国会レポート

行政監視の活性化を(国の統治機構に関する調査会 参考人質疑)

2016年2月10日

 参院・国の統治機構に関する調査会は2月10日、「立法及び行政監視の活性化」をテーマに、飯尾潤政策研究大学院大学教授と勝山教子同志社大学教授を参考人に質疑を行いました。

 同調査会は「時代の変化に対応した国の統治機構の在り方」をテーマに設置され、3年目となる今国会では「二院制議会における今日の参議院の役割」について調査します。

 日本共産党の倉林明子議員は「立法機能で重要なことは、国民の声を審議に反映し徹底審議を尽くすこと。行政監視では、国会に連帯して責任を負う内閣が”法律を誠実に執行する”という憲法上の義務に反していないかを常に監視することが求められる」と主張。

 「世論調査で反対が賛成を上回っているのにもかかわらず、安倍内閣は戦争法の強行採決や原発再稼働を進めている。かつてなく国会に主権者国民の意思が忠実に反映されていない」と指摘し、参考人の見解を問いました。

 また、国会議員の女性比率が国際的に見ても低いことを示し、政策決定の場への女性進出について認識を問いました。

 勝山氏は「国民の代表である国会議員の女性割合が高まることは男女間格差の解消にもつながる。もっと女性議員が増えてほしい」と述べました。

議事録を読む(参考人意見)
○参考人(飯尾潤君) 本日は、お招きいただきましてありがとうございます。大変、諸事多端な折でございますけれども、急がば回れということもございまして、このように参議院の議員の皆様が自分たちの在り方について考えてみようというのは大変貴重な機会だと思いまして、お招きいただきまして大変光栄だと思います。
 ただ、時間がやや限られておりますので、先生方御自身のことについてやや断定的なことを申して失礼に当たるところもあるかもしれませんが、その点はお許しいただきまして、後ほどの質疑で疑義をお確かめいただければと存じます。
 それでは、私は政治学を専門にしておりますので、参議院の役割について少し制度的な側面と実態をどのように考えるのかという点から考えを述べさせていただきます。レジュメをお配りしておりますので、それに沿ってでございますけれども。
 まず、二院制という問題でございます。ちょっと前段の話でございますけれども、議院内閣制を日本は取っております。内閣総理大臣を基に内閣が成立しておりますが、一般的に政治学を申しますと、議院内閣制というのは、有権者は国会議員を選び、国会議員が首相あるいは内閣を選び、内閣は官僚たちをつくって行政をするという点では非常にシンプルな権限の連鎖があるというふうに政治学では考えております。
 ところが、一つだけ例外がございます。二院制を取った場合においては、二院の関係の整理のいかんによってはこのデモクラシー、民主制の原理が貫徹しなくなるという問題が実は指摘されておりまして、多くの国で実は、歴史的には、二院を置いている国では様々な試みがされてきて、悩んでいる国もあるということでございます。
 そういうときに、大問題からすると、そもそも二院制が定められた頃、大昔の頃でございますけれども、どういう考え方かというと、せっかく法律を作るのであればみんなの意見が一致するまで議論をすればよいという考え方でございます。ところが、実はこれが元々二院制にはあった考え方でございますが、後ほど御説明しますように、福祉国家化、行政国家化しますと法律の数が増えてきて、考えがまとまらなければ法律がなくてもいいではないかという考え方がなかなか通りにくくなる。もう日頃からするとそれはなかなか行政停滞するという問題があって、そういうことになってくると二院制の役割も少し変わってくるということでございます。そのことはちょっと後でもう一回戻りますので、布石のためにお話をいたしますが。
 そう考えてもなお、現代、二院制を取るのはどういうわけだろうかといいますと、多くの場合は、日本の場合、衆議院ですが、下院とは違うタイプの上院、違う意見を代表させることによって、違うちょっと観点を導入しようということでございます。
 代表的な例は連邦制を取っている国、多くの国では、現代の民主制の国では一人一票ということを前提にしておりますけれども、連邦制を取ると、連邦制を構成する各州というのは立派な国家でございますので、それの代表をそれぞれ大小にかかわらず選ぶというようなことをしている国があるのは御存じのとおりでございます。ただ、その場合においては、幾らかデモクラシーの原則は曲げられるというわけですね、小さな州の方がたくさん代表されるというようなことが起こってくる。そのときに、そのチェック機能はどこまでかということです。
 アメリカのように、現在でも、まとまらなければ法律がなくてもいい、あるいは、予算案についてまとまらなければ政府を閉じてしまえばよいという考え方の国もあれば、いや、それは現実的でないのでそこは調整しよう、話合いをやろうという国もあれば、話合いがまとまらなかったときにおいてはどちらかの院を優越するということ、日本もその類型ではありますけれども、衆議院に、下院に優越を与えるというようなタイプのことはございます。
 にもかかわらず、チェック機能というのはどういうことだろうかというと、やはり一つは、審議において採決の結果はともかくとして、様々な意見を検討した結果、その結論が出されるということは重要だろうということが一つ。あるいは、採決の結果はいずれ調整されてどこかのことになるとしても、修正ということもあるかもしれない。大枠のところでは意見は押し通すことがあっても、修正してより良いものにするということはあるかもしれないということが一般に二院制の意義として知られているわけでございます。ただ、これは国によっていろいろでございます。
