倉林明子

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医師・看護師増求める 病床削減推進法案 / 「病床削減法案」を可決 倉林議員反対討論 医療提供 脆弱さらに(2021/5/20 厚生労働委員会)

 日本共産党の倉林明子議員は20日の参院厚生労働委員会で、医療法などの改定案を束ねた「病床削減推進法案」について、医師・看護師不足を放置したままでの「タスクシフト」(業務移管)の推進や、医学生の診療参加・早期養成の法制化の問題をただしました。

 倉林氏は、「医師の負担軽減」を口実とした臨床放射線技師など4職種への業務移管をめぐって、従来の看護師への業務移管の現状を質問。厚労省の迫井正深医政局長は、研修修了者が2025年度までの目標10万人に対し3300人にとどまっているとして「看護師の負担の増大」などが課題だと認めました。倉林氏は「過重な現場にしわ寄せが生じるのが現状だ。率直な検証と総括が必要だ」「4職種でも増員なしに(移管を)進めれば、無理が出る」と強調しました。

 さらに、医学部卒業前の診療参加の法制化に対し、医師養成数を抑制するために「学生を早く現場に送り出すことになり、医療の質の低下が懸念される」と指摘。業務移管の問題とともに「医師や看護師の増員で対応するのが原則だ」と主張しました。


 「病床削減推進法案」が20日の参院厚生労働委員会で自民、公明、維新、国民民主各党の賛成多数で可決されました。日本共産党と立憲民主党は反対しました。共産党の倉林明子議員は反対討論で、コロナ禍で日本の医療提供体制の脆弱(ぜいじゃく)さが明らかになったとして、病床削減を進めるのは「断じて許されない」と強調しました。

 倉林氏は、消費税を財源に病床削減への補助金を法定化する同案を批判。医療の逼迫(ひっぱく)で入院できず施設や自宅で亡くなるコロナ患者が相次ぐ一方、今年度予算で削減される病床は単純計算で1万床規模にのぼるとして、補助金と厚労省による公立・公的病院再編統合リストの撤回こそ必要だと主張しました。

 また、同案が医師の時間外労働を「過労死ライン」の2倍の年1860時間まで容認しているとして、「現状の医師の異常な働き方を合法化し、過労死の増加につながる。到底容認できない」と批判。「過重労働は絶対的な医師不足によるものだ。労働時間の上限規制はせめて他の職種と同水準とすべきだ」と強調し、医師が人間らしく働ける本当の「働き方改革」を求めました。

 倉林氏は、同案で推進する医師から他の医療従事者への「タスクシフト」(業務移管)に対しても、絶対的な人手不足を放置したままリスクの高い医療行為の業務移管を進めれば「医療の質・安全性を脅かしかねない」と指摘し、医師・看護師の大幅増員こそ必要だと力説しました。


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林です。
 法案では、医師の負担軽減のためにタスクシフトを進め、臨床放射線技師等四職種の業務を拡大するということになっております。
 そもそも、医師の負担軽減ということで、タスクシフト先で議論の最初に出てきたのは看護師だったんですよね。そこで、二〇一五年に開始された特定行為研修制度、この趣旨は何だったのか、そして、二〇二五年の目標数、直近の養成数、さらに、特定行為の実施状況というのもつかんでいるものがあれば御紹介いただきたい。

○政府参考人(迫井正深君) 看護師の特定行為に係る研修制度、これは、二〇二五年に向けて効率的かつ質の高い医療提供体制を構築するために、急性期医療あるいは在宅医療等を支えていく看護師を計画的に養成することを目的といたしまして創設されております。
 これ、医療ニーズが高まる中で質の高い医療を提供していただくということのためには、特定行為研修を修了した多くの看護師に様々な現場で活躍していただく必要があるということでございまして、制度創設時、二〇二五年の研修修了者目標値は十万人としているところでございます。
 現在、特定行為の研修修了した看護師、これは令和三年四月時点でありますけれども、三千三百七人というふうになってございます。

