倉林明子

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緊急承認 要件明確に 薬機法改正案で要求 / 肝炎救済 国の責任で 「時間経過し困難に」(2022/4/26 厚生労働委員会)

 日本共産党の倉林明子議員は4月26日の参院厚生労働委員会で、ワクチンなどを緊急承認する制度を導入する薬機法改正案について、緊急承認の要件を明確にするよう求めました。

 倉林氏は、医薬品の有効性と安全性を確保する薬事承認は第3相試験まで行うのが原則だと指摘。新型コロナの治療薬として未承認のまま安倍晋三元首相が使用を拡大したアビガン投与の観察研究の結果では、国立医療研究センターの研究結果との比較で致死率は10倍高く、死亡退院率は3倍以上だと指摘。「有効どころか危険性の高さが明らかになった」と述べました。

 条件付き承認制度では承認が困難でも、緊急承認なら可能となる場合があるかとの質問に、厚労省の鎌田光明医薬・生活衛生局長は「一般論としてはあり得る」と答弁。倉林氏は緊急承認時の安全性の確認には限界があると強調。第3相試験を行っていない医薬品だと理解させるため「使用許可」とすべきだと迫りましたが、後藤茂之厚労相は「薬事承認が薬に対する信用だ」としか答えませんでした。

 倉林氏は、緊急事態の定義を政令で定めるべきだと迫ると、鎌田局長は「明文化すると緊急時の機動性を損なう」などと答弁。

 倉林氏は「国民にリスクを負わせることを踏まえれば法定は必要だ」と訴えました。


 日本共産党の倉林明子議員は4月26日の参院厚生労働委員会で、請求期限が2023年1月に迫る薬害C型肝炎救済法について、国の責任で裁判によらない救済に道を開くよう求めました。

 ウイルスに汚染された血液製剤によって企業推計でも1万人以上の大規模な被害が発生した薬害C型肝炎。同法による救済が図られたものの、和解成立は約2500人(21年度末時点)にとどまり、感染者の75%以上が救済されていません。

 倉林氏は「カルテもしくは医師の証言が要件になっているため、時間の経過とともに救済を困難にしている」と指摘。第三者による認定審査会を設置し、血液製剤フィブリノゲンが使われた蓋然(がいぜん)性を評価し速やかに救済するよう迫りました。

 後藤茂之厚労相は「議員立法で立案された経過があるので、新たな枠組みを設けるという議論は難しい」と背を向けました。

 倉林氏は「被害者の一律救済を実現することは医薬品行政に対する国民の信頼を回復することにもつながる」と述べ、議員立法まかせにせず、国が責任をもって救済の在り方を見直すよう重ねて求めました。


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林です。
 本会議で、薬害に対する認識を総理に伺いました。答弁は、薬害の発生を防止することは政府の重要な任務の一つであり、命の尊さを心に刻み、高い倫理観を持って医薬品の品質、有効性及び安全性の確保に最大限の努力をしてまいりますというものでした。これは、ウイルスに汚染された血液製剤によって企業推計でも一万人という大規模な薬害を起こした教訓から導き出された医薬品行政に関わる者に求められる基本精神、この一部だという理解で聞きました。
 今日、大臣に聞きたいのは、その基になった、この精神の基になった薬害である薬害C肝、C型肝炎なんですね。この薬害C肝の患者の救済が進んでいないという状況があると私は思っているんですけれども、大臣の認識をまず確認したい。

○国務大臣(後藤茂之君) いわゆる薬害肝炎の被害者救済は、C型肝炎救済特別措置法に基づきまして、裁判手続を通じて行われているところでありまして、令和三年度末時点で約二千五百人が和解に至っていると承知をいたしております。
 厚労省としては、被害者の方々に速やかに提訴に踏み切っていただくために、政府広報や自治体のウエブサイトを通じた被害者への呼びかけ、被害者の、あっ、厚労省のウエブサイトにおいて過去にフィブリノーゲン製剤を投与された可能性のある対象者への呼びかけやQアンドAを公表などをして実施しております。
 さらに、医療機関に対しては、カルテ等の記録の保存、カルテの記録の調査の実施、投与判明者への投与事実の告知等をお願いするとともに、令和三年度からは厚労省カルテ調査等を行う事業等を実施しています。

