倉林明子

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病床確保 根拠示せず コロナ5類化 公費縮小批判(2023/4/18 内閣委員会・厚生労働委員会連合審査会)

(資料があります)

 日本共産党の倉林明子議員は18日、参院内閣委員会・厚生労働委員会連合審査会で、政府が5月8日から新型コロナを季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げるのに伴う公費医療の縮小を次々と打ち出しているため、医療機関や患者に深刻な影響が出ている問題をただしました。

 新たなオミクロン株への置き換えが始まっている中、政府は「第8波」当時と比べ1・6倍に相当する約8200の全入院医療機関でコロナ患者を受け入れる目標を掲げていますが、倉林氏はこの目標の達成が可能だとする根拠を質問。加藤勝信厚労相は何の根拠も示せませんでした。

 倉林氏は、政府が病床確保料半減の方針を示したことで、「コロナ病床の削減・廃止にかじを切る病院が出ている。全病院での受け入れは非現実的だ」と批判しました。

 さらに、5類移行で検査も治療も公費支援が縮小されるのに加え、医療費の自己負担増がもたらす受診控えの影響を検証したのかと追及。加藤厚労相は「具体的な分析はしていない」と無責任な姿勢を示しました。

 倉林氏は、昨年10月から75歳以上で一定の所得がある高齢者の窓口負担を2倍化したことで、すでに「受診控えが始まっている」と指摘。「高齢者が医療にアクセスできず亡くなることは絶対に避けるべきだ」と強調し、コロナの5類への引き下げを撤回し、公費支援を継続するよう求めました。


位置づけ変更に伴う医療提供体制の見直し


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 政府は、オミクロン株の大きな変異がない限り五類への移行を五月八日とする方針の下で、今後の特例措置の終了ということを次々と打ち出しているわけです。第九波は、先ほども御紹介あったように、既に始まっているんじゃないかというような専門家の指摘もあるところです。
 そこで聞きたいのは、オミクロン株の特徴に大きな変異がなくとも、感染者数が増加すれば死者数の増加にもつながると、これは明らかだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) まさに、七波、八波のときにその重症度は下がったわけでありますが、感染性が上がったという中で、特に高齢者等を中心に亡くなる方が増えたというのは、これは事実だというふうに思います。

○倉林明子君 オミクロン株に変異がなくとも、九波というリスクはあるということなんですよね。オミクロン株の脅威は何かというと、感染力、伝播性の強さにあるということです。感染者に対する死亡率というのは低くとも、感染者数が増えれば、医療にアクセスできないまま多くの高齢者の命失われると、奪うということにあるんだというふうに思うんですね。コロナが直接の死因でなくとも、コロナにかかっていなければ助かったはずの多くの命があったと。私は、五類移行というときに、こういう多くの命が七波、六、七、八と奪われたんだということに対する認識が本当に欠如しているんじゃないかというふうに思っているんです。
 新たなオミクロン株への置き換えも始まっております。五類への移行ということで、医療提供体制がそれで果たして確保できるのかということで、一枚資料付けておりますけれども、医療提供体制の見直しということで示されております。これ、第八波のピーク時に確保していた数字と比べて、入院医療機関数で見ますと一・六倍と、全てで、全ての医療機関で受入れを目指すとしているんですけれども、この数字が可能だとした根拠は何でしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) 今委員御指摘の七波、八波の経験を通じて、むしろその重篤度は下がる中で、基礎的疾患がある方々等がその疾患を重症化されたりという等々で亡くなる事例、まさに医療提供体制も幅広い形で受けていくということが必要だと。こういう認識に基づいて、これまでの限られた医療機関による特別対応から幅広い医療機関による自律的な通常体制に移行することで、全ての病院において新型コロナに対応して、を目指したいと考えております。
 具体的には、位置付け変更前に確保病床を有していた約三千の重点医療機関等は重症者、中等症の患者の受入れへと重点化を目指すこととした上で、それ以外で既に受入れ経験がある約二千の医療機関を中心に新たな軽症等の患者の受入れを積極的に促し、特に高齢者を中心に地域包括ケア病棟等で受入れを積極的に推進していくとともに、受入れ経験がない医療機関にも受入れを促していきたいと考えております。
 移行を進めるに当たっては、設備整備等の支援等々をしっかり図っていくということでありますし、同時に、各都道府県において、地域の実情に応じて新たな医療機関における受入れ拡大の具体的な方針や目標等を盛り込んだ移行計画を策定して今いただいているところでありまして、これを通じて、新型コロナに対する医療機関の維持拡大を促していきたいと考えております。
 なお、既に幾つかの都道府県からヒアリングしたところでは、例えば新たな医療機関による受入れについては、まずは軽症患者を中心とした受入れから始め、計画期間の後半から中等症Ⅰの患者の受入れを本格化するなど、地域の実情に応じて円滑な移行に向けた計画策定が進められているものと承知をしているところでございますので、先ほど申し上げた、全ての医療機関あるいは全ての、できる限り多くの診療所においてこの新型コロナが対応していただける、そうした形に円滑に移行していきたいと考えております。

