倉林明子

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改正児童福祉法 子ども家庭支援センター 専門職員の配置を (2022/5/24 厚生労働委員会)

(資料があります)

日本共産党の倉林明子参議院議員は、二四日の厚生労働委員会で、児童福祉法改正案に関連し、子どもの虐待対応、支援にあたる市町村の体制強化を求めました。

全国の市町村の虐待相談対応件数は一五万六千件と、児童相談所あわせた件数(三六万件)の4割以上にのぼります。

倉林氏は、市町村には、子どもや家族をサポートしながら問題を把握し、支援につなげる、高度な専門性が求められるが、体制整備は遅れていると指摘。

市町村の虐待対応の窓口となる子ども家庭総合支援拠点について、国の職員配置基準では、虐待対応は人口5万6千人未満、心理担当は17万人未満の自治体では配置の必要が無く、全員が非常勤、兼務も可であることを示し、これでは経験の蓄積は困難だと批判しました。

その上で、支援拠点を再編し新たに設置される子ども家庭支援センターでは、現状追認はやめ、専門職が専任できる配置基準と財政措置を求めました。

倉林氏は、新設される子育て世帯訪問支援事業等の利用者負担について、必要な支援の障害にならないかとただしました。後藤茂之厚労大臣は、「施行までに検討する」と明言をを避けました。

倉林氏は、せめて非課税世帯は無料にすべきと求めました。


児童虐待相談対応件数の推移


市区町村子ども家庭総合支援拠点における主な職員の最低配置人数(人口規模別)


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 児童相談所で、虐待対応件数というのは二〇二〇年度で二十万件を超えたと。先ほど来御指摘のように、もう増加の一途という状況です。
 一方、市区町村での虐待事例対応というのも、余り表面には出てきませんけれども、ございまして、それを資料の一枚目に、市町村と児童相談所のということでグラフを並べております。数字としては、対応件数が、児相の、これ市町村七五%ということで相当な件数になってきているんですけれども、児相、市町村、これ相談の中身に違いはあるのかどうか。

○政府参考人(橋本泰宏君) 平成二十八年の児童福祉法改正におきまして、この虐待事案対応も含めた子育て家庭への対応に関する都道府県と市区町村の役割分担、これが、都道府県の方では、市町村に対する援助、助言ですとか、あるいは一時保護や措置等の専門的な知識、技術、広域的な対応が必要な業務を行う、これが都道府県なり児童相談所の役割であると。それから、市区町村の方は、子供の身近な場所における子供の福祉に関する支援等の業務を行うこと、これが市町村の役割である。そういう役割分担の下で、児童虐待についてそれぞれ相談対応等を実施しているものというふうに承知しております。
 このため、端的に申し上げれば、児童相談所におきましては、保護者支援を含めた相談支援に加えまして、一時保護の必要性の判断を行う、そういうところが非常に重きを置かれている一方で、市区町村の方におきましては、子ども・子育て支援の提供ですとか、一般的な子育ての悩みを聞く中で場合によっては児童相談所の方へのつなぎを行っていく、そういったことに対応の重点が置かれているというふうに承知しております。

○倉林明子君 そういう役割分担、重点の置き方の違いはあるし、権限も違うんだけれども、実態としては、市区町村で受けている相談の中身ということでいうと児相と変わらぬという状況、相談にも応じているという実態あるわけですよね。私、虐待対応ということでいいますと、この市区町村の役割って極めて大きくなってきているということを申し上げたいと思うんです。
 市区町村には、今お話もあったように、予防型、支援型ということでの役割、対策というのを求められているわけで、これ地域のサービスによってサポートし、子供や家族の問題というのを把握して、これ自発的に援助を求めないような保護者であっても必要な支援、これ見極める専門性、また、これソーシャルワーカーに対する不信感とか反発とか持っている保護者、こういう人であっても、保護者や子供とも向き合って必要な支援につなげるということでいうと、極めて専門性を求められる、市区町村の役割でですね、と思うんだけれども、認識は大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(後藤茂之君) 虐待対応事案も含めて子育て家庭への対応について、市町村は、先ほども局長の方から答弁をしましたが、子供や子育て世帯に身近な場所でその養育など子供の福祉に関する支援等の役割を担うものという位置付けになりますから、市町村において児童虐待相談等に対応する職員については、今先生からも話がありましたように、虐待の未然防止の観点も含めて、支援を要する家庭の相談を受け付けて、アセスメントも丁寧に行い、適切な家庭支援につなげていくこと、要保護児童対策地域協議会、要対協の枠組みを活用し地域の関係機関と日頃からネットワークを形成することのためには必要な専門性を有すること、これは重要だというふうに考えます。

