倉林明子

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リスク明らか 停止を要求 マイナカード保険証(2023/5/16 厚生労働委員会)

 日本共産党の倉林明子議員は16日の参院厚生労働委員会で、マイナンバーカードと一体化した健康保険証に別人の情報がひも付けされ診療情報が閲覧されていた原因の徹底究明と再発防止等を求め、マイナンバー法案の廃案を主張しました。

 別人情報のひも付けは7312件にのぼります。倉林氏は厚労省が問題を最初に把握した時期を質問。同省は2021年11月に最初のケースを把握し翌月公表したと答えました。

 倉林氏は、河野太郎デジタル相が、誤入力の防止がマイナ保険証のメリットだと説明したが、「明らかに誤入力を起こしている。短期間での大量の入力手続きが医療保険運営団体に過重な負担をかけている」と指摘。「問題が判明しながら長期間放置し、マイナカードの普及をやみくもに進めてきた責任は極めて重大だ。情報が別人に閲覧されるなどあってはならない」とただしました。

 加藤勝信厚労相は「大変申し訳ない。丁寧な対応を行ってきたし今後も続ける」と答弁しました。

 倉林氏は「原因の徹底究明と情報の修正、再発防止策までしっかり整え、国民への丁寧な説明が必要だ」と述べ、利用のいったん停止、たらい回し状態の相談窓口の改善などを要求。「(一体化で)明らかになったのはリスクだ。法案の連合審査を行い徹底審議の上で廃案にすべきだ」と主張しました。


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 マイナ保険証に別人の情報がひも付けられていたということが発覚しておりまして、事実確認をしたいと思います。
 発覚した五件のことについて、厚労省が確認を行うように健保など医療保険の運営団体に通知を出したと、これ、令和四年一月が最初かと。令和四年の一月が最初で、今年四月十四日に改正分で出しているのかというふうに通知見て思いましたけれども。
 一つ、別人の情報が閲覧できる状態にあることを最初に厚労省が把握したのはいつか。二つ目、別人情報がひも付けされていたのは、確認されたのが七千三百十二件ということですけれども、これ以外に点検漏れがないと言えるのかと。三つ目、こうした事態について大臣はいつ知ったのか。三点、簡潔にお答えください。

○政府参考人(伊原和人君) お答えいたします。
 まず、お尋ねのオンライン資格確認の仕組みの中で、別人のひも付けが行われて閲覧された事例があったのをいつ把握したのかという御質問だと思いますが、令和三年十月二十日にこのオンライン資格確認は本格運用されました。同年十一月に、保険者から正確なデータが登録されなかったために別の方の薬剤情報が閲覧された事案が一件発生しております。
 それを受けまして、この事案につきまして、同年十二月の社会保障審議会医療保険部会において公表し、それ以降、必要な対策を講じてきたところでございます。それが一つ目のことでございます。
 それから、二つ目でございますけれども、今は閲覧された事例ですが、それ以外に、異なる個人番号の登録が判明した事例と、こういうのがございます。これは、令和三年十月から昨年十一月末までの間に、オンライン資格確認の実施機関でございます社会保険診療報酬支払基金と国民健康保険中央会、これが、新規加入者のデータのチェック、システム的なチェックを行ってございます。それから、保険者も自主的なチェックを行っております。こうしたプロセスの中で、このひも付けが間違えていた事例が全部で七千三百十二件となってございます。
 こうしたチェックは、例えば、転職などによって保険が変わったような場合については継続的に今も実施してございまして、もしその連携前に確認していて、もし疑問があるようなものがあれば、その都度保険者において改めてデータの確認、修正を行うと、こういう作業を行ってございます。
 それから、大臣への、あっ、はい。

○国務大臣(加藤勝信君) 私の認識ということであります。
 まず、大臣になる前に、今お話がありました令和三年、ちょっと正確に私は記憶しているわけじゃなかったんですが、令和三年十二月に公表されていたということ、そのことは、そうした事案があったということですね、そのことはまず認識をしておりました。
 それから、七千三百十二件、これはその前のも含めてでありますが、これについては本年二月の検討会において公表されたわけでありますが、その事前の段階において私も報告を受けていたところでございますし、さらに、五月の八日、五月の九日の段階ですね、マイナンバーカードに別の人の情報が付されているケースが更にあったということを、これは秘書官経由で報告を受けたところであります。