 ただ、日本の場合を見てみると、実は、後からお話をしますが、衆参は極めて似た状況、選挙制度も似ておりますし、それから議事手続も似ておりまして、そうすると衆議院は、大体どこの国でも下院の方は内閣を選出しますので与野党関係極めて厳しいんですね、そうすると、数の論理が働いて多数決でということになりがちでございます。
 ところが、それで第二院はそうではないという、上院はそうではないという例も多いんですが、日本の場合は、実は参議院が衆議院に似ているという、まあ向こうが似ているという考え方もありますが、というために、ちょっと同じような数の論理が参議院にも働いてなかなか独自性が発揮できないということです。それを端的に示すのが、言葉はあれですが、いわゆるねじれと言われるのは、これは両院の多数派が異なる状況でございますが、そのときにこれは参議院の権限が非常に強く意識されるときです。
 ところが、数年前までございましたが、そういうときに何を見るかというと、実は参議院は意外と審議がされなくなるというわけですね。なぜかというと、衆議院のものをそのまま参議院に持っていって、それでもめたりすると戻ってしまうからもう衆議院で修正をしてしまおうということ、しばしば行われたわけです。
 意外と権限が強いときに参議院が機能をなかなか果たせない、自由な議論ができないというのは、ちょっと私にとってみれば参議院の機能を果たすという点では残念なことだというふうに考えております。そういう点では、参議院は衆議院と違うという場所になって、しかもその数の論理が余り出てこないという場所にする必要は、そういうことをしないとなかなか審議はできないんではないかというふうに考えます。
 そのときに、まあ学者の議論ですが、ちょっとこれ古い政治学で、最近は実は違う言い方をすることが多いんですが、やや複雑ですので簡単にお話をいたしますと、国会を始めとする議会は世界中、大体二つの類型がございます。一つはアリーナ型議会といって与野党対決が非常に盛んだという議会、もう一つは変換型議会と言っておりますが、これは与野党横断合意型ということです。
 実は、アリーナ型の方は非常に議会の公開が盛んでございまして、テレビなんかで中継する。逆に言うと、与野党横断合意型は委員会なんかはほとんど非公開にしておりまして、そこで与野党もう入り乱れて議論を尽くしてどんどん修正すると、こういう国会であります。あるいは、公開されているようでも、アメリカなんかもそうですが、非公式の協議会が多用されるという、それで何とかもう法案ずたずたになるまで修正して通していくと、こういうやり方でございます。
 じゃ、日本はどちらかというと、御案内のように与野党対立型でございます。ただし、与野党対立型でそのまま二院制をやっていると、これなかなか大変なことになるということが今の話でございます。そういう点から考えると、何がポイントかというと、そこは変えられないとすると、その大枠のところは変わらないとして、じゃ、参議院に何ができるのかというと、もう少し具体的なところでちょっと違った問題があるというわけです。
 日本は与野党対決型でございますが、実は最終的に普通、与野党対決型の国会を持っている国は、ほとんどの場合、採決をどんどん政府側がやってしまいます。ですから、法案の成立率非常に高いんですね。ところが、日本は、最近ちょっと高くなっておりますけれども、時期によっては法案の成立率高くないのは、実は会期不継続の原則を始めとする会期制の縛りがあって、審議未了、廃案ということが起こる、そういうタイプの国だからでございます。
 そうすると、実は、審議はともかく、時間を使えば法案がブロックできてしまうという、野党に意外な権力ができてしまいまして、慎重審議を求めると表向きは言っているけど、実は廃案を狙うという作戦が取れてしまう。そのために、採決時期をめぐる攻防が非常に熱心になる。しかも、そういうことになると、政府側の、与野党対立でございますから、政府提出法案の審議を中心にして、しかも、それも質疑だということでございまして、自由討論なんかは余りできないという、これは政府側からすると、自由討議されると時間を取ってしまって自分の法案成立しなくなるものですから、自由討議じゃなくて、もう一生懸命大臣出ますから質疑にしてくださいと。野党側からすると、大臣が出てくると追及の場が出るものですから、まあそれでいいよということになりまして、立場の違う者同士が非常に質疑という形でやり取りをするということが特徴になっているというわけであります。ただ、こういうことを衆参共にやると、参議院の独自性というのはなかなか発揮できないという、先ほど申し上げたとおりでございます。
 そういう点で、参議院のチェック機能とは何かというと、しばしば誤解されますけれども、法案を止めてしまうとか成立させないというようなことを中心にすると、チェックをやや超えておりまして共同責任になってしまうということからすると、チェックというと、まあ与野党対立を超えたチェック、与野党ということはあるけど、衆議院に対して、参議院議員の良識からすると、与党議員であっても政府議案をちょっと修正した方がいいんではないかと、野党の議員であっても、どうせ成立するのであればそれを前提に少し改良しようということをするということが恐らく参議院のチェック機能ということではないだろうかという点から考えると、大枠内での修正をするということをどう考えるかということでございます。
