倉林明子

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精神保健法改定 権利擁護の流れも壊す(厚生労働委員会)

(資料があります)

 日本共産党の倉林明子議員は11日の参院厚生労働委員会で、障害者施設での殺傷事件の「再発防止」を口実に進められてきた精神保健法改定案について、精神障害者の措置入院後の支援に警察の関与を強めるなどの見直しは「継続支援に名を借りた監視体制づくりにほかならない」と強く批判しました。
 
 倉林氏は、改定案に「精神障害者の人権を尊重するほか、精神障害者の退院による地域への移行が促進されるよう十分配慮しなければならない」との項目が新設されたことは重要だとしつつも、「人権尊重の観点からの見直しが今回のような改定になるのか」と指摘。
 精神障害者に対して、「自傷他害の恐れ」があると判断された場合に行政命令で入院させるのが措置入院ですが、倉林氏は、この判断基準が自治体によって大きなばらつきがあると指摘。「人権はどこに住んでも等しく尊重されるべきで、措置入院という権利制限の格差解消こそ取り組むべきだ。精神障害者の人権擁護の観点が欠落している」と迫りました。
 
 倉林氏は、「入院から地域へ」を目指した前回改定の総括と検証すらまともにできていない実態を強調。「すでに整備されている社会復帰支援の枠組みを現実的に生かしていくべきだ。犯罪防止を改正目的としてしまったことで、これまでの障害者の権利を擁護し、入院から地域へとしてきた流れも壊しかねない」と批判しました。


主な自治体の新規措置入院患者数(2016年11月2日付 東京新聞より)


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 前回までの質疑、そして今日午前中からこれまでの質疑でも、警察の関与、ここに関する質疑がやっぱり出てくるわけですね。
 そこで、改めて、地域協議会、法上、原則をどう扱っていくのかという説明はされてきたかと思います。警察、個別ケース検討会議については例外にすると。いろいろガイドラインについて権利擁護の観点から整備していくという趣旨の説明がされているかと思うんですけれども、一方、警察との役割分担をどう進めていくのかというのが今度のポイントでもあるんですね。
 その場合です。やっぱり前回も質疑させていただきましたけれども、大臣は、薬物使用、この犯罪についてどう扱っていくのかということについて、措置入院の原因が規制薬物の使用によるものである場合、これを症状消退届に書くんだと、記載していくんだと。何も書いていなかったから問題で、これ書くようにしていくんだという答弁があったわけですね。つまり、この消退届は公務員が受け取るわけですね、もちろん、消退届ですから。つまり、消退届を受け取った公務員は、犯罪行為があった場合、この消退届を受け取った時点で知るという仕組みをしっかりつくっていくんだと、こういうことでよろしいですか、堀江さん。

○政府参考人(堀江裕君) 違法薬物の使用、所持が犯罪行為であって、警察において適切な対応がなされることが必要であると考えてございます。
 一方で、薬物依存症の患者については、治療継続の観点も重要であって、医療関係者等から、治療中の患者について違法薬物の使用を把握した場合の警察への情報提供の在り方については、慎重に検討すべきであるという御意見もいただいています。
 こうした点、現在は、措置入院中に違法薬物の使用を把握した医療機関や自治体が警察に情報提供をするか否かについては医療機関や自治体の判断に委ねられていて、医療機関、自治体ごとに取扱いにばらつきがあるということで、一般に公務員の告発義務はあらゆる場合に課されるものではなく、告発を行うか否かについては、犯罪の重大性、犯罪があると思料することの相当性、今後の行政運営に与える影響等の諸点を総合的かつ慎重に検討して判断されると解する見解がございまして、また、その案件を告発して刑事司法のルートに乗せることがかえってその後の行政運営に重大な支障が生じると見られ、かつ、行政上の措置によってその違法状態が十分是正し得る場合には行政機関の裁量により告発を見合わせることができるとも解されてございまして、告発を行うか否かの判断には一定の裁量が認められていると考えているところでございまして、こうした公務員の告発義務に一定の裁量が認められると見解があることも踏まえまして、厚生労働省としては、薬物依存症の患者の治療継続に配慮した警察への情報提供の在り方について検討し、全国的な対応方針を示してまいりたいというふうに考えているところでございます。

