止と政府としての助成制度の創設を迫りました。


 高すぎる国民健康保険料(税)が払えずに財産を差し押さえられる理不尽―。日本共産党の倉林明子議員による1日の参院予算委員会での追及は、高すぎる国保料に苦しむ人々の思いを代弁するものでした。

 国保の保険料負担は組合健保の1・6倍と高額のうえ、加入者の8割近くが非正規労働や年金生活など低所得者です。

 倉林氏は「所得が低い加入者は、保険料を払い切れずに滞納せざるを得ない人が少なくない」として、東京都内の70歳男性の事例を紹介しました。

 病気の妻と引きこもりの息子の3人家族。収入は派遣で働く男性の月17万円のみ。家賃6・9万円、医療費1万円。月額2万円超の国保料が払えず滞納となり、給与を差し押さえられたと言います。

 倉林氏は「差し押さえされると困窮に陥る。こういう連鎖は断ち切らなければならない」と強調。国税徴収法に基づけば差し押さえ金額の限度は本人10万円、家族1人につき4・5万円だと指摘しました。

倉林 紹介した3人家族の限度額は19万円。給与を差し押さえれば生活保護基準を下回る。生存権を脅かすような差し押さえはやってはならない。

安倍首相 差し押さえによって生活が極めて困難にならないよう、各市町村の判断により差し押さえの対象としないことができる仕組みがある。各市町村に周知を図りたい。

 倉林氏は、4月から始まる保険者努力支援制度では、保険料収納率を向上させれば市町村への交付金が上乗せされると指摘。東京では新規差し押さえが500件以上だと最大4千万円が交付されるため、滞納額105万円の世帯でわずか59円の銀行残高まで差し押さえられた事例を紹介しました。

倉林 国税徴収法に反する差し押さえなどあってはならない。

加藤勝信厚生労働相 国保の滞納には個々の事情に即したきめ細かな対応が重要。生活を困窮させる恐れがあるときには、差し押さえの対象外とすることなどが大事だ。

 倉林氏は、自治体が子どもの医療費助成を行うと国保への交付金が減らされるペナルティーについて追及しました。各界の批判を受けて、政府は来年度から未就学児については減額調整を見直す方針です。

倉林 一歩前進だが、見直しを知らせる厚労省の通知には、見直しにより生じた財源は他の少子化対策の拡充に充てること、と書いている。

加藤厚労相 通知は国として自治体に強制するものではない。

 倉林氏は「各自治体が判断するということだ」と確認。「国として子どもの医療費助成制度の創設を検討してほしいという声が地方6団体、何より子育て世代の切実な願いになっている。この声に応えるべきだ」と強く求めました。


国保(市町村)・協会けんぽ・組合健保の比較

市町村国保における加入世帯主の職業構成割合

国民健康保険の差押件数と差押金額の推移

東京都「収納率向上に関わる取組成績別交付算定表」 差押件数、差押割合による交付


議事録を読む(未定稿)

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 来年度から制度の枠組みが大きく変わります国民健康保険について、その現状について質問したいと思います。
 そもそも国民健康保険は、他の医療保険制度には加入していない方を受け入れている我が国の国民皆保険制度を支える重要な基盤となる制度であります。ところが、今、この国民健康保険が加入者にとって大変厳しい実態になっております。
 まず、確認をさせていただきたいと思います。国民健康保険、協会けんぽ、組合健保、それぞれの医療制度で加入者一人当たりの所得に対する保険料負担の割合、これはどうなっているでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) 平成二十七年度の数字でありますが、加入者一人当たりの平均所得に対する平均的な保険料負担の割合を算出いたしますと、国民健康保険においては一〇・〇%、また被用者保険であります協会けんぽでは七・六%、組合健保では五・八%となっております。なお、被用者保険に関しては事業主負担分を含まない数字であります。
   〔委員長退席、理事宇都隆史君着席〕

○倉林明子君 事業主負担を含まない割合でも、国保加入者は組合健保の一・六倍、協会けんぽの一・三倍重い負担率になっていることははっきりしていると思うんですね。
 なぜこんなに国民健康保険料が高いのかと。国保加入者の、私、実態を見てみたいと思うわけです。加入世帯主の職業構成割合、これは制度発足時、そして直近でいうとどうなっているでしょうか、御説明ください。(資料提示)

