倉林明子

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米軍基地のコロナ感染防止策 国が責任持ちPCR検査を(2020/8/20 厚生労働委員会)

 日本共産党の倉林明子参院議員は20日、参院厚生労働委員会で、京都府の在日米軍基地で新型コロナウイルスの集団感染が発覚した問題を示し、感染拡大防止のために国が責任をもってPCR検査体制の拡充などに取り組むよう求めました。

 京都府京丹後市の米軍経ケ岬通信所で基地外に居住する軍属が新型コロナウイルスに感染した問題で、防衛省近畿中部防衛局長が同市市長に「軍人・軍属の感染経路はすべて把握している」と説明した後に、さらに軍人・軍属の感染が相次いでいます。

 倉林氏は、「これまでの米軍の感染症対策に懸念が広がっている」と述べ、感染経路や行動履歴、隔離、保護の実施状況など必要な情報が保健所や自治体に共有されなければ、さらなる感染拡大につながりかねないと指摘。「軍人や軍属とその家族、工事関係者など全員への速やかなPCR検査を実施すべきではないか」とただしました。

 防衛省担当者は、「迅速な情報提供が図られるよう米軍にも働きかける」と答弁。加藤勝信厚労相は「詳細な情報の公表はわが国の安全保障、米軍の運用にも影響を与える」と述べ、運用上の安全は確保しつつ必要な情報を公表していると繰り返すにとどまりました。

 倉林氏は、個別事例の詳細を公表しないとした米国防総省の統一指針が情報公開の障害になっていると指摘。全国知事会も、原則として国内法を米軍にも適用させるよう求めていることを示し、「感染症対策こそ、国内法を米軍にも適用するよう踏み込むべきではないか。検査の必要な地域や住民に対しては積極的に検査し、国の実施責任を果たしてほしいという要望に応えるべきだ」と迫りました。


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林です。
 まず最初に、介護報酬のデイサービス、ショートステイのみなし上乗せ特例、これ通常国会最後の委員会でも取り上げた問題ではあるんですけれども、これ、利用者が同意すれば使っていない時間まで使ったこととして利用料を請求されるということになるということで、もうあちこちでいろんな声が上がってきております、事業所、利用者からですね。大臣は、感染症対策について利用者が恩恵を受けるものという説明があったわけですけれども、関係者から出ているのは、国が架空請求を推奨するのかと、こんな声さえ出ているんですね。
 そこで、確認したいんですけれども、利用実態のない介護報酬が請求できる、この法的根拠はどこにあるんでしょうか。

○政府参考人(土生栄二君) 御説明させていただきます。
 通所サービス事業所等につきましては、現在の状況の中でより感染症対策を徹底してサービス提供を行う必要がございまして、三密の回避の取組あるいは施設や送迎車の設備の消毒等、通常生じない感染症対策のための様々な手間が生じているという実態にあるわけでございます。
 先生御指摘の特例でございますけれども、こうした事業所における感染症対策で要する時間を評価するために、あくまで臨時的な措置として、一定のルールの下に、提供したサービス時間の区分に対応した報酬区分の二区分上位の報酬区分を算定する等の取扱いを可能とするということを事務連絡によりお示ししたものでございます。
 したがいまして、法的根拠という御質問でございますけれども、現行の介護保険法、それに基づく介護報酬を定める告示の解釈運用といたしまして今回の事態の下での臨時的な取扱いを示したものというふうに整理をいたしております。

○倉林明子君 いや、そもそも感染症対策というのは安全なサービス提供の前提だと、利用者の自己負担に帰すべきものではないと思うんですね。利用実態のないサービスの報酬、これ請求を可能にするということになりますと、やっぱり制度の根幹に関わってくる問題にもなると。今回の特例というのは期限の定めがないわけで、懸念の声が出ておりますのは、報酬改定を前にして、この報酬改定で固定化するということになったらえらいことだという危惧の念さえ出ているわけです。
 感染症対策は介護報酬とは切り離すべきであって、こういう特例についてはやっぱり撤回して、政府の責任で、コロナの特例で支援ということであれば介護事業者に減収補填、これを行うべきだと思うんですよ。これ、大臣、どうでしょう。

○国務大臣(加藤勝信君) 今、法的な話については局長から御答弁をさせていただきました。
 したがって、こうした対応を求めることによって利用者の安全、健康が守られる、利用者にもメリットがあるということで負担のお願いをさせていただいている。もちろん同意を受けての話であります。したがって、今般の特例適用に当たっては、引き続き、利用者あるいはケアマネの方々の御理解いただけるよう、必要な周知に努めていきたいと思っております。
 なお、これが恒久的な措置になるんじゃないかというお話がありましたが、これはあくまでも特例的な措置であるということは当然であります。