 ただ、これなかなか容易ではないのは、修正してしまいますと、また例えば衆議院の先議ですと再び衆議院に戻っていく、時間が掛かるということを考えて、大体、普通、政府側はこれ嫌うわけでございます。もう大体参議院が会期末ぎりぎりに議論をしているところで修正されると、もう一回衆議院に行くものですから、そうすると成立しないと同様だということになってしまうということでございます。
 そこで、二番目の点でございますが、審議活性化のために、大きな制度はこのままで審議活性化するためにはどういうことを考えるかというと、まずは審議時間の確保をしないといけない。それは、そのためには会期制のやや緩和。これは、野党側から見ると人質に取るということは難しくなることを意味しますけれども、参議院の審議を活性化するためには幾らかそういうことをやっていかないといけないということです。会期を長くするということもありですし、あるいは、継続された案件については今よりもそれまでの審議が生きるようなそういう考え方を取るとか、いろいろ考え方があり得ますが、そういうことをして、そうすると会期末になって時間がないからどんどん採決するということは避けられるということでございます。
 それから二番目は、先ほどお話をしました、日本の場合、やや国会法は特別、諸外国に比べて非常に不思議なというのは、実は、衆参それぞれには議院の自律権があるのに、議事の基本は両方とも法律で決めてしまっているということでございます。
 法律で決まってしまっているものですから、両方とも同じということになって似てしまう。そういう点でいうと、どこまでやるかは別ですけれども、国会法というのを両院関係調整法みたいにしておいて、それぞれの議院の、参議院とか衆議院の議事のやり方はそれぞれが議事規則で決めるというのがやり方で、そうすると、衆議院とは全然違うやり方を参議院が取ることができるというわけです。
 これが、国会法がとりわけ参議院に負担を掛けているのは、参議院議員の皆さんは定数が少ないんです。そうすると、衆議院と同じやり方をしていると委員会を回すのが非常に大変になるという問題がありまして、少ない人数でも審議をするためには違うやり方を取るということも大切で、そのためには少しこのことを考える必要がございます。
 それから三番目には、そうなってくると、人数が少ないということを考えれば、やはり重点的に同じように審議していては難しいかもしれない。
 予算委員会は国会の華ではありますけれども、これは衆議院に優先が認められている分野。それに物すごい手間を掛けることがよいのかどうかということもあります。むしろ法案の審議を中心にして並行してでもやるということもあり得るかもしれません、衆議院とやり方を変えれば。あるいは、日常的立法、日切れ法案等については、もっと簡略化するということもあり得ます。そうすると、これを審議したいと参議院議員の方がお考えの議案については、少し重点的にやるということも考えられるのではないか。
 それから最終的に、しばしば言われます両院協議会の活用ですが、与野党対立型では一般に両院協議会というのは御案内のとおり機能しないわけですね。両方の多数がぶつかったりするということです。
 ですから、そういう点では、両院協議会を機能させようとすると与野党対立を緩和しないといけないということで、そうすると、衆議院の方は与野党対立強いから、議案に賛成した会派から全員出てくる、全員がそちらの会派だということはあるかもしれませんが、参議院は違うやり方を取るということで幾らか妥協を図るということがあり得るかもしれません。にもかかわらず、やはり両院協議会は、使われるというのは先ほどの参議院の役割と同じでございまして、大枠内の修正ぐらいしか両院協議会は使えないと。根本原則で対立しているものを両院協議会でということはなかなか難しいということがございます。
 そこで、今お話をしたことは現在の制度を前提にするという改良策でございますが、これは憲法改正の課題にもなりますけれども、やっぱり衆参の権限再分配をして、より参議院は参議院らしくなることによって、少し役割を変えていくことによって問題を解決するということです。これ、しばしばどうもこの話をすると衆議院の優位と言われるわけですが、世の中バランスでございますから、衆議院の優越があれば参議院の優越がある分野もあるという、言わば衆参の取引みたいなことがないと成り立たないのではないかというふうに思います。
 福祉国家、行政国家化のことはお話をしましたが、ここでポイントは、そういう法律は政府提出法案になるということなんです。
 かつて二百年前の三権分立が熱心だった頃は、大体法律というのは余り日常生活と関係なかったものですからゆっくりやっておったんですが、ほとんどは、今、日常生活と関係するものは、実際に法律を実施する行政機関が立案しないとそういう具体的なことはできないということなんです。ということは、法律のかなりの部分が政府提出法案になるということでございますから、そういう点でいうと、政権運営に関わる責任と立法とが重なってくる分野について参議院がブロックしてしまうということは、実は、憲法上、衆議院の優越で内閣は成立しているのに、それが実は原則が崩れてくるということであります。
 そういう点でいうと、そこに幾らか参議院、とりわけ参議院の野党側の自制が必要になってくるということでございます。しかしながら、これはなかなか、権限があれば使うものですから、ねじれてしまえばブロックする。これは、与野党立場を変えればどの党でも一緒だというのは、この十年間観察したところでございます。
 そういう点でいうと、重大なことを申し上げますが、そうした立法、行政に必要なような立法については、参議院は幾らか権限を放棄するということが、実は参議院の審議を充実させる非常に重要な意味を持っている、ちょっと矛盾のようなことを言っております、ということでございます。