○国務大臣(加藤勝信君) 制度発足の一九六五年と直近、これ二〇一五年の数字でありますが、比較をさせていただきます。
 一九六五年における国保加入世帯主の職業構成割合、今パネル出ておりますので、もう一回言った方がいいですか。(発言する者あり)はい、済みません。農林水産業は四二・一、農林水産業以外の自営業は二五・四%、被用者が一九・五%、その他の職業が六・四%、そして、もう一個、無職というのがあるんですが、が六・六%です。その他が入っていないですか、そこに。(発言する者あり)済みません。
 二〇一五年について申し上げますと、農林水産業は二・五%、農林水産業以外の自営業が一四・五%、被用者が三四・一%、その他の職業というのがあるんですが、これが四・八%、無職が四四・一%、こうなっています。

○倉林明子君 パネルにすると、若干違いはありましたけれども、おおむねのところではほぼ一致していると思うんですが、こうなるわけですね。
 発足当時は、農林水産、自営業、ここが七割を占めているわけですが、現状どうなっているかといいますと、被用者が増えています。これは圧倒的に非正規の方々ということになるわけですね。無職は年金の方が多いかと思うんですが、こういう非正規雇用と無職の方を加えると、現状で八割というような数になっているわけですね。
   〔理事宇都隆史君退席、委員長着席〕
 そこで、次のパネルを見ていただきたいと思うんです。
 これ、現状で直近の数字を市町村国保、協会けんぽ、組合健保と並べております。六十五歳から七十四歳の割合というのは、市町村国保がもうほぼ四割と極めて高い比率になっております。医療費のところを見ていただきますと、協会けんぽ、組合健保の倍を超えております。平均所得を見てみますと、大方半分という状況になっているわけですね。
 制度発足時から見ましても、明らかに加入者の負担が、私、重くなっていると思うんですけれども、大臣の認識はいかがでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) まず日本の医療保険全体でありますけれども、この五十年間で、高齢者、高齢化率が約六%から約二六%まで上昇しておりますので、それに伴う医療費が増加ということがございます。それから、様々な新しい薬が開発をされ、それを利用するようにしていますので、そうした高度化に対応した給付もその中に取り込んでいるわけであります。
 さらには、給付率の引上げ、逆に言うと、本人負担の引下げ、あるいは高額療養費制度の導入、こういったことで制度の充実も実現をし、その結果として、給付費が大きく、給付費というのは医療費から自己負担を引いて税や保険料で納めるこの金額ですが、が拡大をし、これを国民負担の全体の負担で支え合ってきている。こうした経過の中で、国保制度のみならず、医療保険全体においても所得に対する保険料負担の割合が上がってきているというのが一つあります。
 その上で、今お話がありましたように、国保においては、特に急激な高齢化が保険者の中でも進んでいます。また、自営業を営む加入者の割合が大幅に減少している、そして、先ほど委員がまとめられたように、無職や非正規雇用の労働者など低所得の加入者が増加をしている、こういった構造的な問題もあります。
 こうしたことから、公費をほかの制度に比べて手厚く投入をしているわけでありまして、また、本年四月から施行する国保改革においては、低所得者対策の拡充も含めて、毎年三千四百億の追加的な財政支援も行うことにしております。

○倉林明子君 相対的に見ても、国民健康保険って高くなっているんですよね。
 所得が低い加入者に重い負担率、もう払い切れずに滞納するという、滞納せざるを得ないと、こういう人が少なくないわけですよ。そこに情け容赦のない差押えが実際にやられているわけです。滞納世帯は現在三百十一万世帯、高止まりをしております。
 そこで、直近の国民健康保険料滞納金額、そして差押え件数、差押えの金額、これどうなっているでしょうか、御紹介ください。

○国務大臣(加藤勝信君) 平成二十七年度末における過去からの累積の滞納繰越額は約九千三百二十二億円、また、これは、したがって、二〇一四年までに発生して二〇一五年に繰り越された滞納額ですが、また二〇一五年度単年で新たに発生した滞納額は約二千五百億円、さらに二〇一五年度の延べ差押件数は約二十九万八千件、延べ差押金額は約九百六十八億円となっているところであります。