○倉林明子君 やっぱり、本当にこういうことを固定化されたらどうなるんだということで、非常に制度の根幹問題だという声は真摯に受け止めるべきだと思います。特例については一旦撤回を早期に検討、重ねて求めておきたいと思います。
 次に、私の地元でもあります京都の京丹後市で起こっている問題について、コロナの感染の拡大について伺いたいと思うんです。
 近畿で唯一の米軍基地でもあります京都府京丹後市の経ケ岬通信所、ここで軍属一名、新型コロナが感染した、七月二十六日でありました。それ以降、八月十八日までに、関係者二名を含めまして十五名の感染者が確認されております。米軍基地の感染が発覚するまでは京丹後市での感染者はゼロという地域でもありました。
 経ケ岬通信所の軍人軍属、これは他の地域と違いまして基地内に居住していない、市内に点在して、つまり住民と生活圏共にしているという特徴があるわけです。医療提供体制も、京都府北部、脆弱だと言っていいと思うんですね。実効ある感染拡大防止、これ待ったなしになっております。
 そこで、防衛省に確認をさせてください。
 八月四日、近畿中部防衛局長が京丹後市長に対して、軍人軍属の感染経路は全て把握していると、こう説明されております。また、八月七日に開催されました地元の住民に対して開かれております安全・安心連絡会議、ここで近畿中部防衛局は、米軍は軍人に関してはPCR検査を完了していると、こういう説明でありました。この説明の根拠は端的に何か、そして、陽性者に対して隔離保護、どのように具体的にやられているか、つかんでいるところ。

○政府参考人(青木健至君) お答え申し上げます。
 御指摘の在日米陸軍における新型コロナ感染症については、感染者の行動履歴、濃厚接触者等に係る情報を始め公衆衛生の確保に必要な情報について、日米の保健当局間で情報共有を図っているものと承知しています。また、防衛省といたしましても丹後広域振興局に職員を数名連絡員として派遣をしておりまして、丹後保健所と在日米軍との間のコミュニケーションが円滑に行われるよう、通訳支援を含む各種調整業務の支援を行っております。このような取組を含め、在日米軍や京都府等から得た情報を総合して、御指摘のありました安全・安心対策連絡会などの場で御説明を行っております。
 また、陽性者に対する隔離保護の措置でございますけれども、本件につきましては、米側は陽性が確認された者及び濃厚接触者に対し十四日間以上の自宅における隔離措置をとり、二回の新型コロナウイルス検査により陰性が確認されない限り隔離を解除しないなどの日本の一般的な基準と比べても厳しい基準により感染拡大の封じ込めに取り組んでいると承知しております。
 感染が判明した米軍関係者は現在自宅等にて隔離されており、その容体はおおむね軽症というふうに承知をしております。

○倉林明子君 今の説明でいいますと、今の説明にあったとおりで、四日、七日、それぞれ情報提供しているんですね。
 ところが、八月七日、ここでは軍属の感染が確認されております。十三日には軍人軍属、それぞれ感染も判明しております。つまり、全部把握しているという説明された後、さらに軍人に関してPCR完了したと言うた後からこれ発覚がありまして、こういうやり取りを踏まえると非常に、情報提供の在り方についてもなんですけれど、感染症対策が米軍でしっかり取られているのかということに対する懸念がこれ住民の間ですごく広がっているんです。
 どんなことが起こっているかというと、軍人軍属と生活圏共にしていますから、マスクをしないで買物をしているとか、集団で海水浴に軍人軍属と思われる人たちが来ている、一体どうなっているんだという声なんですよ。
 私、これ、更なる感染拡大防止というのは絶対必要だと思うんですが、軍人軍属、そしてその家族や、工事今やっていますので、工事関係者など日本人の関係者全員、これらのPCR検査というのを速やかに実施すべきだと思います。トータル含めて報告いただきたい。
 さらに、感染者数にとどまらず、情報が共有されていないということも明らかになってきていまして、来日時期、感染経路、行動履歴、隔離保護の実施状況、こういう必要な情報が保健所、関係自治体に共有される必要があるんですよ。ところが、そこでそごも起こっているんですね。
 こういう情報共有がないと私は新たな感染拡大につながりかねないというふうに思っているんですけれども、大臣、認識いかがでしょうか。まずは防衛省から。

○政府参考人(青木健至君) お答え申し上げます。
 米軍人につきましては、八月七日までに全員の検査を終了していると承知しております。また、米軍属につきましては、これまでに感染が確認された軍属と同じ勤務地や居住地に属する者については全員の検査が完了したと承知しております。米軍属は全員を対象に検査を実施しているところであり、軍属側と検査機関側のスケジュールが付いた者から順次実施をしている状況でございます。また、日本人従業員につきましては、全員の検査を行っております。また、地域住民につきましては、さらに丹後保健所では地域住民に対して順次PCR検査を行っており、在日米軍施設・区域に勤務する方や工事関係者などの検査を進めていると承知しております。
 防衛省としては、引き続き日米の保健当局間の緊密な協力、連携の下に更なる感染拡大防止に向けて必要な措置をとっていく、講じていく考えです。
 いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、引き続き、地方公共団体を始め地元の皆様の御不安を払拭するために迅速な情報提供が図られるよう米軍にも働きかけていくとともに、防衛省としても各種調整業務の支援に当たってまいりたいと思っております。

