感染者 原則入院こそ 参院厚労委 福祉施設めぐり倉林氏(2022/4/7 厚生労働委員会)
日本共産党の倉林明子議員は7日の参院厚生労働委員会で、新型コロナ感染拡大の第6波で、感染した高齢者や障害者が「療養」の名で福祉施設に留め置かれる事態が広がったとして、原則入院とし、療養施設を確保するとともに施設への減収補てんを求めました。
倉林氏は、第6波の中で大阪府では施設療養中に57人が亡くなったことなどを示し、介護や支援が必要な人を施設に留め置くことが前提の対策では「命は守れない」と強調。「原則入院、必要なケアが可能な隔離療養施設の確保が必要だ」と求めました。
倉林氏は、約230人が感染した障害者施設を運営する大阪府堺市の社会福祉法人の事例を紹介。感染した利用者が入院できず、職員がケアにあたったことに伴う経費や作業所の休業などで7000万円の減収だと指摘し、「国の制度で補てんを」とただしました。
後藤茂之厚労相は、サービス継続支援事業の対象だとして、「国と協議すれば上限額を超えて補助する」と答弁。倉林氏は、額が足りないと述べ、「協議待ちにせず全額国がみるべきだ」と迫りました。
また、福祉職員の処遇改善の補助金額が利用者数で変動する仕組みで、コロナ下の利用者減などで減額になるとして「コロナ以前の実績値を基準とすべきだ」と求めました。
○倉林明子君 日本共産党の倉林です。
コロナ、クラスター対策について伺いたいと思うんですね。
第六波では、陽性者、濃厚接触となった障害のある人、あるいは介護の必要な高齢者が療養という名の下で施設や在宅に留め置かれる事態、これ広範に広がりました。クラスターは第五波のピーク時と比べますと、八・五倍というような本当に激増でした。
で、大阪府の堺市で知的・身体障害者向けのサービスを運営する社会福祉法人、ここでは職員、利用者約二百三十人が感染という事態になりました。三十九度の発熱、血中酸素飽和度が八七%に低下した利用者でも入院ができないと、施設内療養を余儀なくされたということです。
福祉施設ということでの療養になりますと、障害持った方です、マスクができない、レッドゾーンから出歩く、防護服破られる、困難を極めるという介護、ケアの実態があったんですね。介護や支援の必要な人について施設に留め置くということは、感染拡大のリスクがもう本当極めて高くなる、命を脅かすことになるんだということが本当見えてきたと思うんです。
私、原則入院、ちょっと見直す動きがあるようですけれども、原則入院、そして必要なケアを確保した隔離療養施設、これ本当に必要だと思いますけれども、認識いかがでしょう。
○国務大臣(後藤茂之君) 高齢者施設に入所している高齢者は、新型コロナに感染した場合、一般的に重症化する方が多く、またクラスターが生じる可能性も高いと考えられ、重症化すると考えられておりまして、重症化するおそれのある高齢者施設の入所者について基本的に入院での対応を行うことが適切と考えております。また、障害者施設に入所している障害者が新型コロナに感染した場合は、重症化するおそれがあると医師が判断したときは入院での対応を行うことが適切というふうに考えております。
それで、これまで、必要な方が必要な医療を受けられるようにということで、入院、医療につきましては、全国で前回のピーク時の一・三倍の受入れ病床を確保するとか、あるいは臨時の医療施設を確保するなどの取組を進めてきたところです。
一方で、高齢者施設や障害者施設で感染された方がその施設内での療養を継続される場合、これらの方々に対して必要な医療支援等が提供されることが重要でありまして、医療従事者の派遣の支援、また、感染制御と業務継続の支援が可能な専門チームが感染確認後、電話相談に応じ、あるいは必要に応じて専門家を派遣する体制を構築する等の支援を行っております。
今後も自治体を始めとする関係者と緊密に連携、意思疎通を図りながら、必要な対応を検討し、国民の命を守っていくようにしっかりと対応していきたいと考えております。
○倉林明子君 隔離、保護がもう本当にできないと、その障害の状況からしてね、そういう状況が今度の六波ですごく出た、こういう実態なんですよ。隔離、保護、必要な医療、ここにつなげてこそ高齢者や障害者の命守れるんだということを改めて言いたい。
入院が必要な人が速やかに入院できる体制をまずはどうやってつくっていくのかと、ここが大事だと思うんですよ。第六波の沖縄県では、社会福祉施設では、一人でも感染者出たら、二十四時間以内に医師を含むチーム、支援チームが入って直ちに治療を開始、入院必要かどうかの判断をしたと。これがお手本になって、今度は、原則、高齢者の介護の施設でもこういう対応ができるようにということが検討されているということを伺っています。
