助産師 組み込み重要 倉林氏 周産期医療への運用ただす(厚生労働委員会)
(資料があります)
日本共産党の倉林明子議員は6日、参院厚生労働委員会で、医療法改定案について質問しました。
現在医療法では、助産所開設者は嘱託医と連携医療機関を定めるとしており、改定案は、これを出張業務のみに携わる助産師に拡大するものです。
倉林氏は、嘱託医探しが助産所まかせで、医師確保が困難な状況で廃業せざるを得ない助産所があることを指摘。
母児の安全を確保するためには、全都道府県で整備されている周産期医療ネットワークに助産所・助産師を組み込んでいくことが極めて重要と指摘。塩崎恭久厚労相は「厚労省として、助産所を含めた周産期医療ネットワークづくりを求めている」と答弁、倉林氏は「既に組み込まれている場合は、実質的に嘱託医・嘱託医療機関は確保されたとみなせるのではないか」とし、運用面での検討求めました。
これは助産師会の要望でもあり、質問直後には、お礼の電話がありました。
さらに、本改定案の美容医療の広告規制について、消費者委員会が過去2度(2011年、2015年)に渡り、美容医療のホームページをきっかけとした広告のトラブルが増えている問題等に対し、厚生労働省に法規制を含め必要な措置を講じるよう求めてきたことを示し、「被害を未然に防止するために、問われるのは実効性」とし、実際に指導等を行う保健所を含め、体制強化を求めました。
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
今日は、助産師の嘱託医制度について質問をしたいと思います。
今回の法改正で、助産所が自ら嘱託医を見付けて契約する、こういう制度そのものは変わらないというままで、出張のみの業務に従事する助産師にも対象を拡大するということになるわけです。義務付けられているのは嘱託医ということなんですが、これを見付けるのは非常に大変だというのは再々議論もあったところかと思います。これ、助産師の責任になるわけなんですが、そのために、嘱託医の確保ができない、開業を諦めるという例もあるし、契約していた嘱託医が廃業ということに伴って嘱託医の続きを見付けられないというような場合もあると。さらに、嘱託医を確保できているという例でも、実際には四十分も掛かるようなクリニックの医師が頼りになっているという実態もあるわけですね。
現状の嘱託医制度、これが実態として母児の安全を守る制度として十分に機能しているのかどうか、この点での認識を確認したいと思います。
○政府参考人(神田裕二君) 嘱託医師、嘱託医療機関についてでございますけれども、助産所については、開設時におきまして都道府県等に届出が必要というふうになっておりますけれども、分娩時などの異常に対応するために嘱託医、嘱託医療機関を定めておくこととされているところでございます。二十六年度の調査によりますと、回答のあった全ての助産所において嘱託医師、嘱託医療機関が確保されているということになってございます。
助産所の嘱託医師、嘱託医療機関の役割ということでございますけれども、分娩時の異常があった場合に搬送を受け入れるといったようなことだけではなくて、妊婦健診ですとか必要なときの治療、処方、助産所からの妊婦についての相談に対応するなどの役割も担っていただいているところでありまして、二十八年度に行いました調査では、嘱託医師については九割以上が、嘱託医療機関については八割以上が今申し上げました妊産婦健診、それから必要時の治療、処方、助産所からの妊産婦についての相談などについて対応しているというふうに把握されておりまして、その趣旨を踏まえた機能が発揮されているものというふうに考えております。
○倉林明子君 異常があったときにどう対応するのかということで、それを担う、期待される嘱託医の役割というのもあるんですね。そういう点でどうかということを聞きたかったんですね。
分娩時の事故に対する訴訟リスクが高まっているという状況、さらに、そういうことで嘱託医が嘱託医を受けることを敬遠するという傾向が現場ではあるというふうに伺っております。さらに、二〇一五年の十月からは医療事故調査制度が発足いたしまして、これ必要な制度だというふうに思うわけですけれども、嘱託医を引き受けるという点で新たなハードルということでの懸念も広がっているわけです。
その一方で、母児の安全を守るためということで進められてきたのが周産期医療体制の整備ということだと思います。これ、検討会でも出された資料を資料一と二ということで提供しております。この変化にも見るとおり、周産期医療体制、これは確実にこの十年ほどで強化されてきたという傾向が見て取れると思うんです。
そこで、現状では、周産期医療ネットワーク、これが全都道府県で基本的には整備されているという認識かと思うんですけれど、間違いないですね。
