実態見ぬ病床削減策 倉林議員 「地域医療構想」を批判 (厚生労働委員会)
(資料があります)
日本共産党の倉林明子議員は19日の参院厚生労働委員会で、2025年までに高齢化によって見込まれる入院ベッド数より33万床少なくする「地域医療構想」について、地域の実情を見ず知事権限で強引に進めるものだと追及しました。
同構想は入院ベッドを機能ごとに区分(機能分化)し、「急性期」などの病床を削減。機能分化しない場合(l52万床程度)より少ない、119万床にする計画です。厚労省の推計では、重症度が低い医療区分1の入院患者の7割が在宅で対応可能としています。
倉林氏は、京都府が病院に行った調査では医療区分1は「在宅での対応が不可能」との回答が7割を超えたと指摘。しかも推計には、貧困で病院にかかれない人などが入っていません。倉林氏は「京都府では国の数値を当てはめたら(病床数は)マイナス900になるところだった。実態を踏まえて推計し直したらプラスになった」として「医療過疎を加速させてはならない」と主張しました。
地域医療では、都道府県知事に病床の削減を勧告する権限が付与されます。倉林氏は、病床削減を決めるまで「調整会議」で議論させ、決まらなければ知事の権限で削減させるもので「医療費削減競争に都道府県を追い立てることになる」と批判しました。
加藤勝信厚労相は「継続的に医療制度を維持するため」と弁明。倉林氏は「財務省言いなりがすぎる。厚労省には国民が安心して医療を受けられる体制を保証する重い責任がある」と強調しました。
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
本法案で実現を目指す地域医療構想、これについてまず質問したいと思います。
これは、策定段階から機械的な病床削減との批判に対しまして、当時、塩崎大臣は、地域の実情を踏まえて地域医療構想を策定することになっているんだと答弁されておりました。医療構想の結果はどうなったかと見ますと、厚労省の推計どおり、二〇二五年の病床数は、機能分化しないまま高齢化を織り込んだ病床数よりも三十三万床少ないというものになったわけです。
これ、結果を見て、地域の実情がこの構想に反映された数字なのかどうか、その認識をお聞かせいただきたいと思います。これ、大臣にお願いしたい。
○国務大臣(加藤勝信君) 今、地域医療構想については、二〇二五年の病床数の必要量の推計、これ、平成二十七年四月に厚生労働省から都道府県に対しガイドラインをお示しをし、地域の実情に応じて対応していただきました。
全国の病床数の必要量の推計は、平成二十七年六月に内閣官房社会保障改革担当室、これが行っておりますが、推計に当たっては患者の移動等の地域の実情が反映されるべき点について機械的な仮定を置きつつ、全国合計で百十五万床から百十九万床程度という形で結果を出しております。
それに対して、平成二十九年三月までに都道府県が策定した地域医療構想、これは患者の移動や入院受療率といった地域の実情を踏まえるべき点について地域の医療関係者や保険者等関係者でよく議論をしていただいて、その議論の結果を踏まえて推計が行われたということであります。
都道府県が行った推計値の全国合計をいたしますと百十九・一万床ということでありまして、内閣官房の推計結果の幅の中に入っているわけでありますけれども、こうしたそれぞれの各都道府県においては、基本的に地域の実情、こういったことを踏まえて、そして関係者がそこに、議論に参加をして、そして作られた、こういった結果だというふうに認識をしております。
○倉林明子君 丁寧に御説明いただいたんだけれども、全体としては厚労省のガイドラインの枠内の病床数ということになっているんですよね。数字は一千床しか違わないという数字ですよ。
これ、国の慢性期病床の推計ということで見てみますと、療養病床に入院する医療区分の一の人、このうち七割が在宅可能だというふうに見込んでいるわけですね。
これに疑問を抱いたのが京都府で、独自の調査をやったというんですね。この結果を見ますと、実際に療養病床に入院している医療区分一の患者さんで、在宅での対応が不可能と、こういう回答をした病院というのは七割を超えているんですよ。つまり、現状では在宅可能な人は三割下回ると、そういう数字が出たんですね。
そもそも、医療区分が低い入院患者の七割は退院できると、こういう推計が実態に合っているんだろうかというふうに率直に思うんだけれども、どうですか。
○政府参考人(武田俊彦君) お答えいたします。
