倉林明子

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ILO条約締結 関係法案 国公法 刑事罰を温存「抜本見直しを」(2021/6/8 厚生労働委員会)

(議事録は後日更新いたします)

 8日の参院厚生労働委員会で日本共産党の倉林明子議員は、105号条約締結を目指す目的には賛意を示しつつ、公務員の労働基本権や表現の自由を制約する国家公務員法の規定が温存されることが問題だと主張しました。法案は同条約締結のためとして、国公法の罰則規定を、懲役刑から強制労働を伴わない禁錮刑へと軽減しますが刑事罰を科すことに変わりありません。

 倉林氏は、公務員の労働基本権などの制約について、日本も批准ずみの87号(結社の自由及び団結権保護)、98号(団結権及び団体交渉権)条約違反だとしてILOから再三勧告されていると指摘。「87号、98号を批准しながら公務員の労働基本権が確立されていないことが最大の問題だ」と述べました。105号条約を責任を持って批准するためにも、「国家公務員の政治的行為や争議行為を禁止し、刑事罰を科す国公法の条項を廃止すべきだ」と迫りました。

 田村憲久厚労相はILO勧告は「重く受け止める」としつつ、105号条約締結は急務などと述べました。

 倉林氏は、国家公務員の市民的・政治的自由を制限し、刑事罰を科す先進国は日本だけだと述べ、「国公法の抜本的な見直しこそ必要だ」と求めました。


議事録を読む(未定稿)
(この会議録は未定稿です)

○倉林明子君 日本共産党の倉林です。
 我々も議連のメンバーの一員として議論の経過にも、PTには山下議員ということで参加もさせていただいてきました。議連として一致して百五号条約を早期に批准したい、こう思いは一緒だということであります。その方法に我々賛同できないという我が党の立場も尊重していただきまして議員提案となったという経過であります。
 まず、政府に確認したいと思います。
 ILO、中核的労働条約八条約のうち日本が未批准の二条約について、批准できない理由は何か、簡潔にお答えいただきたい。

○政府参考人(井内雅明君) お答えいたします。
 お尋ねの日本が未批准のILO基本条約のうち第百五号条約につきましては、国家公務員による一定の政治的行為、国家公務員及び地方公務員の争議行為の共謀、あおり、唆し、一定の業務に従事する者の労働規律違反に対する刑罰として懲役刑が設けられておりまして、これらが条約との整合性を検討する必要がある点でございます。
 また、第百十一号条約につきましては、公務員の政治的見解の表明の制限に関する規定のほか、肉体的、生理的差異を考慮して就業、労働条件について性に基づく保護を設ける規定等について条約との整合性を慎重に検討する必要があると考えております。

○倉林明子君 百五号は成立から六十四年であります。百十一号は成立から六十三年ということです。いずれも世界の九〇%超える国で批准されております。余りにも遅れているのが日本だと言わなければなりません。
 我々も第百五号条約の締結を目指すという点では賛同しているんだということを先ほども表明いたしました。
 では、問題は、その方法として提案されているように、国公法を改正し、懲役刑を禁錮刑とすることにしている点であります。公務員の労働基本権、表現の自由、この制約を温存することにならないかという点であります。
 中核的労働基準であり、批准済みの第八十七、九十八号について、再三ILOから公務員の労働基本権の回復についての勧告がされております。これ、大臣、受け止めを伺っておきたい。

○国務大臣(田村憲久君) 委員が御指摘いただきましたように、公務員の労働基本権の付与について過去にILOの方から勧告が出されていることは、これは承知をいたしております。関係省庁において、この勧告を踏まえて必要な検討がなされているものというふうに承知いたしております。
 公務員の労働基本権の内容につきましては厚生労働大臣の立場としてお答えすることは差し控えさせていただきたいというふうに思いますけれども、一般論として申し上げられることは、国際機関たるILOの勧告、これは重く受け止めるべきであるというふうに考えております。

○倉林明子君 重く受け止めていただいてきたと思うんですけど、長年にわたって一歩も進んでいないという現状でございます。
 そこで、内閣府に確認したいと思います。
 国家公務員の政治的行為、そしてストライキのあおり、唆しに対する罰則について、これ刑事罰を科す理由、そして、刑事罰を科すことによって保護すべき保護法益というのは一体何でしょうか。

