倉林明子

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改正児童福祉法成立/帰宅拒否、一時保護要件に/虐待から避難の子ども ・ 大学生も生活保護を/困窮・孤立でも「不可」を告発 ・ 保険証廃止撤回せよ/厚労省は方針固執(2022/6/7 厚生労働委員会)

 改正児童福祉法が8日の参院本会議で全会一致で可決、成立しました。改正法は児童養護施設等での支援に関し、原則18歳(最大22歳)までの年齢上限を撤廃します。
 
 倉林明子議員は7日の参院厚生労働委員会で、日本の養護施設や里親等社会的養護のもとにいる子どもの比率は、アメリカの2分の1、フランス、ドイツの5分の1であり、必要な保護が受けられない子どもが多いのではないかと質問。後藤茂之厚労相は「数字だけでは判断できない」などと答えました。
 
 改正法は、児童相談所が子どもを一時保護する際に司法審査を導入。裁判所が一時保護の具体的要件に照らして一時保護状を発行するか判断します。
 
 倉林氏は、親による虐待などから避難した子どもたちの帰宅拒否は、一時保護の要件として明記すべきだと要求。性的虐待などは、子どもの証言以外証拠がなく、帰宅拒否を要件としなければリスクが高いと指摘。これまで一時保護されたケースが後退することがあってはならないと主張しました。


 倉林明子参議院議員は7日の厚生労働委員会で、生活が困窮した大学生にも生活保護の利用を認めるよう要求しました。
 
 大学生が家計急変やアルバイトができない事情などで収入がなくなり困窮した場合でも、生活保護の利用は一時的にも認められず、休学か退学を迫られます。
 
 倉林氏は「生活保護法は国が生活に困窮するすべての国民に対し必要な保護を行うとしているのに、なぜ大学生は対象にならないのか」と追及。厚労省の山本麻里社会援護局長は「一般世帯で高校卒業後就職する方や、奨学金やアルバイトで大学等に通う方とのバランスもある」などの答弁に終始しました。
 
 倉林氏は、虐待のため子どもシェルターなどに避難した学生は、治療が必要になっても親の保険証を使えず、生活保護の医療扶助も使えない実態を告発。「大学進学率は7割を超えており、大学で学ぶことはぜいたくと言えるのか。学びを保障することは、貧困から抜け出す道を開くことにもつながる」と述べ、大学生も生活保護の対象とするよう求めました。


 倉林明子議員は7日の参院厚生労働委員会で、医療機関でのオンライン資格確認義務化と健康保険証原則廃止方針の撤回を求めました。
 
 厚労省は5月23日の医療保険部会で、マイナンバーカードの利用促進のため、医療機関・薬局におけるオンライン資格確認システム導入を2023年4月から原則義務化し、24年度中に健康保険証発行を選択制にし、将来的には保険証の原則廃止を目指す方針を打ちだしました。
 
 倉林氏は、マイナンバーカードの取得は任意だとして、医療機関などに対応を義務づける法的根拠をただしました。厚労省の浜谷浩樹保険局長はまともに答えず、「オンライン資格確認はデータヘルスの基盤」だなどと、強行する姿勢をあらわにしました。
 
 倉林氏は「政府の情報管理に対する国民の根強い不信が、いくらポイントをつけてもマイナンバーカードの取得が進まない背景にある」と指摘。医療機関への対応義務づけと保険証の廃止はやめるべきだと主張しました。
 
 後藤茂之厚労相は「保険証をもちたい方には発行する」としながら、システム導入は義務化すると明言しました。


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 まず最初に、来年四月から、医療機関に対しマイナ保険証への対応を義務付けることと、将来は現在の保険証を原則廃止するという方針、先ほども議論ありました。これに対して、余りにも強引じゃないかという批判の声が上がっております。
 そもそもですけれども、マイナンバー法というのは、マイナンバーカード、マイナンバー法では、マイナンバーカードは個人が申請しない限り交付されないという立て付けになっておりまして、あくまでも取得は任意というものであります。
 そこで確認したいんですけれども、医療機関に対応を義務付けるとした、義務付けが可能だという根拠はどこにあるのか。マイナ保険証、これ、事実上、原則今の保険証廃止というようなことになりますと、事実上強制するということになろうかと思うんですけれども、その法的な根拠は一体どこにあるんでしょうか。