○倉林明子君 誤入力を妨げることがマイナ保険証のメリットだと、五月十二日の委員会で河野大臣が言っているんですよね。明らかに誤入力を起こしているんですよ、これね。誤入力を防ぐシステム設計になっていなかったということが露呈したと思うわけですね。
 短期間で大量の入力手続が医療保険運営団体にもう過重な負担になっていたというのは、これは明らかだと思うんですね。個人情報の漏えいというのは、国民の信頼を大きく失墜するものですよ。問題が判明しながら、長期にわたってシステムとしてこういう誤入力防ぐというような必要な改修してこなかった、放置してきたんですよ。その間も、マイナンバーカードの普及というのをもうやみくもに進めてきたと、この責任極めて重大だと思うんですね。
 最もセンシティブな個人情報が別人に閲覧されるなど、もうあってはならないミスですよ。大臣にそういう認識はありますか。

○国務大臣(加藤勝信君) まず、それぞれの方にとって、個人情報、特に薬剤情報等はまさに個人情報そのものと言ってもいい情報だと思っておりますので、そうした事案が、他者に対して結果的に開示されるといったことがあったということ、これは大変申し訳ないことというふうに思っておりますし、まさにこうした利用、こうしたオンライン資格確認を含めた利用をしていただくためにも、システムに対する信頼といったものが非常に大事でありますので、そうした信頼を毀損することがないよう、保険者における迅速かつ正確なデータの登録の徹底、またそのための仕組み、こういったことをしっかりと更に構築をしていきたいと考えておりますし、またこの間も、今そうした対応を取らさせていただいているところでございますが、若干システムの改修等が伴うものについては施行の時期が少しずれているというものもございますけれども、一つ一つ、問題が生じたことに関して、それに対して丁寧に対応させていただいていますし、今後とも、そういう対応を続けていきたいと考えております。

○倉林明子君 いや、漏れていたという実態があったということは、私、重大だと思っているんですね。最も守られるべき個人情報なんですよ。これが閲覧できる事態になっていたということ、これは本当にあってはならないことなんですよ。
 難病団体からは、軽症者に今度発行されるように登録証がなるんですけれども、それがマイナンバーカードに連携されるということに対して、非常に不安の声がこの報道を通じて寄せられております。本来、発覚した時点で、私はこうした個人情報の性格からも、利用を停止すると、そして原因の徹底究明、情報の修正、再発防止、ここまでしっかり整えて国民に丁寧な説明をすると、こういうことが必要だったということを言いたいと思うんですね。
 今からでも、今からでもですよ、一旦利用を停止すべきだと思う。厚労省として直ちに相談窓口を設置する必要ありますよ。今あるっておっしゃいますけどね、実際に掛けた人がたらい回しに遭っていますよ。直接そこでワンストップで解決できるような相談窓口が必要です。迅速で丁寧な説明が求められると思います。いかがですか。

○国務大臣(加藤勝信君) まさに、御指摘含めて、相談窓口等を国民向け、マイナンバー総合のフリーダイヤル、また、自身が加入されている保険者、こうした方にお問合せをいただき、御相談いただければ、いずれもオンライン資格確認等システムの実施機関である社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険中央会と迅速に連携し、適切に対応することとしております。また、こうした窓口も、厚労省やデジタル庁のホームページなどを通じて周知を図っているところでございます。
 御指摘、たらい回し等の事案があるという御指摘ございますので、それはしっかり受け止めて、一つ一つの御相談に的確に対応させていただきたいと思っております。
 それから、今後こういう事態がないように、既に、具体的には事務局から、必要があれば説明させますが、対応も取らせていただいているところでございますので、今後こういったことがないように取り組んでいきたいと思っております。
 また他方で、このマイナンバーカードにおけるオンライン資格確認、昨年と比べても大幅に利用が拡大されており、現場においては、薬剤情報等様々、それぞれ、利用できる情報を活用して、より良い医療が着実に浸透していただいているというふうに考えておりますので、そういったことはしっかりと維持をしながら、しかし一方で、御指摘の点に対しては的確に対応し、こうしたことが今後起こらないようにしていきたいと考えております。