○政府参考人(松本敦司君) お答えいたします。
 国家公務員法上の政治的行為の制限や争議行為の共謀、唆し、またあおり等の禁止規定でございますが、公務員の政治的行為により公務員の政治的中立性や公正な行政の執行に対する国民の信頼が失われ、行政の安定的な運営が維持できなくなる、公務員の争議行為により公務が停廃し、国民生活の根幹に当たる、関わる行政サービスが円滑に提供できなくなるということを防止するために置かれている規定でございます。
 これらの規定の遵守を担保するためには、その保護法益は国民全体の共同利益であることから、公務員組織の内部秩序を維持するための懲戒処分だけでは足りず、国民全体の共同利益を擁護するための司法上の制裁である刑罰により実効性を強く担保することが必要であると考えてございます。

○倉林明子君 これ衆議院でも質疑ありまして、人事院は、国家公務員法及び人事院規則一四―七に定める政治的行為の禁止又は制限に違反する行為又は事実があったとして通知されたものはないと答弁をしております。法務省は、国家公務員法第百二条一項に違反する罪の起訴件数は把握していないという答弁でした。実態から見れば、足りないんじゃなくて、刑事罰を科す必要性はないんじゃないかということが質疑でも確認できたんじゃないかと思うんです。
 そこで、確認です。二〇一二年のILOゼネラルサーベイでは、ILO第百五号条約と罰則の関係について、その整合性を異なる段階で確認し得るということで三点を示しております。内容を御説明ください。

○政府参考人(井内雅明君) 御指摘の箇所は、二〇一二年公表のILOゼネラルサーベイのうち、第百五号条約と罰則の関係について言及されている部分と承知しております。
 御指摘の箇所の仮訳を読み上げさせていただきます。
 三百一、委員会が前回のゼネラルサーベイで述べたように、条約と刑罰法令との整合性は、以下のとおり、異なる段階で確保し得る。市民的及び社会的権利及び自由の段階において、特に政治的活動及び政治的意見の表現、思想的に反対することの表明、労働規律への違反並びにストライキへの参加が刑事罰の範疇に含まれない場合、科され得る罰則の段階において罰則が罰金又は労働義務を伴わない制裁措置に限定されている場合、刑務所の制度のレベルで、法律が、特定の政治犯罪で有罪判決を受けた受刑者について一般的な犯罪者に科される就役を免除される(自ら要請し働くことはあり得る)という特別な地位を付与する場合。
 以上です。

○倉林明子君 今回、禁錮刑には強制労働を伴わないということで国公法の見直しになるわけですけれども、今御紹介あったとおり、三段階のうちの二つ目のところに該当するものと思われます。科され得る罰則が罰金又は労働義務を伴わない制裁措置に限定すると。ここで、百五号の批准を目指すという中身になっているかと思うんです。
 しかし、禁錮刑には確かに強制労働は伴わないけれども、刑事罰であることには間違いありません。国際標準はどうなっているかというと、刑事罰ではなくて懲戒処分という流れが確認できるかと思うんです。
 政府の、私、最大の問題は、既に八十七号、九十八号を批准しているわけですよ。公務員には労働基本権が確立されていない、それなのにですね、確立されていない。国家公務員、国家公務員の政治的行為、そして争議行為を禁止し、刑事罰を科すということになっている現行の国公法百二条一項及び九十八条二項、地方公務員法三十七条一項、これを廃止すると、そうしてから百五号条約ということを目指すというのが、私は、批准している条約にも責任を持つ立場だし、百五号条約を完全批准していくという方向だと思うけれども、大臣、お考えいかがでしょうか。

○国務大臣(田村憲久君) 国家公務員法等における刑事罰の規定の当否についてでありますけど、これは各党各会派で様々な御意見、お立場があり、ILO活動推進議連におきまして検討を行う過程でも様々な御議論があったというふうにお聞きをいたしております。
 刑事罰の規定の当否について、これ、厚生労働大臣の立場でお答えを差し控えさせていただきたいと思いますけれども、この法案、ILO第百五号条約を締結することが我が国にとって急務であるということで、個別の規定の当否、こういうものに関しては立ち入ることなく、同条約の抵触する可能性のある懲役刑、これを禁錮刑という形に改める内容になされたものであるというふうに承知をいたしております。

○倉林明子君 急務であるのは、八十七号、九十八号、これもしっかり実態として実現していくということ、さらに、百五号、百十一号、ここについてもしっかり早期に批准していくということを政府としては責任を持って進めていくべきだということは強く申し上げておきたいと思うんですね。
 国家公務員の市民的、政治的自由を保障し、国家公務員に刑事罰を科すと、こんな先進国は日本以外にはないわけですよ。国公法等の抜本的な見直しこそ日本政府としては進めていくべきだと強く申し上げまして、質問は終わります。