○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
 先ほども御答弁申し上げたところと少し重なりますけれども、マイナンバーカードを保険証として利用できるオンライン資格確認につきましては、今後のデジタル社会におきまして、医療機関等が患者の医療情報を有効に活用いたしまして、安心、安全でより良い医療を提供していくためのデータヘルスの基盤となる仕組みでございます。また、患者の方にとりましては、自ら同意した上で、過去の薬剤情報、特定健診結果を医療機関等に提供することによりまして、より良い医療が受けられるといったメリットがございます。
 このため、保険診療を行う医療機関等におきまして、マイナンバーカードの保険証利用を希望する患者さんに対応できるよう、原則として、システムを導入して体制を整備することを義務化することとしたものでございます。
 なお、御指摘のとおり、マイナンバーカードの取得は任意でありますことから、保険証の原則廃止に当たりましては、加入者から申請があれば保険証は交付される仕組みを考えておりまして、加入者個人に対しましてマイナンバーカードによる保険証利用を強制するものではないということでございます。

○倉林明子君 いや、医療機関に対して義務付け可能だという明確な根拠が今説明あったのかなというふうに思うんですよね。私、これ、余りにもマイナンバーカードの普及ありきじゃないのかということを言いたいわけです。
 これ、医療機関のセキュリティーの対策の脆弱性について繰り返し指摘してきましたが、この対応がいまだ不十分だという指摘がある中なんですよね。さらに、不慣れな高齢者への対応というのは窓口の業務負荷にもつながりかねないという懸念も指摘されているわけです。
 一方、その利用する方どうかといいますと、個人情報が詰まったマイナ保険証と、これ持ち歩くリスク、紛失した場合の情報悪用のリスク、これについても不安解消されているかって、されていないと思うんですね。
 マイナ保険証の普及が予定どおり進まないと、これ一体なぜなのかと、これ分析はどうされているのか、大臣の認識をお聞かせください。

○国務大臣(後藤茂之君) マイナンバーカードを保険証として利用できるオンライン資格確認については、患者同意の下、過去の薬剤情報等を医療機関等で共有できる質の高い医療の提供、医療保険の効率的な運用につながるなど、患者の方々、医療機関、薬局、保険者、被保険者の一人一人に様々なメリットがあるというふうに思います。
 しかしながら、国民の皆様にマイナンバーカードが保険証として利用できることそれ自体や、具体的なそのメリットについて十分認知していただいていないことが、マイナンバーカードの保険証利用が普及していない要因として考えられると思います。
 また、マイナンバーカードを保険証として利用できる医療機関等について、運用開始施設は現時点では約二〇%にとどまっておりまして、利用できる環境が十分に整っているとは言えない状況にもあります。
 このため、令和五年四月から、医療機関等におけるシステム導入を原則として義務化することを含む更なる対策を検討するとともに、国民の皆様に対しても、マイナンバーカードの保険証利用のメリットについて丁寧な周知、広報に更に取り組んでいきたいと思います。

○倉林明子君 いや、メリット知らないから使っていないというのは一面的だと思いますね。
 私、やっぱり政府の情報管理に対する根強い国民の不信が、マイナンバーカード、何ぼマイナポイント付けても進まぬという背景にあるということをしっかり認識すべきだと申し上げたい。
 医療機関の対応の義務付け、現在の保険証の廃止と、これ来年の四月からだなんという強引な進め方はきっぱりやめるべきだと言いたい。いかがでしょう。

○国務大臣(後藤茂之君) 令和五年四月から、保険医療機関、薬局におけるシステム導入については原則として義務化をしていくということでございます。また、保険証発行の選択制の導入を目指すことといたしますけれども、先ほどからもお話し申し上げているように、保険証を持ちたい方に対する発行ということは、これは保障していくということでございます。

