倉林明子

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訪問販売 規制強めよ 特定商取引法(2023/4/14 消費者問題に関する特別委員会)

(資料があります)

 日本共産党の倉林明子議員は14日の参院消費者問題特別委員会で、特定商取引法が規制している訪問販売や電話勧誘販売について規制の強化などを求めました。

 特定商取引法では、訪問販売や電話勧誘販売で消費者が契約を締結しない旨の意思表示をした場合の勧誘を禁止していますが、消費者庁は「訪問販売お断り」のステッカーや迷惑電話防止機能を意思表示とは認めておらず、消費者が不本意な対応を強いられるケースがあります。

 倉林氏は、京都府では条例でステッカーも意思表示と認めているとして、「ステッカーを張るという行為そのものが明確な意思表示だ」と指摘し、法制化を要求。電話勧誘販売にも、登録した電話番号への勧誘を禁止する「do―not―call制度」の導入を求めました。

 さらに、勧誘行為を他の業者に委託する事例が増えていると指摘し、勧誘代行業者への法規制を要求。河野太郎消費者担当相は「販売業者と連携している場合は特商法の対象となる」と答弁。倉林氏は「法的位置づけが必要だ」として、特商法の抜本改正を求めました。

 また倉林氏は、若年消費者に脱毛エステ被害が広がっているとして、小学校高学年や中学生から消費者教育を行うよう要請。河野担当相は「やっていかないといけない。文部科学省とも相談したい」と答えました。


京都市の解釈により生じている矛盾


若者の消費者トラブルの状況と要因


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 特定商取引法では、被害の多い特定の取引について、類型して取組をしているということです。今日は、訪問販売、電話勧誘販売に関わってお聞きしたいと思います。
 この二つの類型で、高齢者や障害者の被害の状況と特徴、簡潔にで結構です、御説明をお願いしたい。

○政府参考人(植田広信君) お答えいたします。
 消費生活相談全体のうち、六十五歳以上の高齢者からの相談が占める割合でございますけれども、二〇二一年は約三割、約二十五万件となるなど、高水準で推移をしております。迷惑メールや不審な電話、覚えのない荷物や架空請求等の相談が多くなっております。とりわけ、認知症等の高齢者につきましては、本人が十分に判断できない状態にあるため、訪問販売や電話勧誘販売による被害に遭いやすいという特徴がございます。高齢者全体では、本人から相談が寄せられる割合が約八割を占めておりますけれども、認知症等の高齢者では約二割にとどまっているという状況でございます。
 また、障害者等の消費生活相談についても同様でございまして、判断力の不足や契約内容への理解不足でトラブルになっていると思われるケースが見られており、本人から相談が寄せられる割合は約四割というふうになっております。
 こうしたことを踏まえまして、消費者庁では、福祉関係者や民間事業者、消費生活センター等の地域の関係者が一体となって、このような消費者を見守る活動を推進しておるというところでございまして、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

○倉林明子君 障害や判断力の低下、認知症のところの数字も紹介ありましたけれども、勧誘を断ることがそもそも難しいという消費者の被害を防止するということを進めていこうと思うと、これ本人の要請や同意がない限りそもそも勧誘させないということがもう大事だと思うんですね。
 そこで、まず訪問販売について伺います。
 特定商取引法第三条の二第二項では、訪問販売において、消費者が契約を締結しない旨の意思を表明した場合、事業者が勧誘を行うことは禁止しております。
 そこで確認なんですけれども、訪問販売お断りと明記したステッカーなどを家の門戸、門扉等に貼付することは、特商法の同項で定める契約を締結しない意思、これ表示したということになるのかどうか。

○政府参考人(真渕博君) お答え申し上げます。
 特定商取引法第三条の二第二項で定める契約を締結しない旨の意思ですけれども、これは、実際に契約の勧誘が行われた際に、当該契約を締結しない旨の意思、すなわち断りの意思を表示した消費者に対する勧誘を禁止する規定でございます。契約の意思がないことを明示的に示すものがこれに該当いたします。
 委員御指摘のような訪問販売お断りと記載されたステッカー等を家の門戸に貼付するということは、意思表示の対象や内容が不明瞭でございますので、特定商取引法第三条の二第二項で定める契約を締結しない旨の意思の表示には該当いたしません。

