国会レポート

“議員むしろ増やすべき” 倉林議員に竹中参考人(国の統治機構に関する調査会 参考人質疑)

2016年2月24日

 参院・国の統治機構に関する調査会は2月24日、「参議院の目指すべき姿」をテーマに参考人質疑を行いました。

 倉林明子議員は、衆院選挙制度をめぐり、消費税増税と一体に議員定数10削減ありきで議論が進んでいることに対して「定数削減は議員の身を切るといいながら、国民の民意や権利を切り捨てることになり、実施すべきではない」と批判。定数削減について参考人の見解を尋ねました。
 駒沢大学法学部の大山礼子教授は「定数削減などの身を切る改革には反対だ。国会の政府監視機能が低下するため、定数削減でない」と述べ、政策研究大学院大学の竹中治堅教授は「定数を削減するよりもむしろ増やすべきではないか」との考えを示しました。

 また、倉林議員は「参議院の目指すべき姿を考える時に女性議員を増やすことは重要な課題だ」と述べ、女性議員が増えれば政策決定にどのような影響があるかを問いました。
 大山教授は「女性議員が増えれば政策の中身が変わり、有権者の信頼回復にもつながる。政治不信の一因には議員構成の偏りがあると考えており、改善しなければならない。代議制民主主義の危機だ」と意見表明しました。

議事録を読む(参考人意見)
○国の統治機構等に関する調査
(「時代の変化に対応した国の統治機構の在り
方」のうち、二院制議会における今日の参議院
の役割(参議院の目指すべき姿))

○会長(山崎力君) 国の統治機構等に関する調査を議題といたします。
「時代の変化に対応した国の統治機構の在り方」のうち、「二院制議会における今日の参議院の役割」について調査を行うに当たって、本日は「参議院の目指すべき姿」について参考人から意見を聴取いたします。
御出席いただいております参考人は、駒澤大学法学部教授大山礼子君及び政策研究大学院大学教授竹中治堅君でございます。
この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多用のところ本調査会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。
皆様方から忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
議事の進め方でございますが、まず大山参考人、竹中参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、大山参考人からお願いいたします。大山参考人。

