倉林明子

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電気事業法一部改正 汚染水問題の解決は(経済産業委員会 政府質疑)

(ページ下部に資料があります)

 倉林明子議員は6月5日の参院経済産業委員会で、東京電力が4月に「廃炉・汚染水対策に集中して取り組む」として「福島第1廃炉推進カンパニー」を設置して以降も、タンクから漏水などずさんは管理が明らかになっている問題について、「国が前面に立って対策をとるべき」と政府の姿勢をただしました。

 倉林議員は、地下水バイパス計画(原子炉建屋地下などへの地下水流入による高濃度汚染水増加を抑制するため、山側で地下水をくみ上げて海に流す)で、複数回にわたり基準を超える濃度が検出されたくみ上げ井戸を閉鎖するよう求めました。
 東電の廣瀬直己社長は「慎重に対応する」としながらも、くみ上げを続ける態度を示しました。また、倉林議員がタンクを設置している地盤の傾斜を確認したところ、通常家屋で3/1000(1kmで3m)以内、危険物質保管施設は1/1000以内の傾斜にすべきとの専門家の指摘があるにもかかわらず、同敷地では独自基準で1/100に過ぎないことが明らかになりました。

 倉林議員は、タンクが敷地全体の汚染源となっている事態が作業環境を悪化させており、地盤改良なども含め必要な対策は国がとるべきと迫りました。茂木敏充経産相は「敷地内で安全に管理していきたい」と東電まかせの姿勢に終始しました。

議事録を読む
第186回国会 経済産業委員会 第14号 2014年6月5日

電気事業法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)

〇委員長(大久保勉君) 電気事業法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。

〇倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
電力システム改革の先取りということで、福島第一廃炉推進カンパニーが設置されたわけです。そこで、東電社長にまず伺っておきたいんですが、責任体制も明確にしたということで、汚染水対策にも取り組むということになっているわけです。改めて、これ以上海を放射能で汚さないと、この覚悟と決意を求めておきたいと思います。

〇参考人(廣瀬直己君) お答え申し上げます。
汚染水の問題につきましては、本当に皆さんに大変な御心配をお掛けして、大変申し訳なく思っております。
現在、御存じのとおり、汚染源を取り除く、あるいは汚染源に水を近づけない、それから汚染水を漏らさないという三つの大原則で、まずはその取り除くという部分につきましては、いわゆるALPS、多核種除去装置によって水を少しでもきれいにしておくということで、なかなかちょっとトラブルが続いておりますけれども、新しいフィルターを今交換いたしまして運転を再開しておりますので、これをしっかりやっていくこと、さらに、それを増設をして、高性能のALPSも順次設置をいたしまして、処理能力を高めて早くきれいな水にしておくということをやっております。
また、近づけないということについては、これも御案内と思いますけれども、地下水バイパスをやらせていただいて水を建屋の中に入れないということをやらせておりますし、例の陸側の凍土壁ですね、これも実験をうまく終えて六月の二日に工事着手をしたところでございますので、こうしたことでしっかり近づけないという対策もしてまいりたいと思っております。
また、漏らさないということにつきましては、水ガラスで海に行かないようにまず一つ目の防御をしておりますし、海側の遮水壁、ずっと工事をしてきておりまして、秋口にはもう完成いたしますので、そうしたことでしっかり海に出さないようにすること、それからまた、タンクについても溶接型に替えるというようなことをやっております。
先生御指摘のように、四月から廃炉推進カンパニーというカンパニーを設立いたしまして、組織もしっかりさせて、今申し上げましたような様々な対策を講じて、汚染水の海洋への流出を防止するということに全力を挙げてまいりたいというふうに思っております。

〇倉林明子君 過去に例のない事故を経験したと、そして過去に例のない地下水の汚染ということに対応しているという中で、本当になかなか先も見えないという状況も、いろいろトラブルも起こっているという状況もあると思うんですね。
そこで、汚染水を減らすということで始まっているくみ上げ地下水の問題ですけれども、地元漁協の苦渋の決断ということも踏まえて始めることができたわけです。ところが、このくみ上げ井戸の十二番から基準を超える放射能が検出されるという事態が続いております。状況と原因、今後の対策ということではどうでしょうか。

