倉林明子

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被害救済制度 改善ぜひ 薬機法改正案参院委可決 (2022/5/12 厚生労働委員会)

 パンデミックなどの緊急時にワクチンなどを緊急承認する制度を導入する薬機法改正案が12日の参院厚生労働委員会で、全会一致で可決されました。

 質疑で日本共産党の倉林明子議員は、緊急承認は使用実績や第3相試験がない国産新薬やワクチンに適用されるが、同委員会の参考人質疑で「医薬品承認における有効性・安全性評価基準の本質的な緩和だ」との意見があったとして「生じるリスクを国民に説明する責任がある」と指摘。特例承認で活用された新型コロナワクチンの副反応による死亡者の報告は1600人超だが、全ての事例で因果関係が認められないか評価できないとされ、安全対策につながっていないとして、現状では緊急承認した医薬品も安全性の評価が困難になるのではないかとただしました。

 岸田文雄首相は「今般の新型コロナワクチン等への対応も参考にして安全対策を実施する」と答弁。倉林氏は、国の責任で安全性評価の体制を強化するよう重ねて求めました。

 さらに倉林氏は、予防接種健康被害救済制度の申請者のうち109人の死亡者はいまだに審査が行われていないとして、緊急承認にあたり、因果関係を完全に否定できない全症例が速やかに救済されるよう運用改善を要望。承認薬にもかかわらず、安全性と効果がなく死亡しても救済されないとなれば、承認制度全体の信用が失墜すると指摘しました。


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林です。
 二〇二一年の十月に、先ほども紹介ありましたけれども、サイバー攻撃がされた徳島県の病院で、コンピューターウイルスのランサムウエアですね、感染して電子カルテが使用不能となったと。重大なこれ医療機能の停止を招いた事案でした。
 近年、こうした医療機関を狙ったサイバー攻撃というのが報道等で散見いたします。厚労省として、こうしたサイバー攻撃の件数及び被害状況についてどのように確認されているでしょうか。

○政府参考人(伊原和人君) お答えいたします。
 厚生労働省が定めております医療情報システムの安全管理に関するガイドライン、これにおきましては、医療機関がサイバー攻撃を受け、個人情報の漏えい等が生じた場合又はそのおそれがある場合には、厚生労働省に連絡を求めております。この中で、この当該連絡を通じましてサイバー攻撃の件数あるいはその被害状況といったことを把握を行っております。

○倉林明子君 件数はどうですかと、被害状況はどうですかと、具体的な中身で聞いているんですけど。

○政府参考人(伊原和人君) 個々の事案とかあるいは件数につきましては、ちょっとセキュリティー上の問題がございまして、ここではコメントを差し控えさせていただきたいと思います。

○倉林明子君 被害状況の詳細について、病院特定しようという意図で聞いているんじゃないんですよ。サイバー攻撃の実態として、どの程度やっぱり病院のところに影響出ているのかということは共有する情報として必要だと思いますよ。
 これ、警察庁はランサムウエア被害を報告しています。これによりますと、年々増加していまして、令和三年の下半期、これ令和二年下半期と比べると四倍になっているという数字なんですね。これ、病院でも同様の傾向あるんじゃないかと思います。
 厚労省は三月にガイドラインを改定いたしまして、医療機関に対し、バックアップデータの保存、サイバー攻撃想定した訓練の実施、これ対策を強化するよう求めているわけですけれども、ガイドラインを改定したから、あとは医療機関に丸投げということではやっぱりセキュリティー対策進まないという問題意識です。一旦やられると、その被害は医療が提供できないというところに及ぶという深刻さがありますので、その点での対策が急いで求められていると思うわけです。
 そこで、紹介したいのは、病院団体でつくっています四病院団体協議会、いわゆる四病協ですね、が三月三十一日に緊急提言を発表しております。病院のサイバーセキュリティ対策への公的補助金の支給についてというものの別紙を資料の一としてお付けしております。このぐらい掛かるというものなんですね、いうことで提起があると。具体的に、病床規模に応じた提案がされております。
 私、病院の経営が厳しくて予算の制約もあると、当然ですよね、診療報酬で賄っているということですから。必要な対策が講じられていないということでの費用面の措置を求めているわけです。年々深刻になるこのサイバー攻撃から医療提供体制を守るという観点からも、このサイバーセキュリティー対策についてこれ維持していくということについて、私は財政支援必要だと。
 大臣、いかがでしょう。