○倉林明子君 医療機関もそのセキュリティーへの対応できないということで、これ対応できないと、実際、こういうところだってあるわけですよね。
 医療情報というのはやっぱり究極の個人情報だし、医療情報のデジタル化そのものを私否定しているんじゃないんですよ。これ、マイナンバーカードにひも付けると、こういうやり方は、非常にリスク、漏えいのリスクを高めることになると。こういうやり方が国民の理解を得られていないんだというところは重ねて指摘を申し上げたい。こういう強引なやり方というのは、中止を重ねて求めておきたいと思います。
 児童福祉法について伺います。
 日本において子供たちに対する必要な保護がどれだけされているのかと。これ、資料を厚労省のところで見てもありませんでしたので、国際比較を国会図書館に調査してもらって、それを資料として今日は付けております。
 これ御覧になっていただきますと、フランスやドイツというのは、社会的養護を受けている子供の数というのが日本の五倍を超えているんですね。アメリカでもこれ二倍、日本の二倍の子供が社会的に養護されているという数字になろうかと思います。
 社会的養護の児童数が日本で本当に少ないという現実は、必要な保護ができていない子供が多くいるという可能性があると、こういうふうに思うんですけれども、いかがですか。

○国務大臣(後藤茂之君) 一人一人の子供の命を守るために必要な保護は、確実に実施しなければならないというふうに考えております。
 それぞれの国にはそれぞれの制度があるわけでありまして、申立てを行って認められるに際して、どのような保護を、制度を持つのか、在宅支援等も含めて行うのか、そうしたことを、各国においていろんな制度があり、一概に数字だけから判断をできないところもあるのではないかというふうに考えております。
 こうした中で、困難な状況にある子供を適切に社会的養護の枠組みの下で保護を支援していくためには、虐待を受けている等の困難を抱える子供の情報を児童相談所が適時適切に把握するとともに、適切な保護や支援につなげていくことが大切だというふうに考えております。
 児童相談所の体制強化等を図ってきたところでございますけれども、必要な支援について引き続き検討してまいりたいと思います。

○倉林明子君 いや、津崎参考人も、児童虐待で児相が二十万件だと、しかし、長期分離保護できているのは二ないし三%なんだと、九七パーが在宅なんだと、その上で、そういう市町村のサービス提供も不十分だと、こういう指摘されているんですね。必要な保護につなげられていない子供が多くいるんじゃないかと、いると、こういう認識必要だと思うんですよ。児相、市町村、社会的養護のこの体制強化というのが本当に求められていると、認識として持っていただきたいと思うわけです。
 それで、次に、司法審査、再々議論にもなっておりますけれども、新たな司法審査の一時保護の要件について確認したいと思います。
 改正法三十三条では虐待のおそれがあるときというふうにされているわけですが、何をもってどの程度の立証が必要となるのか、その要件はこれまでと変わるのか、どう変わるのか、変わるんだったらどう変わるのか。いかがですか。

○政府参考人(橋本泰宏君) 今般導入します一時保護開始時の司法審査においては、児童相談所は、一時保護の事前又は開始後七日以内に、法令に規定する一時保護の要件に該当し、一時保護の必要があると認められる資料を添えて、裁判官に一時保護状を請求するということとされております。
 この立証の程度でございますが、あくまでも虐待のおそれがあるとの心証を裁判官に抱かせる程度に合理的な根拠があれば足りると、現実に虐待がされているとの心証を抱かせるまでの立証が必要とされるものではございません。
 また、資料の内容については、個別の事案により異なると考えられますが、このような心証を抱かせるのに十分な資料とする必要があると思います。具体的には、施行に向けて、実務者を構成員に含む作業チームにおいて検討してまいりますが、御指摘の、虐待のおそれがあるときに該当することを理由に一時保護を行う場合においては、例えば児童本人や親権者等への面接の結果ですとか、あるいは関係機関への調査の結果、こういったものを提出するということが想定されるというふうに思います。
 いずれにしましても、円滑に制度が運用されるように、施行までの間に、一時保護請求、一時保護状請求の疎明資料の内容や様式等については、実務者を構成員に含む作業チームにおいて丁寧に検討してまいりたいと考えております。