○倉林明子君 実施状況まで聞いたんだけど、つかんでいないという理解でいいのかなと思いました。
 これ、元々、やっぱり在宅医療の推進のため、タスクシフト、医行為についても拡大していくという狙いがあったことは明らかだったと思うんですね。ところが、二〇二五年、あと四年ですね。ところが、十万人の目標に対して三千三百七十名という状況で、私、この乖離も大きいんだけれども、実際の特定行為が現場でどれだけできているかということに注目してみたら、やっぱり二〇一七年に厚労省は科研事業ということで調査しているんですね。結果も見させていただきました。そうしますと、研修修了者が過去一か月で特定行為を実施した者、これ一割止まりなんです。その理由は何かと。対象患者なしというものが最も多いということなんです。少ないし、現場ではなかなか使われないと、こういう実態が改めて浮き彫りになって、伸びない要因の一つでもあろうかというふうにも思います。
 特定看護師の研修が始まって六年になりますけれども、医師の負担軽減にこれ一体どんな効果が上がったのか、その評価はいかがですか。

○政府参考人(迫井正深君) 特定行為研修を修了した看護師へのタスクシフトあるいはタスクシェアにつきまして、それぞれ医療機関の状況に応じて内容が異なるというふうに考えられます。
 今委員も御指摘されたように、実際にそういった研修を受けた看護師がどのように配置され、どのような業務を担うかといった要素も非常に大きく影響しますので、一概にその効果をお示しすることはなかなか難しいんですが、先ほど委員言及されました研究等で、例えば、特定行為研修のその修了者に関する調査、これで、例えば心臓血管外科に二名の特定行為研修修了者を配置をしますと、委員一人当たり年間平均勤務時間、いや、医師一人当たり、失礼いたしました、医師一人当たりの年間平均勤務時間が約四百四十五時間短縮したことが示されているなど、医師の負担軽減には一定の効果があるものというふうに考えております。

○倉林明子君 その科研事業を使って、私、さっき紹介したんですけれども、ごく一部にそういうものの、医師の時間短縮につながっている事例があるということは否定しませんけれども、全体として医師のタスクシフトというか医師の負担軽減につながっているという評価には私は至らないのではないかと、一部そういう事例があるけれども、全体としては進んでないというふうに思うんです。
 そこで、この看護師へのタスクシフトを進めようということはあったんだけれども進んでないと、この最大要因は何だと思いますか。

○政府参考人(迫井正深君) これ、医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会において、医療機関におけるタスクシフト・シェアを進めるために必要な課題、いや、失礼しました、必要な内容につきまして課題の指摘がございまして、その三つの課題が、意識、それから技術、それから余力といったものが必要だというふうに指摘をされております。
 具体的に、その意識については、これ看護師のみならず医療従事者全体だろうと思いますけれども、制度に関する理解の不足でございます。それから、技術につきましては、成功事例の共有でございますとか研修システムの構築等ができていないというようなことでございます。それから、余力、これはタスクシフト・シェアを受ける側の看護師等の負担の増大等が十分勘案されているのかというような内容の御指摘でございます。
 こういったことが全般としてタスクシフト・シェアが進まない要因として掲げられておりまして、こういった課題に対応するために、私どもとしては、これはこの委員会の議論でも何度かなされておりますけれども、やはり意識改革、特に、実際にその配置でありますとか、そういった研修に従事していけるというようなことを理解していただくためにはトップのやっぱり意識が重要でございますので、トップマネジメント研修を通じた意識改革、それからICTの導入によって業務全体の縮減によるタスクシフトを受ける側の余力の確保といった観点も含めて、好事例を収集をし、周知をすることなど、引き続きそういった取組を進めるように対応してまいりたいと考えております。

○倉林明子君 さっきの要因について、三番目、余力という話がありましたけれど、私、それ本当に大きいと思うんですね。
 こういう特定行為を進めよう、進めるべきだという立場で言ってるんじゃないんですよ。やっぱりこういうことを、特定行為が実施することに対しては、やっぱり当初から医療安全上のリスクを拡大するものだということで指摘をしてきた経過もあります。
 特定行為の研修、余力ということでいいますと、特定研修に出すということに対しては何の担保もないんですね。だから、了解ないともちろん出られないという環境あります。さらに、特定研修は看護師のスキルを上げるということにつながっているんだけれども、特定行為の看護行為に就くということになると、じゃ、その肩代わりということがスタッフとして要るようになるんですよね。つまり、過重な現場、余力のない看護師体制というところにも、しわ寄せということも、研修も、それで特定行為をやるということになったとしてもしわ寄せが行くという現状あるんですね。
 そういう意味でいうと、そういう特定行為を拡大して受皿とすべきだというふうに私は思っていないんだけれども、ここまで進まなかったということについても、私は、率直なやっぱり検証と総括、必要だというふうに思っているんですよ。その点、大臣、いかがですか。

