「働き方」法案 新たな虚偽データ発覚 倉林氏告発 管理職を一般扱い / 時間規制を緩和 すでに7割も 「働き方」法案 新たな虚偽データ さらなる緩和は論外、法案の白紙撤回を(2018/6/7 厚生労働委員会)
(資料があります)
残業代ゼロ制度(高度プロフェッショナル制度)など「働き方改革」一括法案の労働政策審議会での審議に使われた資料に、新たな虚偽データが発覚しました。日本共産党の倉林明子議員が7日の参院厚生労働委員会で告発し、「議論を労政審に差し戻せ」と強調しました。
問題の資料は、2014年1月15日の労政審労働条件分科会に厚労省が提出したもの。13年の就労条件総合調査をもとに、裁量労働制やフレックスタイム制など労働時間規制を緩和した制度の適用労働者の割合を集計しています。「管理監督者」の区分はなく、「1日8時間、週40時間」の一般労働者に含められていました。
工場長や部長など管理監督者は労働基準法41条によって同法の労働時間の規定を受けず、一般労働者とは明らかに違います。
当日の労政審では、労働者委員が「新たな適用除外制度よりも、まず現状の検討が先決ではないか。『名ばかり管理職』問題が指摘されている管理監督者についても議論を深めるべきだ」と発言したにもかかわらず、厚労省は管理監督者を一般労働者に含めていることを隠したままでした。
倉林氏は、「間違った理解を与えるデータを労政審に出していた」と批判。加藤勝信厚労相は、「管理監督者は通常の働き方とは異なる。正確性に欠けていた」と間違いを認めました。
倉林氏は、「管理監督者が何人いるのかつかんでいるのか」と質問。山越敬一労働基準局長は、「把握していない」と答えました。
倉林氏は、過労死認定の1割が管理監督者であり、実態を把握したうえで労政審に差し戻すよう強調しました。加藤厚労相は、「実態把握に取り組むが、高プロとは違う」と強弁しました。
「残業代ゼロ制度」(高度プロフェッショナル制度)など「働き方改革」一括法案の労働政策審議会での審議に使われた労働実態データに、新たな虚偽・ねつ造がみつかった問題は、いよいよ法案に根拠がないことを示しています。
問題のデータは、2013年の就労条件総合調査をもとに裁量労働制や変形労働時間制など労働時間規制を緩和した労働者の割合を集計したもの。14年1月15日の労働政策審議会に示されました。
緩和した制度では長時間労働やサービス残業が問題になっています。同省は、この制度で働く労働者は全体の54・7%にのぼる一方、1日8時間・週40時間の「一般的な働き方」は45・3%と説明していました。
少なく粉飾
ところが、「一般的な働き方」に「管理監督者」を含めて、緩和した制度を少なく見せかけていたのです。
労働基準法で、「管理監督者」は労働時間、休憩、休日の規定を適用されず(41条)、一般労働者とは全然、違います。賃金構造基本調査によると、全就業者の1割程度。少なくとも360万人程度と推計されます。これを除くと「一般的な働き方」は、3割程度にまで落ち込み、「緩和した働き方」で働く労働者が7割になるとみられます。
このデータが示された労政審で、労働者委員から「新たな適用除外制度よりも現状の検討が先決ではないか」「『名ばかり管理職』が問題の管理監督者についても議論を深めるべきだ」との意見が出ましたが、すでに7割にのぼることは隠されたままでした。
実態把握を
日本共産党の倉林明子参院議員が労政審議会に差し戻すよう求めたのに対し、加藤勝信厚労相は「管理監督者は通常の働き方とは異なる。正確性に欠けていた」と虚偽データだと認める一方、「高プロとは違う」と強弁しました。(7日、参院厚生労働委員会)
しかし、労働者の7割も例外的な働き方にすでにあるとなれば、時間規制を外す「高プロ」の導入などは論外となるのは必至です。倉林氏は、管理監督者などの実態を把握した上で労政審に差し戻すよう求めました。法案を白紙撤回し、労政審の議論からやり直す以外にないことが浮き彫りとなっています。
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
質問に入る前に、過労自死でお父さんを亡くした、当時小学校一年生、マーくんが書いた詩を紹介したいと思うんですね。
僕の夢
大きくなったらぼくは博士になりたい
そしてドラえもんに出てくるような
タイムマシンを作る
ぼくはタイムマシンに乗って
お父さんの死んでしまう前の日に行く
そして仕事に行ったらあかんて言うんや