○国務大臣(後藤茂之君) 国民の生命、健康を守る医療機関がサイバー攻撃によりその機能を失うことがないように、サイバーセキュリティー対策の強化が不可欠だというふうに考えております。
 厚生労働省では、今御指摘もいただきましたが、本年三月に医療情報システムの安全管理に関するガイドラインを改定しまして、医療機関に対し、バックアップデータの保存やサイバー攻撃を想定した訓練の実施など、対策も強化するよう求めております。
 令和四年度診療報酬改定では、診療録管理体制加算の要件として、四百床以上の医療機関において、医療情報システム安全管理責任者を配置し、職員に対する情報セキュリティーに関する研修を行うこと、医療情報システムのバックアップ体制を確保することを定めるとともに、医療情報システムのバックアップ体制の確保状況について毎年厚生労働省に届けることといたしました。これを要件として加算を認めたということです。
 今後、本年夏をめどに医療機関におけるサイバーセキュリティー対策の更なる強化策をまとめたいと考えておりまして、引き続き医療機関のサイバーセキュリティー対策を強化するために必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

○倉林明子君 今、加算の措置をしているんだと、四百床以上で研修等に対して要件付けての加算と。
 これ、被害は規模に応じて起こっているんじゃないんですよね。この徳島の病院だって、二百床あったかな、四百床には行かない病院のところでも、何でうちが攻撃されたのか分からないというような規模の病院でも攻撃に遭っているということで、私、このサイバー攻撃というのは医療機能を即座に停止してしまうという実態を踏まえれば、加算対応というよりも、具体的にセキュリティー対策が取れるような財政支援要ると、財政措置が要るんだということを、大臣、聞いておいてほしいんですよ。病院の自己責任ということで丸投げしたらあかんということは重ねて申し上げたい。
 次、マイナンバーカード、これ、保険証利用の現状をまず確認しておきたいと思います。
 厚労省は、二〇二三年の三月までにほぼ全ての医療機関、薬局での導入を目指すということになっているかと思うんですが、マイナンバーカードの人口に対する交付率、そのうち保険証利用登録件数というのは何件になっているかと。オンライン資格確認の運用を開始した医療機関、薬局、これ全体の何%になっているでしょうか。

○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
 まず、マイナンバーカードの人口に対する交付枚数率でございますが、四四%、交付実績数は約五千五百七十七万枚と承知しております。次に、マイナンバーカードの健康保険証利用の登録件数は約八百四十八万件、マイナンバーカードの交付枚数に対する割合は約一五%でございます。また、オンライン資格確認の導入状況でございますけれども、実際に必要となる顔認証付きカードリーダーの申込みをしている医療機関等は全体の約五八%、そのうち実際に運用を開始した医療機関等は全体の約一八%でございます。

○倉林明子君 なかなかこれ厳しいんですよね、到達ね。もう全体で動かしていこうと思ったら、二〇二三年三月というのはもう目の前だと言ってもいいぐらいだと思うんですね。
 人口に対するマイナンバーカードの利用登録というのは一五%にとどまっているし、医療機関、薬局というのは運用を開始できているところで一八%ということですから、一体何でこんなに進まないのかというところ、端的にお答えいただきたい。

○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
 マイナンバーカードの健康保険証利用の普及に当たりましては、まず、オンライン資格確認を利用できる医療機関等を増やすといったアプローチと、国民が医療機関等でマイナンバーカードを健康保険証として利用できることを周知するといった二つのアプローチが必要であると考えております。
 御指摘のとおり、マイナンバーカードを保険証として利用できる医療機関等については、令和五年三月末までにおおむね全てでの導入を目指しておりますけれども、先ほど申し上げましたとおり、現在、全体の約一八%程度が運用開始ということで、まだ利用できる環境が十分に整ってはいないと考えております。
 また、マイナンバーカードが保険証として利用できること、あるいはそのメリットについて十分に認知が進んでいないということも要因として考えられると考えております。
 このため、厚生労働省では、まず医療機関等における導入加速化に向けまして、医療関係団体における推進協議会の設置、それから診療報酬改定における評価、医療機関等の状況や種別等の特性に応じた導入支援等の働きかけ等を行いますとともに、国民の皆様に対しましては、マイナンバーカードを保険証として利用することでより良い医療が受けられる等のメリットについて丁寧な周知、広報に取り組んでおります。