〇参考人(廣瀬直己君) 御存じと思いますけれども、トリチウムに関する基準というのは、御存じのとおりと思いますが、そもそもトリチウム水、トリチウムの混ざった水を施設から海に出すということの基準という意味では六万ベクレル、リッター当たりですね、ございますし、それからWHOの飲料水のガイドラインは一リットル当たり一万ベクレルというのがございます。それよりもずっと低い地下水バイパスの放水のための基準というのが千五百ベクレルであります。これは、御存じと思いますけれども、井戸からくみ上げた水を一時貯留タンクにためて、そのタンクから水を外に出すときのための基準でございます。一つ一つの井戸からのくみ上げの水のものではございません。
おっしゃるとおり、十二番の井戸から、ほかの十一個に比べますと高いトリチウムのレベルが出ております。これについては今原因を特定することがなかなか難しくて、ずっと経緯を見ているところでございますが、この度、先生御指摘のように、漁業関係者の方々から本当に苦渋の御決断でスタートさせていただいたということですので、もうこれ以上御心配を掛けてはいけないということで、非常に当面慎重にやらせていただきたいということから、本来出すときの基準でありますけれども、一つ一つの井戸をくみ上げたときにリッター当たり千五百というのを超えた場合には、一旦ちょっと止まって、よくその頻度を上げるとか、それから傾向を見るとかということをさせていただいていきたいというふうに考えておりまして、まさに今それを運用しているところでございます。
なお、それぞれの分析結果につきましては第三者機関にしっかりチェックをしていただいて、クロスチェックをしていただくということをさせていただいておるところでございます。

〇倉林明子君 今確かに御説明あったとおり、低い独自の基準で濃度をきちっと測りながらやっているんだということだけれども、やっぱりこの十二番の井戸についてはくみ上げ中止という判断をしているんだということです。私は、地元との信頼関係を踏まえるなら、当然くみ上げ中止という判断は妥当であろうと思うんです。
さらに、こうした十二番の井戸、一旦下がったり上がったりという経過をたどったということは知っているわけですけれども、一定続いて高い濃度が検出されるということになっているわけですから、地元からは閉鎖を決断すべきという声も上がっていると聞いております。経産省に、その決断はいかがかと、すべきじゃないかと思いますが、どうでしょう。

〇政府参考人(糟谷敏秀君) 地下水バイパスでございますけれども、地下水が建屋に流入して汚染する前にくみ上げることによって、それを安全であることを確認して排出することで汚染水の増加を抑制する対策であります。
地元からは、福島第一原発の廃炉・汚染水対策をしっかりと進めてほしいと、こういう非常に強い要望をいただいております。漁業者の皆様も、福島全体の復興を進めるために苦渋の決断をするということをおっしゃったというふうに理解をしております。その意味で、地下水バイパスなどによって汚染水
がなるべく増えないようにしていく、汚染水問題を抜本的に解決していくということは非常に大事であるというふうに考えております。
先ほど廣瀬社長からお話がありましたように、非常に告示濃度限度とか飲料水のWHOのガイドラインに比べても低い目標値を定めて運用をしておりまして、また、くみ上げた貯水タンクの水が運用目標以上とならないように、十二本の井戸も予防的に水質分析を毎週行って水質の傾向を監視しているというものでございます。
こういう予防的な対応を通じて、くみ上げた貯水タンクの水が運用目標以上とならないようにすることで、地元それから漁業者の方々にお約束をした運用方法を厳格に遵守をしていきたいというふうに考えておりまして、あくまでその汚染水対策はしっかりやりながら、なおかつ御地元にお約束をした運用目標をしっかりと守っていくと、こういう考え方でしっかりと信頼関係を継続、続けさせていただきたいというふうに考えております。

〇倉林明子君 これ以上放射能で海を汚してはならないという本当に固い決意を求められると思うんですね。薄めて流したらいいという、このことは認められないということを改めて申し上げておきたいと思います。
そこで、汚染水処理の切り札ということでALPSの紹介もありました。現状は、高濃度汚染水が増え続けているという現状にあります。これ、資料として東電の数字を入れ込んだものをグラフにさせていただいております。一番新しいところで見ましても、濃縮塩水がどれだけの量になっているかと。今一番たくさん、三十六万ということでタンク群を占めているという状況があるわけですね。
高濃度の汚染水であるRO濃縮塩水、これは二〇一四年度中の本来浄化完了という計画だったと思うんですけれども、現状の進捗状況と処理の見通しと、さっき最新の機械も入れていくんだということでしたけれども、具体的な見通しをお示しいただきたいと思います、経産省。

〇政府参考人(糟谷敏秀君) ALPSでございますけれども、先ほど廣瀬社長からもお話がありましたように、三系統止まっておりますのは共通の原因と考えております。フィルターの一部部品が放射線で劣化をしたことで漏えいが生じたということであります。それで、部品の材質を変更することでこれは解決できることから、フィルターを順次交換をいたしまして、B系については五月二十三日に運転を再開したところでありまして、A系、C系についてもそれぞれ六月上旬、六月中旬に運転を再開をする見込みでございます。
それから、この既存ALPSに加えましてALPSの増設、三系統の増設も進めております。また、国費を投じて高性能の多核種除去設備の建設も進めております。さらに、RO濃縮水のリスクを下げるということを加速をするために、東京電力においてモバイル型のストロンチウム除去装置の製作にもう既に着手をしております。これに加えまして、セシウムを除去するサリーという装置がありますが、これに改造いたしまして、セシウムだけではなくてストロンチウムも除去できるようにするということを五月に決定をして取組を進めているところでございます。
東京電力からは、本年度中に貯水タンク内のRO濃縮水を処理するという方針に変更がないということを聞いておりまして、政府としても現在建設中の設備の早期の運転開始に向けた工程管理等をしっかりと行ってまいりたいというふうに考えております。

