倉林明子

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介護保険改悪 参考人から批判 / 介護サービス取り上げ拡大 改悪案の危険性を追及(厚生労働委員会)

(資料があります)

 参院厚生労働委員会は23日、介護保険のサービス費を3割負担に引き上げることなどを盛り込んだ介護保険改悪法案について参考人質疑し、参考人から「介護保険がゆがめられている」など厳しい意見が出されました。

 日本ケアマネジメント学会の服部万里子副理事は「介護の目的は、介護が必要になったとしても能力に応じて福祉、医療サービスを利用し、自立して日常生活が営めるようにすること」だと指摘。市町村に介護度の改善目標、結果公表を義務付け“成果”が上がった市町村に財政的インセンティブ(優遇)を行えば、市町村が介護認定を厳しくする恐れがあると指摘。「事業者も改善する可能性で利用者を選別することにつながる」と批判しました。

 三重短期大学非常勤講師の村瀬博氏は、政府が先行事例としている三重県桑名市の状況を報告しました。介護保険を「卒業」し、サービスを担う側として“地域デビュー”を促す同市の取り組みで、介護サービスを打ち切られた人たちが全額自己負担でサービスを受けている実態や、状態が悪化し要介護度が上がった例を示すとともに、他の地域より2年後の死亡率が高いことを告発。国の方針先取りが招いた深刻な実態を突き付けました。

 日本共産党の倉林明子議員は、2015年の介護報酬引き下げ改定の影響を質問。服部氏は「史上最大のマイナス改定で全国の事業所の多くが赤字だ」と批判。報酬を引き上げ、質の高い介護が提供できるよう訴えました。


 日本共産党の倉林明子議員は23日、参院厚生労働委員会で、介護保険法等改悪案に盛り込まれた「財政的インセンティブ」により、介護サービスの取り上げが拡大する危険性を追求しました。
 
 改定案は、「要介護認定率の低下」「給付費の抑制」など、自治体の“給付適正化”の努力を国が評価し、実績に応じて予算を加算するとしています。倉林氏は、こうした財政優遇の仕組みが、“適正化の努力が足りない”とされた自治体にとっては予算削減のペナルティになると指摘。塩崎泰久厚労相も「調整交付金に組み込んだ場合、減額となる市町村が生じる」と認めました。
 
 倉林氏は、厚労省が“適正化”の「先進事例」とする大阪府大東市や三重県桑名市で、「卒業」の名による強引なサービスの打ち切りや、申請の門前払いが横行している実態を告発。桑名市の事例が、同市に「特命副市長」として出向した厚労省の官僚によって推進されたことを明らかにし、「厚労省が仕掛け人となって必要なサービスを奪うような制度を導入することは許されない」と批判しました。


介護予防に資するケアマネジメントの事例のイメージ


多職種協働によるケアマネジメントの充実


「地域生活応援会議」に参加する皆さんに呼び掛けたいこと


議事録を読む(参考人質疑)

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。今日は四人の参考人の皆さんに御意見を聞かせていただきまして、本当にありがとうございます。
 そこで、財政的インセンティブにつきまして、服部参考人の方からは、法の目的にも触れて、自立の一面化、目的変更になるという指摘や、さらに反対の意見も多かったということも御紹介いただいて、要介護認定を厳しくする、あるいは利用者を改善する可能性で選別する、自立の強要により事故が起きると、こういう指摘というのは本当に大事な指摘だというふうに受け止めました。
 改めて、じゃ介護保険部会での意見の取りまとめはどうだったんだろうかということで、岩村参考人の方からお話もあったんですけれども、この中身を見てみますと、インセンティブの付与については、結局、市町村や都道府県に対するインセンティブを設けることも検討すべきという表現になっているし、インセンティブを設けるべきではないとの意見もあったと、こういう取りまとめになっていることも踏まえれば、このインセンティブの規定を整備するという今回の法改正になっているということについては少し乖離があるのかなということを改めて受け止めたということです。
 そこで、実際に先行して取組が進んでいます桑名のことに関して、最後の方が少し説明が駆け足になったかとも思ってお聞きしておりました。大きな役割をこの仕組みの中で果たしているのが地域ケア会議、桑名では地域生活応援会議ということで機能しているということですけれども、私、ここの役割、どんな役割を果たしているのかということを御説明いただくと同時に、後ろ、十分時間取れなかったところも併せて御説明を補足的にしていただければと思います。