○国務大臣(加藤勝信君) 在日米軍関係者における新型コロナウイルス感染症の感染状況については、詳細な情報の公表は我が国の安全保障、米軍の運用にも影響が与えるおそれがあるとされておりますけれども、そうした中で、在日米軍においては、米軍の運用上の安全は確保しつつも可能な限り透明性を高めるという観点から、在日米軍において新たな新型コロナウイルス感染症の感染者が発生した場合、当該事案における感染者数の公表、また、各施設・区域ごとの現存感染者数等、定期的に公表をしているところでありまして、これは透明性と運用上の安全のバランスを保つとの米国国防省の指針の下、より一層の透明性を求めてきた地元の意向にも沿っているものではないかと考えております。加えて、在日米軍においては、事案の性質に応じて、感染者数だけでなく感染者の行動歴などを含めた情報を公表している例もあるというふうに承知をしております。
 御指摘の経ケ岬の通信所含めて、必ずしも十分な情報提供ができていないんではないかという指摘もあるように聞いてはおります。政府としても、これは主としては防衛省、外務省を経由してということになりますけれども、引き続き適切に情報が共有されるよう、今後とも米側に対して働きかけていかなければならないと考えております。

○倉林明子君 京都府も、情報共有についてはやっぱり不十分なところがあるということを認めているようです。
 私、渉外知事会ということで、米軍がある都道府県の知事たちが連続して要望も出されております。それは、やっぱり情報共有しっかりしてほしいということなんですね。情報をしっかり提供してほしいということなんです。
 ところが、日米合同委員会の合意というのは、元々あります二〇一三年に作られたもの、このときには情報共有を行うというふうに明記されている、それでも不十分なんだけど、されている。ところが、米国防総省は、個別事例の詳細を公表しない、こういう統一指針を新たに出している、これがまた障害になっていると。私は、感染拡大防止という観点から大臣に求めたいのは、こういう情報提供の障害にもこの指針なっているという知事会の指摘もあるので、統一指針の撤回というのを感染拡大防止という観点からやるべきだということが一つ。
 そして、もう一つ求めたいのは、日米地位協定が根っこにあるんですよね。そういう意味でいいますと、全国知事会が既に平成三十年七月の提言の中で国内法を原則として米軍にも適用させること、これ求めているんですね。感染症こそやっぱり米軍に対する適用、ここまで踏み込むべきではないかと思っているんですけれども、どうか。
 時間ありませんので、まとめて聞きます。
 私は今住民の不安の紹介しましたけれども、ここは観光業盛んなんですね。漁業もあります。こういう地域経済にも今回の感染が重大な影響を及ぼし始めています。そういう点でいいますと、検査の拡充については再々議論もありました。必要な地域、そして接触の不安を抱える住民に対しては積極的に調査を掛けていくと、そこで国の実施責任を果たしてほしいという要望も承っておりますので、答弁を求めたいと思います。

○国務大臣(加藤勝信君) かなり幅広いお話でもありましたので、御質問でもありますけれども、いずれにしても、新型コロナ感染症の感染拡大を図るためには、クラスターを早期に把握をし、積極的疫学調査を行い、感染源、濃厚接触者などを同定をして感染拡大を防止するための施策を実施するということが重要で、これは米軍も含めて同じことなんだろうと思います。
 在日米軍における新型コロナウイルス感染症については、公衆衛生上の観点から、日米合同委員会合意、先ほどお話がありました、に基づき、米軍施設・区域の医療機関と地元の保健所との間で、感染者の行動履歴の追跡等を含めて必要な情報共有を行うこととなっております。
 また、日本政府としても、国内における在日米軍関係者の感染者数や感染者の出た施設・区域などの必要な情報について、外務省を窓口としてその時々の状況について緊密に米国側から提供を受け、これを自治体とも共有をすべく努力をしております。
 七月二十九日には政府と在日米軍は共同プレスリリースを発出し、その中で、地方自治体や保健当局間を含め、日米間で緊密かつ迅速に情報共有を図ることの重要性を改めて確認をいたしました。これに加えて、在日米軍では、先ほど御説明がありましたけれども、十四日間の移動制限措置の義務付け等々の実施の対策を講じているものと承知をしております。
 厚労省としては、引き続き、自治体はもとより、関係者、在日米軍とも連携をしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に取り組んでいきたいというふうに考えております。

○倉林明子君 統一指針で情報提供にやっぱり後退している部分が出ているということでの撤回を求めました。
 京丹後市で起こっている事案というのは、米軍人軍属が震源地となって地域にこれ感染広げているという事案になっているということが深刻だと思っておりますので、周辺住民にまで検査対象を拡大して積極的な支援で不安も取り除く、感染拡大防止に取り組んでいただきたい、強く申し上げて、終わります。