倉林明子

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看護体制の強化可能 夜勤など改善迫る(行政監視委員会)

 日本共産党の倉林明子議員は7月6日の行政監視委員会で、看護師の夜勤回数や労働時間など労働実態を直ちに調査して看護師の労働環境を改善することを求めました。
 倉林議員は、看護師の夜勤を月8日以内にすることや週40時間労働の推進を盛り込んだ看護師確保法(1992年)にもかかわらず、その中身が実現せず、今でも75%もの看護師が過重労働を理由に辞めたいと考え、過去にも若い看護師が過労死した深刻な実態を告発。高齢化がピークになる2025年を前に、労働実態の具体的調査を要求し、その上で「病棟での看護体制の弱体化を招くようなことはあってはならい」と迫りました。
 塩崎恭久厚生労働相は、夜勤回数と時間外労働の実態を調査するとことを初めて明らかにするとともに、「看護体制の弱体化はあってはならない」と答弁しました。
 倉林議員は、自身の看護師経験にも触れ、患者と看護師を7対1の配置基準にすることが診療報酬上で高評価されたことを指摘し、「評価を明確化すれば看護体制の強化が可能になる」と強調。夜勤や勤務時間の間隔を最低12時間確保することなどを法律で位置づけることを求め、「現場の実態をつかみ、労働条件の改善につなげるべきだ」と主張しました。

議事録を読む
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 今日は、看護職員の処遇改善について質問をさせていただきます。看護職員の夜勤回数、時間外勤務ということで大変過重になっていると。これが問題になりましたのは昨日や今日のことではないというふうに認識をしております。
 看護師の夜勤に関して人事院が判定を出しております。これは一体いつのことだったか、そしてその中身はどうだったか、まずお答えください。

○政府参考人(福島靖正君) 昭和三十八年の四月に、全日本国立医療労働組合委員長から人事院に対しまして、国立病院及び国立療養所に勤務する看護婦、准看護婦、助産婦の夜勤勤務規制等に関する行政措置の要求がなされたと承知しております。
 この要求に対しまして昭和四十年五月に人事院判定がなされ、夜勤回数については、約八日をもって夜勤に従事する者の月間平均夜勤日数とすることが一応の目標として適当であること、夜勤体制については、一人夜勤で足りると考えられる看護単位については、特に突発事故の発生等の万一の場合に備えてその処置、連絡を容易ならしめるための措置を講じ、休憩設備等についても特段の考慮を払う必要があること、その他の看護単位については、夜勤日数、その他相関連する事項に及ぼす影響についての考慮をも併せ行った上で、計画的に一人夜勤の廃止に向けて努力すべきこと等とされたと承知しております。

○倉林明子君 私も看護師をしておりまして、当時に、こういう昔闘争があったということで教えていただいたのがこの判定を導き出した二・八闘争というものでした。以来その後も、この月平均八日ということについて言えば大きな改善がなかったというのが実態だというふうに思うんですね。
 そこで、現場の看護師が看護師増やせということで大きな運動を取り組みまして、社会問題にもなりました。そうした世論を受けて制定されましたのが一九九二年の看護師確保法及び基本指針でありました。そこで、ここで夜勤負担の軽減ということで示された基本指針、この夜勤負担軽減の中身はどうだったでしょうか。

○政府参考人(福島靖正君) 看護師等の人材確保の促進に関する法律に基づきます基本指針におきましては、看護師等の継続勤務を促進する上では、その負担の軽減が必要である、このため、看護婦等の夜勤負担を軽減し、働きやすい職場づくりを進める上で、入院患者の状況等に応じて複数を主として月八回以内の夜勤体制の構築に向けて積極的に努力する必要があるというふうに規定されております。

○倉林明子君 平均八日から今度は八日以内というふうになった。私も、働いておりました当時、画期的な指針が示されたと本当に喜びを持って受け止めたものでした。ところが、それから十五年たった二〇〇七年、参議院の本会議において全会一致で採択された請願がございます。看護師等の増員に関する請願、この中身を紹介していただきたいと思うんです。請願項目ごとに、その中身と現状、到達点はどうなっているでしょうか。