○倉林明子君 これ、パネルを見ていただきたいと思うんですが、直近の数字は今いただきました。この間の二〇〇〇年以降の差押件数と差押金額の推移をグラフにしたものであります。
 厚労大臣、伺いたいと思うんですけれども、なぜこんなに差押えが額、件数共に増えているというふうにお考えでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) 差押件数が増加をしている理由というのは、様々あるというふうに思います。ただ、例えば複数の自治体が共同して差押えに関連する手続を処理する組織を設置するなど、自治体においてそうした体制が整ってきているということもあるんだろうと思います。ちなみに、そうした設置をしている市町村数、平成二十一年度が四百六十市町村が、平成二十七年度には七百六市町村と約一・五倍となっております。
 いずれにしても、国保保険料の滞納が発生した場合には、もちろん個々の事情に応じてきめ細やかな対応は当然必要でありますが、引き続き市町村に対してそうした点についても周知を行っていきたいと思っております。

○倉林明子君 現場でどんな差押えになっているのかということを、これ紹介したいと思います。
 東京都内の七十歳の男性です。病気を持つ妻と引きこもりで働けない息子さん、三人家族です。収入は、派遣で働いております男性の月収十七万円のみという方。その中から、家賃六・九万円、医療費二人分一万円、食費、光熱水費、引きますと、もうぎりぎりの生活になります。
 滞納を既にしていた昨年の国民健康保険分、そして今年の分ということで、合わせて二万円、月額、超える国民健康保険料の支払を役所といたしました。しかし、払えないんですよ。それで、再び滞納に追い込まれました。元々無理のある納付計画だと私は思うんですけれども、この納付計画を達成できなかったということで、唯一の収入である男性の給与が差し押さえられたわけです。こんな差押えをやりましたら、私、生活そのものが立ち行かなくなると思うわけですね。
 ここまで国保の現状について質疑してまいりましたけれども、総理に改めてお聞きしたいと思います。国民健康保険の現状についての認識を伺っておきたいと思います。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 国民健康保険制度は、他の公的医療保険に加入しない方が加入する国民皆保険のとりでとして重要な制度であり、この制度を持続可能で安定的なものとして次世代に受け継いでいく責任があります。
 国保制度の現状としては、制度発足時と比べて、被保険者の高齢化や医療の高度化といった変化により給付費が大幅に増加してきたこと、無職の方が占める割合が高まるなど、被保険者の中で所得の低い方が増えてきたこと等、社会経済情勢が大きく変化する中で様々な課題が生じてきたと認識をしております。
 こうした状況も踏まえて、本年四月より国保制度を都道府県単位化することと併せ、所得の低い方が多く加入する保険者に対する財政支援の拡充等を行うことで国保の財政基盤を大幅に強化することとしているところであります。

○倉林明子君 現実は、病気や入院、これを契機といたしまして滞納に陥るというケースは本当に少なくないんですね。滞納すれば、無理な納付計画ということで約束をします。しかし、先ほどのように払えなくなる、で、約束が破られた、信頼できない、こういうことで差押えをされるわけです。差押えされると生活困窮に陥る、こういう連鎖は私、断ち切らなければならない、こう思うんですね。
 そこで、国民健康保険料の徴収、これは国税徴収法に基づいて行われるものとなっております。そこで、まず、国税庁に確認をしたいと思います。
 差押えをしてはならない給与の限度額、月額でどうなっているのか、そして、なぜ差押えをしてはならないと定めているのか、御説明ください。

○政府参考人(藤井健志君) お答え申し上げます。
 納税者が支給を受ける給与につきましては、その納税者の最低生活の維持などに充てるため、法令において差押えをすることができない金額が定められているところでございます。
 具体的には、給与から差し引かれる所得税、住民税、社会保険料などに相当する金額のほか、一月ごとに納税者本人につき十万円、また生計を一にする親族があるときはこれらの方一人について四万五千円を加算する金額などの一定の金額については差押えが禁止されているところでございます。