○倉林明子君 明らかにそういう疎明資料を整えていかなあかんというところでは、やっぱり実務負担の議論もありましたけれども、大きな変化になっていくんだということは今の説明でも分かりました。
 そこで、新たな司法審査で、三十三条の四項、これも御指摘ありまして、明らかに裁判官が、明らかに一時保護の必要がないと認めるとき、一時保護状を出さない場合があると。これどういうときかということに対しまして、答弁は、児相の濫用、逸脱ということが御説明あったかと思うんです。さらに、具体的にどうかということに対して、親類宅で安全確保ができるのに、それをできる場合というような説明だったかと思うんですね。
 じゃ、こういう親類宅で安全確保ができると、できるのに一時保護の司法審査に出てきたと、こういう場合、裁判官は、こういう状況があると、要は虐待のおそれがあるという判断に濫用、逸脱があるというようなことを何によって、何によって裁判官は判断することになるのか。説明を聞いてももう一つ分からなかったので、御説明をいただきたい。

○政府参考人(橋本泰宏君) 具体的にどんな疎明資料というものを求めるか、細かくはこれから検討してまいりますけれども、先ほど申し上げたような児童本人や親権者等への面接の結果だとか、あるいは関係機関への調査の結果、そういったものの中で児童相談所の裁量の逸脱といったものがあるかどうかということが判断できるような場合が、場合によっては出てくるかというふうなことでございます。

○倉林明子君 衆議院で最高裁の最高裁長官代理が答弁しているんですけれども、一時保護の要件の明確性が確保されることによって対応が可能だと、こういう答弁なんですよ。
 私は、この要件というものを、だからできるだけ具体的に明示していくということがやっぱり求められると思うんだけれども、その点いかがですか。

○政府参考人(橋本泰宏君) 今般の児童福祉法改正におきましては、一時保護の要件を法令上明確化することとしておりまして、児童虐待のおそれがあるとき、それから少年法第六条の六第一項の規定により事件の送致を受けたときは改正法案の中で明示しているわけでございますが、そのほかの要件につきましては内閣府令で定めることといたしております。
 内閣府令で定める一時保護の具体的な要件については、実務者を含めた作業チームにおいて今後検討してまいりますが、児童相談所が子供の最善の利益のためにちゅうちょなく適切な一時保護を開始できるように、現行の一時保護ガイドラインや様々なケースで行われている一時保護の実情を踏まえた適切な規定ぶりとする予定でございます。

○倉林明子君 だから、要件の明確性、ここの担保が最高裁、裁判官の判断に大きく影響が出るということですから、具体的な明示、それに対する懸念も出ていますので、一つ具体的に紹介したいと思うんですね。
 親などの虐待などから家から逃げて保護につながらないと、こういう十代の子供たちが自ら助けを求めて駆け込むと、そういう施設で子供シェルターがあります。この子供シェルターを弁護士さんたちが自ら立ち上げて、NPO法人として運営されているところからの声なんですけれども、今回導入される司法審査に対して子供自身が家に帰りたくないと表明したと、これも一時保護の要件とされるのかどうか、するべきじゃないかという御意見ですけれども、いかがでしょう。

○政府参考人(橋本泰宏君) 今お尋ねいただきました、子供が帰宅を拒否し保護を求めているようなケースにつきましては、現行制度におきましても、そのことのみをもって機械的に一時保護を行っているわけではございませんが、虐待の有無等に関する十分な情報がなくて引き続き調査が必要な場合というものも含め、児童の安全確保の観点から、必要に応じて一時保護を行っているところでございますので、こういった一時保護の実態を踏まえながら、具体的にどのような規定ぶりが適切かということについて、作業チームにおいて検討してまいりたいと思います。

