国会レポート

看護職員労働実態調査の継続/新専門医制度は医師不足・偏在に拍車(行政監視委員会)

2016年4月4日

(ページ下部に資料があります)

<看護師 過酷労働で離職 改善と調査継続求める>
 日本共産党の倉林明子議員は4日の参院行政監視委員会で、昨年に厚労省が初めて行った看護職員の労働実態調査をとりあげ、労働環境の改善と、さらなる調査の継続と拡充を求めました。

 同委員会での倉林氏の求めにより厚労省が実施した全国アンケート調査では、1247人の看護師が回答。倉林氏は「回答者の4人に1人が管理職であり、ほかの調査と比べても桁が違う少なさで、きわめて不十分なものの、過酷な労働実態が改めて明らかになった」とし、「過酷な労働実態が看護職の離職を加速させている」と指摘しました。
 調査では、看護師のうち拘束時間が3交替夜勤の約2倍になる2交替夜勤をしている人は6割を超え、2交替制の夜勤時間が1回で16時間を超える人も約6割を占めました。倉林氏は、2交替夜勤の月平均回数は4・6回に上り、3交替夜勤に換算すると看護師確保法の基本指針を超えていると追及し、改善を求めました。

 また、「医療勤務環境改善支援センターの取り組みは助言や好事例の紹介にとどまるものであり、厚労省が主体となって悪循環を止めるべきだ。労働環境改善の責任がある」と強調し、実態調査の継続を迫りました。
 塩崎恭久厚労相は「現場の苦労がかなり厳しいことを調査で再確認した。2016年度も調査を引き続き行う」と答えました。


<医師不足・偏在に拍車 新専門医制度を批判>
 倉林明子議員は4日の参院行政監視委員会で、2017年度から養成が始まる「新専門医」制度について、研修施設がない医療圏が多い実態を示し、医師不足や偏在が拡大する新制度の問題をただしました。
 新制度は、これまで各学会が独自に認定していた専門医の「質の向上」を目的に、第三者機関「日本専門医機構」が認定を行うようにするもの。

 倉林氏は、6~7月までに研修プログラム作成の審査を終える必要があるとされながら、厚労省専門委員会が3月に示した進捗状況は、19の基本的な医療領域のうち三つだけで、研修施設がゼロの医療圏は外科が14、産婦人科は48もあると指摘。医療団体から「若手医師が中小病院からいなくなり、医療提供体制が崩壊する」(日本医療法人協会)を実施延期を求める声が相次いでいることも述べ、「医療関係者の懸念を現実にしてはいけない。やめるべきだ」と批判しました。

 「制度開始の環境を整えるように、必要な調整をしていきたい」という塩崎恭久厚労相に対し、倉林氏は「研修ができない地域で医師不足が拡大するのは明らかであり、全国単位で対応しないと医師の偏在も拡大する。国こそが医療提供体制に責任を持つべきだ」と強調しました。

議事録を読む
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 私は、看護師の労働環境の改善についてまず質問したいと思います。
 昨年七月の当委員会で、厚生労働省が看護職員の労働実態調査を行ったことがないということを明らかにいたしまして、実施すべきだというふうに求めました。塩崎大臣は、看護職員について、入院医療とか救急医療への対応など心身の緊張を伴う労働、あるいは夜勤、交代制勤務といった厳しい労働環境にあると、こういう認識を示されて、厚生労働省として夜勤あるいは労働実態を調査する方向で検討したいと述べられました。
 その後、調査を実施したと聞いているわけですが、その結果について大臣の見解はいかがか、確認をさせてください。

