原発の残業規制除外通達/介護保険制度について(厚生労働委員会)
(ページ下部に資料があります。))
厚労省自ら規制外し 電力会社の要望ないのに
塩崎恭久厚労相は25日の参院厚生労働委員会で、電力会社からの“要望”がなかったのに、厚労省が原発再稼働審査業務について残業時間規制の「適用除外」とする通達を出していたことを明らかにしました。日本共産党の倉林明子議員への答弁です。
厚労省が2013年に原発再稼働審査業務を残業時間制限の「適用除外」としたことについて、塩崎厚労相は12日の衆院予算委員会で、日本共産党の高橋千鶴子議員に対し、九州電力から「要望があった」と答弁していました。
ところが、この日の委員会で塩崎厚労相は「(九電からの)問い合わせを“要望”と受け止めた」と答弁。厚労省が自ら進んで時間外労働の規制を外したと説明しました。
倉林氏は「規制当局である労働基準局が自ら“規制外し”を拡大したことになる。重大問題だ」と批判しました。
倉林氏は、高浜原発の適合審査を担当していた関電の職員が、残業が最大月200時間を超えて過労自殺したことを指摘。「『適用除外』は、集中的な作業についての特例であり、何年も継続して出す根拠はない」と批判し、通達の撤回を迫りました。塩崎厚労相は「意見として受け止める」と述べるにとどまりました。
介護保険改悪 サービス受けられない 国家的詐欺と批判
日本共産党の倉林明子議員は10月25日の参院厚生労働委員会で、介護保険の改悪で必要なサービスが受けられない事態が進んでいると追及し、「保険料を強制徴収しながら給付をはがすやり方は“国家的詐欺”だといわれても仕方ない」と批判しました。
「要支援1、2」の訪問・通所介護は保険給付から外され、来年4月までに自治体の総合事業に移行されます。倉林氏は、移行した自治体は32.7%と進んでいないうえ、事業所への報酬単価が引き下げられ、サービス取りやめが起きていることを指摘。介護報酬も削減され、倒産は過去最高の76件、廃業は2万6428件にのぼることを示し、「介護の質が確保できなければ、重度化が進み、給付費を押し上げるだけだ」と批判しました。
厚労省の蒲原基道老健局長は「総合事業への移行を理由とした状態悪化はみられない」と答えましたが、まともな検証はないことが明らかになりました。
倉林氏は、一定所得以上は利用料を2割に引き上げるなど負担増によって「月額5.4万円の負担増となり施設からの退所も考える」など悲痛な声が上がっていると紹介。「『あまりにも過酷だ』という声をどう受け止めるのか」と追及しました。
塩崎恭久厚労相は「制度の持続可能性を高めることが大事だ」と開き直り、倉林氏は「過重負担になっているのに、さらに負担増と給付減をしようとしている」と批判しました。
まず、原発の新規制基準適合申請審査、これに関する業務を労働基準局が公益事業として労基法の定めによる労働時間の時間外制限を外す通達を出していたと、これ大変な話だと思うんですけれども、これ資料で付けております。一枚目、二枚目とありまして、対象となりましたその適合審査の原発が三枚目、一覧として記載されているものになっております。
そこで、これ、衆議院でも質疑ありまして、九電の要望によってこれ出したんだというやり取りだったわけですけれども、新聞の取材に対して九電はどう答えているかといいますと、二〇一三年七月に適用除外の可否について問い合わせたという回答なんですね。ところが、衆議院での大臣答弁は、適用除外の要望があったと、違うんですね。どっちが事実か、これは確認させていただきたいのと、九電以外の事業者から要望はなかったという説明ですけれども、可否についての問合せもなかったのか、よろしくお願いします。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今御指摘の、衆議院の予算委員会でこの問題が取り上げられまして、それが今月の十二日、それから二十一日の衆議院厚生労働委員会、ここで取り上げられたわけでありますが、通達発出の端緒は九州電力からの要望があったことだと私の方から答弁を確かにいたしました。具体的には、九州電力からは、新規制基準への適合性審査に関する業務を、公益上の必要により集中的な作業が必要とされる業務として、厚生労働省労働基準局長が指定するものの一つとして限度基準を適用させないこととしてよいか確認をしたいとの問合せがございました。今先生から御指摘があった、この確認したいという問合せということでございますが、厚生労働省としてはそれを要望として受け止めたというふうに理解をしております。