○倉林明子君 取組は知っているんですけれども、その救済が進んでいるという認識を持っているのかどうかと、そこを聞きたかったんですよ。
 進んでいないと思うんですよ。一万人推定される中で、大分たっていますよね、これ特措法作ってから。二千五百人という状況です、和解は。これ、もう裁判がとっても厳しいんですね。カルテ若しくは医師の証言がないと勝てないんですよ。訴えようとしてももはや弁護士が見付からないというような状況あって、時間の経過とともに、これ解決を、救済を非常に困難にしているという状況あるということを指摘したい。
 改めてまた議論したいと思うんですけれども、今日は一点だけ。
 やっぱり、こういう状況を打開していくという法改正、抜本、法改正必要だと思っているんですね。その際に、やっぱり第三者による認定審査会、優生保護法の給付金のときに置いたものですけれども、こういうものを設置して、フィブリノゲン製剤が使われていたという蓋然性を評価して救済する、こういう道を開かないと、救済されて、救済の道が広がっていかないと思っているんですけれども、大臣、いかがでしょう。

○国務大臣(後藤茂之君) C型肝炎特措法は、私から申し上げるのも恐縮ですけれども、議員立法で立案された経緯等を踏まえてみますと、行政の立場の私の方から枠組みを新たに設けていくという議論もなかなか難しいという気持ちも正直持っております。
 いずれにしても、フィブリノーゲン製剤の投与事実の有無を判断するに当たっては、特措法に定める裁判手続を通じた枠組みを持ってやっていくことが適当であると、そのことを各党皆様が御議論をされて議員立法を取りまとめられたのではないかというふうに思っております。

○倉林明子君 いや、行政として一律救済、この法の執行で限界が来ているというところを私は見ないと救済できないという事実を申し上げているんですね。
 薬害によって奪われた健康というのは取り戻せないと。だからこそ、与えた被害の救済は国にあるわけで、一律救済、これ実現していくということは、医薬品等、医薬品行政、これに対する国民の信頼を回復していくことにもつながるんだと反省の原点に立って、それは議員立法でやられたことだからということではない、政府としての姿勢も是非考え直すときだと重ねて申し上げたい。
 それでは、法案で、緊急承認制度について様々御議論ありましたけれども、私の方からも質問させていただきます。
 医薬品の品質、有効性及び安全性を確保する薬事承認の原則、これはあくまでも第三相試験までということです。この間導入されました原則の例外となる制度、これ一つが再生医療等製品条件・期限付承認というものがあります。
 これ、二〇一五年、初の承認となりましたハートシート、これ七人の治療成績で承認されました。有効性と安全性の検証、これは今確認どうなっているのかということ。
 もう一つ、二〇一八年に承認されたステミラック注、これは承認の際、承認は十三例やって承認ということになったわけですね。これ、安全性は確認と、そして有効性は推定という仕組みはよく似ているんですね、今回の緊急承認と。
 聞きたいのは、承認した時点で有効性をこれどう評価したのかと。そして、承認を取り消す場合、これ要件は何と定めているか、どうですか。

○政府参考人(鎌田光明君) 三点御質問あったというふうに受け止めました。
 まず、ハートシート、これは標準的な薬物治療や侵襲的治療の効果が不十分な虚血性心疾患による重症心不全の治療に用いるということで、御指摘のように承認いたしまして、その後、検証が行われたかということにつきましては、承認後の使用症例全例を対象とした使用成績調査で、令和四年度中、今年度中に必要症例数四十九例に達することが見込まれております。期限である令和五年九年までには使用成績調査がまとまり、安全性、有効性について適切に判断する予定でございます。
 それから、ステミラック注、これ、どのように有効性を承認したかということですが、これは、対照群の設定は行わなかったわけでございますけれども、本剤投与後の前後の米国脊髄損傷学会機能障害尺度、AISの改善率などから一定の有効性が期待できると判断いたしました。これにつきましても、承認に当たりまして、販売後の調査期間中の使用症例全例を対象とした使用成績の実施を条件としています、それ七年でございます。現在、使用成績につきましては、本品群百九十八例、対照群四百十四例を目標としているところ、期限である令和七年までにはまとまって、その評価が適切にできるものというふうに考えております。
 その両者につきましても、再生医療の取消し要件でございますけれども、使用成績調査で得られたデータを踏まえまして、有効性が確認されないと判断されれば、それは承認を取り消すということもあるというものでございます。