この地域医療構想における慢性期機能及び在宅医療などの需要の将来推計では、平成二十五年に日本慢性期医療協会が会員である二百四十病院に実施した調査において、入院している患者ごとに同会が設定した重症度評価に当てはめると、医療区分一の患者の約三割が医療区分二の方に相当する、残りの七〇%につきましては重症度が低い、こういう結果があることなどを参考にしながら、医療関係者、それから自治体関係者などを構成員とする有識者検討会で議論した結果として、医療区分一の患者の七〇%は介護施設や在宅医療等で対応可能な患者数として見込むこととしたわけでございます。
一方、京都府で実施をされた調査では、療養病床を有する京都府内の六十三病院の管理者等に対し、入院中の医療区分一の患者を一まとめにして在宅等に移行できるかを病院単位で回答してもらったものであり、個々の患者の心身の状態や家族の支援等を踏まえて個別の患者ごとに在宅等での対応の要否を聞き取ったものではないというふうにお聞きをしております。
また、在宅等に移行できない理由として、医療ケアの必要性や生活上の自立度が低いといった医学的理由だけではなく、家族の受入れ体制や地域における医療、介護の提供体制の不備など、社会的なサポート不足などの理由も踏まえて、在宅等では対応不可能と回答した病院が七〇%であったという結果であるとのことでありますので、この調査のみをもって国が示した推計が現状と乖離しているとまでは言えないのではないかと考えております。
○倉林明子君 国の数値を当てはめたらすごく違和感があったから、ちゃんとやってみたということなんですよね。
レセプトデータでやっぱりそれを基本にしてやっているということで、私、本当に正確な、全国で見てですね、地域別で見てもらってもいい、京都には京都の特徴、確かにあるんです。そういう実態が反映したものにはなっていないんじゃないかという疑問を抱いているわけです。
京都の構想会議で、現場の病院長からこんな発言があったんですよ。それはどういうものかというと、臨床の場で実感することは、住民の経済力がじわじわと下がってきていて、これが医療需要に影響する段階まで来ていると、こういう認識ですね。で、自己負担が賄えない、貧困が進んで医療機関にかかれない人が増えていると、こういう現場の声が上がっているんですね。
いわゆるレセプトデータを基にするということになりますと、こういう、医療にかかっていない、必要でも、こういう人たちというのは医療需要に推計としては反映されないと、そういうことになるんじゃないですか。
○政府参考人(武田俊彦君) この地域医療構想における二〇二五年の病床数の必要量でありますけれども、これは二〇二五年の性・年齢階級別の推計人口と二〇一三年の性・年齢階級別、医療機能別の入院の受療率を掛け合わせ、二〇二五年の医療機能別の医療需要を算出いたしまして、その数値を医療機能別の病床稼働率で除すということで算出をしております。
御指摘のようなケースを含めまして、現在医療機関を受診していない潜在的な患者につきましてはこの医療需要の推計には反映をされておりませんけれども、推計は二次医療圏を基本とする構想区域における一定の入院規模で推計をしておりますので、地域医療構想調整会議において地域の実情も考慮して協議した上で決定されていることから、現時点では御指摘の視点から推計上大きく実態と乖離しているといった意見は聞いていないところでございます。
○倉林明子君 レセプトデータの実績を基にしていろいろ言うんだけど、ここが大本になって出ている推計なんですよね。
医療が必要なのに病院にかかれないという人は、基本的には推計値では入れているというんだけれども、含まれない実感というのは現場からも出ているということ、重要なんですよ。さらに、これ医師不足とか診療科の偏在、これ各地で起こっているわけですが、そういうことを理由にして稼働できない病床、さらに、閉鎖したままの外来、こういうものも発生しています。それがそのまま実績として将来推計に持ってくるというのが基本の仕組みになっていたと思うんですね、推計の。
地域医療構想ではじき出された病床数そのものが、これ私、必要な本当に病床数と言えるんだろうかというふうに思います。いかがですか。
○政府参考人(武田俊彦君) この地域医療構想における二〇二五年の病床数の必要量の推計に当たりましては、医師不足や診療科の偏在等に起因するものを始め、現に生じている地域間の患者の流出入につきましては、将来に向けてこれを解消していくことを前提として医療需要を調整することが可能でございます。例えば京都府の地域医療構想におきましても、地域ごとの医療資源の多寡や患者の流出入の状況を踏まえた医療需要の地域間調整を行った上で病床数の必要量を推計していると承知をしております。
