倉林明子

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介護職員処遇改善を/ 生活援助の切り捨て許さない(厚生労働委員会)

(資料があります)

 日本共産党の倉林明子議員は23日の参院厚生労働委員会で、介護職員の処遇を抜本的に改善するよう求めました。

 倉林氏は、安倍総理が施政方針演説(1月22日)で「来年秋からリーダー級の職員の皆さんを対象に、更に、8万円相当の給与増を行えるような処遇改善を実現することで、他産業との賃金格差をなくしていく」と明言していることを示し、「賃上げの対象は介護職員だけでも183万人で、1人当たりの月額平均は9千円にも満たない。格差解消にはほど遠い水準だ」と指摘。08年からの9年間で、介護職員と全産業との賃金格差はわずか1.5万円しか解消されていないことを紹介し、「事業者が賃上げに確実にまわせるよう全額国費で交付金として抜本的に上積みすべき」と求めました。

 また、介護報酬改定の訪問介護の生活援助サービスで、利用回数が多いケアプラン(介護計画)は届け出を義務化する仕組みが盛り込まれることについて、「配食サービスやボランティアによるゴミ出しなどの地域資源を活用することで、生活援助回数を減らすよう是正を求めることが可能になるのではないか」と指摘したことについて、濱谷浩樹老健局長は否定しませんでした。


介護人材の賃金比較(一般労働者、男女計)


要介護度別生活援助利用回数比較


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 厚生労働委員会、最初の質問ということにもなりますので、質問に先立って一言申し上げておきたいと思います。
 森友学園公文書改ざん、これは行政府が立法府を冒涜したと、もう言語道断の事件だというふうに思うんですね。国民主権の原則、そして議会制民主主義、これを破壊するものであって断じて許されないということであります。そこで、改めて厚労省もこの事件を重く受け止めてしっかり今後の審議に臨んでいただきたい。強く申し上げておきたいと思います。
 私の方からは、介護保険や職員処遇に関わって質問したいと思います。
 総理は施政方針演説で、介護職員の人材確保に向けて処遇改善を進めると、来年秋からリーダー級の職員の皆さんを対象に更に八万円相当の給与増を行えるような処遇改善を実現することで他産業との賃金格差をなくしていくと、はっきりおっしゃったんですね。
 現場では十年以上の経験のある介護福祉士だけが月額八万円の賃上げが実現するんじゃないか、こんな理解さえ広がっているんですけれども、具体的に来年秋からの処遇改善はどうなっていくのか、御説明ください。

○国務大臣(加藤勝信君) 介護人材の処遇改善については、これまでも財源を確保して逐次実施をしてきたわけであります。今年度も臨時に介護報酬改定を行い、月額一万円相当の処遇改善を実施をいたしました。
 さらに、今委員からお話がありました、昨年十二月に閣議決定した新しい経済政策パッケージに基づきまして二〇一九年十月から実施をすることにしておりますけれども、介護サービス事業所における勤続年数十年以上の介護福祉士について月額平均八万円相当の処遇改善を行うことを、これを算定根拠に、公費一千億円程度を投じ、処遇改善を行うということでありまして、その前提においては、他の介護職員などの処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認めることということになっております。具体的な内容については、今後、社会保障審議会介護給付費分科会における議論を踏まえて検討していくことにしております。

○倉林明子君 今おっしゃったように、算定根拠ということなんですよね。これ国費ベースで見ると、その算定根拠で入れるのは、公費一千億ということは国費五百億円という額になるわけですね。賃上げの対象は介護職員全体の賃上げに回してもええということになりますと、これ全体で百八十三万人という数になりますから、一人当たりの月額平均ということにならせば九千円と、達しない額になるんじゃないかと思うんですね。
 格差解消、総理は明言されたんだけれども、私は程遠い水準じゃないかと思いますけど、いかがでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) 今申し上げた公費一千億ですね。

