倉林明子

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雇用保険手続き マイナンバーなしで受理確認 / 介護「みなし指定」更新は 参院厚労委 倉林氏が公表求める(厚生労働委員会)

(資料があります)

 日本共産党の倉林明子議員は3日の参院厚生労働委員会で、雇用保険の手続きにマイナンバー記載を強制するかのようなハローワーク資料を取り上げ、マイナンバー記載がなくても届出が受理されることを確認しました。
 
 倉林氏は、ハローワークのリーフレットに雇用保険手続きでマイナンバー届出を「義務」「必要」と書いていることを指摘し、マイナンバー不記載が違法になるのかただしました。
 小川誠職業安定局長は「失業給付受給状況について他の行政機関からマイナンバーを介した情報照会ができない。」と説明。倉林氏は、「マイナンバーがなければ受理しないという規定ではない。利便性だけの問題だ」と指摘しました。
 
 倉林氏は、リーフにマイナンバー記載がないと「返戻します」などと書かれてあり、「マイナンバー集めのために手続きができなくなれば本末転倒だ」と批判。マイナンバー記載がなくても受理を拒否しないよう現場に周知徹底を求めました。
 加藤勝信厚労相は、「(労働者)本人が届出を行わなければ、事業主に強制できない。周知しているが追加的に指示する」と答えました。
 
 倉林氏は、「国民は、利便性より情報流出に不安を感じている。国民のプライバシーを危険にさらすマイナンバー利用拡大はやめるべきだ」と強調しました。

 


 日本共産党の倉林明子議員は3日の参院厚生労働委員会で、介護保険の軽度サービスの市町村移行から1年となり、3月31日で介護事業者の「みなし指定」期限が切れたことから、更新状況を公表するよう求めました。

 介護保険は軽度の要支援1、2の訪問・通所介護を市町村にゆだねる総合事業を昨年4月から本格実施し、自治体は介護サービスを提供する事業者を「みなし指定」しました。財政の厳しい自治体では報酬が移行前より少なくなり、介護最大手のニチイ学館は全国約1400の介護拠点のうち約340カ所で請負をやめたと報じられています。

 倉林氏は「みなし指定が更新されなければ利用者のサービスが確保できない」として、更新事務の状況について報告を求めました。厚労省の浜谷浩樹老健局長は回答が遅れている自治体があるとし、「できる限り早期に回答を求めている」と答弁。委員会後の理事懇で10日に公表することを明らかにしました。

 倉林氏は「みなし指定にとどまらず、必要なサービスを利用できているか、総合事業全体の検証が必要だ」として、「低い報酬を設定せざるを得ない仕組みに最大の問題がある」と指摘しました。加藤勝信厚労相は、サービス単価、利用者など総合事業の実施状況を調査していることを明らかにしました。


 見直し前のリーフレット(雇用保険手続の際には必ずマイナンバーの届出をお願いします)


見直し後のリーフレット(雇用保険手続の際には必ずマイナンバーの届出をお願いします)


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 質問に入ります前に一言申し上げたいと思います。
 東京労働局長が、記者会見でマスコミに対して、是正勧告してあげてもいいんだけどと。とんでもない発言だと思うんですね。撤回したということだけれども、是正勧告の公表を局長の一存でできるかというような発言であって、これ、報道機関に対する恫喝なんですよね。私は、言語道断だと、猛省を促したいと思います。引き続き、これについても議論は改めてやりたいと思います。
 そこで、今日の質問ですけれども、雇用保険のマイナンバーについて聞きたいと思います。
 個人情報の流出に今国民の不安が広がっているわけです。報道でも、昨年公表された流出したおそれがある個人情報、これ三百八万件で、被害額も過去最高で百七十六億円と、前年の二倍になっているという記事ございました。マイナンバーについて、雇用保険ではこれまで記載がなくても受理されてまいりました。これが、記載は義務だということで受理されないというケースが相次いでいるという報告、上がってきております。
 そこで資料一を付けておりますけれども、これ、ハローワークで当初配布されていたチラシで、黄色いアンダーラインはうちで引いたものですけれども、これ、真ん中の辺りですね、赤字で線が引いてあるところですけれども、マイナンバーがない限り届出の受理はしないというふうに受け取れる書きぶりだと思うんですね。その下のところも線引いておきましたが、これ、マイナンバーの不記載っていうものがどんな法令違反に当たるのか、そしてまた、社会保険その他の制度の運用上どんな支障を来すのか、御説明ください。簡潔にお願いします。

