今やるべきは負担減 医療費2倍化法案 倉林氏が追及(2021/5/25 厚生労働委員会)
「高齢者医療費2倍化法案」が25日の参院厚生労働委員会で実質審議入りしました。日本共産党の倉林明子議員は、介護・医療の保険料や利用者・窓口負担が増加の一途をたどる一方で年金は目減りし、コロナ危機も加わるもとで、「高齢者にとって二重、三重に絶望的な負担増だ。今やるべきは負担の軽減・免除制度をつくることだ」と追及しました。
倉林氏は、介護と医療の負担増・給付減の経過を振り返り、窓口2割負担の導入に「高齢者から怨嗟(えんさ)の声が上がっている」と指摘。2割化の対象となるKさん(京都市)の「この年になれば病気も多い。MRI1回で5000円だ。年金は増えず心細くて仕方ない」との声を紹介しました。
その上で、「過重な自己負担が、必要な医療からの排除につながる」と強調。2割負担導入で受診控えの影響額が1050億円に上るとの政府試算を挙げ、政府が受診控えの発生を認めながら、「ただちに健康への影響を意味するものではない」とする根拠をただしました。
田村憲久厚労相は、健康への影響には「いろいろな要因がある」などとし、正面から答えませんでした。
倉林氏は、自身の看護師時代にも貧困から受診をためらい、治療が間に合わなかった人がいたと指摘。「皆保険のなかで、助かる命さえ救えない事態を拡大しかねない。負担増で受診抑制を促すことは、やるべきでない」と強調しました。
○倉林明子君 日本共産党の倉林です。
本法案は、全世代対応型の社会保障制度を構築するためということで提案をされております。そこで、やっぱりこの間、全世代型という名の下に高齢者の負担というのは増えてきたと、これ実感ですね。
そこで、まず介護保険です。全国平均で月額六千円超えと、大きな数になったなと改めて思っているわけですが、これ二〇一一年と比べますと月額で二千円、全国平均で、もちろんもっと高いところありますけれども、五割増しという増え方なんですよね。これ、六十五歳以上の高齢者が、生きている間ずっと負担し続けなければならないというのが介護保険料であります。で、介護が必要になりますと、今度は利用料負担が掛かるわけですね。
そこで、確認です。介護保険に関わって、二〇一二年以降、利用料負担というのはどう変化してきたのか、概括説明いただきたい。あわせて、主な給付の見直しはどうだったか。いかがでしょうか。
○政府参考人(土生栄二君) お答えいたします。
まず、利用者負担でございますけれども、介護保険制度におきましては、原則的な利用者負担割合は一割としつつ、制度の持続可能性を高め、世代間、世代内の負担の公平性を図る観点から、一定以上の所得を有する方につきまして、二〇一五年八月から二割負担、さらに一定以上の所得を有する方につきまして、二〇一八年八月から三割負担を導入しているところでございます。
また、二〇一二年以降の主な給付の改正でございますけれども、二〇一二年四月に定期巡回・随時対応型サービス等の導入がございました。その後、二〇一四年の改正が順次施行されてきているところでございまして、二〇一五年から一七年にかけまして、要支援者に対する訪問介護、通所介護につきまして地域支援事業に移行、特別養護老人ホームにつきましては、新規入所者を原則要介護三以上の方に限る等の機能の重点化を二〇一五年四月から施行、それから、補足給付の預貯金資産の勘案、高額介護サービス費の限度額の引上げ等につきまして二〇一五年八月から施行といった状況となってございます。
○倉林明子君 僅か十年余りの間にこれだけ次から次へと介護保険制度の見直しをされて、そのたびに高齢者の負担というのは増えているんですよ。
加えて、この後期高齢者医療制度、保険料はどうなっているかということです。二〇〇八年、制度発足時の調定額は一人当たり年額で六万四千円ということでしたけれども、直近保険料でいいますと、一人当たり平均七・四%増、これ制度発足、制度導入以来最大の上げ幅となりまして、七万六千七百六十四円と、これも過去最高額となっております。
さらに、これ低所得者の特例の段階的廃止というものが行われまして、行われておりますので、この数を確認したい。影響を受けた人数及び影響額、どれだけになっていますか。