 そのことは、御案内のように再議決要件の問題でございまして、再議決要件三分の二というのは、実はこれ、憲法の制定過程でもございますが、ややアメリカ流の考え方が入っておりまして、議院内閣制とは異質でございます。議院内閣制は過半数あれば内閣成立しているのに、三分の二がないと再議決ができない。たまたま今のように三分の二があるときもございますが、それはちょっと憲法上の矛盾がここに生じているために、政府は成立しているのに予算関連法案が通らないというのは、予算案について衆議院の優越を定めた日本国憲法の立法者の意思等とは反することが実際生じた。やや条文に問題があるというふうに考えざるを得ないわけであります。
 ただ、そういうふうに考えると、条文に少々問題があっても、やはりここはお互い譲り合うと。再議決可能であっても参議院議決を尊重するというふうに衆議院がすれば、逆に言うと参議院の方もメンツも立って、参議院の方では重要な予算関連法案はブロックしないというようなこともあり得ると。そういう慣例をやっぱりつくり上げていくと。いずれその慣例が成立した上に、併せて憲法の条文を変えるということもあり得るだろうというふうに私など思っておりますけれども。
 そういう点で考えますと、やはり参議院は法案成立、予算関連法案に限定してもいいかもしれませんが、まあまあいろいろこの区別が難しいと考えると、予算成立に関わる権限を放棄する。例えば、もう過半数で通ったものを否決することはしないとか、修正はしても審議未了にはしないとか、そういうことでございます。
 しかしながら、これは取引でございます。その代わり参議院についてはこういう権限を、我々が衆議院の議決を尊重するんだから衆議院も参議院の議決を尊重してほしいという分野をつくるということでございます。
 じゃ、どういう分野かということでございます。
 実は、与野党対立でなくて、そうでないような処理が必要な分野はどんな分野があるか、これが参議院にとって非常に必要な分野だと考えていますが、一つは、立憲的保障と言っていますが、参議院議員は任期も固定で長いということからいうと、憲法というのは与野党を超えたゲームのルールでございますが、そのルールの守り手になるというのは一つでございます。これが与野党対立でなければ、お互いに立場は違ってもまあやっていこうということでございます。これは具体的に次に申し上げます。
 それから、それと同様のことですが、そういう憲法に関わらなくても超党派で議論した方がいいよという人権問題みたいな問題は、例えば少数者の権利どうするのかというようなタイプのことは、そんな与野党でどうこうと争うものじゃなくて、みんなで知恵を集め、国民の意見も分かれてくるからじっくり議論をして、国民の理解を得た上で立法しようというようなことは参議院に非常に向いている分野でございます。
 あるいは、選挙で多数を決めたからといって、結論が出るかどうか分からないような専門的な分野は、こういう調査会を開かれて、勉強されて、専門知識を身に付けられた参議院で議論をすると。そうすると、専門家の意見として衆議院はそれを尊重するというのもあり得るかもしれません。
 あるいは、時間の掛かるもの。衆議院はどうしても次の選挙が、もう二年ぐらいで選挙があると気になってしまいますが、任期の長い六年任期であると、じっくり議論をしましょうという、こういう、この調査会なんかもそういう場だと思いますけど、そういう問題はもう衆議院じゃなくて参議院に任してほしいというのも一つであろうかというふうに思います。
 じゃ、具体的にどういうことかというと、順番に、時間そろそろありませんが、お許しいただいて少しお話をいたしますと、参議院のみに付される立法以外の権限、例えば決算を、後からお話ありますが、決算、行政監視については、もう衆議院よりも参議院の権能を物すごく尊重するような立法の立て付けにするということ。あるいは、人事における独自の機能。国会承認人事っていろいろありますけれど、大体ほとんどは行政府が任命する人事についてです。行政府にそれを任命する人事を多数派を持っている衆議院が議論してもしようがないところがあって、例えば政治的中立を必要とされるようなそういう機関の人事については、実は行政府、政府と近いことが問題であるから、政府を離れて与野党の共通のそういう参議院が持つということです。
 それから二番目は、先ほど御説明した立憲主義ですが、例えば日本国憲法を改正するとすると、憲法改正の発議は参議院だけが持つというのも一つの考え方でございます。
 それから三番目は、参議院においては与野党対立でないんだから、与野党を超えて議員立法に熱心に取り組む、そういう議員立法については衆議院も尊重するということでございます。
 さらに、そういう点でいうと、四番目、参議院については、こういう案件は参議院を尊重しよう、政府も、じゃ参議院先議に、政府案を参議院に出すから、参議院でどんな修正をされてももう政府も衆議院も受け取りますよ、御自由に修正してくださいと言って参議院に出されるというのは一つでございます。それは、先ほどの衆議院の議決を尊重する分野との取引ということになります。
 申し上げたいのは、こうした日常的な国会運営ということを、衆議院とは違う国会運営をしているうちにこの両院の関係は新たなものになってきて、必要であれば憲法改正もあってもよいかもしれませんが、そういうことをしなければ、再びねじれたときには参議院無用論が出てきたり、あるいはねじれないと、誰も参議院に注目しないと参議院無用論が出てくると。どちらにしても困ったということをなくするためには、違うタイプの審議の工夫が必要ではないかというのが私の意見でございます。
 以上でございます。どうもありがとうございました。