○政府参考人(神田裕二君) 御指摘の妊産婦や新生児が急変した場合の高次施設への搬送を行うためのネットワークについてでございますけれども、厚生労働省としては、都道府県が医療計画を策定する際の指針におきまして、妊産婦や新生児の搬送と受入れ体制に関して周産期医療に関する協議会で協議を行った上で構築するように示しておりまして、これに基づきまして各都道府県が周産期医療に関連する施設間の連携体制の構築を推進しているところでございます。
このネットワークにつきましては、都道府県を通じて毎年度その整備状況を確認しておりまして、全都道府県において整備されているものと認識しております。
○倉林明子君 様々なお産に関わる事故があって、やっぱりお産難民とか救急時の対応で親子が死んでしまうというようなことを本当に避けていくということでの努力は一定されてきていると私は思うんですね。
そういう点でいうと、今御紹介あったように、全都道府県でこの周産期医療ネットワークが整っていると。協議会で協議した上で整備してきているということあったんだけれども、ここに実は助産院、助産師が組み込まれていないところも残っているんですね。
私、分娩を取り扱うこの助産所、助産師、これをしっかり全ての都道府県のネットワークに組み込んでいくということは極めて重要だというふうに思うんです。これ組み込まれていれば、いざ異常があったとき、母児の安全を確保しながら、大臣もおっしゃっていました満足のいくお産、こういうもの、本当に安全面、いざ何かあったときも支えるということにつながっていくというシステムだと思うんですね。
その上で、既に組み込まれている場合、これも多いかと思います。こういう場合は、ほかの機能もあるんだとおっしゃるんだけれども、一番肝腎な異常が起こった場合の対応ということでいうと、実質的には嘱託医、嘱託医療機関、確保されているとみなすことも私可能じゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 妊産婦あるいは新生児が急変をした際に、各都道府県の周産期医療の中核でございます今御指摘の周産期母子医療センターへ搬送するためのネットワーク、これが、助産所がしっかりと参画をするということが大事だということでございます。
このため、厚労省としては、都道府県が医療計画を策定する際の指針、これは周産期医療の体制構築に係る指針、この指針におきまして、各都道府県が助産所を含めた周産期医療ネットワークの構築を行うように求めているわけであります。
一方で、嘱託医師、嘱託医療機関につきましては、個々の助産所との間で、妊婦健診、必要時の治療、処方、そして妊産婦についての日常的な相談に対応するなどの具体的な役割につきまして文書等により合意をすることを求めているわけでございます。
医療計画においては、一般的にはこのような内容までは記載をすることになっていないわけでございますので、助産所における安全、安心な分娩のためには、ネットワークとは別に嘱託医師等の確保が必要というふうに考えているところでございます。
○倉林明子君 いや、その嘱託医を確保するということが非常に厳しいという状況が助産師会からも出されている、この嘱託医制度そのものをやっぱり見直してほしいというところまで言っているんですね。確保できないと開業そのものが担保できないということになっているわけですから、私、全ての都道府県でこういういざというときの周産期ネットワークができているというところに組み込むということにとどまらずに、やっぱりこの嘱託医の確保を義務付けているというところが助産院の存続に関わってくる問題にもなっているということは、運用面も含めて、私、この周産期ネットワークに組み込んでいるということを踏まえて、対応、検討を強く求めたい。助産院がこれでもって廃業に追い込まれるようなことは本末転倒ではないかと思っておりますので、ここは強く求めておきたいと思います。
次に、美容医療の広告規制について質問したいと思います。
消費者委員会は、二〇一一年の建議を出されまして、その後、厚生労働省に対して繰り返し指摘してきたということで伺っておりますが、その中身は何だったのか。二〇一五年、二回目の建議に至った経緯について簡潔に御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(黒木理恵君) お答え申し上げます。
消費者委員会では、平成二十三年の建議において、美容医療サービスについて不適切なインターネット上の表示の取締りの徹底等について求めたところでございます。これを受けまして厚生労働省ではガイドラインを策定される等一定の対策を講じられたところでございますけれども、消費者委員会としては、更に厚生労働省に対して、その取組の効果について十分に検証、評価を行い、十分でない点があれば、法規制を含め、更に必要な措置を講じる必要があるということを指摘してきたということでございます。