○倉林明子君 マイナンバーカードを利用促進すると、メリットはすごく強調されてきたんだけれど、明らかになったのは、あってはならないリスクなんですよ。こういうことが明らかになったということで、改めて私は、マイナンバー法案の連合審査を直ちに申し入れるように、協議を改めて求めたい。
 その上で、印鑑登録でのトラブルも今日報道、あっ、印鑑証明、印鑑登録やね、古い印鑑登録が、もう切れているやつが交付されたということが今日の昼の報道でも出ていました。このマイナンバーカードの保険証に限らず、いろんなトラブルが今相次いで起こっているんですよ。
 こうしたマイナンバー法をもう拙速に、これ法案を通すなんということは到底納得できません。徹底審議の上、廃案にすべきだと、ここは求めておきたい。
 協議をお願いします。

○委員長(山田宏君) ただいまの件につきましては、後刻理事会で協議をいたします。

○倉林明子君 それでは次に、裁量労働制について伺います。
 二〇二四年四月一日から、専門業務型裁量労働制の対象業務が政省令の改正のみによって拡大されるということになりました。労政審での合意を踏まえたとしているわけですけれども、裁量労働制の拡大を法改正なしに実施するなど、私は国会軽視も甚だしいと言わざるを得ません。
 一八年の働き方改革で裁量労働制部分が、拡大部分が法案から削除された理由は何だったのか、簡潔に御説明を。

○政府参考人(鈴木英二郎君) お答え申し上げます。
 平成二十五年度労働時間等総合実態調査の裁量労働制に係るデータに関します公的統計としましての有意性、信頼性に関わる問題が生じましたことから、御指摘のあの裁量労働制、企画業務型裁量労働制の改正につきましては、御指摘の法案から削除したものでございます。

○倉林明子君 裁量労働制の方が労働時間が短いという当初のデータの間違いがあったわけですよね。
 新たに拡大する銀行、証券会社のMアンドA業務について確認したいと思うんですよ。対象労働者数はどれだけあるのか、そのうち裁量労働対象者の見込みはどうつかんでいるか。二つ目、実労働時間、時間外・休日労働の実態はどうなっているか。どうですか。

○政府参考人(鈴木英二郎君) MアンドA業務に関します労働者に限定した人数は把握してございませんけれども、令和二年の国勢調査によりますと、この業務が属しますその他経営、金融、保険専門職業従事者につきましては二千七百十名となってございます。
 それから、労働時間でございますけれども、これも直接の業務に関係する数字は把握してございませんけれども、令和四年の賃金構造基本統計調査によりますと、その他の経営、金融、保険専門職業従事者につきましては、一か月の所定内実労働時間数の平均が百六十八時間、超過労働時間数が平均で十四時間となっておるところでございます。

○倉林明子君 いや、今説明あったように、限定してつかめているという数字じゃないんですよ、今のね。で、限定してこれ拡大するんですよ、業務は。だけど、そもそもMアンドA業務だけやっている銀行員ってどれだけいるのかというのはつかめていないんですよね。資金調達業務など必ずセットになるんじゃないのかとか、他の一般の業務はやっていないと、こういう労働実態があって初めて議論の対象になるものだと私は思うんですよ。
 企画業務型の対象拡大は法定事項という確認はされております、労政審で。しかし、専門型ならなぜ告示の改正で可能となるのか、御説明を。

○政府参考人(鈴木英二郎君) 企画業務型裁量労働制につきましては、対象業務の内容が法律に規定されていますことから、その範囲を超えまして対象業務を変更する場合には法律の改正が必要となるところでございます。
 他方で、専門業務型裁量労働制の対象業務につきましては、法律に基づきまして、労働基準法施行規則及び告示によりまして対象業務が限定列挙されていることから、この告示の改正又は省令の改正によりまして対象業務に係る改正が可能でありまして、これまでもそのような運用をしているところでございます。

○倉林明子君 裁量労働制は、企画型、専門型にかかわらず、実労働時間をみなし労働時間に置き換えるということで、使用者は、労基法上の労働時間等の把握が免れるということになります。実態として長時間労働を招いて、時間外労働に対する不払など、労働者保護の後退につながっているということで、実態としては長時間になっているじゃないかということが大問題になったわけですよ、国会で。それで、その裁量労働制の拡大については削除せざるを得ないという状況になったわけですよね。前回、法改正時に裁量労働制全体に係る改正事項を削除したと、こういう議論を踏まえれば、告示だけでできると、できるからやったというのはあしき先例になるということを言いたいと思うんですよ。
 厚労省は、二〇一九年に裁量労働制の適用労働者の実態把握を行っております。その中身で見てみますと、実態としてどうなっているかということで、労働時間は、非適用者と比較しますと週平均二時間長いんですね。深夜労働、持ち帰り残業の頻度も高いですよ、非適用者と比べると。で、過労死ラインで働く人、この割合比べてみますと、非適用者の一・五倍になっているんですよ。その上、残業代見合いということで、実労働時間、残業時間をカウントしないので、特別手当ということで支払われるということになるんだけれども、これ、支払われていない割合が、専門型で四九%、企画型で三六%という数字も出ているんですね。
 裁量労働制の拡大に踏み込めるような実態改善があると私言えないと思うんだけれども、大臣、いかがですか。