○会長(山崎力君) ありがとうございました。
 次に、勝山参考人にお願いいたします。勝山参考人。

○参考人(勝山教子君) 同志社大学の勝山でございます。
 本日は、このような席で発言する機会を与えていただき、大変光栄に存じております。どうぞよろしくお願いいたします。
 では、説明を早速始めさせていただきます。
 まず最初に、参議院における行政監視の活性化というテーマをいただきましたので、特にその基本的な視点というのを少し考えるところをお話しさせていただきます。
 今、飯尾先生からお話がありましたように、日本国憲法が定める議院内閣制においては、内閣総理大臣の指名、内閣不信任決議の規定にも見られますように、内閣は実質的には衆議院の多数派の支持に基づいて成立しているという存在です。したがって、その関係から当然衆議院の方では、政府・与党と野党との対決色というのが濃厚になってくるわけです。参議院が、特にその存在意義を発揮しつつ政府統制活動を行うという、そういう観点からすると、衆議院のような対決色一辺倒ではなく、そこから一歩距離を置いた客観的な立場から行政を監視する、そういう活動に力点を置いて活動を進めていくことが重要なのではないかというふうに思っているところです。
 つまり、官僚の不正行為などを取り上げて、批判型、対決型で政府追及を行うような、そういう統制の仕方ではなく、レジュメにも挙げましたように、例えば法律の執行の適法性、妥当性、予算の適正処理、政策の有効性といった問題について客観的な基準が引き出せるような、そういう事項について客観的に評価、分析する。そして、それを基に行政の行為や事業の見直し等の必要があれば政府に対して説明を求めていく。そして、必要な場合には、そういった情報を集めて参議院の方から立法提案を行っていける、そういったような統制活動というのが重要になってくるのではないかというふうに考えているところです。
 もちろん、こうした調査活動というのは、質疑で政府を追及するようなそういう華々しいような形のものではありませんので、注目を集めるものではありません。確かにうまみというものはないのかもしれませんが、長期的に考えれば、参議院の立案能力というのを非常に向上させる、そういった活動だというふうに思っております。特に情報が入手の点で若干与党には劣る野党にとっては、法案の起草に関する影響力であるとか政権担当能力を向上させる、そういったことにも役立っていくものだと思います。
 こういった活動を通して衆議院とは違う参議院の存在意義というのを示していく、そういった方向性が取られるべきなのではないかというふうに考えているところです。
 そこで、本日は、政府の統制手段の中から、レジュメにも挙げましたように、政策評価と法律の施行状況の調査を取り上げて、行政監視の活性化ということについて考えてみたいと思います。その上で、監視活動の仕組みづくり、どうやって効果的につくっていくのか、これも非常に大事なことですので、例を示しながら御説明申し上げたいと思っております。
 まず最初に、政府統制における少数派の役割ですが、先ほど参議院では対決型姿勢ではなくというふうに申し上げまして、やや矛盾するところかとは思いますけれども、やはり政府統制という活動になりますと、野党側の役割、これが非常に重要になってくること、これは否めないところだと思います。現実問題として、与党議員は政府を困窮させるということ、これは望んでいませんので、やはり野党が積極的に関われるようなそういう仕組みづくり、これが大事なんだと思います。
 そうした例として非常に有名なものにドイツの少数者調査権というものがあるわけなんですけれども、近年私が研究対象としておりますフランスの方でも少数派による調査委員会の設置要求権というようなものが制度化されていましたので、例としてそこに挙げさせていただきました。
 フランスでこういう野党の権限強化ということが最近行われているわけなんですけれども、その背景には、二〇〇八年に憲法改正が行われまして、かなり大規模な改正でございまして、このときに憲法の条文の中に野党の権利を承認するというそういう規定が明記される、そういうことになりました。この今お話しさせてもらっている政府統制との関連からいえば、つまり、効果的に議会がその任務とする統制活動を行っていくためには野党の主導性を強めなければならないんだ、そのためには権限を付与しなければならないんだということが憲法で明文で確認されたというふうに考えることができるということです。
 そのような観点から、日本の行政監視ということを、政府統制の仕組みを考える上でもやはり野党に積極的に関われるような、そういう仕組みづくりというのを模索していくべきだろうというふうには思っております。
 次に、先ほど御指摘しました、参議院として、特に政策評価や法律施行調査といった、そういった客観的な視点から検討し得るような、そういう活動に取り組むべきだということを申し上げました。その点についてもう少しお話をさせていただきます。
 この政策評価でありますとか法律の施行状況の調査というのは、元々立法者たる議員のそもそもの責務なんではないかというふうに私は思っているところです。といいますのも、政策の多くというのはもちろん政府・与党側から提示されてくるわけなんですけれども、その実施を最終的にオーソライズしているのは議院ですから、参議院も衆議院も、その後の結果についてはそれを監視し、もし自分たちがオーソライズした内容と違うものであればそれについて是正を図っていくような、そういう活動をするということは元々の職務だというふうに考えているところであります。
 それに加えまして、こういった政策評価、法律施行調査というものは、元々の法律、自分たちが制定した法律の目的が何であったのか、法律に規定された条文に何が書いてあったのかというような比較的政策論争とは別の客観的な基準によって判断が下されるということが可能になるものですから、そういった意味では対決色が弱い統制活動に位置付けられるんではないかというふうに思っております。
 先ほども申し上げましたように、こういった形の情報を収集していくことによって、今後、もしかしたら提出されるかもしれない法案に対する資料を十分に整え、議員の審議能力、立案能力というのを高めていく、そういう非常に重要な活動だというふうに思っているところです。
 次に、そうであれば、ではその活動を、そうした政策評価であるとか法律の施行調査又は広く政府統制という形の活動をどのように効果的に行うのか、仕組みづくりも重要になってくるところですので、次にこの点についてお話をさせていただきます。
 レジュメのところには、フランスで、やはり先ほど紹介しました、二〇〇八年の憲法改正を受けまして下院に設置された公共政策評価・統制委員会の内容をお示ししております。
 このときの憲法改正では、先ほどは野党の権利を保障するという条文が盛り込まれたのだということを御紹介しましたけれども、それと同時に、憲法条文の中にまた別に議会の任務として、立法だけではなく、政府活動の統制、公共政策の評価、これも議会の任務なのだと、憲法上の任務なのだというふうに規定されたところです。非常に大事だという、そういうことがここでも確認されているということです。