こんな思いをするマーくん、再び生み出してはならないと、その決意を持って質問したいと思います。
大臣は、過労死を二度と繰り返さないために長時間労働の是正が急務と法案の趣旨説明でも述べておられます。それでは、なぜ過労死は繰り返されるのか。長時間労働が是正されない、この最大の理由は何だと認識されておりますか。大臣です。
○国務大臣(加藤勝信君) まず、幾つかの要因があるんだと思います。また、そもそも、私ども若い頃そうでありましたけれども、何か働く、長時間するということが逆に誇りであるような、そうした企業、企業というか、私は企業じゃなくて役所でありましたけれども、そうした企業や役所の文化そのもの、あるいは、逆にそれが一つの価値があるライフスタイルだ、そういう働き方に関する考え方、そういったものが、これは長年の中で培われてきたものなんだろうと思いますけれども、そうしたものがやはり根底にあるというふうに思います。
そういった意味において、この長時間労働是正をしていくということは、またワーク・ライフ・バランスを取っていくにおいても、また生産にとっても良いと個々には思いながらも、残念ながら、なかなかそれが具体的な形で実現してこなかった。
そういう意味で、一つの大きなそれを変えていくきっかけとして、現行の三六協定、これ、現行においては、厚生労働大臣が定める限度基準の下、それぞれの現場に合った時間外労働時間の設定を労使の調整に委ねる仕組みになっているわけでありますけれども、この中には、特別条項がある場合の延長時間、百時間を超えるものも見受けられる。そうした意味で、長時間労働の歯止めとして十分機能していない。
ひとつここを乗り越えて、三六協定でも超えてはならない罰則付きの時間外労働の限度を設けていく、そういうことによって、またひとつそれが長時間労働の是正、そうした具体的な動きにもつながっていくと、こういう思いで今回提案させていただいていると、こういうことであります。
○倉林明子君 今御説明にあったとおり、初めてその限度として百時間未満というものを導入するということなんだけど、それで過労死がなくなるのかということなんですよね。
これ、改めて資料で過労死防止対策の白書、一番新しいやつ入れておきましたけれども、注目してほしいんですね。これ、脳・心臓疾患への労災の支給決定等、死亡件数、内数で入っていて、これ、月の時間で区分してどうなっているかというのを表になっているわけです。
これ、注目していただきたい二年間の実際の件数なんですが、これ、四十五時間未満だったら平成二十七年も二十八年もゼロなんですよ、亡くなっている方は。ところが、四十五時間以上六十時間未満、これ二十七年度のところで亡くなっている方あります。さらに、六十時間以上になりますとこれが跳ね上がるんですね。数が一気に増えるということになって、八十時間を超えたら更にこの労災の申請の件数というのは物すごい増えているというのがよく分かると思うんです。
つまり、この事実を見ていただけば、過労死を生まない、この労働時間の上限はどこにあるのか。月四十五時間、大臣告示というのが極めて有効だ。これ、データ見る限り間違いないことだと思うんですよ。私は、過労死を本気でなくすということであれば、この大臣告示の法制化こそするべきだと、これ強く申し上げたい。
そこで、改めてそもそものところから議論したいと思っているんですが、労働法制がなぜ法定労働時間を定め、所定外労働時間を規制してきたのか。法定労働時間が一日八時間、週四十時間、これ原則としている理由というのは、大臣、どう認識されていますか。
○国務大臣(加藤勝信君) 労働時間は、これ賃金と並んで代表的な労働条件でありますから、様々な沿革があって今日に至っています。国際的にも長年やっている歴史であり、また、様々な労働運動等の成果もあったんだというふうに思いますけれども、労働時間の短縮が図られ、現行一日八時間、週四十時間が到達すべき社会基準とされてきたわけであります。
我が国においては、大正五年に施行された工場法において労働時間の制限がされておりましたが、戦前には八時間制は実現せず、昭和二十二年の労働基準法の制定によって一日八時間、ただし、週は四十八時間ということでありました。その後、労働時間の短縮が労働者の福祉の増進に資するとの観点から、長期的に見た雇用機会の確保、経済構造の調整等の観点からも重要な課題として、我が国の国際的地位にふさわしい労働時間の水準になるよう強く求められ、昭和六十二年に労働基準法の改正で週四十時間労働制が原則とされ、その後、数次の改正を経て、平成九年より特例措置対象事業場を除きこれは全面的に四十時間になってきた、こういう歴史的な経緯を踏みながら今日の姿になってきたと、こういうふうに承知をしております。