○倉林明子君 いろいろ配慮するということはこの間、説明重ねてきているんだけれども、要は、消退届にきちんと書くようにするということになれば、公務員はこの消退届を受け取った時点で犯罪情報を知るという立場になるわけですよ。いろいろ裁量はあるんです。だけど、公務員には告発義務も課されているわけですよね。医療機関には、民間医療機関である場合はこの告発義務ありません。
 ところが、この措置解除に伴って必ず提出される消退届を受け取るのは公務員なわけですよ。この犯罪情報を徹底して必ず公務員には知らせるというこれ仕組みになることは間違いないわけです。公務員から警察への情報提供を必ず得ることにしておいて、どういう情報提供のルールをしていくのか、こういうルールを作っていくということがこれ見えてきたなというふうに思うんです。
 さらに、グレーゾーンのところをどうするのかという話で、これもばらつきがあると言うんだけれども、説明の中ではっきりしてきたのは、確固たる信念を持っている者と、こう判断した場合の対応は警察も入った協議会の中で相談していくんだと、事前に決めていくんだと。どういうものが犯罪に該当するのかということですよね、これを事前に協議する場には警察も入るということです。
 個別のところには警察は原則入らないという繰り返し説明受けているんだけれども、個別のケースの検討の会議で具体的に、これはグレーだ、確固たる信念を持って犯罪を企図しているという判断が私はこれ迫られてくるんじゃないかと思うんですよ、ケース検討会議で。それは、警察が入った中でこれはグレーということを一定整理して臨むということですから、要は、そのラインを明確にした上で、確固たる信念を持った犯罪を企図する者をこれは警察に情報を通報するということになるんじゃないですか、どうですか。

○政府参考人(堀江裕君) 個別ケース検討会議は支援のために行うものでございますから、そこの場に防犯の立場から警察が入ることはございませんので、警察に通報することはありません。

○倉林明子君 いや、確固たる信念を持った犯罪を企図する者、このグレーゾーンの対象となる者をはっきりさせていこう、こういう考え方なんじゃないですか。つまり、色分けしなあかんわけですよ、これは妄想か、これは幻聴か、それとも確固たる信念を持って犯罪を企図している人なのかと。これをケース検討会議でやらなかったら、できないと思いますよ。どうですか。

○政府参考人(堀江裕君) 個別ケース検討会議はあくまで支援のための会議でありまして、確固たる信念を持って犯罪を企画するということであれば、している方であれば、それは医療の対象というよりは、犯罪を非常に企図している方ですということであれば、もうその個別ケース検討会議の外で、入る前に自治体が警察と協議する、そういうことになると思います。

○倉林明子君 今、共謀罪の議論があります。犯罪は何をもって成立するか、実行をもって成立するんですよ。確固たる信念を持って犯罪を企図している段階で警察に通報が措置入院の場合届くという、これを本当に精神障害者の方々は心配しているんですよ。つまり、自分が妄想している、あるいは混乱している、幻聴があると、これと、確固たる信念を持ったというふうに判定されたら、犯罪やっていないのに犯罪をするかもしれない者として監視対象になるんじゃないか、この懸念は全く私この間の議論で払拭されているとは思いません。いかがですか。

○政府参考人(堀江裕君) 精神保健福祉法に今回規定させていただこうとしています個別ケース検討会議は、本人の医療等の支援のための会議でございますので、そうした議論はいたしません。