通達発出前の検討段階で他の電力会社などからの同様の要望や相談、問合せはあったのかなかったのかということでありますが、これはなかったと承知をしております。
○倉林明子君 よいかと、可否を聞いたという対応について要望があったという受け止めだったんだという説明だったかと思います。他の事業者からは要望はないということははっきり答えられました。
つまり、当時の適合審査申請事業者、一覧になっておりますけれども、ここに進んで時間外労働の規制を規制当局が外したと、これが重大だと思うんですね。労働基準局が自ら、要請もないけれど、拡大して規制外しやったということだと思うんですよ。
高浜原発の適合審査、これ担当していた関電の職員が、これ実際、通達の対象ではありませんけれども、残業時間が最大月二百時間、過労死ライン超えて自殺していたと、これ報道で明らかになっております。適用除外ということは、これ三百六十時間、年間の残業時間規制は残るという適用です。ところが、これ、原発の適用になっている一覧見ていただきますと分かりますとおり、いまだ申請、この適合審査、合格していないところの方が多いんですよ。三年も出し続ける根拠というのは私はないと思うんです。
改めて求めたいと思います。この通達については、既に一年を経過した時点でもう撤回すべきだったものだと思う。遅いとは思うけど、今からでも撤回したらいかがかと。決断を求めたい。
○国務大臣(塩崎恭久君) 平成二十五年の通達に基づく取扱いについて、この福島第一原発における事故を受けて、原発の再稼働に当たっては原子力規制委員会による新規制基準に基づく審査を受けることが必要になったこと、そして、こうした審査に対応する必要があるとの電力会社からの要請が九州電力からあったということを踏まえて、当時の厚生労働省の労働基準局長が、公益事業の安全な遂行を確保する上で集中的な作業を必要になると認めて、こうした業務のうちの平成二十五年時点において原子力規制委員会に申請されたものに限り、三六協定の限度基準告示の適用を除外することとしたというのが経緯でございました。
このように、御指摘の今通達につきましては、こういった公益事業の安全な遂行を確保する上で集中的な作業が必要だとの当時の状況を踏まえての判断でございまして、発出がなされたわけでありますけれども、今御指摘をいただいて、今からでも遅くないから撤回しろということでございますが、この御指摘は御意見として受け止めてまいりたいというふうに思います。
○倉林明子君 これが実際に長時間労働の規制を外すということになっているわけですよ、三百六十時間残っていても。短期間的には集中業務で、実際に過労死ライン超えるような労働を認めますよということになっているわけですよ。三年もそんな状況を放置するというようなことは規制当局がやるべきことじゃないと思います。長時間労働を是正するというんでしょう。それやったら、さっさと撤回、重ねて求めておきたいと思います。
次に、介護保険について質問します。
大臣は、給付を必要としている方にしっかりと持続的にサービス届けられることが求められるというふうに答弁もされていました、予算委員会。そこで、実態はどうかということで、二〇一四年の法改正及び介護報酬、これはマイナス改定であったわけですけれども、現場の状況なども私、紹介したいと思うんです。
そこで、まず最初に確認したいのは、二〇一五年の介護事業所の倒産、事業の休廃止、状況どうなっていますでしょうか。
○政府参考人(蒲原基道君) お答えを申し上げます。
平成二十七年の介護事業者の倒産件数でございますけれども、東京商工リサーチが行った調査によりますと七十六件というふうに承知しております。また、同年の介護事業者の廃止の届出の件数ですけれども、これは厚生労働省が行った調査では二万六千四百二十八件ということになってございます。ちなみに、二十八年四月現在の請求事業所数は約二十万件ということになっておるということでございます。