○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
御指摘の軽減特例でございますけれども、制度創設時の暫定的な特例として設けたものでございます。
これにつきましては、世代間の負担の公平等を図る観点から、令和元年度から段階的に本来の、制度本来の七割軽減に戻しております。見直しによる影響を受けた人数は約七百四十万人、それから影響額は約六百億円でございます。
○倉林明子君 大きい負担がやっぱりこの間、高齢者のところに負担増という格好になっているんですね。元被扶養者の場合ということで見ますと、これ十倍という保険料の額になっている方もあります。明らかにこれ低所得者に対して負担増、応能負担ということから見れば、これ逆行するような手、暫定的な措置だと、本則に戻しただけだとおっしゃるかもしれないけれども、低所得者にとっては本当に応能負担に逆行ということになっているんだということは強く指摘したいと思うんですよ。
そこで、後期高齢者の医療保険料、これが払えませんと短期証が発行されます。さすがに資格証明書の発行ということには踏み込まなかったけれども、差押処分が取れるということになりました。
じゃ、二〇〇九年、二〇一八年が直近だというふうに伺っていますけれども、件数はそれぞれどう推移しているのか、数字でお答えください。
○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
短期証の交付者数でございますけれども、二〇〇九年度は約四千人、それで直近、二〇一九年度でございますが、約二・三万人でございます。
それから、滞納処分、差押えの実施被保険者数でございますけれども、二〇〇九年度は約八百人、それから二〇一九年度は、こちらはまだ取りまとめ中でございまして、直近二〇一八年度でございますけれども、約七千四百人でございます。
○倉林明子君 これ、差押えで九倍ですよね、九倍。滞納しているのは年金が年額十八万円未満という方になろうかと思うんですよ。これ、余りにも過酷な対応だと、過酷なことになっているんだということを言いたい。
一方、収入の主なものとなっています年金です。これは、十六年からマクロ経済スライドということが導入されました。マクロ経済スライドに未調整分の繰越しと、このキャリーオーバーができるようになったということです。賃金にスライドするマイナススライドということでもうこれ導入されまして、本年度も〇・一%の引下げということになっております。
一九年度時点での将来見通しが一体どうなっているのかということを確認したいと思います。二〇四〇年度の給付水準、厚生年金、国民年金、それぞれどうなりますか。
○政府参考人(高橋俊之君) 令和元年の財政検証の結果によりますと、様々な経済前提を置いておりますけれども、経済成長と労働参加が進むケース三の場合で申し上げますと、年金額を物価上昇率で二〇一九年度に割り戻した実質額、この実質額がいわゆる購買力を表すものでございますが、この実質額で比べますと、モデル年金のうち報酬比例部分は、二〇一九年度の九万円から二〇四〇年度に十・八万円に増加、それから、モデル年金のうち基礎年金一人分は、二〇一九年度の六・五万円から二〇四〇年度に六・三万円におおむね横ばい、若干減少しますけれども、というふうな試算となってございます。
○倉林明子君 今、額で御紹介あったけれども、水準ベースで見れば、厚生年金は一三%減るし、国民年金に至っては二〇パー、額も増えませんよ。そういう水準になるんです。実質的には下がり続ける年金制度になっているということで、それが年金改革でしたよ。
で、年金は上がらないと、なのに引かれるばっかりの介護保険料、後期高齢者医療保険、これどんどん上がっているわけですよ。つまり、この負担と給付のバランスの問題だとおっしゃるけれども、この給付は高齢者人口が増えれば増えるほど増えます。そうなりますと保険料は上がり続けると、こういう仕組みになっています。際限のない負担増が続くと、この今の仕組みでいいますとね。そうなります。これ、高齢者にとっては二重、三重と、先が見えない絶望的な仕掛けなんですよ、負担増になる仕組みだと。