 その上で、その憲法改正を受けまして、政策を評価する、そういうための機関として新しく公共政策評価委員会というものが設置されたわけですが、この組織を見ますと、組織方法や活動方法について非常に注目されるところがあるということで、ここではこれを紹介させていただきます。
 まず、この組織を設計するに当たって何に注目したかというと、フランスがそれまで行ってきた、フランスの議会が行ってきたことに対する反省に基づいて設計されていたというところです。政策評価といいましても、新しく二〇〇八年の憲法を受けてこの機関が設置されたわけなんですが、もちろんそれ以前からフランスの議会も政策評価活動というのは行ってきていたところです。
 ところが、その当時、以前はどういう形でやっていたかといいますと、各常任委員会がそれぞれ個別に所管事項について政策評価的なことを調査を行ったり又は一定の重要事項についてはそれ専門の政策評価組織というものを両院合同の機関として設けたりして活動を行ってきたわけです。ただ、総じて期待に応えることができなかったということから、それ以前の、それまでのこうした組織の活動方法の反省点というのを列挙しながら、二度とそれにはならないぞという形でつくられたというところです。
 では、以前の組織、組織方法、活動方法に何が問題があったかということを御紹介しますと、まず失敗の原因として第一に挙げられたのが、多くの場合これが、両院合同の組織、政策評価のための専門組織というのが両院合同でつくられていたというところで、日本にもありますように、やはりねじれ現象になった場合には全く機能しないということがあったというところです。
 第二番目の点としましては、やはり政策評価であるとかいった問題については議院の力だけで行っていくことは非常に大変であると。したがって、外部組織の専門家に要請を求めるのが一番効率的な方法なんですけれども、それ以前は、以前はそういった外部に対しての支援要請を行わなかったということです。
 第三の点として挙げられますのが、こうした政策評価であるとか立法の施行調査であるとかいったことというのは、政府に対する質疑で華々しく責任追及するというあのような姿からすると、そうではなくて、調査活動をやっていくということですから非常に地味であって、余り、とはいえ、労力が掛かるということ。まあ議院としてもそういった活動に余り積極的ではなかったということも挙げられています。
 また、反対派、野党側の役割を、特に積極的な役割というのを認めていたものでもなかったので、そういう仕組みも組み込まれていなかったということ、それから、それまで常任委員会であるとか各種政策評価の専門組織がそれぞれで行っていたその評価活動、これに連携を持たせなかったという、そういった失敗原因というのが挙げられていたところです。
 そこで、新たに設置された公共政策評価・統制委員会というのは、こういった点を改めて、参考にしながら、反省を踏まえてつくられた、そういったものです。
 まず、レジュメにお示ししましたように、調査事項ですけれども、従来、常任委員会が、その壁となっていた省庁別の所管という限界、これを取り払いまして、横断的、総合的な調査を行うことができるというような形にしております。これは、こちらの参議院の調査会であるとか行政監視委員会であるとかいったところもやはり同様にそのような観点から行っているというふうに存じております。
 さらに、注目されるのが、フランスのこの公共政策評価・統制委員会の組織方法及び活動方法です。
 組織方法のところですが、お手元のレジュメに構成員となる者を列挙して記載させていただいております。これを見ますと、議長が委員長になりまして、そして各常任委員長も全員入る、各種評価局長も全員入るんだと、その他政策評価に携わる組織の長であるとか会派の長も入ってくると、そういった者で構成されておりまして、実はこの組織というのは、議院が行う統制、評価の活動を総体的に、総合して全体としてのプログラムを調整する、そういう評価・統制活動も取りまとめていく、そういう機関として設置されているということです。
 さらに、この機関の活動方法ですけれども、先ほど言いましたように、政策評価を行うなんということになりますと、技術的、専門的な知識というのが非常に必要になってきますし、労力的にも議院だけで行うというのはなかなか限界があるところですので、外部に対しても協力を求めるということを自由に行っていくと、かなりの予算措置も付けられています。
 また、この委員会のメンバーだけで調査を行うというのではなく、調査対象となっている事項の関連常任委員会の委員、専門性を持つ委員を招いてきて実際には調査を主導してもらうというようなことをしております。例えば、ほかの委員会が行った法律の実施の施行調査などに関する評価報告なんというのは、やはり全てここの委員会に提出されて集められるというようなことになっているところです。
 このような形で、この組織を中心としまして議院の内外の機関と連携を持たせながら組織的に調査活動を進めていくという、そういう手法を取っているということが非常に注目されることなんだというふうに思います。
 さらに、重要なことなんですけれども、調査活動というのは地道なものではありますけれども、やはり調査するだけに終わるのではなくて、報告書に取りまとめて、それをホームページに掲載して国民にその情報を提供するという、そういったことも行われているところです。
 時間がかなり少なくなってしまいましたが、もう一点、申し訳ないんですけれども、一点追加させていただきますと、この組織の非常に最も注目される点として最後に一つだけお示しさせていただきます。
 この組織の調査活動の方法としまして、実際には二名の議員が指名をされまして調査の報告者として活動を進めていくということになっているんですが、この二名のうち一名は必ず野党議員でなければならないということになっておりまして、与野党議員二名が共同で調査を進め、そして、最終的にはこの二人が議論を重ねて一つの報告書を作成するという、そういう形を取っているところです。
 もちろん、見解も対立する議員ですので一つの報告書にまとめることにはなかなか難しいところがあるんですけれども、協力を与野党議員が行って議論を重ねるうちに最終的に合意形成がなされることが多いというふうにされるところです。ですので、こういった与野党議員二名のペア方式によって最終的に取りまとめられた調査結果というのは非常に客観的、公正的、中立な内容のものとなっており、非常に信頼の置ける資料として議院に蓄積されていくということになっております。
 この形を見ますと、実は、言ってみれば政府統制というのは、実際は政府・与党対野党というような、そういう対立図式を描きがちなんですが、この形の統制方法というのは政府・与党対野党ではなくて、与党と野党が一体となって議院として内閣に対立軸として存在し、そして統制を行っていくという、そういう形のものであって、非常に、参議院の一体的な形で政府に対抗していくというような、そういう仕組みづくりにも参考になるのではないかというふうに思い、挙げさせていただいたところです。
 済みません、かなりお時間を超過してしまいましたけれども、以上で説明を終わらせていただきます。