○参考人(大山礼子君) 大山でございます。本日は、意見を述べる機会を与えていただきましてありがとうございます。
それでは、早速ですけれども、二枚物のレジュメを用意してございますので、それを御覧いただきまして話を聞いていただければと思います。
まず、テーマ、「参議院の目指すべき姿」ということですけれども、キャッチフレーズ的に一言で申し上げれば、拒否権の院から正論の院へということだと思います。拒否権の府という言い方もありますけれども、そういうことじゃないかと考えております。要するに、拒否権を行使することによって存在感を示すのではなくて、審議の内容、言論の力で独自性を発揮すべきでしょうと、こういうことでございます。これは当然のことですけれども。
そして、まずは「与野党対決一辺倒の衆議院とは異なる審議を」と書いておきました。日本の衆議院は、ちょっとよその国の下院と比べましても本当に与野党対決一辺倒でございまして、これ自体少しおかしいのですけれども、とかく下院、第一院というのはそういう傾向を持つのはやむを得ないところでございます。それに対しまして、上院、第二院である参議院では、そうではない、もう少し党派を離れた客観的、実質的な議論をしていただきたいと存じます。
そして、実は今でもなさっているわけでして、この調査会活動などはその最たるものだと思うんですけれども、こういう辺りをもうちょっと充実させていくことと、それから、残念だと思いますのは、せっかくいい審議されていますのに余り伝わっていないんですね。それをどうやって国民に伝えるかというようなことをこれからも考えていただくのがよろしいのではないかと思っております。
それからもう一つは、行政監視でございます。これも、議会というのは全体として行政を監視すべき立場でございます。国民代表でございますし、納税者代表でもありますので、そういう立場にいるわけですけれども、とかく衆議院ではどうしても与野党対立の文脈で審議を行いますので、客観的な行政監視というのができにくい。それに比べますと、参議院は政府からやや距離を置いた立場にいるという、これが利点になりますので、行政監視を活性化していただきたいと考えております。
予算関連法案を、言葉は悪いですけれども、人質に取るようなやり方ですとか、あるいは問責決議を乱発するというようなことがかつて見られたわけですけれども、こういったことは国民、有権者の信頼を損ねることにつながりかねないと存じます。
二番目の方に参ります。
私、前からこういうことを申し上げているんですけれども、実は、日本の参議院の権限というのは、国際比較の観点から見ましても、第二院としてはかなり強力でございます。強力なら独自性を発揮して審議できればよろしいんですけれども、実はそうなってはいなくて、権限の強さがかえって独自性の発揮を妨げている、独自性発揮の足かせになっているのではないかというふうに考える次第でございます。
権限の強さというのは、もう言うまでもなく事実上の拒否権を持っているということでございます。このことがあるために、参議院が独自性を発揮しまして独自の審議を展開しますと、政権の側から見ると自らの法案が通らないということになってしまいます。もちろん修正をされたり時間を掛けて審議することはよろしいんですけれども、ここで全部ブロックされてしまうというような事態は、やはりこれは政権としては避けたいことだと思います。そうなると、なるべく政府としては参議院に独自性を発揮させないようにしようと、こういうことになってしまいがちでございます。
それからもう一つのことは、これから竹中先生の御報告にもあるかと存じますけれども、権限が強いものですから、選挙制度については非常に厳格な人口比例原則の遵守が求められております。これは最近裁判所の方の判断が厳しくなっているわけですけれども、これも近年のねじれ国会等々で参議院の強さが認識されてきたことと無関係ではないと考えております。結局、参議院の強さが制度設計の自由度を低下させているという感じがいたします。
そうしますと、もっと自由な改革をするためには権限を見直すということが必要になるのではないでしょうか。抜本的には憲法改正も必要かと思いますけれども、少なくとも単年度適用の特例公債法案等々については衆議院の議決を優先するというようなことも考えるべきではないでしょうか。
ただ、もちろん、そういったことで参議院の権限を見直す場合には、当然のことですけれども、参議院の審議権を確保してきちんと審議をする時間を取る、こういった工夫も同時に必要になります。このことは、別に権限が少し引き下げられたとしましても、参議院が本当に国民にとって納得のできる審議を行っていればそれを無視することはできないはずでございますので、そういったところに力を発揮していただきたいと考えております。
以上が基本認識なんですけれども、結局独自性発揮のために一番簡単な方法は、議員の構成を変えるということでございます。そうしますと、選挙制度を変えることが早道でございますので、次の項目としまして、じゃ、どんなふうな改革が考えられるかということを、たたき台以前のものですけれども、何か議論のきっかけにしていただければと思いまして考えてまいりましたので、そのお話をしたいと思います。
選挙制度と申しましても非常に多種多様でございますので、どういうことを目標に選挙制度を変えていくかということによって議論の仕方が変わってまいります。ですけれども、ここでは、最近の議論で特に参議院の中でも御要望が強いように思います都道府県代表の確保ということを一つの目的とする、それからもう一つは、これは今回の御依頼を受けるときに事務方の方からもそういうお話あったんですけれども、もう少し女性議員を増やすにはどうしたらいいか、議員の多様化を図っていくにはどうしたらいいかと、この二つを優先課題とした場合にはどんなことが考えられるかというのを二つ考えてまいりましたので、二枚目の方に参りまして、そのお話をしたいと思います。