○倉林明子君 そうだと思うんですね。
 高度な専門性が、こういうふうに虐待への相談対応って一層比重が増している中で役割すごく大きくなっているんですね。体制整備というの、追い付いてないんじゃないかということを具体的に指摘したいんです。
 二〇一六年の法改正で、市区町村に設置の努力義務が課された、先ほど来議論もありました子ども家庭総合支援拠点ですね。これ、達成年度ということで、要は全自治体にと、達成年度では二〇二二年度とされていたと思うんですけれども、直近の設置自治体数、全体の何%になっているか、確認です。

○政府参考人(橋本泰宏君) 子ども家庭総合支援拠点の設置状況につきましては、令和三年四月時点で設置している自治体は六百三十五自治体、設置率でいうと三六・四%ということになります。

○倉林明子君 つまり、七割近い自治体で未設置の状況になっているんです。だから、極めて深刻だと思うんですよ。
 これ、支援拠点における職員配置というのがどうなっているかということで、これ二枚目に、最低配置人数ということで、人口規模別の配置、最低配置人数ということで決めている数はあるわけですね。支援拠点で見た場合、どんなに小さな規模の自治体でも、子ども家庭支援員を常時二名置かんなんということになっています。人口五・六万人以上のところで言うたら、虐待対応専門員が常時一名、十七万人以上になると心理担当支援員常時一名、ここにならぬと心理担当は出てこないんですよ。
 人口規模に応じて配置がそれぞれ追加されているという状況は分かるんだけれども、人口規模別でこの支援拠点の設置自治体数というのは比率で一体どのぐらいになっているか、御紹介ください。

○政府参考人(橋本泰宏君) 先ほど申し上げましたように、子ども家庭総合支援拠点の設置自治体数は六百三十五あるわけでございますが、児童人口別で設置自治体の比率を見てみますと、例えば、児童人口がおおむね七・二万人以上の自治体におきましては設置率が五三・三%と、十六自治体ということになっております。それから、これに次ぐ規模のところで、二・七万人以上七・二万人未満の自治体、これで見ますと八〇・四%ということで七十八自治体となっております。一方で、一番規模が小さい〇・九万人未満の自治体、これで見ますと二六・四%ということで三百四十七自治体ということになってございます。

○倉林明子君 虐待対応専門員ということで見ますと、これ人口が五・六万人未満の自治体には配置しなくていいということになっているし、中規模、大規模は、全国で見たら、自治体数では、中規模のところ、八〇・四パーってこれ設置率高いんだけれども、自治体数で見ると一割にすぎないんです。九割の自治体ということで見て、九割の自治体には心理担当いないんですよ、いなくていいという配置人数の基準になっているということは見て取れると思うんですね。
 その上、よう見てほしいんだけれども、最低常時二名というような書き方になっていますけれど、一名は非常勤可という状況なんです。それはちっちゃいところも含めてありますので、兼務も可能という位置付けになっているという実態は分かりますよ、実態は分かるんだけれど、大規模のところでも、これ非常勤が、心理、虐待、これ全部非常勤でいいということになっているんですよね。
 この職員配置が、一応最低配置人数は示されているんだけれども、それ自身本当不十分だと思うわけですが、この職員配置のための国の財政措置というのは、拠点整備を決めたその拠点整備の前後でどう変わったのかという、市区町村に対する財政措置、説明してください。