○倉林明子君 資料を付けております、四枚目。介護事業所の倒産件数、今御紹介あったように、二〇一五年の実績、そして直近のデータも、これ東京商工リサーチのデータを基にグラフにしました。これ、特徴をよく分かるように、介護報酬の改定実施年度が分かるように印してあるんですね。そうしますと、これ、マイナス改定のときには倒産件数が上がると、プラスになったら倒産件数減ると、物すごい関連性が明らかだというふうに思うんですね。これ、二〇一六年のデータはまだ途中にもかかわらず七十七件、過去最高を今更新中であります。このままこのペースでいくと、今年百件超えるんじゃないかという規模になっているんです。
私、廃止の状況も、二万六千件超えているんだというお話でしたが、今とりわけ小規模事業所、ここに事業継続困難だという状況が広がっているというのが特徴になってきていると思うんです。加えて、介護の現場で大きな問題になっている、これが、要支援一、二の方に対する訪問・通所介護サービスが来年四月に終了して地方自治体の地域支援事業に移行すると、この問題です。移行の進捗状況はどうなっているでしょうか。
○政府参考人(蒲原基道君) お答え申し上げます。
平成二十六年の介護保険法の改正で、話がございました要支援者に対する訪問介護と通所介護につきまして、市町村が地域の実情に応じてサービス提供ができるように介護予防や日常生活支援のためのサービスを総合的に実施できる事業を創設したところでございます。現在の移行状況でございますが、市町村は二十九年度、四月までに新しい事業を実施する必要がありますけれども、今年の四月時点では約三分の一に相当する五百十六の市町村が新しい事業を実施していると、こういう状況でございます。
○倉林明子君 来年四月から移行するということで、京都市も準備進んでおります。私、京都市出身でございまして、その状況を聞きますと、訪問介護の報酬額、これを地方自治体が決めるということになるわけですけれども、生活援助がどうなるか、現行のマイナス一五%という設定になっております。さらに、通所でも入浴がない場合、これマイナス一二%という額が示されておりまして、新たな事業の対象になる方どのぐらいいるかというと、二割ぐらいになるというんですね。じゃ、事業所はどうなるかと。マイナスですから大幅な減収が想定されているわけです。結果、事業所では、こうした要支援の方々については、受け入れれば経営難、新規はとても受けられない、こういう実態、広がっているんですよ。
要支援の方々に必要なサービスが提供できる体制、大臣よろしいか、こういう、提供できる体制へ移行すると言っているんだけれども、京都市非常に大変やということになっているわけです。そこで、体制整備できたというふうに大臣お考えでしょうか。どうですか。──いや、大臣に聞いていますので。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今、地域支援事業への移行の問題について御懸念を頂戴をいたしたわけでございますが、この新しい事業につきましては、市町村に対して、高齢者のニーズを把握して、既存の介護サービス事業者にサービス提供や担い手の養成を検討した上で地域の支え合いの体制づくりをするというのが重要であるという認識で行っているわけでありますが、新しい事業においては、二十七年四月に事業を開始をした七十八の自治体に本年四月の施行状況を確認をいたしました。全体の事業所数は、事業開始後、訪問サービスと通所サービスのいずれも三割強増加をしているということが分かっておりまして、必要なサービスの提供体制が確保はできているんだということをこれについては確認をしているわけでございます。
したがって、厚生労働省としては、来年の四月から完全移行するわけでございますが、今後も引き続き事業に関する検証をしっかりと行って、御懸念のようなことがないように、その結果を踏まえて市町村に対して必要な支援を行ってまいりたいというふうに考えております。
○倉林明子君 ちゃんと、答弁の準備するよりも話聞いておいてほしいと。同じ答弁していますよ。