まず、これちょっと大胆な案の方からお話をしたいと思います。大胆なというのは、憲法を改正しないと難しい案ということになります。
A案でございますけれども、これは都道府県を全て二人区にして男女各一名を選出するというものです。お笑いになると思うんですけれども、これは実はフランスの県議会で同じことをやっております。そんなに絵空事ではないんですね。
具体的には、四十七掛ける二の九十四人の定数にするのでしたら、都道府県を二つのグループに分けて、三年ごとに半数の都道府県で選挙をすればいい。もし定数をその倍の百八十八にするのでしたら、三年ごとに全ての都道府県で二名を選挙すればいいということになります。男女はそれぞれ独立して立候補してもよろしいんですけれども、ペアで立候補しても構わない。ペアの場合は、同じ政党でもよろしいですが、立場の近い政党、これから連立を組んでいこうとする政党が選挙協力のような形でペアを組んでも構わない、そういう選挙でございます。
これは利点が二つありまして、もちろん、地方代表議院としての独自性が非常に明確になるということです。それから、女性議員比率は必ず五〇%になります。これぐらいのことをやっていただきますと、それこそ十八歳、十九歳も含めて国民の関心がアップすることは間違いないので、余りに絵空事とお思いにならずに検討していただきたいと思います。
ただし、これはもちろん人口比例原則を無視した選挙制度でございますので、実現には、憲法を改正して参議院の権限も含めて二院制の在り方を抜本的に見直す必要がございます。
では次に、もうちょっと穏やかな、それでも結構ある意味過激でございますけれども、現行憲法下で実現可能ではないかと思われる案を御紹介したいと思います。
B案でございます。これは、拘束名簿式の比例代表と都道府県代表を併用するという案でございます。
どうするかといいますと、具体的に申し上げると、拘束名簿式の比例代表制に都道府県を単位とする小選挙区制を併用するわけです。小選挙区の候補者は全て比例代表との重複立候補者とします。そして、各名簿への議席配分は完全に比例代表によるんですけれども、先に小選挙区での候補者は当選になりますので、それの残りの数を名簿登載順で当選とするということになります。これ、計算の仕方は、連用制案がございますけれども、ああいった計算の仕方でもよろしいかと思います。もちろん、一人名簿を認めることも可能ですので、無所属の立候補も決して禁ずるものではございません。そして、この場合、比例代表を全国一区としますれば特に選挙権の平等の問題は生じないわけですけれども、幾つかのブロックに分けることももちろん可能だと思います。しかし、その場合は人口比例原則を守った定数配分が必要になります。
この案にはどういう利点があるかと申し上げますと、最初に書いておきましたのが言わばこの案のセールスポイントのようなものなんですけれども、選挙権の不平等の問題を生ずることなしに都道府県代表を確保できるのではないかということです。もちろん、これはある程度定数が多くなくてはいけません。こうなりますと、これも本当は憲法学者の方の御意見も伺わなくちゃいけませんけれども、結局、政党の議席配分は全く比例代表の方でやっておりますので、都道府県代表は比例代表で決まった当選者の中から、我々の都道府県はこの人を指名しますよと、そういう形になりますので、あるいは選挙権の不平等の問題をクリアできるのではないだろうかというふうに私は考えております。
それから、拘束名簿式というのは、これは議員の多様化を促進する効果が期待できます。これは諸外国の研究でも明らかですけれども、女性議員も拘束名簿式の場合には増える可能性が非常に高いと思います。
それから、現在の選挙制度の問題点を解消するという効果もございます。
一つは、非拘束名簿式の問題点でございます。これはいまだになかなか有権者の方々が理解してくださっておりません。それから、それ以外にも、例えば選挙費用の増大であるとか、政党の中で極端に個人票が少ない政党があった場合には本当に僅かな個人票で当選順位が決まってしまうといった問題もございます。こういった問題点を解消できるという利点がございます。それから、もう一つの選挙区選挙の方ですけれども、現在の参議院では小選挙区制と中選挙区制が混在しておりまして、このことの問題というのはいろんな識者の方が御指摘になっているとおりでございます。ですが、このように変えてしまえば、その問題点も解消できるということになります。
それから、これは実は後でお話しになる竹中先生が前から御指摘になっているところなんですけれども、現在の衆議院、参議院の選挙制度ですと、衆議院で多数を取った政党と参議院で過半数を取った政党が真っ向から対立するという事態が起きかねないわけですけれども、このように比例を中心とした、全体を比例で決めるという選挙制度にしてしまえばそういう事態は回避できるのではないかと思われます。
ただし、この案にも留意点がございまして、ある程度の定数がなければいけません。多分、現行定数がぎりぎりだと思います。ですので、定数削減ということは困難になろうかと思います。特に、半数改選というのを維持するのであれば、最低限現行定数ぐらいは必要、あるいはもうちょっと多い方がよろしいかもしれません。そういったことが留意点としてあるかと存じます。
以上、少し、今まで言われていないような提案ということで、今後の議論の活性化ということで考えてみましたので、御参考になれば幸いでございます。
以上で私の発言を終わります。