○倉林明子君 いや、そういう努力しているのは否定しないんですけれども、それでも進んでいない理由を私は聞いたんですよ。
 もう一回、いかがですか。

○政府参考人(浜谷浩樹君) 繰り返しになりますけれども、まずはその医療機関等に対する働きかけ、それから国民に対するメリットの周知、こういった点が重要と考えておりまして、医療機関等における導入加速化に向けた取組と、国民の皆様に対するマイナンバーカードの保険証として利用できることのメリットの周知や広報、こういったことが重要だというふうに考えております。

○倉林明子君 それは何で進まへんかということの説明には今なっていないですよね。
 私、なぜ進まないのかという背景しっかり見ていかないと、幾らそういうことで周知進めたからといって、これ来年の三月までにみんなできるようになるかといったら、そうじゃないと思うんですよ。
 NTTのデータ経営研究所、これが二〇二一年六月の調査やっているんですね。これ、資料二枚目にお付けしておきました。これ、ずばりマイナンバーカード未取得の理由というのを聞いているんですよ。マイナンバーカードを取得していないその理由で最も多いのが、他にも身分証明書があるから、これ一番多いんです。三八%、約ですね。次いで多いのが、これ、個人情報の漏えいが心配だと、三七%に上っているんですよ。
 これ、総務省が令和三年度情報通信白書で書いているんですね。デジタル化推進の課題ということで、ここで書かれているのは、情報セキュリティーやプライバシー漏えいに関する不安があるという指摘なんです。個人情報の提供への懸念は依然として七割近くが不安に感じていると、ここ根っこにあるんですよね。マイナンバーカードの保険証利用、これ進んでいない背景には、個人情報、情報のセキュリティー、プライバシー漏えいに対する不安があると。私、これはっきりしていると思うんですけど、もう一回、いかがですか。

○政府参考人(浜谷浩樹君) いろんな調査があると思いますけれども、私どもで把握している調査におきましては、健康保険証利用申込みをしない理由につきまして、第一が健康保険証利用申込みができることを知らなかったからが三二・六%、それから健康保険証利用によるメリット、必要性を感じないからが二八・四%、それから手続が面倒だからが二三・四%、それから情報流出が怖いからが一六・〇%ということでございます。
 そういった、こういったことも踏まえまして、周知、広報、メリットについての周知、広報ということでございますし、情報流出についてでございますけれども、マイナンバーカードの保険証利用に当たりまして、セキュリティーへの不安を持っている方が一定数いらっしゃることは私どもも承知をいたしております。医療情報につきましては、国民にとって特に機微な情報でございまして、適切に取り扱う必要があると考えております。
 このため、悪意のある第三者からの攻撃による情報漏えいを防ぐために、オンライン資格確認で用いる医療機関とのネットワーク回線につきましては、IP―VPN方式、すなわち通信事業者が独自に保有する閉域ネットワークか、IPsecとIKE方式、すなわちインターネット上に暗号化した通信経路を構築しまして機密性の高いデータ通信を可能にする技術とインターネット標準の電子鍵の交換技術を組み合わせたインターネット回線を使用してセキュリティーを確保しているところでございます。
 加えまして、電子証明書による認証、あるいはデータの暗号化を行いまして、データの滅失、漏えい及び改ざん防止を図りますとともに、ウイルス対策にも万全を講じ、安全性を確保しているところでございます。

○倉林明子君 いや、国民感情にかみ合っていないと思うんですよ。いろいろやっているとおっしゃるけど、ばんばん報道では病院がサイバー攻撃に遭うて情報が流出しているんじゃないかと、そういう不安はもうどんどん高まっているわけですね。そういうときにどうやってやっぱり個人情報は守られるのかと、そこの保護が極めて日本は弱いんですよ。だからこそ、その情報が漏れるんじゃないかという不安が解消されない。漏れても守られるという担保がないんですよね。
 大臣、欧州、欧州連合、EUでは、EU基本権憲章で個人情報の保護、基本的人権、基本権として明記しております。一般データ保護規則、GDPRで実効性を持たせております。
 今年一月に欧州委員会が発表しましたデジタル権利と原則に関する宣言では、個人情報保護の権利に自己情報コントロール権を含むと、これ明記されているんですね。個人情報漏えいに対する不安に対してEUのような具体的な権利保障、対策で応える必要が私はあると思うんですよ。それやってこそ信頼度増して進んでいく話じゃないかと思うんですけれど、いかがお考えですか。