○国務大臣(田村憲久君) 今言われたように、委員が、研修時間が長いということで、負担が非常に多いというお声はお聞きします。
 それから、やっぱり制度自体十分にまだ周知、御理解いただいていないということもあるんだと思いますが、ある程度効率化していかなきゃいけない研修内容という中において、内容の見直しでありますとかカリキュラム、こういうものの効率化をする中において、研修時間等々を全体的に短くしていくと、もちろん質は落とさずにということでありますが。
   〔委員長退席、理事石田昌宏君着席〕
 それと同時に、パッケージ化を進める。つまり、診療領域で、その領域ごとにパッケージをして効率的に研修いただくということをしませんと、実態、現場で、例えば在宅医療でありますとか麻酔の管理でありますとか、いろんなその領域ごとの、そこに必要な知識というか能力、技術というものをパッケージで学べないと使い勝手が悪いというお声もありましたので、そういうことを進めさせていただいて、今、元々四つで始めて今六つぐらいまで来ているのかな、領域が、増えてきていると思いますけれども、そういう形で、より実践的に使いやすいものを学んでいただくということも見直しをさせていただいております。
 ちょうど今この医師の働き方改革でございますので、このタスクシフト・シェアリングの中においてどれぐらい医師の時間、労働時間というものが減るかということもお示しをしておりますから、まさに、これからこれをしっかりと御利用いただかないことには、この医師の労働時間自体がこれ短くなっていかないということもございますので、そういう意味では、まさに今周知を進めていく、制度を知っていただく、その我々絶好の機会だというふうに思っておりますので、しっかりと進めてまいりたいというふうに思っております。

○倉林明子君 タスクシフト織り込み済みで進めていくんだということなんだけれども、なぜここまで進んでこなかったのかということについて、私、十分な検証と総括すべきだと思うんですよ。進まない理由がやっぱりあったんだということを指摘したいと思うんですね。
 今度の法改正では、この看護師の業務独占を一部解除して、診療の補助業務の一部を四職種に拡大するということにしております。
 これは看護師の特定行為のときも大問題になったんですけれども、医療事故等による責任が問われた場合の補償はどう位置付けていますか。

○政府参考人(迫井正深君) このタスクシフト・シェアの推進に当たりまして、医療の安全を確保しながら進めるというのは前提になっております。
 養成カリキュラムの改正、それから研修の義務付け等、この安全性の確保にはしっかり努めてまいりたいと考えておりますけれども、その上ででございますが、医師の指示の下で診療の補助を行うとされている看護師等の行為が原因で医療事故が起こった場合につきましては、診療全体を通じての民事上の責任の所在は、これは一義的には医療機関にあると考えられます。
 個人の行為についての不法行為責任、これは法的には指示を出した医師や実際に行為を行った医療従事者等にももちろん生じ得るということでございます。
 こうした場合でありましても、仮に医療機関が損害、あっ、賠償責任保険等に加入していれば、その補償によって適切に補償がなされて、なされるものというふうに承知をいたしております。

○倉林明子君 前提、保険に加入していれば個人が問われた場合でもということなので、そういう意味でいうと、保険に加入していなければというところの担保はないんですよね。
 私、四職種でも、看護師の場合も、余裕のなさの要因というのは、やっぱりぎりぎりの体制でやっているというところ、大きくあるんですよね。増員なしで四職種でもこれやっていこうとなりますと、やっぱり無理が出てくると。リスクを負わせるということにもなりますから、幾ら研修したとしても、診療の補助ということで、医師の指示の下に医行為もできるということになってくるわけですからね。そのリスクに対しても、リスクも出てくると。
 私、医師も、その看護師もなんですけれども、基本足らないんですよ。ここの増員で対応すべきが原則だということは強調しておきたいと思います。
 今回、法案で、救急救命士について、救急搬送の間に実施可能な救急救命措置が救急外来でも可能、実施可能とすることになっております。現状のコロナ禍で起こっているのは何かと。救急車に来てもらえない、搬送先が決まらない、こういう救急崩壊があちこちで大問題ということで生じております。
 この救急、消防救急が次の出動に支障を来すようなことは当然あってはならないというふうに思うわけです。救急外来の看護師確保こそ私は優先すべきじゃないかと思います。ああ、救急外来のですね、思いますけれども、いかがでしょうか。