○政府参考人(橋本泰宏君) 平成二十八年の児童福祉法改正によりまして、基礎的な地方公共団体である市町村は、子供の最も身近な場所における子供及び妊産婦の福祉に関する支援業務を適切に行わなければならないことが明確化されるとともに、子供とその家庭及び妊産婦等を対象に、実情の把握、子供等に関する相談全般を担う拠点の整備に努めなければならない、こういうこととされました。
 家庭相談に係る財政措置でございますが、平成二十八年の法改正前は、子ども家庭総合拠点のような相談窓口の設置を想定していなかったことから、相談窓口の運営に要する経費の補助等はございませんで、子供の安全確認等を行う職員の配置に係る経費の支援等にとどまっていたものでございます。
 先ほど申し上げました平成二十八年の法改正というものを契機にいたしまして、市町村がこうした拠点の体制整備を行えるように、平成二十九年度より、子ども家庭総合支援拠点の運営に必要な経費の補助を創設いたしますとともに、平成三十一年度より、地方交付税におきまして、標準団体当たり二名分の職員の財政措置というものが講じられております。
 こうした取組を通じまして、市町村の相談体制の整備を今支援しているところでございます。

○倉林明子君 市区町村が拠点整備をするということになったら、地方交付税二名分も基本付くようになったということですけれども、くるめた中での、先ほど説明もあったけれども、その一部の位置付けなんですね。つまり、市区町村が本気で拠点整備すると、心理や虐待の対応専門員もきちんと置こうということになったら、持ち出し覚悟でないと踏み出せないと。結局、それが設置自治体が伸びていないという一番の足かせになっているということを私指摘したいと思う。
 財政的な裏付け、これ明確にするためにも、最低基準、ここはきちんと運営していけるような、きちんと窓口対応ができるような最低配置基準、これは法定化すべきだと、で、裏打ちも財政として付けていくと、こういう方向向かうべきだと思います。どうでしょうか。

○国務大臣(後藤茂之君) 現行の子ども家庭総合支援拠点は、児童福祉法の規定に基づきまして、その設置については市町村の努力義務となっておりまして、職員配置を含めて、子ども家庭総合支援拠点を設置する際の要件については、厚生労働省の設置運営要綱により、予算補助の補助要件としてお示しをしております。現在、子ども家庭総合支援拠点を設置する自治体のほとんどは国で示す配置基準を満たしております。
 委員の御指摘は、自治体の一部の意見として、財政的な裏付けを求める観点から、職員配置基準の法定化を望む声があるとの御指摘だと理解しておりますけれども、一方で、特に小規模自治体からは、専門職の配置が厳しく、それを理由に拠点の体制構築が難しいとの声も伺っているところでございます。
 このため、子ども家庭総合支援拠点について、全国一律で配置基準を法定化することは困難と考えておりますけれども、引き続き、財政支援を行うとともに、しっかりと自治体の意見も伺いながら、その設置が進み、こども家庭センターの全国的な展開につながっていくように取り組んでまいりたいと思います。

○倉林明子君 市町村が大変だから、それに配慮して努力義務で設置進んでいないというようなことになっているんだと思うんですよ。
 一方、これ児相には、児童相談所にはですよ、やっぱりこの虐待問題の解決に向けて、人員配置目標もこれ予算も前倒しにするということも含めて取られてきたんです。それがあったから、児童福祉司の確保という点では十分できた、できてはいないけど、前に進んできているんですよ。
 そういう実態見ると、市町村は置いてきぼりやという声が上がっているということで、今すぐ義務化、法定化ということには無理があるという状況は分かるんだけれども、これ本当に市町村に求められる役割発揮していこうと思ったら、児相と同程度にですね、児相と同程度に体制整備に対し予算措置も含めた責任を持つべきだと、これ趣旨なんです。
 大臣、もう一回どうですか。

