倉林明子

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「配慮要求」ためらわすな 旅館業法改正で主張(2023/6/6 厚生労働委員会)

(資料があります)
(議事録は後日更新いたします)

 感染症流行時の宿泊施設の対応を定める改正旅館業法が7日、参院本会議で賛成多数で可決、成立しました。日本共産党は賛成しました。

 6日の参院厚生労働委員会で日本共産党の倉林明子議員は、宿泊施設で障害者が合理的配慮を求めることをためらわせてはならないと主張しました。

 宿泊施設は宿泊拒否はできないのが原則ですが、聞こえないことを理由とした差別や盲導犬の宿泊拒否などがいまだに起きています。改正法は、迷惑客を想定し「営業者に対し、実施に伴う負担が過重であって他の宿泊者に対するサービスの提供を著しく阻害するおそれのある要求として厚生労働省令で定めるもの」を宿泊拒否事由として認めています。

 倉林氏は「障害者が合理的配慮を求めたことをきっかけに、宿泊拒否という差別的取り扱いを引き起こしてはならない」と指摘し、当事者の意見の反映が重要だとして、障害者団体を省令や指針策定の検討会のメンバーに入れるよう要求。加藤勝信厚労相は「適切に構成員を考えていきたい」と答弁しました。

 倉林氏は、自己免疫疾患でも目に見える障害や症状によって宿泊拒否につながる懸念があり、営業者には多様な難病への理解が求められるとして、研修の充実を求めました。


皮膚に何らかの症状のある疾患


議事録を読む(未定稿)
(この会議録は未定稿です)

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 修正されました旅館業法案に対し、関係団体から、障害者の関係団体からですね、障害者の差別につながる懸念がなお指摘されております。
 そこで、障害者差別解消法では、障害者に対する不当な差別的取扱いというのは禁止されております。これ、令和六年、来年の四月から、障害者に対する合理的配慮が民間企業にもこれ義務化されるということになります。ホテル、旅館などのサービス業において禁止される差別的取扱いとは何に当たるか、求められる合理的配慮の範囲はどうか、お答えください。

○政府参考人(佐々木昌弘君) まず、差別的取扱いについてでございます。
 これは、障害者差別解消法第八条第一項においてのその規定がございますが、これらに基づいて厚生労働大臣が、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針に即してガイドラインを定めています。この中で、身体障害者補助犬の同伴を拒否すること、対応を後回しにすること、サービスの利用に必要な情報提供を行わないこと、こういったものが不当な差別的取扱いとしています。
 次に、合理的配慮についてでございます。
 同じく、先ほど申したガイドラインにおいて、例えば、施設内の段差にスロープを渡すこと、手話、要約筆記、筆談、図解、振り仮名付き文書を使用するなど、本人が希望する方法で分かりやすい説明を行うことなどを例示しているところでございます。

○倉林明子君 範囲でいいますと、合理的配慮ということでいうと、本来の業務に付随するものに限るという限定があるということでもあろうかと思うんですね。そもそも、宿泊は断ってはならないのが原則だということは先ほど来の質疑でも確認がされてあります。
 ところが、これ全日本ろうあ連盟が二〇一八年に行ったアンケート、聞こえないことを理由に差別的取扱いを受けた、先ほど紹介ありましたけれども、六六パーだと。その上、宿泊拒否、この事例がやっぱりありまして、三・九%、二十二人もあったということなんです。これ、いまだに、盲導犬が犬だということで宿泊の拒否の事案も伺っているところなんですね。
 法案は、関係団体の意見も踏まえて修正されたものの、第五条三項では、宿泊を拒否できる要件として、営業者にとって負担が過重であると、この規定が残ったということになっているわけです。そして、ここに懸念も示されております。
 その内容は省令で決めるとしているわけですけれども、この内容について、障害者差別解消法との、来年六月、令和六年四月から始まるこの義務化は民間事業者にも義務化されるということとの関係、整合性はどうやって確保するのか、いかがでしょう。

○国務大臣(加藤勝信君) まず、今回の第五条第一項第三号の規定、改正後でありますけれども、いわゆる迷惑客への対応ということで現場からも声が出てきたところでございます。
 現時点で、この規定の委任を受けた厚生労働省令において迷惑客の宿泊拒否事由に該当する具体的な事例としては、宿泊サービスに従事する従業員を長時間にわたって拘束し又は従業員に対する威圧的な言動や暴力的行為をもって苦情の申出を行うことなどを定めることを考えております。
 旅館業法の改正後においても、旅館業の営業者は、障害者差別解消法を遵守し、障害を理由として不当な差別的取扱いをしてはならない、このことには全く変わるものではございません。
 さらに、今回の改正後の旅館業法第五条第一項第三号の実施に伴う過剰な要求については、厚生労働省令で更に明確化、限定的にするということにもされているところでございます。
 そういった意味においても、今回の改正は障害者差別解消の趣旨、それに沿った対応を図っていくというものでございます。