○倉林明子君 そうなんですよね。消費者庁の解釈では、こういうステッカーを貼っても意思表示とみなされないということになるわけですね。訪問販売協会の反対もあって見送った経過もあるというふうに伺っているわけですが、実態として被害はこれ続いているわけです。
 一方、これ京都府は、条例及び施行規則の逐条解説によって、訪問販売お断りというふうに明示したステッカーが貼ってあることは拒絶する旨の意思表示に当たるというふうに解説、説明しているんです。
 京都府条例で、なぜこうした解釈が可能になっているのか。

○政府参考人(真渕博君) お答え申し上げます。
 今委員御指摘ございました京都府の条例につきましては、京都府が自治事務として訪問販売の不適切な取引行為について独自の規制を設けて、その解釈を示しているものというふうに承知をしております。

○倉林明子君 それ自治事務でできるんですね。
 そうなると、どういうことが起こっているかといいますと、一枚目の資料にお付けしておるもの見ていただきたいんですけれども、京都府と京都市というのは、真ん中に京都市がありまして、南北に京都府の所管ということになっているんですね。政令市でありますので独自に条例制定ができるということで、京都市の消費生活条例では消費者庁と同じ規定になっているんですね。だから、シール貼ったからといってお断りしたと意思の表示に該当するかというと、しないという規定になっておりまして、同じ京都府に住んでいるんだけれどもステッカーの効用が違うと、こういう矛盾があるよということで京都弁護士会からも紹介あったものなんですけれども。京都市では、そういう上で、解釈が自治事務で上乗せできるというのはそれはそれで理解できるんだけれども、こういう矛盾も生まれるんですよね。
 まず、解釈統一すべきじゃないかなというのが一点、その上で、法律上もお断りの意思を表示しているというふうに明記すべきじゃないかというふうに思います。これは大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(河野太郎君) 特商法で全国一律に消費者保護を目的に規制を設けておりますが、それぞれの地域で悪質な訪問販売をその地域の事情によって規制をするというのは、これはもう自治事務で可能でございます。
 隣同士でルールが違って混乱をするというようなことがあった場合には、それはもう自治体同士で御相談をしていただくということになろうかと思います。

○倉林明子君 要は、訪問販売お断りというふうに明示していても、あえて訪問すると、そういうこと自体、私は悪質だというふうに思うんですね。ステッカーは自ら貼るという行為そのものが明確な意思表示だと思うんですよ。こういうふうに自治事務で差が出るというようなことでとどめずに、やっぱりこれ被害減ってないという状況も含めて、明確な意思だというふうに法制化すべきだということを私は強く求めておきたいと思います、消費者保護という観点から。
 次は電話勧誘について伺います。
 特商法、これは第十七条での規定になっておりますが、電話勧誘販売において、消費者が契約を締結しない旨の意思を表明した場合、事業者が勧誘を行うことは禁止されております。
 電話勧誘販売の場合、勧誘拒否の意思表明、これは具体的にどのように行うことが想定されているのか、そしてそれはどのぐらい普及しているのか。いかがでしょうか。

○政府参考人(真渕博君) お答え申し上げます。
 電話勧誘販売における契約を締結しない旨の意思を表示という文言につきましては、例えば販売業者等からの勧誘に対して、消費者が、要りません、関心がありません、お断りしますといった、こういった形で明示的に意思表示をした場合はもちろんですけれども、電話に応答せずにそのまま電話を切ることが繰り返されるなど、黙示的に契約を締結しない旨の意思を表示したと考えられる場合もこれに該当してくるというふうに考えております。
 あとは、認知度についてお尋ねがございましたけれども、認知度については何らかの数値をもってお示しすることは困難でありますけれども、消費者庁としましては、引き続きこういった法の解釈について消費者の方への周知を図ってまいりたいというふうに考えております。