○会長(山崎力君) ありがとうございました。
次に、竹中参考人にお願いいたします。竹中参考人。

○参考人(竹中治堅君) 竹中でございます。
今日は、国の統治機構に関する調査会にお招きくださいまして、とても光栄に感じております。大変勝手なことを言うかもしれませんが、一つの意見として参考にしていただければ、一研究者として、そして一国民としてとても光栄に感じる次第です。どうぞよろしくお願いいたします。
そして、何か今までにない改革案ということで大山先生がすばらしい案を出されて、自分もかなり考えてきたつもりなんですが、ちょっと大山先生には及ばないかもしれないなと思っているところでございますが、始めさせていただきます。
まず前提は、既に大山先生もさんざん強調されたことなんですけれども、参議院はとても強いということですね。参議院の目指すべき姿を考える前提として、参議院の独自性を考えなければならないと思っております。
日本は議院内閣制を取るということを習ってきているわけですが、その中でも、参議院は独特の地位があるということでございます。議院内閣制はどういうものかといえば、内閣の存立は議会の信任によると。要は、議会の多数派から支持を得られる人が首相になって、その首相になった人が内閣を構成する、そして内閣は議会を解散可能だし、議会は内閣不信任案を可決することができると、これが議院内閣制だと思うんですね。
この関係が実は日本国で成立しているのは衆議院と内閣の間だけでございまして、参議院と内閣の間にはそういう関係は全く存在していないわけですね。首相指名選挙というのはもちろんございますが、これは衆議院の議決が優先する、そして参議院議員の方々の任期は六年間保障されていますので解散がないと。
ですから、議院内閣制というのは、基本的には立法府の多数派が行政権をコントロールしておりますので、行政府と立法府が対立して国政が停滞するということはそもそも考えられていない制度だと私は理解しています。ただし、日本国の場合、日本の統治制度の中では内閣と参議院が、要は、内閣は必ずしも参議院の多数派によって支持されるということを保障している制度ではないわけですね。
憲法は、内閣と参議院の多数派が異なる場合に、要は、内閣が参議院の多数派によって支持されていない場合にどういう解決策を用意しているかというと、これは衆議院を参議院に優位させることによって解決しようとしているわけです。ただし、御案内のとおり、衆議院の参議院に対する優位性というものは極めて弱いわけですね。三分の二の再議決要件、そして三分の二が確保されている場合でも、御案内のとおり六十日ルールというものがございますので、再議決を使うのはかなり難しいということがございます。
なので、考え方によっては、参議院は解散されないので内閣の最重要法案を仮に否決した場合でもペナルティーはない、ペナルティーという言い方は変ですけれども。もし仮に衆議院が内閣の最重要法案を否決した場合には、内閣は解散・総選挙をすることによって国民に信を問えるわけですけれども、参議院に対してはそういう手段はなかなかないと。もちろん、小泉さんはいろいろなことを考えられて衆議院を解散したわけですけれども、それはやはり。ただし、参議院自体は解散されない、ペナルティーがない。ですから、考え方によっては参議院の方が衆議院よりも強いかもしれないと、その法案を否決するというか、法案をブロックするという意味においては参議院はより強いかもしれないということですね。
そして、予算や条約も衆議院が優位するわけですけれども、大体関連法案を伴っておりますので、ですから関連法案とセットじゃないと、予算が承認されても、あるいは条約が批准されても実際に執行はされないので、参議院はそこでも、予算や条約に対しても強い影響力を及ぼしていると。ですから、考え方によっては、首相を指名するという権限を除けばむしろ参議院の方が衆議院に優位しているぐらいの力を持っているというのが参議院の、これが現実だと思います。
なので、一九九九年以来、参議院は政権の構成にも強い影響力を及ぼしていると。これは今に始まった話じゃなくて、ワンマン首相と言われた吉田茂首相も、参議院で多数派の支持勢力を確保していなかったのでとても御苦労をされて、参議院で何とか多数派を組むために連立工作を参議院の少数政党に対して働きかけるという歴史的事実がありますので、これは今に始まったことではないということですね。
参議院の影響力を見る場合に、ともすれば参議院における法案審議というものが、世論というか我々一般のマスメディアなどでは注目されることが多いと思うんですが、この政策決定過程、政治過程全般について参議院の影響力というのは見るべきであろうというのが私の考えです。
そうしますと、では平成年間に、平成になってから参議院はどういう影響力を行使できたのかというと、多くの重要法案を否決したり、あるいは修正してきました。そして、先ほども少し申し上げましたけれども、政権の構成に大きな影響を与えております。これは、基本的には参議院で過半数を獲得するために組まれてきている連立内閣です。