○倉林明子君 私、この再生医療品等という薬剤の特徴からしてやむを得ないというところあると思うんですね、件数がそうそうないと。そうかいなという部分もありますけれども、立て付けとしての考え方は理解できるんですよ。ただし、これは本当に特別な薬剤に限られているものだということです。
 私、これ、ここで注意しなあかんのは何かといったら、有効性の立証に物すごい長期間要するということと、長期間の使用が可能になる立て付けなんですね。つまり、最後に有効性が承認されなかった場合、到達して、件数の、そこで初めて取消しなんですよ。つまり、長期間承認薬として有効性が確保されないまま使い続けられると、こういう立て付け、こういう仕組みになっているんだということを改めて確認しておきたい。
 その上で、新型コロナウイルスの治療薬を緊急に求められるという中で、安倍元総理が、観察研究の仕組みで、希望する患者への使用をできる限り拡大するということで、未承認のまま、これ、コロナに対しては未承認のまま使われることになったわけで、医療現場でどういうことが起こったかというと、効くかもしれないということで患者さんから希望が医師にやっぱり突き付けられると。患者さんから言われれば、医師はなかなか現場で断れないと。使用が結構広がりました。ところが、観察研究の結果はどうだったかということで、データも出始めて、出ています。
 そこでお聞きしたいんだけれども、このコロナの軽症者の致死率、六十歳未満の患者の死亡退院率、これ、それぞれどうだったのか。

○政府参考人(佐原康之君) お答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症に対するアビガンの観察研究につきましては、日本医療研究開発機構、AMEDの研究事業によりまして、令和二年度二月から三年度三月にかけて実施されてきました。
 令和三年七月に発表されました本研究事業の中間報告第四報によりますと、御質問のアビガン投与者数のうち、入院時点で軽症であった患者の方の致死率は三・九%、それから、年齢群別の入院一か月後の時点での死亡退院率は、二十代未満は〇%、二十代は〇・二%、三十代は〇・四%、四十代は〇・五%、五十代は一・五%でありました。

○倉林明子君 これ、国立国際医療研究センターのCOVID―19レジストリー研究結果と比較してみるとどうかというと、すごく差が出てきているんですね。致死率が十倍高い、あるいは死亡退院率は三倍以上だということになるわけですね。
 つまり、この比較結果見ると、コロナに、新型インフルについての承認取っていたアビガンだけれども、コロナには有効どころか危険性の高さという結果に見れるわけですよ。私は明らかだと思うんですね。
 また一つ、現在進行形のものとして動きがあるのが、塩野義製の新型コロナ飲み薬です。これ条件付早期承認制度の適用を求めて二月下旬に申請し、政府の買上げ前提に三月末までに百万人分を生産するとしていたわけです。ところが、承認の可否の見通しというのは現時点では明らかでないというところです。
 ところが、先ほどもありましたけど、大臣は二十二日の記者会見で、塩野義に対する最大六十二億円の追加支援を行うんだと表明されました。これは塩野義からの要請なのか、また支援によるどんな効果を期待しているのか、これ具体的な説明を求めたい。

○国務大臣(後藤茂之君) 既に実用化支援を行っている企業から、日頃より治験の進捗や課題について意見交換を行ったり、様々な要望をいただいています。そういう中で、塩野義からも厚労省に対して、治験実施に対し更なる支援が必要である旨の要望は、これは要望書という形でいただいています。
 国会等においても、国内企業が開発治療薬の支援の需要について御指摘をいただいておりますし、政府としても、やはり安全保障の観点から見ても、国内の企業の開発する治療薬、やっぱり持ちたいというふうに思っておりまして、治験実施に対して更なる支援は必要であるということで、こうした緊急追加支援の募集を行うということにいたしました。
 それは、これまでも段階を応じて日本の国内企業を応援してきた、そういう応援してきた企業に声を掛けて、要件の合う企業、つまり、更なる追加、緊急追加支援を行う方々に声を掛ける中で、結果としては、第三者にしっかりと判定をしてもらって、塩野義と興和の二つが補助金に、募集の上で採択になったということであります。

○倉林明子君 アビガンでも、やっぱり薬が欲しいという国民の声にやっぱり応えるということで、こういう観察研究ですか、ということで使用が先行したということありましたよね。これ、やっぱり科学的知見に基づいてきちんと裏付けしていくと、有効性、安全性を裏付けしていくと、こういうことが最優先でないとあかんと思うんですね。
 国内産ありきということでやってないというお話だと受け止めますが、大事なのは、そういう医薬品、医薬品のやってきたこの承認の原則ということで、そこが大事だということを強調しておきたいと思います。
 そこでさらに、これ、報道によれば、条件付承認制度の適用が難しい場合、本法案で可能となる緊急承認を活用する案もあるということがありました。
 一般論としてお聞きしますけども、条件付承認制度では承認が困難な事案でも緊急承認なら可能となる場合があると、こういうことでしょうか。