○国務大臣(塩崎恭久君) 倉林先生からの御指摘もいただいて、厚生労働省として、平成二十六年に改正をされました医療法に基づき、医療分野で働く方々の勤務環境の改善に我々としても取り組んできたわけでありますけれども、その一層の推進方策を検討する際の資料とするために、今回の病院の勤務環境に関するアンケート調査というものをやらせていただきました。
 調査は、昨年の七月から八月にかけて、全国の病院とそこに勤務をされるお医者さん、そして看護師さん、こういった方々を対象として、有効回答としては、病院から五百四十八、医師の方からは九百七十八、看護師の方からは千二百四十七、回答を頂戴をいたしました。
 この結果を見ますと、看護師の方につきましては、三交代(原文ママ、以下同)制勤務が約三七%、二交代制勤務が約六〇%となっておりまして、二交代制の方で一回当たりの勤務が十六時間を超えるケースが約六割に上っていると、こういうことでございます。それから、夜勤一回当たりの勤務が長時間にわたっているということも判明をいたしました。
 医療分野で働く方々が厳しい勤務環境にあることを改めてこのアンケート調査の結果から読み取ることができるというふうに思っているところでございます。

○倉林明子君 私、この調査結果について、今厳しいということを改めて認識したということで、重要だと思って聞いたわけですけれども、実際よく見てみますと、回答者の四人に一人が管理職という回答の中身になっているんですね。十万を超えるような実態調査を行っている医労連の調査と比べてみましても、私は、桁が違う少なさになっているんじゃないか、実態調査としてはやっぱり極めて不十分だという指摘をまずしておかないといけないというふうに思うんです。
 そこで、それでも、今御紹介もあったとおり、今回の実態調査で改めて見えてきた部分があるというふうに思っておりまして、三交代勤務の二倍の拘束時間になるのが二交代勤務ということになるわけで、それが調査では何と六〇%を超えていたと。多くの夜勤の現場の働く方が二交代になっているという特徴がよく出ていたというふうに思うわけです。
 その上で、この回数が非常に問題だと思っておりまして、夜勤の回数が月平均四・六回という数字になっているんですね。これ、三交代に換算しますと月九・二回ということになるわけで、平均でも月八日以内を定めた看護師確保法の基本指針を超えているということになっているわけです。実際の月総夜勤時間数でも七十二時間を超えると。
 私、深刻なやっぱり労働実態、極めて厳しい実態というのが改善していないということがこの調査結果からも明らかだというふうに思いますが、大臣、いかがですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 御指摘のとおり、看護師の皆さん方は引き続き厳しい環境にあって、このような勤務環境を改善をするために、都道府県の医療勤務環境改善支援センターなどにおきまして、子育てなどのライフイベントに応じて夜勤を免除できる制度、こういったことを導入をしているわけでございます。それから、休憩スペースを確保するなどの好事例を周知をして、それに倣ってもらいたいということでやっているわけでございます。
 それから、平成二十八年度の診療報酬の改定におきましては、一部の看護師に夜勤負担が偏らないように夜間の看護職員の配置などに関する評価を行うとともに、それから、看護職員の夜間の勤務負担軽減に資する取組として、例えば勤務終了時間と勤務開始時間の間を十一時間以上空ける、インターバルを空けるということ、それから夜勤の連続回数を二回以下とする、それから業務量の把握、部署間支援を行うといったことを診療報酬上評価をするということとしておりまして、こうした取扱いによって看護師さんの勤務環境の改善に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

○倉林明子君 私、現場の過酷な労働実態というのは、離職を加速するという事態、起こっているわけで、基本的に現状、変わっていないというふうに思っているんですね。看護師不足の悪循環というのをどうやって断ち切っていくのか。やっぱり労働環境の改善しかないというふうに思うんですが、今、いろいろ評価もやったと、診療報酬上の評価もやったということなんだけれども、診療報酬の大きな見直しもあって、逆に看護体制が脆弱化せざるを得ないというところが出てきているというところもしっかり見ないと駄目だと思うんですね。
 その上で、今、センターの取組についても紹介ありました。しかし、この医療勤務環境改善支援センターというのは助言や好事例の紹介というところになるわけで、やっぱり病院収入そのものが診療報酬で枠が決まっているということになるわけですから、幾ら病院の主体的な取組を支援しても私は限界があることははっきりしていると思うわけです。
 そこで、改めて、この看護師の労働実態調査を取り組んでいただいたという点は評価をした上で、不十分な点も指摘した上で、厚生労働省として、今回の結果も踏まえて引き続き看護実態調査を継続していただきたい。いかがでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) おっしゃるように、看護師さんの現場の御苦労はかなり厳しいものがあるということを再確認をしたアンケート調査結果だったと思うんですね。医療分野で働く方々のこの厳しい勤務環境の改善に向けて効果的な対策を立案するためには、まずはやっぱり実態がどうなっているのかということを調べなきゃいかぬということで、先生の御指摘もあり、調査をやったわけであります。
 これは、少なくとも今年度、二十八年度、これについてはもう予算も確保してございますのでアンケート調査を引き続き行うということにしたいと思いますし、今後とも、今申し上げた医療勤務環境改善支援センター、十分じゃないと、こういうお話がありましたが、しかし、ここも調査をやるので、ここの調査もやはり見て、より現場に近いところから見てどうなのかということもよく我々は見ていきたいと思っております。
 したがって、二年連続私どもやりますし、それからこのセンターが今年度で全都道府県に配置をされるということになりますから、ここの調査というものも我々よく中身を見て、その上でよりきめ細かな実態の把握に努めていくということで、どういうふうな調査を誰がやるのがいいのかということも含めてよく検討を深めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。