○倉林明子君 障害者団体から、本法案改正に当たって差別禁止規定を盛り込むよう要請されておりました。障害者の合理的配慮を求めることをきっかけに宿泊拒否という差別的取扱いを引き起こしてはならないと、これはっきりされておく必要があると思うんです。
 同時に、私、大事だと思うのは、省令等定めていくと、いやいや、ガイドラインも含めてですけれども、障害者団体からは、意見を聞きおくヒアリングだけじゃなくて、ちゃんと検討会のメンバーに入ってもらって一緒につくっていくということ必要ではないかと思います。いかがでしょう。

○国務大臣(加藤勝信君) 本法案が成立した場合には検討会で検討を行うということになるわけでありますけれども、いわゆる迷惑客に係る宿泊拒否事由の具体的な事例を厚生労働省令で定めるとともに、旅館業の営業者が宿泊拒否等に適切に対処するための指針を策定したいと考えております。
 検討会での議論においては、障害者や患者などを含めて、様々な方の意見を反映させていくことが重要であると考えており、関係者から丁寧に意見を伺うことができるよう適切に構成員の選定等を行っていきたいと考えております。

○倉林明子君 当事者意見をきちんと反映させる仕組みというのが要ると思うんです。ヒアリングじゃなくて、やっぱり検討会メンバーとしてきちんと入ってもらうということが大事だと、当事者意見の反映という仕組みにきちんとしてほしいなということです。
 障害者に、これ、合理的配慮を求めるということをためらわせてはならないと思うんですよね。旅館業法改正が障害者差別解消法、円滑な施行の妨げになるようなことがあってはならないと、いや、目的としては度重なる過剰な要求に対して歯止めが、それに対して明確に行為規定していくということが盛んに説明されるんだけれども、その障害者に対して差別解消法が合理的配慮義務付けということ始まっていく中でもあるので、そういうことをためらわせると、現場でためらわせるというようなことになってはならないわけなので、その点についての考え方、いかがですか。

○国務大臣(加藤勝信君) ちょっと先ほど重複するような感じもするところではございますが、障害者差別解消法の合理的配慮が求められるような事例については、改正後の旅館業法第五条第一項第三号に該当せず、また、第五号の他の各号に該当する場合を除き、宿泊を拒否する、できないものと考えております。
 改正後においても、旅館業の営業者は障害者差別解消法を遵守する必要があり、合理的な配慮が求めることには変わりはないということでございます。今般の改正、先ほど申し上げましたように、障害者差別解消法の趣旨に沿ったものという、その趣旨を踏まえて対応していくものと考えているところでございます。
 さらに、障害のある宿泊者等に対し、その状態や障害等の特性に応じた適切なサービスが提供されるよう、本法案によって旅館業の営業者の努力義務とされる従業員への研修等も活用して、取組をしっかり進めていきたいと考えております。

○倉林明子君 まあその、言うたら障害者差別解消法、これがちゃんとやられるんだから大丈夫というふうに聞こえるんだけれども、実際に紹介したように、その聾唖の方が実際に宿泊拒否を受けていると、盲導犬だってこれだけ普及してきてもそれで拒否されるということ残っていて、合理的配慮の義務化が始まっていくと、そういうときにこれ同時に実施されるということになるので、障害者団体からの懸念があるということを申し上げているんです。
 そういう意味で、是非当事者も参加してもらって、合理的に、円滑な、障害者差別解消法の円滑な施行が旅館、ホテル業でできるようにしっかり意見を聞いてほしいということですので、よろしくお願いしたいと思うんです。
 法案では、特定感染症の患者等である者は宿泊を拒否できるということになっておるわけで、新型コロナの場合、今五類ということになったので外れているわけですが、症状ではコロナかどうか分からぬわけですよ。発熱とか、風邪と違いってほとんどなくて、無症状感染者というものがあります。感染力持ってます。濃厚接触者という場合もあります。これつかんで対応してきたのはコロナだったんですよね。こういう場合、こういう場合、特定感染症の患者等と、等にこれ入るんでしょうかね。