○政府参考人(迫井正深君) まず、今般の法改正案で救命救急士法の改正案でございますが、医師の働き方改革の観点から関係職種の業務全体を見直す中でということでございます。これは従前、病院前においてのみだったものを医療機関の救急外来において救命救急処置を実施することができるように措置をしたということでございます。
 現状で、その消防機関の救急隊が医療機関に患者を搬送する際には、速やかに医療機関側に患者の引継ぎを行いまして次の救急出動に備えることとされております。この取扱いは今般の法改正後も変わることはございませんで、消防機関に所属する救命救急士が救命救急処置を行うのはあくまで医療機関側に患者搬送を引き継ぐまでの間ということでございます。
   〔理事石田昌宏君退席、委員長着席〕
 それから、看護師の配置の関係でございますが、これも、検討会報告書におきましても救急外来への看護師の配置基準等について検討することとされたことを受けまして、現在、救急外来における看護師の配置状況や業務実態に関する調査研究を実施をしておりまして、今後、その結果等を踏まえて検討を進めていきたいと考えております。

○倉林明子君 医師、看護師不足ということが自民党の筆頭も本会議で述べておられましたけれども、やっぱりそこ正面に見据えた対策が要るんだということは改めて指摘をしたい。医師も増やさない、看護師も増やさない、それでタスクシフトだけで私は安全を守れるのかということを厳しく指摘したいと思います。
 その上で、スチューデントドクターの法制化についてです。これ、その目的について簡潔に御説明を。

○政府参考人(迫井正深君) 簡潔に御答弁したいと思いますが、これまで、卒前卒後の医師養成を一貫して医療現場を中心として行う必要性が指摘をされてまいりました。
 卒前の臨床実習の現場では、医師免許取得前の医学生が一定の整理の下に違法性阻却事由に該当する形で医行為を行ってまいりましたけれども、医学生自身が、指導する医師にとって医行為実施の可否において一定の判断の困難さが伴うということ、それから、医学生の行う医行為の安全性について患者側に不安が付きまとうということなどを理由に、診療参加型臨床実習における医行為の実施はいまだ十分進んでいないということが指摘されておりまして、臨床実習における指導体制の充実を図るとともに、医学生の質の担保とその医行為について法的に位置付けることにより、診療参加型臨床実習において実践的な実習を行うことを推進をし、医師の資質向上を図るため、今般の法改正案を提出させていただいたということでございます。

○倉林明子君 臨床実習でより侵襲性を伴う医行為の実施、可能になると。これに対して、実施が促進されることにならないかということで、これ医師分科会でも相当議論があったと。デメリットについての指摘部分、御紹介いただきたい。

○政府参考人(迫井正深君) これ、シームレスに医師養成を行っていくと、いわゆるスチューデントドクターの法的位置付け、これは医道審議会医師分科会において議論されておりますけれども、審議会でいただいた御意見といたしまして、シームレス化による卒前卒後の教育内容の重複の回避には、一般的には単に侵襲的な医行為を早期に習得させることを意図していると捉えられてしまうのではないかというようなこと、それから、医学教育の前倒しが更に進んで準備教育の期間が短くなることで教養教育あるいは人格形成に支障が生じるのではないかということ、それから、医学生が行う医行為、法的な観点については、医学生が医行為を行った結果、問題が生じた場合の法的責任について整理が必要ではないのかという意見がございました。
 審議会においてこうした課題についても議論いただきまして、その対応をクリアした上で、診療参加型の臨床実習の充実のための取組等について取りまとめたところでございます。

○倉林明子君 課題クリアしたということをおっしゃるんだけれども、養成期間の短縮ということになるんじゃないかと思うんですけどね。早く現場へ学生を送り出すということにつながっていくわけで、医療の質への低下の懸念ということを指摘したいと思うんですね。
 大臣に聞きたいんだけれども、医師養成数を抑制するため医学教育がゆがめられるようなことがあってはならないと思うんだけれども、いかがでしょう。