○政府参考人(小川誠君) お答え申し上げます。
 事業主等は、雇用保険法第七条及び第八十二条、さらに雇用保険法施行規則等の各規定に基づき、被保険者資格取得届・資格喪失届、雇用継続給付の申請等の手続を公共職業安定所に対して行うこととされております。また、その際の様式についても雇用保険法施行規則で定められており、これらの様式にマイナンバーが届出項目と定められております。雇用保険手続のマイナンバーの不記載は、これらの手続ごとの条文を根拠として届出等の書類の記載の不備として取り扱うものでございます。
 また、雇用保険手続で必要なマイナンバーが不記載である場合には、例えば、失業給付等の受給状況について他の行政機関からマイナンバーを介した情報照会がなされてもハローワークが対応できず、他の行政機関に本人に対する確認など追加的な事務を発生させることになります。さらに、本人に対してもマイナンバーによる情報連携が行われていれば不要であったはずの添付書類を求めることになり、処理が遅延することが想定されるところでございます。
 以上でございます。

○倉林明子君 これは、マイナンバーの記載がない限り届出を受理しないという規定ではないですよね。
 つまり、これ、抗議や申入れも相当ありまして、変更しているんですね、チラシも。この変更された後のチラシというのが資料の二枚目ということになっています。提出の根拠は省令だというふうに明記してありますし、社会保障制度等の運用上の支障については記載が消えております。そのとおりなんですよ。利便性だけの問題なんですね。連携によって生まれる利便性が受けられないということなんですよ。そういうこともあって消したと思うんですね。
 しかし、この二枚目のチラシを見ていただきますと、このアンダーライン引いています上の赤い字ですが、これ返戻しますのでということで明記、強調されている表現になっているんです。これ、一枚目のところから見ても、返戻する場合がありますという記載が、返戻しますというふうに強調されているんですね。これ、記載がないと全て返戻するという扱いにしているんでしょうか、大臣。

○国務大臣(加藤勝信君) 今、ちょっと済みません、どっちが一枚目で二枚目かちょっと確認をしておりましたので、十分ちょっと質問を取れなかったんですが、この一枚目が前のやつ、二枚目が現在使わせていただているやつと、こういうことであるというふうに思います。
 これについては、マイナンバーが記載事項となっている届出等であるにもかかわらずマイナンバーの記載がないまま提出された場合には、原則届出等の内容に不備があるものとして返戻するということをここで述べさせていただいておりますが、しかしながら、本人がマイナンバーを届けていないなどの場合については当該届出等を受理することとして差し支えないという、そうした取扱いにしているところでございます。

○倉林明子君 いや、そもそも、マイナンバーを集めるために返戻をし続けるなんということがありますと、本来の資格の取得とか喪失とか必要な届けができなくなるということですから、これは極めて本末転倒だと思うわけです。
 マイナンバー制度の導入に向けて、これ事業主に既に従前から周知しているという中身はどうかということで改めて確認してみますと、QアンドAで明確に答えているんですね。従業員から個人番号の提供を拒否された場合の取扱いについて、回答はこうです。個人番号の記載がない場合でも受理しますと、こうはっきり書いているんですよ。マイナンバーの記載がないことだけを理由にして届けは受理しないと、こんなことないように現場でしっかり周知徹底が必要だと思いますが、大臣、いかがでしょう。

○国務大臣(加藤勝信君) 先ほどのような取扱いということで、改めて周知もさせていただいているところでございます。
 ただ、いずれにしても、マイナンバー、記載があれば、その記載をされた、これでいえば雇用保険の被保険者の方にとっては様々な利便ということも出てくるわけでありますから、できるだけこれをお書きをいただいておくということは御本人にとっても必要だというふうにも思います。
 しかし、その上において、マイナンバーの届出を本人が行わないんだという場合については、これは事業主の方から強制的にどうのということはできるわけでもありません。したがって、そしてまた、それによって資格取得が今委員のあった御指摘のように遅れるということになっても、それは必ずしもいいことではないというふうに思いますので、先ほど申し上げたような対応をさせていただいているということを追加的に指示をしているところでもございますし、また、ホームページ等の改定を通じて幅広く事業主等に対しても周知をしていきたいというふうに思っております。