私、大事なのは、施設療養を原則とした支援という立て方をするんじゃなくて、クラスターの拡大を防いで必要な医療につなげると、この二十四時間以内に入る支援チームが、そういう役割が求められているんだと、そういう位置付けでやるべきじゃないかと思うんだけれども、どうでしょう。
○国務大臣(後藤茂之君) まさにそういうような形で、今回、二十四時間以内にそうしたチームが派遣できるような体制を全国で取っていただくように知事に対して事務連絡を発出いたしておりますし、また、そういう施設にお医者さんや看護師さんを派遣できるためのそういう体制についてしっかり構築できるようにということで、事務連絡も発した上で、我々の方も交付金等の支援をしながらしっかりと支えていきたいというふうに考えております。
○倉林明子君 いや、事務連絡出して回るようやったら、とうに回っていると思うんですよ。本当に、第六波の新規感染者の急増に伴ったその施設療養というのは、本当に惨状だったということを言いたいと思うんですね。大阪では、第六波、施設で五十七人が亡くなっているんですよ。施設に留め置くことが前提ということになると、命守れない。これ、六波で本当に教訓にすべきことだと言いたいと思うんです。
冒頭紹介いたしました施設を運営する法人では、レッドゾーンを確保する、で、残った職員で支援するということで、ショートステイを止めざるを得なかったと。作業所の休業、これしないと人がいないということで、減収額が何と五千七百万円になったと。で、防護服、検査キットの購入、職員のホテル代、家帰らせるわけにいきませんので、さらに残業手当、掛かった費用一千四百万円だというんですよ。これ、市の補助金受けても七千万円のマイナスだと。
こうした実態ですよね、広く起こったわけですよ。どう把握しているかと。そして、このような状況に対して国の制度でどれだけ補填されることになるのか、御説明を。
○国務大臣(後藤茂之君) 障害福祉サービスは障害者の暮らしを支える重要な制度でありまして、新型コロナウイルスが発生した場合でも、感染拡大の防止措置をしっかりと講じつつ、事業を継続していただくことが重要だと思っております。
このために、感染者や濃厚接触者が発生した施設、事業所において、コロナ対策として通常必要になる施設、事業者の、事業所の消毒、清掃に係る費用、衛生・防護用品の購入費用、労働の対償として職員に支払う割増し賃金や手当等について、サービス継続支援事業の補助対象として支援しているところでございます。特に対象外のものを設けているということではございませんので、サービス継続支援事業で掛かり増しの補助対象に全てカバーできるということになっております。
このサービス継続支援事業については、サービス種別に応じて基準単価が定められている場合があります。しかし、特別な事情によりまして上限額を超える場合には、地方自治体を通じて国へ協議していただきますと上限額を超えて補助することにしておりまして、引き続き感染者等が発生した施設、事業所をしっかりと支援してまいりたいと思います。
○倉林明子君 いや、先ほどちょっとおっしゃったけれども、ショートステイの上限額って一事業所で十四万六千円ですよ、その継続、サービス継続支援事業ね。グループホームであっても、一事業所最高限度額が三十三万五千円ですよ。検査キットさえ自分のところで買うたって、もう全然足りないわけですよ。足らぬかったら都道府県通じて協議してくれって、いや、ちょっと、もう本当にプッシュで支えてあげないと、事業継続できないという状況なんですよ。
これ、こういう新たな費用、新たに生じた費用ですね、施設療養を余儀なくされたことによって、こういう分というのは協議待ちなんかにせずに全額ちゃんと見るべきだと、国がしっかり見ますということで支えるべきだと思うんです。で、どんなことが起こったのか、この実態は是非調査してつかんでほしい。どうでしょう。
○政府参考人(田原克志君) お答えいたします。
今大臣から答弁申し上げましたサービス継続支援事業でございますけれども、掛かった費用につきまして自治体を通じて申請をしていただきますと、その今お話のありました上限額を超えたものについても個別協議で認めております。これまで百件以上の個別協議がございましたけれども、これまで全ての個別協議について承認をして、その掛かった費用について助成をしているという状況でございます。