○国務大臣(田村憲久君) 医師、医師養成の、何とおっしゃった。ちょっともう一回お願いします。

○倉林明子君 そのまんま通告していたと思うんですけれども、医師養成数を、ああ、マスクで聞こえにくかった。医師養成数を抑制するため、よろしいですか。

○国務大臣(田村憲久君) 医師養成数抑制するためなどというようなことを目的にやっているわけではないわけであります。もとより、共用試験を受けていただいて、実際問題、スチューデントドクターという形の中で学びをしていただくわけでありますので、その一定のしっかりとした知識を身に付けていただかなければ、これは試験を受けられないわけであります。
 その上で、やはりチーム医療というような形の中に実地で入っていただく中において、ある意味、全人的な診療が必要であるということもその中で学んでいただけると思いますし、自主的ないろんな学びというものも一貫してやっていただくと。卒前卒後、これを一貫した中において、言うなればしっかりと医療の知識というものを学んでいただくという意味でありますので、これをもってして医師を養成を減らすという話ではないということは、これは強調をさせていただきたいというふうに思います。

○倉林明子君 指導体制もやっぱり決して十分とは言えないという状況も含めて、医療安全担保されないまま医療行為拡大すると、そういうことはあってはならないという指摘をしておきます。
 その上で、外来患者の負担拡大という点でも盛り込まれております紹介状なしで外来受診する場合の定額負担、これ新設される重点外来のうち二百床以上の病院にも拡大ということですが、現在、徴収が義務化されている病院の病床規模、そして病院数の推移というのはどうなっているでしょうか。

○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
 御指摘の紹介状なしで大病院を受診した場合の定額負担につきましては、平成二十八年度から、一定規模以上の病院を受診した、受診する場合につきまして義務を課しております。過去二回、平成三十年、令和二年の診療報酬改定におきまして対象病院を拡大してまいりました。
 推移でございますけれども、平成二十八年度には特定機能病院及び一般病床五百床以上の地域医療支援病院を対象といたしまして、その数は二百五十でございました。その後、平成三十年度に許可病床数四百床以上の地域医療支援病院を対象に加えまして、対象病院の総数は二百六十二から四百十に増加いたしました。令和二年度には更に一般病床数二百床以上の地域医療支援病院を対象に加えまして、対象病院の総数は四百三十三から六百六十六というふうに増加いたしました。

○倉林明子君 これ、窓口負担が本当に大きいということになるんですよね。これ、対象がどんどん増えているという今の紹介だと思います。窓口負担を更に拡大するということにつながりますから、これはやるべきじゃないということを一つ言いたいと思います。
 さらに、医療保険部会の論点整理というところで、定額負担のこれ額について、一定額を保険給付範囲から控除し、それと同額以上の定額負担を増額するというのが入っているんですね。これ、一定額というのは一体幾らになるのか、負担総額は幾らになるのか、現時点で。どうですか。

○政府参考人(浜谷浩樹君) 御指摘の医療保険部会の議論の整理におきましては、あえて紹介状なしで大病院を受診する場合の患者の初再診につきましては、一定額を保険給付範囲から控除し、それと同額以上の定額負担を増額するとの方針が示されております。
 まずこれ、この政策でございますけれども、日常行う診療はかかりつけ医機能を担う身近な医療機関でまず受けていただく、で、必要に応じて紹介を受けて、患者自身の状態に合いました他の医療機関を受診いたしまして、更に逆紹介によって身近な医療機関に戻っていただく、こういった流れを円滑にする観点から行うものでございます。
 その上で、お尋ねの一定額につきましては、御指摘の議論の整理におきまして、例として医科初診の場合に二千円程度とされております。
 この場合の自己負担額でございますけれども、現行制度では、医科初診の場合に、一部負担金に加えまして五千円の定額負担を求めておりますけれども、定額負担部分につきましては、先ほど申し上げた一定額と同等以上の額が増額されることとなります。
 なお、給付部分について、二千円の控除ということで給付が下がりますので、三割負担部分についてはその分下がるということも併せて、そういった形になるということでございます。
 いずれにいたしましても、今後も具体的には、中医協におきまして具体的に検討するということでございます。

○倉林明子君 まあ検討これからということで、三割負担の部分が減るというようなお話がございました。
 私、国の財政を理由として保険給付範囲を削減するということにつながらないのかという指摘出ているわけです。保険免責制の導入になるんじゃないかという指摘ですよね。要は、医療への給付外し、不要不急とみなされた場合の保険給付の医療への給付を外そうなんという話まで出てきているわけです。
 これは、大臣、保険免責制に向かって、保険免責制、大丈夫、はい、に道開くことになるんじゃないかと。そうしてはならないという思いで聞いているんです。やめるべきだと思います。