○倉林明子君 国費五百億。

○国務大臣(加藤勝信君) 失礼、国費で五百、公費で一千億、トータルでいうと二千億という規模になるわけでありますけれども、これ保険料財源入れてですね。そして、これを実施することによって他産業との賃金格差をなくしていきたい、こういうことで実施をするところでございまして、この算定においては勤続年数十年以上の介護福祉士の平均給与額と、これは賞与を含みでありますけれども、全産業の平均給与額、これがそれぞれ三十三万、四十一万ということで、八万円ということを、これを想定しながら一定の予算を、今申し上げた財源を確保したと、こういうことでございます。

○倉林明子君 だから、総理は格差解消と言っちゃっているんだけれども、格差解消には程遠いんじゃないですかと。そこに対して明確な答弁がなかったので、更に確認したいと思います。
 これまで自公政権の下で月額四万七千円の改善を行ったというふうにも説明をされてまいりました。その根拠はどうでしょうか。

○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
 介護人材の処遇改善の実績につきましては、介護従事者処遇状況調査によりまして、処遇改善を行った事業所の介護職員につきまして、処遇改善を行った年とその前年の給与を把握いたしまして、実際の賃金改善の実績を把握しているところでございます。
 この調査によりますと、自公政権におきまして、平成二十一年度介護報酬改定におけるプラス三%の改定によりまして月額九千円相当の改善。それから、平成二十一年度補正予算における月額一万五千円相当の処遇改善交付金によりまして月額一万五千円相当の改善。それから、平成二十七年度介護報酬改定における月額一万二千円相当の処遇改善によりまして月額一万三千円相当の改善の実績があったところでございます。これに加えまして、平成二十九年度、今年度の介護報酬改定におきまして月額一万円相当の処遇改善を実施しておりますので、これらを合計いたしますと月額四万七千円となるということでございます。

○倉林明子君 計算したらそうだということは分かるんだけれども、聞いている介護職員の人たちの実感というのは全く伴っていないんじゃないかと。この間、四万七千円も月額賃金上がったところありますでしょうか。改めて聞いてみたいと思うわけでございます。
 そこで、なぜその四万七千円月額上がっていないかと申しますと、介護報酬のマイナス改定、これ全体でマイナス改定されておりますので、処遇改善という措置はとったんだけれども実際の賃上げにはつながっていない。ここが実態の処遇改善として見ないと格差解消というラインというのは見えてこないと私は思うんですね。
 そこで、介護人材の実際の賃金はどうなっているかというところなんですよ。全産業との賃金格差というのはこの八年間で縮んだのかどうか、まず大臣の認識をお聞かせください。

○国務大臣(加藤勝信君) 全産業との賃金比較ということでありますので、賃金構造基本統計調査、これをベースにいたしますと、平成二十年と直近の平成二十九年において、福祉施設介護員とホームヘルパー、この加重平均と全産業との賞与を含む給与を比較した場合、その差は平成二十年で十五万円、平成二十九年で十三・六万円ということになっております。
 ただ、介護職員の賃金については、様々な調査分析もございますが、今申し上げた賃金構造基本調査について言えば、福祉施設介護員には介護事業以外の職員も含まれていること、また、処遇改善加算の話、先ほどさせていただきましたが、それを取得していない事業所も含まれていること、また、勤続年数や資格の有無等々においてもそれを考慮したものではないといった点については留意をして比較をする必要があるというふうに考えております。
 いずれにしても、今後とも、介護人材の処遇改善、しっかり取り組ませていただきたいと思っております。