そして、大山先生も既にお話しになりましたけれども、この平成、特に二〇〇〇年代に入ってからの特徴は、参議院の多数派と衆議院の多数派が異なる、そして、二大政党が衆参をまたぐ形で浸透しまして、自民党政権の福田、麻生内閣、自民党政権に対しては、参議院で民主党を中心とする野党が過半数を取ったことを利用して徹底的に政策立案を妨害すると。そして、そういうふうにやられたからというわけではないと思うんですが、今度は民主党政権に対して自民党と公明党はやはり多くの政策立案を妨げたということがございます。そして、さらに野田内閣に対しては、参議院で重要法案を、言い方は悪いかもしれませんが、人質に取って解散を要求すると。ということで、政権の命運すらも参議院が握るというような強い影響力を保持してきたわけです。
そして、第二次、第三次安倍内閣になってからは参議院はどういう影響力を及ぼしているかというと、一番顕著な例は、先般来注目されてきました集団的自衛権の行使に関する憲法解釈変更及び安保法制の内容について、これはもちろん、連立内閣の内部で公明党がより厳しい条件を求めたことによって、実際自民党が考えていたよりもより厳格な内容になったと私は理解しております。これも、公明党と自民党が何で連立内閣を組んでいるかといえば、それは大きな理由があるかもしれませんけれども、その最大の理由はやはり参議院で過半数を獲得することが目的なので、こういう形でもやはり参議院は影響力を行使しているんだというふうに理解するべきだと私は考えております。
基本的にこれまで参議院がどういう役割を果たしてきたかということをまとめますと、参議院は、内閣と衆議院が一体となって行う政策立案、特に立法を抑制してきたということで、その抑制すると同時に、一種の多様な意見も反映させてきたということだと思います。
これは、そもそも二院制を設けている目的は何かといえば、それは抑制と均衡、そして多様性の反映ということなので、その目的に沿う形で参議院は機能を果たしてきたと思うんですが、ともすれば、やはり特例公債法案を人質に取るとか重要法案を人質に取って解散を要求するとか、ここ近年ではやや行き過ぎていて、これは必ずしも国民の理解を得られるものではないのではないかと、これはもう大山先生が先ほどおっしゃったとおりでございまして、私もそのように考えております。
ということで、政策、要は参議院における法案審議だけを見ると必ずしも参議院の影響力というのは注目されないかもしれないですけれども、その全過程を見ることによって、参議院はとても強い影響力を果たしているということが分かるということです。
それでは、参議院はどういうことを目指すべきなのかというと、基本的には二院制の目的を果たすこと、これは抑制と均衡と多様な民意の反映ということだと思うんですが、やはりある程度影響を発揮しているということを国民に分かりやすく見せないと、参議院は何をやっているんですかということにやはりなってしまうので、この見える化ということが必要なのではないかと。
もちろん、政治家の方々、閣僚、首相は政治のプロですから、参議院の影響力を織り込んで、その前の、参議院の法案審議に至る前に、もう内閣の中で法案を準備する過程、それが駄目ならせめて衆議院で法案修正ということで、参議院に来る前に決着させようとする強いベクトルが働くわけだと思うんですね。ただ、一部の重要法案については、やはりある程度参議院で法案修正をしないと、国民にはやはり参議院が影響力を行使しているということは伝わらないんだと思うんですね。
私は参議院のことを研究しておりますと言いますが、多くの人は、そういう話を聞いて参議院って何やっているんですかと、大変失礼な言い方かもしれませんが、そういうことを言うわけですね。これは、もっと重要法案を、例えば安保法制だって参議院で修正というのが一面トップに飾るようなことが続けば、国民は、ああ、第二院はちゃんとチェックしておるじゃないかということになると思うんですが、そういうことを果たしていないということがあります。
それから、やはり一層の政策立案、提言、多少センセーショナルな形でもいいかもしれません。調査会が三つありますから、そこを利用して国が抱える問題に関して積極的に提言されれば、やはり参議院の存在感というのは更に増すのではないかと思います。
そして、この抑制と均衡と多様な民意を反映させるために更に細かく見ていきたいんですが、まず考えるべきは、現行憲法の枠内で何ができるかということです。これは、やはり更なる選挙制度改革をする必要があるだろうと。