○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
 感染症法の規定で患者に加えて今回のこの旅館業法では疑似症患者、感染症法の六条第十項、また、無症状病原体保有者、先ほど御紹介いただいた、これは六条の第十一項にあります。加えて、新感染症の所見がある者に該当する者を一定宿泊することにより、旅館業の施設において特定感染症を蔓延させるおそれがほとんどないものを除くという規定になっています。
 端的にここから申し上げます。無症状病原体保有者については、これは患者等に含まれるという形になります。(発言する者あり)はい。無症状病原体保有者は含まれる。一方で、この濃厚接触者、これは基本的にはこれは含まれない、この時点では陰性なわけですから。
 ただ、この一つ、新型コロナの経験を踏まえますと、令和四年一月にオミクロン株の感染が急拡大した時期において、厚生労働省が外来診療の対応について通知を出した、事務連絡を出しております。
 この中で、地域の感染状況に応じて診療・検査医療機関への受診に一定の時間を要する状況となっている場合において、次です、同居家族などの感染者の濃厚接触者が有症状となった場合には、医師の判断により検査を行わなくとも臨床症状で判断、これは疑似症例という判断でございます、疑似症患者という判断でございますので、なので、濃厚接触者については、ごくごくその状況においてですけれども、今のようなケースについては疑似症患者、この場合は等に含まれるという運用になろうかと考えております。

○倉林明子君 つまり、無症状が入るというわけでしょう。そうなると、一体……(発言する者あり)無症状感染者、入るという説明じゃなかったですか、入る。済みません。

○政府参考人(佐々木昌弘君) 無症状病原体保有者、これは病原体保有、つまり陽性ですので入ると。

○倉林明子君 つまり、それは検査しないと分からぬのですよ。で、検査しないと、並んでいてもどっちが感染者かというのを特定できないんですよ、その営業者にとっては。そこまでやっぱり求めていくということが、営業者、このコロナの場合、とりわけそういうこと起こり得るわけですよね。検査してから来てくださいということになるのか。
 そういう意味でいうと、営業者の裁量が入るような余地というのを非常に懸念するんですよ。本来の宿泊断ってはならないということにきちんとつなげるということになると、どんな、特定感染症に限定したといっても、無症状感染者かもしれないと思って営業者が見たら、検査を求める、病院にかかってくれと、拒否につながりかねないという懸念はやっぱりあるんですよね。
 で、今後、どんな新興感染症が発生するかというのは想定できません。今度のコロナのような症状、病状も、経過をたどるような特定感染症も、これまでは想定されてこなかったものです。だから、目に見える障害あるいは症状、これによっての宿泊拒否が拡大しないだろうかという懸念も一方であるわけです。
 で、日本難病・疾病団体協議会によりますと、今日資料で付けたんです、これは見たら何か赤いものが皮膚、発疹出ています。何かに感染したんじゃないだろうかと素人目には見えかねないんですよ。こういう皮膚に何らかの症状のある疾患ということでいいますと、膠原病、乾癬、天疱瘡、これ、それぞれもうこういうふうに出ますよという写真なんです。いずれも実はこれ自己免疫疾患で、感染のおそれはないんです。感染のおそれはない。でも、見て分からない無症状感染者と違って、見て、これ感染症と違うんかということに営業者はなりかねないと思うんですね。
 私は、関節の変形とか医療的ケア児でも心配の声上がっていましたけれども、多様な難病の理解、こういうことも営業者には求められると思うんですよ。ガイドラインと併せてもう研修の充実もしていかないと、無用な、宿泊を断るということにつながりかねない、差別の助長につながりかねないと思いますけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) 本法案が成立した場合、関係者による検討会で検討を行い、旅館、ホテルの現場で適切な対応が行われるようにするための指針を策定したいと考えており、策定に当たっては、患者団体、障害者団体等の意見もよく聞いて検討を進めていきたいと考えております。
 この法案では、旅館、ホテルの現場において適切なサービスが提供されるよう、従業員に対して必要な研修の機会を与えることを旅館業の営業者の努力義務とする規定を新たに設けることとしております。この研修を通じて、感染防止対策の適切な実施、また、過去の宿泊拒否事例も踏まえ、今回の改正が感染症患者等の不当な差別的取扱いにつながることのないようにすること、障害者等の特に配慮を要する宿泊者に対し、その状態や障害等の特性に応じた適切なサービスを提供できるようにすること等が図られるようにしたいと考えており、御指摘のような障害や症状を来す疾患等への理解を深めることも含めていきたいと考えております。
 従業員の研修が充実したものになるよう、障害者団体から意見を聞くとともに、旅館、ホテルの関係団体にも御協力いただきながら研修ツールの策定等に取り組むとともに、研修の講師に障害者等の当事者を加える等の好事例の紹介や、旅館業の営業者による研修の実施の有無やその内容等についての定期的な確認、これらをしっかり行っていきたいと考えております。

○倉林明子君 不合理な不利益や偏見、差別に絶対つながってはならないということを申し上げて、終わります。