しかしながら、その後、平成二十三年度の全国の相談件数千六百件であったものが、平成二十六年度には二千六百件というふうに増加をしておりまして、その対策の効果は十分とは言い難い状況にあったところでございます。
このような状況を踏まえまして、消費者委員会で美容医療サービスに関する消費者問題について再度調査、審議をしたところ、やはり相談事例において、美容医療サービスを利用するきっかけとなる媒体がインターネット上のホームページというものが多いと、かつ、その割合も二十三年度に比べて高まっている等々の事情が判明いたしましたことから、平成二十七年の建議を行ったところでございます。
○倉林明子君 二〇一五年に出されました二回目の建議のところでも触れられているように、厚生労働省に対しては、評価もした上で必要な措置を講ずる必要がある、こういう、再三指摘をしてきたと、しかし、効果不十分ということで二回目の建議に至ったと、御説明のあったとおりかと思います。
そこで、ようやく今回の法改正となったわけですけれども、私、最初の建議から見ますと、既に六年ということになったわけです。消費者委員会からもありましたとおり、被害を防止できなかった、結果としてやっぱり増えた、拡大してきた、これ、責任は私、極めて重大だというふうに思っているんです、対応の遅れという点で。
美容医療の被害をどう未然に防止するのかと。これ、これから問われるのは実効性ということになってまいります。ネットパトロールについての議論もありました。これ、チェック体制が新たに稼働するということになるわけですが、実際にここでチェックされたものについて指導そして是正命令、罰則等を科すのは都道府県、保健所ということになっていくわけで、国民医療センターや国民生活センターからの被害情報、これにも効果的な対応が求められるのは保健所ということになっていこうかと思います。
そこで、保健所の体制強化、これが肝腎要の実効力担保になると思いますけれども、それはどう進めていかれるのか。どうですか。
○政府参考人(神田裕二君) 先ほどもお尋ねございましたけれども、医療監視の体制についてでございますけれども、現在、都道府県知事等が任命した医療監視員が立入検査等を実施しているわけでございますけれども、全国で一万人余が任命されているところでございます。ただ、専任の職員は限られているというのが現状でございます。
先生御指摘のとおり、今回の改正によりまして、ウエブサイト等につきまして報告徴収ですとか立入検査、是正の命令、罰則等の対象となってまいります。こうした業務を実際に担いますのは、地方公共団体において医療監視を行っている職員というふうになりますので、適切な指導を行えるような体制を確保していくということは非常に重要であるというふうに考えております。
私どもとしては、これまでも都道府県の医療広告の担当者を集めた会議を開催しまして指導等に必要な情報共有を行うなどの支援を行ってきているところでございます。人員の配置なども含めまして、各地方公共団体、先生御指摘の保健所の体制等を含めて必要な体制が構築されるよう、必要な支援について検討してまいりたいと考えております。
○倉林明子君 いや、仕事は確実に増えるんですよね、保健所の。地方自治体で保健所今どうなっているかといいますと、やっぱり自治体リストラということで、統合等が進んで職員は減っているというのが実態ですよ。本気で実効性を上げようと思ったら、やっぱりこの体制強化というのは欠かせないと思います。
何か今の答弁では検討していくというようなことでしたけれども、体制担保してしっかり取り組んでいくと、その決意を最後、大臣に伺って、終わりたいと思います。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今回、法改正を行ってウエブサイト等も規制の対象にするということによって、この美容医療の健康被害をなくすということを目指していくわけでございます。
法改正に加えて、先ほどのネットパトロール、あるいは新たな規制の内容や具体的な違反事例をガイドラインとして明確化を、都道府県において円滑に事務が行えるように明確化をしていこうということを考えておりますし、また、こうした規制の実効性を上げるためには、やはり各地方公共団体における医療監視の体制を確保しないといけない、それによって適切な指導を行えるようになるわけでありますので、こういったことにしっかりと力を入れ、また人員の配置の問題、御指摘ありましたが、これらについてもしっかりと必要な支援を検討してまいりたいと思っております。
○倉林明子君 よろしくお願いします。
終わります。