○国務大臣(後藤茂之君) 同じことを……(発言する者あり)言うたらあかん、でも、同じことなんですが。
 財政配置基準の法定化を財政的な裏付けを求める観点から望む声もあるというふうには承知しておりますけれども、一方で、専門職の配置が厳しいところでは一律の体制構築が難しいという声も伺っているわけでありまして、引き続き、財政支援を強力に行うとともに、しっかりと自治体の意見も伺いながら、全国的な展開につながっていくように取り組んでまいりたいと思います。

○倉林明子君 冒頭紹介したように、児童相談所に寄せられるその虐待対応件数と市町村の窓口で取り扱っている虐待対応件数というのは、本当に肩並べるぐらい増えてきているんですよ。そこで解決できる、解決していこうと思ったら、専門職の配置ということに国が予算付けるよということ要るんですということは重ねて申し上げたい。そこに責任持ってほしいということです。
 続いて、市区町村の虐待対応はこうやって伸びてきているんだけれども、体制どうだったのかということで、私、検証するに当たっては、二〇二一年、大阪府の摂津市で三歳の男の子が同居していた母親の交際相手に殺害されると、こういう事件が起こりました。これを振り返りたいと思うんですけれども。
 親子は、実は摂津市が虐待リスクありということでずっと見守ってきた家庭だったんです。知人、保育所、これ通報が市にあったんですよ。なんだけど、命守ることできなかった。摂津市の担当職員って十二人体制で、虐待対応、社会福祉士五人で年間数百件当たっていたということでした。これ、人口規模の最低配置からいうと上回る職員配置になろうかと思います。
 この市町村の対応の中で救えない命が起こったということに対して、大阪府の児童虐待事例等点検・検証専門部会、これ検証作業を行いまして、今年一月にまとめた報告書があります。見させていただきました。国への提言があるんですね。その一部ですけれども、研修の充実等、専門性の向上や組織としての相談対応力の蓄積、一人で抱え込まない組織体制の整備が不可欠だといたしまして、専門職の任用とともにその配置が組織内で促進されるような技術的支援、財源の確保等の施策をお願いしたい、こういう中身になっています。
 大臣、受け止めどうでしょうか。

○国務大臣(後藤茂之君) 大阪府の摂津市で三歳の男の子が実母の交際相手から暴行を受けてお亡くなりになったことは誠に残念でありまして、心より御冥福をお祈り申し上げたいと思います。
 摂津の事案については、大阪府が検証を行いまして、本年一月三十一日に報告書として取りまとめられ、課題の整理と再発防止策をまとめておりまして、当該報告書においては、国に対して市町村組織体制の強化等に関する提言がなされたものと承知をいたしております。
 市町村における子供家庭福祉分野の職員の専門性の確保は重要な課題であるというふうに認識しておりまして、厚生労働省としては、現行でも市町村において相談援助業務を行う職員の専門性向上に向けた研修に必要な経費の補助を行うなど、自治体の取組を支援しているところでございます。
 また、今般、虐待防止や家庭支援等の観点から、市区町村において児童福祉と母子保健の相談支援等を一体的に対応を行うこども家庭センターを設置することとしておりますが、当該センターにおいても専門性を有する人材を各地域で確保していくことが重要と考えており、その確保に当たって、これまで市町村において相談支援や指導等に関わったOBも含めた経験者の活用や、市町村向けの研修の充実、児童福祉法改正案において導入することとしている子供家庭福祉の認定資格の積極的な取得促進などによりまして、市町村において適切な人材が確保できるよう、財政支援も含めて検討してまいりたいというふうに思っています。

