国会レポート

病院内保育の質守れ 倉林氏 民間委託で全保育士交代も(厚生労働委員会)

2017年6月6日

(資料があります)

 日本共産党の倉林明子議員は6日、参院厚労委員会で、医療機関内に設けられている院内保育所について保育の質が確保できるよう踏み込んだ支援をすべきだと迫りました。
 倉林氏は、総務省調査でも院内保育は離職防止、早期復職などに資することを示し「喫緊の課題である医師・看護師の確保に効果が大きい。一層の拡充が必要だ」と強調しました。
 
 京都市立病院では、病院の独立行政法人化に伴い保育所の運営が民間委託となり、保育士が全員交代したことで子どもが精神的に不安定になり、退所にまで至る影響があったと指摘。倉林氏は「背景にあるのは、院内保育の経費を抑制せざるを得ない実態だ。病院経営の黒字化が迫られ、保育の質にまで影響している」と批判しました。
 
 さらに倉林氏は、国立病院機構でも同様の事態が進行していると指摘。2016年に全国で115ヵ所、17年に111ヵ所の同機構院内保育を一括受託していた会社が、今年度末で撤退を表明。児童約3600人余、保育士約1200人余に影響が出るとしています。4月以降は各病院が新事業者と契約し、現保育士については「可能な限り応募の機会を設ける」とするのみ。
 先行して運営が変わった病院機構での実態について、厚労省の神田裕二医政局長は「次の委託事業者に継続雇用された者はいない」と答弁。倉林氏は「保育士全員が交代する事態になっている。応募の機会を設けるだけでは保育の質は守れない」として病院機構任せにせず、希望する全員の雇用が可能となるよう支援すべきと求めました。


保育環境の変化による子どもの絵の変化(変化前)


保育環境の変化による子どもの絵の変化(変化後)


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 院内保育所について質問します。女性の医療職が働き続けるためにかけがえのない役割を果たしている、これが院内保育所だというふうに認知しております。
 そこで、総務省に確認をさせていただきたいと思います。二〇一五年、医師等の確保対策に関する行政評価・監視の結果に基づく勧告が出されております。その中で、院内保育所の設置状況調査を実施されております。百四十二医療機関を対象としたもので、そこでお聞きしたいのは、そこで出された医療機関の主な意見、どんなものだったか、御紹介ください。

○政府参考人(古市裕久君) お答えいたします。
 お尋ねの平成二十七年一月に公表しました医師等の確保対策に関する行政評価・監視における院内保育所の設置状況の調査結果では、平成二十六年一月現在、調査対象百四十二医療機関中百九の機関、全体の七六・八%の機関に延べ百十二の院内保育所が設置されておりました。
 これら院内保育所を設置する医療機関からは、主な意見として、子供を預けることができない看護師が退職するケースが多いので、院内保育所があることで離職防止に役立っている、早く復職して新しい技術を習得したい看護師も多いため、時期に関係なく入所しやすい院内保育所は早期復職に役立っている、院内保育所に預けられることを就業条件にしている新規採用者もおり、その増加につながっているといった意見が聞かれたところでございます。

○倉林明子君 院内保育所は、この間、急速に増加しているということも調査で判明しているかと思います。
 二〇〇九年、少し前になりますけれども、医師会でも女性医師の勤務環境の現況に関する調査報告書というものが出されております。ここでも院内保育所の拡充、二十四時間対応も含めた拡充、これ急務だというふうに指摘がされているわけです。
 そこで、大臣に確認したいと思います。医師、看護師等の人材確保、これ喫緊の課題となっておるし、院内保育所の効果というのは、私、極めて総務省の調査でも明らかだと思うわけですが、一層の拡充が必要なものだというふうに思っていますけれども、認識いかがでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 私も、地元の例えば愛媛大学附属病院でかなり前に院内保育所を作りましたが、そんなときにいろいろ一緒に努力した記憶がございますけれども、やはり医師あるいは看護師、どちらかというと看護師さんの方がニーズが多いようでありますけれども、医師も当然のことだと思います、最近は女医さんも多いですし、ということで、医療従事者を確保するためにも、子育てをしながら働ける取組として院内保育所の設置は極めて重要だと、こういうふうに思っています。
   〔委員長退席、理事島村大君着席〕
 院内保育所を設置することによる効果、これについては、地域医療介護総合確保基金、ここから補助を得て院内保育所を設置運営をしている五十五の医療機関に対しまして調査を行いました。その結果、出産、育児を理由とした離職の防止に効果があったとする医療機関が約九割。それから、産休、育休からの早期での職場復帰に効果があったというのがやはり約九割です。新規採用者の増加に効果があったという医療機関が約六七%となっておりまして、一定の効果がやはりあるなということを認識しております。