○倉林明子君 資料一を御覧いただきたいと思うんですけれども、今、大臣も御説明ありました、平成二十年、この間の、厚労省が、自公政権の下で四万七千円上げてきたというスタートになるだろうというのがこれ平成二十年、二〇〇八年だと思います。このとき、御説明あったように、全産業との比較は十五万円格差があります。いろいろおっしゃったけれど、これは厚労省が介護人材の賃金を比べるためにこれつくられた数字なんですよね、念のために申しますと。それが実際に二〇一七年時点でどうなっているかというと、全産業と比べると、大臣は十三・六万円ということでしたけれども、出してもらった数字を単純に引けばマイナス十三・五万円という賃金格差が依然とあるわけですよ。つまり、この間いろいろ措置とってきたんだけれども、縮んだ賃金格差というのは九年間で一万五千円にとどまっているんですね。
 今度の処遇改善というのは、来年の秋、消費税の増税までは実施されないんです。先ほどおっしゃっていた、来年、パッケージでやろうと言っている処遇改善の中身というのは。さらに加えて、この中身での格差解消というのは、私はできないと言わざるを得ないと思います。
 事業者が賃上げに確実に回せると、こういう支援をしないと、本当に処遇改善費にしっかり回るという仕組みにはなっていかないと思うわけです。全額国費で交付金として抜本的に処遇改善費を上積みをすべきだということを強く申し上げておきたいと思います。
 次に聞きたいのが、介護保険の生活援助の問題です。
 何度か取り上げてまいりましたが、今回の介護報酬の改定で、生活援助の利用回数の多いケアプラン、これが届出義務化ということになりました。そこで、目安となる回数、これが示されましたが、これおおむね一日一回程度ということになります。資料二を御覧いただきたいんですが、これ、全体、要介護度別に回数の目安が示されております。黄色い枠囲いをしておりますが、これ月の回数ですので、一日一回前後と。介護度にかかわらずそういう数になっていようかと思います。
 これ、この回数を超えるプランは義務付けなんだけれども、この回数を超えたらサービスが使えなくなるんじゃないかと、そういう心配があるんだけれども、いかがでしょうか。

○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
 訪問介護における生活援助中心型サービスにつきましては、今般の改定におきまして、利用者の自立支援、重度化防止や、地域資源の有効活用等の観点から、通常の利用状況から懸け離れた利用回数となっているケアプランにつきまして市町村への届出を義務付けるとともに、そのケアプランにつきまして市町村が地域ケア会議の開催等により検証を行うこととしております。
 これは、生活援助中心型サービスにつきましては、必要以上のサービス提供を招きやすい構造的な課題があるという指摘がある一方で、利用者におきまして様々な事情を抱える場合もあることを踏まえまして、利用者の自立支援にとってより良いサービスとなるため、ケアマネジャーの視点だけではなくて、多職種協働による検証を行いまして、必要に応じてケアプラン内容の是正を促すものでございます。
 このように、あくまでもより良いケアプランとするために内容の是正、再検討を促すものでございまして、利用回数を超えたことによりまして一律に利用制限を行うものではございません。

○倉林明子君 一律にということは、利用制限もあり得るということなのか、それは後でお答えいただけたらいいと思います。問題は、果たしてこれまでどおりに使えるのかどうかと。ここが非常に問題になってくるんですね。
 厚生労働省が聞き取り調査もいたしました事例を私、紹介したいと思うんです。
 要介護二、独居、そして認知症と精神疾患のある方です。限度額内でサービスを使いまして在宅生活が可能となっている事例です。生活援助は一日三回入っています。これは本人の好みに応じて食事を提供する、水分補給する、入浴への声かけ、トイレの清掃、トイレまでの動線を整理整頓する、もう多岐にわたっているわけですね。これ、通常よりも懸け離れた回数利用になっているんです、今おっしゃったように。
 この場合、市町村が配食サービスやごみ出しなどの地域資源を活用する、そういうことで生活援助回数を減らすように是正求める、これ、あり得るんじゃないでしょうか。

○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
 先ほども申し上げましたけれども、今回の見直しでございますけれども、利用者の自立支援、重度化防止、あるいは地域資源の有効活用等の観点から、より良いサービスにつなげていくために、多職種から構成される地域ケア会議等を利用いたしましてケアプランの検証を行い、必要に応じてケアプランの内容の是正を促すものでございます。
 このため、市町村が地域資源の状況もきちんと把握いたしまして、地域ケア会議における検証の結果、利用者の自立支援、重度化防止、あるいは地域資源の有効活用等の観点から、ほかのより良いサービスが活用できると判断できる場合にはそのサービスの活用を促すことはあり得るものでございます。ケアマネジャーにおきましては、地域ケア会議等での検証の趣旨も踏まえまして、御本人にとってのメリットを利用者によく御説明していただくことが必要であるというふうに考えております。