○政府参考人(福島靖正君) 御指摘の請願でございますけれども、内容は三点ございまして、医師、看護師など医療従事者を大幅に増員すること、看護職員の配置基準を、夜間は患者十人に対して一人以上、日勤時は患者四人に対して一人以上とするなど、抜本的に改善すること、夜勤日数を月八日以内に規制するなど、看護職員確保法等を改正することの実現を求めているというふうに承知しております。
 まず、看護職員の確保でございますけれども、ナースセンターによる就職あっせんや病院内保育所の運営に対する支援などの取組を進めてまいりまして、看護職員の就業者数でございますけれども、請願が採択された平成二十年には約百四十万人でございましたけれども、平成二十五年には約百五十七万人と増加をしております。
 次に、看護職員の配置でございますが、診療報酬において、昼夜にかかわらず、重症度、医療・看護必要度等の入院患者の状況等、実情に合わせた適正な配置数が確保されるような基準となるように常に見直しを行っておりまして、例えば平成二十六年度の診療報酬改定においても重症度の高い患者に対する看護職員の評価を行ったところでございます。
 さらに、看護職員の夜勤回数でございますが、日本看護協会の調査によりますと、平成十九年には月八・三回でございましたが、その後いろいろな取組を行ったこともあり、平成二十五年には月八・一回と改善が見られております。

○倉林明子君 現場の悲願でもあります夜勤八日以内、今改善はしているというものの平均で八・一回ということは、やっぱり八回を超えているという実態があるということが明らかだと思うんですね。二〇〇八年には、二十代の二人の看護師、過労死が認定されたと、これは大きな衝撃を与えまして、看護協会での調査の取組などにもつながっていったものだというふうに思っております。
 そこで、二〇一一年、厚生労働省は五局長通知を出しました。看護職員の雇用の質の向上のための取組について、二〇一三年には六局長通知を発出いたしました。しかし、日本看護協会、日本医療労働組合連合会、この実態調査を見ますと、現状でも八日以内の夜勤が守られていない。先ほど紹介あったとおりであります。
 確かに看護師は増えているんだけれども、職場、ベッド数そのものも増えている、需要も増えているというもので、厚生労働省の需給見通しから見ても、不足している実態というのは変わりがないというふうに思うんです。過重な労働でもう辞めたいと思っている看護師というのは、現状七五%に上っている。これ、事態は大変深刻だと思います。
 人事院判定から五十年、看護師確保法制定から二十三年、現状の夜勤回数がどうなっているのか、私は、厚生労働省として一度でも調査したことがあるのかを確認したいし、実際にこの調査、厚生労働省としてしっかり取り組むべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今先生御指摘の看護職員の労働実態でございますけれども、厚生労働省としては調査はまだ行っておりません。日本看護協会の調査なども踏まえて、厚生労働省としては実態を把握をしておりまして、私といたしましても、入院医療とか救急医療への対応など心身の緊張を伴う労働、あるいは夜勤、交代制勤務といった厳しい勤務環境にあることを認識をしているところでございます。
 このため、看護職員を含めた医療従事者の勤務環境の改善に向けて昨年の十月に施行になりました改正医療法、これによりまして、医療機関の個々の実態に応じた勤務環境改善の計画的な取組を支援する都道府県の医療勤務環境支援センター、この設置等を進めておりまして、今年の六月一日現在で三十四の都道府県で設置をしているところでございます。
 看護職員の労働実態につきましては、厚生労働省においても、夜勤あるいは時間外労働等の労働実態を調査する方向で検討いたしたいというふうに考えております。

○倉林明子君 いろいろ取組を病院で進めてもらうために、その材料としても必要だということで調査の方向が示されたというふうに思っております。
 看護師確保法が制定されて以降、一度も八日以内ということが実現できていない、この実態を本当に深刻に受け止めた上で、夜勤の回数、過重な時間外労働の実態、インターバルの時間も含めてしっかりつかむようにもう一度御答弁いただきたいと思います。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今の看護職員の夜勤の実態であるとか、こういう勤務負担を軽減をしてその定着を促進するというのはもう極めて重要であることは、先生御指摘のとおりでありますし、我々もそのように考えているところでございます。
 この医療従事者の厳しい勤務環境の背景には、その業務が救急患者への対応とかあるいは公益上のものであることに加えて、看護職員などの人材確保など医療政策上の課題というのもございまして、労働時間に関する規制だけではなくて、こうした課題と併せて解決を図らなければならない問題だというふうに認識をしております。
 このため、昨年の六月の先ほども申し上げた医療法、これによって、医療従事者の勤務環境改善に計画的に取り組む個々の実態に応じた動き、あるいは、各都道府県に先ほど申し上げた医療勤務環境改善支援センターを設置をして、勤務の環境改善に取り組む医療機関を総合的、専門的に支援する体制を整備するということにしたわけでございまして、各都道府県において地域の実情に応じた取組が進められているというふうに思っております。厚労省としては、こうした取組、仕組みを通じて各医療機関がそれぞれの実情に応じた自主的な取組を進めることによって、医療従事者の勤務環境改善を促進していきたいと思っております。
 また、診療報酬面では、看護職員の夜勤の負担軽減を図るために、入院基本料の算定に当たって、夜勤を行う看護職員の一人当たりの月平均夜勤時間数を七十時間以内とする基準を設けているところでございます。