総理は本会議でこうおっしゃいました。対象となっている高齢者の方々にとって厳しい改革と。ちょっと余り聞いたことない答弁だなと、石橋さんへの答弁だったと思います。この認識ですね、厳しい改革をお願いしているという認識は大臣にはおありですか。
○国務大臣(田村憲久君) まさに本当に厳しいお願いをしております。後期高齢者、高齢者だけじゃなくて、現役世代もどんどん負担が増えていく。つまり、国民全体がどんどんどんどん制度を維持するために負担が増えていく。どうするんだということを真剣に考えないと、まだピーク、二〇四〇年に向かって高齢者のピークやってくるんですよね。
ですから、今回はこういう形でお願いをいたしますが、更なる保険制度の維持のためには、本当の意味でどうしていくのかということを考えていかなきゃいけない。そこには、誰もが負担を強いられる、こういう状況が来ます。それをどう負担を分かち合っていくのか、これは納得をいただいて、理解をいただいて、そして共感してもらわないとこれお願いできないことであります。そういうことをしっかりと我々、政治の場は逃げずにお伝えをしていかなければならない、そういう時期に来ているんだと思います。
ただ一方で、消費税を使って、介護保険制度は、特に低所得者は基準額の金額の〇・五だったものを〇・三に下げておりますので、そういう意味では、消費税使って保険料の引下げもやっておるということは御理解をいただきたいというふうに思います。
○倉林明子君 消費税使って病床削減もやるんですけどね。消費税使ってそういう措置をとっているということは理解しております。社会保障のためということで導入したものの使い方としては、病床削減みたいな話と全く違う話だということは、病床削減に使うということと別の話だということは踏まえた議論はしたいと思います。
あのね、負担軽減措置というのは、これ外来だけということになりますよね、今回とられるけれども。期限も付いています。まあ三年で終われという厳しい御指摘ありました。しかし、現実どうかということで高齢者からは怨嗟の声上がっていますよ。私のところにもファクスは来る、電話は掛かってくる。何とかこの二割負担止めてくれという声です。
年収二百万円を超えるという京都市の、いや、年収二百万円というか、今回対象になる、二割負担の対象になるという京都市在住のKさんというこの方からもお電話いただいたんですが、この年になれば病気も多いと。そのとおり。病院で検査と言われれば、結構ですと言えないと、MRI一回やったら五千円になると。年金は増えず心細くて仕方ないと。七十五歳になったら別の保険と。保険、これは自分で選んだわけじゃないと、ところが、七十五歳になった途端、夫婦で別々の保険になって保険料は二割増えたということなんですね。果たして過重な自己負担がこれ必要な医療から高齢者を排除することにつながらないのかと、私、非常にその点で懸念しています。
確認したいと思います。二割負担の導入によって、二〇二五年、受診抑制による影響額は千五十億円に上るわけですよね。この試算というのはいつ出したのか。そして、医療保険部会でこの金額は示されなかったと認識していますけれども、その理由は何でしょうか。
○政府参考人(浜谷浩樹君) 御指摘の配慮措置の影響も含めました二〇二五年度満年度の給付費減のうち、受診行動の変化による影響額一千五十億円との試算につきましては、本年四月十四日の衆議院厚生労働委員会における審議におきまして、宮本委員からの質問に対してお答えしたものでございます。(発言する者あり)はい。
社会保障審議会の医療保険部会におきましては、給付費減の内訳といたしまして、長瀬効果の影響額、額そのものは示しておりませんけれども、給付費減の中に長瀬効果も含まれることを資料の中でも記載した上で、具体的な所得基準について五つの選択肢を示して御議論いただきました。
医療保険部会におきましては、委員から、高齢者の必要な受診を妨げないようにすべきなどの意見も含めまして、様々な立場から御意見、御議論いただきましたけれども、最終的には見直しにつきまして関係者の合意をいただいたところでございます。