○国務大臣(田村憲久君) ちょっとやめるわけにはいかないので御提案をさせていただいているんですが。
 外来機能を明確化をしていかなきゃならない。よく賢い医療のかかり方というようなこと、キャンペーンやっているんですけれども、やはり基本的にかかりつけ医というようなものを近くでしっかりと確保いただいて、そういうところから紹介状を持っていただいて大病院の方に行っていただくという形、まあ今もこれやっているわけなんですよね。この範囲を広げていって、その外来をどういうふうに適切に明確化していくか、それぞれの患者の方々が質を向上させながら対応していただけるかということであります。
 免責制ですと、多分ここまでは自己負担で保険はここから給付だよというような話になるんだと思いますけれども、今回の場合は診療報酬は診療報酬としてちゃんと給付をされるわけでございまして、そういう意味では、免責というやり方ではない中において、まずは紹介状を持って地域の医療機関から病院に行っていただいて、そこで診療、医療を受けていただいた上で、場合によってはまた地域に帰ってきていただくと、こういうことも想定しているわけでございます。
 そういう意味では、特定療養という、あっ、特定療養じゃないや、何だ、選定療養です、ごめんなさい、選定療養という形になるわけでありますけれども、いずれにいたしましても、免責というような仕組みとは違う仕組みでございますので、免責というものを我々今考えているわけではないということは御理解いただきたいというふうに思います。

○倉林明子君 免責制を考えていないと明言されました。保険給付の範囲を法的にも担保してきたのをずるずると崩していくというようなことにつながってはならないということは重ねて指摘をしておきたいと思います。
 窓口負担の引上げということが、先ほど、九十二病院ぐらいだったと思うんですけれども、対象病院がどんどん広がってきて、二百床病院が、二百床以上の病院が大病院と果たして言えるのかというところまで拡大してきた経緯もあります。窓口の、二百床以上という規模でいえば、かかりつけ医、もうその地域にはそこしかないというようなところもあろうかと思うんです。初診でそこ行くしかないというような場合もあろうかと思うんですね。窓口負担を引き上げて患者の受診抑制につなげるようなことは私はやるべきでないということは重ねて言いたい。
 コロナ禍で今生じている受診抑制を更に加速させるようなことにつながりかねないということから、改めてやるべきではないということを申し上げておきたいと思います。
 時間残りましたけれど、質問終わりましたので終わります。

議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林です。
 私は、日本共産党を代表して、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 本法案に反対する第一の理由は、新型コロナ感染症の拡大による医療の逼迫が全国に広がる、迫る中で、消費税の財源を、病床を削減する補助金を法定化することです。二一年度の予算は百九十五億円が計上され、削減される病床数は単純計算で一万床規模に上ります。
 コロナで重篤化しても入院できず、施設や自宅で亡くなる方が相次ぎ、命の選別が迫られ、脆弱な医療提供体制が明らかになりました。その最前線で闘う公立・公的病院の病床削減など、断じて許されません。病床削減の補助金及び公立・公的病院の再編リストの撤回を強く求めます。
 第二に、本法案が、医師の働き方改革の名の下に、過労死ラインを超える長時間労働を容認することです。
 政府は、全ての勤務医に年九百六十時間という時間外労働上限を設けるとともに、その上限を超える医師が勤務する医療機関を特定労務管理対象機関として、過労死ラインの二倍に当たる年千八百六十時間もの時間外労働上限を認めようとしています。現状の異常な働き方を合法化し、医師の過労死の増加につながるものであり、到底容認できません。
 また、本法案では、対象となる医師に対し追加的健康確保措置を行うとしていますが、その前提となる労働時間管理について、当事者任せで正確な把握がなされていない実態があります。これでは医師の過労死はなくせません。客観的な時間管理の義務付けが必要です。
 医師の過重労働は、絶対的な医師不足によるものにほかなりません。医師の人権を守るとともに患者の安全を守るために、労働時間の上限規制はせめて他の職種と同水準とすべきです。医師が人間らしく働ける本当の医師の働き方改革を求めるものです。
 第三に、医師不足に対応するため、タスクシフトを推進、医師養成課程を見直すことです。
 医師、看護師の絶対的不足は明らかであり、それを放置したまま侵襲性の高い医行為の業務移管を進めれば、医療の質、安全性を脅かしかねません。医師、看護師の大幅増員こそ必要だ。
 以上、討論といたします。