あのね、今、四月からこうしよう思うているところが大変になっているんですよという話を紹介したんですよ。万全じゃないんです。その上、老人クラブとかボランティアも巻き込んでやってもらうという仕組みになっています。
しかし、この地域支援事業、ここでもう一つ重大な懸念出ているのが介護の質です。これ、介護の質が確保できないと、これまで維持できていた軽度な状態が維持できなくなって重度化が進むんじゃないかと、重度化が進んでいったら逆に給付費が増大するんじゃないかと、こういう懸念も出ているわけで、これに対する私、検証が必要だと思うんですよ。されていますでしょうか、大臣。
○委員長(羽生田俊君) まず、蒲原局長、答えてください。
○政府参考人(蒲原基道君) ただいま話が出ましたサービスの質についてでございますけれども、新しい事業につきましては、先生のお話ございましたとおり、これまでの言わば専門的な事業者から同様にサービスを受けるという場合もあれば、それ以外にそのほかNPOだとか民間企業とか多様な主体によるサービスを提供する、話がございましたボランティアも含めてということでございます。
その上で、新しい事業を二十七年四月から開始した七十八の自治体に対して今年の四月の状況を確認したところ、一応事業利用者の状態像については、総合事業への移行を理由とする状態の悪化は見られていないということが当初の七十八については言えます。ただ、これはあくまで当初の段階でありますので、引き続き事業に対する検証を行って、あるいは市町村に対する適切な支援といったことを行っていきたいと、このように考えております。
○倉林明子君 検証はまだやっていないということがはっきりしたということだと思います。
それで、一四年度のマイナス改定と同時に、法改正、この影響も今現場は大きく出ておりますよ。一定所得以上の方の二割負担導入、更に補足給付の要件の厳格化ということで、認知症の人と家族の会、これ京都市内に本部もありまして、お話もよくお聞きしております。
ここで言うと、二割負担の例はどうなっているかといえば、ちょっとの所得オーバーで二割負担になった。三人の親を入所させていると、要は四人になりますでしょう、義理の親も含めて。うち、三人入れていると。ところが、もう五・四万円増えたと。もう、引き揚げるというか退所を考えざるを得ないという方が出ているんですね。
さらに、給付の要件厳格化というのは、負担増の規模が違うんですね。二倍から四・五倍という規模で増えて、六万円から八万円の負担増という、その負担の規模が大きく増えたという方の声をたくさん聞いております。十一万円負担増になったという例も出ているんですね。
私、認知症の人と家族の会が要望書で出しております、今回の費用負担余りに過酷だと、この声、大臣、どう受け止めますか。大臣の受け止めを端的にお答えください。
○国務大臣(塩崎恭久君) そもそも法改正がなぜ行われたのかということを考えてみれば、それは当然のことながら保険料の上昇というものをどうやって最小限に抑えて制度の持続可能性を高めるかということが大事で、これは当然、負担能力に応じた負担ということを負担に関しては言っているわけでございまして、こうした趣旨から今回の改正が、法律改正が行われたわけでございます。
サービスの受給者数の伸び率につきましては、平成二十八年八月の見直し実施前後においてこれまでの傾向と比較をいたしまして顕著な差は見られていないということでありますが、もちろん一部負担が増えている方がおられることは、今申し上げたように負担能力に応じた負担の実現ということを考えてみればそのとおりでございますが、しかし、きめ細かく見ていくことも同時に大事だということはよく理解をしているところでございます。
○倉林明子君 いや、きめ細かく見ていかなあかんというようなことと違うと思うんですよ。
過重な負担になっているという声に対して今政府が進めてやろうとしていることはどういうことですか。更に給付は減らす、負担は増やすと、こういう方向じゃないですか。私は、さらに、この介護保険、これ強制加入ですからね、強制的に保険料は徴収しながら利用者からも家族からも介護の給付を外すみたいなやり方はもう国家的詐欺やと、こういう批判免れないという指摘を強くして、引き続き続きの議論はさせていただきたいと思います。
終わります。