○倉林明子君 調査の中身として、夜勤回数をしっかり入れること、長時間労働の実態をつかむこと、インターバルをつかむこと、この点を重ねてお聞きしましたので、その点は改めて聞きませんけれども、調査として盛り込むんだと、そういうことで取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、五十年掛かっても看護師の処遇改善がなぜ進まなかったのか。これは、私は本当にその要因をしっかり考える必要があるというふうに思うんです。一つは、やっぱり法律で規制がされてこなかったこと、同時に、先ほど若干紹介はあったんだけれども、診療報酬上で看護の評価、この点では弱かったということが言えると思うんですね。
 看護の現場で最大の今懸念になっておりますのが、高齢化が最高となります二〇二五年問題です。医療提供体制が一体どういうふうになるのかという問題で、地域医療計画の策定を待つということになって、実は、二〇一六年から、第八次看護職員の需給見通しの検討委員会、これ一回開いたんだけれども、この地域医療計画が出るまではできないということで開店休業状態となっております。医療提供体制の大幅な見直しを進めるということで、病棟での看護体制が、これ需給見通しがないという空白区間ができるわけで、私、看護体制の弱体化を招くようなことがあってはならないと思いますけど、大臣、いかがですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 御存じのように、この四月から地域の医療構想を作るということで三年掛けてやることになっておりますが、この地域医療構想は、都道府県が地域ごとに急性期機能とか回復期機能、あるいは慢性期機能といった医療機能別の将来の医療需要と病床数の必要量を推計することによって、御指摘の看護体制を含め地域の医療ニーズに応じた適切な医療提供体制の整備を図るということを目的としておりまして、今先生御懸念の病床での看護体制が弱体化するかどうかというようなことにつきましては、私どもはそういうことがあってはならないというふうに思っておりますし、都道府県においては地域医療介護総合確保基金、これなども活用してもらって医療機関の施設設備の整備、あるいは在宅医療等の充実、看護職員を含めた医療従事者の確保、養成などに取り組むことが必要だというふうに考えておりまして、厚生労働省としても、地域医療構想の実現に向けて、看護職員の確保、養成を始めとした都道府県のこうした取組をしっかりと支援をしてまいるつもりでございます。

○倉林明子君 七対一の看護体制、診療報酬上も明確に位置付けられて看護師の一定の確保が進んだ。もちろん、取り合いになるというような矛盾も生まれたという側面はあるんだけれども、診療報酬上付ければしっかり配置が進むということを一方で示したものでもあったと思うんですね。
 私、八日以内の夜勤、勤務時間間隔を最低十二時間確保する、長時間労働についても規制を掛け短くしていると、こういう具体的な指標も持って看護師確保法で明確に位置付ける、規制措置をとるべきだと思うし、診療報酬上も加算措置をしっかりとるべきだと思います。どうですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 先生が今、労働時間に関する規制をしっかりやれと、こういうことでございますが、先ほども答弁申し上げたように、規制の問題もさることながら、やはり人材確保も大事であり、また、今お話し申し上げたように、地域の医療ニーズというのはかなりそれぞれ多様化をしているわけでありまして、それをしっかりと支えるだけの十分な看護体制というものを確保していくということをこの地域医療構想の中で確保していきたいというふうに考えておるところでございます。

○倉林明子君 看護実態、このまま医療、看護の崩壊につながるようなことは絶対やってはならないし、医療の安全、患者さんの命に関わる問題ですので、私は、現場の実態をしっかりつかんで改善にしっかり取り組んでいただくように強く要望をいたしまして、終わります。