○倉林明子君 昨年、私の質問に対して、看護体制の弱体化があってはならないと、これ大臣の発言というのは非常に重いと思うんですね。そういうことに本当に実際つながっていくような調査として、引き続き、御意見も申し上げたいと思いますので、改善方に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、お医者さんの教育というか、研修制度について質問したいと思います。
 資料にも付けさせていただきましたが、二〇一七年の四月から研修医制度が新たに変えるということで動いております。この赤枠で囲った新たな専門医の養成という、臨床研修後の三年以上掛けてやるというここの部分の問題であります。
 全ての医師の研修制度を来年度から変えようということなんですけれども、そもそもこの新たな専門医の認定制度を変えるという目的は何だったんでしょうか。確認させてください。

○政府参考人(神田裕二君) 新しい専門医制度の目的という御質問でございますけれども、専門医につきましては、従来のものですと、各学会が独自の方針で制度を設けて運用してきたことから、資格が乱立して認定基準が統一されておらず、専門医の質が担保されていないのではないか、また国民にとって分かりやすい仕組みになっていないのではないかなどの指摘があったところであります。
 そこで、国民の視点に立った上で、医師の質の一層の向上と医師の偏在是正を図ることを目的として、一般社団法人日本専門医機構、関係学会、病院等と連携して新たな専門医の仕組みの導入を目指すこととしたものでございます。

○倉林明子君 国民に分かりやすいように専門医制度をしていくということについて大きな異論出ないと思うんですね。ところが、新たな研修制度を開始、来年に控えた今年二月の社会保障審議会医療部会、ここで複数の委員が制度の実施延期を求める意見を表明したということで報道でも伝わってきております。
 そこで、その具体的な意見の中身を御紹介いただきたい。日本医療法人協会会長及び全国自治体病院協議会会長、日本精神科病院協会の会長、それぞれどうおっしゃっているでしょうか。端的にお願いします。

○政府参考人(神田裕二君) 二月十八日に開催されました社会保障審議会医療部会で様々な御意見をいただいたところであります。
 今先生御指摘の三つの団体の長の方々から、まず専門医研修の基幹施設となる大病院にしか医師が回ってこなくなるのではないか、それから症例数が少ない中小病院に研修に来る医師は例えば三か月で交代するなど安定した医療が提供できなくなるのではないか、それから、私どもの方から各都道府県に協議会を設置して調整をしてほしいということをお願いしているわけでございますけれども、協議会による調整は機能していないのではないかなど、地域医療提供体制の確保を懸念する意見があったところでございます。
 それを受けまして、厚生労働省としては、医療部会の下に専門委員会を設置いたしまして、日本専門医機構が認定する専門医養成プログラムの地域医療への影響等を検証、調整することとしたところでございます。