○参考人(村瀬博君) 卒業の話が中心になってしまったんですけれど、卒業という件数、いわゆる数値目標を設けるということも問題だというふうには思うわけですが、認定率が下がっている、いわゆる、七ページで二年間ぐらいの間に要介護認定率一六・二五から一四・一八と、こういう下がり方をしている主な原因というのは、応援会議というのがやはり問題だというふうに私は思っています。
 卒業で減るという要素もありますが、大きな要素というのは、応援会議が、四十人ほどの方に、言葉は悪いですが、助言されるというか囲まれているような形で自分の立てたプランが検討されるということなんですけれど、応援会議に出るに当たっては、その方の、高齢者の生活状況であるとか体の状況であるとか全てのことを把握して応援会議にケアマネさん等が臨まないと、そこのいろいろな質問なり助言には答えられないという、そういうふうなこと、あるいは応援会議に臨むに当たってたくさんの資料を用意してこの状況に臨まなきゃいかぬという、そういうことがありまして、認定率が下がっている主な原因というのは、要支援一、ここでは出ていませんが、要支援一が大きく下がっているので認定率が下がっているというのが主な要因です。要支援二は時間数としては要介護一と同じ時間数ですので余り下がっていない。介護のサービスが受けられるということで、ケアマネさんは要支援二の方については申請されると思うんですが、要支援一の方についてはこの応援会議を忌避、回避して、そもそも応援会議にかけない、こんな状態であれば介護のサービスはなかなかちょっと受けるのは無理と違いますかと、そういうふうな中で要支援一が急激に下がって、全体としては七ページの上のような下がり方になっています。
 だから、応援会議について、行政の意向をそんたくして、事業者あるいはケアマネさん自身が非常に萎縮、自己規制をする中でこういう認定率の低下というのが起こっているという大きな問題があるというふうに私は思っています。

○倉林明子君 ありがとうございます。
 そこで、服部参考人にお聞きしたいと思うんですが、二〇一五年、報酬改定がありました。これについて率直な評価をお聞かせいただきたいと思っているのと、このとき、職員の賃上げ、これ最高月額で一・二万円可能だということだったわけですが、この加算が実態賃金の、職員に対してどんな効果となっているか、現場の実態も踏まえてお聞かせください。

○参考人(服部万里子君) 前回の改定の中では、五回目の介護報酬改定だったんですけれども、史上最大のマイナス改定です。平均的では二・二七%のマイナスですけれども、おっしゃるとおり、処遇改善加算が入っていますので、実質は四%以上のマイナス改定だったんですね。結果として、全国の訪問介護事業所の四割以上、デイサービス事業所の四割以上が赤字経営ということになっているという実態があります。
 処遇改善ということは私は大切だと思いますけれども、十万円低いんですね、例えば訪問介護員の場合だと。施設の介護職もそうです。一か月当たり十万円低いという実態を見れば、基本的には介護報酬をしっかり付けて、まともな仕事に、人が辞めないという、こういうことをやっていく方が妥当だろうというふうに私は思います。

○倉林明子君 服部参考人に重ねてお聞きしたいと思うんですけれども、今、現場では離職もう止まらないという現状があろうかと思うんですね。その現状に歯止めを掛けていくためにも、実態としての職員の配置基準の問題があろうかと思います。実際、三対一ではもう回らないということは、施設でですね、あろうかと思うんですけれども、その点の基準の見直しについてのお考え、いかがでしょうか。