○倉林明子君 それは経過なんですよ。
なぜ大事なのかと、これが。それは、憲法を背景とした労働者が人たるに値する生活を営む、このために最低の基準になっているって、ここを大臣は自覚、認識しておくべきだと思うんですよ。
一日単位で生活時間を確保していく、そのために八時間なんですよ。この法定時間の意味、原則というのは、人間の生活時間確保すると、このことが憲法でも保障された働く人たちで最低限守っていかなければならない、ここに原則があるんだということを私はしっかり労働法制担当する大臣として押さえておいていただきたい。
原則を定めながら、ところが、日本の労働行政として進められてきたのが何だったか。これが、変形労働時間制、フレックスタイム制、事業場外みなし制、裁量労働制、これ次々に原則を外すという働き方を拡大してきたわけです。
この原則と例外的な扱いの労働者、これ一体今どうなっているのか。昨年の就労条件総合調査で、原則が適用される労働者は全体の労働者の中に占める割合、これ何%になっているでしょうか。
○政府参考人(山越敬一君) 御指摘の資料でございますけれども、厚生労働省の平成二十九年就労条件総合調査でございます。この調査を用いまして変形労働時間制それからみなし労働時間制の調査がされているところでございますから、これを一覧にする趣旨で資料を作成しているものでございます。
〔委員長退席、理事石田昌宏君着席〕
この調査によりますと、この変形制とみなし制を合計しますと五九・二%でございますので、これ以外のということでございますと、一〇〇%から五九・二%を引きました四〇・八%が、これでいいます下記以外の労働時間制、一般的な働き方でございます。それから、今申しました変形制それから裁量労働制を加えますと五九・二%ということでございます。
○倉林明子君 それ、今の、資料二に、二枚目に入れております。これ既に今御説明あったとおりで、例外が原則を上回るという数字になっているんです。現在でも一日八時間労働、この原則が適用される労働者というのは少数派なんですよ。
こんな状況に、労働時間の規制を基本完全に除外する、これが高度プロフェッショナル制度ですよ、これを導入したら、一日八時間、週四十時間、この原則があってないものになってしまうと。私は、労働基準法の原則を破壊することにつながりかねないというふうに思っているわけです。
大臣、認識いかがですか。
○国務大臣(加藤勝信君) これ、それぞれの経緯の中で、ただ、変形労働時間制でいっても、一定期間を平均して法定労働時間の範囲内であればという、そういう条件が付いているわけでありますので、それぞれの働く働き方、あるいはそれぞれの事情等もありますから、その中において、確かに一日八時間、週四十時間ということにはならないけれども、しかし一定期間を平均すればその内で収まっていく、そういった形で考えられているのが変形労働時間制等々ではないかというふうに思います。
他方で、この専門業務型あるいは企画業務型等々、あるいは今回提出される特に高度プロフェッショナル制度、これは確かに労働時間の規制を外すと、そういうものではあります。
○倉林明子君 私は、原則が原則でなくなる、更に外すと、やっぱりこれ重大な変更なんですよ。労政審でこれはどういうふうに検討がされたのかと、ここはポイントになると思うんですね。
そこで、労政審に出された資料ということで、これ三枚目に付けております。このときは二〇一三年の労働時間制度の適用労働者の割合ということで出てくるわけです。
〔理事石田昌宏君退席、委員長着席〕
これ、二枚目の資料では、一般の労働者のところに括弧書きで、なぜかこれ管理監督者を含むと書いてある。ところが、この労政審に出した資料の中にはないんですよ。
要は、管理監督者というのは一般の原則が適用される労働者ではないわけですよね。労基法上、労働時間も休息も休日の規定の適用も受けない、これが管理監督者ですよ。本来、一般の労働者に分類されるものではないのに、二〇一七年のところで見ると、どうもこの管理監督者が労政審に出した資料の中でもやっぱり含まれていたのと違うかと思うんだけれども、これ事実、どうですか。事実として確認。