○倉林明子君 現状の最低配置人数、先ほどお示ししましたけども、子ども家庭支援員というのは最低配置数のうち一名、心理担当支援員、虐待対応専門員、非常勤でも可、この専従職員配置数ということにはなってないんですね。多くの相談員は地方自治体で雇用の不安定さが問題になっている会計年度任用職員と、こういう方も多いんですよ。経験積めない状況が仕組みとしてあるんですね。これ、組織として対応力の蓄積ということが求められているんだけど、困難になっているんですよ。
 で、言いたいんです。改めてこの新たなこども家庭支援センターをつくるということになるわけですけれども、配置基準、大臣は柔軟な配置を認めるという答弁をしているんだけれども、柔軟ってどういうことですかと、基準というのはどうなるんですかと。御説明を。

○国務大臣(後藤茂之君) 四月二十七日の衆議院厚生労働委員会において、小規模自治体を含め、こども家庭センターを円滑に設置できるように、柔軟な人員配置を認めること等により、その設置を促進してまいりたいというお答えを確かにいたしました。
 今後、施行までに人員配置の具体的な内容については検討していくわけでありますけれども、例えば、柔軟な配置として、小規模市町村についてはセンターを統括する職員について他の業務との兼務を認めることなど、いろいろな点を想定していますが、市町村の現場の意見を丁寧にお伺いしながら今後検討をまとめていきたいと思います。
 また、小規模自治体を始めとした市区町村がセンターを円滑に設置できるように、柔軟な人員配置に加え、人材確保のための充実した財政支援を行うことなどによりまして、こども家庭センターの全国的な設置を促してまいりたいと思います。

○倉林明子君 小規模の話だけしているんじゃないんですよね。大きいところでも、この資料のとおり、非常勤、兼務オーケーになっているんですよ。兼務とか会計年度任用職員、非正規、無資格と、これでいいっていうような現状追認が柔軟な対応では困るわけですよ。そこを指摘しているということを受け止めていただきたい。
 虐待対応専門員、心理担当支援員、これ全員非常勤でもいいというような規定は、引き続き適用させるというようなことあってはならないと思うんですよ。しっかり見直して、財政措置と併せて、専門職が専任できる配置基準と、これ原則とすべきだと思いますよ。いかがでしょうか。

○国務大臣(後藤茂之君) 現行の市町村が設置する子ども家庭総合支援拠点については、その設置運営要綱におきまして、人口規模に加えて、児童虐待相談対応件数等に応じまして、必要となる専門職員の配置人数を設置、設定しております。子育て相談支援は、内容やその支援方法が地域の実情により異なることから、必要な職員を常時配置することとしつつ、その雇用形態については非常勤形態でも可能とするなど、そういう意味で柔軟な相談体制の整備を可能とする仕組みといたしております。
 その上で、市町村における子供家庭福祉分野の職員の専門性の確保は重要な課題であると認識しておりまして、厚生労働省としては、市町村において相談援助業務を行う職員の専門性向上に向けた研修に必要な経費の補助を行うなど、自治体の取組を支援しているところであります。
 子ども家庭総合支援拠点における職員の雇用形態についても、引き続き各市町村における地域の実情に応じて適切に配置をしていただきたいと考えております。

○倉林明子君 やっぱり、人的配置、専門性を高めるということは、子供の権利保障の土台にもなるんですよ。最低基準というのを通知にとどめない、処遇もしっかりしてこそ定着も図れると。そういう定着、専門性を評価した上で定着、蓄積の、経験を蓄積していくということが対応スキルを上げていくと、虐待を減らしていくという本当、近道だということを申し上げたいと思います。
 新設される子育て世帯訪問支援事業、児童育成支援拠点事業などの場というのは、これ、支援にとどまらず、虐待のリスクを早期に発見し、社会的養護につなげるという役割も期待されるわけです。これ、支援を受ける際の利用者負担について、まだこれからだということは聞いているんですけれども、令和三年度にモデル事業をやられています、このときの設定はどうなっているんでしょうか。

