消費者庁移転中止/電源構成開示義務化を(地方・消費者問題特別委員会)
日本共産党の倉林明子議員は22日の参院地方・消費者問題特別委員会で、消費者庁の地方移転中止と、電力自由化伴う電源構成の開示義務化、電気料金決定過程への消費者団体などの関与の制度化を求めました。
倉林氏は、「消費者を主役とする政府のかじ取り役として消費者庁が創設されて6年、いっそうの強化充実こそが求められている今、消費者の声を真摯に受け止める仕組みの存在と消費者による強力な後押しが欠かせない」と指摘。多数の消費者団体の反対意見を無視した移転計画は消費者行政を後退させるとして、中止を強く求めました。
倉林氏は、4月からの電力自由化について、消費者団体などから、原発より再生可能エネルギーの電気を選べるよう電源構成の開示義務化が強く求められているのに、努力義務にとどまっていると指摘。開示義務化の早期実現を迫りました。河野太郎・消費者行政担当相は「適切に電源表示がされなければ、義務化せよと経産省に申し入れするつもりだ」と答弁しました。
また、公共料金としての電気料金の透明性や適正性の確保について、決定過程に消費者委員会・消費者団体が関与できるようにすべきだと求めた倉林氏に対し、「消費者が参画する機会を確保したい」と答えました。
消費者庁、消費者委員会、国民生活センターの地方移転について質問いたします。
報道によりますと、河野大臣は、テレビ会議でお医者さんが病人の診察をやろうというときにテレビ会議で物事を決められないということを霞が関が言っていたら世の中に笑われると発言されたと報道されておりました。
消費者庁の仕事はテレビ会議で十分対応可能だという御認識なのか、河野大臣に確認させてください。
○国務大臣(河野太郎君) 一九八〇年代後半に、日本で最初のサテライトオフィスの実験というのが埼玉県の志木市で行われました。私、そのときの現場責任者をやらせていただきまして、あの頃のテレビ会議というのは、こま落ちで、何秒かに一こまずつみたいな機械でございました。今、それから比べると、大分情報システムの能力というのは良くなってまいりました。全てができるかどうかは別として、かなりの部分はできるようになってきたというふうに私は思っております。
○倉林明子君 私、消費者庁の相手というのは、医者を信頼してもらう患者とは違うというふうに思うんですね。利害が対立する各省庁、事業者団体など、テレビの前に座ってもらうと、ここ自身が困難な相手がいると。物理的なこうした距離が、これまで果たしてきた調整、説得、こういう機能を私は大きく損なうことになると思うんですね。
消費者庁は、そもそも消費者を主役とする政府のかじ取り役という役割を位置付けされて、創設六年ということで、六年しかたっていないと言えると思うわけで、一層の強化充実こそが求められるというふうに思います。そのためにも、消費者の声を真摯に受け止めるという仕組みの存在、そして消費者による強力な後押し、これが欠かせないと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(河野太郎君) おっしゃるとおりだと思います。
この消費者庁の四国移転に関しては、四国、中国地方の消費者を始め、全国の消費者あるいは消費行政の関係者の声をしっかり聞いてまいりたいと思います。
○倉林明子君 私、かじ取り役を政府から遠ざけて機能するんだろうかと、機能するはずないというふうに思うわけです。
自民党が部会でヒアリングもしたと聞いておりますが、十の消費者団体にとどまらないと、移転反対の意見表明している消費者団体は既に五十三団体に上っているわけです。
私、消費者の支持が得られないような移転、これは消費者行政を後退させることは明らかだと思います。移転計画については断固中止するように強く求めておきたいと思います。
続いて、先ほどもありました四月からの電力自由化について三点質問したいと思います。
一点目は、急増する悪質な勧誘への対応についてであります。
事業者に改善勧告をするという権限は、経済産業省の電力取引監視等委員会ということになります。この委員会に、消費者庁、消費者団体はオブザーバー参加に今とどまっています。私、正式な委員として参加することが重要だというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(川口康裕君) まず、消費者庁としては、現在、電力取引監視等委員会の会議等に消費者調査課長がこの専門会合の方にオブザーバーとして参加をしているところでございます。