○参考人(服部万里子君) まず、基準を下げることはすべきでないと私は思っています。
 なぜかというと、施設は今、介護度三以上しか入れないというふうになりましたので、重度の人が多いので、その分介護負担というのは介護職に物すごく深くなっています。
 それと、人は足りなくないんですね。ホームヘルパー二級を持っている人は二百九十万人いるんです。だけれども、介護の現場に就いているのが一八%ぐらいなんです。もう八五%は介護の現場に就いていないんです。
 介護福祉士も百六十万人いますけど、介護の現場で働いているのが五十五万人なんです。それは、資格は持って介護に心持ちを持ってやりたいというふうにいった人が現場に入って、もうこれでは続けられない、やっぱり、厚生労働省がその実態調査をしていますけれども、給料が安くて社会的評価が低くて仕事がきつくて休みが取りづらくて雇用が不安定という、これだけ続けば誰も続けられないということで、まずしっかりと介護報酬でまともな仕事ができる環境をつくって、そして質の高いケアがより継続できるようにする、これが私は本来の姿かなというふうに思っております。

○倉林明子君 ありがとうございます。大いに参考人の皆さんの意見も踏まえて審議を深めていきたいと思います。
 ちょっと時間もなくなってまいりましたので、質問できなかった参考人を残したことをおわびして、終わりたいと思います。


議事録を読む(対政府質疑)

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 先ほど来質問も続いておりますが、財政的インセンティブについて質問したいと思います。
 要介護認定率などの自治体ごとの違い、これを見える化して、給付適正化の努力を評価し、優先的に予算を配分すると、こういうものだと理解をしております。
 本会議で、新たな財政投入で行うのか、既存の調整交付金を使うのかという質問をしましたところ、大臣は、追加財源を確保してやるべきという意見と財政中立でディスインセンティブを組み合わせてやるという意見の両方があり、詳細は検討中ということでした。
   〔委員長退席、理事島村大君着席〕
 そこで、改めて今日は確認したいと思うんです。追加財源なしに既存の調整交付金を使って、大臣に聞きますので、インセンティブを与えるとなれば、給付適正化の努力が足りないというふうにされた自治体の予算は減るという関係になろうかと思います。こうなった場合は、減った自治体、これペナルティーになるんじゃないでしょうか。大臣、認識いかがでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今回の御提起申し上げている法案の中では、保険者が行う自立支援あるいは重度化防止の取組を推進するために、保険者機能を強化する一環として保険者の様々な取組の達成状況を評価をできるように、そして客観的な指標を設定した上で市町村等に対する財政的インセンティブの付与を予定をしております。
 これ、医療でも保険者機能の強化ということで、全般的にこういった財政的なインセンティブを付与をしながら、より健康に、より医療が適切に供給されるようにということで保険者の努力を促すと、こういうことをやっているわけでありますが、この調整交付金につきましては、国庫負担金二五%のうちの五%を用いて市町村間の後期高齢者比率や所得水準の差を調整をしていこうという、こういう仕組みであります。
 仮に御指摘のようにこの仕組みの中にインセンティブの要素を組み込んだ場合に、市町村の取組状況に応じて現行より調整交付金が増額となる市町村と減額となる市町村が生じることは考え得るところでございます。財政的インセンティブとして今回の法案で新設をされる交付金に加えて調整交付金を活用することも検討課題であるわけでありまして、自治体関係者から強い反対意見もございます。こうした意見も私どもとしてはしっかりと踏まえて、今後検討をしてまいらなければならないというふうに考えております。