○倉林明子君 帰宅拒否した場合調査保護の対象にもならないケース、逆に、今の説明ひっくり返して言うと、ならないケースというのはどんな場合が想定されるでしょう。

○政府参考人(橋本泰宏君) ちょっと具体的にどのようなケースを想定するかというところについて、ちょっとにわかに御説明するのは難しゅうございますが、今回、一時保護のケースにせよ、それから施設への措置や里親委託にせよ、子供の意見というものを児童相談所が意見聴取をしなければならないということを義務付けるわけでございますが、そういった中で把握した子供の意見というものを十分勘案していくわけでありますけれども、あくまでも子供にとっての最善の利益というものを考えて責任を持って判断する、結果的には子供の意見と逆のというふうな結論になる場合もあるというところでございますので、そこのところについては、一律な形で子供の意見というものをそのまま措置の対象とするというふうな形にはならないというふうに考えております。

○倉林明子君 性虐待とかネグレクト、教育虐待、これ可視化されないですよね。子供の証言以外に実は証拠となるものがないと、こういう場合が子供シェルターのところなんかはほとんどだというわけですよね。
 そうなると、子供の帰りたくないということをもって一時保護の要件にしないと、リスクが本当に高いんですよ。そういう場合、調査保護として掛けているというんだけれども、しっかりこの帰りたくないということで要件に入れるということは本当に必要だと思うわけです。しっかりこれから検討ということですけれども、こういうことも含めて入れていただきたいということです。
 次の質問ですけれども、浜田参考人は、児相の一時保護はこの法改正の下でも従前どおりにできると、裁判所の審査はちゃんと通るべきだと、そのためにも、一時保護の要件について内閣府令で定める場合については、これまで一時保護されていたケースについては漏れなく列挙されなければならないという指摘もされていました。そのとおりだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○政府参考人(橋本泰宏君) この内閣府令で定める一時保護の具体的な要件につきましては、実務者を含めた作業チームで今後検討するわけでございますが、現行の一時保護ガイドラインや様々なケースで行われている一時保護の実情を踏まえた適切な規定ぶりとする予定でございます。
 この点、社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会の報告書におきましても、一時保護の要件の明確化に当たっては、子供の最善の利益を守るためのちゅうちょなき一時保護の運用を損なわない観点にも十分留意する必要がある旨盛り込まれておりまして、そこのところも踏まえて、作業チームにおいてしっかり、現場の御意見も伺いながら検討させていただきたいと思います。

○倉林明子君 結果として、これまでできていた一時保護が後退するようなことがあってはならないんだということで、重ねて求めておきたいと思います。
 参考人の質疑でも、子供の意見表明権、これ保障することが本当難しいんだということを改めて学ばせてもらったんですけれども、この子供シェルターの実践を聞かせて、勉強させてもらったときに、改めて重要な役割を果たしているなと思ったのが子供担当弁護士という方々です。児相とは別の立場で子供の声を代弁、そして権利を保障するということで、親権者とも闘うし、関係者とともに調整する役割と、これ発揮しているわけですね。
 児相からも独立した子供の立場で権利代行ができると、こういう子供担当弁護士ということも必要だと思いますけれども、これ、いかがでしょう。

○政府参考人(橋本泰宏君) 一時保護の開始時の司法審査に際しまして、子供の意見については、児童相談所が可能な限り疎明資料に盛り込んで裁判所に提出する形とすることを考えております。
 これに加えまして、都道府県における事業として、弁護士や社会福祉士等の専門職、ノウハウのあるNPOなど多様なバックグラウンドを持つ意見表明等支援員を養成し、子供からの意見聴取等の際に支援することを制度的に位置付け、しっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。
 今、子供シェルターというふうなお話をいただいたわけでございますが、子供シェルターにおいて、弁護士が子供の代理人となって親との交渉や関係機関との調整を担っている例があるということは私どもも承知しておりまして、国としてもこういった取組については注視してまいりたいと思いますし、都道府県における事業として、弁護士や社会福祉士等の専門職、ノウハウのあるNPOなど多様なバックグラウンドを持つ意見表明等支援員を養成することとしておりますので、こういったシェルターの弁護士にも必要に応じて支援員として御活躍いただければというふうに考えております。