○倉林明子君 やっぱり全然足りないという現場の声をつかんで対応してほしいということです。全然足りていないという声に応えるべきだということです。
障害……(発言する者あり)予算いっぱいあんねんから出したらどうやと自民党席から声が上がりましたので、議事録に残しておきたい。
そこで、障害福祉の事業所では、利用者の大幅減、サービス休止、感染対策の経費増、物すごい厳しい経営を強いられているわけです。で、人件費、固定費、一般管理費、これ補償されないと直ちに事業が継続できなくなるんですよ。
これ、利用実績にかかわらず、コロナ、コロナ蔓延以前の事業運営報酬というのを全額補填すると、協議や何やと言わぬと実績見て補償するということで考えて対応すべきやないかと。いかがでしょう。
○政府参考人(田原克志君) 厚生労働省におきましては、感染者等が発生した場合におきまして、施設、事業所によるサービスの継続に伴う消毒、清掃、人材確保のための費用、これを、必要な経費を支援する今申し上げましたサービス継続支援事業を実施をしております。
さらに、利用者のニーズに対応いたしまして、施設、事業所ができる限り障害福祉サービスを提供できるように、一時的に人員や運営の基準を満たすことのできない場合にも報酬を減額しない取扱いや、あるいは居宅への訪問等により支援を行うなど、できる限りの支援を実施したと市町村が判断する場合には通常と同額の報酬を請求できる取扱いを可能としております。
今後とも、感染者が発生した場合には、感染拡大の防止措置を講じつつ、必要なサービスの提供が継続されるように必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
○倉林明子君 今回は職員も感染広がったということで、物すごい人手がない中で支えたんですよ。あのね、一日二十時間前後の支援を続けたと、こういう人もいるんですよ。みとりの覚悟まで家族がしないといかぬと。ぎりぎりですよ。職員、本当命懸けで利用者守ってくれたと施設の役員が泣いていましたよ。
こうした施設ほど実は処遇改善が困難に今なっているんですね。どういうことかというと、職員処遇の改善の補助金支給というのは六月からとなるために、その間の賃上げ分というのは事業所が立替払するというのが要件なんですよ。傷んだ事業所ほど余裕がなくて手を挙げられないと、こういう実態になっています。
さらにです、そもそも月々の処遇改善補助金の額というのは、利用者数、出来高払ですね、これで変動する方式となっているわけで、コロナによる利用者減、休止となりますと減額になっちゃうんですよ。
これ、少なくともコロナ以前の実績値を基準とするということをやらないと、コロナでぼろぼろになっている職員の処遇改善に応えられないと、事業所を追い詰めることになるんですよ。考えていただきたい。
○国務大臣(後藤茂之君) 今般の処遇改善の臨時特例交付金は、各月の総報酬に交付率を乗じることで交付額を算定する仕組みとなっています。
この処遇改善については、各サービスの種類の中で平均的な職員配置の事業所であれば、常勤換算の福祉・介護職員一人当たり月額九千円の賃金改善が可能となるよう補助金の配分を行うこととしておりまして、各事業所において新型コロナウイルス感染症等の影響により勤務時間等が減るなどした場合も含め、福祉・介護職員の勤務実態に合わせた処遇改善を行っていただくことを想定しています。
さらに、新型コロナウイルス感染症による減収への対応として、全ての障害福祉サービスについて、一時的に人員や運営の基準を満たすことのできない場合にも報酬を減額しない取扱いや、居宅への訪問等により相談支援を行うなど、できる限りの支援を実施したと市町村が判断する場合には、通常と同額の報酬を請求できる取扱いを可能とし、できる限り総報酬が減収しないような対策を講じております。
こうした対応によって、新型コロナウイルス感染症の影響下においても事業の安定的な運営を図ることができるようにしつつ、福祉・介護職員の処遇改善に努めてまいりたいと思います。
○倉林明子君 いやいや、それでできひんさかいにこれ聞いているわけですよね。予算委員会と余りちょっと変わらない答弁だったなと思うんです。
問題は、処遇改善の補助金の基礎になる、計算の基礎になる月々のその報酬額ですよね。実績、そこが今傷んでいるさかいに、コロナ以前のところにしたらどうかということには正面から答えていないんですよ。それやってあげれば、その協議や何やというような、また事業所に負担を掛けるような請求の仕方ということになるんですね。もう本当に大変な苦労掛けているところ、クラスター対策で追われているところ、こういうところの負担にならないという、確実に賃上げにつながる仕組みというのが要るんだということです。
