マイナ利用5%でも現行保険証廃止 厚労相の答弁に批判殺到 (2024/4/18 厚生労働委員会)
健康保険証と一体化したマイナンバーカード「マイナ保険証」をめぐる日本共産党の倉林明子参院議員の国会質問に対し、武見敬三厚労相が、マイナ保険証の利用率が低くても今年12月に現行保険証の廃止方針を撤回しないとの発言に対し、SNSなどで批判の声が殺到しています。
倉林氏は18日の参院厚生労働委員会で、マイナ保険証の相次ぐトラブルにもかかわらず、岸田文雄政権が現行保険証を今年12月2日に廃止する方針を追及。直近の3月時点でマイナ保険証の利用率が5・47%にすぎないと指摘し、利用率が低迷したままでも現行保険証の廃止を強行するのかとただしました。
武見厚労相は「マイナ保険証の利用率にかかわらず、(廃止後の)12月以降も医療機関への受診に支障は生じない」と強弁しました。
これを報じたヤフーサイトへのコメント数は19日午後には約8500件に達し、「民意や医療機関が反対しているのに政府だけがかたくなに強硬に押し通すのは民意を完全に無視」などの投稿もあり、X(旧ツイッター)でも「よくぞ取り上げてくれました」などの投稿がありました。
倉林氏がこの質問で「なぜ利用率が上がらないのか」と尋ねたのにたいし、武見厚労相は「(医療機関の窓口で)現行保険証を前提とした対応がある」などと医療機関が悪いかのように答弁。これに対し倉林氏は「病院を悪くいってはいけない。今もトラブルが発生し、医療機関も利用者も不利益を実感しているからだ」と強調し、保険証12月廃止の撤回を求めました。
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
今日、マイナ保険証について質問します。
二〇二一年十月から本格的な運用開始がされてもう二年半になるわけです。最大の、この間で最大の利用率になった月というのはいつかと。そして、直近の利用率は何パーかと。健康保険証の廃止方針が打ち出されまして、今年十二月ということになるわけですけれども、それに向けて利用率というのは一体どこまで上げようとしているのか、目標数値というのはあるのかないのか、お答えください。
○政府参考人(伊原和人君) お答えいたします。
まず、マイナ保険証の利用率につきましては、令和三年十月のオンライン資格確認の本格運用開始以降、昨年四月に最大の六・三%になりました。その後、別人へのひも付け問題などの報道を契機としまして、翌月の五月以降は低下傾向にございまして、本年一月から再び上昇に転じております。先日公表しました直近の三月時点におけるマイナ保険証の利用件数ですけれども、約一千十万件と、過去最高だった昨年五月、八百五十万件を約二割上回りました。利用率は五・四七%となってございます。
それから、お尋ねの利用率の目標につきましては、あくまでもマイナ保険証を利用するか否かは御本人の意向によるものでございまして、保険証からマイナ保険証への移行期においては最大一年間現行の保険証が使用可能であるといった事情もありまして、国の側で一方的に今年十二月時点の利用率の目標を設定するということは考えてございませんが、やはりマイナ保険証を基本とする仕組みに円滑に移行するためにはより一層多くの方に御利用いただくことが大事だと考えてございます。
そうした観点から、来月から七月までをマイナ保険証利用促進集中取組月間として、利用促進に総力を挙げて取り組んでまいります。
○倉林明子君 過去最大の利用件数になったという御報告でした。
しかし、利用率で見ますと、過去最高が六・三%ですから、そこにもまだ至っていないというのが現状、大変厳しいというのが厚労省の受け止めではないかと思うんですね。だからこそ、利用促進月間ですか、持たれるということです。
これから廃止の時期を方針としても確定していくというときに、一体どこまで保険証の利用、マイナ保険証の利用率を上げていくのかということで聞いたら、ないわけですよね。そうすると、私、目標を示していないというよりも、現状で明確に示せないという実態じゃないかと思うんですよ。
利用率で過去最高をいまだに超えられないということにとどまらず、そもそもこのマイナ保険証というのは、マイナンバーカードを広げていくという中で取り組まれてきた経過もありました。マイナポイントと一体に進められてきました。
今、そこで厚労省打ち出したのは、現行の健康保険証を廃止し、マイナ保険証を原則とするという方針出したわけですよね。で、指定医の取消しをかざしてカードリーダーの普及に踏み切りました。カードリーダーの普及は確かに進みました。しかし、マイナ保険証の利用率というのは、先ほど紹介したとおり低迷したままということになっているわけですね。これね、診療報酬での加算を付けてもなお利用率の伸びは認められないという。