○国務大臣(後藤茂之君) 個人情報保護制度一般については厚生労働省で所管しているわけではありませんけれども、現状においても、個人情報保護法、令和二年度にも三年度にも制度改正を行っておりますけれども、本人による個人情報の開示、訂正、利用停止等の請求権を定めた規定を設けるなど、EUの一般データ保護規則、今御紹介あったGDPRと比較しても、既に国際的に個人情報保護制度の、制度の水準は遜色のないものを実現しているというふうに全体としては承知をいたしております。
 その上で、厚生労働省としては、健康・医療分野の情報が特に機密性の高い情報であることを踏まえまして、情報の利活用が適切に行われるように、医療機関に対する医療情報システムの安全管理に関するガイドラインなど、個人情報保護に配慮した安全管理基準を定めているところでもございます。
 こうした取組を含めて、個人情報保護に確実に取り組むとともに、マイナンバーカードの健康保険証利用が進むように、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

○倉林明子君 いや、EUと遜色ないというのは、ちょっと実態から見ても違うんじゃないかと私は思うんですね。
 個人のプライバシーが守られるというこれ人権としての権利保障が要るんだと、その場合、特に、やっぱり提供しない、取り消す、これ自己コントロール権を国民は持っていると、これとっても大事なところだと思うんです。
 そこで、今回導入する電子処方箋について確認したいと思うんですが、オンライン資格確認システムを活用して、電子処方箋の導入に併せて、患者の処方、調剤情報、薬剤情報、これは本人の同意がないまま共有をされるということになりますよね、それは基金のところでですね。これ、電子処方箋に含まれる情報について、患者の側から、本人の側から共有してほしくないと、こういう意思表示を行った場合、要は抜くことができるのかと、共有を止めることができるのか、これは担保されていますか。

○政府参考人(鎌田光明君) 電子処方箋システムにおきましては、患者さんが、今御指摘のあったオンライン資格確認制度の顔認証端末を用いまして、来院あるいは来局された都度、閲覧を同意されれば、同意した場合には、お医者さんあるいは薬剤師さんが過去の処方、調剤情報を閲覧することができるということになってございます。
 他方、まさに今、来院、来局の都度の同意というふうに申し上げましたので、患者さん自らが情報を医療機関や薬局と共有したくないという御判断をされる場合、つまり閲覧の非同意を選択するとなればその共有はなされないということになります。

○倉林明子君 本人の、確認ですけど、本人のコントロール権は、それ情報共有から外すということでも可能になっていますかと。取り消すと、一旦は同意したけれども、後からやっぱり取り消したいと、これ可能ですか。

○政府参考人(鎌田光明君) まず、処方情報、調剤情報は、この法律によって医療機関あるいは薬局から支払基金にあるサーバーには蓄積されます。他方、その情報を、過去の他の医療機関あるいは他の薬局が行った処方情報、調剤情報をそのときのお医者さんあるいは薬剤師さんが見るには、先ほど申し上げましたように、マイナンバーカードの顔認証端末を通じて患者さんの同意が必要なので、同意して初めて見られると。(発言する者あり)抜きたいというか、それはもう情報を提供しておりますので。

○倉林明子君 だから、一旦同意したら、やっぱりやめたいといってもそこにはコントロール権は及ばない、共有されるんですよ、やっぱりその支払基金のところに。支払基金や国保中央会というのが電子処方箋の管理業務を担うということになって、患者の処方、調剤情報、これ薬剤情報が集積される。これ、膨大な患者のセンシティブ情報が集約されることになるのはこれは間違いないと。
 私、こういうセンシティブな情報をサイバーテロから守るためのセキュリティー対策についてはどうなっているのかと。これは安心の担保としても説明要ると思うんだけど、どうでしょう。

○政府参考人(鎌田光明君) この電子処方箋システムのセキュリティー対策でございますけれども、まずネットワーク回線を通信事業者が独自に保有する閉域ネットワークシステムにより構成すること、それから、電子処方箋を保管するクラウドシステムをインターネットから遮断すること、医療機関や薬局からウイルス等が侵入しないようルーター等でデータを選別すること、そして電子処方箋に電子署名を付して改ざんを防止することなどの対策を講じておりますので、高いレベルでのセキュリティーが確保できているものと考えております。