○倉林明子君 いや、減る自治体が出ると、その五%の枠内ということになればということで、やっぱり減る方にとってはペナルティーになると思うんですよ。
 反発の声ということで、医療のところでも、五月十七日に緊急要請ということで、知事会、市長会、町村会ということで緊急の要請も出ている。これ、やっぱりインセンティブやめてくれということですよ。介護保険でもこのようなペナルティー措置につながるインセンティブというのをやめてほしいというのは自治体からも上がっているということです。私、これを真剣に受け止めるべきだと思うんですが。
 財政制度等審議会及び経済財政諮問会議、この民間議員からは、インセンティブは五%、これでやれという意見が上がっているということです。五%の調整交付金を使って傾斜配分をする仕組みにしなさいと、こういう要求が出ていると認識しているんですけれども、これ、ペナルティーにしてはならない。自治体の声をしっかり反映するというのであれば、財務省、財界人の提案はきっぱり拒否すると明言していただけますか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 財政的インセンティブについては、これもうお話し申し上げてまいりましたが、審議会では、追加財源を確保した上で実施すべきという御意見、あるいはディスインセンティブも組み合わせた上で財政中立で実施すべきといった幅のある御意見が様々出ているわけでございました。
   〔理事島村大君退席、委員長着席〕
 今回の法案におきましては、市町村や都道府県に対して自立支援や重度化防止の取組などを支援をするために予算の範囲内において新たな交付金を交付する旨の規定を新設をしているわけでありますが、これに加えて、調整交付金の仕組み、ここにおきまして新たに市町村の取組の差を反映させることも検討課題となっています。
 自治体の関係者からは、先ほど申し上げたように、調整交付金の活用には強い反対意見もございます。こうした意見も私どもとしては踏まえながら、どういう形でこの調整交付金の活用を含めてこのインセンティブを組み立てることが可能かということを検討をしてまいらなければならないというふうに思っております。

○倉林明子君 財政調整交付金で、その枠内で五%で傾斜配分せいというような明確な要求に対して、やっぱりノーとはっきり何でここで厚生労働省言えないんだろうかと、そういう立場でしっかり臨まないと駄目だというふうに厳しく指摘をしておきたいと思います。
 自治体を競争させるこのインセンティブ、一体何をもたらすのかという中身の問題です。自治体の総合事業、先行事例ということで私はかなり見えてきているんじゃないかというふうに認識しています。
 大阪府の大東市、ここで一体何が起こっているか。要支援者を対象とした新総合事業は昨年度からの導入です。要支援者や軽度者対象にして、自治体のケアマネジメントなど介護サービスを終了し、介護予防、大東元気でまっせ体操というんですって、これにつなげるというんですね。この一年間に要支援の人を三割、要介護一の人一割減らしたというんですよ。
 もう一つ、午前中にも紹介あった三重県の桑名市の事例です。これは、介護保険を卒業して地域活動にデビュー、こういうことができた人が出た場合、交付金出すんですよ。元気アップ交付金、事業所に一万八千円、ケアマネジメントの実施機関に三千円、本人は二千円、市からお金を出す、こういうインセンティブを既に実施しております。これで認定率が低下したというわけです。
 そこで、今後、認定率は直接指標にしないという答弁はいただいておりますけれども、介護保険から卒業させる、こういうことがインセンティブの評価指標としていくのではないかと十分に考えられるんですけれども、どうですか。これは蒲原さん、どうぞ。

○政府参考人(蒲原基道君) お答え申し上げます。
 幾つかの自治体におきまして、徹底した地域の課題を把握するとともに、リハビリ専門職等の多職種が参画する地域ケア会議を開催し、自立支援と重度化防止に向けたケアマネジメントを推進するという取組によって自立支援、重度化防止に大きな効果を上げているというふうに聞いているところでございます。こうした取組により、認定率が下がったり、あるいは介護サービスの利用が不要となる方が出てきているということでございますけれども、これはあくまで様々な取組の結果でありまして、それ自体は目標ではないというふうに承知をいたしております。
 こうした先進事例も踏まえまして、財政的インセンティブの指標の設定に当たっては、やはり適正なサービス利用の阻害につながらないことが大前提でありますし、各保険者における高齢化率や地域資源の違いも踏まえて、特に大事なことは、アウトカム指標とプロセス指標をきちっと組み合わせて公平な指標とすることが大事だというふうに考えておりまして、具体的な指標については、アウトカム指標として、先ほど話がございましたけれども、要介護認定率の高低を直接用いずに、要介護状態等の維持、改善の度合いなどの取組の成果を反映する指標や、あるいは、そこに至るまでのプロセスの指標として、例えば地域ケア会議の実施状況など、そうした保険者の自立支援、重度化防止についての取組を後押しするような、そういうものになるようにしたいと思いますし、そのときに、自治体の意見をよく聞いた上でやっていきたいというふうに思っております。