改めて聞きますけれども、なぜ利用率は上がらないのか。いろいろ手を打ってきたと、なぜ効果は上がらなかったのか。大臣の認識を伺いたい。
○国務大臣(武見敬三君) これまでマイナ保険証が十分に利用されてこなかった要因としては、医療機関などの窓口において従来と同様に保険証をお持ちですかという声掛けがなされるなど、保険証を前提とした対応がなされてきたことがあると考えられます。
このため、医療機関等の窓口において患者に対してマイナ保険証の利用勧奨を行っていただくことが重要と考えておりまして、令和六年度の診療報酬改定で、そのためにマイナ保険証の利用実績に応じた新たな加算措置として、医療DX推進体制整備加算を導入するということを行いました。
その中で、昨年度の補正予算による医療機関等への支援金については、足下の利用率の更なる底上げのためにより分かりやすい一時金の仕組みに見直したというところでございまして、したがって、こうした効果を通じて確実に利用者の数を増やしていく努力を進めていきたいと思います。
○倉林明子君 今のは効果上がっていないという要因の分析の説明にはなっていないですよ。
あのね、窓口、病院悪いみたいなこと言うたらあきませんよ。あのね、トラブルが相次いだだけじゃないんですよ。現在もトラブル続いているんです。
保団連が調査しておりまして、二三年の十月以降の調査で、回答した医療機関のうち六〇%、五千か所に及ぶ医療機関で引き続き資格確認のトラブルが発生していると、窓口十割負担になったという事例も少なくとも七百五十三件という直近の報告を伺っております。
医療機関も利用者も、利便性よりも不便、不利益、これ実感しているからこそ利用率が伸びないと、こういう事実に正面から向き合わないと駄目だと思います。マイナ保険証による資格確認の仕組みそのものの欠陥、これが利用率低迷の最大の要因だということ指摘したいと思います。
そういうトラブル、欠陥残したまま、今年一月から、先ほど紹介あったように、医療機関ごとに利用率が上がれば支援金を出すというマイナ保険証利用促進の取組が始まったわけです。これも三か月が経過をしております。
ところが、この間の利用率の伸びはどうかというと、〇・八七、一%も伸びていないんですよ、三か月で。実績確認してもらったら分かります。にもかかわらず、新たに五月から七月に集中取組月間をやるんだと、今度は最大、病院の場合二十万円の一時金を支給すると。これによって一体利用率はどれだけ伸びると見込んでいるんでしょうか。
○政府参考人(伊原和人君) 今回、新たに支援金の仕組みを改めるということにしました。
その理由は、ちょうど、昨年の、この六月から実施する診療報酬改定で医療DX推進体制整備加算ということを導入することを決めましたので、支援金と重なる部分がないように見直したと、こういうことでございます。
この見直した趣旨は、今実施している支援金が、やはり昨年十月の利用率からの増加量に応じた支援単価を決めて、更にそこに利用件数を加えるという複雑な仕組みになっておりまして、分かりにくいという観点がございます。また、その支援金額につきましても、それぞれ今も計算をして出さなきゃいけないので複雑ですので、今回は四段階に設定した定額の給付を行う。そういう意味で、分かりやすい、医療機関にとって分かりやすい仕組みに改めることといたしました。
こうしたことを改めることによりまして、利用促進の取組の意欲が医療機関に湧くと考えてございます。
それで、現在、具体的にどのぐらいの数字になるかというところにつきましては、利用する御本人の意向とか、あるいは医療機関の働きかけの程度によって変わってくると考えておりますけれども、例えば二月の実績を見ますと、マイナ保険証の利用率が二〇%を超えている医療機関は全国で二万四千ございます。こうした数にもなってきておりますので、それ以外の余りまだ利用が進んでいないところにつきまして、今回の支援金を御利用いただくことでより高い利用率が実現できる、そのように考えてございます。
○倉林明子君 いや、伊原局長おっしゃるように、御本人なんですよ、使うのはね。幾ら医療機関が勧めたとしても使うのは利用者で、使いにくさ、私、本当大きいなと思うのは、実感できない利便性なんですよ、現状で。こういう状況が変わらなければ、私は利用率は伸びていかないというふうに思います。大体、お金で、一時金あげるよ言うて医療機関を駆り立てるようなやり方というのは余りにもこそく的だと言いたいと思います。
