倉林明子

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改正児童福祉法/相談員の労働条件改善を/倉林氏の問いに参考人(2022/6/2 厚生労働委員会)

 参院厚生労働委員会で2日、改正児童福祉法について参考人質疑が行われました。
 
 児童虐待防止協会の津崎哲郎理事長は、虐待対応の97%は在宅になり、市区町村の見守りが増加しているが、サービス提供が不十分だと指摘。家族を支える具体的仕組みが不可欠だと要望しました。
 
 浜田真樹弁護士は一時保護時の司法審査導入について「内閣府令に一時保護が必要な場面をもれなく書き込むことが重要」と指摘。これまでの一時保護ができなくなる事態がないよう求めました。
 
 インターナショナル・フォスターケア・アライアンスの畑山麗衣ユース・レプレゼンタティブは、コロナ禍の影響調査で社会的養護のケアから離れた若者の2割が「食料確保が困難」、3割が「1カ月以内にお金がなくなる」、4割が「必要な医療やカウンセリング・薬の入手が困難」と回答したと紹介。社会的養護を離れた後の支援拡充の必要性を訴えました。
 
 倉林明子議員は、市町村の人的体制について質問。全国児童家庭支援センター協議会の橋本達昌会長は「会計年度職員、非常勤が非常に多い。この労働条件を良くしていくことが相談体制をつくる上ですごく大事」と答えました。


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林です。
 今日は、四人の参考人の皆さん、本当に貴重な意見をありがとうございました。
 それでは、梅村委員の続きで、畑山さんからお聞きさせていただきたいと思います。
 インケアのところでお話があったように、子供の意見を、子供の意見の表明権を保障するということがいかに難しいのかということをお聞きしていて思ったんですね。
 アドボケートが努力義務になっているということについても御指摘ありました。このアドボケートの義務化していくという方向は必要だと思うんですけど、求められる役割ですよね。日常生活の中で繰り返し話を聞くという機会が大事だという御指摘もありました。
 どういうアドボケートというのが子供の意見をしっかり表明させる、表明することが役割発揮できるのかというところで、もう少しイメージを聞かせていただければと思います。

○参考人(畑山麗衣君) ありがとうございます。
 今アドボケートが検討されている中で、よく施設の中に今第三者の方で皆さんの話を聞いてくれますよというようなチラシが貼られていたりすることがあるんですね。何か困ったことがあればこの人たちを呼んでくださいというようなものがあるんですけれども、呼ばないですよね、自分自身で。もし呼ぶと、何かこの子言うんかなというふうに大人に見られたりとか、ほかの子供たちの目線を気にして、視線を気にして、あの子何か今から言いに行くでと思われると、やっぱり自分からは言いに行きにくい、呼びにくいですし、やっぱりそれでは活用は進まないと思うんですね。現在も、なかなかそこにアクセスしていく子供たちというのは少ないと思うんです。
 なので、やはり日常的に、定期的にアドボケートの方が通っていただく、子供たちが呼ばなくとも来てくれる、みんながみんなちゃんと話を聞いてもらえる機会を、自分、困った人が、その子たちが私ちょっと話ししたいんですと言ってしまうと、やっぱり行けない子たちが出てくるので、みんながみんな話を聞いてもらえるような機会の提供であったりとかを是非していただきたいなというふうには思いますけれども。
 やはり、困ったことを聞くではなくて、日常レベルで、今こんなことが起きているんだよという日常の会話を繰り返してほしいなと思うんですね。施設で嫌なこと何と聞くのではなくて、今学校でこんなことがあって、こんなことがあってというのを聞いていただいたりとか、本当に、困ったら呼ぶ人ではなくて、日常的に聞いていただける、また、第三者であることというのはすごく重要だろうなと思います。自分のケアに直接関わらないようなことというのは、すごく子供たちの安心を、安全を担保できるのではないかなというふうに感じます。
 以上です。

○倉林明子君 ありがとうございます。
 津崎参考人に伺いたいと思います。
 今日お触れにはならなかったんです、お触れにはならなかったんですけれども、里親のことで、御自身も里親をされたということで資料を読ませていただいたんですけれど、前回ですか、法改正、前々回か、法改正のときに、里親制度を本当に展開していくんだというような勢いで目標も作ったわけですけれども、現状と課題ということでいうとどういうことをお感じなのか、教えていただきたいと思います。