○国務大臣(加藤勝信君) 裁量労働制の議論をしたとき、ちょうど私、最初の厚労大臣をしておりまして、今お話を聞きながら、当時のことをしっかり記憶をしているところでございますが、今回厚生労働省が行った裁量労働制実態調査やその分析結果では、御指摘のように、一日の平均実労働時間数は適用労働者の方が若干長い。他方で、裁量労働制適用労働者の制度適用への満足度は高く、制度運用によって労働時間が著しく長くなる、処遇が低くなる、健康状態が悪化するとは言えないといったことがそこから見えてきているということでもあります。
 あのときの議論も、もう一回きちんとした実態を把握した上で議論をしましょうということになり、そして、今回こうした実態調査、また、実態調査についても、どういう形でやるのかも含めて、専門家の方の御意見も聞いて実施をさせていただいたわけであります。
 したがって、今回のそうした結果、あるいは回帰分析の結果を見ると、裁量労働制適用労働者の方が非適用労働者と比べて一週当たり労働時間は長いものの年収は高い、あるいは健康状態が良いという確率が高いといった、先ほど申し上げたようなことがそこから見えてきたわけであります。それを踏まえて、業務の遂行に質の高い専門能力が必要かなどの業務の性質、業務命令の在り方、その他業務の遂行方法といった観点から労働政策審議会において丁寧な議論を行っていただき、専門業務型裁量労働制の対象にふさわしいと公労使で合意されたことを受けて実施をされるものであります。

○倉林明子君 今、一部を紹介されたんだけれども、私も中身で問題だと思うところを紹介しました。
 この調査で、みなし労働時間を知らないという適用労働者が四割に達しているんですよ。労働時間の把握というのは自己申告が三割なんですね。私、今やるべきは、裁量労働制で実労働時間が正確につかめていないという、こういう実態があるんです。そういうところを解決していくということが今やるべきことじゃないかと、対象拡大じゃないと思います。いかがです。

○国務大臣(加藤勝信君) 現行の裁量労働制においても、適用労働者の健康を把握するため、労働時間の状況の把握が求められており、その把握方法は、原則として客観的な方法によることとされております。
 裁量労働制の見直しに関する労政審の議論を踏まえ、今般、裁量労働制の適用労働者に係る労働時間の状況の具体的な把握方法について、タイムカードによる記録、パーソナルコンピューター等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法とすること、やむを得ず客観的な方法により把握し難い場合には、一定の措置を講じた上で、自己申告により把握をすることが可能であることをより明確にすることとしております。
 また、現在も、把握した労働時間の状況を基に健康・福祉確保措置や医師の面接指導を実施することとしておりますが、裁量労働制実態調査結果に基づく分析によると、裁量労働制適用労働者の健康状態が制度適用に悪化するとは言えないという結果ともなっております。
 今回の見直しに当たり、制度運用の同意を得る際に、みなし労働時間を含む制度の概要について明示し説明することを改めて徹底することとしております。
 今後とも、実際の労働時間を踏まえ、健康確保のための措置の実施を始めとした適切な制度運用が徹底されるよう周知等を行い、また、制度の適正な運用を図りたいと考えております。

○倉林明子君 いろいろ改善措置とるって言うんだけれども、労働安全衛生法の範囲なんですよね。結局罰則ないから、こういう裁量労働制の中で長時間労働ということが生まれやすいんですよ。過労死を本当に防ぐためには実労働時間を把握すると、これがやっぱり大前提だということを言いたい。最低限なんですよ。
 使用者側の使い勝手がいいという働かせ方を拡大すると、こういうことに対して、労働者を保護するという毅然とした厚労省の役割の発揮を強く求めたい。
 終わります。