○倉林明子君 その院内保育所の質ですね、保育の質、これを支えているのが言うまでもなく保育士さんになるわけです。改めてその質を支えている保育士の値打ちというのを実感させられたのが、地元であります京都市立病院、ここの青いとり保育園なんですね。一九七七年から既に看護師の確保、定着のために京都市が設置し、運営してきたという院内保育所なんです。私、学生時代、この京都市立病院に併設されていました市立看護短期大学出身なんですけれども、もう院内保育所がまだ珍しい時代から歴史ある院内保育所で、そこがあるからということで就職したいという方、多かったというのも本当に記憶しているところなんです。
 この歴史ある院内保育所なんですけれども、地方独立行政法人化ということで、二〇一一年に運営委託されるということになりました。実質的には直営だった運営委員会の運営から、運営委託ということでピジョン社が受けたんですね。このときは継続雇用を希望された保育士さん全員が雇用されるということになりました。ところが、この続きがありまして、二〇一五年、新たな委託先となったアート社は、保育士全員を、希望したんだけれども、不採用ということになったんです。
 保育士全員交代ということになると、子供に大きな変化が出るんですね。それが資料の一と二でお示ししています。これ同じ子供さんが描かれた絵なんですね。一枚目の絵が描ける発達段階まで行っていた子供さんが、保育士全員が入れ替わるという中で、これ二枚目の絵、見ていただきたいと思うんですけれども、明らかに情緒の不安定さ、発達の後退というのが絵によく出ているというふうに思うわけです。それだけじゃなくて、精神的にも不安定になったり、夜尿が出るというような後退症状も出て、保育所をやっぱり退所せざるを得ないというような事態まで起こっているわけです。
 私、子供の成長を保障する、これが保育所、院内保育所であっても当然求められていることだし、院内保育所であっても厚労省が定めた保育所保育指針、ここで示しているように、子供の最善の利益を考慮したものであるべきだというふうに思うわけです。そのためにも、安定した保育体制が欠かせないと私は思うんですけれども、大臣、いかがですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 保育指針についてお触れをいただいたわけでありますけれども、これ、院内保育所につきましては事業所内保育事業として認可を受けているケースと認可外保育施設であるケースが考えられるわけでありますけれども、事業所内保育事業として認可を受けている場合は、設備運営基準に基づいて保育所保育指針、これが準用されるということになっています。認可外保育施設である場合は、指導監督基準等において、保育所保育指針を踏まえた適切な保育を行うこととされているわけでございまして、いずれの場合においても保育所保育指針に規定をする内容の遵守が必要となるわけでございますので、子供に対する保育の在り方はこの保育所保育指針に基本的にのっとって行われなければならないということだと思います。
   〔理事島村大君退席、委員長着席〕

○倉林明子君 当然のことだと思うんですね。それなのに、実態としては市立病院の青いとり保育園のような事態が起こっているわけですね。
 なぜこういう事態に至ったのかという背景見ますと、院内保育所経費、これを抑制せざるを得ないという病院経営の実態があるわけですね。独立行政法人化に伴って経費を圧縮していくということに迫られるわけですね。直営から委託、これでおよそ三割の運営費の削減ということになりました。さらに、委託先が変わったということに伴って、もっとその委託経費の圧縮ということになっているんですね、結果として。病院経営の黒字化ということで迫られますと、院内保育所の質にまで影響が出ているという実態があるわけですよ。
 保護者が安心して預けられない保育所になっている、これは本当に深刻な問題だと思っているわけです。財政的に病院が追い詰められて院内保育所の質を低下させる、こんなことあってはならないというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。一般論として、どうぞ。