一方、公的医療機関に対しては、マイナ保険証の利用率に対して、昨年十月と比較して五月末で二〇%アップ、十一月までに五〇%アップするように、これを求める通達出しているんですよね。加えて、外来患者の多い医療機関に対しては、月二千五百件を超える目標設定を明確に求めているんですね。
じゃ、これ直近の達成状況はどうなっているかと、目標を設定した医療機関、これ全体に対する率、利用率の到達どうなっているか、数字で。
○政府参考人(伊原和人君) お答えいたします。
昨年の十二月に、今年の五月とそれから十一月の利用率の目標設定を、厚生労働省の所管法人を始め公的医療機関にお願いしました。そのうち、厚生労働省所管の公的医療機関、全部で四百十ございますけれども、四百十全ての医療機関で目標が設定されてございます。
その実績でございますけれども、本年二月末時点で、五月末の目標を既に達成した医療機関は四百十のうちの二百十八ございまして、五割を超えてございます。ちなみに、この二百十八の五月末時点での目標値は二四・五%でございました。その数字を超えたところがもう二百十八ございました。
それから、その全体、四百十の医療機関全体の平均の二月末時点でのマイナ保険証の利用率は一六・一%となってございます。
○倉林明子君 確かに一般の平均よりは高いことは数字でも出ていると思いますけれども、現状で平均五パーというところを、五〇パーを超える、まあ引上げ率でですけれども、五〇パー超えるというのはやっぱり非常に高い目標になっていると思うんですね。公的医療機関だからといって、本当に、私から言わせれば、無理筋な高い目標というふうな押し付けを本当にやってええのかと、やるべきでないと思うんですね。それは指摘をしておきたいと思います。
そこで、健康保険証の廃止が今年十二月ということになりました。それまでに、利用率が半分、五〇%、公的医療機関に出している目標から推定して五〇%を超えているということが一定の目安として置いているのかなと思うんですけれども、これ、これは私の推定ですから、五〇%を超えていなくともこの健康保険証の廃止というのはやるんでしょうか。どうでしょう。
○国務大臣(武見敬三君) 委員御指摘の利用率については具体的な見込みをお示しすることは難しいんですが、マイナ保険証への移行に際しては、これはもうデジタル化とアナログへの併用期間を設けて最大一年間現行の保険証が使用可能であるほか、マイナ保険証を保有しない方々には申請によらず資格確認書を発行するなど、全ての方々が安心して確実に保険診療を受けていただける環境整備にも取り組みながら、このアナログからデジタル化に向けての移行を進めようとしております。したがって、このため、マイナ保険証の利用率にかかわらず、今年十二月以降も医療機関への受診等に支障が生じるとは考えておりません。
したがって、マイナ保険証の利用促進に積極的に取り組み、現行の健康保険証については今年十二月二日から発行を終了し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行していくつもりでございます。
○倉林明子君 仕組みはそうやって移行していくということになると、現場際ではやっぱりこのマイナ保険証が原則ということになって、資格確認の取り方というのはいっぱい方法があると、八通りも九通りもあるというような話も保険医団体から指摘がありましたけれども、やっぱり現場から出ているのは、保険証廃止ありきということで強行すれば、現場での混乱、そして国民にも混乱ということにならないかということなんですよ。
地方自治体の現場から指摘されている事項がありまして、それはマイナ保険証の二〇二五年問題だというんですよ。どういうことかといいますと、マイナンバーカードの電子証明書の有効期限が五年間なんですね。急速に普及したのが二〇二〇年の四月以降ということになりますので、交付を受けた人が順次更新の時期を迎えるということになります。二〇二五年十二月以降ということになりますと、健康保険証を廃止した後の猶予期間もこれ終わるんですよね。
こういうことから、健康保険証でもマイナ保険証でも資格確認ができないというケースが起こるのではないかと、これ実際に地方自治体の現場際からの声なんですけれども、こういう懸念について、指摘について、認識どうですか。
○政府参考人(伊原和人君) お答えいたします。
まず、マイナンバーカードの電子証明書、これ更新が必要でございますので、しっかり更新していただくことが必要でございます。そういう意味では、現在でも、有効期間満了日の三か月前に御本人の元に地方公共団体情報システム機構、いわゆるJ―LISから御案内を送付するというほか、実際、三か月を切った場合には、医療機関、薬局で資格確認を行うと、カードリーダーで、(発言する者あり)はい、アラートが出すという仕組みはございます。