○倉林明子君 これはなかなか分かりにくい。ステッカーやったら貼っていたら分かるんですけれども、電話で何度も断っているのにというのを、自分は分かっても、それ表明した証拠というのを出しなさいといっても、これすごく分かりにくい話だと思うんですね。禁止行為なのに、表示したということが残らないんですね。
 多くの消費者は、言ったら、迷惑な電話でも受信するということをきっかけにして不本意な勧誘に対応せざるを得ないというリスクというのは、私、解消されないと思います。オレオレ詐欺の話もありますけれども、子供や孫をかたって電話を切らせないということも含めてあるわけです。
 消費者が販売業者に、これ対応する、電話対応することなく事前に勧誘拒否の意思表示をすると、これできるような制度っていうのが必要だという指摘あります。電話勧誘を受けたくないという人が電話番号を登録機関に登録すると、そして登録した番号には電話勧誘を禁止する、こういう制度として、ドゥー・ノット・コール制度、ドント・コール制度の導入、これ検討すべきじゃないかと思います。明確に電話掛からないと、そういう事業者からは。そういう意思表示の形として検討必要ではないかと思います。どうでしょう。

○国務大臣(河野太郎君) このドゥー・ノット・コール制度というのは、アメリカでも、多分州ごとじゃないかと思いますが、やっているそうでございますが、これ結構コスト掛ける割には電話掛かってきたというクレームが多発して、年間何百万といったかな、何かとにかく、本当にこれ実効性あるのかというのが一つでございます。
 それからもう一つは、そのリストが何か出回ると、どうも御高齢者のリストで何かカモにされかねないということがあって、本当にこれがコストの割に実効性があるのかどうかということを含めてどうなのかなというふうに思っておりまして、この間の、あれは犯罪対策閣僚会議ですか、そこではこの発信者番号表示サービス、これを普及しようと。そうすると、番号が非通知だったり知らない番号だったときには慎重に対応してくださいと、もう一切出ないというあれもあるかもしれませんし、そういう番号のときには留守電に入れさせて、声聞いて勧誘だったら出なきゃいいとかですね。
 ということで、この発信者番号の表示サービスをまず普及して、知らない番号、非通知には慎重に対応してくださいということをまずやっていこうということがこの間の閣僚会議の中で盛り込まれております。

○倉林明子君 そういう議論があるということも承知しているんですけれども、登録機関がリストを事業者に開示するというやり方じゃなくて、登録機関の保有する電話番号を事業者側が照会すると、そういう方式取れば悪用の防止というのは可能じゃないかという指摘もあります。
 実際にこの十七条を有効に機能させるためには、やっぱり何らかの踏み込み要ると思うんです。一つは、今のドゥー・ノット・コール制度ということもあるし、そのリストをどういうふうに利用するかというのも検討すべきではないかというふうに思っております。特商法の実効性を高めると、禁止規定にしていることを、禁止行為として規制、実効性を高めるためにも検討が必要だと。いろんな検討されているということだけども、これも含めて検討をしていただきたいということは強く要望したい。
 近年、勧誘行為を他の業者に委託する事例と、これも大変増えているというふうに伺っております。訪問販売、電話勧誘販売において勧誘行為そのものを行っている勧誘代行業者、これについて、特商法の行為規制の対象となるのかどうか。これはどうですか。

○政府参考人(真渕博君) お答え申し上げます。
 特定商取引法におきまして、訪問販売又は電話勧誘販売の行為規制の主体といたしましては、販売業者又は役務提供事業者というふうに規定されております。したがいまして、販売業者又は役務提供事業者に該当しない勧誘代行業者につきましては、それ単独では特定商取引法の行為規制の対象とはならないということでございます。

○倉林明子君 これ、連鎖販売取引とか業務提供販売取引ということでいいますと、現行法でも規定があるというふうになっていると思うんです。
 そこで、訪問販売及び電話勧誘販売、ここでもきちんと、この勧誘代行業者も含めて法規制、対象とすべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(河野太郎君) これ、代行業者が販売業者と連携共同して事業を行っている場合には、これはもう販売業者に該当いたしまして、両方とも販売業者に該当いたしますので、両方ともこれは広範に業務停止命令などの行政処分の対象となり得りますので、消費者庁としてはそこのところは厳正にやってまいりたいと思います。

○倉林明子君 済みません、今の答弁で確認なんですけども、それ連携して、代行のところに、要は対象として処分したと、処分というか、したということありますかね、実績は。

○政府参考人(真渕博君) 過去に、今御指摘のあったようなケースについて特定商取引法違反ということで、連携共同して、その販売代行業者についても行政処分を行った例がございます。