○倉林明子君 いや、大東市の元気でまっせ体操、これ厚労省のホームページでも、昨年の総合事業担当者向けセミナー、ここでも、今おっしゃったように厚労省が先進事例ということで紹介しているんですよね。つまり、自治体にとっては厚労省推薦事例という取組になっているんです。
 そこで、一体どういうことになっているのかということが私は重要だと思っているんです。先ほど蒲原局長は、大前提としてサービス利用の阻害になってはならないと。この大前提が、じゃ担保できているのかということなんですよ。
 午前中の桑名の実態、介護からの卒業ということで状態悪化となる例が起こっているということが村瀬参考人から紹介ありました。私たちも聞いています。死亡率も高い傾向があると懸念を示されておりました。要支援の場合は、これ卒業というだけじゃないんですね。要支援の場合は介護サービスが利用できないということで、何と自費負担ということで、約二割の人がそういう実態になっているんですよ。
 じゃ、その先進事例、厚労省の推薦事例となっている大東はどうかと。これ見てみますと、医療機関から、あるいは事業所から上がってきているお話では、要支援一、この高齢者の通所リハビリ、こうしたものが認められずに、結果として寝たきりになるというような事例があるというんですよ。これ実際の話で、担当者が評価してどんなセルフケアが必要かを決めるということで、自分で介護予防体操をしなさい、入浴は風呂場を改修して自宅でと、こういうプランになったんですよ。まさに筋力アップで、風呂には自分で入れるようにということを指導受けたんだけれども、できなかったんですよ、自分では。で、悪化して寝たきりということが起こっているということなんですね。
 これ、大東でも桑名でも共通していることがあります。それは何かといいますと、既に要支援で介護を利用している、こういう人に対して説得による卒業が勧められていると。卒業。卒業加算、二つ目、卒業加算などのインセンティブで卒業を促す仕組みを設けている。さらに、三つ目、新たなサービス利用希望者に対して基本チェックリスト、これを使うてくださいということで、安上がりなサービスへの誘導あるいは自分でやる体操の指導というようなことにつながっているんですよ。四つ目、地域ケア会議がこれ門番の役割担って申請や更新を簡単にさせない。こういう共通項が見えてきているわけですね。
 私、介護が必要な人に、そして大前提としてサービス利用阻害につながらないという説明しているんだけれども、モデル事業推薦事例で起こっているこういう実態、ちょっとつかんでいるんだろうかと思うんです。こういう実態を踏まえたら、必要なサービス、これが適切に受けられているとは私到底言えないと思うんですけれども、大臣の認識、いかがでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 当然のことながら、この介護保険においては、自立を支援し、そして重度化を防止するという中で、必要な方に必要なサービスが行くということを守っていかなければいけないということが基本であるわけであります。
 高齢者がその持っている力に応じて自立した日常生活を営むことができるようにこの支援をするということは、言ってみればこれは前提であって、これを前提としつつ、御本人の生活の向上という面からもリハビリテーション等によって状態が改善をするということを目指していくことは、これ自体、自立という、自立支援という大きな目標とそれから介護の重度化、この二つの理念を達成するために重要なわけでございます。
 全国を通じて、高齢者の自立支援や重度化防止の取組は、それぞれ市町村の保険者がいろいろな知恵を出して、アイデアを出して機能強化を図っているわけでありまして、法案では必要な取組の創設を、そういった機能の強化に向けて保険者のバックアップをするという意味で創設を組み入れているわけでありまして、桑名のお話が出ました。それは個別のことなのでどれを指すかはともかくとして、多職種の関わりの中で地域生活応援会議など特色のある取組もやっているわけでありますので、結果として、先ほど申し上げたように、必要なサービスが必要な方に行くということが大事なので、その自立支援と介護の重度化防止、この中でそれぞれの知恵を出していただくということで、我々は今回のようなことで特にインセンティブも含めて保険者に頑張ってもらおうと、こういうことでございます。