○倉林明子君 現時点でも機械的な返戻ということは起こっております。周知徹底ということで御答弁いただきましたので、本当に本末転倒なような事態にならないように、現場際での周知徹底ということをしっかりやっていただきたいというふうに思います。
 国民は、利便性、今御説明あったような利便性についての期待や利用したいということよりも、情報流出に対する懸念や不安というのがすごく広がっているわけですね。そもそも、国民のプライバシーを危険にさらすと我々マイナンバーについては反対をしてまいりましたけれども、こういう更に情報連携で利用を拡大していくというようなやり方についてはやめるべきだということを重ねて指摘をしておきたいというふうに思います。
 そこで、次に介護保険の総合事業について質問したいと思います。
 介護保険の総合事業では最大大手のニチイ学館などが各地で撤退することを決めておりまして、引継ぎ先を探すというようなことで大変市町村も苦労しているという話を伺っております。
 総合事業の全面実施から三末で一年ということになるわけですが、総合事業を担う事業所、このみなし指定を三月末で期限というふうになったわけで、更新されないと利用者のサービスが確保できないというおそれが生じてくるわけです。もちろん、義務掛けていますけれども。
 そこで、厚労省は今年の一月にこの更新事務の状況について都道府県に報告を求めております。そこで確認したいと思うんですけれども、二月二十日時点で一旦中間的な報告をいただいておりますけれども、現時点でどんな状況になっているのか、具体的に御説明を求めたい。

○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、一部の大手事業者等が総合事業のサービス事業を廃止するという動きがありますので、事業者の動向等につきまして、関係市町村に対しまして照会を行っております。
 この照会に対する回答でございますけれども、直近の状況について今調べておりまして、回答が遅れている市町村もありますことから、現在、引き続き回収、集計中でございまして、できる限り早期に取りまとめたいと考えております。
 厚生労働省といたしましては、市町村に対しまして事業者が適切な対応を取るよう指導を徹底いたしますとともに、都道府県に対しまして総合事業が円滑に実施されるよう市町村に対する支援を依頼したところでございます。
 引き続き、利用者が必要とするサービスを継続的に受けられるよう必要な対応を講じてまいりたいというふうに考えております。
   〔委員長退席、理事石田昌宏君着席〕

○倉林明子君 これは、うちの事務所からも再三この結果についての報告求めてまいりました。大体、締切り一月十五日だったんじゃないですか。いまだまとまっていないというのは、まとめる気がないんと違うかと言わんとあかんと思うんですよ。結果について、二月二十日時点ではまとめているんですよ。三月末がこれ、みなし指定業者が期限になっているんでしょう。本気でつかむ気あるんやったら、とうに出さなあかん数やと思いますよ。
 改めて、現時点での数をしっかり提出求めたいと思う。

○政府参考人(浜谷浩樹君) 御指摘のとおり、できる限り早期に事実関係、現状を把握する必要があると考えておりまして、関係市町村に対しまして日々回答を求めているところでございます。できる限り早期に取りまとめ、集計したいというふうに考えております。

○倉林明子君 調査の目的からいっても、三月末時点で一定の集約をするというのは当然のことだと思うんですよ。
 現時点でも出していないところもあるというようなことでしたけれども、現時点でまとめたものとして直ちに提出を求めたいと思います。お諮りください。

○理事(石田昌宏君) 後刻理事会で協議します。

○倉林明子君 私、問題は、この利用者が継続したサービスが受けられているのかどうかということなんですよね。介護保険をつくった責任者として、国はそこをしっかりつかむ必要があるというふうに思うわけです。
 引き継ぐ事業者が見付からないで難民になったとか、引き継いだことで利用を停止したとか、こういう影響というのは実際把握しているんですか。

○政府参考人(浜谷浩樹君) 御指摘のような、引継ぎが受けられず利用が停止した方がいらっしゃるかどうかも含めて現在調査をいたしております。できる限り早期に取りまとめたいというふうに考えておりますし、都道府県、市町村を通じまして事業者に対する指導を引き続き徹底してまいりたいというふうに考えております。