○倉林明子君 二月十七日には医師会の会長も発言されていて、現状のまま改革を進めると地域医療の現場に大きな混乱をもたらすと懸念を表明されております。地域包括ケアシステム、この構築にも阻害要因になるということで、開始延期も視野に入れて対応と、こういう発言されているというのは重大だと思うんですね。
 厚生労働省が先ほど紹介あったように専門委員会で検討していくということで、初回の委員会が三月の二十五日に開かれたということで聞いております。
 ところが、ここで示された進捗状況、十九の研修領域あるんだけれども、三つが示され、そのうち外科の領域見てみたらどうかというと、二次医療圏の中で、三百四十四あるわけですけれども、研修施設ない、こういう医療機関は十四だと、また産婦人科、これは三百四十四の二次医療圏中四十八の医療圏でゼロだと、こういう実態が明らかになっております。
 私、先ほど来、日本のそれぞれの病院を代表するような会長さんたち、まして医師会長が懸念していることがこのままだったら現実になるんじゃないかと思うんですね。二〇一七年度の新制度の開始というのは極めて困難じゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) この厚生労働省の社会保障審議会の中にあります専門委員会でございますけれども、第一回目の会合で日本専門医機構から養成プログラムの審査状況等に関する報告をいただいたわけでありますけれども、その上で都道府県と日本専門医機構による研修プログラムの調整方針などについて議論を行ったわけでございます。
 今お話しのような懸念が、今局長から答弁申し上げたように、何人かの委員から出てきたわけでございますけれども、厚生労働省としては、まずはこの日本専門医機構によります審査と都道府県の協議会による調整によって必要な改善が行われて、その結果の検証を行うということで、予定どおり養成プログラムが開始できる環境が整うように専門委員会で議論をするとともに、必要な調整を私どもとしてもやっていきたいと考えているところでございます。
 このプログラムをどう作っていくのかということによって、研修医の皆さん方がどういう医療機関をどういう形でどのくらいの期間回っていくのかということをどう組み合わせるかということで何とかうまくこの研修の目的も達成できるようにできれば、地域包括ケアシステムの構築のためにもプラスになるようにできないかということを考えていきたいと思います。

○倉林明子君 いや、もうそれはなかなか大変なんですよ。京都も五つの二次医療圏があります。その二次医療圏の中で具体的に研修プログラムが、検討が始まっていくと、もうこれはえらいことやということでたくさんの声が今上がり始めているんですね。
 五つの二次医療圏の中で十九の領域全て基幹病院となれるというのは大学病院一つだけです。その上、京都北部、丹後医療圏は基幹病院はゼロです。さらに、この丹後医療圏を含む北部三つの医療圏、ここには救急研修ができる基幹病院というのはありません。つまり、研修ができない施設そして地域、ここには研修期間のお医者さんって来ないことになるわけですよ。若手医師が地域から消えるということに対する懸念が広がっているんです。
 医師不足ということが今でも大変な問題です。これ更に加速する、こういうことになるんじゃないかという懸念、私は当然だと思います。医療提供体制、地域の医療提供体制も全国の医療提供体制も一体誰がこの確保に責任を負うんだという声が出ているんですね。私は、国こそ、厚生労働省こそこの提供体制に責任を負うべきだと思います。いかがでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 国としては、やはり良質かつ適切な医療が全国津々浦々に提供されるということが大事であって、その基本的な方針を定めるということが厚生労働省の仕事だろうと思います。
 都道府県が行う医療供給体制の確保のための取組を地域医療介護総合確保基金などによってこれまでも支援をしてきているわけでありますが、都道府県は、国が定める方針に即して、かつ地域の実情を踏まえて医療計画とかその一部としての地域医療構想をこれから策定していただくわけでありますので、各地域における医療供給体制を確保するための施策を企画立案、実行していただくわけであります。
 国、都道府県がこうしたそれぞれの役割を担って、良質かつ適切な医療が効率的に提供をされるという体制を全国できちっと確保しなければならないというふうに思っているところでございますので、引き続き努力をさせていただきたいと思います。

○倉林明子君 もう地域の医療崩壊というようなことが実際に起こって、本当に何とかそれ立て直そうって頑張ってきたんですよ。そこが今のままではもっと崩壊につながってしまう、この危機感を国がしっかり共有して提供体制に責任を持つと、そのことをはっきり果たしていただきたいと強く求めて、終わります。