○倉林明子君 いや、聞いたのは、こういう実態つかんでいるのかと。こういう実態は知っているのか、つかんでいるのかということはもう一回確認したいと思うんです。一言でいけると思いますよ、この答弁は。はい、どうぞ。

○政府参考人(蒲原基道君) 大東市始め、話がございましたけれども、我々がいろいろ聞いているところでは、ちょっと個別のところまで詳しくはあれですけれども、ポイントは、結果としてサービスを使わせない、あるいはチェックリストではじく、あるいは門番ということを我々今回目指しているのではなくて、あくまで本人の状態改善に伴うようなことをやっていきたいというふうに思っています。個別の状態については、私、今把握分についてはちょっと分からないところでございます。

○倉林明子君 いや、だからね、つかんでいないんじゃないかなと思うんですね。そうでなかったら、前提として阻害につながらないものにするなんということが言えるんだろうかと思うんですよ。私、本当に深刻な、十割で使わざるを得ないというような事態が、もう介護保険との整合性さえ問われる問題になっている。私は、こういう実態をしっかりつかまないままこういうインセンティブに踏み込むなんていうことは到底認められないと思うんですよ。
 考え方というのがすごくよく分かるのが桑名の取組なんです。この桑名の取組というのを三枚物で資料にしております。分かりやすいです。自立というのは、できないことを代わりにするケアからできないことをできるようにするケアなんだ、自分で頑張って筋力トレーニングして風呂入れるようにしろと、さっきの大東の例そっくりなんですよ。
 次、介護保険を卒業して地域活動にデビューする、二枚目のところに書いてあります。それを、在宅生活の限界点を高めるケアマネジメント、これ大事なんだと言っているんですね。
 三枚目、見てください。私はびっくりしたんですね。このケアマネジメントの目指しましょうと言っているところに、「「カイゼン」を目指しましょう。」と書いてある。片仮名でカイゼンといったらトヨタですよ。生産率向上、この用語としてトヨタが使ってきた標語ですよ。これを介護保険の目標で目指すことに掲げているわけです。私は、高齢者は車じゃないと言いたいんですね。本当に寄り添ったものにしないといけないのに、こういうことで取り組んでいくことになっているわけですね。明確に、線引いていますけれども、介護保険の卒業は、介護保険の卒業先を明確にしない限り、実現されませんと、ここまで言っているわけですよね。
 この桑名市の取組を率先垂範、引っ張って実施してきたのは誰だったかと。特命副市長。特命副市長で桑名に行かれた厚生労働省の官僚ですね。これ間違いないと思う。確認したいと思います。一言でお願いします。

○政府参考人(蒲原基道君) 厚労省から副市長では行っていたというふうに思います。
 ただ、桑名の件について一言だけ申し上げますと、今先生おっしゃったことと少し違うんですけども、桑名市の地域包括ケア計画だとかあるいは桑名市における考え方は、あくまでケアマネジメントによって高齢者の生活機能の向上を実現をするという、その上で卒業していくということで、卒業自体を何かやっていることではなくて、あくまで生活機能の向上を実現するといったことを、桑名市の地域包括ケア計画でもそう書いておるので、我々としてはそういうものだというふうに桑名市の取組は認識しているところでございます。

○倉林明子君 いや、実態をよくつかんでからそういう発言していただきたいと思います。
 これ、介護保険、今この人物は厚労省に帰ってきて何やっているかと、桑名市での取組の普及活動ですよ。全国で講演活動やっていますよ。厚生労働省が私は仕掛け人になってこういった制度、仕組みを導入する、こういうやり方は本当に認められないし納得できない、申し上げまして、終わります。