多くの参議院議員の方からすると、四・七五から三・〇まで行ったんだから、もうこれで十分ではないかと思われている方は多いかもしれないんですが、しかし、まだ較差は残っているわけですね。そして、多くの一人区があります。一人区があるので、今は必ずしもそうなっていませんけれども二大政党制が成立しやすくなって、二大政党制が成立しやすいがゆえに、参議院で強い勢力を取った野党第一党が、参議院で与党が過半数割れした場合にその状況を利用して次の総選挙で自分たちが政権を取れるように、有利な状況にするために徹底的に政権を追い込むというベクトルが働いてしまうので、やはり一人区は解消していくべきではないかと思っています。
そして、何よりも強調したいのが、先ほど来大山先生と私が言っていることなんですが、参議院が強いからこそ、そういう強い権限を有している院に代表される方々は平等原則を徹底する形で選出されるべきであると。なので、一票の価値の平等は原則として貫かれるべきで、三・〇二では不十分でありまして、これは限りなく一に近い数字に持っていくべきだろうということで、あと、衆議院の選挙制度との関係も考えるべきだと思っています。ですから、衆議院の小選挙は政権選択、参議院選挙は多様な民意を反映させるということですね。ですから、私がふさわしいと思うのは、ブロック別の大選挙区制にして、ブロックの定数をブロックごとにすれば、かなり一対一に近い一人一票の原則を貫く形で定数配分もできますし、大選挙区にすることによって中小政党も当選しやすくなるので、そこで多様な民意も反映させやすくなるのではないかということですね。
あともう一つは、これはもういろいろ改革案は既に出尽くしているなと思っているんですが、一つ言われていないことが両院協議会ですね。
これ、今の両院協議会だと、衆議院で賛成した側と参議院で反対した側から十対十ずつ出てきて、また三分の二以上の人が賛成しないと成案ができないので、これじゃ成案まとまるわけがないんですね。なので、両院協議会は、これは国会法で内容を規定できますので、両院協議会を全国会議員集会にしてしまうと。そうすると、衆議院と参議院で、基本的には多分衆議院の意見が通りやすくなるんですが、衆議院の間でもかなり意見が割れているような非常に競ったような状況ですと、参議院議員の方々がどう判断を下すかというのがその成案を取れるかどうかということに影響力を発揮できるので、これはちょうどバランスが取れた二院制、二院制の目的を考える上でバランスの取れた両院協議会になるのではないかなと考えております。
そして、憲法改正、もう今の現行憲法にとらわれず、憲法改正も考えて参議院のどういうことを目指すべきかと考えた場合に、まず一つは、六十日ルールの再検討が必要でしょう。これは、この目まぐるしく変わる今日、基本的に六十日ルールが使われる場合はどういうことが起きているかというと、六十日間法案がたなざらしにされる危険性がかなり多くて、そんなに待っていられないのではないかと、やはりこれは三十日ぐらいに短縮するべきではないかと。
それから、再議決要件をどう考えるかということがとても重要だと思います。三分の二の再議決要件を維持するのであれば、やはり平等原則は徹底していただきたいと。三分の二再議決要件を緩和して再議決要件を二分の一にするんだったら、最終的には、衆議院の選挙制度が最近進んでおりまして平等原則が徹底される方向に行っておりますから、民主主義の基本である多数決原理が働く衆議院の意見が最終的には通るということを前提とするならば、様々な選挙制度を考える、一人一票にとらわれず、定数較差にとらわれず様々な選挙制度を検討する余地が出てくるのではないかと。
一つは、大山先生もおっしゃっていたように、純粋な都道府県代表制にしてしまうということですね。それからもう一つは、年齢別選挙区制ということも可能なのではないかと。これは、ゼロ歳から十歳、十歳から二十歳、二十歳から三十歳、三十歳から四十歳、四十歳から五十歳、大体十歳置きに代表を決まった数を選ぶということでございます。日本はシルバーデモクラシーということが言われておりますけれども、このままいくと、高齢者の方々の方が未来を担う若者よりも多数になってしまうかもしれないということですね。それはやはりいろいろ問題が多いのではないかということで、各年代ごとに平等の発言権を認めるということも参議院で考えてもいいのではないかと思います。
そして最後に、憲法改正する場合には、日本の参議院の独自性を分かりにくくしているのはやはり参議院が首相指名選挙を行っているということだと思いますので、これはいっそ廃止してしまうということで参議院はもう内閣から独立しているんだということをより明確に、自らこの権限を手放すことによってというか、参議院の独立性というものがよりはっきりして、独立した立場から政策立案に関与するんだということを、参議院の独立宣言みたいなものかもしれませんけれども、そういう改正も考えていただいてもいいのではないかなと思いました。
以上、簡潔ではございますけれども、私の意見を述べさせていただきました。
どうもありがとうございました。