○倉林明子君 親権者から通帳や奨学金を児童に取り返すとか、学費、生活費の交渉とか、やっぱり弁護士だからこそできる仕事というのがあるんだということが、支援員としても協力をということありましたけれども、子供担当弁護士という、こういう役割発揮ということも検討を是非していただきたいというふうに思います。
 次に、里親について伺いたいと思います。
 新しい社会的養育ビジョンに基づいて、里親制度は七五%まで広げるという数値目標を掲げております。
 津崎参考人のお話、紹介もあったんだけれども、自らの経験も踏まえて、理念はその方がいいと、しかし、数字増やすためにどんどん難しい子も里親で委託したらいいんだと単純にはいかないというふうにおっしゃっています。下手すると失敗する、失敗しますと、施設でうまくいかないより傷つきが大きいと。
 改めて、私は、どんなケースで里親不調になっているのか、事前にうまくいかないというような要素はもうできるだけ少なくすると、そういう取組必要だと思うんですね。これまでのケースの調査や分析、こういうことをしっかりしていくべきじゃないかと思いますが、いかがですか。

○政府参考人(橋本泰宏君) 平成二十九年度に実施しました調査研究事業におきまして、里子の養育を受託している全国の里親家庭に対するアンケート調査を行いました。里親不調の経験が一回以上あったと回答された百九十の家庭に対する質問への回答の中で、不調の原因ということで挙げられておりますのが、一つは、障害児や被虐待児などのケアに対応し切れなかったためというのが四十五人いらっしゃいました。それから、里親家庭に暴力とか器物破損、性被害等の危害が及んだためということを挙げられた方が三十六人、それから、里子が家庭復帰を強く望むようになったためというのが二十八人、こういった回答があったわけでございますが、その他というふうに回答された方が七十人と最も多くて、委託後不調となる背景には様々な要因が存在するものというふうに改めて認識いたしております。
 里親等委託率の向上に向けましては、委託後の個々の里親家庭の状況に応じたフォローや支援が重要であるというふうに認識しておりますので、今回創設する里親支援センターにおいて包括的かつ一貫した伴走支援を行いますとともに、都道府県が策定した都道府県社会的養育推進計画に基づく取組や里親支援センターの具体的業務内容等の検討に伴う調査研究などの機会を捉えまして、継続的に里親委託率の向上に向けた課題や改善方法などを把握しまして、里親委託が推進されるように取り組んでまいりたいと思います。

○倉林明子君 いや、だから、目標があるから里親をどんどん増やしていこうということにやっぱりベクトル向かっているんですよね。
 ただ、その場合、その理念はいいと参考人もおっしゃっていましたけれども、単純にいかないと。先ほど紹介あったように、難しい子がどんどん里親のところに来るということになると、欧米の委託率の高いところのように里親転々とすると。こうなると、傷つき体験を追体験ということになって、本当に、参考人もおっしゃっていましたけれども、そういうことはできるだけ避けるということをすべきだと思うんですね。
 そういう観点からいっても、里親制度の数値目標、高い目標ですよ、これ、やっぱり一旦立ち止まって、こういう目標設定をいついつまでにやりましょうというようなやり方というのは、立ち止まって見直すということ必要じゃないかと私は思うんですけれども、大臣、どうですか。

○国務大臣(後藤茂之君) 平成二十八年度の児童福祉法改正において家庭養育優先原則が明記されたことを踏まえて、国の定める指針の下、都道府県等で社会的養育推進計画を策定し、計画的に里親委託等を進めております。こうした中で、厚生労働省としても、国の計画策定指針において里親等委託率を七五%以上とする目標等を示しておりまして、地域の実情に応じた取組の強化を促しているところです。
 国としては、目標とした里親等委託率を機械的に追求していくということはあってはならないものと考えておりまして、個々の具体的ケースの状況に応じて、子供の利益を第一に考えたきめ細かい対応が必要と考えております。
 一方で、全体として、家庭養育を推進する観点からは、一定の目標数値を置いて計画的な里親委託の推進を図ることも一方で必要であるというふうに考えております。このため、令和三年度からは、里親への包括的支援体制について、一定の要件を満たした取組内容を定める計画を策定した自治体に対して里親支援に関する事業の補助率のかさ上げを行うとともに、今般の児童福祉法改正案においては、里親支援に特化した機関である里親支援センターを児童福祉施設として位置付けて、里親支援を更に強化する取組を進めることといたしております。
 個々のニーズに合った形で向上が図られるようにやってまいります。