○政府参考人(鎌田光明君) 先生からは一般論としてというふうに御指定ございましたので、一般論として申し上げますと、まず、条件付承認制度と緊急承認制度は、対象となる製品の考え方ですとか、そもそも導入の目的が違うので、単純に比較が難しく、またその目的、趣旨に応じた適用というものを考えなきゃいけませんけれども、有効性ということの確認のレベルに関しましては、条件付承認の方は有効性が確認であるのに対して、緊急承認制度は推定ということでございますから、一般論として言えば、治療薬について、後期、いや失礼、第二相試験において有効性の確認までは至らないものが、については、あったとしても、有効性での推定が可能な場合があるというのは一般論としてはあるというふうに考えております。

○倉林明子君 あり得るということだと思うんです。
 有効性のデータというのは承認時では不十分というデータの収集ですよね。その不十分ということで承認されると。これ、新たな緊急承認でもあると思うんですね。
 これまでただしてきましたように、これまでの早期承認制度、その後の経過、長期的な使用による安全性の検証というのは、これ不十分にならざるを得ないんですよ。緊急承認における安全性は確認するというものの限界があると、そういう認識を私は持つべきだと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(後藤茂之君) 安全性については、これは……(発言する者あり)いえ、ですから、安全性について、第三相試験が実施されない場合であっても、一定期間に高頻度で生じる副作用について、プラセボ群との間で発生頻度に明確な差が生じることが多いというような場合の、場合に、あっ、場合には、後期第二相試験など比較的少数の症例に基づく試験であっても安全性を確認することは可能であるというふうに思います。

○倉林明子君 安全性の確認のありようを聞いているんじゃないんですよ。第二相の後半までということでいうと、どこかでも答弁されていると思うんですけれども、要は、長期間使用における副反応や副作用というのはここでは分からないんですね。まれに起こる重篤な副反応、副作用も、この時点では分からないんですよ。
 こういう事実をもって見る場合、安全性については緊急承認はやっぱりその確認に限界があると、そういう認識で当たらないといかぬと思うているから聞いているんですけれど、どうです。

○政府参考人(鎌田光明君) 先生から、長期の副作用ですが、まれな副作用という御指摘ございました。
 一般の承認、通常承認におきましても、一定期間を超える長期的な副作用ですとか、まれな副作用については市販後に情報を収集すると、なかなか治験段階で難しいということでございまして、承認後も情報を収集していくということが大事でございまして、緊急承認制度におきましては、一定期間に生じる確認しなければならない副作用は確認して、それを超えるものはやはり市販後では確認、きちんと確認を徹底すると、それは安全性をきちんと見るという姿勢においては変わらないところでございます。

○倉林明子君 だから、承認時に担保される安全性の限界のことを言っているんですよ。もうおっしゃっていることはよく分かりますよ。だから、承認後の、承認後にもきちんと三相試験やって、その安全、有効性の、有効性を証明するというところにとどまらず、その後出てくる安全性についてもそこで分かってくるわけですよ。(発言する者あり)承認時の違いを言うているんです。そこを混同すると承認後の扱いが変わってくるんですよ。
 大臣は、緊急時であっても国民から信頼される形での薬事承認が行われることが重要であることから、薬機法の承認制度の一類型として位置付けたと、こう御答弁されているんですね。私、承認薬を国民が信頼するのはなぜかと、これは安全性と有効性が確認されていることが前提になっているんですよ。承認薬なのに安全性には限界がある、効き目がなかったと結果として使った後になると、こういうことが起こったら、私は承認制度全体の信用に関わってくると思っているわけです。
 大臣、よろしいか。質問します。
 通常承認の三相試験は行っていない医薬品なんだということを正しく国民に理解してもらわないと、全体の医薬品行政の信用に懸かってくるというぐらい思っているわけですね。そういう理由から、そういう医薬品なんだということを理解してもらうためにも、私は使用許可という扱いにした方がいいんじゃないかと改めて言いたいと思うんですけど、いかがでしょうか。