○国務大臣(塩崎恭久君) 院内保育所における保育の質を高めるという取組はどういう場合でも必要だというふうに思います。
 院内保育所への支援ということでは、平成二十六年度以降、地域医療介護総合確保基金における事業として、先ほど申し上げましたけれども、各都道府県において、保育士確保のための運営経費とか、あるいは新たに開設をしようとする場合の施設整備費、この補助がございますが、地域の実情に応じて財政支援は実施をしていただいているというふうに思っております。
 厚生労働省としては、今後とも、地域医療介護総合確保基金の活用による院内保育所の継続的かつ安定した運営ができるようにしなければならないというふうに考えているところでございます。

○倉林明子君 基金も使って支援もしているということなんですけれども、実態は国立病院機構でも同様の事態が進展しております。来年の四月から、院内保育所の運営をめぐりまして、今日紹介した京都市立病院機構と同様の事態が進行しているんですね。それが、二〇一六年で全国百十五か所、二〇一七年には百十一か所ということで、この国立病院機構の保育所を一括して運営してきたのがピジョンだったんですけれども、この全国一括の受託は終了するということを申し出ているわけで、児童でいいますと三千六百人余り、保育士千二百人余り、ここに影響が出るという事態になっているわけです。
 そこで、確認したいと思うんですけれども、ピジョンの受託終了後、この保育士の雇用継続について現状で国立病院機構の対応はどうなっているのか、把握しているところを御説明ください。

○政府参考人(神田裕二君) お答えいたします。
 独立行政法人国立病院機構におきましては、院内保育所について、サービスの向上のために事業者の専門性を活用する観点から、これまで全国百十一の院内保育所について事業者への一括委託によって運営してきたところでございます。
 今般、昨年の十一月になりますけれども、事業者側から、各病院のニーズが多様化し、個別的な対応が困難であるといったこと、地域の実情に応じた保育士の確保が困難になっていることなどから二十九年度末日をもって全国一括での受託を終了したい旨の申入れがあったところでございます。
 これを受けまして、国立病院機構におきましては、平成三十年度以降も院内保育所を継続するために、今後は国立病院機構の各病院が新たな事業者と運営委託契約を締結することを基本とし、速やかに募集の手続を進める旨の基本方針を定めており、現在、この基本方針に沿った手続が傘下の病院で進められているものと認識しているところでございます。
 また、この手続を進めるに当たりましては、新たな委託事業者の選定において可能な限り現在勤務する保育士の雇用に配慮を求める観点から、傘下の病院に対して、募集する際の仕様書に旧受託者の職員が新受託者での雇用を希望する場合には可能な限り応募の機会を設けることと記載するよう、今年の四月に指導をしているところでございます。
 現保育士の継続雇用につきましては、保育士の意向も踏まえ、今後新たな事業者による面接等を経て決定されるものと認識いたしております。現状で申しますと、まだ公募前のところが非常に多くございまして、事業者が決定しているのはまだ二病院という状況でございます。
 厚生労働省におきましては、各病院において引き続き児童の預かり体制が確保され、翌年度においても職員が安心して子供を預けることができる体制をしっかりと確保することが重要と考えており、今後とも状況の把握に努めてまいりたいと考えております。

○倉林明子君 そこで、先行した国立病院機構栃木医療センターではどうなっているかということなんですね。二〇一七年四月一日、今年四月一日から、ピジョン株式会社から株式会社キッズコーポレーションに運営委託を変更ということになっております。
 ここでも、今おっしゃったように応募の機会は設けたんですよ。ところが、結果はどうだったか。つかんでいますか。

○政府参考人(神田裕二君) 先生御指摘の栃木医療センターについてでございますけれども、栃木医療センターの現在のピジョンから次の委託事業者に継続して雇用された者はいなかったというのが結果でございます。
 このため、まずは前の事業者のグループ会社での雇用を検討しましたけれども、その地域に欠員がなかったということから、次にグループ会社以外の保育所の求人情報を提供し、十一名のうち九名は引き続き保育士として採用されるに至ったというふうに承知をしております。残り二名の方については、雇用条件が合わない等、諸般の事由によって採用に至らなかったというふうに承知いたしております。