○倉林明子君 いや、数字ありきということになると、やっぱり里親の目標掲げると、いつまでとなったら、そっちの方にベクトル向かうということが、そういうリスク、困難を抱えて本当に厳しい状況に追い込むことが懸念されるから言っているんですよ。数字ありきが子供や里親傷つけたり苦しめたりするというようなことを絶対やったらあかんのだと申し上げておきます。
 次、大学生、最後に、大学生の生活保護の問題について議論もありましたが、私からも聞きます。
 大学生の生活保護というのは、現状の取扱いでは、大学生であることで、どんなに困窮していても生活保護利用ができないんですよ。生活保護法は、国が生活に困窮する全ての国民に対しとしているんだけれど、何で大学生だというだけで、どれだけ困窮しても対象にならないのか。これ、簡潔に御説明を。

○政府参考人(山本麻里君) 生活保護を受給しながら大学等に就学することにつきましては、一般世帯で高等学校卒業後に大学等に進学せずに就職する方や奨学金やアルバイトなどで自ら学費や生活費を賄いながら大学等に通う方等とのバランスを考慮する必要がございますので、認められていないところでございます。

○倉林明子君 一般世帯とのバランスって、いや、本当にちょっと考えなあかんときに来ているんじゃないかと思うんですね。
 大学生となった後に親の家計急変、バイトなどができない、コロナでね、リアルになりましたけど、収入減、体調壊した。一時的に生活保護使いたいという困窮状態に大学生だって陥ることあるんですよ。そういう場合、休学か退学かということでないと生活保護受けられないんですよ。虐待から逃げた大学生、治療が必要でも親の保険証使えないと、退学、休学しないと、これ医療扶助の対象にならないんですよ。
 今では大学の進学率というのは七割を超えているわけです。大学で学ぶことが私はぜいたくと言えるのかと思うんです。困窮する大学生に対して学びを保障すると、貧困から抜け出す道を開くことにもつながると思うわけです。生活保護の対象に大学生もきちんと含めるべきだと思います。大臣、簡潔に。

○国務大臣(後藤茂之君) 生活保護を受給しながら大学等に就学することについては、世の中がだんだん変わってきたという委員の御指摘についても、そういうことも考えなければいけないとは思いますけれども、一般世帯で、高等学校卒業後に大学等に進学せずに就職する方や、奨学金やアルバイトで自ら学費や生活費を賄いながら大学等に通う方等とのバランス等もやっぱりあるというふうに考えておりまして、慎重な検討を要する必要があると思います。
 一方で、生活保護世帯の子供の大学等への進学を支援するために、進学準備給付金の創設や、自宅から大学等に進学する場合の世帯員の減少に伴う住宅扶助費の減額の取りやめなどの取組も行っておりますし、また、文部科学省の方では、修学支援新制度において、生活保護世帯を含む低所得世帯の子供たちを対象として、授業料及び入学金の減免や生活費の支給といった支援を行っておりまして、生活保護制度のみならず、他の諸施策も併せて講じることで生活保護世帯の子供の大学等への進学支援等を充実させることが重要であると考えておりまして、今後とも、全体として取り組んでいくことだというふうに思っております。

○倉林明子君 いろいろあっても穴になっているんですよ。大学生が困窮した場合の生活保護の利用ができないんですよ。それをできるように検討するということが、生活困窮で学びを断念させないと、ここが求められると思うんです。
 当事者だけじゃなくて、これは社会にとっても学びが中断されるというのは損失になるんだと、そういう見地からも取り組んでいただきたい。
 終わります。