〇倉林明子君 本当にトラブルがあれだけ続いていて順調にいくのかということ、にわかに信じ難いわけですね。今、毎日今の機械がフル稼働しても、今ある現存している汚染水の処理には四百八十日掛かるんですね、ざっくり計算しても。本当にそういう意味でいうと、安全に、タンクそのものが今汚染源になる状況あるわけですから、いかにこの汚染を下げていくかということが、しっかり取り組まれる必要があるというのはもう言うまでもないと思うんです。
この高濃度の汚染水を入れているタンクが新たな汚染源を広げているんじゃないかということで、これ二ページ目の資料で、タンクエリアの放射能汚染度合いというものを、これも経産省から東電の資料としていただいたものです。このグラフ、赤いところが建屋になっておりまして、左が北です。タンク群のところも汚染度が広がっているということは示されているとおりかと思います。
そこで、二日にまたタンクの漏れが、タンクから漏れていたと。これよくよく詳細に報告聞いていますと、何と、汚染度が低いと思い込んでいて天井に穴が空いていると思わなかったと、そういうやっぱりまた同じようなずさんな管理状況というのが発覚した事案でもあったかと思うんです。原子力規制庁の保安検査官がこれを発見したということなんですね。私は応急手当てみたいなずさんなタンクの管理ということを早急に改善していく必要があると思っているわけです。国が前面に出てこれ解決に当たらなければならないと思うんですが、タンクの安全性について、私、漏らさない丈夫な安全性の高いタンクを最優先に課題解決していくということが求められると思うんだけれども、そもそも、タンク設置の敷地の地盤、これが一体どうなっているのかということなんですね。どんなに丈夫なタンクでも、支える地盤が不安定ならば揺らいでしまうということになるわけです。
現状、今、敷地の傾斜の許容範囲、基準、実測値、敷地改良、厚さ、具体的にこれ数字でお答えください、東電。

〇参考人(廣瀬直己君) タンクを設置する地盤全体若しくはまたタンク一個一個当たりの設置箇所の傾きについての基準を定めた法令というのはございません。したがいまして、私どもの、独自に一%というものを使ってこれまで運用してきております。
ただ、先生御指摘の件は、昨年の十月に少し傾斜地に建っていたタンクから一番上からあふれ出してしまったという件がございましたが、そうしたこともございましたので、まずはもちろんしっかりとした地盤を、タンクの基礎については、元々その地盤調査をしまして、それから地盤にセメントを混ぜて地盤の強化を図って地盤改良をやっておりますし、これは全部のタンクにやっておりますし、基礎コンクリートを打設する際は水平になるように施工管理をしていくということでございますが、さらに加えて、御存じのように、フランジタンクというタンクはやはり継ぎ目がどうしてもございますので、より安全な溶接タンクに、今どんどん建設をして、そちらの方に順次汚い水を移してい
く、そういう対策を取らせていただいているというところでございます。

〇倉林明子君 基準がないということでおっしゃいましたけど、普通の住宅でも家屋でも千分の三、つまり〇・三%の斜度ということはこれはっきりしているんじゃないですか。私、危険な、危険物質の保管施設なんですよね、タンク。これが一%というのはとんでもないことだと思います。危険物質の場合は……

〇委員長(大久保勉君) 時間が過ぎておりますので、質疑をおまとめください。

〇倉林明子君 はい。
〇・一と、以内にすべきじゃないかという専門家の意見も出ているわけですから、土台が揺らいでまた漏れるというようなことは最低限あってはならないことだと思います。
こういう高度な技術ということで国と東電の分担ということになっていますけれども、基本的な土木管理、基本的な安全なタンクの管理ということでは、国が立て替えてでも前面に立って早急な解決が求められると、これは求めておきたいと思います。大臣、最後。

〇委員長(大久保勉君) 時間が過ぎておりますので、答弁は結構でございます。時間は過ぎました。

〇国務大臣(茂木敏充君) 敷地内でできるだけ安全に管理をしていきたい、幾ら地盤が安定しても、住宅地のすぐ横にタンクを置くべきではないと考えております。

〇倉林明子君 違う違う。すり替えです。

〇委員長(大久保勉君) 倉林理事に申し上げます。時間が過ぎておりますので、質疑をしないでください。

〇倉林明子君 はい。終わります。