○政府参考人(山越敬一君) 御指摘の資料でございますけれども、平成二十五年の就労条件総合調査に基づきまして、これは先ほどと同じでございますけれども、変形労働時間制でございますとか裁量労働制につきまして弾力的な労働時間制度として掲げさせていただいている、それ以外のものを通常の労働時間と称しているものでございまして、管理監督者につきましてはこの通常の労働時間制の数の内数でございます。
○倉林明子君 以外の書き方というのは、要は新しい方なんですよ、下記の労働時間制以外の働き方ということでくくっているのは。二〇一三年に出したやつは、通常の労働時間制、つまり一般的な働き方ということで書いているんですよ。あのね、ちょっとそういう恣意的な説明みたいなのやめてほしいと思うんですね。原則と原則外の働き方、どうなっているのかということは十分に検証される必要あるんですよ。ところが、労政審に出した資料のところには、これ、管理監督者、どこにあるか分からない書き方になっていて、後からこれ、最近の資料で初めて分かった。これ、例外的な労働者、管理監督者を一般に含めていると、労政審に示した資料がそれだったということだったら重大な間違いだと思う。
そもそも、管理監督者、これは何人いて、本来の原則が適用される労働者、そもそも一般的な、原則的な、一般的な働き方をしている労働者というのは何%なのか。これ、数、分かっているんですか。
○政府参考人(山越敬一君) 御指摘いただきました管理監督者、労働基準法の第四十一条の第二号に定められているものでございまして、これは、部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者を指すものと解されております。
これに関しましては、例えば平成二十九年の労働力調査によれば、管理的職業従事者という統計を取られております。これは全体のうち約二・二%となっておりますけれども、これはあくまでも本人の記載に基づいた調査結果でもございますし、また、法人、団体の役員あるいは公務員のその管理的職業従事者も含むものでございまして、これは必ずしも労働基準法四十一条第二号に該当するものではないものでございます。
そうした意味で、お尋ねの労働基準法上の管理監督者の総数につきましては現状において把握していないところでございます。
○倉林明子君 分からぬけれども、一般のところに、これ労政審に出したときに、管理監督者である労働者をこの通常の労働時間制で働いている者の中に入れていた、これは確認できますよね。そして、それは考え方、整理としても、一般労働者として入れてはいけない人たちを入れていた、この間違いの事実についてはお認めになりますか。大臣、どうですか。
○政府参考人(山越敬一君) 御指摘のこの平成二十五年の就労条件調査に基づいて作成いたしましたこの御指摘の資料でございますけれども、これについては、あくまでも変形労働時間制でございますとか裁量労働制を弾力的な労働時間制度として、その合計を就労条件総合調査に基づき五四・七%とはじいたものでございまして、それ以外を通常の労働時間制と称した形で資料を作成したものでございまして、これについては、あくまでも裁量労働制あるいは変形労働時間制、弾力的な労働時間制度、これを議論する目的で資料を作った、その上で、それ以外のものをこういった形で御提出させていただいたということでございます。
○倉林明子君 一般的な働き方、通常の労働時間制にそうでない管理監督者を入れ込んでいたということになっているのに、よく分からぬ説明だったんですよね。要は、それ以外の働き方の者を入れ込んでいるんだから。
じゃ、逆の聞き方しましょう。管理監督者を入れ込んだその四五・三%というのが一般的な働き方だというふうにこれは理解されると思いますが、どうですか。
○政府参考人(山越敬一君) お答え申し上げます。
これは、あくまでも弾力的な労働時間制度、すなわち裁量労働制とかみなし労働制について御議論いただくために、ここにございますような五つの働き方についてこの適用労働者の割合を示そうとしたものでございまして、その他のものを通常の労働時間制と示したものでございます。
○倉林明子君 通常の労働時間制という概念そのものがやっぱりおかしくなってきているんじゃないですか。原則的な働き方をしている労働者をきちんとつかもうと、そういう姿勢が全く見られないですよ。私は、そういう開き直り方というのはいかがなものかと思うんですね。間違った理解を与えるデータを労政審に出していたということなんですよ。じゃ、一体、一般的な働き方はどのぐらいかといったら、分からぬということでしょう。