○政府参考人(橋本泰宏君) 令和三年度補正予算において安心こども基金を活用して実施しております子育て世帯訪問支援臨時特例事業でございますが、こちらについては利用者負担を軽減する措置というのをとっております。具体的には、当該事業の補助単価としては、支援に要する費用と訪問に要する費用とを勘案して設置しておりまして、設定しておりまして、子育て世帯に対して一時間支援を行った場合の利用者負担額の上限は、例えば生活保護世帯ですとゼロ円、それから住民税非課税世帯ですと四百九十円というふうになっております。
 それからあと、同様に安心こども基金を活用して実施しております保護者支援臨時特例事業というのがございます。こちらにつきましても利用者負担を軽減する措置をとっておりまして、具体的には、当該事業の補助単価としては、支援に要する費用を勘案して設定しているところ、八回程度の講義とグループワーク等に参加することを想定した場合の利用者負担額の上限は、例えば生活保護世帯ですとゼロ円、それから住民税非課税世帯ですと三千二百円というふうになってございます。

○倉林明子君 子供の居場所支援についてはこれは無料ですよね、モデルでやった場合について、モデルじゃない、設定として考えているのは無料だったと思うんです。利用者負担というのは支援を受ける際のハードルにやっぱりなるということを指摘したいと思うんです。
 先ほど紹介あったように、二番目のやつで言うたら、住民税非課税世帯で一回三千二百円という設定になっていましたよね。このように利用料負担を設けると、一定の額を求めるということについて、これで本当に必要な保護、支援につなげることができるのかと。見付けるということも含めての支援、必要な支援があると思うんだけれども、つなげるということにもつながって、つなげていくことができるのかという率直な疑問です。いかがでしょう。

○国務大臣(後藤茂之君) 今般新たに創設する子育て世帯……(発言する者あり)短く、はい。基本的には利用者負担を求める運用とすることを考えているわけでありますけれども、委員御指摘のように、低所得者であるために利用者負担を行うことができない等により利用を諦めることを避ける必要があるというふうには考えておりまして、令和三年度補正予算等により、住民税非課税世帯など経済的な負担が困難な家庭の利用者負担の軽減を図る仕組みを設けておりまして、令和六年度からの本格実施に向けて具体的に検討を進めて、支援を必要とする家庭が適切にサービスを利用することができるように必要な予算の確保等を含めて努力してまいりたいと思います。

○倉林明子君 そこ大事なところで、問題は、支援が必要なのに自覚がないと、自分は必要だと思えない人もいるし、家庭への介入ということでいうと拒む、そういうところこそやっぱり支援必要な場合もあるわけですよね。そういう利用料金の負担が発生することで利用を更に遠ざけるということになると、必要な支援、養護につながっていかないということにもなりかねないという危惧があります。
 少し言わはりました、予算措置も確保して非課税世帯無料にというようなお話もありました。きっちりそこは利用者負担原則無料で、せめて非課税世帯については負担ゼロと、これで頑張っていただきたいと、確認の意味も込めて、最後、答弁求めたい。

○国務大臣(後藤茂之君) 今回創設する子育て世帯訪問支援事業や親子関係形成支援事業におきましては、従前の一時預かり事業等と同様に、受益と負担の関係から、基本的には利用者負担を取る取扱いとしております。
 一方で、諦めることがないように避けなければならないというふうに考えておりまして、このため、令和三年度補正予算により先行して実施している事業において、病児保育等の既存の取組を参考として、所得階層や利用者の負担感などを考慮して利用者負担を軽減する具体的取組を行ったものでありまして、今般の児童福祉法改正案において新設される事業が本格実施される令和六年度以降の利用者負担については、今後、自治体の意見等も踏まえつつ、令和三年度補正予算の先行実施事業の実施状況等も勘案して、利用者負担の上限額について検討し設定することとしたいと思います。

○倉林明子君 利用者負担のハードルを下げると、非課税はゼロにと、これで是非検討していただきたい。
 終わります。