○倉林明子君 今の、根拠の説明じゃなくて希望的な説明に聞こえたということは指摘したいんですけれども。
 五類への移行で病床確保料がこれ半減ということで、既にコロナ病床については削減、廃止の方向にかじ切っていると、こういう病院が出始めております。要は、経営上の観点から病床を確保し切れないということで減っているんですよ、実際には、やっていたところが。
 オミクロン株の伝播性強いと、これ変わってないわけですよね。変異しなくても伝播性は強いんですよ。感染対策が取られていたいわゆる重点のような医療機関であってもクラスターの発生が避けられなかったんですよ。オミクロン株の感染力の強さから、三千か所の重点医療機関、ここで何が起こったかと、医師や看護師、スタッフまで感染広がって、受入れ病床確保できないと。
 結局、そういうことから、受入れ経験がなかった医療機関でも、これ二千ということで今数字もありましたけれども、これ受け入れざるを得なくなったんですよ。発生しても転院させることできなかったんですよ。そういう実態があったわけですね。
 地域包括ケア病棟とか精神科病院も含むと、これ全病院の数ですよね、これ八千二百と、全病院を対象にしていくと。これ、希望としては分かるけど、実際のオミクロン株の感染状況、七波、八波の状況を見たら、全病院で受入れをしていけるというようなことは極めて非現実的だと申し上げたい。
 外来ではどうかと。既にPCR検査やればやるほど損失になるというところもあって、季節性インフルエンザ並みに受入れ外来を増やすという目標になっているんですけれども、これどうやって確保するのか。いかがでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) 病床確保料については、実態を踏まえながら、会計検査院からもいろいろ御指摘もありますから、それを踏まえた見直しを図りながら、まず、医療関係者ともよく連携を取らせていただいているところでございます。
 それから、外来のお話がありました。移行に当たっては、先ほど申し上げた設備整備等の支援をしっかり行っていく等に加えて、受入れ患者をかかりつけの患者に限定している医療機関もございますので、そういったところに対しては、地域の医師会とも連携の上、患者を限定せずに診療に対応していただくよう促していきたいと考えています。
 また、外来で新型コロナウイルスの感染症の陽性が確定した患者の入院先の調整という課題があります。これについては、医療機関間で病床の状況を共有するためのシステムの活用の推進、また、個々の外来医療機関における対応を支援するため、地域の医師会等と連携した取組を進めるなどによって円滑な入院調整も支援行っていきたいと思っておりますし、また、それに応じて診療報酬等の見直しも図ったところでございます。
 こうした取組を通じて、季節性インフルエンザの診療機関数である約六・四万の診療機関等において広く対応をしていただけるよう取り組んでいきたいと考えているところでございます。

○倉林明子君 季節性インフルエンザと新型コロナって違うんですよね。だからこそ、外来にも手厚い支援も行いながら四・二万の外来の医療機関でできてきたんだけれども、これ、特例措置をやめるということになっていきますと、こっちでも同様に撤退、逆に受けたら損になるというようなことで、撤退する動きも起こってきておるんですよ、実際にね。コロナ患者を診れば診るほど外来でも入院でも赤字になるというようなこと想定されます。そういう構図になっていますよ。
 で、入院調整もやらないということになります。そうなると、七波、八波を超えるような感染状況になるかどうかというのはまだ分かりません。分からないけど、そのリスクはあるわけですよ。そういう意味で、もうこれで、五類対応で支援は打切りだということになっていきますと、救急搬送困難、さらには入院できない状況、これ悪化させることにつながりかねないと思います。
 五類移行によって、感染者数や死者数の把握方法がこれ大きく変わります。先ほど議論もありました。リアルタイムで感染状況がつかめなくなるということで、対策の遅れが生じるリスクが高まります。一部の自治体で、死者数の収集は続けて傾向を把握するというようなことも紹介されていましたけれども、一体どの自治体でどんな基準で死者数を把握していくのか、公表はどうするのか、簡潔に御説明を。