○倉林明子君 現状でもちろん高いレベルでのセキュリティー対策を講じるって当然なんだと思うんですけれども、これは情報収集、そしてセンシティブ情報、機微な情報が集積されているところに対してやっぱりサイバー攻撃、サイバーテロの狙い、対象になり得ると。そして、サイバーテロはもう日々進化、こういうときに進化と使うのが正しいかどうか分かりませんけれども、あの手この手で情報収集の攻撃を仕掛けてくると、国際的な犯罪集団になっているというところがあります。
 そういう点で、現状で安心ということは到底考えておいでではないと思うんだけれども、そういう情報集積しているところを本当に守り切るんだというそこの担保と安心感があってこそやっぱり国民の情報提供も進んでいくということは、しつこいけれども指摘しておきたいと思うんですね。
 昨年、これ最後になるかと思うんですけれども、昨年の健康保険法等の改定案で、改定のときに導入されました医療扶助のオンライン資格確認について確認しておきたい。
 これ、マイナンバーカードの取得は生活保護の要件ではないということは確認してきたと思うんですね。ところが、保護利用者が、そういうことを確認してきたんだけれども、保護利用者が医療券の利用を希望するという場合があると思うんです、マイナンバーカードは嫌だとおっしゃる場合。そういう場合、利用し続けることは可能になっているでしょうか。

○政府参考人(山本麻里君) お答えいたします。
 医療扶助については、昨年の通常国会にて成立した、全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律により、マイナンバーカードを利用したオンライン資格確認が導入されたところです。
 この趣旨については、現行生活保護受給者の適正な受診を確保するため、月単位で医療機関ごとに医療券を発行する仕組みとしているところ、自治体や医療関係者等が参画する医療扶助に関する検討会において、毎月の医療券の受取を不要とする生活保護受給者の利便性や、直ちに資格確認を行うことによる制度の適正かつ効率的な運用といったメリットを踏まえ、マイナンバーカードを利用した資格確認を原則とする方向性が示されたことを踏まえたものでございます。
 他方で、この法律案に対する本委員会における附帯決議において、「何らかの事情により制度施行後においても個人番号カードを保有するに至っていない被保護者に対しては、引き続き医療券等の発行を行うなど、必要な医療を受けられる体制を確保すること。」とされておるところでございます。
 厚生労働省としては、マイナンバーカードを利用した資格確認を基本としつつ、いただいた附帯決議の内容も踏まえ、生活保護受給者が必要な医療を受けられるよう、その運用の在り方について更に検討を進めてまいります。

○倉林明子君 今、自治体のところで、勧奨のお知らせというのが行って、生活保護受給者のところに行っていて、そこに原則ということで、傍線引いてお勧めしますという文書なんだけれども、勧奨文書が届いていて、これが持たないといけないのかというようなプレッシャーになっているというような声が上がってきているんです。
 私、そういう受け止められ方するというのはちょっと違うと思うんですね。個人情報の漏えいの不安というのはこれ生活保護受給者にだって当然あるわけです。一般にはマイナンバーカードを持たないということを選択する権利というのは認められているわけですよね。そういうことが生活保護利用者には認めないと、こういうことにならないように、取扱いには十分御配慮をいただきたい。
 終わります。


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林です。
 総理は本会議で、薬害の発生を防止することは政府の重要な任務の一つであり、命の尊さを心に刻み、高い倫理観を持って医薬品の品質、有効性及び安全性の確保に最大限の努力をしてまいりますと、こう答弁されました。
 緊急承認について議論ずっとしてきました。しかし、これ特例承認とも違って、使用実績ということではないものを承認していくと。さらに、第三相試験がない国産新薬やワクチンにも適用されていくということになるものだということははっきりしていると思うんです。
 そこで、参考人質疑で、花井さんから、医薬品承認における有効性、安全性評価、この基準の本質的緩和だという指摘あったんですね。私も本当そのとおりかなと思ってお聞きしました。総理の認識はいかがでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今般創設する緊急承認制度ですが、これは、緊急時に新たな医薬品等を速やかに薬事承認するため、有効性については推定された段階で承認を可能とするというものでありますが、他方で、緊急時であっても医薬品の安全性の確保ということはこれはもう必要であるということから、安全性については現行の承認制度と同水準の確認を行うものであり、安全性について緩和が行われるというものではないと認識をしております。
 安全性をしっかり確認した上で、より早く必要な医薬品を国民の皆さんにお届けできるよう、しっかり取り組んでいきたいと考えております。