○倉林明子君 最低生活に支障を及ぼすと認められる差押金額の限度、今ありましたように本人十万円、家族一人につき四・五万円。この限度額というのは、決まったのは平成三年なんですね。二十七年据え置かれたままなんですよ。現在の生活扶助の基準と比べると、一人世帯でおよそ五千円低いんですね。紹介した事例、三人家族でした。限度額は二十七年前の基準でも十九万円なんですよ。ところが、実際の収入は月額十七万円ですから、給与を差し押さえれば生活保護基準を下回るということははっきりしているんです。
 総理、お聞きしたい。生存権を脅かすような差押えというのはやってはならない。どうでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 生存権を脅かすような差押えはやってはならないという御指摘でありますが、国民健康保険は加入者が相互に支え合う社会保険の仕組みを基本としており、負担能力に応じた保険料を負担していただくことが必要と考えています。そのため、保険料を支払う能力があり、能力があり、しかし保険料を納付できない特別の事情がないにもかかわらず滞納している方については差押えによる徴収などを行う必要があると考えています。ただし、差押えによって生活が極めて困難になることがないよう、各市町村の判断により差押えの対象としないことができる仕組みがあります。
 今後とも、制度が適切に運用されるよう、各市町村に対して周知を図ってまいりたいと考えております。

○倉林明子君 当然、能力があるのに払わない人をほっとくなんということを私たちは認めるわけではない。もちろん、能力がない人で生存権を脅かすような差押え実際やられているから総理に改めて確認したんだということですよ。これ、更に差押えが強化されるんじゃないかという懸念があるのが、四月から本格実施となる保険者努力支援制度なんです。国民健康保険料の収納率向上に対して交付金上乗せすると、こういう仕組みも盛り込まれているものです。
 それでは、既に東京都で一体どんなことが起こっているかということを紹介したいと思います。
 このパネルは、平成十七年度から始まった収納率向上に対して交付金を上乗せする、その算定表なんです。見ていただきたいと思いますけれども、新規の差押件数が五百件以上やったら交付する額は四千万円、これ最高額です。さらに、この差押割合に対して新規の件数が多い場合は、最大一〇%以上超えたら五百万円交付するというんですよ。こんなことがやられるとどうなるかということです。交付金の上積みが欲しいですよ、市町村は。そうなったら新規の差押件数増やすしかないと、こういうことになるんです。
 実際にどんなことが起こっているかといいますと、生活困窮で国保が滞納したと、その滞納額百五万円と。そうしたら、何と僅か五十九円、この銀行残高の差押えがされているんですよ。滞納額の解消にも程遠いし、差押えに掛かる費用さえ明らかに下回る額じゃないかと私は思います。
 財務大臣に聞きたいと思います。国税の場合もこうした差押えってやるんでしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) 具体的な国税の執行に関するお尋ねに対しては、これは従来までの個別の案件に関しましては財務大臣が関与しないということで執行されております、多分御存じのとおりなので。その点に関しましては、政府参考人から答弁させていただいた方がよろしいと存じます。

○政府参考人(藤井健志君) お答え申し上げます。
 滞納整理に当たりましては、納税者から一括納付が困難との相談があった場合には、事業内容、業績、資金や財産の状況といった個々の実情を十分に把握した上で猶予制度を適用して分割納付を認めるなど、法令等に基づき適切に対応しているところでございます。
 一方、自主的な納付を促しても納付の意思が認められないような場合や納付約束の不履行が繰り返されるような場合などについては、期限内に納付した納税者の方との公平性を確保する観点から、財産の差押えを行うなど厳正に対処する必要があると考えております。
 いずれにいたしましても、実際の差押えに当たっては、納税者個々の実情に即しつつ、法令の趣旨を踏まえて判断する必要があり、財産の差押えについても引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。

○倉林明子君 五十九円の差押えというのは、本当に意味がないというふうに思います。
 で、そういう国保でもでですよ、明らかに生存権を侵害するような国税徴収法に反する差押え、これは、厚労大臣、あってはならないと思いますけれど、いかがでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) 先ほどからお話をさせていただいていますように、国保保険料の滞納が発生した場合には個々の事情に即したきめ細かな対応が重要だと考えておりまして、具体的には、保険料の納付告知の際、また滞納があった際には納付相談を行い、必要に応じて分割納付を認めるということ、その上で更に滞納があった場合でも、差押えにより生活を困窮させるおそれがあるときには差押えの対象外とすること、差押えをした場合でも、申請による換価、すなわち差押財産の入札又は競売ですが、の猶予を行うこと等の手段を適切に活用することが大変大事であります。
 徴収業務においては国税徴収法にのっとって対応させていただいておりますけれども、また、徴収業務における様々な対応については、全国の自治体職員向けの会議などを通じて引き続き所要の周知を図っていきたいと思っております。