○倉林明子君 つまり、医療保険部会では長瀬効果ということだけを示していたと。見ました。ちっちょう下に書いてありました。踏まえた議論をされたという説明にはちょっと無理があるんじゃないかということは指摘したい。結局、その影響額ということでの議論はされていないんですよ。そこが問題だということは言いたい。
そこで、受診日数が一定減ることを認めた上で、そのことが、そのことがですよ、直ちに患者の健康への影響を意味するものではないと答弁されているんですね。直ちに、だけど、じゃ、いつか出るのかということも、先ほど来、直ちにのことで議論ありました。
これ、そう言える根拠が私は聞きたいんですね。なぜ言えるのか。長期的に見た場合、じゃ、どうなのか。検証しているのかと。どうですか。
○国務大臣(田村憲久君) いわゆる長瀬効果というものですけれども、これは、今まで経験的にこれぐらい上げたらこれぐらい給付が減るというようなものを出しているものであって、これはあくまでもマクロで見た話でございますので、そういう意味でこれを、長瀬効果があったからといって、それがどれぐらいの期間でどのような形で健康的な影響が出るかというようなものではなくて、これをやればこういうふうな給付が減るというものを経験的に示されたものであるというふうに理解いたしております。
○倉林明子君 その影響額の額の算定にその式を使ったというのは分かっていますよ。じゃなくて、その影響額が出るということは受診回数が減るということですよね。つまり、それが健康に影響が出るかどうかということについての検証どうかと聞いているんですよ。影響、直ちに影響ないと言うからどうなんやという話ですよ。
○国務大臣(田村憲久君) 正直申し上げて、いろんな要因があるので、これをもってして健康に影響があるというような評価があるわけではないということと同時に、これによって、よく言われる話でありますけれども、二・六%、これ金額といいますか、パーセンテージ出すと二・六%の、要するに受診日日数、これが減る、受診日数ですね、これが減るということが分かっているということで、よくこれ外来においては年間三十三日が三十二・二日になるというようなことが、これは計算上であります、計算上マクロの数字として表れているということでございまして、それをもってして健康にどういう影響が出るかということを表しているものではないということであります。
○倉林明子君 そこがすごく大事だと思っているんです。実際に必要な医療が、受診抑制効果が生まれるということに伴って出てくるのかこないのかというと、非常に医療保険としての本来果たすべき役割が果たせるのかどうかということにも関わってくるというふうに思うんですね。
で、現場で起こっている声は、もう病院に行けなくなるという声が物すごい出ているんですね。実際に負担増は受診抑制、受診アクセスをこれ抑制する効果というのは必ず掛かると思います。
私、毎年、全日本民主医療機関が調査している手遅れ事例調査というのを報告受けているんですね。現場にいたときにも感じていたことですけれども、お金がない、保険証持っていない、そういうことで本当にぎりぎりになって来られて、治療間に合わないということがあるんです。じゃ、三十五日が三十三日になったからそういう事態が生まれるかということについて、私も論証するもの持っていません。ただし、受診抑制を促すとこういうことにもつながりかねないという危惧を持っているんですね。
こうした助かるような命さえ皆保険の中で救えないというようなことを拡大するということにつながりかねないと、これがやっぱり負担増なんですよ。やっぱり負担増で受診抑制を促すということについてはやるべきではないということは重ねて申し上げます。
次、後期高齢者医療制度の導入、これは物すごい議論ありました。
厚労省が、これ第一回の高齢者医療制度改革会議、二〇〇九年でした、このときに報告した独立制度、つまり後期高齢者医療制度ですね、によって本質的な問題として指摘をされている点があります。それは一体何なのか、御紹介ください。