〔委員長退席、理事石田昌宏君着席〕
地域医療構想は、病床数の必要量の推計から医療機関ごとの具体的対応方針の策定に至るまで、このような地域での関係者の協議プロセスを経て、地域ごとの将来の医療ニーズに応じた病床の機能分化、連携を進めていくものでございます。
地域医療構想の達成に向けた取組を着実に進め、質が高く効率的な医療提供体制を地域ごとに構築していくことが診療科の偏在や医師不足の解消にも資することになる、こういう面もあるというふうに考えております。
○倉林明子君 いや、京都府の名誉のために言っておきますけれども、京都府は、こういう実態調査も含めて、推計だったら、国の数値当てはめたらマイナス全体で九百になるところだったんですよ。ところが、実態踏まえて推計を自らし直してみたら、プラスで出ているんです。で、区分ごとに何床になるかというのも出していないんですよ。かなり独自の医療構想になったのは、独自の実態を踏まえた結果なんですよ。
じゃ、何で足し算したら全国百十九万というその推計にぴたっと合うたんかといったら、推計どおりに機械的にやっているところがほとんどやったと、私は改めて指摘をしておきたいと思うんです。
その上で、今御紹介あったけれども、今閉鎖している病床については、その期間が一年以上だったと思いますけれども、今回これ削減迫っていく対象になってくるということだと思うんです。一層の医療過疎を加速すると、こういうことがあってはならないということを改めて指摘をしておきたいと思います。
そこで、本法案には、この地域医療構想実現のために、都道府県知事の権限を追加しております。二〇一四年成立いたしました医療・介護総合確保推進法、ここでは、地域医療構想の達成に向けて都道府県知事が新たな病床増設、開設、これに対してどんな措置がとれるようにしたのか、その当時で。
○政府参考人(武田俊彦君) お答えいたします。
病床の整備に関して、二〇一四年の改正以前の医療法では、病床の地域的偏在を是正し全国に一定水準以上の医療を確保する観点から、都道府県知事は、既存病床数が基準病床数を上回る病床過剰地域において病院の新規開設や増床の許可申請があった場合に許可を与えないことなどが可能でございました。
これに加えまして、二〇一四年に成立した医療・介護総合確保推進法におきましては、地域医療構想を進めるための権限として、病院の新規開設などの許可申請があった場合に地域で不足している医療機能を担うよう開設などの許可に条件を付与すること、既存の医療機関が地域で既に過剰となっている医療機能に転換しようとした場合に転換の中止の命令や要請、勧告を行うこと、地域医療構想調整会議での協議が調わない場合に既存の医療機関に対し地域で不足している医療機能を担うよう指示や要請、勧告を行うこと、稼働していない病床がある場合にそれを削減するよう要請、勧告すること、こういった権限を創設したところでございます。
なお、地域医療構想の達成に向けては、地域医療構想調整会議において各医療機関が二〇二五年に担うべき役割について協議を行い、その協議の結果に沿って取組を進めていただくことが重要でございますので、こうした都道府県知事の権限は、あくまで自主的な協議だけでは病床の機能分化、連携が進まない場合に適切に行使していただくこととなると考えております。
〔理事石田昌宏君退席、委員長着席〕
○倉林明子君 今回のところまでちょっと踏み込まれたのかどうかよく分からなかったんですけれども、今回の改定、これまではどうだったか、今回どうなるのかということで、資料を付けております。
現行制度では、左手、基準病床数までの増床の場合、これ可能だったものですよね、基本的に。ところが、今回の改定では、じゃ、どうなるのか。どうですか。
○政府参考人(武田俊彦君) 現行の基準病床数の制度の下では、基準病床数が、基準病床数を下回る場合につきましては追加的な病床の整備を行うことが可能となっておりますけれども、一部の地域においては、二〇二五年の病床数の必要量が既存病床数を下回り、将来的には追加的な病床の整備がこれ以上必要ないにもかかわらず病床を整備することができる、こういう制度上の状況にございます。