○政府参考人(佐原康之君) お答えいたします。
 新型コロナの死亡者数につきましては、これまで自治体に対して、新型コロナに感染した方が入院中又は療養中に死亡した場合に、新型コロナが死亡の原因か否かを問わず把握し、公表することを求めてまいりました。新型コロナ感染症法上の、新型コロナの感染症法上の位置付け変更後は人口動態統計での把握が基本となりますけれども、より早く死亡の実態を把握することについて、四月十二日の厚生科学審議会感染症部会で御議論いただいたところです。
 具体的には、まず、協力の得られる自治体を対象として、新型コロナ感染の有無を問わない総死亡者数を迅速に報告いただき、そのデータを基に、死亡日から一か月以内を目途に、超過死亡、過少死亡の有無及びその推移を公表する予定としております。

○倉林明子君 感染者数の全数把握というのは、もう既に一部、漏れるというか崩れています。死者数というのは、感染拡大の後から増加傾向が現れると。その死者数についてはもう把握やめますということで、もう二か月後にしか分からないし、死因別だったら五か月後になるというわけですよね。私、病床確保が、こういう把握の仕方になっていくと、これ急速な感染拡大の兆候の時点でつかめなくなると、これ後手に回ると、病床確保が、そういうことにつながりかねないということ、強く指摘したいと思うんですよね。
 五類移行で受診控えが想定されると。これが新たに増える医療費の自己負担になります。九月末までの軽減措置をとるということですけれども、検査、治療、公費支援はなくしていくと。受診控えの影響について検証されたんでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) ちょっとその前に、死亡者数、確かにそういう状況でありますが、一方で、入院に関してはG―MIS等を使って把握をしていくということでありますから、まさに先ほど答弁させていただいたように、重層的な対応で状況をしっかり把握できるよう努力をしていきたいと思っております。
 それから、自己負担の関係でありますけれども、新型コロナの検査や治療に係る医療費の自己負担分については、新型コロナの感染症法上の位置付けの変更に伴い、現在行っている公費による見直しを、支援を見直すこととしております。その際には、他の疾病との公平性、これを踏まえて急激な負担の上昇にならないよう見直すということでございますので、どの程度の受診控えが起きるかということについて具体的な分析をしているわけではありませんけれども、公費支援の一部を九月末まで、季節性インフルエンザの対応等を踏まえて継続することにしたところでございます。

○倉林明子君 既に負担を増やした後期高齢者医療制度、医療の方ではもう受診抑制始まっているという調査が、全日本民医連等でされております。コロナにかかった人が適切な医療を受けることができずに亡くなっていく事実というのをどうやって解決していくのかと。なぜ自宅療養で医療を受けられずに亡くなったのか、介護、社会福祉施設等での留め置きによる亡くなる人をなぜ防げなかったのか、医療の逼迫はなぜ起こったのか、コロナ前の保健医療提供体制までこれ遡ってきっちり検証しないと、繰り返すと思います。これ、後藤大臣、いかがですか。

○委員長(古賀友一郎君) 時間となっておりますので、簡潔にお答え願います。

○国務大臣(後藤茂之君) 御指摘の医療逼迫の原因につきましては、昨年六月の有識者会議の報告書において、病床確保に必要な対応等に係る具体的な運用に関して予防計画や医療計画の連携が不十分であったことや、個々の医療機関が果たすべき役割が具体化されていなかったこと等が挙げられておりまして、昨年十二月には医療法の改正等も行いまして、数値目標あるいは協定の締結、そうしたことに取り組んでおります。
 今後とも、しっかりと、都道府県における医療提供体制確保に向けた取組の状況を、厚生労働省と連携して、統括庁においてもしっかりとPDCAサイクルを回して捕捉して、強化に取り組んでまいりたいと思います。

○委員長(古賀友一郎君) 時間ですので、まとめてください。

○倉林明子君 はい。
 五類移行でこれ高齢者がまた再び医療にアクセスできずに亡くなるというようなことは本当に避けなければならない。拙速な五類移行は撤回を求めて、終わります。