○倉林明子君 じゃ、グレーゾーンの議論というのを改めて私詰めて議論をやり直したいと思いますので、これは引き続きの課題に取っておきたいと思います。
 ただ、ここなんですね、警察の監視対象にされるんじゃないか、グレーゾーンという誤解、それこそ、その犯罪につなげるというところに医療が介入する、これが治療が必要な方々を医療からも遠ざけることになる、これが最も精神医療にとって避けなければならないことだと思うんですよ。治療から遠ざけ、事態の悪化につながるような懸念があるということを改めて指摘し、引き続きこの点をはっきりさせたいと思います。改めて、継続支援に名を借りた監視体制づくりということにこれはつながりかねないということは強く指摘をしておきたいというふうに思います。
 そこで、本来、精神保健福祉法でやるべきことは何だったんだということをこの際しっかり議論しておく必要が私はあるだろうというふうに思っています。先ほども山本理事の方から指摘があった、今回、新設条項として盛り込まれた法二条二項、ここには精神障害者の人権を尊重するほか、精神障害者の退院による地域への移行が促進されるよう十分配慮しなければならない。私、これはずうっとこの間続いてきた考え方を改めて入れ込んだという点で大事な条項だと思っているんですね。
 そこで、この精神障害者の人権尊重、こういう観点から、現在の措置入院の仕組み、これ見直すべき点は今回の法改正で提案されているような中身なのだろうかと、もっと人権尊重という観点から大きく抱えている問題があるんじゃないかということを指摘したいと思うんですね。
 その一つが、措置入院の適用の問題なんです。先ほど自見委員の方からも若干触れられましたけれども、これ資料で入れております。主な自治体ごとに新規の措置入院の患者数を人口十万人当たり上から順番にこれ並べているもので、東京新聞が調べて記事にしたものを付けておきました。
 つまり、措置入院、自治体によって、自傷他害のおそれがあるということで、本来やるべきではない人権制限、強烈な人権制限をやるということなんだけれども、ところが、その入口の時点でこれだけ自治体によってばらつきがあると。これは私、重大な問題であろうと思っているわけですが、現状のこういう権利侵害の程度に自治体によってばらつきがある、こういう状況を厚労省は把握しているんでしょうか。

○政府参考人(堀江裕君) 今の資料にあります措置入院の割合ですとか、あるいは措置入院の端緒となります警察官通報に関して、これまでそれぞれの自治体の実情に応じた運用が行われておりまして、自治体ごとのばらつきがあるということについては承知をしております。
 この警察官通報に係る部分でございますが、現在、厚生労働科学研究の研究班におきまして、都道府県、指定都市や警察庁に対しまして警察官通報に係るヒアリング等を行ってございまして、この結果、本年秋以降に取りまとめる予定でございまして、研究結果を踏まえまして、警察庁とも警察官通報の地域差を含めた実態の共有あるいは協力を図りまして、警察官通報に関する国としての考え方や対応方針等を運用通知として示してまいりたいというふうに考えてございますし、今、東京新聞のコピーでということでお示しありました措置入院につきましても、またよくその状況を把握して自治体に情報提供をしていきたいと考えてございます。

○倉林明子君 こういう状況があってはならないというふうに思うわけですよ。これだけ権利侵害、公の自治体によってやられる。法に基づいてやられている権利制限措置なわけですよ。これ、最高のさいたま市、最低の札幌市、二十七・六倍の格差があるんですよ。こうした格差、自傷他害のおそれの判断、こういう判断が自治体でこれだけ、居住しているところでこれだけ異なっている、大変重大な問題だと私は思って指摘しているんだけれど、直ちに解消していくべき措置入院制度の問題じゃないかと。大臣、認識いかがですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) おっしゃるように、ばらつきがあるというのは私ども冒頭から申し上げてまいったところでございまして、それは二十三条通報のこれもばらつきが大きくあり、一方で、今お話がありましたように、措置入院の比率についてもばらつきがあるといったようなことが見られるわけであります。
 おっしゃるように、基本的な統計について十分な統計がなされているかと……(発言する者あり)そもそも最初にはまずデータを集めなければいけないのであって、それについて今まで長らくそういうことが必ずしも整っていないままに、措置入院から解除をされた後の、どういう入院、退院、これについても悉皆的なデータがないということであれば、やっぱりこういうものをきちっと押さえた上で私どもは更なる適切なる判断をするということが大事なんだろうというふうに思いますので、ばらつきをなくすために私どもは、自治事務といえども少なくとも大体全国こういう考え方でやっていただきたいということをガイドラインで示していこうということで、これは措置入院の在り方あるいは通報の在り方等々についてもやっていこうというふうに考えているところでございます。