こうした地域におきましては、追加的な病床整備の申請があった場合に、その必要性について地域医療構想調整会議等で協議をし、基本的にはその協議の結果に沿って自主的に申請内容が調整されるものと考えておりますけれども、こうした協議を経ても必要な調整がなされない場合に、都道府県知事が医療審議会の意見を聞くなどの必要な手続を経た上で、公的医療機関に対しては許可を与えないこと、民間医療機関に対しては申請の中止等の勧告を行うことが可能となるような権限を新たに追加する、こういう趣旨の改正をお願いしているところでございます。
○倉林明子君 つまり、資料で見ていただいたらお分かりのように、これまでだったら増床が可能だったところのラインがぐっと下がって、赤いところでライン取っています病床数の必要量、ここが増床可能なラインになっていくんだということだと思うんですよ。
いろいろ手続取るとおっしゃったんだけれども、やっぱりこの地域でこれだけの病床を確保してやりたいという民間病院が手を挙げた場合、これが将来の必要量を上回るということになっていると、とことんやりたい意思が変わらない場合は、これ前回からも入っている分ですけれども、保険医療機関の指定をしないという権限あるわけですよね。だから、事実上、その必要量が定まったその数よりも上回る開業、増設というのはこれできないという、極めて強い権限行使がより少ない病床数のところにまで掛かってくるということで、これは、地域医療構想の範囲でなければ実質増床は認めないよと、そしてそれは知事にその権限を与えるよと、こういう仕組みになったんだという理解なんですよ。
今年二月七日に出されました通知を見て、私、大変びっくりしたんですね。地域医療構想調整会議の進め方についてということで事細かに書いてあるんです。個別の医療機関ごとの具体的対応方針をこの地域医療構想調整会議で決めなさいと、公立病院は公立病院でなければ担えない部分に重点化しろと。で、日赤等を含む公立病院以外の公的医療機関についても同様に重点化、でなければ担えない部分に重点化しろと。
さらに、民間病院も例外でないということになっていると思うんです。現状の病床数を削減しろと、こういう指示になっているんじゃないでしょうか。
○政府参考人(武田俊彦君) この地域医療構想の達成に向けては、国から示されたデータを活用することなどにより、個別の病院名や転換する病床数等の具体的対応方針の速やかな策定に向けて、地域医療構想調整会議において平成二十九年度、三十年度の二年間程度で集中的な検討を促進することが求められております。
御指摘の本年二月七日に都道府県に発出された通知でございますけれども、これはその各都道府県が地域の医療関係者と連携しながら円滑かつ速やかに議論を進めていただくことができるよう、開設主体に応じた協議の進め方やスケジュール、非稼働病棟を有する医療機関や病床の追加整備の計画を有する医療機関に関する協議の進め方、協議に当たって地域医療構想調整会議に提示すべき診療実績等の情報等の地域における協議のプロセスをお示ししたものでありまして、現状の病床を地域医療構想の将来の病床数の必要量に合わせて機械的に削減するよう求めたものではございません。
厚生労働省としては、お示ししたプロセスに沿って地域で議論が行われ、地域ごとの将来のニーズに応じた病床の機能分化、連携が進むよう、議論の進捗状況を定期的に把握しながら適切な助言等を行ってまいりたいと考えております。
○倉林明子君 もう繰り返し協議しろ、決まるまでと、そういう強力な中身になっていますよ。
でね、公私を問わず、どの病院、そしてどの病床、これ削減させるか、決まるまで協議しろと、こういう指示になっているんですよ。これ、医師会の中からも、民間病院が公立・公的医療機関等より先に淘汰される事態が起きてはならないと心配しているわけですね。さらに、公私の競合があれば公の方を撤退させることになると、こんな声が出ているんです。
私、地域で連携して医療を担ってきたんですよ、公立、公的、民間。ここがとんでもない対立を持ち込むことになりかねないというふうに思っています。
これ、医療費削減、この責任を、医療費適正化計画、国保運営、これを一体でやることになるのが、二〇一八年度から都道府県に担わせるということになるわけです。地域間格差縮小と、この目標で競わせるということになるんですね、結果として。
医療費削減競争に私、都道府県を追い立てるようなことになるんじゃないかと懸念しているんですけれど、いかがでしょう。
○国務大臣(加藤勝信君) 医療費については、今後人口の高齢化等が進む中で増加が見込まれていくわけでありますけれども、そうした中で、国民が安心して医療にかかることができるこうした制度をどう堅持をしていくのか。この課題は、国だけではなくて、都道府県、市町村、また保険者、それぞれの共通の認識というふうに思います。
