倉林明子

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福祉職員賃金改善を 倉林氏 緊急な対応求める(2019/6/6 厚生労働委員会)

(資料があります)
(議事録は後日更新いたします)

 日本共産党の倉林明子議員は6日、参院厚生労働委員会で、10月からの消費税増税分を財源とする福祉事業所職員給与の「処遇改善」の要件が限定的で、事業所間、職員間の格差拡大につながることを示し、政府に緊急な対応を要求しました。

 倉林氏は、「処遇改善」の対象が、すでに職場環境の改善などの一定の要件を満たし、現行の介護職員の処遇改善加算を取得ずみの福祉事業所だけが対象で、しかも経験10年以上の福祉職員に限定されると指摘。厚労省の橋本泰宏障害保健福祉部長も、介護職員加算を未取得の事業所が全体の2割強に上ると認めました。

 倉林氏は、「加算が取れていない事業所の職員は対象外で、事業所間の賃金格差が広がることにつながる」と指摘。各事業所にも勤続年数や資格、職種による格差があるもとで、職員間に分断を持ち込み、事業所運営にも支障をきたす。さらに、経験10年以上を要件とする加算では、若い職員の賃金は上がらず、新規採用が難しいという現場最大の困難は解決できないとして、「配分は事業所の裁量にゆだねるべきだ」と主張しました。

 橋本氏は、「そこの事業所に勤め続ければ将来どのぐらい給与が上がるのか見通せるのは大変重要なことだ」などと、若年層の処遇改善に後ろ向きな姿勢を示しました。

 倉林氏は、2018年度の介護報酬改定が事業所の大幅減収を招き、人件費削減を余儀なくされた実態を示し、「緊急に実態を調査し、報酬の引き上げを」と強く要求しました。


新しい経済政策パッケージに基づく処遇改善加算の取得要件及び加算率の設定方法


事業所内配分ルールのイメージ


議事録を読む(未定稿)
(この会議録は未定稿です)

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子でございます。
大臣は、障害者雇用水増し問題の検証については、労政審の障害者雇用分科会で当事者にも議論をしてもらっているんだということを繰り返し答弁、説明されてきたわけですね。
しかし、六月四日の参考人質疑で、政府による一大偽装だと、こう厳しく批判された斎藤参考人。これにとどまらず、労政審の障害者雇用分科会の委員でもある公益代表中川参考人は、当事者に十分意見を聞かなかったのは問題というふうにおっしゃって、限りなく黒に近いグレーだと検証結果批判されておりました。さらに、当事者でもあります阿部参考人は、検証はまだ済んでいないと明言されましたし、同じく当事者でもあります竹下参考人は、検証報告書を見て非常に残念であり、不満足な思いだとおっしゃったわけですね。
これ、後から紹介した三人は、いずれも労政審の障害者雇用分科会のメンバーの方々ですよ。参考人として来られたこうした分科会メンバー、委員の皆さんの意見聞いていますと、検証結果について到底納得されているというふうには思えなかった。
そこで、改めて大臣に聞きたいと思います。これでもですよ、当事者の皆さんに納得してもらったというふうにおっしゃれますか、いかがでしょう。

○国務大臣(根本匠君) 参考人の皆様の御意見は重く受け止めたいと思います。
検証委員会、これは私、何度も答弁しておりますが、これは福岡高検の検事長も務められた松井委員長をトップに弁護士等の有識者から構成されて、事案の実態と原因、これを明らかにするために書面調査やヒアリング調査を基に専門的な知見から多角的に分析を行っていただきました。
その結果、報告書においては、厚生労働省職業安定局の問題と各行政機関側の問題とが相まって、大規模な不適切計上が長年にわたって継続するに至ったものと言わざるを得ないという厳しい指摘がなされております。
また、各行政機関側の問題について、組織として障害者雇用に対する意識が低く、ガバナンスが著しく欠如している中で、担当者が法定雇用率を達成させようとする余り、恣意的に解釈された基準により、例えば既存職員の中から対象障害者を選定するなどの不適切な実務慣行を継続させてきたことにあるという基本的な構図を明らかにしていただいておりまして、その意味では、検証委員会はその役割を果たしていただいたと考えております。