大臣、現場のこともよう見ていただいて、賃上げで応えていただきたいということです。
検査のことについても伺っておきたい。
これ、感染、オミクロン株が非常に感染力強いということで、このオミクロン株に対するクラスター対策、欠かせないのがやっぱり検査だと。職員、利用者の検査を本当に広げないといけない。少なくとも、医療、介護、福祉、保育、こういうところの職員、利用者全て、少なくとも週一回のPCR検査全額公費で実施するというのは今々急がれていると。抗原定性キットについては、これ自費で買うというようなことを現場にさせているようでは本当に駄目だと思うんです。国が買い上げて、現場で必要なときにこれは使うと、使えるということにしておくことが必要だと思います。
一緒に聞いておきます。内閣府が今実施している無料PCR検査というのは三月末からこれ六月末までの延長が発表されております。六か月間で三億五千万回分の抗原定性検査キットを確保するとしているわけですけれども、これ、新規の感染者数が増えれば、これ一緒にやっていると再び検査キット不足ということに陥りかねないと私は思っているんです。医療現場に、あるいは介護、福祉の現場に検査キットが届かないと、こういうこと繰り返してはならないと思うわけです。
大臣、第七波に向けて、本当に今度こそ本気で検査戦略、どれだけ検査が必要になるのか、それをどうやってできるようにしていくのか、そういう戦略を持つべきだと、ちゃんと示すべきだと。いかがでしょう。
○国務大臣(後藤茂之君) まず、週一回のPCR検査を全額公費でという話については、高齢者施設や障害者施設、あるいはもう医療機関や保育所でもみんな同じですが、集中的実施計画を作っていただきまして、PCR検査又は抗原定量検査で行う場合に、できる限り週に一回程度実施していただくように、また、抗原定性検査キットをより頻回に実施することも有効であることをお示ししておりまして、このことは三月十七日に都道府県に依頼しております。そして、依頼した上で、行政検査の対象として全額公費で実施することが可能でございます。
それから、抗原定性検査キットの確保については、これはいっとき本当に需要が急に伸びましたときに薬局等から大口の購入が出まして、いっとき品薄になったことは大変御迷惑をお掛けしたというふうに思っておりまして、現在、徹底的な買取り保証に基づく増産に入りまして、期末で一・五億回分、その後二億回分を確保して、計三億五千、三・五億回分の抗原定性検査キットを確保できるようにしております。
そのことで、抗原定性検査キットについて、例えば濃厚接触者となった従事者が出勤するためと毎日の検査キットの検査、それから、例えば集中的実施計画を作成した場合の自治体が求めた検査、そうしたものについては、これは行政検査として無料で行えるということになっております。
また、お尋ねがたくさんだったので答弁が長くなって恐縮ですが、どういうふうに次の感染に向けて検査戦略を作っていくかということですが、ちょうど三月二十三日に都道府県に対しまして今後の検査方針、今後の検査体制の強化に関する考え方というのをお示しをしております。
その中では、有症状者に対しては、経口薬の導入に伴う早期診断の重要性を踏まえて、検査結果が迅速に分かる抗原検査キットを基本とすると。それから、重症化リスクが高い高齢者施設等の従事者に対しては、検査の精度を重視して、抗原定性検査キットではなく、PCR検査や抗原定量検査を基本とする検査体制の構築をお示ししたところでございまして、また検査需要について、近年の過去最大のインフルエンザ流行期の検査数や、これまでの新型コロナの検査実績の最大値を勘案して見込むように、また地方衛生研究所の、公的機関の検査能力を二倍以上を目安として引き上げるなど、次の感染再拡大に備えた体制整備を依頼するとともに、国と地方で連携を取りながら体制きちっとつくっていくように今取り組んでおります。
○委員長(山田宏君) 時間が過ぎておりますので、おまとめください。
○倉林明子君 検査の、検査の数について今求めたと、自治体に求めたという話だけども、現段階で最大能力PCRは四十万件あるけど、直近二十万件しかできていません。定性キットを二百万回分の確保ということを言ってきたけども、実施二万件なんですよ、これ、一日使われているのは。だから、それをどうやって広げていくのかというところの戦略が見えないから聞いているんですよ。
引き続き質問します。
終わります。