○倉林明子君 結局、応募の機会は設けたんだけれども、結果として、いろいろ行き先決まった人があったというお話なんだけれど、元の職員十二人のうち応募したのは七人、この七人は全員不採用になったんですよ、全員不採用、御承知のとおりだと思います。
 結局、その雇用は一定守られた、継続が措置はとられたということなんだけれども、保育所の体制というのは全取っ替えになるということなんですね。だから、希望者全員応募の機会を設けるということで今も話は進んでいるということなんだけれども、それだけでは、このとちのみ保育園と同様のことになるんじゃないかと非常に不安の声が広がっているわけです。
 四月十日に、この問題、衆議院の決算行政監視委員会でも我が党の議員が取り上げております。大臣は、各病院において、引き続き、児童の預かり体制が確保され、翌年度も職員が安心していただけることができる体制をしっかり確保しなければならないというふうな答弁もされております。
 私、この経過を見ておりますと、同時に、大臣おっしゃったように、院内保育所であっても保育の質をしっかり確保していかなければならないという観点から見ても、この応募の機会を設けると仕様書に書き込むというだけで雇用や保育は守れないということになりかねないと思うんですよ。
 大臣、認識いかがでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 平成二十九年度末に独立行政法人国立病院機構の院内保育所の一括運営受託事業者との契約は終わるということで、その際には、各病院において引き続き児童の預かり体制が確保されて、職員が安心して子供を預けることができる体制を確保することが重要だというふうに思っております。
 国立病院機構におきましては、新たな委託事業者の選定に当たり、保育士が新受託者での雇用を希望する場合には可能な限り応募の機会を設けるように傘下の病院に対して指導しているということは先ほど御指摘をいただきましたが、さらに、現在の受託事業者におきましては、現在勤務をしている保育士について、まずは次の事業者に雇用を継続することを第一とし、そしてまた、仮にそれができない場合には自分自身のグループ会社に紹介することなどによって対応する意向であるというふうに聞いているところでございます。

○倉林明子君 いや、だから、その答弁は衆議院でも同様の答弁されていたと思うんだけれども、結局、それじゃ、院内保育所の質が守れるんですかというところを私は今日改めて問いかけたいと思ったわけですよね。
 事態を見守るというスタンスなんですよね、一貫して。機構の問題だということだと思うんだけれども、これ注視しているだけでは問題解決しないと思うんですね。女性医療職の人材確保、離職防止にとっても安定した保育、これ本当に確保していくという観点は欠かせないと思っているわけですね。病院機構任せにしないで、希望者全員の保育士の雇用が可能となるように私は財政的な支援、基金やっていますといってこの現状になっているわけですよ。雇用継続希望した人たちはほとんどが賃下げになるんです、保育士ね。そういう状況も踏まえてでも保育の質担保したいと思って保育士は雇用継続希望しているんですよ。そんな人が不採用になるような事態は避けるように頑張っていただきたいと思うんです。どうでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 医療機関で働いていらっしゃる女性の看護師さんあるいは女性の医師の皆さん方が、働きながらも子供を育てることができるということは極めて大事だというふうに思っています。
 今お話しの応募の機会を設けるように指導するだけでは十分じゃないんじゃないかということでございますが、これは受託、委託の関係でもございまして、その次の事業者に、私どもとしては今お願いをしているような応募の機会を設けるとともに、やはり働いていらっしゃる保育士の皆さん方が続いて働くことができるということもこれ大事なことでございますので、そういう場合の手だてを会社としてはしっかりと、その組織としてはしっかりと取ってもらうようにお願いをしているところでございますので、紹介を自身のグループ内、いろいろあるようでございますので、そういうことで対応するということで、雇用を確保するということにも配慮をするように私どもとしても目配りをしているつもりでございます。

○倉林明子君 機構でやっている院内保育所で子供の最善の利益が守れるような体制をどうつくるかと、期限も迫っている問題ですから、踏み込んでしっかり支援していただきたい、強く要望して終わります。