○倉林明子君 いや、そういう答弁を繰り返しされているんだけれども、当事者の皆さんは納得されていないんじゃないかということについて答弁されていないんですよ。重く受け止めたいとはおっしゃった。でも、納得されていないという現実をしっかり受け止めるべきだというふうに思うんですよ。何でこんなことが起こったのかということが解明されていないということに対する憤りの声だったと私は思いました。
今回の採用に当たって、じゃ、この検証結果はどう生かされているのかということも問われると思うわけです。その点でも、参考人から貴重な御意見あったと思うんです。聴覚障害当事者でもある石野参考人は、今回の採用試験で補聴器のメーカーまで聞かれたと。何でそんな情報が必要なんだということですよね。さらに、合理的配慮について、当然あると思われていた手話通訳は選択項目にもなかったという批判がありました。そして、斎藤参考人からは、国税庁に採用された障害当事者の支援の継続、これボランティアでもやりたいということで申し入れたんだけれども、これ断られたというわけです。
合理的配慮についての理解も、そしてその合理的配慮の実施も、極めて不十分になっているというふうに私思わざるを得ないと思う。何でこんなことになっているんでしょうか。

○政府参考人(土屋喜久君) お答え申し上げます。
公務員の場合の、国家公務員の場合の合理的配慮につきましては、国家公務員法の二十七条、平等取扱いの原則及び七十一条、能率の根本基準に基づいて対応が図られているところでございまして、各府省においては、関係閣僚会議で策定をいたしました基本方針、それから人事院が定めた国家公務員の合理的配慮に関する指針に基づいて、合理的配慮の提供というのはきちんとやっていくというのが基本でございます。
こういった合理的配慮に関しては、民間企業との関係では障害者雇用促進法に基づいて民間企業の場合御対応いただいているわけで、その根拠規定が異なるという面はありますけど、基本的な考え方は同様でございますので、そういう中で、基本的にはその当事者の方と国の機関との話合いの中で、個々の事情に応じて適切に判断されるということが重要であるというふうに考えている次第でございます。

○倉林明子君 それは当たり前のことなのに、なぜできていないのかと。参考人の話聞いていたでしょう、局長もね。何でこんなことになったのかと思いませんでしたか。そして、なぜ解明が必要なのかということについても考えませんでしたか。そこ聞いているんですよ。どうぞ。

○政府参考人(土屋喜久君) 私どもとしても、お話があったようなことについて、実際それが起きていたということについては大変残念なことだと思いますし、そこは今申し上げたような考え方、あるいは具体的な取組というものが、現場も含めて徹底していなかった面があるのではないかというふうに思っております。
私ども、制度を所管する立場で、先ほど申し上げたように、国家公務員の部分は人事院が担当している部分もございますが、人事院とも十分に協議、協力をして、各省に対してしっかりした対応を促していきたいというふうに思います。

○倉林明子君 私、やっぱり障害者に対する無理解、これが厳然としてやっぱり存在しているということじゃないかというふうに思うんです。斎藤参考人は、事件の全容解明について、一分たりとも解明されていない、厳しく言われておりました。竹下参考人は、検証結果について三つ挙げられて、一つは、障害者雇用の理解があったのか、検証委員会の検証結果を見てですよ、障害者雇用の理解のある人がやった検証なのかということですね。障害を理解して問題を整理したのかという問題提起されております。二つ目には、今後に汚点を残してはならないと、これで終わったことにしてほしくないとおっしゃったし、三つ目として、障害者に対する無理解、共に働く意欲を持っていなかった、これ最大の問題だというふうに指摘されているわけですよ。
そこで、大臣、参考人の意見を真摯にこれ受け止めると、重く受け止めるとさっきおっしゃった。そうおっしゃるのであれば、改めて当事者参加の下での検証のやり直し、これ避けて通ってはいけないと思う。どうでしょうか。

○国務大臣(根本匠君) 先ほども申し上げましたが、検証委員会は今般の事案の実態や原因を明らかにするものであることから、専門的な知見を踏まえた検証を行うことができる弁護士、行政監察についての有識者、そして障害者雇用施策に造詣の深い有識者に構成員になっていただき、多角的に分析を行っていただきました。その結果として、今回の事案の基本的な構図を明らかにしていただいております。
一方で、その意味では、なぜこういうことが起こったか、まあ実態を含めて、そこは明らかにしていただいたと思っております。
そして、そこからこれからの施策に我々組み立てていったわけですが、今後の施策については、障害者代表も参画する労働政策審議会障害者雇用分科会において御議論いただくなど、障害当事者の方を含めて様々な方の御意見を踏まえながら検討して今回の法案になったわけであります。その意味では、これからの施策についても障害者の皆様の意見を幅広く踏まえながら対応していきたいと思っております。