そういう中で、国民の予防、健康づくりや医療費の適正化に取り組んでいく必要があります。医療費適正化計画、また国保の財政運営についてはもうそれぞれちょっと具体的に申し上げませんけれども、こうしたことをすることによって、国民が安心して医療にかかることができる制度を引き続き堅持する観点から、国、都道府県、市町村、保険者、それぞれの役割を果たしていこうと、こういうもの、また果たしやすい形にしていこうということでありますので、医療費削減競争ということではなくて、それぞれがその役割を果たす中で、安心して、そして継続的に制度が維持できる、こういった形で実施をしていくものであると、こういうことであります。
○倉林明子君 私は、仕組みとして大掛かりに都道府県の知事の権限を強化して、どうやって全体としての医療費を抑制させていくのか、そこで知事が本当に大変な責任を負う仕組みになっているということを重ねて指摘をしておきたいと思うんですね。
さらに、ここに都道府県別の診療報酬導入と、こういう動きが起こっているわけですね。この場合、診療報酬を引き上げるという選択肢はないんですよ。引き下げるという選択しかない。
これ、どんな場合を想定しているのか、御説明ください。
○政府参考人(鈴木俊彦君) ただいま御指摘のありました医療費適正化計画でございますけれども、これは、御案内のように、医療費に影響を与える要素は様々ございます。その中で、科学的な裏付けがあるものにつきまして、保険者、医療関係者などの協力を得て実施することが可能な取組、これについて目標を設定する枠組みでございます。
そこで、これの進め方でございますけれども、まず、国が計画に盛り込む目標を告示で示しまして、都道府県において適正化の目標を計画に定め、保険者、医療関係者などの協力も得ながら実施するということでございます。そうして、都道府県は、計画期間が終了後に目標の達成状況を評価いたしまして、目標が達成できなかった場合、達成に必要な施策、取組などを様々検討していただき、それでもなお必要があると認めるときに、国に対しまして都道府県内の区域内に全国とは別の診療報酬を設定することを求めるといったような意見を提出することができるということでございます。
国では、あらかじめ都道府県と協議をした上で、地域の実情を踏まえながら、適切な医療を都道府県間で公平に提供する、こういう観点から見て合理的であると認められる範囲内で都道府県の区域内に全国とは別の診療報酬を定めることができる、こういった枠組みを想定しているところでございます。
○倉林明子君 ちょっと全然具体的に見える説明ではなかったのが残念です。
全国知事会など地方三団体は、この医療費適正化に向けた実効性には疑問があるというふうに声が上がっております。慎重な対応を求めているということですよね。そもそも都道府県別の診療報酬には、どの地域に住んでいても同じ診療が同じ値段で受けられると、これ国民皆保険制度、基本なんですよ。これをばらばらに導入できるというようなことをやってしもうたら、私は大変なことになると思う。
国民皆保険制度の下で全国一律の診療報酬、堅持すべきだと思いますけれども、大臣、どうでしょうか。
○国務大臣(加藤勝信君) まず、我が国においては、国民皆保険の下、誰もがどこでも一定の自己負担で適切な医療を受けられる、これ基本的な理念でありまして、診療報酬については、被保険者の公平を期す観点から、どの保険に入っていようが全国一律の点数が設定されているということであります。
一方で、高齢者医療確保法、もう委員が御承知のように、というのがございまして、そこには、いろいろ書いてあるんですけれども、端的に言えば厚生労働大臣がそうしたことが設定できると、こういうふうに規定になっております。
その上において、社会保障審議会医療保険部会等でも様々な意見等々を踏まえて、都道府県からもいろいろ分析したり何やかんやした結果として、意見の提出があった場合にはそれも踏まえて対応しろと、こういうふうに運用上させていただいていると、こういうことでございます。
○倉林明子君 いや、私、すべきじゃないと言ったんですよ。何が何でも医療費削減というベクトルがもう本当に激しいし、余りにも財務省の言いなりが過ぎると言いたいと思う。
国民が安心して医療を受けられる医療提供体制、これをしっかり保障する、厚労省には重い責任があると指摘をして、終わります。