○倉林明子君 自治事務とおっしゃるけれども、この自傷他害のおそれの判断、ここが各自治体で違うような扱いをこのまま認めてきたのが政府でもあるわけですよ、厚労省でもあるわけですよ。こういう人権はどこに住んでいてもひとしく尊重されるべきものなんですよ。こういう措置入院という自治体による権利制限、この格差解消こそ、まず私はしっかり取り組むべき、この法改正の趣旨に沿ってやるべきことだったんじゃないかということを強く言いたいわけです。精神障害者の人権擁護、この観点が欠落していたんじゃないかと厳しく指摘をしておきたいと思います。
 そもそも、改めてこの法改正に求められていたものについて、二〇一六年一月七日に、精神保健医療福祉のあり方に関する検討会、これ初回が開かれております。ここで、部長、前の部長ですけれども、当時の障害保健福祉部長がこれまでの経緯ということで説明をしているわけです。この中身はどういうものだったでしょうか、その部分をまとめて簡潔によろしくお願いします。

○政府参考人(堀江裕君) 簡潔に説明させていただきます。
 昨年一月七日の、これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会の初回会合におきまして、精神保健福祉に関するこれまでの経過について当時の障害保健福祉部長からは、平成十六年に精神保健福祉施策の改革ビジョンが決定され、入院医療中心から地域生活中心へという基本的方策の実現を掲げて精神科医療の改革や地域生活支援の強化に取り組んできたこと、平成二十五年に精神保健福祉法が改正され、精神障害者の医療に関する指針の策定や医療保護入院の見直し等が行われたこと、平成二十六年に長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会により示された長期入院精神障害者に対します支援や病院の構造改革といった方向性を踏まえた取組を進めていることについて、当時の障害保健福祉部長から説明がございました。

○倉林明子君 そのとおりで、これまでの流れを受けて、長期入院患者を本当に地域へという流れをつくっていくという方向と、あと中身が、そういう考え方、検討の方向性というのが示された中身だったかと思います。
 医療保護入院の患者について退院を促進させていこう、こういう措置が、そういう流れの中で、二十五年の改正で盛り込まれたということになっているわけです。この法改正のときに、既に退院促進のための措置が盛り込まれました。これは精神科病院の管理者に義務付けるというものでした。この中身、何だったでしょうか、簡潔に。

○政府参考人(堀江裕君) 平成二十五年の改正におきまして、医療保護入院者につきまして退院促進措置として、病院管理者に三つの内容のことを設けてございます。
 一つ目が退院後生活環境相談員の選任ということでございまして、医療保護入院者の退院に向けた相談支援や地域援助事業者等の紹介、円滑な地域生活の移行ための退院後の居住の場の確保等の調整等の業務を行います退院後生活環境相談員を精神保健福祉士等から選任しなければならない。
 二つ目、地域援助事業者の紹介。医療保護入院者が退院後に利用する障害福祉サービス及び介護サービスについて、退院前から相談し、医療保護入院者が円滑に地域生活に移行できるよう、特定相談支援事業等の事業や事業の利用に向けた相談援助を行う地域援助事業者を紹介するよう努めなければならない。
 三つ目、医療保護入院者退院支援委員会の設置。主治医、看護職員、退院後生活環境相談員、医療保護入院者及び家族等が出席し、医療保護入院者の入院継続の必要性の有無とその理由、入院継続が必要な場合の委員会開催時点からの推定される入院期間、及び当該期間における退院に向けた取組等を審議する医療保護入院者退院支援委員会を設置しなければならないとされたものでございます。

○倉林明子君 つまり、前回改正で既に医療保護入院者に対しては、設置が義務付けられた退院促進の仕組み、社会復帰支援の枠組みというのが整備されたんですよ。問題は、それを更にどう促進していくかということが今回の改正では問われていたわけですね。
 これ、義務付けから三年、退院支援委員会の開催件数は確かに増加してきております。医療保護入院、じゃ減ったのかといいますと、これがなかなか、増加傾向ですね、全体としてはです。更なるこの改善、どう進めていくかという点では、具体的な提案というのが私は今回の法改正の中身では見えていないと思うんですね。
 この医療保護入院者退院支援委員会、これはメンバーは、御紹介あったとおり、本人はこの退院支援委員会には希望した場合だけ参加するという枠組みになっているんですね。権利擁護の観点から調べておいでです、どのぐらい参加されているかと。そうすると、本人の参加実績というのは、参加したことがあるというのが六二%、ところが、その件数が一件しかないというのが多いんですね。まだまだこの退院支援委員会なるものが本人の権利擁護も含めて不十分だというのが現状じゃないかというふうに思うわけです。
 改めて、法改正から三年たっています、入院から地域へ、この転換を目指してつくった、医療保護入院者、この退院支援の、退院促進の仕組み、この委員会の活用、経過、そして実績、改めてきっちりした総括と検証が必要ではないかと考えますが、されたんでしょうか。