○倉林明子君 いや、いつから始まったのかさえ解明できていないんじゃないかという指摘が午前中もありました。
なぜこんなことが起こったのかということについては、全く、障害当事者の皆さん、委員の皆さんがですよ、雇用分科会の委員の皆さんが声そろえて言うてはるわけですよ。だから、検証結果は専門家にしてもらったということは耳にたこができるほど聞きました。でも、それでも不十分だという意見をしっかり踏まえるならば、私は、改めての当事者入れた事件の全面検証ということをやり直すようにこれは重ねて求めたい、今後の障害者雇用政策に重大な影響をもたらすということも含めて指摘をしておきたいというふうに思います。強く強く求めておきます。
次に質問したいのは、福祉就労の現場の問題なんですけれども、今いろんな声がありまして、混乱をもたらしている一つが、職員の処遇改善加算についてであります。
これ、消費税、十月からの増税分を財源として行うとしているもので、介護職員と同じように福祉事業所の職員処遇改善を実施するものということで伺っております。これも介護と同様に対象となる経験十年以上の福祉職員は一体これ何人いらっしゃるのか、そして、対象者全ての職員が月額八万円の賃上げとなるのか。これ、いろんな誤解も広がっていると思っているので、改めて確認させていただきたい。

○政府参考人(橋本泰宏君) 平成二十九年の十二月八日に閣議決定されました新しい経済政策パッケージにおきまして、介護人材確保のための取組をより一層進めるために、経験、技能のある職員に重点化を図りながら、介護職員の更なる処遇改善を進めること、さらに、ほかの介護職員などの処遇改善ができるよう柔軟な運用を認めることとされております。障害福祉人材においても、介護人材と同様の処遇改善を行うこととされているところでございます。
今回の処遇改善に係る予算措置といたしまして、介護人材では勤続十年以上の介護福祉士を算定根拠としているわけでございますが、障害福祉人材におきましては、職種が多様であることから、介護福祉士に加えまして社会福祉士等を含めた八職種で勤続十年以上の者を算定根拠としておりまして、その人数は約六万人というふうに推計をいたしております。
各事業所に対しましては、障害福祉サービス種類ごとに設定された加算率を各事業所の障害福祉サービスと報酬に掛け算をして、それで支給するということになっております。それで、加算が支給された事業所における配分ルールを設けております。配分ルールの範囲の中で、事業所の裁量によりまして賃金改善を行うこととしておりますので、各事業所における職員への賃金改善額というのは一律ではございません。したがいまして、勤続十年以上の介護福祉士等が一律に月額八万円の処遇改善となるわけではございません。
なお、この配分ルール、非常にいろいろございますので、その中で雑駁なことだけ申し上げますと、この各事業所の職員を三つのグループに分けておりますので……(発言する者あり)はい。
じゃ、その資料の中を御覧いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○倉林明子君 だから、財源の根拠として、十年以上の八職種の職員六万人で財源を確保するという話で、配分はまた違うということなので、月額そっくり八万円上がるという人は、ルールの中にある程度出るかもしれないけれども、全員ではないということを確認できると思うんですね。
そこで、資料一の加算の取得要件、加算率の設定を記載したものを一枚目に入れています。
これ見ますと、結局、既に現行の福祉・介護職員の処遇改善加算を取得している、これが前提、大前提の要件となるわけですけれども、そもそも加算を取得していないという福祉事業所というのは、つまり今回の加算の対象にならない事業所はどれだけあるか。

○政府参考人(橋本泰宏君) 今御指摘いただきましたように、今般の障害福祉人材の処遇改善加算の取得に当たりましては、現行の処遇改善加算ⅠからⅢまでのいずれかを取得していることを要件の一つとしております。
これらの加算を取得している事業所の割合が今年の二月分のサービスの提供分で見ますと約七八・四%でございますので、取得をしていないということでいいますと二割強ということになろうかと思います。