我々、これ賃金構造基本調査ありますので、これを基に管理職が全就業者のどの程度になるのかということで出してみると、これ一割程度なんです。少なく見積もっても三百六十万程度になるかもしれない。これ、我々の推計ですから、あくまで。
そうなると、推計を基に考えれば、原則が適用されるいわゆる一般の労働者はおよそ三割程度になるんですよ。原則以外の働き方をしている労働者が実に今でも七割に上ると、こういうことになると思うんだけど、どうです。
○政府参考人(山越敬一君) 先ほど申し上げましたとおり、例えば労働力調査で、管理的職業従事者、これは統計で取られているわけでございますけれども、これは労働基準法上の管理監督者以外の者も含むものでございまして、全体のうち約二・二%となっているところでございます。
そういう中で、労働基準法の管理監督者の人数については、現状においては割合を含めて把握できていないところでございます。
○倉林明子君 私は、原則を外れた労働者が一体どの程度になるのかということをしっかりつかめていないということ自身がやっぱり驚きなんですよ。つかむべきだと思いますよ。いかがです。つかむべき数じゃないかと。既に原則外れている労働者、通常の働き方をしている労働者ときっちり分けてつかむ、この努力必要だと思うんだけれど、これ、大臣、どうです。いや、これは大臣に聞いてんのやから。
○国務大臣(加藤勝信君) 今の御指摘、これ、それぞれの資料の目的によって資料の作り方はまちまちあるとは思います。
しかし、今委員御指摘のように、この一番上のところが、今直近のやつは下記以外の労働時間制となっておりますけれども、これは通常の時間制の中には管理監督者がいるということで、管理監督者は別に、いわゆる通常の働き方とは異なるわけでありますし、時間法制上も違うわけでありますので、そういった意味では正確性は欠けていたということで、これは反省をしなければならないと思います。
その上で、どこをつかむかなんですけれども、逆にここから管理監督者を除くと、多分、それがほとんど通常の労働者ということにも多分なるんだろうというふうに思います。したがって、管理監督者など労働基準法第四十一条各号に該当する者、中には秘書の方なんかもこれに入りますけれども、そういった方々の数字を実際把握するということ、これについては衆議院厚生労働委員会の附帯決議にも示されているところでありますから、これに基づいて、ちょっとどういうやり方をすればいいかは少し検討する部分がありますけれども、しっかりと取り組ませていただきます。
○倉林明子君 きっちり実態つかまないと、原則がどこまで守られているのかって分からないと。これ、労働行政にとっては本当押さえておくべきことだと思うから指摘しているんです。
管理監督者を一般の労働者に入れた資料ということで出していたのが、これ、労政審の二〇一四年一月十五日の分科会になるんです。この誤った前提で労政審の審議というのは続けられていた、こういうことになるんじゃないかと思う。イエスかノーかで。
○政府参考人(山越敬一君) この資料は、あくまでも弾力的な労働時間制度、変形労働時間制度とかみなし労働時間制度について、このデータをお出しする目的で提出させていただいたものでございます。現実のその労政審の議論でもそういった、この弾力的な労働時間制度について議論がされたということでございます。
○倉林明子君 私も労政審の記録見ましたよ。この百七回の労働条件分科会に提示された資料なんです。
ここで労働側の委員から意見が出ているんですよ。新たな適用除外制度を議論するのであれば、つまり高プロ等ですね、裁量労働制の拡大等、議論するのであれば、現状の適用除外制度の実態あるいは妥当性等について検証、把握することがまず必要ではないか、あわせて、名ばかり管理職の問題が指摘されている管理監督者の範囲の問題について議論を深めるべきだと、こういう労働側から指摘あったんですよ。何にも、拡大する方向ばっかり議論になっていたのと違うんですよ。
こういう委員の指摘というのは本当にそのとおりだと思うんです。事実と違う、まして労働委員からも指摘があった管理監督者が含まれているのに記載がなかった、こういう資料を配ってやっていた労政審の議論なんだから、間違いがあった事実を、これしっかり認めてやり直すということが必要になってくると思う。いかがでしょう。これ、大臣かな。