○倉林明子君 薬害団体の当事者でもあり、審議会のメンバーでもある花井さんがやっぱりこういう評価しているということ、本当に指摘は重く受け止める必要あると思っているんです。やっぱり早く認めんなんということから、早い水準で安全性の評価をしていかなあかんということになるということは、これ議論の中でも明らかになったと思うんです。
 私は、薬事制度は薬害の教訓を踏まえて整備されてきたと、こういう歴史も紹介されていました。緊急承認で基準を緩和すると、これ花井さんの表現ですけれども、生じるリスクですよね、これをきちんと国民に説明する責任があると思っているわけです。
 そこで、新型コロナワクチンというのは特例承認で今活用されております。副反応報告、これは、副反応報告での死亡者、千六百人を超えているものの、これ実は全ての事例で因果関係が認められておりません。そして、評価できずということになっているために、これ安全対策につながっていないと、現状ではですよ、現状では。緊急承認したものについても、現状のこの副反応報告というシステムでは安全性の評価というのが私は困難になるんじゃないかと、現状を見ていてそう思うんだけれども、いかがでしょう。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の新型コロナワクチンについてですが、これ個別事例の因果関係の評価には一定の限界があるものの、評価不能となった事例も含めて、厚生労働省の審議会において、集団としてのデータを系統的に検討していくとの方針の下、安全性の評価に取り組んでおり、これまでも心筋炎に関する注意喚起など必要な安全対策を行ってきた、こうした取組が行われていたと認識をしています。
 そして、今回のこの緊急承認制度ですが、この制度によって承認された医薬品に対する市販後の安全対策についても、今般の新型コロナワクチン等への対応も参考にして、十分な安全対策、実施してまいりたいと考えております。

○倉林明子君 何も生きてないと言うつもりはなくて、死亡者について、それについての安全対策につながっているという状況にないというところ、なかなか深刻だというふうに思っていまして、そういう意味でも、今おっしゃいましたけれども、市販後の安全性評価、これできる体制をしっかり強化していくと、国の責任でこれやっていただきたいということを強く申し上げたい。
 さらに、予防接種健康被害の救済制度の方です。
 こちら、申請者のうち、今度の新型コロナワクチンを打たれて、その後死亡された方が百九名申請されているということは質疑で分かりました。これ、いまだに実は審査さえできていないと。アナフィラキシーなどが先行しているということで、現状できていないという御答弁ありました。
 緊急承認に当たっては、これ健康被害救済制度というのは、因果関係を完全に否定できない症例、これ全てについては、これ百九名いまだ審査もできないというようなことじゃなくて、速やかに救済される制度にしていくと、こういう運用として改善される必要があると、国民の信頼につながることだからと言いたいと思うんだけれども、どうでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 緊急承認された医薬品については、通常承認と同水準で安全性を確認、安全性の確認を行うこと、これを前提としておるということ、先ほど来から申し上げているところですが、よって、この健康被害が発生した場合には現行の健康被害救済制度の対象となります。
 そして、現行の健康被害救済制度においては、この厳密な医学的な因果関係までは必要とされない、こうした考え方に基づいて……(発言する者あり)ただ、これが政府の方針ですから、是非説明させてください。薬事・食品衛生審議会において専門家の意見を踏まえて適切に判断しており、一定の場合にはこの診療録等の提出を不要とするなど救済の迅速化を図っている、こういったことです。
 ですから、今般創設する緊急承認制度の運用に当たっても、この安全性を確認した上で、国民の皆様により早く必要な医薬品等をお届けするとともに、この専門家の御意見を踏まえて、必要な場合には速やかにこの救済措置、この救済措置の方についても速やかに講じられるようしっかり取り組んでまいりたいと考えているところです。

○倉林明子君 今、新型コロナワクチンの死亡例で、申請した人百九名、いまだにその審査さえもできていない、こういう現状では駄目でしょうということを申し上げているんですね。やっぱり速やかに、本当に死亡された方が、完全に、因果関係が完全に否定できないという場合は救済する仕組みをしっかり整えておくということが大変重要だということなんです。
 承認薬なのに早めに安全を確認するということについて、安全性に加えて効き目がないとかいうことが後から分かったと、その上、死亡しても救済されない、これじゃ、制度全体の信用が失墜することになるということを申し上げておいて、終わります。