○倉林明子君 違法な差押えを助長するようなことはあってはならないということで、厳しく指摘をしておきます。
 次に、生活困窮の子育て世帯が、子供が病気になったときにお金がないからと病院に行けない、こんなことはあってはならないというふうに思うし、それに対して地方自治体で拡充されてきたのが子供の医療費助成制度だと思うわけです。これ、助成対象を中学生、高校生まで拡大してきておりますけれども、子育て世帯にすごく喜ばれているわけです。
 入院、通院、どのぐらいで自治体実施しているのか、御説明ください。

○国務大臣(加藤勝信君) 平成二十八年四月一日時点の我が厚生労働省の調査でありますが、対象年齢はそれぞれありますけれども、全ての市町村において通院、入院ともに子供の医療費助成が実施されているというふうに認識をしております。
 助成対象年齢別では、通院、入院ともに中学生までを対象としている市区町村が最も多く、通院では五七・七%、入院では六七・一%と、こうなっています。

○倉林明子君 問題は、この子供の医療費助成制度の拡充に対して国保にペナルティー措置ということでやってきたんですね。これ、全国知事会や地方からの声に応えまして、来年度からこの減額措置、ペナルティーは一部見直すということになりました。中身と影響額、御説明ください。

○国務大臣(加藤勝信君) 子供の医療費助成に係る国保の減額調整措置については、平成二十八年六月の閣議決定でありますニッポン一億総活躍プランを踏まえて、関係審議会における議論もなされ、検討を行われた結果、自治体の少子化対策の取組を支援をするという観点から、平成三十年度より未就学児までを対象とする医療費助成については減額調整措置を行わないということにいたしました。
 この見直しによる影響額は、国費ベースで申し上げれば、平成三十年度で約五十六億円と見込んでおります。

○倉林明子君 これ、就学児以上に対する減額措置ということでいうと、残り三十億円まだやるんですよね。
 確かに一歩前進なんですけれども、この減額措置の見直しを知らせる厚労省の通知については、見直しにより生じた財源については、更なる医療費助成の拡大ではなく、他の少子化対策の拡充に充てることを求めると書いてあるんですね。これ問題だということで厚生労働委員会で取り上げましたところ、国として強制する、禁止するというものではないということが確認できました。
 改めて、大臣、このとおりでよろしいですね。

○国務大臣(加藤勝信君) この子供医療費助成に係る国保の減額調整措置については、厚労省の検討会、また社会保障審議会医療保険部会においてもいろいろと議論をいただきました。その御意見についてそれをお伝えをするという趣旨で課長通知が発出されたというところでありますが、今お話がありましたように、国としてこれを自治体に強制するものではない、これははっきりしております。

○倉林明子君 各自治体が判断するということになると思います。
 総理、ペナルティー措置、この全面的な廃止、国として子供の医療費助成制度の創設、検討してほしいという声は、全国知事会、六団体、これ一貫して求めております。何よりも子育て世代の切実な願いになっています。これ、応えるべきじゃないでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 国保制度における減額調整措置についてお尋ねがございましたが、国保制度においては自治体が独自に窓口負担を軽減している場合がありまして、子供についてはほとんど全てと言ってもいいと、こう思います。その場合、窓口負担を軽減することにより医療費が増加する可能性があります。そこで、そうして増えた部分に対する公費については、全国で負担するのではなく当該自治体において負担していただくこととし、その分国費等を減額する仕組みとしています。この仕組み自体は、限られた財源の公平な配分等の観点から合理的であると考えています。
 しかしながら、これまでも累次にわたりこの件については地方団体から要請をいただき、また国会でも御議論をいただきました。厚生省において検討した結果、本年四月より、未就学児に対する医療費助成に関しては、自治体の少子化対策の取組を支援する観点から、この仕組みの対象から外すことといたしました。既に国として、医療保険制度において、未就学児については医療費の自己負担を三割から二割に軽減をしています。そういう中で、自己負担を更に軽減するために自治体が独自に行っている助成制度を国の制度として行うことについては、慎重な検討が必要であると考えております。

○倉林明子君 残念な答弁だと申し上げておきたい。
 代表質問で我が党の小池議員も取り上げましたけれども……

○委員長(金子原二郎君) 時間が来ています。

○倉林明子君 生活困窮世帯の子供、格差があるということは紹介したとおりだと思います。子供の医療費助成制度、国の責任で実現を強く求めまして、終わります。

○委員長(金子原二郎君) 以上で倉林明子君の質疑は終了いたしました。(拍手)