○倉林明子君 だから、そもそも加算が取れていない事業所というのは今回対象外になるわけですね。これ、事業所間の賃金格差ということでいうと広がるということにもつながるものだというのは指摘します。
同時に、事業所内の配分ルール、これが二枚目の資料で入れているものです。
これ見てみますと、勤続年数、資格の有無、職種によって、これ、三つの選択パターンはあるんだけれども、実は、これ真ん中見てもらったら分かりやすいと思うんだけれども、他の障害福祉人材ということで、経験十年とかいう以外の福祉職、つまり若い職員のところを財源回してもいいんだけれども、賃上げは十年以上の人の半分でないとあかんよと、こういう要件まで課されているんですね。これ、職種によって配分に格差を生むという設定になっております。
これ、職員間の溝をつくって格差生むようなことにならないかという懸念も出ているということは紹介したいし、加算をこれどのように配分するのかというのは事業所運営にも関わることですので、これは裁量に委ねるべきじゃないかという声、たくさん聞いています。どうですか。

○政府参考人(橋本泰宏君) 今回の処遇改善は、長期にわたって雇用していただく、そして離職を防止する、そういった観点から人材確保の取組を一層進めるために、経験、技能のある障害福祉人材に重点化を図りつつ、その中でできる限り柔軟な運営を認めるということでございます。
人材の確保につきましてニーズは様々でございますが、今若い方々のことをおっしゃいましたけれども、障害福祉サービスの事業所で働いている若い方々にとりましては、目の前の、差し当たり自分が今すぐどのくらい給料がもらえるのかということももちろん大事でございますけれども、同時に、自分はそこの事業所に勤め続けていれば将来どのくらいまで給料が上がるのか、あるいはどのようなキャリア形成を見通せるのかということも大変重要なことだというふうに思っております。
そういったニーズも酌み取りながら、各事業所においてしっかりとめり張りを付けた配分をしていただきたいと考えております。

○倉林明子君 いや、めり張り付けるということを否定するものじゃないんだけれども、それは事業所の経営戦略といいますか、運営方針にも沿って自由にできるようにしてほしいという声ですので、これはこれとして受け止めていただきたい。これはもうたががはまった賃金配分しかできませんので、そこは問題だということです。
そして、若い人、将来に希望が持てる賃金を示せるという、それはメリットもあるでしょう。しかし、今々、事業所が困難何に陥っているかというと、賃金が安過ぎて新規採用が応募しても来ないということですよ。だから、若い人のところにもやっぱり賃金上げられるような、せっかくこれ財源配分するというのに、若い人のところは未来を見ろと、今は辛抱せえということになるんです。そこは強く指摘をしておきたいと思います。
さらに、事業所運営に大きな影響を与えているのが、実は一八年度の報酬改定であります。多額の減収を余儀なくされて人件費を削らざるを得ない、こういうお話も相次いで伺っております。私、重ねて求めてまいりましたけれども、緊急に実態を調査して、報酬の引上げ、これを行うべきだと思う。どうでしょうか。

○政府参考人(橋本泰宏君) 平成三十年の報酬改定についていろいろな議論があるということは承知いたしております。
その中におきましては、例えば就労継続支援B型などにつきましては、社会保障審議会の障害者部会の報告書の中で、就労継続支援B型については高工賃を実現している事業所を適切に評価するなどのめり張りを付けるべきである、こういった御意見をいただいたことなども踏まえて、事業所が利用者に支払う平均工賃額に応じた基本報酬の設定としたということでございます。
それに加えましても、私どもといたしましては、こういったB型事業所を始めとするそれぞれの事業所に対しまして様々指導を行いますとともに、工賃の向上に向けた支援なども併せて行っているところでございます。
次の二〇二一年度の報酬改定に当たりましては、今回の改定後の平均収支差率など、事業所の経営状況につきましては必要な調査を通じて把握をいたしまして、その上で報酬の在り方についてまた改めて議論させていただきたいと考えております。

○倉林明子君 就労、今、Bの話ありましたけれども、これ、高工賃達成してきた大きな要素になったのは、目標工賃達成加算があったからなんですよ。これが使えなくなったということで、この影響をすごく聞いているんです。結局どうなったかといったら、ボーナスを削るしかなかったと、こういう話聞いているんですよ。
だから、賃金のその今回の加算について、柔軟に使えるようにするということと同時に、がっと底上げできるような報酬改定が必要だと求めて、終わります。