○政府参考人(堀江裕君) まず、実績の方は先ほど、まだなかなかということでございましたけれども、平成二十六年四月の改正法施行以降、医療保護入院患者数につきまして、施行前の二十五年六月と比べまして、十三万六千六百八十人から十三万一千九百二十四人と四千七百五十六人減少するなど、退院の促進の効果が出ているのではないかというのが一点ございます。
 お尋ねのことでございますけれども、医療保護入院者の支援委員会をこれまで開催してきたことによりまして、医療機関での退院支援に向けた多職種の連携、あるいは地域の関係者間の顔の見える関係づくりは進展しているものと考えてございまして、このような蓄積は措置入院者について個別ケース検討会議の開催によります退院後支援計画の作成に当たりましても活用できるものと考えているものでございます。
 今回の改正で、まず、措置入院者につきまして自治体に退院後支援計画の作成等を義務付けることになりますが、医療保護入院者につきましても退院後の円滑な地域生活への移行を図ることが重要であることはそのとおりでございまして、引き続き医療保護入院者退院支援委員会の開催を始めといたしました退院促進措置の有効な活用を促してまいりたいと考えてございます。

○倉林明子君 いや、私は、この法改正に向けた最初の入口でも、この医療保護入院、入院から治療へという流れをどうやって進めていくのかということで法改正の方向性を検討してくださいという話で始まっているんですよ。
 今、退院支援委員会の成果も出ているという紹介でした。しかし、振り返ってみてくださいよ。二〇〇四年、改革ビジョンで掲げた目標は、二〇一四年時点では七万床のベッド減少だったんですよ。退院目標、十年たった後でも二五%しか達成できていない。その後も余り変わらないんですよ。実績と言えるような実績ではないんだと。その上に立って、どうやってそれを進めていくのかという検討が、私はこの法改正、求められていた課題だということははっきりしていると思うんですよ。
 そこで、今議論した医療保護者退院支援委員会、入院者支援委員会、これと措置入院者の関係について私確認したいと思うんです。
 先ほども指摘ありました、措置入院者が入院中に措置を解除されて医療保護入院となる場合があります。五割ぐらいかという指摘でした。この場合、医療保護者退院支援委員会、実際に今機能している退院促進、社会復帰支援の枠組み、これの本来対象と今現行ではなっているんじゃないでしょうか。

○政府参考人(堀江裕君) それはそのとおりでございます。

○倉林明子君 私、措置入院者の退院後の孤立を防ぐ、社会復帰を支援する、この法改正の目的からすれば、もう既に整備されている医療保護入院者、この退院支援委員会、ここをもっともっと活用して現実的に生かしていくと、こういう方向を考えるべきじゃなかったのかと。権利擁護を軸に置きながら、警察の関与はないわけです、ここ。これこそ社会復帰支援の枠組みとして使うべきだったんじゃないかと思うんです。どうですか。

○政府参考人(堀江裕君) 措置入院の方について申し上げれば、やっぱり自傷他害のところまで至った方だというのが一つございますし、それから、自治体の方で措置をしているわけでございますので、しっかりとその自治体が責任を持って退院後支援を行っていくという仕組みが今回御提案させていただいているものでございまして、病院の中におきましては、おっしゃる委員会はそれはそれで医療保護入院については活用されているものだと考えます。

○倉林明子君 いや、やっぱり改正目的が途中から変わったんですよ。犯罪防止と、こういう目的が検討委員会にも持ち込まれた。これによって、措置入院には別枠で警察が犯罪情報をどうしたらつかめるかと、やっぱりそういう担保を検討されているわけですよ。
 私、本当に権利擁護、障害者の権利を擁護して入院から地域へと、この流れをつくってきたこれまでの取組さえ壊しかねない改正になる、強く指摘を申し上げまして、終わります。