議事録を読む(参考人質疑)

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 今日は、両参考人の皆さん、御意見聞かせていただきましてありがとうございます。
 最初に、大山参考人にお聞きしたいと思います。
 参議院の目指す姿ということで、女性議員を増やすために大胆な提案というか、こういうこともできるよということをお示しいただいたと思うんですが、女性議員を本当に増やすということは私も重要な課題だというふうに思っています。日本で女性が参政権を獲得してもう七十年ということなんだけれども、日本の国会議員の女性比率というのは先進国では最下位という状況が続いています。いろいろ参考人が発言されたこととか読ませていただいたんですけれども、あるシンポジウムで参考人が、私は遺産、自分の遺産ですよね、を、女性議員を増やすよう呼びかける全面広告を出す遺言を残したいと。私、この発言触れたときに大変並々ならぬ思いを感じたんですね。
 改めて、女性が増える意義、女性議員が増えれば政策決定にどんな影響が与えられるということをお思いかというのを御紹介いただきたいと思います。

○参考人(大山礼子君) 女性議員が増える意義というのは、政策の中身が変わるということと、それから有権者の信頼を回復するという二つがあると思います。
 前者の方で申し上げますと、現在の国会議員の中でも男性議員と女性議員の考え方というのはかなり違う。これはいろいろな調査で明らかになっておりまして、家族関係ですとか、そういうことについての政策課題についての意見が違う。ですから、当然女性が増えれば政策も変わってくるはずです。
 それから、私、最近ちょっと調べたんですけれども、EUの中で女性議員の比率と財政赤字とをちょっと比較してみたんですね。そうしましたら、二〇一五年の財政赤字と二〇一五年の女性議員比率では何の相関関係も見出せなかったんですけれども、二〇一五年の財政赤字の対GDP比と二〇〇〇年の女性議員比率を比較したらきれいな相関が出ました。ということは、女性議員が多い方が財政赤字が少ないんですね。こういうこともございます。いろんな説明が可能かと思います。
 それから、もう一つの有権者に対するアピールの問題ですけれども、私も国会研究者ですので、国会議員は減らした方がいいとか議員歳費なんか要らないとかというような、今ちまたで蔓延している議論に対してはもう全く反対なんでございますけれども、でも一般の国民の方々はそういうふうに思っている方が多いのが事実です。
 これの大きな原因は、やはり議員の構成が偏っているということです。これは私たちには関係ないよというふうに女性や若者は思っています。ですから、もうちょっと危機感を持っていただいてそこを何とかしていきませんと、代議制民主主義の危機であるというふうに私は案じております。

○倉林明子君 代議制民主主義の危機という御指摘は本当にそのとおりだと思います。憲法改正までの合意に至るには相当なやっぱり時間も掛かろうかと思いますけれども、現行憲法やそして現行の選挙制度の下でも各政党間での真剣な努力が求められる問題ではないかというふうに改めて思いました。
 そこで、両参考人にお聞きしたいと思うんですが、選挙制度についていろいろ御意見もありました。そこで、選挙制度というのは、改めて言うまでもないと思いますが、民主主義の根幹であり、国民の参政権の問題、国民の多様な民意をできる限り正確に反映する制度であるべきだというのは憲法の要請でもあろうかと思います。
 そこで、現在、衆議院で消費税の増税と一体に議員定数十削減ありきという議論が進んでおります。議員定数の削減ということは、やっぱり、議員の身を切ると言うんだけれども、結局切り捨てているのは国民の民意であり権利じゃないかというふうに思うわけで、実施すべきじゃないと思うんですね。
 参議院では、定数の問題の議論もありましたけれども、維持しながら一票の較差をどう是正するかと、いろんな意見ありましたけれども、見直しの方向が一定進んだということになりました。
 定数削減ということでお聞きしたいんですが、改めてお聞きしたいんですけれども、国会の政府監視機能を低下させることにもつながる問題ではないかと思います。両参考人の御見識を伺いたいと思います。

○参考人(大山礼子君) 私もおっしゃるとおりだと思います。やみくもに議員定数を削減することは、内閣に対するチェック機能も弱まりますし、それから政策立案の幅も狭くなるというふうに考えます。もし身を切るということであれば、ほかにいろいろやることはあるはずで、特に、歳費は余り削ってしまうとお金持ちしか議員になれなくなりますので、これはこれで問題だと思いますが、そのほかの諸経費、諸手当については、例えば実費弁償方式にするとか、いろいろやることはあると思います。

○参考人(竹中治堅君) 私は、一般論としての、今ちまたで、大山先生がおっしゃったとおり、議員は何でもいいから削減するべきだ的な風潮があることには強く危機感を持っています。ただし、今回の衆議院の削減に関しては、二〇一二年の党首討論で、そのときの首相と野党第一党がそう言明してしまった以上、信なくば立たずじゃないですけれども、それはやむを得ないのではないかと思っています。
 それから、やはり議員削減するよりも、むしろ今、大山先生がおっしゃったとおり、議員の方々一人当たり幾ら出ているかということを算出して、その額を減らすからむしろ議員の数を増やしてぐらいのことを言うというのもありなのでは、とも考えられるのではないかなと考えています。