○国務大臣(後藤茂之君) 米国のEUAは、例えば……(発言する者あり)そうなんですけれど、有効性と安全性については裁量の幅を広げています。
 先生おっしゃるのは、もしかすると、裁量を広げておいても、これは承認じゃなくて緊急に使用を許可するだけだから国民は安心だとおっしゃるのかもしれませんが、私は、正直言って、緊急時であっても国民からやっぱり信頼される形での薬事承認が行われることがやはり薬に対する信用であるというふうに私は思っています。そういう意味で、今般の緊急承認の仕組みというのは、安全性について確認を前提としつつ、有効性について推定ということで考えています。
 それで、先ほどから、安全性の検証が不十分になることが避けられない、安全性の確認に限界があるということで立論をされているようですけれど、安全性の確認ということについてはそこは確保するという形でやるということなんで、そこの前提からして少し議論がかみ合っていないのではないかなという気はいたしております。

○倉林明子君 議論の問題じゃなくて、事実の問題で言っているんですよ。
 第二相後半の試験で、通常は原則第三相までやるんですよ。それを省略して、要は早うせんなんからですよ、早うせんなんから、そこまでの確認できた安全性でいくんですよ。大臣ね、そこは事実の問題として、第三相試験までやることとは違うんだということをきちんと認識していただきたいと思います。
 パンデミックで、私、有効なワクチンとか有効な薬剤がない場合、緊急使用が可能となる制度、これ必要だと思いますよ。ただし、その場合のリスクについて正しく国民に理解してもらわないと、薬事行政に対する信用全体に関わってくるから聞いているんです。もう一回やってもいいんですけれども。
 そこで、緊急承認の適用が可能となる緊急事態の発動要件について改めて確認したいと思います。
 政府として総合的に判断すると答弁繰り返していますけれども、緊急事態をあらかじめ設定しておくのか、それとも、製薬企業などから緊急承認の申請が出された時点で緊急事態かどうかの判断をするのか、これどうでしょう。

○国務大臣(後藤茂之君) 緊急承認制度の適用の条件である緊急に使用する必要性については、製薬企業等から緊急承認の申請が行われる前提として、あらかじめ制度の運用対象となる医薬品を政令で定めることとしています。

○倉林明子君 ちょっと今日は余り時間もなくなってきているんですけれども、私、これ政府による恣意的判断、これが作用するというようなことはできるだけ排除しなきゃならないと思うんですよ。もうそれはエビデンスに基づいた承認と、これが法的にもやっぱりきちっと担保される必要があるというふうに思うんですね。
 そこで、原則、もう一問だけ。原則の例外を認める緊急承認、これ発動する要件となる緊急事態、これ自身も本当に限定的にどんな事態か政令で規定すべきだと、明文化すべきだと、いかがでしょうか。

○政府参考人(鎌田光明君) まず、大臣から申し上げましたが、緊急承認対象となる医薬品については、まず政令で、例えば新型コロナ感染症に係る医薬品と定めて、その政令ができた後にその企業が個別の製品を承認申請して、それを厚生労働大臣の方で承認すると。その政令の指定がどういう場合かというときに、まさに緊急のときということで政府全体で判断すると。それについて一つ一つ政令で定めるとなりますと、やはり緊急時の機動性ということも考えればなかなか難しいものと考えます。
 むしろ、こうした議論を通じまして、どうした場合かということについて、先ほどから御議論ありますように、国民の生命、健康に被害を及ぼすおそれのある疾病ということで考えられるのは感染症、過去であれば新型インフルエンザ、そして今では新型コロナでございますし、あるいは原子力事故、あるいはバイオテロなどと、こうした形で御説明しますし、また、そうしたことを今後ガイドライン等で明らかにするということで透明性、公平性を確保してまいりたいと考えております。

○倉林明子君 要は、緊急事態のどういうときにこの発動要件が成立するのかということがそのときにならないと分からないというだけじゃなくて、政府が総合的に判断しますということになると、政府判断なんですよ。国民が納得する判断が必ずイコールになるかといったら、そうとは限らない場合も想定されます。それ、想定ですよ。だから、法定しておく必要があると。
 柔軟に判断したいというその思いは分かりますよ。しかし、その思いを担保するには法定しておく必要があるということと、何でそれをする必要があるかというと、緊急承認というものの安全性、第二相までにしていくということと、使いながら有効性を検証するという、これは言わば国民にリスクを負わせることになるんですよ、リスクを。こういうことを踏まえたら法定が必要だと。
 今日はここまでにして、終わります。