○政府参考人(浜谷浩樹君) 平成二十一年十一月に開催いたしました高齢者医療制度改革会議におきましては、後期高齢者医療制度の問題点を整理しております。独立制度としたことの本質的な問題といたしまして、七十五歳以上の高齢者のみを区分し、保険証も別になり差別的であること、それから、高齢者医療費の増加に比例して高齢者の保険料が増加する仕組みとなっていることを挙げております。
その後、この改革会議、平成二十二年十二月二十日に取りまとめを行いまして、後期高齢者医療制度の廃止を決定し、平成二十四年二月に社会保障・税一体改革大綱が閣議決定されましたけれども、その後、平成二十四年八月の社会保障制度改革推進法の成立を経て、平成二十五年八月の社会保障制度改革国民会議の報告書におきましては、現行制度を基本としながら、実施状況等を踏まえ、必要な改善を行っていくことが適当とされております。
制度創設当時は様々御批判いただいておりましたけれども、現在におきましては、その創設以降の現場の御尽力の下で十分定着し、安定的な制度運営がなされているものと認識しております。
○倉林明子君 制度創設時、私も記憶しています。やっぱり何で年齢だけでこうやって保険分けられるんだという指摘は本当に多かったし、高齢者差別だという批判が厚労省の中でも共有されていたということがよく分かりました。
発足当時の話です、導入当時の話です。世界で、年齢によって加入する制度を区分する、こういう年齢で機械的に区分すると、こういうような仕組みが、全国民を対象とする公的保険制度を持つ国、アメリカにはないですから、公的保険制度がある国で日本以外にあるんでしょうか。確認できていますか。
○政府参考人(浜谷浩樹君) 諸外国におきましては、今、アメリカは除外すると御指摘いただきましたけれども、アメリカにおきましてメディケアがありますけれども、国民皆保険制度の下で高齢者の医療を別建てしている他国の例については承知しておりません。
医療保険制度でございますけれども、各国それぞれの沿革を踏まえて発展してきておりまして、後期高齢者医療制度でいえば、国民皆保険の下で医療アクセスの良さを実現する中で、公費と現役世代と高齢者がそれぞれ支え合うそういった仕組み、そういった仕組み、考え方で構築されているというふうに考えております。
○倉林明子君 世界にも例がないという日本独特の制度なんです。それはこれだけ続けていますから定着しているというふうに厚労省受け止めているかもしれないけれども、この矛盾というのは高齢者のところにとって重い負担になっているということに、高齢者にとっても、また後ほど言いますけれども、負担を増やしていくという仕掛けになっているということだということなんです。
日本総合研究所、日本総研ですね、ここの研究員だった、研究員だったというか、当時、二〇一八年に論文を発表されているんですけれども、飛田英子さんという方が世界にも例のない制度だということをこの論文の中でも紹介されていました。
飛田氏の保険料推計、彼女がした分なんですけれども、現行制度を維持する場合の推計を一つされています。これ、二一〇〇年度には年額百二十八・三万円、介護と合わせると四百万円近くに達すると。一方、現役世代の保険料率も、医療、介護、年金で、二一〇〇年度分は企業負担込みで五〇%超えるという試算を出されております。我が国の社会保障制度が近い将来完全に機能不全に陥るという指摘なんですね。これ、三割負担のケースも、三割負担を導入した場合についてもケース推計されていまして、その中でも現役世代、それでも現役世代は二割増しになるんだと、両方上がるんですよ、やっぱりね、そういう仕組みですから。そういうことを発表されて、出されています。
私、後期高齢者医療保険制度というのは、高齢者だけの負担が増えるわけじゃなくて、現役世代にとっても耐え難い負担が、近い将来、こんな推計も出ているということが想定されると思うんですよ。どうですか、今の立て付けでいくと。
○国務大臣(田村憲久君) 先ほど私が申し上げたこと、そのままなんだと思いますが、ただ、後期高齢者医療保険制度じゃなかったとしても、高齢者の方々が保険制度の中で対応する限りはどこかに負担があるわけでありますので、それは後期高齢者医療保険制度というもの独特、特有というよりかは、後期高齢者医療保険制度によってより明確化してくる、見える化しているというのは事実だと、どこの負担というものがどう生じているか。