○倉林明子君 そういう人が出たらえらいことやというふうに思いを寄せるのが厚労の担当やということを言うておきたいと思うんですね。
 代わりが確保できたらいいというだけでも済まない問題なんです。信頼関係築いてきたヘルパーが替わる、サービスの内容が変わる、こういうことになると、高齢者にとって大変な打撃になるわけです。利用抑制、重度化にもつながるという危険があるんですよ。そういうことを本当に真剣に心配しないと駄目だと思います。
 総合事業への移行がこれ順調に進んでいるところもあるというふうにお考えだと思う。私、地元の京都市でも、京都市は言うんですよ、順調やと。ところが、現場では深刻な事態、進行しております。
 ボランティア団体にこれお話お聞きしますと、総合事業開始以来、ケアマネジャーからボランティア団体にもう依頼が相当数増えてきていると言うんです。結局、そういう中には介護保険で使えるという人も増えてきていると。なぜかというと、訪問介護を頼んでも、どこ頼んでも断られる、こういう事例があって、ボランティア団体にもう至急頼むというようなことになってきていると言うんですね。
 私、総合事業というのはこれ報酬が低いんですよね。新規受入れの拒否というのは、もう移行直後からこれ起こってきていたんですね。加えて深刻になっているのが、ヘルパーが確保できないという事態が私の地元である京都市でも相当広がってきております。
 私、みなし指定にとどまらずに、利用者が必要なサービスを本当に利用できているのかどうか、この総合事業全体の検証が必要だと考えております。どうでしょう。

○国務大臣(加藤勝信君) 総合事業については、昨年四月から全ての市町村で実施をされるということになっております。
 その実施状況について今調査を行い、具体的には総合事業を実施する事業所の数やサービス単価などの実施体制に関する状況、総合事業の利用者の状況、総合事業等に関する市町村の取組状況等について調査を進めているところでございます。
 先ほどの件も一緒なんだろうと思いますが、早く結果をというお話もあるんだろうと思っております。できるだけ早期に取りまとめて発表させていただきたいというふうに思っております。
 また、こうした調査や市町村等の御意見も踏まえながら、引き続き、市町村の実情に応じて支援策等を講じるよう、必要な検討も併せて行っていきたいと考えております。

○倉林明子君 みなし事業者のところは直ちに出すというのは当たり前で、それは求めたところなんです。
 一年たつということで、お願いしたいと思ったのは、総合事業全体が本当に必要なサービスを確保し提供できるということになっているのかどうかと。もう市町村格差すごく出てきていると。そういう意味でも、ばらつき、住んでいるところで受けられるサービス変わっているという状況もあるわけですよ。だから、全体の検証が必要じゃないかという質問だったんですけれど、そこはどうだったんでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) ということで今調査を進めておりますので、それをできるだけ早くに取りまとめ、公表するようにしていきたいと考えております。

○倉林明子君 要支援で始めたこの総合事業への移行ということですけれども、引き続き要介護の一、二にも対象を拡大していこうということは明確に打ち出されているわけですよね。私、介護難民が出るんじゃないかというような現場からの指摘というのは非常に重いと思っているんです。このままやったら保険あって介護なしというのが現実のものになっていくんじゃないかという御懸念ですね。
 市町村は、これ総合事業で低い報酬を設定せざるを得ないという仕組みになっているわけで、ここに最大の問題があると私は思っているんですけれども、その認識をお聞かせください。
   〔理事石田昌宏君退席、委員長着席〕

○国務大臣(加藤勝信君) 総合事業は、市町村が地域の実情に応じて多様なサービスを行うということでありまして、運営基準の緩和、多様な主体の活用など、市町村による柔軟なサービス実施を可能にしようということで取り組んでいるところでございます。
 今、サービス単価の話がございました。サービスの内容を踏まえて市町村がそれぞれ設定することが可能とされておりまして、厚労省としても、市町村に対してサービス事業者と十分に協議していただくよう周知を図っているところでございます。
 また、認知機能の低下等により日常生活に支障があるような場合など、専門的なサービスを必要とする方には従前の予防給付に相当するサービスを提供できることとしており、その単価は従来の予防給付と同様の単価で設定がなされているところでございます。
 いずれにしても、市町村に対して、適切なサービス単価の設定、また、利用者の状況を適切に分析し、利用者の予防、自立支援にとって必要なサービスを組み合わせること、また、地域資源を更に発掘して活用していくこと、こういったことをお願いをしておりまして、市町村の抱える中で、課題それぞれについて私どもとしても検討を行い、引き続き必要な、また適切な支援策を講じていきたいと考えております。

○倉林明子君 本当に十分な検証が必要だというふうに思います。保険あって介護が使えないと、そういう事態が広がっているんじゃないかということについてもしっかり目を向けて、検証作業について早急に進めていただきたい、そのことを強く求めまして、今日は終わります。