電力取引監視等委員会は、いわゆる経産省の八条機関でございまして、委員の任命については経産大臣がなされるものというふうに理解しておりますが、一般論で申し上げますと、国の審議会等における委員、専門委員はいずれも原則民間有識者から選ぶものとされていると理解しておりまして、消費者庁としても、消費者庁の審議会でも、委員として国の行政機関職員に委嘱しているものはないということでございます。
ただ、一般論、その委員になるかどうかは別にいたしまして、電力小売の全面自由化に当たりましては、消費者が電気の供給者、メニューを安心して適切に選択できる環境整備を図っていくというために、消費者団体の意見もしっかり聞きながら、経産省と連携を取って適切に対処していきたいと思っております。
○倉林明子君 私、消費者被害の未然防止という観点からも、また国民生活センターからの情報、提案、これ迅速に小売電気事業のルール、ここに反映させるという機能があるわけですから、電力取引監視等委員会、ここに正式参加ということが必要だというふうに思いますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
二点目ですけれども、消費者が使いたい電力を選ぶということで欠かせないことが情報公開だというふうに思います。
原発事故を経験し、原発ではなく再エネを選びたい、こういう消費者の声が少なくありません。消費者団体から、電源構成の開示義務、強く求められていたわけですが、現時点では努力義務ということにとどまっております。
大臣は所信で、消費者のニーズに合った電気事業者や料金メニューを選んでいただくために必要な情報が提供されるよう取り組んでいくというふうにお述べになりました。開示義務ということにしていくべきではないかと考えますが、いかがですか。
○国務大臣(河野太郎君) 問題意識はほぼ一緒なんだというふうに思います。
先ほどの河野さんの話にもありましたように、今は何となく価格が安いよというところが電力小売自由化のメリットみたいに言われておりますが、電源内容を選んで、いいと思うものを後押しをしていくという消費者の行動も必要なんだというふうに思います。そのためには電源が開示されなくてはどうにもならないわけでございまして、消費者庁は、経産省に対してこれまで度々強く全面開示をせよというふうに申入れをしておりまして、経産省は、努力義務ではあるが全ての事業者が行うというつもりだと言っておりますので、これはきちんと様子を見て、そうならなければ消費者庁としては義務化せよということを経産省に申入れをする、そういうつもりで今状況を見ております。
○倉林明子君 私、自由化が先行しました海外の例見ますと、再エネ、原発、石炭火力、こういう割合が分かるように電源構成の情報の表示がされております。これは重要な判断基準にもなっているということです。
二〇一五年、消費者基本計画での位置付けも明確になっておりますし、今、様子見ながら、そうでなければということで、強力に働きかけていくということです。早期実現を求めておきたいと思います。
三点目ですけれども、電力の完全自由化後も、電気料金というのは公共料金としてやっぱり決定過程に消費者委員会、消費者団体、関与は欠かせないというふうに思います。透明性や料金の適正性を確保する、この観点からも後退はあってはならないというふうに思います。大臣の決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(河野太郎君) 電力小売自由化後も、平成三十二年三月までは経過措置として規制された料金制度も残ることになります。その期間の間は引き続き経産省から消費者庁は協議を受けることになります。
その際には、消費者委員会から意見の聴取を行うと同時に、消費者委員会、消費者庁、それぞれ消費者との意見交換会を行うなどして、決定過程の透明性と消費者がこうしたことに参画する機会を確保するということは、これしっかりやってまいります。
○倉林明子君 完全自由化後もそういうやっぱり担保や位置付けが必要だという趣旨ですので、しっかり受け止めておいていただきたいと思います。
消費者を主役とする政府の実現、これが消費者庁のやっぱり存在意義だというふうに思います。真価しっかり発揮していただくよう、最後、重ねて消費者庁の移転には反対だと申し上げて、終わります。