しかし、これがそうじゃなかった場合には、その保険者の中で、なかなか分かりづらいけれども、やはり負担は、確実に誰かが負担しなきゃなりませんから増えるということになろうというふうに考えております。
○倉林明子君 そうなんですよ。高齢者の医療費が高いということが見える化されるというのがこの後期高齢者医療保険制度の仕組みでもあるんです。それが現役世代の支援金という形でこれもまた見えるんです。この仕組みそのものが私は世代間の分断にもつながっていると、これは私の指摘ですから、聞いておいてください。
そもそも、病気になりやすく、年金収入だけなど収入は限られているわけですね、高齢者。保険料負担能力がそもそも低いと、基本的に、それが高齢者なんですよ。これ、リスク分散しないんです、保険なのに、保険制度なのに。保険制度としての制度設計ということも、私、これ明らかに合理性欠けるんじゃないかと思うんですけれども、それについての認識どうですか。
○国務大臣(田村憲久君) ですから、見える化されている中において、どのような形で負担能力に応じて負担いただくかということを今般も検討して、一定所得以上の方々に対して二割負担をお願いをいたしたわけであります。
これが分からないとどこでどう対応したらいいのかというのがなかなか見えてこないということでは、一定の対応策は今般このような形でお願いをさせていただきますが、ただ、戻りますけれども、これで終わるわけではないので、これから更に、この医療保険制度をどう維持していくかということは、更に根本的な部分も含めて検討を早急にしていかなければならないというふうに思っております。
○倉林明子君 医療というのは支払能力と関係なく必要が生じるという、これ大原則だと思うんですよ。だから、自己負担のところにその負担を増やせば増やすほど、これ平等、要は、支払能力をそこに持ち込むと受けられない人が必ず出てくるということをちゃんと押さえる必要があると思うんです。その支払能力に応じた負担ということを盛んに言われるんだけれども、そこの支払能力に応じた負担を窓口負担に求めるべきなのかと。そうすると、医療を受ける権利というところに要は能力で差が付くということになるんですね。
私、窓口負担じゃなくて、税と保険料の方にこそ応能負担は求めるべきだと、この考え方はどうですか。
○国務大臣(田村憲久君) 応能負担、高額療養費という形では要するに自己負担のところにも入っているんですが、高齢者という意味からすると、今委員がおっしゃられて、現役と一緒という意味からすると三割負担という形になります。しかし、これは後期高齢者という形でありますから、そこは負担というものが違うというのが明確に、違う制度でありますから、それは示せるという意味では、保険が違うということは非常に明確な根拠になっているんだというふうに思います。
その上で、その中で負担能力を一定程度見た上でこの保険制度を維持するために今般お願いをさせていただいておるということでございますので、是非とも御理解いただければ有り難いというふうに思います。
○倉林明子君 あのね、コロナで大もうけしているところあるんですよ、大もうけしているところ。超富裕層、こういうところに税負担求めるべきだと、いや、逆に求めてくれという人たちも出てきているぐらい、超富裕層のコロナでも大もうけ、この間もしてきたけれども、コロナでも大もうけというところあるんですよ。こういうところにこそ、国民負担と言うけれども、こういう超富裕層にこそ私は課税強化すると、こうやって税を確保すると、この選択肢が議論に全く抜けているんじゃないかと思うんですけど、いかが。
○国務大臣(田村憲久君) 今までも課税の強化という意味ではそういうことをやってきているわけで、これは我が省の担当ではありませんが、委員がおっしゃられることも一つ私は大きな、何といいますか、意見であろうというふうに思っておりますので、そういうことも含めながら、どのような形で負担をしていくかということ、負担の割合をどのような形にしていくかということ、これは検討をしていかなければならないというふうに思っております。