○国務大臣(加藤勝信君) 高度プロフェッショナル制度について労政審でやり直すと、こういうお話でありますけれども、高度プロフェッショナル制度については、制度としてまた別途議論をされた、管理監督者とはまた別のものでございますので、それはそれとして議論されて、そしておおむね妥当と、そういう答申もいただいたわけでございますので、そのことはそれとして御議論をいただきたいと思いますし、先ほど申し上げた管理監督者の実態、これについては、衆議院厚生労働委員会の附帯決議もございますので、その把握にはしっかり努めさせていただきたいと、こういうふうに思います。
○倉林明子君 データ問題で、本当に私は今でもあんなデータ撤回すべきだというふうに思っているし、さらに、こうした正しい情報の記載がない資料を出したままで議論やっていたということでいうと、労政審のメンバーに対しても失礼だと思うんですよ。きちんとした、調べ直したデータでやっぱり検証してもらうということをし直すべきだというふうに思います。
さっきは、反省した、つかみ直すという大臣答弁もありました。いつまでに提出が可能になりますか。
○国務大臣(加藤勝信君) まさにこれからどういう形でやっていくのか含めて制度設計等もしていかなきゃなりませんので、現時点でいつまでにということの具体的な期日を申し上げる状況にはないということは是非御理解いただきたいと思いますけれども、こうした先ほど申し上げた衆議院の厚生労働委員会の附帯決議もございますし、委員からの御指摘もございますので、できる限り速やかにやれるように努力をしてまいります。
○倉林明子君 そこから議論のやり直しということを考え直した方がいい、これは厳しく指摘をしておきたい。
看過できないのは、管理監督者の過労死等の実態があるんですよ。これ、資料四に入れておきました。労災認定のおよそ一割、これが管理監督者に集中しているんですね。こうした労働者を通常の働き方と、こういうところにカウントしていて、気付いていなかったんじゃないかと私は思うんですね。
要は、労政審の審議でもこのデータでやってきたということになるわけだから、管理監督者の実態を明らかにした上で、改めて労政審のやり直しを求めたいと思います。答弁をください。
○国務大臣(加藤勝信君) これは先ほど申し上げましたように、高度プロフェッショナル制度は、現行制度における時間と賃金がひも付けられている、そういう制約がある、そういうことの中で、成果に見合った賃金を支払っていく、時間ではなく成果で評価される働き方、それを希望する方の選択肢として創設する、こういう議論で提案をさせていただいているわけでありますから、管理監督者の実態とは直接関わらないというふうに認識をしておりますので、改めてこの高度プロフェッショナル制度について労政審のやり直し等々ということは考えておりませんが、ただ、先ほど申し上げた実態の把握については努力をさせていただきたいと思います。
○倉林明子君 実態の把握は当然だと思う。
最後に、改めて原則問題を、厚生労働省がどういうふうに本当に原則として取り組んでいくのかということで紹介したいものがあるんですよ。
それが、厚生労働省自身が、所定外労働の削減に向けてと題しまして、所定外労働削減要綱、これ出しているんです。もう大分印刷がされなくなって長くなっているんだけれど、ホームページにはまだ残っております。一枚物にして資料としてお付けいたしました。
これ、勤労者の生活時間は、労働時間だけでなく、個人の自由時間、家族と触れ合う時間、社会と関わる時間から成り立っています。残業や休日出勤が多ければ多いほど、このような時間が犠牲になることになります。また、残業や休日出勤が多ければ、健康や創造性が失われ、勤労者にとって働きにくい職場になってしまいますし、能率が下がり使用者にとっても良いことではありません。そのとおりだと思うんですよ。
生産性向上と言うんだけれども、労働行政が本当に立脚すべきところは何なのかと、労働者が人たるに値する生活を営むため、その必要を満たすべきその最低基準をどう守らせていくのかということだと思うんですよ。そういうことがずっとできていなかったから過労死がなくせなかったんだと、その反省の上に立って労働法制というのは考えるべきなんだと。引き続き議論をさせていただきたい。
終わります。