○倉林明子君 是正を促すという方向に働くわけですよね。訪問回数の多いケースに何らかの対応が求められるということになれば、市町村は回数減らそうという方向に私、向かいかねないというふうに思います。
 そこで、改めて、この生活援助がどんな役割を果たしているかということを厚労省こそきちんと検証すべきだというふうに思うんですよ。認知症で精神疾患のあるこういう方にとって、ばらばらに援助が入る、これは生活を混乱させ、状態を悪化させるという危険が極めて高いと。これ、専門家が指摘しているところです。
 さらに、ヘルパーの生活援助というのはどんなものかということですよ。利用者の状態を分析し、予測する、そして、思いに寄り添いながら食事や生活環境の整備をする、そして、大事なのは、利用者の意欲を引き出す、こういうケアをしているわけですよ。私、これは単なる家事代行には代わりができない仕事だと思うんですね。
 そこで、確認をしたいと思います。ケアマネジャーが利用者の同意を取って作成したケアプラン、これに対して市町村が介入する権限があるんでしょうか。

○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、ケアプランでございますけれども、利用者からの依頼に基づきまして利用者の同意を得てケアマネジャーが作成するものでございますけれども、その作成に当たりましては、利用者が可能な限り、その居宅において有する能力に応じまして自立した日常生活を営むことができるよう配慮しなければならないというふうにされております。また、市町村は、保険者の立場から、被保険者が地域におきまして自立した日常生活を営むことができるように地域支援事業を行うこととしておりまして、その事業の一環として多職種によるケアプランの検証等を行うものとされております。このため、その検証等を行う場として地域ケア会議を置くよう努めるということとされているところでございます。
 今回の仕組みは、このような市町村の権限に基づきまして、利用者の自立支援、重度化防止、あるいは地域資源の有効活用の観点からより良いケアプランとするために、対象となるケアプランにつきまして地域ケア会議等における検証を行うこととしたものでございます。

○倉林明子君 いや、ケアマネジャーや利用者の意見というのが本当に反映されているんだろうかと今の説明を聞いていて改めて思いました。
 ケアプランというのは、これは利用者が決定する、これが原則ですよ。その上で、利用者が標準回数を超えるような生活援助というのを使いたいと言った場合、これは使える計画は可能だと、ここを押さえておきたい。いかがですか。

○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
 今回の見直しは、一定の回数を超えたことをもって利用制限を行うものではなくて、利用者の自立支援、重度化防止等の観点からより良いケアプランに見直すよう是正を促すものでございます。こうした御本人にとってのメリット等を懇切丁寧に説明することが重要であるというふうに考えておりまして、必要に応じ、ケアマネジャーは市町村とも連携を取って利用者との間でよく調整していただきたいというふうに考えております。

○倉林明子君 先ほど紹介したような認知症や精神疾患を持っている方に援助をする場合、本当にそこに寄り添ってきたヘルパーさんというのはやっぱりその方をよく知っているわけですよ。そういう人たちがこの回数必要だよねというところで援助してきたということを本当に尊重する必要あると思うんですよ。検証するのはケアプラン会議ということにしてしまえば、市町村が利用回数を減らすという方向にやっぱり誘導するということになりかねないというふうに思います。保険給付費の抑制という大きな縛りが掛かっている下で、利用者の自立、利用者の生活支援ということの中身を本当にしっかり私は検証、そちらを先にすべきじゃないかということを思うんです。
 利用回数にのみ照準を当てたような今回の検証というのは私、見直すべきだと思いますよ。いかがです。

○政府参考人(浜谷浩樹君) 繰り返しになりますけれども、まさに先生御指摘のとおり、今回の観点は、利用者の自立支援、重度化防止という観点から検証を行うものでございます。そういった趣旨をよく市町村に徹底してまいりたいというふうに思います。

○倉林明子君 届出義務化ということになるわけですね。今回、ケアマネジャーのところが義務として課されるということになります。
 これに対して、インターネットのアンケート調査も出ておりまして、八割のケアマネジャーが否定的な意見を述べて、四割が反対だというふうに言っているんですよね。届出義務化によるデメリットの影響というのを非常に心配しております。利用抑制につながらず、サービス提供の質を落とさないということで、当事者の声も聞いてしっかり見直すことを重ねて求めまして、今日は終わります。