でも、さはさりながら、やっぱり忘れてしまう人がいるだろうということで、やっぱり特別な対応が必要ということで、現在、今後、電子証明書有効期間満了日から三か月の間は手元にあるマイナンバーカードを活用してオンライン資格確認を行うことができるシステム改修を行うところでございます。
また、その有効期間満了日から一定期間を過ぎてもなお更新手続が行われない方については、御本人の申請がなくても医療保険者から資格確認書を交付することにしておりまして、全ての方が安心して保険診療を受けられるようにするというふうに考えてございます。
○倉林明子君 いや、ほんまに混乱すると思いましたね、今の説明聞いていても。
多くの自治体は、国保加入者のマイナ保険証の利用登録者の有効期間とか電子証明書が失効する時期というのを把握していないんですよ。これ、実際にアンケート取ったら、把握していないという回答なんですね。
加入者本人が手続をしないと資格が確認できないということなんです。新たにいろいろやりますということですけれども、システム改修も必要になってくるということは今分かりました。
窓口で十割負担の利用者、これまた増えるというようなことになったら本当に困るのが保険加入者なんですよ、利用者なんですよ。あってはならないと思います。いかがでしょう。
○国務大臣(武見敬三君) マイナ保険証を利用する方々に確実に電子証明書を更新していただけるよう、関係機関と連携をして周知徹底いたします。
その上で、さらに、更新手続を忘れ、有効期間を過ぎてしまっても、一定期間はお手元のマイナンバーカードを利用、活用して資格確認が可能となるよう、今後必要なシステム改修を行います。そして、一定期間を過ぎてもなお更新手続が行われない方々については、申請によらず資格確認書を発行いたします。
このように、電子証明書の更新忘れにより十割負担となるような事態が生じないよう必要な対応を講じることとしておりまして、全ての方が安心して確実に保険診療を受けていただけるよう環境整備に取り組んでまいります。
○倉林明子君 いや、あのね、十割負担、保険料払っていて、窓口に行って資格が確認できないからって十割負担になる、大問題になったんですよ。そんなことあっちゃならぬでしょうということ、一言も答えていない。どういうこっちゃと。もう一回答えていただきますので、そこは明言をしていただきたい。
最後にお聞きします。
現行健康保険証、これ今年十二月に廃止するというようなことは、今後のいろんな出ている現場からの懸念も踏まえれば、廃止方針を一旦やっぱり撤回すべきだと思います。決断を求めたい。
○国務大臣(武見敬三君) まず、先ほどの十割負担生じるようなことにはならないように、対策しっかりとやっておきます。
それから、マイナ保険証、これは、やっぱりこれからデジタル化を進めていく上で必須のパスポートであります。今後、医療DXのパスポートとしてこれますますメリットが増えてまいります。デジタルとアナログの併用期間を設けることで、今年十二月以降も全ての国民が安心して確実に保険診療を受けていただける環境整備に取り組むこととしております。
このように、必要な配慮もしっかりと講じた上で、マイナ保険証のメリットを早期に最大限発揮することが重要と考えております。
現行の健康保険証の発行は今年十二月二日に終了をし、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行することとしております。また、今後、五月から七月までをこのマイナ保険証利用促進集中取組月間としてマイナ保険証の利用促進に総力を挙げて取り組み、そしてスムーズな移行ができるように最大限努力をしていきたいと思います。
○倉林明子君 あのね、便利になっていないんですよ、今。これからそういう機能も増やしていくという説明あったとおりで、今々、医療保険部会の委員からもどういう指摘があったかといったら、マイナ保険証は現実には今患者さんが受けられるメリットは余り多くないって言われているんですよ。
だから、こういう事態踏まえて、私が言っているだけじゃないんですよ。昨年三月以降、地方議会から提出された健康保険証廃止に対し……
○委員長(比嘉奈津美君) 時間が過ぎておりますので、おまとめください。
○倉林明子君 存続、延期を求める意見書は百三十一件になっているんです。どんどん広がっています。こういう声をしっかり受け止めるべきだ。
終わります。