○倉林明子君 今、削るならば様々な諸経費、諸手当というお話ございました。我々はやっぱり、切るのであれば、支持政党のいかんを問わず税金で交付されている政党交付金、ここにこそメスを入れるべきじゃないかと申し上げているんですけれども、御意見ありましたらお聞かせいただきたい。
 両参考人にお願いします。

○参考人(竹中治堅君) それは、共産党の御主張はよく理解しているつもりですが、私は、政党交付金を削減するということに関しては、特に今は現状のままでいいのではないかと考えております。

○参考人(大山礼子君) 私は、政党交付金は、より良い民主政治の発展のためにということが法文上も書かれてありますので、ただ単に議員数だけで配分するのではなくて、もうちょっと頑張っている政党に配分するというような方法もあり得る。
 具体的に申し上げますと、これもフランスの例なんですけれども、女性候補者が少ないところには減額支給しています。それから、ドイツなどでは、国民の有権者教育、特に若者に対する有権者教育にお金を使っている政党にはそこの補助金を少し多めに出しているというようなこともございます。
 ですから、ただ単に廃止するとか削減するというのではなくて、もうちょっと良い使い方を議論するということは大賛成でございます。

○倉林明子君 そもそも政党交付金が始まった経緯ということもはっきりしておりまして、民主主義を確保するために、やっぱり当時議論になっていた政治腐敗、政治献金が根っこにあるということとのセットだったと思うので、この点については別途議論していきたいとは思います。
 そこで、選挙制度にも関わる問題として両参考人に御意見伺いたいと思うのは、新たに導入されることになりました十八歳選挙権についてなんですね。
 私、昨年、地元の女子校である平安女学院に招かれまして、他の政党の皆さんとも一緒に招かれたんですけれども、高校三年生の皆さんの御意見を聞く機会があったんです。とってもよく勉強されていて、真剣に政治について考えて、自らの意見というのを伸び伸びとしっかりと発言されていたんですね。非常に頼もしいと思いましたし、非常に感心もしました。
 そこで、昨年来の新しい動きだというふうに思っていますのが、安全保障関連法制をめぐって、若い世代の人が民主主義って何だというふうに声を上げる、そういう声を上げる若い人たちに突き動かされるように、これまで発言されなかった大人といいますか、人たちも発言をするという大きなやっぱり私、画期的な変化が日本で起こってきたなというふうに思っているんですね。
 改めて、今野党は、共闘という声に押される格好で野党の党首の合意も進んでいるという実情あるわけですが、私、主権者が政治を動かしているということを強く感じているんですね、この間の動きを通じて。そういう今の状況がある中で、この十八歳選挙権も非常に意味もあるし、値打ちあるなと思うわけですが、十八歳選挙権が多様な意見を反映すると、こういう観点から見て今回選挙年齢が引き下げられたということについて御見解をそれぞれにお聞かせ願えればと思います。

○参考人(大山礼子君) これもあちこちで既にお話ししていることなんですけれども、私、実は大学一年生の日本政治入門という講義担当しておりまして、そこで、ここ数年、毎年十八歳選挙権についてどう思うか是非を答えなさいみたいな質問をしてまいっております。
 実は、おととしまでは七割ぐらいの学生が反対でした。三割の者だけが十八歳にしてほしい、あとは、僕たちはまだ何も分かりませんから結構ですみたいなことだったんです。ところが、去年、十八歳選挙権が実現することになりましたら、がらっと変わりまして、七割がいいことだと言っております。それぐらい若者の意識を変える効果はあったんじゃないかと思います。
 やはり高校まででいろいろ、政治・経済ですとか現代社会とかそういうことを勉強してきて、すぐ選挙に行けた方が政治に対する関心も持ってくれると思いますので、いいことだったなというふうに私は思っております。

○参考人(竹中治堅君) 私も、十八歳選挙権に関しては全面的に賛成です。大学一、二年生に私も日本政治の授業をしておりますので、これで授業が更にしやすくなったと。もう君たちの問題だと、すぐ、直ちに選挙あるかもしれないと言えるようになったなと。
 ついでに言えば、私は、今日のプレゼンテーションには入れていませんが、被選出権も引き下げるべきだと考えております。ベンチャー企業の社長、二十歳や十代の社長もいるような時代です。ですから、むしろ参議院は若者の院とアピールして二十歳ぐらいまで引き下げてしまってもいいんじゃないかと、そのように考えております。

○倉林明子君 様々な御見識も伺いまして、ありがとうございました。
 時間早いですけど、終わります。ありがとうございます。