○倉林明子君 高齢者や現役世代のところだけで負担や給付の押し付け合いするんじゃないと。公費も国民負担だとおっしゃるけれども、求めるべき相手というか、課税をどこからするのかという議論もきっちりしていく必要があるということは申し上げたい。
全世代型社会保障改革というのは高齢者の働き方にも大きく影響しています。働き方改革とセットでの議論ということになってきたかと思うんです。人生百年時代だとして、労働力として多様な働き方を可能とする法改正も行ったところです。高齢者は、少ない年金やと、重い保険料負担があると、働かざるを得ないと、そういう状況になっている高齢者、本当に多いです。
実際に、今の働いている高齢者の状況というのはどうなっているのかということを確認しておきたいんです。六十五歳から六十九歳、七十歳以上、それぞれの就業率、働いている人の割合、それから、いわゆる自営業の方もいらっしゃいますので、労働者、労働者の割合はどうで、その労働者のうち非正規雇用、これが占める割合というのはどういうふうになっているでしょうか。
○政府参考人(井上卓君) お答え申し上げます。
総務省が実施しております労働力調査の結果から二〇二〇年平均の就業率を年齢階級別に見てまいりますと、六十五歳から六十九歳では四九・六%、七十歳以上では一七・七%と、このようになっているところでございます。
また同様に、御質問ございました役員を除く雇用者に占める非正規の職員、従業員の割合を年齢階級別に見てまいりますと、六十五歳から六十九歳で七六・一%、七十歳以上では七七・〇%となっているところでございます。
○倉林明子君 七十歳以上でも四百六十万人余りの高齢者がもう既に就労されております。自営業者、家族従事者の比率が高いということはあるんだけれども、実は労働者、今御紹介いただいたように、労働者のうち非正規が八割近いんですね。多様な働き方促進していますからそうなるのは当然なんだけれども、コロナがどう影響しているかということですよ、この高齢で就労している人たちに。女性不況というような、コロナの影響が出たことが顕在化しましたけれども、高齢者のこの非正規にも直撃しているという状況があろうかと思うんですね。
これについて、高齢者の雇用環境がどんなふうにこのコロナで影響を受けているというふうにお考えか、認識をお聞きしたい。
○国務大臣(田村憲久君) 高齢者においても新型コロナウイルスの影響というもの、これはあるというふうに承知しております。
一方で、高齢者の収入については、昨年十一月の社会保障審議会医療保険部会において、令和元年と令和二年の家計調査における七十五歳以上の夫婦無職世帯について比較した資料を提出しておりますけれども、実収入については、月によって増減はあるものの、コロナ前後を比較して一律に増加又は減少のいずれかの傾向があるわけではない、実支出については、一貫して若干減少している状況である、新型コロナ感染症拡大による影響はおおむね少ないものと考えられる旨の説明を行ったと、こういうふうに議論をいただいた、この上で議論をいただいておるわけでありますが、収入が減られるという御家庭もあるというふうに思います。
今般は、それも踏まえて二百万円以上ということを示しているので、それから収入が減れば当然対象から外れますので、そこをいじっているわけではないわけでございますので、一定収入以上の方々に是非とも御理解をいただきたいということでお願いをさせていただいておるわけであります。
○倉林明子君 確かに、二百万円ですから、それ以下になった人たちにまで二割負担を押し付けるものではないということは重々承知をしております。ただ、高齢者が今、年金以外のところで収入が減るということがいかに生活困窮に陥るかというところをしっかり直視していただきたいと。
要は、その二百万のラインでやるという話というよりも、もっと困っている人たちに対してやることがあるんじゃないのということなんです。つまり、今やるべきは引上げかと、違うと。負担の、利用料の免除制度ありません。減額、免除の制度こそ今検討してつくるべきではないのかと最後申し上げまして、終わります。