○倉林明子君 きちんとやっぱり法的にも位置付けるということで明確に、今もやっているということですけれども、きちんと法的な位置付けということが必要ではないかと。弁護士会からも、繰り返し抜本改正を求めるという要望も出されております。様々に見直しが必要ではないかと、今日指摘した点を含めて、改正強く求めたいと思います。
 一つ、消費者教育の問題が様々御意見ありました。この消費者教育ということでいうと、若者の消費者教育の重要性というのは言うまでもないと思うんですけども、成年年齢引下げによって消費者トラブルというのが大変増えていると。資料二に付けたんですけど、これ白書から抜粋したものになっております。これ見ると、十代で、男性が一位、女性で二位、これ脱毛剤なんですよね。脱毛エステの契約トラブルというのも非常に悪質なものが増加しております。
 これ、どんな相談が来ているのかということで具体的に紹介もされているようですので、端的に御紹介ください。

○政府参考人(片岡進君) お答え申し上げます。
 国民生活センターが注意喚起をしておりまして、その中で紹介されている事例を二つ御紹介いたしますけれども、一つは、二十歳代の学生が、SNSでひげ脱毛が月額千円とうたう広告を見てエステサロンに行ったところ、納得のいく脱毛のためには必要と勧められて、約五十万円のコースを契約してしまったという事例がございます。それからもう一つは、二十歳代の学生が脱毛エステの体験に行ったところ、事業者から、信販会社からはがきが届いたときに解約をすれば費用が掛からずに解約できると強引に勧誘をされて約十万円の契約をして、後日はがきが届いて連絡をすると、クーリングオフの期間が過ぎて解約手数料が掛かると言われたと、こういう事例が紹介されてございます。

○倉林明子君 いや、私、改めて思ったんですけれども、脱毛に対してこれだけ若い人たちが被害に遭うということで、若い人たちの意識の変化というのすごくあって、昔というか、私は六十代ですけれども、ひげが生えるというのは成長したということで、うれしいというようなまだ世代ですよね。ところが、今の若い男性は、ひげが生えるとか毛深いというようなことを非常に嫌悪して、若い男の子が、あっ、若い男性がこういう被害に非常に遭いやすいと。
 なので、こうした被害を未然防止する対策としても、第二次性徴が始まるときにもうひげ生えますから、そういう、小学校、中学校からもそういう消費者教育しておくということは非常に重要じゃないかというふうに改めて思っているんです。これまで高校生とか大学生に対して、成年年齢引下げに伴って教育されてきているということなんだけれども、より低年齢層に対する教育、情報提供ということについても、これ取組するということが必要じゃないかというふうに思うんですね。いかがでしょう。

○国務大臣(河野太郎君) この脱毛エステは、二〇二〇年度に相談件数千八百九十三件だったのが二〇二二年度には一万一千三百五十八件と、十倍近く、ちょっと私も驚きまして、この間、記者会見で、脱毛エステに関しては、これ十八、十九も二十代もかなり急増をしておりますので、記者会見でも注意喚起をさせていただきました。
 やはり、このデジタル化に伴って、委員おっしゃるように、小学生、中学生、これちょっと中身はあれですが、件数的には消費者トラブルに巻き込まれる事例が増えてきておりますので、小学校、中学校にもこの消費者問題、これはやっぱり消費者教育をやらぬといかぬなというふうに思っております。
 ちょっとこれ、どうやるか、学校と連携をするということで文科省とも御相談をさせていただきたいと思っておりますし、それからもう一つは、やはり小中学生が、その相談する親御さんとも、小中学生が巻き込まれやすい消費者トラブルとはこういうものだということを、やっぱり親御さんにもそういう情報提供、周知はやらなきゃいかぬかなと思っておりますので、その辺のところにはしっかり力を入れてまいりたいと思います。

○倉林明子君 小中学生からスマホというのは持つし、今、タブレット、教育現場でも導入されて、非常にそこからの情報収集というのをちっちゃいうちからするんですね。そういう意味では、保護者の目の届かないところでぽちってやっちゃうということはとっても小さい子ほど高いので、そういうところでもう様々な情報に触れる時代になっておりますので、早い段階から、今、消費者教育必要だという見解示されましたので、是非具体的に取組を進めていただきたい。
 終わります。