○参考人(津崎哲郎君) 理念からいうと、施設という集団生活よりは、個々の家庭が保障されて、そこで子供が育つというのがいいように思うんです。
 ただ、私も里親して、今もう二十六になりますけど、やっぱり途中から子供を引き取って家庭で自分の実子と一緒に育てる、それなりの難しさがありまして、私の子も途中で高校も中退になってしまったりとか紆余曲折がありました。
 だから、理念はその方がいいんですけど、それを数字的に増やすためにどんどん難しい子も里親家庭で委託したらいいんだという単純にはいかない。下手すると失敗する。失敗しますと、施設でうまくいかないより傷つきが大きいんです。里親も傷つくし、子供も傷つく。欧米の委託率高いところは、もう転々としている子供がいると。そうすると、もう傷つき体験を追体験をさせる。
 そうなったら、やっぱり数字だけ目標追って結果的にはまずいというのは良くないから、やっぱり安定した里親に子供が委託できる、そのためには、ほんならどういうケースのときに不調になっているのかということをもうちょっとしっかりデータを調べて、事前にそういううまくいかない要素を少なくしていく。そういう取組もないと、ただ数字の目標だけでというのは難しいのではないかというように感じています。

○倉林明子君 ありがとうございます。
 次に、橋本参考人にお願いします。
 市町村の役割がすごく大きくなっていて、市町村は自治体間格差がこの現場でもすごく広がっているという実感で、それが是正されていく方向に向けばいいんですけれど、大きいのは、やっぱりその財政措置、財政的な裏付けだとも思っているんですね。
 特に人的体制の部分で専門性が物すごく求められている、市町村にもですね。ところが、会計年度任用職員というのが多様に相談員の分野にも入ってきているというようなところで、その辺りの現状と課題、改善した方がいいよという御提案いただけたらと思います。

○参考人(橋本達昌君) 御質問ありがとうございます。
 まさに、会計年度職員、それから非常勤も、十五分ぐらいの時間が短いだけで非常勤職員だということで、そういう枠組みの中で雇われている人が、市町村の場合、特に家庭相談員とか女性相談員、そういう方が非常に多いという現実、もう間違いなくあると思います。そういう人たちの労働条件ですね、これをしっかりと良くしていくということは、もう市町村の相談体制をしっかりつくっていく上ですごく大事。
 それから同時に、やはり民間の地元にある児童養護施設とか乳児院とか児童家庭支援センターとか、そういうところの民間の人にも一緒になって支援に関わってもらうという姿勢ですよね。児童相談所も抱え込みとよく言いますけど、市町村もある意味抱え込みをするところがあるんですね。その辺の改善が今回の法改正で進んでいくといいなというふうに思うところです。
 以上です。

○倉林明子君 ありがとうございます。
 最後、浜田参考人に一つだけ。
 四ページ、いただいた資料のところで、私、御指摘、本当にそうだと思って、現状の一時保護が後退してはならないと繰り返し御指摘ありました。今回、その審査、司法審査を入れるということで、そういうことが起こらないようにということは前提にした上で、ここで指摘されている裁判所は明らかに必要がないと考えるケースが具体的にどういうことが想定されるか、教えてください。

○参考人(浜田真樹君) 御質問ありがとうございます。
 今委員御指摘の点なんですけれども、そこが私にもよく分からないといったところでございます。ここのページの、資料のここのページに書きましたのは、その法律の条文を読んでいくとこういう場面があり得るよねと、裁判官が明らかに必要がないと考えたらこうなるよねというふうに操作すると読める。もっとも、私の中では、果たしてそれは一体どういったケースなのであろうかと考えると、率直に申し上げてよく分からないというところがございます。
 そうだとするならば、普通に考えますと、今児童相談所でやっているような一時保護というのは、この改正法の下でもう従前どおりにできる、裁判所の審査はちゃんと通るということが想定されますし、私はそうあるべきだと思っております。
 ただ、ちょっとそこが、もし、ちょっとこんなことを言うとあれですけれども、裁判所にちょっと何らかの誤解か何か、一時保護の目的とか機能について何らかの誤解でも生じて、いやいや、ここの必要性ないじゃんかみたいな判断がなされてしまうと、それは子供の保護の観点から極めて重大な問題たり得るのではないかなと危惧するところでございます。
 以上です。

○倉林明子君 ありがとうございました。
 終わります。