議事録を読む(参考人質疑)
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 今日は、両参考人、御参加いただいて、御意見ありがとうございました。
 この調査会も三年目ということになりますけれども、参考人で女性に来ていただいたの初めてということでありまして、活性化という観点からも政策決定の場にどう女性が進出していくのかというのは非常に大きな課題であろうかと思うんですね。
 国連でも一貫した方針だということであるのと同時に、この参議院では、九七年ですね、一九九七年に創設五十年ということで女性国会というのが開催されたと。同時に、DV法の制定についても調査会での議論などを土台にして法制定に至ったというような経過や歴史があるということで、私は非常に意義があることだなというふうに思っているわけです。しかし一方、日本の国会を振り返ってみますと、国会議員の女性比率が極めて低いということになっておりまして、最下位クラスを抜け出せていないという実態、変化ないんですよね。
 今日は、せっかく女性ということで、御出席もいただきましたので、勝山参考人にこういう女性議員が少ないというこの日本の状況について、参考人の問題意識について御紹介いただければと思います。

○参考人(勝山教子君) 国会議員の方々というのはやはり国の代表、国民の代表ですので、やはり男女の共同の社会を築いていくということに関しては、まず代表となって表に立つ議員の中で女性が増えていくというのがまずは望ましいことだと思いますし、それによって社会全体の男女間の格差というものも変わっていく一つの象徴的なものになるんだろうというふうに思っております。
 その意味で、諸外国も、議員にも女性の数を増やそうという、そういう動きは進められているところでありまして、フランスにおいても、近年、女性が国会議員の立候補者の中で一定割合を占めなければならないという、そういう改正がなされまして、実際上はフランスは国会議員で女性の方というのはまだまだヨーロッパの国の中では低い方なんですけれども、それもありましてクオータ制というのを取って、必ず一定数は候補者、女性でなければならないという、そういう制度をつくっております。

○倉林明子君 ありがとうございます。
 次は、両参考人にお伺いしたいと思うんですけれども、今回テーマともなりました立法及び行政監視活性化ということで、立法機能で極めて私重要だなと思っているのは、質疑の内容が国民に広く知らされる、それに対する国民のフィードバックといいますか、審議に更に反映する、で、合意形成を図っていくと。つまり、徹底審議ということが極めて求められることであろうと。さらに、行政監視ということになりますと、国会に連帯して責任を負う内閣、ここが法律を誠実に執行すると。憲法上の義務に違反していないかどうかと、これを常時監視するということが求められているんだろうというふうに思うわけです。
 そこで、今日の参議院の役割を考えるという観点からすれば、現状の議会、二院制議会が現状どうなっているだろうかというところの認識を深める必要はあると思うわけで、そこで、今、第二次安倍政権の下で強行可決された安全保障関連法及び原発の再稼働、これは極めて世論を二分しているし、各種世論調査を見てみましても反対が賛成を上回ると、こういう状況が続いているかと思うわけです。
 そこで、こういう状況というのは、かつてなく国会に主権者たる国民の意思が忠実に反映されていないという現状ではないかと思うわけですけれども、そういう原因、こういう状況になっているという原因について、要因はどこにあるというふうにお考えか、お示しをいただければと思います。

○参考人(飯尾潤君) 御質問ありがとうございます。
 まず、これは、御質問のうち、前段と後段がちょっとあったように思いますけれども、後の方からお話をしますと、民意というのは様々な表れ方をするものであって、現状が全く具合が悪いのかどうかは、これは判断によるものですので、これは党派によってもお立場が違うし、これについての国民の評価もまた違うんだろうというふうに私なんかは思っております。そういう点からいうと、議会というのは何らかの形で民意というのを形にするための手段、選挙という手段を使ってそれを形にする。そして、二院制ということからいうと、その民意というのを二つの表れ方を取ろうという、先ほどお話をしたような形であります。
 そういう点で、一つ問題があるとすると、先ほどお話をしましたように、衆議院は与野党対立が基本になるのはこれはやむを得ないことでございますけれども、そうして国論が二分されたときにその間を取り持つことがやはり参議院に求められている役割であって、現状の私の評価からすると、そのような印象を持たれる方が多いとすると、参議院の役割がやや不十分だと。与野党を超えてやはり合意できるもの、妥協できるところはないかという努力をする場所としての参議院が弱くて、参議院でもやはりどうしても多数決で採決だというふうになってしまうというところがちょっとやや欠けるところかなというふうに思っておりまして、そういう点でいうと、参議院の役割の弱さということ、妙な話ですけど、権限が強いからこそこのようになったというふうに先ほど御説明したわけですけれども、そういうふうに思っておりまして、できるだけ国論が二分する問題が二分されにくいように持っていくというのが参議院の役割ではないかと思います。
 ただ、その前段の御質問の方に一言だけお話をいたしますと、実は、世の中、先ほど国会の与野党対立型と与野党合意型という話をしましたが、与野党合意型で少数者の意見が通る国会というのは公開の度合いが低いことが多いんです。なぜかというと、審議の様子が丸見えになってしまいますと与党側が譲りにくいものですから、そうすると委員会を非公開にするなどして与野党で妥協案を作るということがしばしばそういう国では行われておりまして、その点でいうと、余り派手な動きをしてしまうとなかなか間を取るようなことができないという矛盾がございまして、確かにおっしゃるとおり、国民にフィードバックするというのは極めて重要でございますが、二院ということを考えるとフィードバックのされ方が違う、衆議院のフィードバックの仕方と参議院のフィードバックの仕方は違うのではないかというのが私の意見でございます。

○参考人(勝山教子君) まずは国民の意見と法案の結果が違うんではないかというお話ですけれども、確かに、どの点で評価し得るか、本当に違うのかどうかというのもなかなか評価が難しいところというのはまずはあるのかなというところはあります。
 さらに、国会議員、議員の皆さんですけれども、やはり一旦選挙で代表された以上は、民意も測りつつ独自の考えによって最終的な決断を下していくという、そういう存在ではありますので、したがって、一つ一つの法案の結果が今回の民意とは違うという、それとの完全な一致を求めるというのはなかなか難しいことであるとは思いますし、理屈としても、そこまでは求められるものではないんだろうかというふうに思っている次第です。

○倉林明子君 妥協できるかどうかが参議院に問われているのかということについてはここで反論をしようとは思いませんが、ちょっと別問題ではないのかなというふうに思います。やっぱり国民の民意に踏まえた徹底した議論は参議院にも求められている大きな役割ではないかというふうに思います。
 そこで、最後の質問ですけれども、参議院がどう役割を果たしていくかということで、国民の声に応えて徹底審議するという観点からなんですけれども、安全保障関連法でいいますと、憲法学者の圧倒的な多数、九五%という数もありますが、反対、違憲だということを表明されているという下で、さらに、安倍首相は進んで憲法九条二項の明文改憲にまで踏み込まれた発言をされているわけです。国民の意見を国会に反映する、権力の暴走に対して抑制的な役割をどうやっぱり発揮できるか、私はこれ大きく問われているということを強く意識しているわけですけれども、最後、見解を両参考人に伺って、終わりたいと思います。

○参考人(飯尾潤君) 今の御質問は先ほど少しお話をしたところと関係しますけれども、日本国憲法については私は少し、尊重するという意見と変えろという意見が成立しているという点からいうと、これがちょっと問題で、日本国憲法は自らを守る力がやや弱い。逆に言うと、もしもそれを自ら守る力が弱いとすると、私は、その憲法秩序を守る重要なとりでとして参議院はあり得るということ、しかしながら、これは国民の意見が分かれる、どちらが多いかは別にしまして、分かれる問題は、やはり国民でございますので、主権者でございますから、その間の和解、協調ということをしないと、改憲と護憲で真っ二つに国論が割れるというのは極めて残念な事態だというふうに思っておりまして、その間の橋を架けるというのが参議院の役割だというふうに私なんかは思っておりますものですから、そういう点で参議院が果たすべきことは多いし、憲法上そういう規定を欠くことは少し残念なのではないかと。
 もしも憲法を改正するとすると、そういう積極的な役割を、憲法を守るための役割を参議院に与えるということも選択肢ではないかというふうに思っておりますが、現状では衆参極めて似た形になっておりまして、余りその役割を果たせないということが現状ではないかというふうに思っております。

○参考人(勝山教子君) 権力の暴走をどのように食い止めるかというお話ですけれども、最終的には、例えば安保、安全保障の関連法案についても、国会で最終的に成立をした、国民代表がこれを通したということになるわけなんですね。そうしますと、やはり国民の代表者が決定したものをこれ以上食い止めることはなかなか難しいんだろうという、それは憲法構造上、なかなかできないところでありまして。
 確かに、世論の中ではそれに対する批判が強いんだということがあり得ると思いますけれども、そうであれば、それは、例えば憲法改正というものを逆に形として行って、そして国民の意思をそこで示す、又は次の選挙において、その批判というものを選挙の場において、安保関連法案は駄目だったんだという形の意見が強いんであれば、そこできちんと示すということで、権力の暴走というのをその時点、そのときには抑制できなかったとしても、その後にきちんとそれを示し、そして、経験を積んでいって、逆に権力側の、いわゆる抑止力、抑止的な効果というのを高めていくしかないんだろうというふうに思っております。

○倉林明子君 ありがとうございました。


※質疑部分のみ